コンテンツマーケティングと相性が悪い企業と、その5つの理由

※本記事は、SEO HACKSで公開した記事を移植したものです。

コンテンツマーケティングと相性が悪い企業と、その5つの理由

こんにちは、コンテンツディレクターの成田です。

コンテンツマーケティング全盛のWeb業界ですが、これからコンテンツマーケティングをやろうか迷っている方や、実際に始めてみたものの、いまいちうまくいっていないと悩んでいる方は、意外と多いのではないでしょうか。

そこで今回は、コンテンツマーケティングと相性の悪い企業のタイプを挙げてみました。1つでも当てはまる方は、はたして自分の会社がコンテンツマーケティングを本当にやるべきか否か、改めて検証してみてはいかがでしょうか。

(1)ステマやブラックハット上等!という詐欺師タイプ

(2)100本がダメなら1000本という物量信奉者タイプ

(3)自社商品の宣伝をしないと気が済まない露出狂タイプ

(4)バイラルを狙いたい人気取りタイプ

(5)短期間で売上げを期待する先走りタイプ

では、1つずつ説明していきましょう。

(1)ステマやブラックハット上等!という詐欺師タイプ

ステマやブラックハット上等という詐欺師タイプ

昨年は心ないPR会社が営業資料にステマ(ステルスマーケティング)をやる旨、堂々と明記していたことが発覚して騒ぎになりましたが、このようなステマを推奨する企業やPR会社・広告代理店は後を絶ちません。

ユーザーを欺いてコンテンツの皮を被った広告を売りつける、という詐欺師まがいの行為をしている企業は、コンテンツマーケティング云々以前に、デジタルマーケティング業界から退場すべきでしょう。

しかし、彼らはなぜリスクを冒してまで、ステマに走ってしまうのでしょうか。それは「広告は嫌われ者」という意識が深く根づいているからです。

たしかに一般的にユーザーは広告を忌避します。しかし、ユーザーにとってもすべての広告が嫌われ者というわけではありません。広告にも「愛される広告」と「嫌われる広告」があるのです。

「愛される広告」とはすなわちユーザーの役に立ち、ユーザーに読みたい、見たいと思わせる広告です。

昨年あたりから注目を浴びているネイティブアドの中には、「愛される広告」をめざして成果を出している事例も増えてきました。実際、一部のメディアでは、通常の記事よりネイティブアドのほうがPV、滞在時間ともに3〜4倍読まれているという結果も出ています。

そして、ユーザーが求めてもいないのに強引に情報を押しつける広告が、ユーザーにとっての「嫌われる広告」。

CS放送やケーブルテレビのCFや郵便ポストに投函されるチラシ、リターゲティング広告などがその典型でしょう。

広告業界の人たちも企業も、「愛される広告」を作る努力をすればいいのですが、「愛される広告」を作るのは、もちろん「愛されるコンテンツ」を作るのと同様に簡単ではありません。

「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の論理で結果を焦ってしまうのでしょう。しかし「嫌われる広告」は、ユーザーの貴重な時間を奪い、苦痛を与えることになるのです。「ユーザーの利益を最優先する」コンテンツマーケティングの主旨からはほど遠いやり方といっていいでしょう。

そしてGoogleからのペナルティを受けるリスクを負ってでもブラックハット(人工リンク)にこだわり、上位表示を狙う企業。

コンテンツマーケティングの目的は「ユーザーに役立つ情報を提供する」ことですから、当然ユーザーを裏切る行為をする企業にコンテンツマーケティングをやる理由も資格もありません。

(2)100本がダメなら1000本という物量信奉者タイプ

スティーブ・ジョブズが残した名言のひとつにこんな言葉があります。

美しい女性を口説こうと思ったとき、
ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、
キミは15本贈るだろうか?
そう思った時点でキミの負けだ。
ライバルが何をするかは関係ない。
その女性が本当に何を望んでいるのかを、
見極めることが重要なのだ。

