出会い系サイトは中国の結婚相手探しをどのように変えているか?

ネットが普及して政府がメディア規制に追われている中国ですが(私も上海にたまに行きますがTwitter/Facebookが使えないのが毎度困ります)、ネットで結婚相手を探す人が大量に増えている”ネットで結婚”革命もまた起こっているようです。日本でも出会いなり結婚相手探しに活用されてきたインターネットですが、今回は中国の「出会いサイト」の現状を探った記事をThe Next Webから。 — SEO Japan

世界で最も人口の多い国の10億人以上の住民は、それだけの人に囲まれているのだから人と出会うことにそれほど苦労しないだろうと思いがちだが、それはいささか還元的でもある。中国は、かつてないほどの数の住民が都市に移り住む激動の時代にあり、古くからのコミュニティ構築の方法は、高層ビルマンションや都市生活にはとても当てはまらない。

様々な理由が混ざり合って、中国の独身者にユニークな状況を生み出したのだ。現在、デートをする人たちは、一人っ子政策と経済改革、一部の人に関しては新たに芽生えた繁栄に影響を受けた世代だ。それと同時に、都市への人口移動は、中国の巨大都市で何百万もの若い人々をよそよそしく扱ってきた。なおかつ、彼らは素早い技術発展の中に生きている。これらの人達は、インターネット、インスタントメッセージ、携帯電話の世代の子どもなのだ。

最高のテクノロジーが問題を解決する。そして、たくさんの中国インターネット企業が、中国の男性と女性を結びつける手助けをするという高まる問題を解決することに着手し始めた。大家族全員が結婚の仲介に関与することが多いため、若い人達は伴侶を見つけるという大きなプレッシャーに直面する。リサーチャーのLeta Hong Fincherは、女性、特に20代半ばを過ぎた大学院の学位のある人が、それにまともに直面すると考えている。

“私は個人的に、自分がインタビューした女性が生活のあらゆる領域から結婚に対する激しいプレッシャーを受けているのを目にする。男性にもプレッシャーは存在するが、男性には女性ほどのプレッシャーは見られない。”と、彼女は言った。

実際に同じような動きが、政府の公式チャンネルからも生じている。最近Fincherは、ある年齢以上の独身女性を表す“売れ残りの女”(剩女, shengnu)というこの国の正式呼称に焦点を合わせて、The New York Timesの論説の中で言及した。政府の立場は、27歳だが、その他の意見は一般的に25歳から30歳に及ぶ。彼女の社説は、中国のPhoenix TVチャンネルで話のタネになったために、実際に中国で反響を呼んだ。

Fincherによると、中国女性連盟は、“学歴が高く、ハイクオリティな女性”として分類されるいわゆる“売れ残りの女”のためのお見合いイベントを企画してきた。政府が学歴のある独身女性に圧力をかけているのは、家族をこの国の安定と等しいと見なすからだ、と彼女は推測する。

“これは2007年から実際に政府が“shengnu”という言葉を押しつけてきた理由の1つであり、“協和的な社会”を宣伝する1つの手段である、というのが私の主張だ。中国では、あなたは何にもまして社会的に安定しなければならないし、協和的な社会の基本は協和的な家族であると、最高幹部によって宣伝されている。家族と結婚に関する公式発言を見ると、彼らはよく協和的な家族と言っている。あなたはどうやって協和的な家族を手にするのだろうか?そう、結婚しなければならないのだ。“

ああ、それが難しいところなのだ。

もしあなたが運命の人だったなら

中国で最近大ヒットしているのが、Jiangsuテレビ局によるFei Cheng Wu Raoのデート番組だ。文字通り“真剣じゃないなら、邪魔しないで”と訳され、“If You Are the One(もしあなたが運命の人だったなら)”という英語名で通っているこの番組は、イギリスのTake Me Outと似ている。この番組について詳しく知りたいのなら、Kristin GrahamがMinyanvilleでこのオーディションのプロセスについて非常に貴重な英語での解釈を提示している。彼女が実際の番組に出たようには見えないが…。

