機械学習とディープラーニング専用チップの製作を目指すCerebras Systemsが$25Mを調達

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Benchmarkが年内にまた大きな投資をしようとしている。今回は、Cerebras Systemsと呼ばれるハードウェアスタートアップだ。情報筋によると、そのラウンドには他の投資家たちも参加し、金額はほぼ2500万ドル、最終的には3000万ドルもあり、ということだ。

Cerebras Systemsに関する情報は、インターネット上も含めてきわめて乏しい。情報筋の説では、同社が作っているのはディープラーニングに特化した次世代型専用チップだそうだ(GPUか?)。LinkedInにはこんな記述がある(Google検索で得られる唯一の情報がこれ):

“Cerebrasは第一級のベンチャーキャピタル〔複数形〕と指導的技術者〔複数形〕が支えるステルス・モードのスタートアップである。われわれはこれまで複数回の起業に成功してきた起業家集団であり、他が挑戦を尻込みするような問題をもっぱら解決してきた。われわれは、完全性と情熱と現実的な問題解決能力と、ユーモアのセンスに価値を置く。われわれはつねに、常軌を逸した人びとのチームへの参加を求めている”。”

LinkedInによると、SeaMicroの協同ファウンダーでCEOのAndrew Feldman(同社の買収後はAMDに在籍)が、Cerebras SystemsのCEO、となっている。また同社のCTO Gary Lauterbachも、SeaMicroの協同ファウンダーでのちにAMDに移籍、となっている。

これからはAIや機械学習を利用するアプリケーションがますます増えてくるから、このような専用チップの需要およびその増加は、確かにありえると思われる。FacebookやGoogleのような企業は、これからもますます多くのデータを集め、それらに対して大規模に機械学習を適用していくだろうから、彼らもまた、新しい進化したハードウェアと、モアベターなアルゴリズムを必要とするだろう。

Amazonは最近、デベロッパーが従来のCPUではなくGPUのパワーをを必要に応じて利用できるための、ツールをリリースした。これなども、GPU並の性能を有する専用プロセッサーへの需要があることの、明白な証左だろう。したがって、コンピューティングのパワーと効率を大きくアップできる専用チップをプロダクトとして掲げる新興スタートアップが資金を吸引するのも、当然だ。

今、同社に関する情報をなんとかして集めようとしているので、何か得られ次第この記事をアップデートしよう。Benchmarkはノーコメントを貫いているが、LinkedInからリーチしたFeldmanは、同社はまだステルス・モードで、まだ、、メディアに何かを発表できるタイミングではない、と述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

金融機関を味方にメッセージアプリのSymphonyが評価額10億ドル超で新たに資金を調達中

String quartet Cello

ウォールストリートにある14の金融機関を投資家・ユーザーに持つ、暗号化メッセージサービスのSymphonyが、新たなラウンドで2億ドルを調達中であることがわかった。調達前の評価額は10億ドルを超えると見られている。既存の投資家に加えて、新たにシンガポール政府が(Temasek、GICを含む)投資部門を通してラウンドに参加する予定だ。Symphonyは調達資金を使って、現存する金融機関向けサービスの内容を拡充すると共に、ヘルスケアなど他分野の顧客獲得も狙っている。

同社は、最近では2015年3月に1億ドルを調達しており、Symphony社内の情報筋によれば、当時の評価額は7億ドルだった。既存の投資家には、Google、Lakestar、Natixis、Societe Generale、UBS、Merus Capitalのほかにも、Bank of America、BlackRock,、Citibank、Deutsche Bank、Goldman Sachs、HSBC、JP Morganを含む14の大手金融機関からなるコンソーシアムが挙げられる。また、これまでにSymphonyは合計1億6600万ドルを調達してきた。

1億2500万ドルから2億ドルの規模に達すると情報筋が伝える今回のラウンドは、既に完全にクローズしているかどうかは分かっていないが、投資ラウンド自体はSymphonyが追加資金を必要として主導したわけではなく、むしろ投資家から同社に声をかけていたようだ。

さらに、ラウンドがはじまってから既にある程度の期間が経っているようだ。今年の10月には、General Atlanticやシンガポール政府などを新たな投資家候補とし、Symphonyが最大1億ドルを調達中だとThe Wall Street Journalが報じており、私たちが入手した情報と内容が一致している。

Symphony自体は、今回のラウンドについて直接コメントを発表しようとしていない(今回も投資家が同社にアプローチしてラウンドが開催されたと噂されている)。

Symphonyの広報担当者は「私たちは追加資金を必要とはしていません。既に現在のオペレーションや将来の成長戦略に必要な資金は確保しています」と話す。それとは別に、同社のCEO兼ファウンダーのDavid Gurleは広報担当者を通じて、ラウンドの存在と評価額が10億ドル以上であったことを認めている。

Symphonyは2014年に、同社の投資家である複数の銀行から成るコンソーシアムが、Perzoと呼ばれるメッセージングサービス企業を買収して「Bloombergキラー」を作ろうとする中で誕生した。ここでのBloombergとは、Bloombergが金融期間向けに製造・ライセンシングしている、メッセージ機能、株価・ニュース機能を備えたオールインワン端末を指している。

各銀行は、誰も必要としていない、もしくは利用していないデータで溢れた高価なBloomberg端末に不満を感じていた。さらに、顧客や関係者とはWhatsAppなど他社のサービスを使ってメッセージのやりとりを行う利用者も増えていた。

Symphonyは、不要な機能を削ぎ落とした、両者の間を埋めるようなプロダクトなのだ。

メッセージ機能を核としつつ、今年に入ってからは新たな主要機能もいくつか追加された。今ではSymphonyを使って、音声通話やビデオ通話ができるほか、Slackなどのアプリのように、ユーザーがニーズに応じてサードパーティーアプリを追加し、機能を拡大できるような仕組みも導入されている。現状のSymphony用マーケットプレースのサイズは小さく、5つのアプリしか登録されていない。その内訳は、Dow Jones、ビジネス向けキュレーションアプリのSelerity、Chart IQ、S&P market intelligence、そしてSelerityに加えてさらなる情報源となるFintech Studiosだ。

極めて携帯性が高い(スマートホン上でも利用できる)上、Symphonyの利用料はBloombergターミナルとくらべてかなり安い。Bloombergターミナルは、端末1台で年間約2万5000ドルほど(バルクで導入するともう少し価格は下がる)のコストがかかるところ、Symphonyはフリーミアムモデルを採用しており、有料プランも1ユーザーあたり月額15ドルで利用できる。

最後に大切な事項として、このプロダクトの鍵は、会社を超えて外部とコミュニケーションをとる必要がある人をターゲットとしつつも、セキュリティや規制ポリシーにはしっかりと準拠しているということだ。「銀行とのコラボレーションの難しさを知っている人であれば、この点だけでSymphonyが偉業を成し遂げたと理解できるでしょう」とある人は語る。

MicrosoftやFacebookといった大手テック企業は、さまざまな分野でSlackのような企業と、職場におけるコミュニケーション・コラボレーションプラットフォームの座を奪い合っている一方、Symphonyはターゲットを絞ることで、彼らとは大きく違ったアプローチをとっている。

これまでのところ、Symphonyは金融機関というひとつの業界にターゲットを絞ってきたが、私たちが聞いたところによれば、長期的には他の業界へも手を伸ばそうとしているようだ。

Symphonyは金融機関のように特定のニーズがある業界を狙っているが、どんな生産性向上ソリューションも、同僚や仕事相手と効率的に話ができるようなチャットサービスを必要としている。同社の次のターゲットはヘルスケア業界だという話を聞いているが、政府から教育、科学まで、Symphonyはさまざまな業界で活躍する可能性を持っている。

追加レポート:Ron Miller

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

これからの企業を支える新しいコラボレーションプラットフォーム

Overhead shot of a small group of people, wearing monochromatic colors, pulling at ropes from opposing directions

【編集部注】著者のPeter Yaredは、Saphoの共同創業者兼CTOである。

私たちはエンタープライズソフトウェアの新しいフェーズに近づきつつある。そこでは、Software-as-a-Serviceによってあらゆるニッチが満たされ、クラウド企業が大企業に統合されていく。マーケットは、バンドリング(集中)からアンバンドリング(分散)に移行する傾向にあり、そこでソフトウェアはイベントをバンドリングする(束ねる)方向へ向かっている。クラウド、オープンAPI、次世代メッセンジャー、そして機械学習が組み合わされて、エンドユーザーインターフェイスからエンタープライズソフトウェアまでを巻き込み、統一されたエクスペリエンスを生み出している。