コンテンツ作成において「質」ではなく「量」を重視している企業は往々にして、二次情報の寄せ集めのコンテンツの配信に終始しがちです。
すると同じ業界・同じジャンルで同じような記事が氾濫することになります。これはユーザーが本当にほしい情報を探しても、どこにでもある質の低いコンテンツにしか遭遇できない、という状況を招きます。

安価で大量生産に向かいがちなコンテンツ作成は、自らその価値を貶める行為で、安かろう悪かろう、というコンテンツの大量生産の罠にハマっていくのです。

100本がダメなら1000本という物量信奉者タイプ

コンテンツマーケティングにおいても「質」か「量」か、と問われることはよくあるのですが、「量」がどんなに多くても「質」が悪ければ誰も読みません

「質」の良いコンテンツとは、ユーザーに求められ、役に立つコンテンツです。もちろん「質」の高いコンテンツが多くの「量」を確保できれば、それが理想です。しかし、予算は無限ではありません。

安く「質の悪い」のコンテンツを大量生産するのであれば、同じ予算で少なくても「質の高い」コンテンツを作るほうがユーザーの利益になることは間違いありません。

たとえば予算が10万円だった場合、Web上でかき集めて適当にリライトした体の1本1000円の質の低い記事を100本を提供することと、1本1万円で質の高い10本のオリジナルの記事を提供すること…どちらがユーザーの利益になるかは言わずもがなでしょう。

(3)自社商品の宣伝をしないと気が済まない露出狂タイプ

担当者レベルでコンテンツマーケティングを実施したいと言いながら、突然上司が出てきて、作成されたコンテンツに自社商品やサービスの情報が盛り込まれていない!と憤り、ひっくり返す企業も少なくありません。

自社商品の宣伝をしないと気が済まない露出狂タイプ

オウンドメディアで商品自体を紹介することに問題はないのですが、ユーザーは、商品を通して自分がどのようなメリットがあるかを知りたいのです。

自分の役に立てば、どの企業の商品であろうと構わないのです。企業が自社の商品を魅力的なものとして訴求するのは当たり前なので、ユーザーはそれを鵜呑みにはしません。

あくまでも客観的な情報がほしいのです。コンテンツマーケティングにおいては、「コンテンツ」=「広告」ではありません。「コンテンツ」=「ユーザーが求める情報」なのです。

(4)バイラルを狙いたい人気取りタイプ

バイラルとは英語で「伝染する」を意味し、口コミを利用し、低コストで顧客の獲得を図るマーケティング手法です。

バイラルを狙いたい人気取りタイプ

コンテンツマーケティングは長期戦です。瞬発力が求められる短距離走は得意としていません。
一方、バイラルコンテンツは瞬間的な認知獲得を得意としますが、長距離走は得意ではありません。時間をかけてユーザーとのエンゲージメントを醸成する目的には向いていないのです。

バイラルコンテンツを、認知獲得を目的にカンフル剤として組み合わせて使うことは手法の1つとして効果的です。しかし、バイラルコンテンツを作るとき、「なぜ」「何を」「誰に」届けるのか、という本来の目的を見失わないよう心がけることが必要です。

どうやったら「ウケるか」という手段ばかりに時間とお金を費やさないよう気をつけなければなりません。仮にバイラルに成功しても、「あの記事面白かったね! ・・・でもどこの企業だっけ?」と、肝心のエンゲージメントやコンバージョンにつながらない、という残念な結果に終わることも多々あるのです。

コンテンツマーケティングが絞り込んだターゲットに向けた施策を得意とするのに対し、バイラルコンテンツはターゲッティングを苦手とします。であれば最初からキャンペーンという認識でコンテンツを制作したほうが効率はよいでしょう。

(5)短期間で売上げを期待する先走りタイプ

コンテンツマーケティングは、時間のかかるマーケティング戦略です。短期間で認知獲得や売上げアップを狙うのであれば、やはりキャンペーンや広告を出すほうが効果的でしょう。