TVは、優れたエンターテイメント―特に他の人が苦境に立ってもじもじするのを見ること―を生み出すが、実際に番組に出ることができる人は一握りであるため、中国国民は自分の運命を変えるために、それに相当するもの、つまりはインターネットに目を向けた。

良い運命

Fincherはオンラインデーティングに直接注目していたわけではなかったが、この件は彼女の調査中に定期的に持ち上がっていた:

“私がインタビューをした女性のかなり多くが、‘売れ残りの女’になることを恐れて、結婚を切望して、[オンラインデーティング]を指摘した”、と彼女は言った。

良い運命という意味を持つJiayuanは、中国でオンラインデーティングサイトのトップに位置付けられている。興味深いことに、その創設者であり共同CEOのGong Haiyanは、初期の中国のデーティングサイトに偽のプロフィールを書いたというネガティブな経験をし、修士号の勉強しながら2003年にJiayuanをスタートした。少なくとも彼女にとって、その製品は役立った―Gongは、Jiayuanで夫と出会ったのだ。Gongについて詳しいことは、Evan OsnosがThe New Yorkerで彼女の紹介をしているので読むと面白い。

去年の相次ぐ中国のテック企業のIPOの一部として、JiayuanはNew York Stock Exchange(DATE)にリストされ、1億ドル近くの資金調達をしたと報告された。去年5月には初期価格10.70ドルで市場に出ており、その株は特に良かったわけではなかった。それは去年夏に上がったり下がったりして、今年始めに3.70ドルで底をついた。それ以降、これを書いている時点では約6ドルまで戻った。

一部の株のいざこざは現在の経済状態のせいである可能性が高いが、その運命は、Jiayuanが関与した注目の刑事事件と訴訟によって改善しなかった。中国中央テレビ局は、去年7月に1人の男性がこのサイト上で会った女性に対して詐欺行為をしたことで懲役2年半を言い渡されたと報道した

しかし、この会社は今も利益を上げている。その第二四半期では、収益9900万RMB(1586万ドル)および営業利益1850万RMB(296万ドル)をもたらした。そして、6月30日時点で6770万人の登録ユーザーを誇る。

見知らぬ人々との出会い

しかし、オンラインデーティングは、過去10年のものだ。次は、近くにいる新しい人と出会うのを手助けするiPhoneとAndroid用の人気のソーシャルネットワーキングアプリ、Momoについて書こう。今は、ソーシャルで、ローカルで、モバイルな世界だ。そしてそれは、Momoの世界が勝つことを意味する。

Momoは、中国語の“見知らぬ人”が由来の名前だ。去年8月のローンチ後、このアプリは1年そこらで1600万人以上のユーザーを集めた。1周年に1000万を達成したということは、たったの2か月でさらに600万人を獲得したということを意味する。

The Next Webは、海外プロジェクトを率いるMomoのVP、Zhang Yingと、このスタートアップの経営責任者であるWang Liと直接話をして、この会社の成功について詳しいことを聞いた。中国の文化的背景がMomoがけん引力を得るのを手助けした、とWangは言った。

彼がより直接的であると見なしているアメリカ人と比べて、“中国人は簡単ではない。彼らはウェブサイトを介してコミュニケーションを取ることや、文章を介してコミュニケーションを取ることを好む”と、彼は言った。

Zhangは、中国の都会に住む人達は近くに住む人のことを知らないことが多いのを理由に、このアプリの必要性を強調した。

“新しいテクノロジーを使って、私たちは自分の隣人を再発見することができる。中国において、隣人のコンセプトは、現在のコミュニティではある意味失われている。このアプリを使って、私たちは新しいコミュニケーションチャンネルを築くことができるのだ”、と彼女は言った。

Momoは、若者の間で簡単な性行為を手助けするという悪評を得たが、Zhangは、このアプリ自体は“人をもてあそぶための機能を提供していない”し、根本的にはとても基本的なコミュニケーションサービスであるということをすぐに指摘した。

