リードナーチャリングのシナリオはなぜ必要?作成方法と具体例を解説

リードナーチャリング シナリオ

効果的なリードナーチャリングを行うには、「シナリオ」の準備が重要ポイントになります。

「リードナーチャリングを実施したいけれど、何から始めたらいいのかわからない」
「より効果的なリードナーチャリングを実施するには、どうしたらいいのだろう」

このようなお悩みを持つ方に向けて、この記事ではリードナーチャリングに有効なシナリオの作成方法を解説します。基本的にシナリオが必要な理由と、リードナーチャリングを成功させるためのポイントを踏まえて、具体例を交えながら紹介します。

そもそもリードナーチャリングとは?

リードナーチャリングは、見込み顧客に対して適切な情報提供を行うことで自社の製品・サービスの購買意欲を高めてもらい、将来的に契約へとつなげるマーケティング施策です。問い合わせや資料請求など、獲得した顧客を育てる手法になります。

見込み顧客の興味関心に合わせてアプローチするため、すべての顧客へ闇雲に営業するよりも契約や購入などにつながる可能性の高いことが特徴です。ほかにも、リードナーチャリングには魅力がたくさんあります。リードナーチャリングのメリットや具体的な手法を知りたい方は、事前に以下をご一読ください。

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リードナーチャリングでシナリオが必要な理由

リードナーチャリングでは、見込み顧客の状態に合わせた対応が必要です。しかし、ルールを決めておかなければ、対応する営業担当者の考え方によって成果に大きく差が出てしまうリスクがあります。例えば、以下のようなケースです。

  • 問い合わせが来たとき、顧客が急いで知りたいことに気づけずメールで対応してしまった
  • 問い合わせ内容から営業担当者が「まだ課題が顕在化していない」と解釈し、積極的にアプローチしていなかった

マーケ担当者が「リード獲得しているのに、なかなか営業がリードナーチャリングしてくれない」といった悩みを抱えるのも、このあたりのルールが決まっていないことが原因と考えられます。

これでは、せっかく興味を持ってくれた見込み顧客の興味が薄れてしまいます。また、すでに興味関心の薄い顧客に営業担当者がアプローチしたために、見込み顧客に嫌われてしまうこともあるでしょう。

そこで、より効果的なリードナーチャリングを行うためには、「見込み顧客の状態を分類し、いつ・どんな情報を提供するか」といったシナリオの設計を行うことが重要です。シナリオを設計することにより、社内での共通認識が持てるため、見込み顧客の状態に合わせた情報を適切に届ける土壌を整えることができます。

リードナーチャリングのシナリオの作成方法

実際にリードナーチャリングのシナリオを作成するにはどうしたらよいのでしょうか。一般的には、下記3つの方法でリードナーチャリングのシナリオを作成します。それぞれ、具体的に見てみていきましょう。

リードナーチャリング シナリオ

【方法1】獲得したリードごとに情報を整理する

リードナーチャリングを行うための1つ目の方法は、獲得したリードの情報を整理することです。例えば、問い合わせ情報を分類する場合を考えてみましょう。一般的な企業の問い合わせフォームには、下記3種類の問い合わせがあります。

■問い合わせの3つの種類

  1. 見込み顧客から、商品・サービスの申し込みを希望する問い合わせ
  2. 既存顧客から、サポートを希望する問い合わせ
  3. 他社の営業や協業から、商品およびサービスの紹介・提案する問い合わせ

まずはリードナーチャリングを行いたい顧客が、この3種類のうち、どれに該当するかを整理し細分化していきます。見込み顧客を細分化するには、以下のような情報を取得する入力フォームを事前に用意しておきましょう。

■見込み顧客を細分化するための入力フォームの情報例

  • 担当者の所属している企業名、部署名
  • 担当者名、メールアドレスや電話番号などの連絡手段
  • 業界
  • 予算感
  • 抱えている課題や知りたい内容を記載できる自由入力欄

これらの情報を取得し、ダウンロードした資料の内容など情報を掛け合わせます。その結果、「見込み顧客はどんな人で、どんな課題を抱えていて、何を解決したいのか」といった仮説を立てることができるでしょう。

シナリオ設計上で最も重要なことは、見込み顧客が抱えている課題や悩みの深度を測ることです。しかしながら、問い合わせをしてくる見込み顧客の中には「なんとなく知りたい」といった課題が顕在化していない見込み顧客もいれば、「今すぐ導入を検討している」という見込み顧客も含まれています。