Portal Softwareのようなポータルサーバーから、Jive Softwareのような “Enterprise 2.0″コラボレーションソフトウェア、そしてYammerのような通信プラットフォームに至るまで、さまざまな試みが行われている。しかし、これらはいずれも問題の一部を解決するだけで、さまざまなバックエンドを統合するのは難しく、企業の外にいる人々と連携することも難しく、ユーザーを肩代わりしてすべてのデータを調べてくれる機械学習も存在していない。

さて過去数週間のうちに、Microsoft、IBM、Facebookが、企業向けの次世代コラボレーション・インターフェースを発表した。Slackが2、3年前にYammerとChatterの再始動に火を着け、それらはいまや大きくなって復活し咆哮を始めている。

これらの新しいメッセンジャーの主な変更点は、メッセージを機械学習に「プッシュ」して、エンドユーザーが関連するデータのみを取得できるようにするサードパーティのソフトウェアを統合できる能力である。こうしたことの全てが、レガシーシステムを含むほとんどのシステムに簡単にアクセスできるマイクロサービスの急速な普及に基づいている。一部のプラットフォームでは、従業員が特定のタスクを迅速に実行できるようにするシンプルで単一目的のマイクロアプリを完全統合することも可能だ。

最も便利な機能は、エンドユーザーがマイクロフローを駆動できるようにすることだ。例えばそれを用いれば購入申請を承認するなどの簡単な処理を実行できる。以前TechCrunchに書いたように、マイクロフロー、マイクロアプリケーション、マイクロサービスの独自の組み合わせによって、私が「マイクロウェーブ」アーキテクチャ と呼ぶ新しいアーキテクチャが可能になっている、

私たちはSaphoで、これらの初期のプラットフォームのほとんどを使って作業できる機会に恵まれた;以下に私たちの印象を述べよう。

Microsoft Teams

強み:Office365に同梱。

長所:この市場への最近のMicrosoftの取り組みは、非常に包括的で、よく考え抜かれた製品である。サードパーティの統合はクラス最高で、サードパーティシステムが提供するマイクロアプリをタブを使って完全にサポートすることが可能である。 Skypeの音声と映像機能の統合は、シームレスで完璧に機能し、チャネルの会話フローに統合することさえ可能だ。チャネルあたりのアクティブユーザー数はSlackの5倍になる。これは本当に新しいMicrosoftだ:デスクトップ版のMicrosoft TeamsはElectronとChromiumを使用し、発表時点でWindows、MacOS、iOS、Android、そしてもちろんWindows Phone上での利用が可能である。

短所:インターフェイスは少々煩雑だ;メッセンジャーフレームワークに多くを詰め込んでいる。Microsoftはいつものようにしつこく改良を繰り返し、インターフェイスをクリーンアップするだろう。

IBM Watson Workspace

強み:要約とアクション項目の抽出を伴うメッセージの認知的なグループ分け。

長所:Watson Workspaceは、新しいメッセンジャーたちの中で最もすっきりとしたインターフェースを提供する。この製品は十分に計画され、設計されてて、IBMのテクノロジーから期待されるように、柔軟に拡張することができる。IBMは、認知技術を企業にもたらすリーダーである。Watson Workspaceでは、情報を簡単に見つけることができないという、メッセンジャーの最も苦痛を感じる側面の1つをターゲットにしている。 Watson Workspaceは過去のメッセージを魔法のようにクラスタ化し、サマリーやアクション項目までも抽出する。それは実際に目にするまで、とても信じることができないほどだ。またIBMを初めて使うユーザーに対してはプロダクトが無償で提供される。

短所:サードパーティの統合は優れているが、マイクロアプリケーションをインターフェイスに統合する機能はまだまだである。IBMは、次世代のコラボレーション・ツールを探しているバイヤーたちの、心の一番上に飛び込むことはない。しかし、IBMはこれまで伝統的なバイヤーとの間にしっかりとした足跡を残しており、バイヤーたちが次世代ソフトウェアを模索する中で実際に注目を始めているので、ワトソン製品ラインのブランドを活用することは賢明だ。

Workplace by Facebook

強み:コンテンツをアルゴリズムを使って浮上させる使い慣れたユーザーインターフェイス。

長所:Facebook Workplaceの最大のメリットは、誰もがそれをどのように使用するかを既に知っていることだ。インターフェイスは、Facebookのコンシューマー版と似通っている。使い慣れたフィードでコンテンツを表示するFacebookの魔法のアルゴリズム。FacebookメッセンジャーはDavid MarcusとStan Chudnovskyの統率の下で強化されている。Facebookは、現代のコラボレーションツールの主なユースケースの1つである外部のチームメンバーのサポートがすぐに可能である。

短所:Facebookのアルゴリズムは、仔犬の動画であろうがドナルド・トランプ尽くしであろうが、あなたが望むものを見せるように調整されている。しかし仕事の場では、人びとは特に好きではないデータに触れる必要もある。Facebookはこれまでの歴史で、プライバシーにはあまり気を配って来なかった。エンタープライズシングルサインオンをサポートしたとしても、Facebookでホストされているコンテンツが今まで以上に安全になることはない。Facebookはサードパーティの統合をサポートすると発表したが、生態系を展開する切迫性を感じてはいないようだ。

Slack

強み:第2世代の1番手、SMB(Small and Midsize Business)での利用に強み。

長所:Slackはクリーンで楽しいインターフェースを提供し、無償で使い始めることができる。コードがチャネルに貼り付けられたときに自動検出して綺麗に整形するといった、クールな機能を備えた次世代メッセンジャークライアントの先がけだ。サードパーティとの統合はかなり優れているが、メッセンジャーにマイクロアプリケーションを直接統合する計画はない。競争は通常、企業の意思決定者に対するトップダウンで行われるのだが、Slackは純粋なボトムアップの売り上げモデルを使う期待の新人だ。

短所:Slackはエンタープライズクラスの製品の提供ができなかった。それぞれのSlackチーム(グループのこと)はすべて、PHPを実行する別個のAmazonサーバー上で動作し、150人を超えるユーザーをサポートすることは現実的には難しい。ユーザーは別のウィンドウを開いて、利用するそれぞれのスラックチームに対して個別のユーザー名とパスワードを保持する必要がある。これは、すべてのスラックチームがslack.comドメインで動作することを考えると特に厄介だ。お願いだからSlack、ユーザーデータベースをAmazonのRedisに移行して、サーバー間で認証クッキーを渡すようにしてくれ、1ヶ月位で出来ちゃうプロジェクトだぞ!どこかの時点で、kumbayaカルチャー(キャンプファイヤーを囲んで話をするように、お互いに腹を割って話すこと)が発動されなければならない;エンジニアリング部門の人びとと率直な話をする機会を持たなければならないのだ。それはミレニアム世代の一部の者にとっては悲しい経験となるだろう。

Google            

強み:G SuiteとHangoutsにバンドルすることができる。

Googleはこのレースのダークホースだ。Hangoutsに永続的なチャットグループを丁度加えたばかりである。

それらは皆どこに向かうのか

最大のエンタープライズ・プレイヤーのうちの2社であるMicrosoftとIBMが、今この市場を狙っている。マイクロソフトはOffice 365へのバンドルという優位性を持ち、IBMはコグニティブコンピューティングに優位性がある。 Facebookは、そのよく知られたインタフェースと表示アルゴリズムで、企業の抵抗を克服しなければならない新規参入者だ。スラックはその栄誉の座を占めて来たが、今やそれを上回ろうとしている大企業に追いつかなければならない。Googleの市場参入は、主にG Suiteを使用するSMB市場のローエンドをターゲットとし、Slackにさらなる課題をつきつけるだろう。

これらのすべてのプレーヤーのエキサイティングな部分は、メッセージングを超えて新しいモダンなインターフェースでエンタープライズワークフローを再発明することが急速に可能になって来ていることだ。特に大企業では、従業員が情報に圧倒され、古いソフトに縛り付けられているために、こしたものが本当に必要とされている。さあ前へ進もう!