それに、このアプリのユーザーの間では真剣なお付き合いも発展している。この会社は、少なくとも30組のカップルがMomoで出会った後に結婚したことを聞いている。それは多くはないように思われるかもしれないが、このアプリはまだ1年と少ししか経っていないため、一般的に見るとそれらはかなり早い関係である。

また、Zhangは、多くのユーザープロフィールには現在の職業や学歴などの詳細情報が含まれているため、Momoを使って求職者を探す求人担当者もいる、と言った。

私は、TencentのWeChatがMomoのライバルなのかどうか尋ねた。このメッセージアプリは見知らぬ人と会うための独自の機能を持っているためだ。しかし、Wangは、この二つは異なるレベルで機能し、Tencentははるかに大きいのだと言った。Jiayuanに関しては、Zhangは、このサイトは真剣な関係により焦点を合わせていて、Momoよりも年齢層の高い人達を対象としている、と言った。

では、Momoのユーザーはどれくらい若いのだろうか?平均年齢はおよそ25歳で、このアプリは学生に人気がある。面白いことに、このサービスの男女比は2対1で、業界平均よりも良いと彼らは言った。このサービスが、Andoroidは男性に傾いているが、iPhoneでログインする女性のパーセンテージがより高いということも特筆するに値する。

一方で、Momoはおよそ70人の従業員を抱えており、そのユーザーと同じように、彼らもかなり若い。労働者の平均年齢は24~25歳であると、二人のエグゼクティブは言った。

今後のことを見ると、この会社は、特定の建物や複合施設内にいる映画ファンのようなグループにユーザーが自ら参加することを可能にする新しいグル―プ特性の採用を促進させることに取り組んでいる。

私は、Momoユーザーが結婚したり真剣な付き合いを始めたらこのサービスを使うのを止めるのかどうか興味があったが、Wangは、ユーザーは時と共に変化するソーシャルニーズとしてこのサービスを採用するだろうと期待している。例えば、家族が近所に自分達と同じ年頃の子どもがいる他の家族を見つけるのにMomoを使うことができるかもしれない。

もちろん、自分のパートナーがこのアプリを使い続ければ、嫉妬する男性や女性がいるのは自然なことだが、Momoのスタッフはそれを個人的な問題と謳い、自分達はソーシャルネットワーキングサービスアプリを作っているだけで、それをどのように使用するのかはユーザーに決めさせているのだと言った。

Momoには海外志向があり、もうすぐ英語版がリリースされる予定だ。最近彼らのオフィスを訪ねた時に見たところでは、それは現在のアプリの必要最低限のものだけを装備したバージョンのように見えるが、Facebookのインテグレーションには興味をそそられた。Facebookは中国ではブロックされており、それは今後もそのままである可能性が高いため、10億人のユーザーネットワークとのインテグレーションは、海外進出をはっきりと意味している。

中国のこのような会社によくあることだが、Momoはまだ収益化に焦点を合わせていない。その代わりに、次第に収益をもたらすという理解と共に継続したユーザー成長に注意を払い続けている。

しばらくの間は継続するのに十分なお金を持っているといいのだが。今年始め、伝えられるところによれば、Eコマース大手のAlibabaが投資家の1人としてサインしたという話と共に、MomoがシリーズBファンディングで4000万ドルを調達したという噂があった。私がそれについて尋ねた時、どちらのエグゼクティブも詳細について認めなかったが、この会社が1億ドルで評価されたことは明かした。

私の初めての体験

私は数日前にMomoに登録し、これを書きながら検証した。私が結婚していることを考えれば、面目を失わずにこのアプリを携帯に持つことができる唯一の方法は、調査の下であるということだ。この記事に取り組むために椅子に座っていた時に、私はこのアプリから初めてのお知らせ音を受け取った。近所にいる自称26歳の女性ユーザーがチャットをしたがっていたのだ。