ただし、競争が激しい市場になればなるほど、費用対効果も悪くなります。それを「コンテンツは広告ほどお金がかからない」という理由で始めて、広告的な効果を期待するのは、大きな間違いです。

コンテンツマーケティングは、ECであればコンバージョンが計りやすいものの、基本的にはユーザーとのエンゲージメントを目的に中長期的な戦略にのっとって進める施策なのです。

短期間で売上げを期待する先走りタイプ

では、エンゲージメントの成果とは何でしょう。

PVやUUやいいね!数は「成果」を計るうえでの「指標」ではありますが、「成果」ではありません。重要なのは、コンテンツマーケティングを実施する前に何を成果にするかを、十分考えておくことです。

エンゲージメントの成果を考えるときに、参考になるのがSMARTゴールという考え方です。
それぞれの指標の頭文字をつなげてSMARTと呼びます。

■Specific(具体的に)
「なぜ」「何を」「誰に」が具体的かつ明確であること。

■Measurable(測定可能か?)
目標の達成度合いが担当者にも会社にも判断できるよう、その内容を定量する。

■Achievable(達成可能か?)
理想論や願望ではなく、その目標が現実的に達成可能な内容であること。

■Relevant(経営目標に関連しているか?)
会社の利益につながるもので、実現する必要性のあるものであること。

■Timely(時間設定をしているか?)
いつまでに目標を達成するか、その期限を設定すること。

コンテンツマーケティングを実施するにあたって、短期間での売上げをKGIとするのは、因果関係の検証が難しいため、あまり現実的ではありません。

※KGIとKPIの設定についての詳細はこちらの記事をご参照ください。
「コンテンツマーケティングで予算を無駄遣いしないためにやっておくべきこと」

しかし、必ずしも売上げだけをKGIにする必要はないのです。少なくとも、上記のSMARTゴールを踏まえておけば、目標を見失って迷走することは避けられるでしょう。

自社が「なぜ」「誰に」「何を」を伝えるのか、明確でないならば、改めてコンテンツマーケティングをやるべきか、やるならどうすればよいかを議論を重ねたうえで実施してみるべきです。

コンテンツマーケティングのKPI例・ターゲット・評価・ポイント

以上、「コンテンツマーケティングと相性が悪い企業と、その5つの理由」をご紹介しました。

最後に、検討したうえでコンテンツマーケティングを実施することになったとき、パートナーを探す際に注意しておきたい、“なんちゃってコンテンツマーケティング”についてつけ加えておきます。

リスティング広告やSEO対策による効果が頭打ちになってきたことで注目されてきたコンテンツマーケティングですが、現状は多くの“なんちゃってコンテンツマーケティング”が蔓延っています。

“なんちゃってコンテンツマーケティング”とは、コンテンツ不在のコンテンツマーケティングです。

マーケティング施策をあれこれ謳っているものの、肝心のコンテンツには知らぬ顔。これが現状です。わたしのところにも「コンテンツマーケティングが得意というから任せたら、クラウドソーシング頼みで雑な薄っぺらいコンテンツがあがってきて困った」という声がときどき届きます。

あなたがコンテンツマーケティングを始めてみたいと思い、パートナーを探す場合は、まずその企業がコンテンツをどのように制作するか、体制を確認してください。社内制作なのかクラウドソーシングなのか。ライターを多く抱えているとアピールするなら、彼らをコントロールする編集者(コンテンツディレクター)はいるのかどうか。

そして、実際に作成することになったら、どういうプロセスを踏むのか、その企業は説得力のあるコンテツを自社で制作しているかなど、念入りにチェックすることをおすすめします。

コンテンツマーケティングはマーケティング手法の1つですが、その主役はやはり「コンテンツ」なのです。

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イラスト・タナカケンイチ

コンテンツマーケティングと相性が悪い企業と、その5つの理由ナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。