検索マーケティングはセクシーじゃない?

21世紀で最もセクシーな職業といえばデータサイエンティスト(私じゃなくて米国でそういわれているという話です)ですが、しばらく前まで最も旬な職業といえば検索マーケッターだったはず?(そうでもないか)検索広告、SEOが中心だった2000年代に比べソーシャルの普及とDSP、DMP等アドテクの台頭で若干存在感が薄くなった感もある検索マーケティング。米国の最新のカンフェレンスから検索マーケティングの今を探る。 — SEO Japan

私は検索の魅力に関するこの記事を、カリフォルニア州のマウンテンビューにあるコンピュータ歴史博博物館の「緑の間」で書き始めた — この情報があるだけで、私がギークである点は、私のことを知らない方でも、容易に推測することが出来るはずだ。

なぜこの博物館にいたかと言うと、LiveRamp 2014カンファレンスがこの博物館で開催されたためだ。データテクノロジー会社が主催したこの毎年恒例のイベントで、私はざわつく会場を去り、一人で考え事をしたくなった。30年以上この業界で活躍するパトリック・コノリーCMO(現在はWilliams-Sonomaのマーケティングを担当)と和気あいあいと会話を交わした後、あるアイデアが頭から離れなくなった。それは、「検索は今もセクシーなのか?」と言う疑問だ。

LiveRampのマーケティングカンファレンスは、デジタルマーケティングの最新のトレンドと未来をテーマに掲げていた。「オーディエンスの精度」等のトピックに関する素晴らしい話し合いが行われ、また、DSP、DMP、SSP、そして、RTB等の頭字語が飛び交っていた。しかし、その中にSEOは含まれていなかったのである。

LiveRampカンファレンスの参加者は重役が多く、私の知る限り、1000名以上が参加していた。サンプルとしては大きな規模ではないものの、重役がSEOに対する興味を失いつつあることを示唆していると言えるだろう。

もともとSEOはセクシーではなかった

しかし、2012年に行われたAltimeter Groupの調査によると、魅力に関して、もともとSEOは下位に沈んでいたようだ。この調査は、56名のインタビューで構成されていた — 25名のフォーチュン 500に名を連ねる世界的な企業に勤める人物、そして、31名のマーケティングエージェンシーの従業員、コンサルタント、そして、ソートリーダー(革新的なアイデアを示すことが出来るエキスパート)がこの調査に参加した。SEOの人気がいかに低いか確認してもらいたい。

Content types

この2012年の調査では、ディスプレイとリターゲティングは姿を見せず、また、ソーシャルやモバイルも上位に位置づけられていなかった点は、注目に値する。

現在に話を戻すと、マーケッター達は、この2つのマーケティングの手段に大いに注目しているように見える。 また、カンファレンスのセッションでも証明されたように、オーディエンスの分割のテクノロジーとリマーケティングにおける改善は、ディスプレイとリマーケティングが2014年に重要度を増すことを物語っている。

当然だが、これはとても理に叶っている。マーケティングも良いが、ターゲットを絞ったマーケティングはもっと良い。ターゲットのオーディエンスを理解する取り組みは、昔からマーケティングの基本中の基本であり、現在、スタイルと方法を大幅に変えて、再びその姿を現している。

現代のマーケティングのプロのデータには、オンラインおよびオフラインで向かう場所を含む、一般のウェブサーファーの行動に関するあらゆる情報が反映されている。実に頼りになる 情報だと言えるだろう。

効果的な、統合的なSEO/SEMのプロセスの仕組みを見ていこう:

私には2014年にSEOを優先する方針は、人気がなく、その他のターゲットを絞った有料メディアが注目を集めているように思えるが、チャンネル間マーケティングに関する大々的で、セクシーな議論から、SEOを除外する行為は、重役陣にとって適切とは言い難い。

例えば、有料検索、とりわけパフォーマンスマーケティングは、従来、広告費用対効果(ROAS)を重要視する傾向があるため、アウェアネス(認識)関連のキーワードはコストが高くつく。しかし、ここでSEOが心強い味方となる。さらに、SEO戦略では、コストの高いCPCの用語に対する自然なポジションを上げる以上のメリットをもたらすことがある。