入力フォームに記載した段階では、この切り分けが出来ないリードも多く存在します。その場合は、電話など初回の問い合わせ後にアプローチをするタイミングで悩みの深度を測るようなヒアリングを行いましょう。その上で、見込み顧客に関する追加情報を取得します。

【方法2】カスタマージャーニーを設計する

2つ目の方法はカスタマージャーニーを設計することです。カスタマージャーニーとは、見込み顧客が自社商品・サービスについて知らない・無関心である時点から購入するまでの心理や行動の変化を表したフレームワークのことです。

方法1のリード情報の整理を行う中で、見込み顧客の思考や悩みの大枠・行動がある程度つかめてきたら、「認知・興味」「情報収集」「比較検討」「購入」「リピート」の5段階に分けて時系列に並び替えてみましょう。

ここで注意すべきところは“見込み顧客にこうしてほしい”という自社の理想にしないことです。見込み顧客の実際の行動や状況・思考にどのような変化があるかを事実ベースで記載するように意識しましょう。

なおカスタマージャーニーについては、以下でも詳しく解説しています。メリットや注意点についても知りたい方は、以下をご一読ください!

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【方法3】顧客の行動に合わせたシナリオを作る

3つ目の方法は、顧客の行動に合わせたシナリオを作ることです。方法2で作成したカスタマージャーニーを参考にしつつ、具体的な顧客の行動に合わせて「どんな情報があったら次の段階に進むか」を考え、各コンテンツをどのタイミングで届けるか決めましょう。

とはいえ、既存のコンテンツで見込み顧客の悩みが解決できない場合もあるかもしれません。そういった場合は、思い切って新たに追加のコンテンツを作ることも1つの方法です。

ここでいうコンテンツとは、お役立ち情報がまとまった記事やホワイトペーパーに限りません。ウェビナーや導入事例といったコンテンツも有効に働くため、社内の他部門を巻き込んで制作しましょう。

シナリオ作成に役立つポイント2つ

効果的なリードナーチャリングを行うためのシナリオ作成を行うために、押さえておくべきポイントは2つあります。それぞれ、具体的にみていきましょう。

リードナーチャリング シナリオ

【ポイント1】導入企業や導入事例を参考に整理する

シナリオを作るために、リード情報の整理やカスタマージャーニーの作成を行っても、思ったように顧客の行動をイメージできないことがあります。そんなときにおすすめの方法は、すでに自社商品・サービスを導入している既存顧客の声を参考にすることです。

具体的には、

  • 導入時の商談の様子を営業担当にヒアリングする
  • 導入事例のインタビューに同行する
  • 導入事例の記事を読む

などの方法があります。

導入済みの企業は過去に見込み顧客であったため、課題感や解決したかったことが捉えやすいでしょう。また、カスタマージャーニー作成時に“見込み顧客にこうしてほしい”という自社の理想となっていた部分にも気が付いたり、見落としていた情報を発見できたりとメリットが多いため積極的に取り入れることをおすすめします。

【ポイント2】コンバージョンポイントのハードルを考慮する

見込み顧客との接点として、複数のコンバージョンポイントを設定します。コンバージョンポイントとは、問い合わせ完了などのウェブサイト上の成果を指します。シナリオを作る上では、コンバージョンポイントごとに見込み顧客の心理的ハードルが変わる点を考慮する必要があります。

なかでもお問い合わせやアポイント設定は最上位のハードルであると認識し、その手前に少しハードルを下げたコンバージョンポイントを設定することが重要です。この見込み顧客の心理的なハードルは、取り扱う商品・サービスによってもやや変わるものの、以下のような差が存在します。

コンバージョンポイント
ハードルの高さ
アポイント設定
★★★
問い合わせ
★★★
無料トライアル
★★☆
ウェビナーの申し込み
★★☆
無料説明会
★★☆
資料請求
★☆☆
メールマガジンの登録
★☆☆

例えば、★☆☆の「資料請求」や「メールマガジンの登録」は、見込み顧客にとって欲しい情報が手に入るというメリットが高いため、心理的なハードルは低めです。一方で、この資料請求をした見込み顧客に電話し、商談へ誘導したとしても課題が顕在化しておらず、すぐに★★★の「アポイント設定」につながることは考えにくいでしょう。

したがって、この見込み顧客に自社の商品・サービスを検討してもらうためには追加の情報提供を行うことが必要です。具体的には★★☆の「無料トライアル」や「無料説明会」への誘導、導入事例を紹介する「ウェビナーの申し込み」などが有効です。

