SEOコンサルタントを苦しめる10のシチュエーション

Googleの外部リンク対策の高度化でリンク便りのSEOが以前ほど効力を失っている今、サイトの内部を改めて見直そうとしているウェブサイト担当者も多いのではないでしょうか。今回はSEOをサイトに導入する際に難題となりうる要素をSEOコンサルタントがサイトにSEOを施す時に見立てて解説した実戦的な記事をサーチエンジンランドから。 — SEO Japan

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SEOコンサルティングに10年以上携わった経験を基に、私はこの業界およびクライアントに関する「難題を10点」リストアップした。

皆さんも同じような経験をしたことがあるはずだ。まずは私からSEOコンサルタントを困らせる問題を10点挙げさせてもらう。

1. 応急処置

私達のクライアント – 通常は敏腕の経営者 – は、SEOに関して、なぜか応急処置を求める傾向がある。SEOの複雑さ、そして、適切な取り組みから得られるメリットを理解しているものの、手っ取り早いメリットを望むクライアントは多い。

私のクライアントは、四半期または年間の成果で、評価される。事実を基にした説得力のあるピッチを行い、長期的なアプローチを採用して、24-36ヶ月間のスケジュールで取り組みを行うことで、収益を2倍に増やすと力説しても、納得してもらえないことがある。長期的な戦略は気に入ってもらえない。早く結果を出したいのだ。クライアントは1年間のスケジュールを好む。

役員会議を前にして、心配するクライアントからeメールが送られてくることがある。自然のトラフィックの目標を12ヶ月の数値に分類し、きれいなグラフを描き、その後、(困ったことに)初期の会話で同意したトラフィックの量に全く届いていないことが判明したのだ。

企業は、自然の検索は重要であり、焦ってはいけない点を理解する必要がある。応急処置は、手っ取り早くメリットを得られるかもしれないが、維持することも、長続きすることも期待するべきではない。

2. 「でも、競合者は___をしている。」

答えに特に困るのは、「競合者は___をしている。なぜ、私の会社は____をしたらいけない?」と言う質問だ。

多くのサイトは、グーグルのガイドラインを無視し、検索アルゴリズムの抜け穴をついている。怪しいリンク構築、完全一致ドメイン、重複するコンテンツでのランキング等の行為に手を染めている。このような手法によって、短期間において、競合者をリードすることが出来る可能性はある。

グーグルは、数々に明るい未来を約束(実現することはほとんどない)して、ウェブマスターに対して、このような取り組みを思い留まらせようと脅している。しかし、SEOコンサルタントとしては、言葉だけでは満足することが出来ない。

私が暮らすノルウェーの人口は、500万人である。割と少ない部類に入るだろう。しかし、この国で特に規模が大きく、トラフィックの多いサイトのSEOを担当する際、検索ランキングを操作しようとする不正行為および悪質な行為に対して、グーグルが効果的な対策を用意していないために、私はよく恥ずかしい思いをする。個人的には、グーグルは、ノルウェーでは質の低いコンテンツを取り除く取り組みに失敗していると思う。質の低いサイトを報告しても、対処してもらえない。

クライアントに申し訳なく思うときもある。競合者は数年に渡って、不正行為を働いているにも関わらず、誰も止めず、ペナルティも科されていない。不正行為を介して莫大な利益を得ている。一方、私のクライアントは正当なホワイトハットのSEOを実施し、ベストプラクティスを採用し、ガイドラインに配慮しているものの、質の低いサイトよりも低いランクに甘んじている。SEOコンサルタントにとっては、フラストレーションの溜まる状況だ。皆さんも同じ経験、または、似たような経験を味わったことがあるだろうか?

3. 「時間給」の問題

SEOコンサルティングプロジェクトの入札への参加を求められることがある。プレゼンを行い、提案書を提出する – すると数日後、または、1週間後、顧客候補から電話が入り、私の時間給が高過ぎると指摘される。その他の提案には満足しているものの、競合者は、低い時間給を提示していると述べ、値下げしようと試みるのだ。

確かに私の会社の時間給は高いかもしれない。しかし、それは、競合者が、SEOに対して異なるアプローチおよび取り組み方を採用しているためだ。それよりも、私が、クライアントの収益を増やす額がいかに多いかに注目してもらいたいものだ。収益の目標やターゲットをいかに早く達成するか、そして、事業を成長する上でいかに効果的に支援するかを見てほしい。

優秀なSEOコンサルタントは、単なる技術者ではない。優れたSEOコンサルタントは、分析に秀でている。貴重なデータにアクセスすることが可能なコンサルタントは、事業の発展に貢献し、会社を新たな手法で成長させる案内役を務める。このような価値を「時間給」で評価するのは、無意味だが、このケースには頻繁に遭遇する。皆さんはどのように対処しているだろうか?

4. SEOは劣悪な製品を補うことは出来ない

SEOは何もかも直すことが出来るわけではない。この業界特有の伝説とは相容れないかもしれないが、事実である。製品、サービス、または、カスタマーサービスが三流なら、または、“良質”ではないなら、SEO業者にトラフィックの増加を要請する前に、まずは質の問題をどうにかしてもらいたい

SEOは事業の成果を拡大するこが出来る。顧客に価値を与えるような優れた製品を持っているなら、SEOは、接触範囲を広げつつ、利益を増やす上で役に立つ。

5. 「いいえ」ともっと頻繁に言えるように訓練する

私もこのアドバイスに従う必要がある。顧客候補にミーティングを求められる際、嫌な予感がする時がある。2年の間に、3度目となるエージェンシーの切り換えを考えているのかもしれない。現在のSEOベンダーに不満を持っているのかもしれない、あるいは、エージェンシーと対立し、コンサルタントを変えたがっているのかもしれない。

このタイプのクライアントは、せっかちであり、落ち着きがなく、一緒に仕事をするのが大変だと感じることがよくある。些細なことが、行動やSEOコンサルタントに対する態度に影響を与えてしまう。眠れない夜、四半期の芳しくない成果、上司による手荒な評価等に遭遇すると、衝動的に適当な結論に飛びつき、自分自身の判断に後悔し、周りを悪者に仕立て上げる。

コンサルタントとして、遭遇したくないケースである。このようなクライアントの態度は、モチベーションを下げ、ムードを台無しにする要因になる。このような関係はすぐに解消しなければならない。このような状態を迎えたら、堂々と「No」と言おう。既存のクライアントであっても、「終わり」を宣言するべきだ。

クライアントを失うかもしれないが、それでも、正しい判断であることに変わりはない。「エネルギーを吸い取られる」クライアントを維持すると、その他のコンサルティングビジネスに壊滅的な結果をもたらす可能性があるためだ。

6. アクセスカウンターに固執する

「アクセスカウンター」を好きな人達は大勢いる。アクセスカウンターと言う用語は、ここでは正確ではないかもしれない。しかし、多くのクライアントは、いまだにページビュー、検索ランキング、その他の質の低いKPI(主要業績評価指数)に必要以上に重点を置いている。

この指数は事業のパフォーマンスを正確に反映しているわけではない。適切なKPI(日本語)に焦点を絞るべきである。行動に移すことが可能な指標を採用するべきだ。なぜなら、この行動こそが、直接、収益に影響を与えるからだ。SEO戦略を通して、改善するべき指数と言えるだろう。

多くのクライアントにとっては、今でもランキングが最も重要である。しかし、SERPでのサイトの配置は、事業を成功に導く階段の一つの段に過ぎない点をSEOは理解している。コンバージョン率を上げ、セールスを高め、その結果、収益を増やすことが出来なければ、1位を獲得したとしても無意味である。

7. SEOは飾りに過ぎない

SEOには、何もかもを変え、魔法のように最高の結果をもたらす力があると言う天真爛漫な考えを持っている人達がいる。ウェブサイトの開発の準備が整って初めてSEOに相談するタイプの人達だ。

残念ながら、この、計画も構成も中途半端なサイトは、十分な成果をもたらすことはない。このタイプのサイトの修正には、高額のコストが必要とされる。そのため、SEOの要素がその他の要素と調和し、シンクロして、素晴らしい成果を得られるように、計画段階からSEOコンサルタントに参加させるべきである。

8. ITコンサルタントは何でも直すことが出来る

私の家族は、いまだに、私が「ITコンサルタント」だからと言って、プリンター、パソコン、携帯電話、スキャナー、あるいは、コンピュータウイルスの問題を私が解決することが出来ると信じている。テレビ、ケーブルの接続、さらには、衛星受信アンテナの修理まで頼まれることがある。

仕事でも同じ現象が起きている。クライアントは、ウェブデザイナー、ウェブディベロッパー、有料検索のエキスパート、そして、SEOコンサルタントを区別していない。「肩書きにITがつくなら、電気が流れるものは何でも直すことが出来る」と考えているのだろう。現実はそこまで単純ではない。

9. 「コンテンツは簡単だ」

申し訳ないが、簡単ではない。余白をテキストで埋め、キーワードを詰め込むだけなら簡単だが…

自分でコンテンツを作ることが出来ると主張するクライアントが後を絶たない。「優秀なコピーライターやライターを抱えている」とクライアントが言っても、もはや私は喜べない。当該のライターがSEOを深く理解しているケースは限りなくゼロに近い。

このような「内部のエキスパート」に頼ると、必ず期待を裏切られ、最終的に、必要とされる作業を教えなければならなくなる。これはSEOの予算に盛り込まれ、その他のSEOのタスクに用いられる予算が削られてしまう。皆さんは、同じような事態に直面したことはあるだろうか?

10. 有料リンクを得る

SEOに関する会話でリンク構築が取り上げられると、リンクの購入に関する問題が浮上する。グーグルのペンギンアップデートの影響が至る所に見られる中、「ペイパーリンク」の取引をオファーする人達から、敢えてリンクを買おうとする意図が私には分からない。

この行為は危険であり、私は必ずこのような要請は却下している。しかし、一部の企業は、悪質、または、ブラックハットなリンク構築の手法を続け、ペナルティを受けたら今度はSEOを非難する。

以上。今回は、SEOコンサルタントとして、不満を感じる点を幾つか挙げた。今回紹介したケースとは異なる状況に直面した人もいるはずだ。その場合は、コメント欄で是非教えてもらいたい。このような厄介な問題を議論し、解決策を見出していこうではないか。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「10 Things Most SEO Consultants Hate」を翻訳した内容です。

見立てたというか、本当にSEOコンサルタントの嘆きに近い内容の記事でした。とはいえ、SEOをアウトソースする会社さんもインハウスで努力する会社さんも記事に書かれた各項目に学べる要素は多少なりともあったのではと思います。現役のSEOコンサルタントやSEO会社の方には面白く読めた記事でしたね。苦労しているのは、あなただけじゃない! — SEO Japan [G+]

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SEO Japan

002年開設、アイオイクスによる日本初のSEOポータル。SEOに関する最新情報記事を多数配信。SEOサービスはもちろん、高機能LPOツール&コンサルティング、次世代SEOに欠かせないインフォグラフィックを活用したコンテンツマーケティング等も提供。 SEOブログながら、ウェブマーケ全般。アドテク、ソーシャル、スタートアップ、インフォグラフィック等。