メラビアンの三原則【コンテンツづくりの三原則 第19回】

オウンドメディア運営において、コンテンツづくりは最大の肝です。「コンテンツづくりの三原則」では、毎月1つのコンテンツづくりのテーマや目的を取り上げ、そこに紐づく3つのトピックを深掘りしていきます。

第19回は「メラビアンの三原則」。コンテンツを制作するにあたって意識しておきたい「言語」「聴覚」「視覚」の三原則について解説します。

 

コミュニケーションの9割は非言語情報

インタビュー(取材)はコンテンツ制作の基本です。インタビューを成功させるためにも、「メラビアンの法則」を知っておくことは欠かせません。
「メラビアンの法則」は、1971年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校のアルバート・メラビアン教授によって発表された、コミュニケーションにまつわる法則です。

メラビアン教授は、人は他人とコミュニケーションをとるとき、言語・聴覚・視覚の3つの情報から相手を判断していると仮定しました。そして、例えば「怒っている表情で『好き』と言われる」「楽しそうな声で悲しい話を話している」というように、言葉、声そして態度が矛盾している情報を与えられたとき、人はどんな印象を抱くのかという研究を行っています。
その結果、コミュニケーションに与える影響の要素の割合は、見た目や表情などの視覚情報が55%、声の質や大きさ、話すテンポなどの聴覚情報が38%、言語情報は7%という調査報告をしています。意外な結果ですが、相手に与える印象は、聴覚・視覚によるノンバーバル(非言語情報)が9割を占めているということです。

俳優・竹中直人さんの「笑いながら怒る人」という有名なギャグは、笑っている顔をほとんどの情報として受け取るので、人はおもしろく感じるのです。反対に、褒めても仏頂面や怒った顔で「あなたはすごく優秀だし、とてもいい人ですね」といくら褒めても、ピンとこないということですね。

ただし、これは言語情報にはほとんど意味がないというわけではなく、言語・聴覚・視覚すべてが表す内容に矛盾がなく、バランスがとれていることが重要であることを意味しています。表情や動作と言葉が矛盾していたら、竹中直人さんのギャグのように笑いになるか、TPOによっては違和感しか残りません。

相手に伝わりやすい言葉を選ぶことで言語情報を正しく伝える

言語情報とは、話し手が会話で発する言葉や、会話によって得られる情報のことです。このような言語情報によってコミュニケーションをとることを、バーバル(言語情報)コミュニケーションといいます。
バーバルコミュニケーションという観点では、相手に伝わりやすい言葉をいかに選ぶかが大切になってきます。

相手の話を上手に導き出す、言語を使った4つの反応

バーバルコミュニケーションでは、次に挙げる4つの反応をすることで、相手の話を上手に導き出すことが可能です。インタビュー時に使えるテクニックなので、活用してみてください。使う際には、回りくどい言葉や表現は避けるようにします。

・パラフレーズ
パラフレーズとは、相手が話した言葉を繰り返すことです。相手の話の中で重要だと思ったタイミングで「つまり、◯◯という意味ですか?」など、話し手に確認するとともに、相手に振り返りの機会を与えます。そうすることで、お互いの齟齬をなくすとともに、話し手自身も自分が話した言葉が本当に言いたかったことだったのかを再確認することができます。

・ミラーリング
ミラーリングは、相手の感情を鏡のように映し出す反応です。例えば、話し手が「嫌なことがあると必ず電話をする友達が2人いるんです」と言ったら、「そういう友達がいるっていいですよね。きっと一生付き合っていける大切な仲間なんでしょうね」など、相手の気持ちを察した言葉を返します。

・オープンクエスチョン
オープンクエスチョンとは、「はい」「いいえ」で答えられない質問のことです。話し手に共感しつつ、適切なタイミングで質問を投げかけることで会話を広げられます。オープンクエスチョンに対して、「はい」か「いいえ」の二択で答えられる質問をクローズドクエスチョンといいますが、クローズドクエスチョンは、そこから話が広がって展開していきにくいため、インタビューには適しません。
例えば、「負けてくやしかったですか?」というクローズドクエスチョンでは、「はい」か「いいえ」で終わってしまいがちです。一方、「負けたとき、どう思いましたか?」というオープンクエスチョンでは、「今まで経験したことがないくやしさでした」という回答を引き出しやすくなります。さらに、その回答に対し、「どうしてそう思ったのですか?」という質問につなげやすく、その後も「今回は自分にとって最も大事な戦いだったので」「なぜ最も大事だったのですか?」といったように、相手の心情や考えを深掘りすることができるのです。