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(翻訳:Sako)

本当の姿を表しだしたWorkplace by Facebook

A potted plant sits next to a Workplace logo during the global launch event of "Workplace" at the Facebook Inc. offices in London, U.K., on Monday, Oct. 10, 2016. Workplace is meant to help employees collaborate with one another on products, listen to their bosses speak on Facebook Live and post updates on their work in the News Feed. Photographer: Jason Alden/Bloomberg via Getty Images

Workplace by Facebook正式リリースから2ヶ月ほど経った今、Facebookがエンタープライズ向けのソーシャルプロダクトに関して、大きな野望を抱いているのが明らかになった。今週ロンドンで行われたTechCrunch DisruptでFacebookは、Workplaceにエンタープライズ向けアプリケーションを統合できるような新プラットフォームを発表し、現在エンタープライズ向けソーシャルプロダクトの先頭を走っているSlackに勝負を仕掛けた。

しかしFacebookは、Slackのように知的労働者が情報共有するためのツールとは違った形で、Workplaceを売り出そうとしている。Facebookでプラットフォームパートナーシップ担当ヴァイスプレジデントを務めるSean Ryanによれば、同社はWorkplaceを倉庫からフロントオフィスを含め組織全体で使われるようなプロダクトにしたいと考えているようだ。「私たちはWorksplaceが会社全体をつなげ合わせることのできるプロダクトだと考えています。一方、競合とされるプロダクトは、チーム同士をつなぎ合わせることに重きが置かれています」と彼は語り、Slackや最近Microsoftが発表したTeamsアプリを一蹴した。

ちょうどコンシューマー向けプロダクトであるFacebookの使命が世界中をつなげることであるように、各企業で働く従業員全てをつなげることがWorkdplaceの使命だとRyanは考えているのだ。そしてターゲットの中には、これまでソーシャルツールを使ったことがない人たちも多く含まれている。「私たちはこれまで特別なコミュニケーションツールを利用したことがない人たちに向けたツールの開発も進めています。私たちと同じ業界にいる企業のほとんどは、現状その部分には力を入れていません」と彼は話す。これはソーシャルネットワーク企業であるからこその考え方だとRyanは見ている。システムを使う人が増えるほど、そのシステムの価値が向上するというのはまさにソーシャルネットワークプロダクトの考え方だ。そして、特定の人だけが使うシステムでは、利用者の広がりに制限がかかってしまう。

全ての人がいつでも使えるサービス

Facebookのやり方自体は間違いではないが、これまでにWorkplaceのようなプロダクトを開発していた企業も既に同じアプローチを試みており、彼らが成功することはなかった、とDigital Clarity Groupでアナリストを務め、早くからエンタープライズ向けソーシャルプロダクトの動向を追っているAlan Pelz-Sharpeは話す。「Facebookが会社全体のソーシャルツールになろうとしているのは間違いないのですが、JiveやYammerを含めた数々の企業も同じことをしようとしていました」

私たちはWorksplaceが会社全体をつなげ合わせることのできるプロダクトだと考えています。一方、競合とされるプロダクトは、チーム同士をつなぎ合わせることに重きが置かれています。

— Sean Ryan, Facebook at Work.

Pelz-Sharpeは、Facebookが強固なブランド力やおなじみのインターフェースで有利な立場にあることを認めている一方で、それだけでは同じアプローチをとっていた先代の企業と同じ問題に直面する可能性が高いと考えている。「通常の場合、管理や運営、セキュリティ面で問題が発生することが多いです。アプリケーションの利用者が組織内で急激に増えるということは、Facebookにとってはプラスですが、組織にとってはさまざまな面での混乱や煩雑さにつながる可能性があります」

逆にポジティブな側面として、利用者は役職を問わず誰にでもコンタクトできるため、エンタープライズ向けのソーシャルツールが組織のフラット化につながるということはよく知られている。ソーシャルツールがマネジメントというレイヤーを取り払い、利用者全員に自分の考えを共有する力を与え、従業員はより自分たちの会社に関与していると感じることができるのだ。実際に生鮮食料品店の運営企業で行われたテストでも、Workplaceを用いることで従業員の満足度が向上したとRyanは話す。

アプリケーションの統合が鍵

今週発表されたアプリケーション統合が、現状のWorkplaceを次のレベルへ押し上げることになる。企業に務める人はコニュニケーションを取りたいと考えている一方で、複数のアプリケーションを切り替えるのを嫌う。そこでFacebookは、APIという統合のポイントをWokrplaceに組み込むことで、エンタープライズ向けのソーシャルプロダクトをツールへと変換する方法を提供しようとしているのだ。

プライベートでFacebookを使っている多くの人たちのように、会社にいる人が勤務時間の多くをWorkplaceに費やすようになれば、ツールが統合されることでWorkplace自体の利便性が高まることになる。

現在オンラインコミュニティプラットフォームの7Summitsでチーフストラテジーオフィサーを務め、エンタープライズ向けソーシャルプロダクトに造詣の深いDion Hinchcliffeは、Facebookが成功する上でアプリケーションの統合が大きな鍵を握っているかもしれないと話す。「シンプルで全てが一か所に集約していて、他の業務を行う際に別のアプリケーションを開く必要がないようなコラボレーションツールであれば、多くのユーザーを獲得することができます。ここでの価値とは、たったひとつのツール上で、仕事の流れを継続しつつ一元的により多くの仕事をより簡単にこなせるということです」と彼は説明する。

確かにSlackはこの理論に基づいて成功を収めてきたが、Pelz-Sharpeはさらに悪魔は細部に宿ると話す。「一般に普及しているアプリケーションを統合することで、ツールのユーザー数を増やすことはできますが、本当に大事なのはどのくらい深いところまでそのアプリケーションが統合されているのかということです。具体的には、(ポータルのように)ただ統合されているアプリケーションがツール上に表示され、ユーザーはそれをクリックすることができるだけなのか、それとも統合されているアプリケーションからツールにデータやプロセスを引っ張ってきて、情報を一元管理できるようになっているのかという点を指しています」とPelz-Sharpeは話す。

RyanがWorkplaceのゴールは会社全体をつなげることだと明言する一方で、Pelz-Sharpeは、Facebookがそのゴールを達成する中で、今後も深刻な課題に直面することになると話す。「時間を浪費するだけのコンシューマー向けソーシャルツールというFacebookのイメージ(Workplaceは若者向けのツールではないため熟年層が持つイメージの影響が大きい)が、Workplace by Facebookへの抵抗につながることが考えられますが、それ以上に、Facebookがこれまでとってきた、成長第一でその結果は後から考えるというアプローチに多くの人が抵抗を感じるようになると考えています」

Ryanはそんな意見にもひるまずに「Workplaceは全ての企業人のためのツールです。これこそ私たちがこのプロダクトに関してワクワクしているポイントなんです。Workplaceは世界中の企業人をつなげるようになるでしょう」と話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

データ管理サービスSegmentの顧客の多くがウェアハウジングのベースとしてGoogle BigQueryを利用

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Segmentは、Google AnalyticsやMixpanel、Salesforceなどのサービスの利用から発生するデータの管理を助け、そのデータをアトリビューション・プロダクトやデータウェアハウスなどに送る。

同社は昨日(米国時間12/8)、そのサービスをGoogleのデータウェアハウジングサービスBigQueryと統合して、プロダクトの拡張を図る、と発表した。Segmentはすでに、PostgresやAmazonのRedshiftなど、そのほかのウェアハウジングプロダクトをサポートしているから、それほど重要な発表ではない、と思われるが、しかしCEOのPeter Reinhardtによるとそれは、“クラウド戦争”の大きな様相変化を表している。

“このところ、BigQueryの需要が急増しており、それはRedshiftにとって初めての、本物の脅威だ”、と彼は語る。

Segmentの7500社の顧客がすべてデータウェアハウジング機能を使っているわけではないが、しかしReinhardtによると、エンタープライズ顧客の“ほとんど100%が”利用しており、セルフサービス的な利用も少なくない。彼の推計では、データウェアハウジングを利用している顧客は、Postgresが半分、Amazonが半分という感じだったが、1か月あまりのベータテストのあとには、BigQueryが10%の顧客を奪っていた。

BigQueryのアドバンテージの中でとくに強力なのは、Reinhardtによると、シンプルで使いやすいこと、そして中小企業にとって魅力的な料金体系であることだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ドローン業界がTrumpと彼のFAAに望むこと、それは決定過程の完全な民主化

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アメリカの商用ドローン業界は、彼らのビジネスとグローバルな競争力に影響を与える新しい政策や規制について、次期大統領からまだ何も聞いていない。

先週のAP通信の特ダネ記事は、Trumpが航空管制の民営化に関心を持っている、と報じた。連邦航空局(Federal Aviation Administration, FAA)の長年の仕事を取り上げ、議会が認めた非営利団体に渡す、というのだ。

でも、低空域を飛行するドローンはどうなるのか、それがまだ分からない。

言うまでもなくドローンは、Trump自身のビジネスである不動産業にとってもきわめて役に立つ。物件を上空から調べることができるし、またセキュリティのための監視もできる。だからTrumpも、国内の商用ドローン業界の主だった企業と変わらぬぐらい、ドローンの重要性を理解している、と思いたい。

8月にFAAは、重量55ポンド以下(≒25kg以下)の無人航空機の商業利用をめぐる国内的および一般的ルールを定めたPart 107 regulation(第107部規則)を発布した。

