内気な僕がプレゼン恐怖症を乗り越えた経緯

サーチエンジンランドから何故か?!プレゼンの仕方に関する記事を。サーチ界隈といえばネット業界でも関連イベントが多く、スピーチやセミナーを頼まれる検索マーケッター&SEOマニアの方も多いでしょう。とはいえ、元々人間より検索エンジンと向き合い続けてきたオタク気質な人種が多いこの分野、人前で話すことが苦手という人も多いでしょう。そんな悩めるあなたのために、かつて同じ道を歩いてきた筆写が語るプレゼン恐怖症を克服する極意を。私もかつてそんな一人だっただけに、共感&参考にできること記事なことは請け負います! — SEO Japan

2011年、私はSMX Advancedでリンク構築に関する講演を行った。私にとっては、初めての講演であった。リンク構築講座を10人前後の前で行ったことはあったが、大勢のオーディエンスの前で話をするのは、初めての経験であった(200-300名のインターネットマーケッターが参加)。私は内気であり、SMXで発表を行うと友達に伝えると、「カンファレンスでお前が講演するのか?!信じられない!」と本気で驚いていた。普段の私を知る人にとっては、当然のリアクションであった。

私はオーディエンスの前でローカルリンク構築に関する15分間のプレゼンを行った。そのプレゼンの最中に、SMXの主催者に事前に送ったスライドが使われていない点に気づいた。私は無理やりプレゼンを進めた。声は震え、緊張はピークに達した。しかも、スライドには、過剰な量の情報が詰め込まれていた。

最低のプレゼンだっと認めざるを得ない。そして、セッションの質が低いことを、他のSMXの講演者にオーディエンスの前で言われ、私は意気消沈した。この人物の友人が講演者に選ばれなかったことが、怒りを買っていた原因だったようだ。当然、実際に他の講演者と比べ、下手なプレゼンに終始した私は、恥ずかしい思いで一杯であった。私は完全に自信を失い、うなだれて家路についた。

さらなる失態

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悲劇はこれで終わらなかった。SMXカンファレンスの翌日、私はホワイトボードフライデー(Mozが主催するホワイトボードを使った、対話形式のプレゼン)でトム・クリッチロー氏と話をする機会を得た。このプレゼンは通常の講演とは異なるものの、オーディエンスは存在する – 私のパフォーマンスを見れば、一目瞭然だ。このインタビューでは、よく話すトム・クリッチロー氏とは反対に、私は「そうですね」を24回連発し、頷いているだけであった。Mozがこの動画を投稿したのは金曜日の午後3時であり、私はお蔵入りになるのではないかと思った。

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本社に戻った私は、自分がプレゼンに向いているとは思えないとCEOに告げた – 私のように、オーディエンスの前で話をすることを苦手としている人もいる。私はキーボードで文章を作るギークなライターであった。ハッキリ言って、プレゼンは私の手に負えなかった。これは、ウィル・レイノルズ氏やランド・フィッシュキン氏のような、外向的な人物が得意とする分野である。

その数ヶ月後、私のもとに、ブルーグラス社の共同ファウンダー、クリス・ウィンフィールド氏からeメールが届き、ブルーグラスタンパでの講演を依頼された。私はプレゼンに関して消極的になっていたが、断ることは出来ず、結局、優秀なマーケッター達の目の前で25分間という長時間のプレゼンを行うことになった。

1年後

1年後、私は再びブルーグラスのイベントに招待され、リンク構築に関するプレゼンを発表した。セッションの終了後、ウィンフィールド氏から、今までで最高の賛辞を受けた ?

「今年は君のプレゼンを何度も拝見させてもらったよ – 昨年と比べて、プレゼンが大幅にうまくなったね。」

私が尊敬するウィンフィールド氏からの言葉は、重みが違う。さらに、参加者からも多くの前向きなフィードバックを頂いた。最高の気分だった。SMXでは軽蔑され、そして、その翌日のホワイトボードフライデーでも失態を犯した頃とは、正反対の気持ちになった。

2011年にブルーグラスタンパで講演を行った際、私はSMXカンファレンスほどの惨敗ではないにせよ、オーディエンスの前で話をするには、多くの改善が必要とされる素人であった。憧れているクリス・ウィンフィールド氏から認められたことで、「パネルに不釣り合いな人物がいた」と罵られる屈辱から解放されたような気分になった。

スピーチを改善した経緯

ross hudgens

ワークショップや鏡の前で話すことで、私は講演のスキルを改善したわけではない。また、特別な治療を受けたわけでもない。今回は、私が得た教訓を伝えたいと思う。皆さんがプレゼン恐怖症を乗り越える上で役に立つことを願っている。