リードナーチャリング シナリオ

上記のように、見込み顧客のカスタマージャーニーの段階を次に進めるコンバージョンポイントを用意しましょう。

リードナーチャリングのシナリオ作成の例3つ

自社にぴったりのシナリオ設計が出来たら、運用へと落とし込んでいきます。実際によく行われているリードナーチャリングのシナリオ作成の例は、下記3つです。1つずつ詳しく見ていきましょう。

リードナーチャリング シナリオ

【例1】直近の興味関心度が高い顧客に、ウェビナーや無料相談会をすすめる

「鉄は熱いうちに打て」ということわざがあるように、見込み顧客の熱が冷めないうちに対応するシナリオを組むことができれば、受注確度の高い商談につながる可能性が高まります。

例えば、直近2週間の

  • オウンドメディアのPV数が15PV以上
  • 資料請求数が2回以上
  • 見込み顧客以外にも同じ企業のメールマガジン登録者が1名以上いる

といったアクションの多い企業の見込み顧客には、ウェビナーや無料相談会をすすめる、といったシナリオです。

興味関心度が高いため、ウェビナー参加後のアンケートや無料相談会でのヒアリングで効率的にアポイント設定につなげられる可能性があります。

【例2】過去に失注した顧客に対して、最新情報を送る

意外にも、過去失注顧客に最新の情報を送ることは有効です。そもそも1度検討していることから課題感は合致しているため、強力な見込み顧客である可能性が高いと考えられます。それにもかかわらず失注してしまうのは、何かが原因であることがほとんどです。具体的には以下のようなことが考えられます。

■原因1:コストが見合わなかった

コストの問題で導入に至らなかった場合、他社の商品・サービスを導入している可能性が高いでしょう。しかしながら、他社サービスを実際に利用した際の仕様の問題や、時間の経過とともに発生した追加課題が解決できなかった場合、再び類似した別のサービスの導入を検討しているケースもあります。

■原因2:導入を検討していたタイミングが悪かった

社内の運用体制などの都合上、検討していたタイミングでは導入できなかった場合が想定されます。この場合、期末期初などの体制変更で前提条件となっていた課題が解決され次第、導入に至ることが多いです。

再び必要とされるタイミングで自社の商品・サービスを思い浮かべてもらえるように、最新情報を送る方法でアプローチを続けます。アクションのあった見込み顧客が再検討するタイミングを逃さないよう、シナリオで抽出できるようにしましょう。

例えば、直近1ヵ月で

  • メールの開封率が30%以上
  • メール内のURLのクリック数が2回以上
  • メール送信後のメディア記事の閲覧回数が2回以上

などトリガーとなる値を設定し、営業担当者へ通知するというシナリオを作り、電話での商談や無料相談会につながるヒアリングを行う、といったものです。

【例3】資料請求のあった顧客に対して、電話でヒアリングする

資料請求をした見込み顧客は、多くの場合何らかの課題を抱えている可能性が高いです。

なぜなら、資料を必要とするタイミングは、興味関心があるか比較検討をしているタイミングだからです。電話などで資料請求をした背景や課題を特定するアプローチができれば、自社に対してポジティブな印象を持ってもらえる可能性が高まります。

ヒアリングすることで

  • 課題を詳しく確認できる
  • 課題を解決する資料や記事を送り、解決につなげられる

といった可能性があります。解決までできた場合は、顧客からの信頼もグッと上がるのではないでしょうか。結果的に自社への興味関心が強まり、その後のウェビナーやアポイント設定の確度も大幅に高まりやすくなります。

シナリオ作成だけではなく、スコアリングも重要

リードナーチャリングを行うにあたって「顧客の状態に合わせて、アプローチ方法を変えることが重要」とわかってはいても、現実問題、すべての見込み顧客に対してヒアリングするには莫大な労力とコストがかかります。そこで着手するリードの優先順位をつけるスコアリングが有効です。

スコアリングとは、顧客の属性や顧客が起こした行動に対して点数を付与することを指します。具体的にはメールを開くと1点、資料請求をすると3点、セミナーに参加すると5点などです。この点数は見込み顧客の課題が顕在化しているかどうかという目安になるため、限られた労力とコストをどのような状態の「見込み顧客」に使うかを適切に評価することができるようになります。

さらに詳しくスコアリングについて知りたい方は以下を参照してください。

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シナリオがあれば、リードナーチャリングの改善がしやすくなる

すべての見込み顧客に対してアプローチするには、多大な労力とコストがかかります。そこで見込み顧客が欲している情報は何かを理解し、コンバージョンポイントごとに適切なシナリオが用意できれば、リードナーチャリングの改善もしやすくなるでしょう。具体例を参考に、ぜひ自社にぴったりのシナリオを設計してください。

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