一方NASAは一部のテクノロジー企業(Precision Hawk, Verizon[本誌TechCrunchの親], Gryphon Sensors, Airware, Flirty, SkySpecs, ne3rd, Harris/Exelis, Unmanned Expertsなど)と共に、ドローンが他機や重要施設等に衝突することを防ぐための、drone traffic management systems(ドローン交通管理システム)を開発した。

知ってのとおりTrumpは、Elaine Chaoを運輸長官に選んだ。運輸省出身である彼女の任務には、FAAやNational Highway Traffic Safety Administration(交通安全管理局)などの関連諸機関を監督することも含まれる。

そこで航空業界やドローン業界は、Chaoの下で誰がFAAの長になるのか、その決定を待っている。

今週、ドローン業界の通商グループCommercial Drone Allianceは、Trumpの政権移行チームに書簡を送り、政策と人事に関する部分的推奨を提示した。その書簡はTrumpに、“新政権には商用ドローンのエキスパートを起用する”ことを、勧めている。

グループの事務局に属する二人の弁護士(法律事務所Hogan Lovellsに所属)Lisa EllmanとGretchen Westによると、この業界グループはTrumpのFAAが以下を優先することを望んでいる:

  • ドローンが商用目的で飛行することを許可する規則: 人が多く混雑している場所、操縦者や運用者の見通し線以遠、夜間などは、連邦政府の特別許可を要する。
  • 空域交通管理やプライバシー、特定スペクトルの使用、安全性など、さまざまなドローン関連問題に関する問題解決と規則設定において、複数の利害代表者が関与できる方式。
  • 政府と業界のコラボレーション、たとえばこの秋のDrone Advisory Committee会議にFAAが、業界の役員たちと政策決定者の両方を召集したことなど。

“政府は、規制を決めるプロセスに誰もが容易に参加できるようにすべきである”、とEllmanは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SlackとGoogleが戦略的連携を発表―SlackとGoogleドライブが緊密化する

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今朝(米国時間12/7)、ビジネス向けチャットのSlackはGoogleと戦略的な提携を結んだことを発表した。これによりGoogleクラウドにはいくつもの新機能が加わる。Googleの各種サービスはチームでの利用に一層適切に対応できるようになると期待される。

Slackとの提携で追加される機能には、ユーザーに随時通知を送るボットや最近発表されたビジネス向けのチーム利用におけるドキュメントのプレビューやきめ細い管理権限の設定などが含まれる。

この提携はSlackに MicrosoftFacebookという手強いライバルが出現した時期に行われた。Microsoft Teamsは簡単にいえばMicrosoftのSlackクローンだが、広く普及しているSkypeと Office 365を始め各種生産性ツールと連携していることがセールスポイントだ。

独立の企業であるSlackには残念ながら生産性ツールのような連携するプロダクトはない。多くの企業が魅力に感じるような既存の生産性ツールを独自にもたないため、Slackはサードパーティーとの連携に活路を見出すことにしたようだ。GoogleとSlackはすでにこの方向で共同作業を始めていたが、正式な提携の発表はこれが最初だ。

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GoogleドライブはSlackと連携する最初のサービスだが、Slackによればドライブとの関係はすでに非常に密接なものとなっている。Googleドライブのファイルは週末を除いて1日当たり平均6万回もSlackで共有されているという。これは1.4秒ごとに1回の共有だ。

今後ユーザーの利便性を向上させるためにSlackはGoogleのデベロッパーと協力していく。両者のユーザー・ベースには重なる部分が多い。提携の成果はとりあえず今日発表された新機能だが、将来に向けてさらに拡張されていくという。

Slackとの提携によって生まれたGoogleドライブのボットはSlackに通知、コメント、ファイルを開く要請などを送る。ユーザーはSlackからコメントに答えたり、ファイル開いたり(拒絶したり)できる。また必要に応じてGoogleドライブのファイル上での共同作業に移ることも可能だ。

SlackのユーザーはGoogleドキュメントのファイルをSlack内からプレビューできる。またドキュメントのファイルが共有された場合、Slackはファイルの共有プロパティをチェックする。もしファイルを共有しようとしている相手に共有権限がない場合、Slackは共有設定を更新しなければならないことを告げてくれる。

SlackはGoogleのビジネス向け共同作業プラットフォームのTeam Drivesとも連携する。企業がTeam Drivesの最新版を利用している場合、Slackで共有されたファイルは自動的にTeam Driveにアップロードされる。逆にTeam Drive上での編集はSlack上でも共有される。

またIT管理者はG Suite(以前のGoogle Apps for Work)のダッシュボードを通じてSlackの設定や資源管理を行うことができる。これは新チームだけでなく既存のチームに対して遡及的に実施することも可能だ。

Google CloudのGlobal Technology Partnersの責任者、Nan Bodenは公式ブログでこう書いている。「GoogleとSlackは 将来の企業内コミュニケーションに関して同じビジョンを共有している。スマートなソフトウェアがチームを効率化し、すべての会話と作業が一つのプラットフォームから行えるようになるだろう。その結果、チームの作業はスピードアップされ、はるかに効果的に動けるようになる」。
BodenはまたGoogleはSlackのビジネスの規模拡大にもそのテクノロジーを役立てていくと述べている。

今日発表されたSlackとGoogleの提携は、GoogleとSlackのユーザーにとって魅力的なキャッチフレーズを多く含んでいるが、機能自体を一般のユーザーが利用できるようになるのは2017年の前半になるもようだ。

〔日本版〕Slackはサードパーティー・アプリのSlack内プレビュー機能をすでに持っており、Slack内からGoogleドライブのファイルもデフォールトでプレビューできる(「今後Googleドキュメントをプレビューしない」などのオプションの選択も可能)。またSlackではチームを作るとデフォールトでSlack Botというボットがメンバーとして参加する。ユーザーがSlack BotにダイレクトメッセージでHow do I add a new team? などと質問すると即座に手順の説明が返信される。現在のところボットは英語のみ対応。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オバマの選挙戦で分析を担当したDan Wagnerのデータ活用コンサルCivis Analyticsが$22Mを調達…‘なぜデータの専門家がTrump勝利を当てられなかったのか’

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Barack Obamaの2012年の選挙戦で主席分析官を務めた人物が創業したCivis Analyticsが、このほどシリーズAで2200万ドルの資金を調達した。

ファウンダーでCEOのDan Wagnerが選挙後に語ったところによると、彼が選挙戦の期間中に直面したさまざまな問題は、今多くの組織(企業だけでなく政党や政府機関なども含む)が対応に腐心している問題でもある。

今Civisの顧客たちが悩んでいる問題も、まさにそれで、それは、データから得られた情報の現実的な活用(“operationalize data intelligence”)、という目の前の生きた課題だ。たとえば、企業が抱える問題の典型が、“データからどうやって真実と予測を確立するのか、そして、その真実をどうやって行動指針に結びつけるのか”、だ。そこでCivisが作ったのは、顧客の企業等がデータを理解し、そのデータを利用して予測を作り出し、次に取るべき推奨ステップを得るための、“ワンストップショップ”だ。

そしてWagnerによれば、“今世の中には十分な数のデータサイエンティストが存在しない”。そこでCivisは本来のコンサルティングビジネスをより充実させるとともに、今では、“100名のデータサイエンティストの知識を集めてそれをワンセットの技術へとラップする”、ということをやっている。そういう、知識と技術をパッケージ化したツールによって、少人数のデータサイエンティストのチームがこれまでよりも効率的に、より多くのクライアントに対し、仕事ができるようになっている。

Civis Analyticsの顧客は公共部門と民間部門の両方にいて、その中にはAirbnb, 2020年国勢調査(Young & Rubicamとパートナー)、Verizon(本誌TechCrunchのオーナー)などもいる。

Wagnerによると、同社はありとあらゆるデータサイエンスの問題を解こうとしているわけではない。むしろ同社が望むのは、顧客を支援して“人間を本当に理解することによって、これから行うべき正しい態度や行動を予測できるように”していくことだ。企業の場合は、顧客や潜在的な顧客を理解しなければならないし、政府機関なら住民や国民を、そして選挙戦なら投票者を理解しなければならない。

Civis media optimizer

Civis Analyticsは以前、シード資金をAlphabetの執行会長Eric Schmidtから調達したが、それまでの3年半はほとんど自己資金のみでやってきた。Wagnerが語る思い出話によれば、資金を提供する時Schmidtは彼に、“きみはこれで苦しむ必要がある”、と言った。〔投資家への責任という重荷を負うべき、の意。〕