・変換
変換とは、話し手が自分の言いたいことをうまく伝えられなかったり、話しているうちに自分で何を言いたかったのか混乱してしまったりしたときに、「つまり、◯◯ということですか?」と、相手の感情や事実を察して、より適切な表現に言い換えてあげることです。
インタビュー中に、原稿の執筆・編集時に行う変換作業を想定して、できる限り相手が納得する言葉を見つけてあげるように心掛けましょう。

コミュニケーションの半分以上を占める視覚情報

視覚情報とは、会話をしているときの態度や仕草、表情、目線など、目で確認できる情報のことを指します。言葉で情報を与えないノンバーバルコミュニケーションのひとつです。

コロナ禍によってテレワークが普及したことで「コミュニケーションがとりづらくなった」という声が増えていますが、これは言語情報だけで上手にコミュニケーションをすることがいかに難しいかを物語っています。言語情報だけでコミュニケーションができるのであれば、メールや電話だけでも十分なはずです。しかし、大事な話があるときに、直接会って話そうと多くの人が考えるのは、ノンバーバルコミュニケーションが非常に重要だと体験的に知っているからです。

相手の話を上手に導き出す、視覚に訴えかける4つの反応

視覚に訴えかけるためには、どのようなことに気をつければいいでしょうか。これからご紹介する4つの反応を意識することによって、相手の話を上手に導き出すことができます。

・表情
顔の表情からは、性別やおおよその年齢はもちろん、感情の機微や話の意図といった心理状態まで把握することができると考えられています。同じ感情でも、年齢や性別はもちろん、個人によってもその表情は各々異なるので、顔の表情から得られる情報は非常に多くあります。
例えば、話し手の表情に合わせて笑ったり困った顔をしたりすると、相手に理解されていると安心感を与えることが可能です。反対に、話し手が悩みを相談しているときに、にやにや笑いながら聞いていたり、うれしかったことを話しているときに、しかめ面で聞いていたりするなど、話し手の感情に同期しない表情をすると、話し手は自分が理解されていないと感じ、話すこと自体が嫌になってしまいます。つまり、話し手のことを理解していると伝わるよう、話し手の感情に合わせた表情を意識することが重要なのです。

・体勢
話し手の話にしっかり耳を傾けていることを示すには、体勢から気を配る必要があります。具体的には、相手に体を向けてリラックスした状態で会話をするようにします。距離感は近すぎず離れすぎず、正面、もしくは斜め前に座ることが理想です。アメリカのインタビューでは、インタビュアーが脚や腕を組みながら話を聞くのをよく見かけますが、日本では偉そうに見えてしまい、話しにくい雰囲気になるおそれがあるので避けたほうがいいでしょう。
また、相手の話に興味があるので、もっと詳しく話を聞きたいという気持ちを表すために、姿勢をやや前のめりにして座ります(ただし、背筋はまっすぐにしたままでないと、良い声が出づらくなるので注意します)。話し手に近づくことによって、相手に親近感を感じてもらおうとする効果もあるので、相手に自分の好意をさりげなくアピールすることも可能です。のけぞって背もたれにもたれていたり、腕や足を組んだりするのは、話し手に不快感を与えたり、警戒心を抱かせたりするので避けましょう。

・目線
目線は、話し手と合わせるようにすることが大切です。目線を合わせることによって、相手に興味があることが示せます。心の距離が縮まったような感覚になるため、話し手も話しやすくなるという効果もあります。ノートパソコンやメモを見ながら相手の顔を見ずに話を聞くことは絶対に避けましょう。
ただし、中には目を合わせることに恥ずかしさや緊張感を抱く人も少なからずいるので、相手の目を凝視するというより、適度に目線を合わせることを意識すれば十分です。

・ミラーリング
バーバルコミュニケーションで相手の言った言葉を繰り返すのと同様に、ノンバーバルでも、ミラーリングは効果的です。水を飲んだり、手を組んだり広げたりするなど、相手の動きに合わせることで親近感や信頼感を深めることができます。
ただ、ミラーリングも単に相手の動きをまねしていると思われると、かえって反感を買うおそれもあるので、目を合わせるのと同様に適度なタイミングで対応しましょう。

歌うように話すことで良い聴覚情報を与える

聴覚情報は、話し手の声のボリュームやトーン、スピード、テンポ、言葉遣いなどを指します。聴覚情報は、話される言葉自体の内容以上に、その言葉がどのような使われ方をされているかが問われる大切な情報です。
話し手と同じトーンで相槌を打ったり、話したりすることで、相手に共感していることを伝えます。相手が考えながらゆっくりと静かな声で話しているのに、大きな声で早口で対応したら、波長が合わなくなり、話し手に話しづらいと感じさせてしまいます。

腹式呼吸が信頼感を与える

相手に心地良く信頼感、安心感を与えられる声は、心を開いてもらうために必要です。つまり、話し手が安心して聞き続けていられる声ということでもあります。そんな、信頼感を与える声の出し方は、歌を歌うときにも使われる「腹式呼吸」です。

腹式呼吸をする際には、のけぞる必要はありませんが、椅子に深く座ると自然に背筋が伸びて、しゃきっとした姿勢になります。反対に、あまり前かがみになると、腹式呼吸の声が出しにくくなるので注意してください。話すときには、鼻呼吸で深い息を吸います。そしてお腹に外向きの力を入れたまま話しましょう。
これは、実はカラオケに似ているところがあります。カラオケの採点の基準のひとつである音程、抑揚、テンポ、安定性は、コミュニケーションにおいても重要なのです。

プロのボイストレーナーによると、普段より3音階高い音程から話し始めるくらいのイメージを持てば、声の幅が広がって抑揚がつきやすくなるそうです。声の調子を強めたり弱めたり、上げたり下げたりことで、音の高低パターンをつけます。また、話すテンポが単調にならないように注意します。声がまっすぐ伸びているか、緊張して震えやムラがないか、安定性を注意することも大切です。

オンラインでのコミュニケーションをどうするか?

最近は、テレワークでのコミュニケーションも増えているので、最後にオンラインでのコミュニケーションについても少しふれておきます。

オンラインのコミュニケーションは視覚情報がある程度限定されるため、お互いに表情が伝わりにくくなります。モニター越しだと表情のちょっとした変化が伝わりづらくなるため、下手をすると退屈そうに見えたり、無表情に見えたりしてしまいがちです。特に、オフィスでマスクをつけている場合は、口元が見えず、声もこもって聞こえづらくなります。3割増しくらいの意識で、声と表情を大げさだと思うくらいでちょうどいいと思います。

オンラインではよく、「相手の声が聞きづらい」「相手から何度も聞き返されてしまう」という悩みを耳にしますが、これはオフィスや会議室での対面と同じ感覚で話すために起こりがちな問題です。相手に届く音は、こちらのマイクの性能やパソコンのスペックに依存するため、場合によってはマイクを通したときの声が聞き取りにくくなったりすることも。オンラインの場合は、できるだけゆっくりと単語や語尾を明瞭に発音することを意識したほうがいいでしょう。また、笑顔を作ると、自然とお風呂で音が響くのと同じように、口腔で共鳴して声の通りが良くなります。腹式呼吸と併せて意識してみてください。

ただし、自分で声や表情を意識しても、オンラインではマイクやカメラの性能によって、相手に与える印象が大きく変わりますので、古いパソコンを使用している人はマイクやカメラ、照明を購入することをおすすめします。カメラの性能が悪いと、顔も非常に暗く映ってしまい、表情がよく見えないだけでなく、相手に暗い表情の人だという印象すら与えかねません。自分がどのように映っているか、明るさは適切か、必ず事前に照明もチェックしておくことが大切です。

コミュニケーションは言語、視覚、聴覚で情報を得ると同時に、感情や意志のキャッチボールでもあります。特にインタビューにおいては、感情と意志のキャッチボールがなければ、いくら情報を仕入れても意味がありません。
また、オンラインは対面と比べて視覚、聴覚の情報が制限されるので、より感情と意志の疎通を意識する必要があるのです。

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