私たちは少しささいなやり取りをし、その後、私は自分がMomoについて書いているのだと述べ、いくつか質問をしたいと言った。どれ位このアプリを使っているのかと尋ねると、彼女はベータ版の頃からメンバーで、たぶんユーザーの“第一陣”だと答えた。

このアプリを使う理由を尋ねると、彼女は、モバイルアプリ開発業界での自分の仕事が新しいアプリの最新動向を把握させるのだと言った。さらに、このサービスを“ユーザー心理”を研究するために使用するのだと付け加えた。そして、彼女は私にミルクティーをおごると言った。

私は、Momoでの1つの偶然な出会いが平均的なユーザーを示すということには懐疑的だが、それは、人々がこのサービスでチャットを始めることができる気楽さを間違いなく強調している。

アンダーグラウンドなゲイコミュニティ

中国政府はいわゆる“協和的な”家族を強く求めているにもかかわらず、ソーシャルメディアはその機関の祝福を受けないかもしれないカップルに機会を開いてきた。ゲイとレズビアンのコミュニティはこの国では主としてアンダーグラウンドであるが、そのメンバーの多くが繋がりのためにSina Weiboマイクロブロギングサービスを始めているという証拠がある。ゲイやレズビアンコミュニティのメンバーの中には、中国におけるゲイであることに対する根強いタブーが理由で、2つ以上のアカウントを作る人もよくいると、Fincherは言った。

“Weiboは中国のゲイコミュニティに大きく寄与してきた”と、彼女はTNWに教えてくれた。

Sina Weiboは厳しく規制され検閲されているが、個々の投稿は気付かれないように振る舞っていることが多い。この夏にSina Webio上で婚約を発表して話題となった一組のゲイカップルが、今月初めに自分たちの結婚式への公開招待状をこのサービス上に送信したと、Bloombergが報告している。地方自治体からの圧力が、彼らに元々の会場を断念することを余儀なくさせ、最終的にこの二人は人前で式をすることになったのだ。その後、その動画が国内のソーシャルネットワークに出回った。

公式見解では今でもゲイの結婚を禁止しているものの、政府は少なくともこの1つのケースを大目に見る意思を表している。この結婚式は、それを中国での“高まる寛容さ”として説明した国有のChina Radio Internationalからの英語コメントにおいて賛同を引き起こしたのだ。

画像クレジット: STR / AFP / GettyImages; FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images, OR忠少 / Sina Weibo


この記事は、The Next Webに掲載された「One in a billion: How technology is transforming dating in China」を翻訳した内容です。

以前、上海に行った時に、公園で何十人という年配の親御さんたちが息子のお見合い・結婚相手を探してお互いに紹介しあっている姿を見て衝撃を受けた私ですが、時代は大分進歩しているようですね(あの光景は光景でまた味わいがありますが・・・)。出会いサイトというとどことなく怪しい響きも漂う日本ですが(実際、やらせ中心の出会えない出会いサイトも多いようですし)、中国では真面目に結婚相手を探す目的で使う人が大半なのでしょうか。後半でてきたMomoはロケーションを活用した日本でイマイチ流行らない今風なサービスですが、1年で1000万人のユーザーがいるのは流石、規模間では圧倒的な中国。同性愛のコミュニケーションにネットが使われているというのも、かつての日本以上にゲイがタブーな中国だけに納得ですが、ネットをきっかけに同性愛に対する寛容が深まればいいのですけど。

しかし他にもデート番組のリアリティショーが大人気なんて、日本に住んでいるとわからない中国の意外な(?)一面がわかったりして面白い記事でした。最近は、尖閣問題など衝突が激しい日中関係ですが、実際行ってみると全く普通に楽しく過ごせましたし、若者はどこの国の若者も皆同じだなぁ、と思いましたし、大抵の人はちょっと知り合いになると優しくしてくれますし、まぁ、日本の完璧なサービスを期待する人には無理でしょうけど(そんな国は他にないですけど)経済的にも文化的にも関係が改善されることを密かに願う私でした。 — SEO Japan [G+]

投稿者:

SEO Japan

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