ではなぜ、今また資金を調達するのか? Wagner曰く、今の同社の収益で社員を135名に増員することは可能だが、でも今は、もっと積極的に会社を大きくすべきタイミングだ、と。

今回の新たな投資ラウンドはDrive Capitalがリードし、Schmidt, Verizon Ventures, そして世界最大の広告持ち株企業WPPが参加した*。DriveのChris Olsenが、Civisの取締役会に加わる。〔*: 複数の有力広告代理企業を傘下に抱える。〕

同社は今年の大統領選には関与しなかったが、Wagnerの経歴を知る者としては、選挙について聞かないわけにはいかない。彼は、結果には“大いに落胆した”と認め、しかし、Donald Trumpの、選挙人団(Electoral College)制度*による意外な勝利で、選挙戦におけるデータサイエンスが無意味になるわけではない、と主張する。〔*: 選挙人団制度にはアメリカ国内でも批判がある。問題の性格が、日本の“一票の格差問題”とやや似ている。〕

“Trumpはテクノロジーで一風変わった予想外のことをした”、とWagnerは言う。“それによって選挙戦とデータ分析の関係が変わることはないが、選挙戦のあるべきやり方がたぶん変わるだろう”。

彼によれば、“壊れていたのは”、分析の方ではなく測定の方だ、それは“変わらなければならない”、という。

“電話による世論調査を政治的測定の手段にすることは、たぶん、もうだめだろう。それは今や死に体だし、誰もがそのことを知っている。国内では、商業的にも公共的にも、電話だけに限定されないマルチモード、そしてオンラインのパネル〔討論場, Twitterなど〕に移行が進んでいる。そういう新しい状況に適応する必要があり、しかも非常に迅速に適応しなければならない”。

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AWSのLambdaファンクションをエッジロケーションで実行できるためのツールLambda@Edge

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今日(米国時間12/1)Amazonは、Lambda@Edgeと呼ばれるツールを公開した。デベロッパーはこのツールにより、Lambdaファンクションをコンテンツデリバリネットワーク(CDN)上のエッジロケーションで実行でき、プロセスの作成に要する時間を短縮できる。

Lambda@Edgeを使ってデベロッパーは処理をエッジロケーションで実行でき、元のソースに戻る必要がない。これらのファンクションはHTTPリクエストを検査でき、それらに対するアクションを行う。アプリケーションの一部に関し、情報の物理的な旅程を短くすることによって、AWS Lambdaを利用するアプリケーションのパフォーマンスを改善できる。このプロダクトは、今日のAWS:reInventで披露された。

Amazon.comのCTO Werner Vogelsはこう言う: “仕事を光速でやることは無理でも、情報の経路を半分に短縮することはできる”。

Lambdaを利用するとデベロッパーは、サーバーの配備とか管理をやる必要なく、単純にコードを書いて実行できる。Amazonは昨日(米国時間11/30)、LambdaがIoTデバイスの上で仕事ができるようにする、と発表した。Lambdaファンクションは、従来のPythonのほかに、今ではC#でも書ける。今回のように、計算処理をネットワークのエッジに移動すれば、デバイスとクラウドのあいだの往復旅程(ラウンドトリップ)に伴う遅れ(レイテンシ)を避けることができる。

ユーザーが求めるパフォーマンス条件が厳しくなるに伴い、複数のオペレーション間の数ミリ秒の遅延ですら許せなくなる。ラウンドトリップタイムを節約できれば、デバイスの動作は、本当のリアルタイムにより近いものになるだろう。またそれにより、通信帯域の費用も節約できる。

このツールはAmazonのCDN CloudFrontを利用するはずだから、Amazonのデベロッパーのための一連の運用ツールの中に、またまた豊富なファンクションが含まれることになる。それは、(Google, Azureなどに対する)Amazonの競合上の有利性を、なお一層強化するだろう。

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GoogleからApp Maker登場―ドラグ&ドロップで誰でもG Suiteアプリが作れる

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今日(米国時間11/30)、GoogleはApp Makerをリリースしたことを発表した。このプロダクトはコーディングをほとんど必要とせずドラグ&ドロップでアプリを作るサービスの市場に大きな影響を与えそうだ。

Microsoftその他数多くのライバルの製品と同様、App Makerも「誰もが簡単に手早くベーシックなアプリを作れるようになる」という。組織内で特定の処理のためにアプリを必要とする場合、理想的なソリューションになるかもしれない。

新サービスはクラウド・ベースのドラグ&ドロップ開発環境で、ユーザーインタフェイスを作成し、その中にG Suiteの各種アプリを埋め込むことができる。利用できるコンテンツにはGoogleマップ、連絡先、グループなどAPIが利用できるGoogleアプリのほとんどが含まれる。App MakerはコンテンツのG Suiteアプリと同一のインフラ上で動作する。 IT管理者はApp MakerのアプリをGmail、Googleドライブ、その他のG Suiteアプリとまったく同様にセキュリティーやアクセス権などを細かく設定できる。

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こうしたアプリが必要とされる代表的なケースは時間管理、受注・在庫管理など、比較的単純な処理でデジタル化されたデータが簡単に得られるような組織内業務だろう。

GoogleによればApp Makerを使う利点は、まず第一にユーザーはインフラに注意を払う必要がまったくないことだという(「サーバーレス・ソリューション」がバズワードだ)。しかも組織ごとに異なる特定のニーズを解決するためにいちいちデベロッパーの手を煩わせる必要がない。ユーザーに知識があり、さらに詳細なカスタイマイズがしたい場合はそれも可能だ。サービスにビルトインされているエディターを見た感じではフル機能のIDEのようだ。

App Makerは当面Googleの G Suiteビジネス向けアーリー・アダプター・プログラムの登録者が対象だ。

App Makerの発表と同時にGoogleは今日、いくつかのアプリを推薦プログラムと認定し、Recommended for G Suiteプログラムに追加した。これらのプログラムはG
Suiteとの適合性が高いというお墨付きを得たことになる。またセキュリティー脆弱性についてもGoogleのテストに通っている。今回発表された新しいパートナーはVirtru、LumApps、DocuSign、Freshdesk、Zoho Invoice、Xero、Asanaの7つだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SUSEがHPEのOpenStackおよびCloud Foundry関連資産(そして人材)を買収

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SUSEの名は、Linuxのディストリビューションで知ってる人が多いと思うが、相当前から、OpenStackエコシステムの、目立たないけど一貫した活動メンバーだった。しかし最近の数か月、このドイツ企業はこの世界の強力なコンペティターとしても動き始めている。とくに今という時期は、OpenStackをめぐる企業の整理統合が進んでいるだけに、その動きは注目される。

今日(米国時間11/30)SUSEは、同社がHPE(Hewlett Packard Enterprise)のOpenStack(IaaS)およびCloud Foundry(PaaS)関連資産と人材を買収する、と発表した。これはHPEの、ソフトウェアビジネスをMicro Focusに売り払う(HPEは“spin-merge”する、という言葉を使っている)という決定に続く動きだ。ちなみにそのソフトウェアビジネスには、HPEが110億ドルで買ったAutonomy(その後90億ドルに減価)も含まれる。さらにもうひとつ言うと円が閉じるのだが、Micro FocusはSUSEのオーナーでもある。そしてそのSUSE が、今回はHPEのOpenStackおよびCloud Foundry資産を拾っているのだ。

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SUSEの主張では、今回の買収で同社のOpenStackポートフォリオがより充実し、またCloud FoundryのようなPaaS資産は、同社自身のエンタープライズ対応SUSE Cloud Foundryソリューションの市場化を助ける。

SUSEのCEO Nils Brauckmannはこう語る: “この買収の原動力となったものは、弊社の顧客とパートナーにエンタープライズ的価値をお届けしている、オープンソースのソフトウェア定義インフラストラクチャの提供への、SUSEのコミットメントだ。これはまた、有機的成長(本体の成長)とテクノロジーの買収を組み合わせてビジネスを構築していく弊社のやり方を、世に示すものでもある。重ねて申し上げると、この戦略は市場と世界のオープンソースコミュニティに、SUSEが進歩的で活発な企業であるという、強力なメッセージを送っている”。

SUSEはこれにより、LinuxとOpenStackとCloud Foundryに関してHPEの最優先オープンソースパートナーになる。

しかしHPEはOpenStackとCloud Foundryのゲームから完全に撤退するわけではない。HPEはSUSEのOpenStackおよびCloud Foundry技術を、同社自身のHelion OpenStackとStackatoソリューションに向けてOEMしていく。HPE自身の言葉によると、今回の動きは同社の戦略の“進化”を意味しているにすぎず、それによって同社は“ハイブリッドクラウドソリューションの次の進化の開発に集中できるようになる”、のだそうだ。同社の顧客がHelionプラットホームの将来性について不安を抱(いだ)き始めない、とは想像できないが。