1. 熟知しているトピックのプレゼンのみ引き受ける

SMX Advancedで、私は自分自身が確信を持てない、もしくは、実施したことがない戦略を宣伝していた。このイベントで利用したスライドにも問題はあったが、当時最高の戦略ではなく、パネルをアピールすることに力を入れた私がいけなかった。私は、講演者がトピックを選ぶ権利を持つカンファレンスを信頼している – 講演者は頭の中でいろいろなことを考えており、内容面で最高のプレゼンをオーディエンスに提供することが出来るからだ。SMX Advancedでは、確信が持てないトピックを、未経験者の状態で発表してしまった。その結果、これは、プレゼンの出来に反映されることになった。

ブルーグラスのイベントで発表を行った際、自分が自信を持っているトピックを選ばせてもらった。また、講演経験は浅いものの、当時、このイベントに招待されるきっかけを作った、ブログの記事をプレゼンに活用することが出来た。

1年後、今度はSMX Eastに招かれた際、セッションの説明を行う役目を担っていたが、当初、SMXに提出したプレゼンの内容を修正した – 半年近く前のWPMU.orgのペンギンアップデートからの回復について話をする予定であったが、データの大半は古く、何度も取り上げられたことがあったため、そのまま利用していたら、退屈で、面白味にかけたプレゼンになっていたはずだ。

2. 前向きなフィードバックを吸収した

ブルーグラスタンパのプレゼンの後、前向きなフィードバックが寄せられた。オーディエンスを圧倒するようなプレゼンではなかったが、参加者からの反応は悪くはなかった – 先ほども申し上げた通り、私は自分が重要視し、熟知し、実際に有益なトピックに関する発表を行ったためだ。ちょっとした嬉しい出来事、そして、前向きなツイートによって、講演者は大きな自信を得ることが出来るのだ。

ブルーグラスタンパのプレゼンで「そこまで悪くはない」点を知るようになると、過去の取り組みを改善することが出来るようになった。マルコム・グラッドウェル氏の著書「Outliers」を読み、1万時間ルール(繰り返しが重要)の存在を知った私は、過去の取り組みを反復するようになった。

しかし、「ひどい、とにかく、ひどい」パターンにはまると、トンネルの向こう側が見えなくなってしまう – そのため、改善が見られる点を指摘するフィードバックを吸収する必要がある。ブルーグラスタンパで再びネガティブなコメントを聞いていたら、とっくにプレゼンを諦めていたはずだ。

3. ネガティブなフィードバックから教訓を得た

良質なカンファレンスの主催者は、プレゼン/イベントに関するフィードバックを集める。フィードバックを集めていなくても、自分が失敗した点をカンファレンスの終了後に把握するのは簡単だ。ツイッターの反応が悪い、あるいは、前向きなコメントが少ないのは、失敗した証拠である。また、イベントのツイートを調べていくと、名指しはしていないものの、プレゼンに失望した理由を具体的に挙げる、ネガティブなフィードバックを見つけることが出来るだろう

- 「宣伝色が強過ぎる」と言われる、事実と明言した主張に反対される、あるいは、プレゼンに関する反応がないと言う形で現れることが多い。この断片的な情報から、プレゼンが失敗した理由に関して、有益な見解が得られる。

「宣伝色が強過ぎる」と言われたら、賢く宣伝を行う方法を学んでから、売り込もう。反対意見が出ているなら、自分の知識を見直そう(反対意見が浸透しているようなら – 意見が間違えている可能性はある)。通常、沈黙は、オーディエンスが「使えない、もしくは、実用的な情報ではない」と考えていることを示唆している。

カンファレンスが終わった後、主催者側からフィードバックが送られてくることもあれば、問題を自分自身で感じられることもある。例えば、SMX Advancedの後(そして、前)、情報量が多過ぎたことに私は気づいた – プレゼンを行う直前にこの点を悟り、これが、表示するスライドを間違えるミスの原因となった。完璧ではないが、ブルーグラスタンパでは、このミスを回避するべく全力を尽くした。Distilledが主催するイベント「Linklove」でプレゼンを行う頃には、ほぼこの問題を完全に克服することが出来るようになった。

Screen Shot 2012-12-11 at 12.30.31 PM

Distilledのカンファレンスでは、主催者経由で、下を向く回数が多過ぎると言う指摘を参加者から得ることが多かった。下の写真、そして、Distilledが提供する動画を見れば、よく分かるだろう。Distilledのイベントを統括するリンゼイ・リトル氏からは、次のフィードバックを頂いた:

