アルゴリズムなんて言葉は忘れたほうがよい


アルゴリズムにとらわれて過ぎている人が非常に多いと感じる。
だから私はあえて暴論を述べてみたいのである。

アルゴリズムなんて言葉は忘れたほうがよい

とあえて言い切ってみるのだ。

検索エンジンが人間の作るコンテンツの価値を100%正しく認識し、価値に応じた完全に公平なランク付けができる日は永遠に来ない。

これは間違いない。公平なランク付けができる日が来ると考えるのは幻想である。

以前も「検索順位の真実は誰にも分からない」にも書いたが、コンテンツに客観的な価値の大小などありはしないし、そもそもコンピュータが人間の書く文章の内容そのものを理解できるようになるとも思えない。

文章の内容そのものを理解できるようにならないわけなので、人間とは違う価値判断で検索エンジンは順位付けをせざるを得ない。
その人間とは異なる検索エンジンならではの価値判断を「アルゴリズム」という。

人間と異なる検索エンジンの癖(つまりアルゴリズムのこと)を理解し、施策を実施すれば検索順位を高めることはできる。
これまでのSEOとはこの行為を指していたといってよい。

検索エンジンはこのようなことを評価しているのではないか?と仮説を立て、実験を行って実証し、サイトに適用する過程だ。

ここでは文字の色が目立ちやすい色に変更すると、順位にポジティブな影響があるという仮説について考えてみる。

  1. 背景の色が黒、白、赤、灰色といった様々な色別のページをそれぞれ100ページ程度用意する。
  2. それぞれの背景色ページでターゲットとなる文字部分の検索順位を測定しておく。
  3. それぞれのページでターゲットとなる文字部分を、黄色、灰色、赤、白、紫・・・といった具合に変更。
  4. 比較対照のために元々の色と同じになるように該当ターゲット部分を明示的に同じ色に変更。元々本文中の文字色がすべて白であった場合に、
    • ターゲット部分をCSSを使って白に変更する。
    • ターゲット部分をHTMLで白に変更する。

    といったように目には見えないが、変更する作業だけはしておく。
    こうしないと、色を変更したことが順位に影響したのか、それとも該当個所について何らかの書式指定を行ったことが順位に影響したのかわからない。

  5. ターゲット部分の順位の推移を追跡する。
  6. 仮説が正しいか結論を出す。

重要なことは、結論を導く際の思いこみを排除することである。

「背景が黒のページを100ページ作りました。ターゲット部分を灰色、黄色、元々の紫のままにしたページはそれぞれ20ページです。

 紫のまま:上昇ページ 9
      下落ページ 8 
 灰色:  上昇ページ 8
      下落ページ 10
 黄色:  上昇ページ 10
      下落ページ 7

とこのような結果になりました」

仮説を信じようとしている、

「やっぱり黒字に黄色といった目立つ色にすると順位は上がるし、目立たない文字色に変えると順位は下がる」

と思いたくなる。
でもこれはほとんど差がないというレベルである。
結果を検証するときは統計的に検証しなくてはならない。

例えばサイコロが2回連続して同じ目が出た場合を考えよう。
このサイコロは同じ目が出るように細工されていると考えてよいのか?

結論はだめだ。

2回連続して同じ目が出る確率は約16.7%もある。
この程度の結果の偏りはしょっちゅうあることで、単なる偶然の仕業の可能性が高い。

これと上記の検索順位は同じようなものだ。
詳細については面倒なので省くが、単なる偶然の可能性が高いのだ。

これだけ大がかりな実験を行っても、統計的に意義のある結果が導けないことが多いのである。

この実験を行う労力は並大抵ではない。
実験に慣れた人でも、全ての作業を行うために丸1日程度の時間を要するだろう。

実験を行うためにこれほどの価値があるのか?

仮に統計的に有意義な結果が出たとしても、それは現在のGoogleのアルゴリズムがそうなっているというだけだ。
明日も同じ結果になるとは全く限らない。

アルゴリズムを詳細に把握しようとする試みは無駄である。
我々はGoogleのアルゴリズムを知り得ないと考えた方がよい。

アルゴリズムを知ることはできないが、Googleが目指している方向は我々は容易に理解できる。
それは、

検索ユーザーにとっての利便性の向上だ

Googleが人間が理解するようにコンテンツを理解する日は来ないにしても、Googleが目指しているのは人間にとっての利便性の高さと、検索結果の順位が一致するように日々改善を続けている。

それは分かっているのだから、アルゴリズムなんて言葉は忘れてユーザーにとって利便性のあるページを作ればいい。

上記のような実験は、なんら検索ユーザーにとって価値をもたらすものではない。
そんなことをしている暇があったならば、ユーザーのために役に立つコンテンツを何ページも作ることができるだろう。


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