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ビデオのTwilioを目指すSynqが高度なビデオAPIを提供、既存のビデオプラットホームに不満なデベロッパーにも

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あなたがこれから作るアプリには、ユーザーがビデオをアップロードしたり、保存したり、再生する機能が必要だ。しかしビデオコンテンツの管理システムを自分で作るのも、既存のシステムのライセンスを買うのも、ちょっとたいへんすぎる。そんなときは、Synqに第三のオプションがある。同社は、“デベロッパーのためのビデオAPI”をクラウドから提供するサービスを、今日(米国時間11/29)立ち上げた。ビデオのための完全なインフラストラクチャを、ワンセットで提供することをねらっている。

特殊なニーズがないかぎり、デベロッパーが自分で作らずに済むための、補助的機能のサービスは、今やいろいろある。電話機能ならTwilioだし、支払い決済はStripeやPayPal、Squareなどを使える。アプリ内のアナリティクスともなると、APIプロバイダーは枚挙に暇(いとま)がない

同社は自分のことを、ビデオのためのTwilioだ、と言う。今ではTwilioにもビデオはあるけど、でもそれは、Synqが考えているようなのとは、違う。

デベロッパーが自分のアプリにビデオを容易に実装できるようにする

SynqのCEOでファウンダーのStian Haugeは、デベロッパーが自分のアプリケーションの中でビデオを使うのが難しすぎる、と嘆き、“ビデオってヘンなやつだからね”、と言う。“だからうちのプラットホームは、デベロッパーが今相手にしている既存のインフラストラクチャが何であっても、その上で高度なビデオ機能を実装できるための、十分な柔軟性を提供する。またそれと同時に彼らが、ARやVR、機械学習などにも取り組めるようにしていく”、とサービスの概要と抱負を語る。

そのプロダクトには複数のコンテンツ・デリバリ・ネットワーク(CDN)が含まれ、Haugeは、ビデオのデリバリのスピードと料金ではAkamaiやCloudFrontなどとも十分競合できる、と言う。

でも、VimeoBrightcoveKalturaのようなプラットホームが今やたくさんあるから、それらを利用する方が簡単では?

“たしかに既存のビデオプラットホームはストレージとトランスコードと配布は面倒見てくれる”、とHaugeも認める。しかしアプリケーションが必要とするビデオ機能が、それだけでは済まない場合も多い。“たとえば彼らには、十分なカスタマイズの機能がない。データ構造にも柔軟性がない。標準的なワークフローと限定的なAPIを提供しているだけだ”。

“Synqは逆に、デベロッパーがやりたいことをあくまでも優先する。だからうちのAPIなら、プログラマブルなクェリやWebhookも実装できる”。

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「忘れられたサービス」、ウェブサイト構築ツールのGoogle Sitesが全面リニューアル

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Googleの生産性ツールの中でGoogle Sitesは長年「忘れられたサービス」だった。長期間にわたる放置の後、今年始めにGoogleはSitesを全面的にリニューアルする計画を発表した。今日(米国時間11/22)、Sitesはベータ・テストを終了し、一般ユーザー向けに公開された

Google Sitesは簡単にいえばドラグ・アンド・ドロップのウェブサイト構築ツールだ。サイトはインターネットに公開することもできるし、組織内でプライベートに利用することもできる。当然ながら他のGoogleの生産性ツールとの親和性は高い。たとえばGoogleドライブのドキュメント、スライド、スプレッドシートなどを簡単にドロップすることができる。これには(なにやら思わせぶりな名前の)G Suiteの各種サービスも含まれる。またGoogle Analyticsともデフォルトで連携している。Sitesの新しいサイトでは複数のユーザーによる共同編集が可能になった。これにはGoogleドライブの生産性ツールの共同編集のテクノロジーが使われており、機能もほぼ同様だ。

管理者はユーザーがサイトをインターネットに公開できるかドメイン内のみ公開できるかを選択して権限を与えることができる。

今回のアップグレードでSitesで作成したページは表示するデバイスのスクリーンサイズに合わせて自動的に拡大、縮小するようになった。プレビュー・モードではサイトをスマートフォン、タブレット、デスクトップ、それぞれでどう見えるか簡単に確認できる。誰でも簡単にプロっぽい外観のページを作れるようGoogleでは6種類のテーマを用意している。新しいテーマではフォントとカラー設定を自由に変えられる。欲を言えばカスタマイズのオプションがもう少し充実していると良かったと思う。将来に期待したい。

ただし既存のサイトを新しいサイトに変換するのはあまり簡単ではない(TechCrunch編集部ではこの点を残念がっている)。 アップデート:: Googleの広報担当者がわれわれに話したところによれば、2017年にはいって旧ツールで作成されたサイトを新しいサイトに変換するオプションが提供されるとのこと)。

いちばん重要なのはSitesが実際に役立ち、人々が使いたがるようなツールに生まれ変わったという点だ。Sitesは現代化された。一昔前のカビ臭く古びたGoogleデザインは一掃され、モダンなアプリだと感じられるようになった。

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Google、企業向けファイル共有サービス、Team Drivesを公開ベータへ―対象はEAPメンバー

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今日(米国時間11/21)、Googleは企業向けの新しいファイル共有プロダクト、Team Drivesの受付を開始した。このアプリケーションはこの秋に入ってすぐ予告されていた。Team Drivesの主たる目的は企業における組織横断的なファイル共有を助けると同時に、共有フォルダのコンテンツに応じたきめ細かいアクセス権が設定できるようにするところにある。

これ以前、GoogleはGoogle DriveでDropboxに対抗していたが、このプロダクトはどちらかと言えば個人の生産性ツールだった。企業の場合はファイル共有の範囲は多数の組織にまたがるため、アクセス・コントロールにはさらに高い機能が必要とされる。

たとえば、ある文書について、一部のユーザーには編集権を与え、別のユーザーには閲覧だけを許して故意、偶然を問わず、削除や変更ができないようにする必要があるかもしれない。

Googleが最初にTeam Drivesを発表したとき、同社ではGoogle Driveのテクノロジーを再構築してこうしたアクセス制御を導入するとしていた。Team Drivesはバグを潰している段階で、現在のところアーリー・アダプターを対象とするEAプログラムのメンバーのみベータテストの申し込みができる。

Team Drivesは間もなく稼働するという。ただし申し込みの受付にあたってはいくつかの制限がある。まず申込者は G Suite Business and Educationプログラムのメンバーである必要がある(G SuiteはGoogleのGoogle Apps for Workの新しい名称)。

またG Suiteの管理者はTeam Drivesにサインアップし、プライマリー・ドメイン全体をTeam Drivesに登録しなければならない(今のところセコンダリー・ドメインの登録はできない)。

Googleによれば、管理者はTeam Drives内の個別コンテンツについてはアクセス制限が可能だが、 Team Drivesそのものは全ユーザーから認識、アクセスが可能だという。言い換えれば、Team Drivesに参加するには会社のトップの承認が必要ということになる。IT部門が一部のユーザーだけを対象に内密にテストするということはできない。

Team Drivesの最大のメリットは企業として重要なファイルを中央で一括管理できることだろう。Team Drivesを使えば、「囲い込み問題」、つまり企業にとって決定的な情報を含むファイルが一部のユーザーの個人フォルダ内にあって共有されていないという問題を避けることができる。Team Drivesであれば、他のユーザーもこうした情報にアクセス可能だし、何よりもファイルのオーナーであった社員が異動したり退社したりした後でもファイルを従来どおり利用できる。

Googleではこれまでも少数のユーザーを対象にTeam Drivesのテストを行ってきた。しかし今日の発表で Early Adopter Program参加者という従来より広い範囲のユーザーがテストに参加できることになった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Salesforce、好調な第3四半期で年末に向けて視界良好

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第2四半期の低調を受け、多くの目が年末に向けられる中、Salesforceは早くもウォール街に向けて好調さを再度アピールした。

今日(米国時間11/17)の第3四半期決算で、同社はアナリスト予測をことごとく上回った。Salesforceの1株当たり利益は24セント、売上は21.4億ドルだった。ウォール街予測はそれぞれ24セントと21.2億ドルだった。株価はその日既に2%上がっていたが、決算発表後さらに6%跳ね上がった。

前四半期にガイダンスをわずかにアナリスト予測を下回って株価を下げた同社にとって、これは嬉しい復活だ。それでも同社は、年末に向けて様々なライバルを越える完璧なツール群を提供できることを示さなくてはならない。