セッションの内容の評価はとても良かったのですが、スピーチの評価はイマイチでした。この点に関してフィードバックを与えることが出来るとしたら、オーディエンスと直接交流することを心掛け、床を見たり、スクリーンを振り返る回数を減らすことを薦めます。

スピーチに対して自信がない点は明白である。私はこのフィードバックを深く心に刻み込んだ。そして、最近プレゼンを行ったブルーグラスXでは、メリッサ・ファッチ氏から、私のプレゼンのスタイルについて、次のようなフィードバックをもらった:

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前回のカンファレンスのフィードバックを考慮すると、大きく改善していることが分かる。前回のフィードバックを吸収し、行動に反映させることで、次のプレゼンでポジティブなフィードバックを得ることに成功したのだ。

4. 内容に力を入れた

ブルーグラスタンパの後、私は自分のプレゼンがデザインの面で劣っていることに気づいた。私は実際にデザインする作業は嫌いであったため(ただし、デザインを好み、人一倍気にする)、外部のデザイナーを雇い、デザインに投資するしかないと考えた。幸い、才能豊かなPPTのデザイナー、デビッド・クランドール氏と付き合いがあり、LinkLoveで発表するプレゼンのデザインを担当してもらった。決して安くはないが(インフォグラフィックと同等の金額)、金額に値する作品に仕上げてもらった。



確かに、通常のプレゼンテーションに費やす金額よりも高いが、優れたデザインに投資することで、プレゼンの効果を改善し、以前のスピーチに見られた不備をカバーする効果がある点を私は理解していた。絶対に見返りはあると確信しており、実際にその通りになった。

LinkLoveでの講演をきっかけに、クライアントから問い合わせが増える、その他の多数のカンファレンスに招待される等、様々な機会が転がり込んできた。何よりも、ポジティブなフィードバックを得ることが出来た点は大きかった。

LinkLove以降のプレゼンでは、外部のデザイナーを雇っていないが、優秀なメリッサ・コワルチャック氏を含む数名の手を借り、またランド・フィッシュキン氏ジョナサン・コールマン氏等のエキスパートのプレゼンを参考にする努力をしている。 この分野はまだ苦手だが、欠点だとは考えなくなった。

5. 技術を学んだ

スピーチは、経験がない状態で、そして、練習を通して学習することが出来ない状態で、非常に困難な状況に追い込まれる、数少ない取り組みの一つである。そのため、繰り返し実施しなければならなくなるまでは、手探りの状態でスピーチに挑むことになる。当然ながら、その結果、プレゼンを始めたばかりの人は問題を抱えることになる。

プレゼンを行う前に、スピーチに関する記事を読むことは出来るが、それだけでは、効力において重要なポイントを見逃し、効率の悪いプレゼンに終始するのが関の山である。以下に、以前は知らなかったものの、プレゼンを実際に行うことで学んだポイントを幾つか挙げていく :

  • 箇条書きをほとんど、または、全く利用しない。信じられないかもしれないが、実際に、初めてのプレゼンテーションで全力を尽くしたものの、私自身がこの問題を抱えていた。
  • スライドを丸読みしない。スライドの内容、主張する全体的なポイントを反映する程度に留める必要がある。先ほども申し上げた通り、「自分が確信している」点のみを取り上げ、スライドに記載するワードは、20ワード以下に収める努力をしてもらいたい。
  • PPTの完成版をUSBドライブで用意する。SMX Advancedでこの教訓を学んだ。最高のスライドのバージョンを確実に提供したいなら、自分で持ち込むべきである。
  • デザインは骨の折れる作業だが、苦労する価値はある。SEOのエキスパートをはじめ、デザインを苦手にしている人は多い。スライドのデザインは時間のかかる作業だが、実施するべきである。プレゼンテーションの内容とは関係がないものの、確実にプレゼンをパワーアップさせる。自分でデザインすることが出来ないなら、誰かに頼もう。また、- 大きなイメージを1列のテキストと一緒に表示する等 – 簡単な方法でスライドを改善するべきである。ただし、 プレゼンを「優れたコンテンツを作る」でまとめるのだけは止めてもらいたい。個人的にそれだけは許せない。
  • ステージに上がる前に、スピーチを確認する。私は講演の前にプレゼンの練習を行い、3-5回ほど録音している。こうすることで、カンファレンスの制約に関して、無理することなく、流れとタイミングを確認することが可能になる。 また、先ほど申し上げた、Mozのホワイトボードフライデーがサイトにアップされるまで気づかなかった「そうですね」の連発のように、不自然な表現を見つける上でも有効である。今でもプレゼンでは早口で話す傾向があり(2度ほど指摘されている)、今後のプレゼンでは改善していきたいと思っている。ただし、スピーチの内容を大事に考えているため、どうしても少し早口になってしまう。
  • 身動きせずに話す。今でも大勢の人達がこの過ちを犯している。演壇の後ろに立ち、スライドを切り替える度にコンピュータをタップするスタイルは、薦められない。活力に欠け、オーディエンスの注目を失ってしまうからだ。私はブルーグラスXでこのスタイルに少し染まってしまった。ステージが狭かったためだ。それでも、スライドチェンジャーを持ち運んだだめ、両手を動かして、トピックに関して感じたエネルギーを表現することが出来るように工夫した。 講演者側は、ステージ上を移動し、オーディエンスと視線を合わせ、トピックに関して感じるエネルギーと情熱を体現するべきである。

6. スピーチではなく、自分に自信を持つことが出来た

ここ数年の間に様々な出来事に遭遇したが、ステージ上で堂々と話す力は、トピックについて熟知していると確信することで得られている – 傲慢だと感じた方には申し訳ないが、良質なプレゼンを行う上では、絶対に欠かせない要素である。ステージ上で屈辱を味わい、自信を粉々に粉砕する質問を受けるのではないかと怯え、自信を持つことが出来ない、あるいは、人前で話すことが出来なくなることがある。

もっともな懸念であり、心の片隅に置いてもらいたいが、実際にプレゼンを行って、修正することは可能である。

クライアントのサイトを上位にランクインさせているだろうか?ブログの記事を共有し、いいね!してもらっているだろうか?クライアントから問い合わせを受けているだろうか?その全てが全体的な自信につながる。ステージに上がる前に、この自信を築き上げ、確立しておくべきである。

昨年、私はこの自信を得ることに成功し、また、自分の人生においても、自信が持てるようになった。素敵な恋人が見つかり、仕事を辞める勇気が湧き、会社を始めた。また、継続して投稿するブログの記事は、評判が良く、オーディエンスは増加している。その結果、SEOで成功を収めていると言う考えを常に持つことが出来るようになったのだ。

当然、皆さんも同じ概念、少なくとも各自の状況に合わせた概念を再現することが可能である。ただし、壁の前で50回リハーサルするのではなく – ステージではなく、自分自身の生活を改善しなければ、この自信は湧いてこないだろう。

改善は気持ちいい

確実に改善したと私は感じているものの、優秀な講演者だと宣言しているわけではない。この記事は、私が10段階の1から3、あるいは、それ以上に改善していることを宣言するものである。いずれにせよ、改善していることが分かると良い気分になる。過去の私と同じように、人前で話すのが苦手な人達にも同じ気分を味わってもらいたい。

ウィル・クリッチロー氏やランド・フィッシュキン氏のような達人の域に達することが出来るとは思わないが、このインターネットマーケティングと呼ばれる分野を他の人達に教えるために精進していくことだけは間違いない。

興味があるなら、ブルーグラスXで利用した「リンク構築戦略 – 2013年版」のスライドが公開されているので、参考にしてもらいたい。ちなみに、2013年2月22日にポートランドで開催されるSearchFestで、EコマースのSEOに関するプレゼンを私は行う予定である。Inbound.orgでもこの件を取り上げている。


この記事は、Ross Hudgensに掲載された「How I Improved My Public Speaking」を翻訳した内容です。

プレゼン初心者が経験と試行錯誤を通してプレゼンの達人になっていく過程が書かれていて、読み物としても面白かったですし、参考になる点も多かった記事だったと思います、「プレゼンを「優れたコンテンツを作る」でまとめるのだけは止めてもらいたい。」には苦笑してしまいましたっ。後、確かにプレゼンやスピーチに自信を持てるようになると、仕事につながるのはもちろん、様々な心理的・社会的影響が関連してくるのだとは思いますが、何故か自分自身にも自信を持てるようになり、日々の活動がよりアクティブになっていく気もします。筆者のように彼女までできるかはわかりませんが?! — SEO Japan [G+]

投稿者:

SEO Japan

002年開設、アイオイクスによる日本初のSEOポータル。SEOに関する最新情報記事を多数配信。SEOサービスはもちろん、高機能LPOツール&コンサルティング、次世代SEOに欠かせないインフォグラフィックを活用したコンテンツマーケティング等も提供。 SEOブログながら、ウェブマーケ全般。アドテク、ソーシャル、スタートアップ、インフォグラフィック等。