見過ごされがちなSEOと他のマーケティングチャンネルの統合戦略

  • 需要またはコンバージョンの観点で、インパクトを与えるハイコストのCPCのキーワードをリストアップする。
  • このリストをキャンペーンに分類して、各種のオーディエンスのパーソナリティに訴えかける戦略に応じて、それぞれのオーディエンスのタイプに狙いを定める(コホート)。
  • このデータを、SEOチームに渡し、それぞれのプロフィール/パーソナリティにおいて、Googleで上位にランク付けされているウェブサイトを特定する。
  • それぞれのハイコストのキーワードを検索する消費者に接触している(SEOおよび有料の結果で)上位のウェブサイトを特定する。このSEOのランキングの結果を使って、ディスプレイの内容に関する戦略を改善する。
  • ディスプレイ戦略の一環として、マーケッターは、有料ソーシャルキャンペールでのターゲティングを改善するために、追跡を展開することも出来る。
  • eメールの情報を入手すると、eメールキャンペーンの関連性を改善することも可能になる。

今週行われたSMXで、この戦略を得意とするティム・メイヤー氏と話をする機会を得た。現在、同氏はTrueffect.comでマーケティングの取り組みを統括している。SEOとその他のマーケティングの手段 — 特にディスプレイ — を組み合わせる方針について、メイヤー氏の意見を求めた。以下にメイヤー氏が指摘してくれたポイントを幾つか加えていく:

ディスプレイと広告を提供する場所で検索のクリックを加えると多くのアドバンテージが生まれる:

1. アトリビューションと最後にクリックした場所を正確に解明することが出来る。つまり、最後のクリックが検索のクリックであった際にCPAを広告ネットワークに支払うことも、そして、PPCをAdWordsに支払うこともなくなる。広告スポンサーは、様々な領域で検索とディスプレイを実施し、コンバージョンに2度料金を支払ってしまうことがよくある。!

2. 第一者のクッキーを追跡メカニズムとして活用する。また、広告アクティビティの長い文字列を作り、コンバージョンのイベントの前に起きた多くの接触のインパクトをより正確に理解することが可能になる。すると、ディスプレイ等の[セールスファンネル]の上部のアクティビティのインパクトを証明する上で役に立つ。

3. AdWordsの広告グループのIDをタグ内で継承する取り組みも有効である。なぜなら、カスタマージャーニー/顧客のストーリーをデータを使って、再現する上で役に立つためだ。

ご覧のように、SEOのデータは、有料ソーシャルキャンペーン、ディスプレイキャンペーン、そして、eメールキャンペーンでターゲットを絞る方法を改善することで、有料検索のROIを高める取り組みに活用することが出来る。 統合型パフォーマンスマーケティングに対する全体的なアプローチではあるが、私の知る限り、誰も取り上げていない。

私には理由が分からない。これは、SEOをとてもセクシーにする取り組みであり、何とかして、SEOに魅力を取り戻そうと私は試みている。

チャートの画像: Altimeter Groupから許可を得て使わせてもらった。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Is Search Marketing No Longer Sexy?」を翻訳した内容です。

タイトルを見て多くの人が思ったように、そもそも検索マーケティングはセクシーでもなんでもなく元々ゲリラ的であり労働集約的な作業も多い地味なマーケティング手法だったわけですが、、、記事にもあるように、そのせいか効果の割にそこまでマーケッターや手法が脚光を浴びることもなく、どちらかというと毛嫌いか無視され(どこまで自虐)、結果、他のマーケティング手法とシームレスな連携がされていない状態で今まで来てしまっている点はありますよね。実際にウェブで成功しているサービスの多くは検索マーケティングを最大限に有効活用し、他のマーケティングやサイトとも連動し相乗効果を上げているわけですが。ソーシャルやアドテクとの連携で検索マーケティングの効果を激増させることはまだまだ可能ですし、検索マーケティングが本当にセクシーになる時代は実はこれからなのかもしれません。 — SEO Japan [G+]

投稿者:

SEO Japan

002年開設、アイオイクスによる日本初のSEOポータル。SEOに関する最新情報記事を多数配信。SEOサービスはもちろん、高機能LPOツール&コンサルティング、次世代SEOに欠かせないインフォグラフィックを活用したコンテンツマーケティング等も提供。 SEOブログながら、ウェブマーケ全般。アドテク、ソーシャル、スタートアップ、インフォグラフィック等。