Salesforceは、成長の起爆剤として新規ビジネスの開拓あるいは買収が必要な場面に立たされ続けてきた。決算報告のガイダンスで同社は、年間売上予測を5000万ドル上方修正した。

成長への取り組みの一環として、既に同社は買収浸りだ。今年はDemandwareを28億ドルで、Quipを7.5億ドル millionでそれぞれ買収し、LindedInにも200億ドル以上を注ぎ込もうとしたが、Microsoftに必然的に敗れた。それでもSalesforceは、世界最大級の顧客獲得チャネルを買収したMicrosoftに戦いを挑むことを諦めていない。

第3四半期の成績表は以下の通り:

  • 売上 21.4億ドル、対前年比25%増(アナリスト予測は21.2億ドル)
  • Q4売上ガイダンス:22.67~22.77億ドル(アナリスト予測は22.4億ドル)
  • 会計2018年度ガイダンス:101.0~101.5億ドル

Salesforceの株価は総じて大きく動いていないが、昨期は香ばしくなかった。しかし今期明るい兆候を見せたことで、業界ウォッチャーは第4四半期に向けて予測を引き上げるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Dropbox Businessが企業ユーザーのためのセキュリティを多面的に強化、ソフトウェア管理のオンプレミス並を目指してSymantecとパートナー

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最近のDropboxは、同社のDropbox Businessプロダクトに力を入れていて、今日は同社の企業向け製品を大企業によりアッピールするための広範なアップデートの一環として、セキュリティベンダSymantecとのパートナーシップを発表した。

Dropboxの企業プロダクト担当部長Rob Baesmanによると、今回アドミンツールをアップデートする理由は、ユーザーに一定のコントロール能力を提供するとともに、企業が今すでに使っているセキュリティツールを併用できるようにするためだ。しかも全体の使い勝手は、Dropboxの消費者製品並に使いやすいものでなければならない。

Dropboxがその企業用バージョンをローンチした2014年には、すでに消費者ユーザーが2億7500万いた。今では全ユーザー5億のうち、20万が企業顧客だ。もちろん企業プロダクトをローンチするときも、消費者間における人気をうまく利用するつもりだったのだが、しかし実際にはいろんな問題にぶつかった。

企業のIT部門の多くが、Dropboxの消費者製品はセキュリティに問題がある、と見ていた。彼らは、社員たちが自分個人のアカウントで会社の仕事をシェアすることを嫌った。一方社員たちは、会社にいないときにはもっと簡単に素早くファイルにアクセスしたい、と願っていた。モバイル化がどんどん進んでいる中で、楽に仕事をしたいという彼らの願望を非難するのは無理だ。

企業世界に商機あり、と見たDropboxは、Dropbox Businessを立ち上げた。今日(米国時間11/16)の発表はそのプロダクトのさらなる成熟を表すもので、とくに、パートナーシップとより高度な管理機能によって、Dropbox BusinessをITにとってより魅力的な製品にしようとしている。彼らIT部門が、会社におけるDropboxの利用を強力に制御し、管理するためのツールを、提供するのだ。

今のDropboxは30以上のセキュリティ関連パートナーシップを結んでおり、それらは、データ喪失防止(data loss prevention,DLP)や、エンタープライズモバイル管理(enterprise mobility management, EMM), アイデンティティとアクセスの管理、データの移行(マイグレーション)、eDiscoveryとアナリティクスなど、多岐にわたる。それらの中で今日とくにスポットライトを当てたのがSymantecで、Symantecの企業顧客担当VP Peter Doggartを講演者として招いたほどだ。

Symantecとのパートナーシップは、エンタプライズ顧客がDropbox Businessを安全に使えるようにするとともに、クラウド上のソフトウェアに対するコントロールを、これまでの自社のオンプレミスソフトウェアに対するのと同じぐらいに厳しくするためだ。“長年オンプレミスのDLPを使ってきた顧客は、それとまったく同じポリシーをDropboxに対して適用して、クラウド/オンプレミスの統合を真に強力かつ堅牢にしたいのだ”、とDoggartは説明する。

また、Dropbox自身のネットワークアドミンツールも強化され、企業のネットワークの上でDropboxの企業トラフィックと個人トラフィックを厳密に区別し、管理できるようになった。また、社員による公私混用を認めない企業では、そういう設定もできる。

このようにDropboxは、企業のIT部門の心をつかもうと努力している。20万社の企業顧客は、数として多いように見えるが、しかし5億の消費者ユーザーに比べると大海の一滴だ。今日のようなセキュリティ強化策の発表は、同社が企業分野でのプレゼンスを、もっともっと大きくしていきたいという、願いと努力の表れだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftがLinux Foundationに参加

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もはや、オドロキではないかもしれない。Microsoftの今日(米国時間11/16)の発表によると、同社はLinux Foundationに、会費の高いプラチナ会員として参加する。

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Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinは、同団体とMicrosoftとの関係の歴史について語り、こう言った: “みんなにとっては意外かもしれないが、彼らは決して、うちの大ファンじゃなかったんだよ”。

しかしSatya NadellaがCEOになってからのMicrosoftは、これまでとはまったく違う歌を歌っている。今のMicrosoftは、オープンソースの最大の寄与貢献企業のひとつだ。最近のわずか数年間で、同社はCanonicalのUbuntuディストリビューションを実質的にWindows 10に組み込み、SQL ServerのLinux版を出し、.NETプラットホームの中核的部分をオープンソース化し、Red HatやSUSEなどとパートナーした。そしてZemlinも指摘するように、Microsoftは、Linux Foundationが管理するプロジェクトの多くに寄与貢献してきた。それらは、Node.js, OpenDaylight, Open Container Initiative, R Consortium, Open API Initiativeなどなどだ。

それにも関わらず今日の発表は、多くの人びとにとってオドロキだろう。過去には、MicrosoftとLinuxは犬猿の仲だ、と言われていた。Zemlinもこう言う: “オープンソースには反体制という感じ方がある。それも当然だ”。だから彼によれば、これまでも大企業がオープンソースをやり始めると、今回のような反応があった。でもしかしMicrosoftには、“すでに(オープンソースの世界における)長年の実績があるからね”、と彼は指摘する。

年会費50万ドルを払うLinux Foundationのこれまでのプラチナ会員は、Cisco, Fujitsu, HPE, Huawei, IBM, Intel, NEC, Oracle, Qualcomm, そしてSamsungだ。GoogleやFacebookなど10数社の主要なオープンソース企業が、ゴールド会員だ。

AzureチームのアーキテクトJohn Gossmanが、Linux Foundationの取締役会に加わる。

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Google Docs, Sheets, Slides, Formsでユーザー独自のテンプレートの作成・再利用・共有ができる

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GoogleのG Suiteアプリケーションに、前から望まれていた、小さいけどとても便利なアップデートが加わった。Docs, Sheets, Slides, そしてFormsで独自のテンプレートを作れるようになり、それは再利用可能、そして同僚との共有もできるのだ。

テンプレートをそんなに使わない人もいると思うけど、でも企業のような、繰り返し作業が多くて、一つの仕事に複数の人が関わるようなところでは、必須の機能だ。たとえばレポートやニューズレターなども、そのレイアウトを毎回新たに起こすのはたいへんだ。最近のGoogleはエンタープライズ顧客の獲得に熱心になり、サービスを企業ユーザーにとって魅力的にしようと努めているから、Google Docsにおけるテンプレートのサポートも、その努力の一環だ。

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G Suite for Business and Educationに関するGoogleの注記によると、テンプレートが全ドメイン的なテンプレートギャラリーに現れることを、承認制にすることもできる。さらに、テンプレートを提出してもよい人を、限定することもできる。

Googleが提供する、プロがデザインしたようなテンプレート集は、3月にローンチした。

Google Docsの、これと似たような機能とテンプレートギャラリーは、実は前からあった。でもその古いギャラリーはアップデートされることがなく、Material Design以前のデザインだ。

それに比べると今度のギャラリーとテンプレートは、まず、すべてのG Suiteアプリケーションに統合されているようだ。Googleによると、古いテンプレートギャラリーは2017年の早期に閉鎖される。

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SisenseのSlack, Skype, Facebook Messenger, Telegram用ボットはBIへのアクセスを非技術系一般社員にまで日常化・民主化する

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複数のデータソースを結びつけてそれらを単一のダッシュボード上に要約するSisenseは、データとの対話性を広げる技術に積極的に挑戦する。この前はAmazon Echoとの統合を発表し、ユーザーがAlexaにデータをリクエストできるようにした。

そして今日は、ボットの統合。対象がEchoからメッセージングアプリに変わった。今日のリリースがサポートしているのは、Slack, Skype, Facebook Messenger, Telegramという、定番中の定番だ。

SisenseのCEO Amir Oradによると、“最初にこの4つをパートナーとして選んだのは、企業ユーザーがとても多くて、ほとんどの企業が使っているからだ。いずれもAPIがあるから、これらのメッセージングシステムにSisenseのような外部システムがアクセスできる。このようなオープンなプラットホームこそが、企業経営の未来であり、コラボレーションの原動力だ”、という。

ユーザーは、質問をしたり、単純なリストから選択をしたりする。Slackの統合では、誰かが営業データのチャートをシェアしたら、ユーザーは“See Widget”(ウィジェットを見る)や“See Dashboard”(ダッシュボードを見る)選べる。ウィジェットを選んだら、アナリシスのウィジェットがチャートのインサイト(insight, データの奥深い意味)を提供するだろう。

Sisense Slack bot.

