新版 リスティング広告 成功の法則【阿部 圭司著】 リスティングとSEOの本質は同じ


Googleアドワーズ & Yahoo!プロモーション広告 対応 新版 リスティング広告 成功の法則


この本を発売日前にAmazonで予約して、購入したのである。

先日3月1日に「Webマーケティング・リレーセミナー #10『Sexyなリスティング広告プレイヤーになるために…』」で阿部 圭司氏の講演を拝見した。
その時の感想を、リスティングとSEOの違いと共通点に書いたのだが、この時に私はリスティングの思考方法に深く心惹かれたのである。

ちょうどタイムリーに阿部氏の本を手に入れて読んだ。

第一印象は、

自分がリスティングについて余りに無知で、誤った認識を持っていた

ということがわかったことである。
そして、一つの考えが頭の中に芽生えて、読み進めるに従ってその考えは確信に変わった。

リスティングとSEOの本質は完全に同じである

これは私としては近年にない大発見だった。
手法こそ違うが、

「検索エンジンを通じてユーザーに対して行動の変化を引き起こさせる」

という目的が一緒である。
ユーザーの視点、思考方法、感情に立脚して戦略を展開し、キーワードを通じて戦術を展開することも一緒だ。

さて、本書P.62から引用してみよう。

検索連動型広告の中でもとりわけ重要な「キーワードの展開方法」に焦点を当ててみたいと思います。 ~中略~ そのため、想定するターゲットがどのようなキーワードを使って検索行動を行うのかをいかに洗い出せるかが、成功への一つの分岐点と言えます。

まさしく、SEOにもそのまま当てはまる。
「検索連動型広告」という言葉を「SEO」に変えても正しい。
キーワードはSEOにおいても最重要な要素である。

なぜならば、キーワードは情報提供する側(Webマスター)と、情報を欲する側(ユーザー)をつなぐ唯一の接点だからだ。
最重要であるにも関わらず、キーワードの発見方法についてSEOの入門書などでも書いてあることはまずない。

SEOはビッグキーワードの上位表示の技術といった一部の側面ばかりが取り上げられている。そのため、最も重要なキーワードをいかに見出すかがおろそかになっていることが多い。

本書では比較的多くの紙面をキーワードの発見方法について書いている。
徹底したユーザー視点から、どのようなニーズを持ったユーザーが、どのようなキーワードで検索するかについて書いている。

連想法によりキーワードを深化させるといった考え方など、数多くの優れたノウハウがある。

有機野菜
健康志向」「糖尿病」「肥満」
食物アレルギー」「妊娠中食事」「お肌の悩み 食事」

太字の部分が連想法により深化させた部分のキーワード。
キーワードを大から小へと発想していくことにより、ユーザー視点のキーワードを見出すことができるという考え方だ。

このような様々な優れた発想方法が多く記述されている。
SEOに携わるのであれば、多くの気づきが得られるはずである。

キーワードから集客するだけではなく、キャッチフレーズを通じてユーザーの心を動かす部分も一緒だ。
SEOにおいてはtitleやdescriptionの書き方がこれに相当する。
順位ばかりがSEOでは重視されるが、同じ順位であってもtitleやdescriptionの良否によってクリック率は数倍違ってくることもある。

検索順位を上げるのは難しいが、titleやdescriptionを改善することは簡単である。
まずはこちらを改善すべきなのだ。しかも、リスティングの広告文のA/Bテストのように短期間で成果を見比べることが可能だ。
A/Bテストの考え方についても詳しく書いてある。

  • 異なる訴求ポイントをアピールする
    ・1ヶ月で噛めるインプラント
    ・10万円ぽっきりのインプラント
  • 「論理的に訴求する」か「クリエイティブに訴求する」か
    ・短期間で噛めるインプラント わずか一ヶ月程度で噛めるインプラントは東京駅の○○歯科だけ
    ・モテる笑顔を作るインプラント 異性の心を揺さぶる素敵な歯並びになる!無痛麻酔で安心の東京駅の歯科医

広告文は切り口を変えることによって、ユーザーに対し全く違った心を動かす効果を生み出す。
多くのSEO人はこのあたりの心を動かすことに対してあまりに無頓着であると思う。

titleやdescriptionに気を使っている人もたまにいるが、CTRを見て反響を調べて作り替えることまでやっている人はほとんどいないだろう。
順位を上げるのは期間がかかるからテストが難しいが、これはテストに期間がかからない。A/Bテストは可能なのだ。
繰り返していくことにより、さらなる正解の高みを追求し続けていくひたむきさ、これが重要だと思ったのだ。

話題は変わるのだが、リスティングではアクセス解析を読み解くことによる改善を高速に続けていく必要性が書かれている。
辻正浩氏は「SEOのスキルセット/あるいはSEO業界へのお誘い」の記事の中で、

どのような職種ならSEOに向いているのかと考えますと、「アクセス解析」以上の職種は無いのではないでしょうか。

と書いている。

SEOではアクセス解析の結果からの改善はあまり重視されていないといってよいのだが、高レベルのSEOのコンサルタントになるためには必須のスキルである。
アクセス解析を読み解いて改善を続けていくプロセスは、リスティングに比べると遅いものだが必要である。

ある程度のページ数を作り、Webサイトを運営していると、

「どのようなキーワードで集客できているか?」
「どのようなキーワードで集客したユーザーはコンバージョンしているか?」
「直帰率の高いページはどこか?」

ということがアクセス解析から読み解けるようになってくる。これらをコンテンツの改善・増強につなげることがSEOで重要なポイントである。
確かに役に立つと考えられるコンテンツを作ることがSEOであるのだが、

「役に立つと自分が考えていることと、実際に求められていることの乖離」

をアクセス解析から洞察することにより、よりニーズの高いコンテンツ、検索露出の多いキーワードでのコンテンツを作ることができる。そして、検索ニーズに合っていないコンテンツについて内容を改善することも可能になる。

PDCAプロセスはSEOにとっても必要なのだ。


今回はこの本を読んだ感想からリスティングとSEOの共通点を述べてみたが、まさしくリスティングとSEOの本質は共通であるということである。
いずれも検索エンジンを介して、その向こう側にいるユーザーに対して、行動の変容をもたらすための行為だからである。

是非、まだ読まれていない方は手に取って一読されたいと思う次第である。