写真提供t: Sisense

ボットのメリットは、ソフトウェアビジネスのワークフローにインテリジェンスを持ち込むだけではない。巧みな設計のボットの真の長所は、ソフトウェアそのものの複雑性を隠してくれることだ。

“セルフサービスタイプのサービスと、データの視覚化技術によって、非技術系のユーザーでもデータを日常的に使いこなせるようになった。うちのようなビジネスインテリジェンス(BI)・ボットは、そういうセルフサービスの上で、日常の仕事環境にデータのインサイト(データの洞察的意味)を直接提供する。〔宿主であるSlackなどの上で日常的にBIを提供する。〕

いちいち、何かをクリックしたり、セレクトしたり、ときにはコピー&ペーストしたり、という、ここ30年間のソフトウェアとの対話方式と違って、対話的操作がより会話に近いものになる。ボットは、自然言語によるソフトウェアとの対話に似た感覚を与え、うまく行けばソフトウェアの隠れた価値を浮かび上がらせる。直接、非技術系のユーザーに対して。

一見ギミックのようだが、実は、Sisenseなどが提供するデータを、顧客企業内のできるだけ多くの人びとに届ける、クリエイティブな方法だ。このようなツールは、データへのアクセスを大幅に民主化し、しかもデータのエキスパートの手を煩わせずに、情報への広範なアクセスを(スタッフだけでなく)ラインのビジネスユーザーにも与える。

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Facebook Messengerに続きViberが法人向けサービスPublic Accountsをローンチ

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楽天の子会社で8億人のユーザー数を誇るViberは、プラットフォーム拡大に向けた次のステップをとろうとしている。ユーザーのだめだけではなく、売上増大のためにもFacebook MessengerやWhatsAppに攻撃を仕掛けようとしている同社は、本日法人向けの新しいタイプのアカウントPublic Accountsをローンチした。この新しいアカウントを使えば、企業やブランドはユーザーのコンタクトリストに登録されていなくても、マーケティングやカスタマーサービスに関連したやりとりを行うことができる。

img_7167ローンチ時点で、The Huffington PostやYandex、The Weather Channelを含む、約1000件のPublic Accountsが登録されており、ユーザーは彼らのアカウントにサブスクライブすれば、アップデートやその他の情報を受け取ることができる。

カスタマーサービス機能も近日中に追加される予定だ。ViberでCOOを務めるMichael Shmilovは、11月中にも10〜15種類の人気CRMパッケージにViberがAPI連携する予定だと、インタビュー中に語った。この準備が整えば、登録企業はソーシャルメディアやメール、メッセージといった既存のコミュニケーション手段と一緒に、Viberメッセージを送受信できるようになる。

さらにPublic Accountsの登場によって、Viber上で動くボットへの道も開けたが、ShmilovはViberがインハウスでボットを開発するつもりはないと話している。

「私たちは、拡張性のあるAPIを利用して最高のチャットサービスを開発することに注力しているため、自分たちでボットをつくるつもりはありません。しかし、ボットのディベロッパーに対しては(彼らがViberボットを作れるように)ツールを提供しています」と彼は語る。

本日リスボンで行われたWeb Summit内で、Shmilovが正式に発表したPublic Accountsは、”Public Chats”と呼ばれる2014年に追加された機能をもとに開発された。これは著名人(もしくは誰でも)が一般の人々と会話するための機能だが、その著名人をコンタクトリストに登録している人しか実際にやりとりをすることはできない。

Shmilovが強調するように、Public Accountsでは相手をコンタクトリストに登録していなくても、ユーザー(と企業)がやりとりをできるようになっている。これはViberでは初めてのことだ。

Public Accountsの登場によって今後Viberは、ユーザーに”話しかけられる”機能で既に法人ユーザーの獲得を狙いはじめている、他の消費者向けメッセージアプリと戦っていくことになる。

主要な競合相手となるWeChatLineは、それぞれ2014年と2015年から法人向けアカウントのサービスを開始している。Facebook Messengerは法人向けアカウントに関して少し遅れをとっていたものの、ボットやその他の機能で急速にサービスを拡大・アップデートしていき、最近でいえば昨日プラットフォームのアップデートが行われたばかりだ。

全体的なトレンドとして、ソーシャルメディアプラットフォームの運営企業は、インストリーム広告やディスプレイ広告以外の収入源を確保するため、ユーザーや彼らに関するデータを利用し、もっと消費者と距離の近いサービスを法人顧客に提供しようとしている。その証拠に、Twitterも現在カスタマーサービス機能を開発中だ。

しかし、もしもこのトレンドが本当だとすれば、まだその流れに乗っていないメッセージアプリも存在する。WhatsAppは今年の1月に、法人向けサービスを開始する予定だと話していたが、まだそのサービスは実際にはアナウンスされていない(遅くとも今年中には発表されるようだ)。

興味深いことに、他の全てのメッセージアプリが法人向けサービスを提供しようとしている現状を、Shmilovは、道理にかなっているだけではなく、良いことだとさえ考えている。Viber全体の登録ユーザー8億人のうち、約2億6600万人がアクティブユーザーにあたることもあり、ShmilovはViberのCRM機能が単に他社のサービスを補完し、全てのメッセージアプリが新たなコミュニケーション・チャネルとして認められるようになるためのフレームワークを構築するようになると見ているのだ。

「ユーザーが利用している数少ないアプリのひとつにViberが含まれているならば、私たちは企業とのコミュニケーションもViber上で行えるようにしたいと考えています」とShmilovは話す。

企業がメッセージアプリに興味を持っている理由は明らかだ。誰かと直接テキストベースのやりとりをする際の主な手段として、メッセージアプリ利用者の多くは、(完全にではなくとも)メールの代わりにメッセージアプリを使っているほか、中にはFacebookやTwitterといったオープンなプラットフォームの代わりに、メッセージアプリというクローズドなサービスを使っているという人もいる。いずれにしろ、メッセージアプリ上のやり取りはリアルタイムで行われ、これは(企業が渇望している)エンゲージメントを高める上で重要な点だ。

さらに、モバイルフレンドリーなメッセージングプラットフォームは、万能な多機能プラットフォームへと進化しようとしており、今ではステッカーのようなメディアを送付する機能のほかにも、通話機能や、オススメのレストランなどのさまざまな情報を備えた対話形式のボットなどが搭載されている。

そのため、まとまった数のユーザーと直接会話をしたい、またはカスタマサービスを提供する際に直接彼らとやりとりをしたい、もしくはその必要があると考えている企業やブランドが、メッセージングプラットフォームを利用しようとするのには納得がいく。2億6600万人というアクティブユーザー数を誇るViberは、そういった意味で、企業にとって魅力的な存在なのだ。

しかし同時に、法人向けサービスの拡大を嬉しく思っていないユーザーがいるのも確かだ。

先日の記事にも書いた通り、メッセージングプラットフォームは、Facebookのようなオープンなプラットフォームと張り合うくらいにまで成長した。FacebookやTwitter上では何でも公開されている一方で、メッセージングプラットフォームではユーザーが話しかけたい相手を選ぶようになっている。そのような環境に企業が入り込んで情報を発信しだすと、使い方によっては、ユーザーエクスペリエンスが低下する恐れがあるのだ。

Public Accountsの料金体系についてShmilovはハッキリと答えなかったが、どうやらViberはフリーミアムモデルを採用し、アカウント作成自体は無料で、法人ユーザーが機能を追加したときや、情報発信する際に課金する仕組みを導入するようだ。

「既に企業やブランドは、Public Chatsを使ってViber上でコンテンツを発信できるようになっていて、私たちはスポンサードステッカーやその他の販促サービスから売上を立てています」と彼は話し、Public Accountsがまずどのあたりから収益をあげていく可能性が高いかについて説明した。「Public Accountsのそれ以外の機能については、現状無料で利用できます」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter