自律型ドローンのスタートアップSkydioが約107億円を調達、初の商用ドローン「X2」を発売

SkydioがシリーズCのラウンドで1億ドル(約107億円)を調達した。ラウンドをリードしたのはNext47で、新たな投資家としてLevitate CapitalとNTTドコモ・ベンチャーズが参加、また既存の投資家であるa16z、IVP、およびPlaygroundらも参加した。新たな資金は、製品開発の迅速化と消費者向けアプリケーションだけでなく企業や公共部門向けドローン技術に市場開拓に充当される。またSkydioは、米国時間7月13日に商用利用向けに設計されたドローンであるX2ファミリーを発表した。

2014年に創業されたSkydioは、これまでに総額1億7000万ドル(約182億円)を調達し、消費者向けドローンを2機種発売している。どちらも人工知能技術による自律的なナビゲーション機能を有している。これはドローンが人や物体を追跡するだけでなく、木や送電線といった障害物などを回避できるというものだ。それにより、プロの撮影クルーがヘリコプターから撮ったような映像を、一般消費者市場で1000ドル(約10万7000円)足らずで提供している。

2018年に登場した初代ドローンであるR1(未訳記事)は、2499ドル(約27万円)だった。そのインテリジェンスと追跡能力は印象的で、その後のソフトウェアのアップデートや2019年に発売された現在でも注文可能な第2世代のハードウェアによって改良は進んでいる。

Skydioの新しいドローンプラットフォーム「X2」は企業向けで、2020年の第4四半期に出荷される予定とのこと。X2ドローンは360度のスーパーズームカメラとFLIR 320×256解像度の赤外線サーマルカメラを搭載し、バッテリー駆動時間は35分、最大航続距離約10kmとなっている。またドローン用のSkydio Enterprise Controllerもありタッチスクリーン、ハードウェアコントロール、そしてまぶしさを防ぐ保護フードを避けるための日よけフードがある。

コンシューマーからエンタープライズへの移行は、Skydioにとってとても理に適ったものだ。まず、コンシューマーの世界で賞賛を受けてきた衝突回避や容易な操縦性は、エンタープライズでもそのまま使える。同社によると、その衝突回避機能は精度が高く、相当な近接撮影が可能なので、リモートでのインフラや機器装置類の点検に適しているという。人が乗ったヘリでは、危険すぎてそれだけの近接撮影はできないだろう。

X2は、自身の真上180度を撮影できるので、橋の下部のような頭上にある構造物をさまざまな角度から調べるのに適している。これは従来のドローンでは難しかった。また赤外線撮影を利用すれば昼夜連続の観察も可能であり、目的物のヒートマップを記録することもできる。

Skydioは今後もコンシューマー市場にもサービスを提供していくだろうが、同社の短い歴史の中での変化進歩は、投資家にとってとても魅力的なようだ。最初は高価だが高機能で、限られた人しか手を出せないコンシューマー製品から、その後、高度な機能のまま買いやすい価格の製品を出し、そして今度は同社がその技術で実現した経済性を、はるかに利益を生む可能性があるエンタープライズ向けハードウェアとソフトウェアへ転換しているようだ。

画像クレジット: Skydio

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ローターが傾くことで従来機では不可能だった操縦ができるSkygaugeの革命的ドローンが予約注文開始

主にアジアで何度かSkygaugeのドローンを見る機会があった。カナダのチームはHAXのアクセラレーター事業に参加しており、オフィスは深圳にあった。TechCrunchが2019年に深圳で行なったHardware Battlefieldにも同社は参加していた

私が話をした人は誰も、同社のチルト可能なローター技術に感銘を受けているようだった。この技術により大規模な産業用ドローンが、従来のドローンではできなかった方法で操縦することができるようになる。間違いなく同社は、ドローンの最新技術に注目している企業の関心を集めている。多くのロボティクスや自動化関連企業も注目したはずだ。さらに新型コロナウイルス(COVID-19)は、彼らの関心をさらに高めた。

米国時間6月30日に同社は、2021年に販売を予定しているドローンの予約注文をスタートしたことを発表した。価格は未定だが、関心のある人は返金も可能な1000ドル(約10万8000円)の保証金を支払うことができる。同社によるとすでに100人の潜在的な顧客と、フォーチュン500企業10社を対象にしたデモを行う予定があるという。しかもこのような産業用自動検査デバイスは、パンデミックによりポテンシャルがより大きくなっている。同社によると、特例としてFAAがテキサスの石油や天然ガスの採掘現場での一時的な使用を認めたという。それにより労働者は自宅待機できる。

共同創業者でCEOのNikita Iliushkin(ニキータ・イリューシキン)氏は「弊社の目標は危険な場所に人間が行かなくてもすむようにすることだが、そのニーズが新型コロナウイルスによって大きくなった」と声明で語っている。

結果的にSkygaugeは、同社のアーリーアダプタープログラムをパンデミックの間にやり終えてしまったようだ。同社がドローンの製造を今後も自社で続けるのか、それともその感動的な技術をサードパーティにライセンスしていくのかといった点が気になるところだ。同社はプレシードとしてすでに40万ドル(約4300万円)を調達しており、今後も調達計画がある。

画像クレジット:Skygauge

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

点検や災害対策、警備などのインフラ事業のロボット化を目指すシンセンシンロボティクスが総額約22億円調達

設備点検・災害対策・警備監視の領域でロボットを活用した無人化、省人化を目指すセンシンロボティクスは6月30日、総額22億円の資金を調達したことを明らかにした。

第三者割当増資とデットファイナンスによる調達で、第三者割当増資の引受先は以下のとおり。ENEOSイノベーションパートナーズとコムチュア、大豊産業、カシワバラ・コーポレーション、カシワバラ・コーポレーションは新規引受先だ。

  • グロービス・キャピタル・パートナーズ
  • Eight Roads Ventures Japan
  • 伊藤忠テクノロジー ベンチャーズ
  • DRONE FUND
  • ENEOSイノベーションパートナーズ(旧:JXTGイ ノベーションパートナーズ)
  • コムチュア
  • 大豊産業
  • カシワバラ・コーポレーション
  • フューチャーベンチャーキャピタル

借入先は、三菱 UFJ 銀行、みずほ銀行、りそな銀行、日本政策金融公庫、三井住友信託銀行。これまでの約14億円の資金調達を合わせると累計資金調達額は約36億円になる。国内のドローン市場は今後さらに拡大すると予想されており、同社は今回調達した資金をサービス開発投資と人員増強に投下する計画だ。

同社は、設備点検では太陽光発電施設、通信・送電鉄塔、プラント施設、大型施設屋根、災害対策では災害時広報、被災状況確認、警備監視では巡回監視にドローンを活用している。具体的には、完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB」を活用し、埼玉・川越にある住友商事開発の物流倉庫でた警備監視・巡視点検や、フジタの建設現場での安全巡視・土木測量などでの機能検証を実施。そのほか、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)が進めている植生調査においてもドローンによる全自動陸域生態系調査の実証実験を行った。

一方で、ドローンメーカーの自律制御システム研究所(ACSL)とBtoB向けドローンソリューション構築とその社会実装に向けて連携。第1弾として、ACSLの産業用ドローンとセンシンロボティクスの自動航行プラットフォーム「SENSYN FLIGHT CORE」を利用した、ソリューションの提供を開始。これにより、物流分野で棚卸業務など屋内点検業務の完全自動化、屋外におけるドローン物流の完全自動化へ取り組んでいるほか、点検分野では遠隔監視、遠隔管理による定期点検が可能になる。

ドローンパイロットを提供するDroneBaseが約8億円調達、再生可能エネルギー企業との連携狙う

ロサンゼルス拠点で、産業サービス企業向けにドローンパイロットを提供しているDroneBase(ドローンベース)が、再生可能エネルギー企業との仕事を倍増させるため、新型コロナウイルスが蔓延する最中に750万ドル(約8億円)を調達した。

CEOのDan Burton(ダン・バートン)氏は、新型コロナウイルスのパンデミックの前に資金調達を行っていたことを認めているが、実際には産業界がロックダウンしたことで、同社のサービスに対する需要を増加した。需要の増加にもかかわらず、同社はいくつかの変更を余儀なくされた。具体的には、6人の従業員を解雇し、事業に再集中する必要があった。

バートン氏は「この3カ月間で、ドローンが産業を担う必要があると感じた」と語る。「会社としては売上増と技術への投資を回収したうえで、黒字化のための短期計画を実行した」と続ける。

同社に近い関係筋によると、5月に完了したこの新しい調達ラウンドは、前回のラウンドよりもやや小さいようだ。同氏によると「グロウスラウンドの調達は今年の後半にずれ込む」とのこと。

同社の新しい投資家は、Valor Equity PartnersとRazi Venturesで、既存の投資家であるUnion Square VenturesやUpfront Ventures、Hearst Ventures、Pritzker Group Venture Capitla、DJIのグループに加わった。同社の声明によると同社の調達総額は3200万ドル(約34億円)近くになる。

同社のコアビジネスはドローンのパイロットを手配するテクノロジーだが、それを軸にこれまでデータとアナリティクスのサービスも提供してきた。新たな資金は主に後者の育成に充てられる。そのほか今回の資金は、ドイツに置いたDroneBase Europeによるヨーロッパでの営業の拡大にも使われる。

バートン氏は 「DroneBaseが再生可能エネルギーの分野に進出するのは、風力とソーラーのエネルギー産業が今後大きく伸びるからだ。風力もソーラーもすでに多くの企業が手がけているが、弊社はDroneBase Insightsのプラットホームを利用して再生可能エネルギー業界におけるグローバルなマーケットシェアを広げていきたい」と声明で語っている。同社によると、風力発電の企業はDroneBaseのメインのアプリケーションを使ってタービンの監視と管理を行い、アップタイムを増やし、問題をそれらが顕在化する前に見つけるという。

そして太陽熱発電の企業には、赤外線画像の分析技術を持つパイロットのネットワークを提供して、ソーラーパネルのホットスポットなど欠陥箇所を見つける。

投資家の見解としては、Valor Equity PartnersのパートナーであるSam Teller(サム・テラー)氏が「DroneBaseは商用市場におけるドローンのリーダー的存在だが、再生可能エネルギーの分野における同社の新しいビジネスは、彼らのインフラストラクチャを数世代にわたって稼働可能な状態に維持し、エネルギーの未来に対し永続的なインパクトを与えるだろう。我々はDroneBaseが今後もドローンのオペレーションと、全世界の複数の業界にまたがるデータ分析で、価値あるパートナーであり続けることを信ずる」と声明で述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

蚊が媒介するマラリアなどの伝染病を不妊化したオス蚊をドローンで撒いて予防

繁殖力をなくしたオスの蚊をドローンで散布し、蚊の個体数の削減や蚊が媒介する伝染病の蔓延を抑える取り組みを大きく前進させられることが、複数の研究機関からなる研究者チームの実証実験で明らかになった。改善されたこの手法を使えば、多くの命を救うことができる。

蚊は世界中の人たちにマラリアの感染を広げ、数え切れないほどの死者や健康被害をもたらす公衆衛生上の敵だ。蚊を罠で捕獲するのも予防の一助になるが、積極的に虫の数を減らすアプローチも有効であることが証明されている。それは、オスの蚊を不妊化して自然に放つという方法だ。放たれた蚊は、他のオスの蚊と餌や交配相手を求めて競うことになるが、子孫は残さない。

問題は現場での作業が多いことだ。蚊による被害が多い地域に人が足を運び、不妊化した蚊を定期的に放たなければならない。空中散布やその他の散布方法も試されているがフランス、スイス、英国、ブラジル、セネガル、その他の国々の研究者からなるこのプロジェクトの方法が、今のところもっとも効果的で実用的なようだ。

大量に飼育され、放射線で不妊化したオスの蚊は、低温でカートリッジに詰められる(「チルド」蚊は飛んだり刺したりしない)。このカートリッジは、目標地域に運ばれるまで冷蔵保存される。その輸送はドローンが行う。

マーカーを付けてチルド保存され、散布準備が整った数千匹の蚊。画像クレジット:Bouyer et al

ドローンは規定の高度に上昇し、目標地点まで移動して、飛行しながら数千匹の不妊化したオスの蚊を満遍なく散布する。街の中心地に拠点を置けば、ドローンのオペレーターは、ドローンのカートリッジを新しいものに交換して、さらに別の場所に飛ばすことができるため広い地域をカバーでき、人が直接行う方法と比べて行きにくい場所へも即座かつ簡単に散布できる。

実験では、マーカーとして蛍光色に染められた蚊を使い、空から撒いたときの効果を追跡したところ、人の手で散布する場合と比較して、時間と労力が削減できたにも関わらず、大幅な効果の改善が見られた(改善率は50パーセント以上)。不妊化、パッキング、蚊の駆除における新方式が、この結果にさらなる上げている。

もちろん、この手法には平常時においても様々な応用が考えられるが、現在のパンデミックのような特別な状況では新たな危険をもたらす恐れがあると、研究者たちは指摘している。新型コロナウイルス(COVID-19)と蚊がもたらす疾患との併存疾患に関しては、特に研究がされておらず、サプライチェーンと普段の害虫駆除の取り組みが停滞している間は、マラリアやデング熱といった伝染病の激増を招きかねない。

こうした研究は、数十億人の健康に改善をもたらす可能性がある。研究チームの研究結果は、Science Roboticsで詳しく解説されている(Science Robotics記事)。

画像クレジット:Bouyer et al
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(翻訳:金井哲夫)

アフリカのテックニュースまとめ読み:UAVによる救命医療用品の配送など

2020年5月におきた各種イベントは、アフリカがグローバルに応用できるテクノロジーを育むことができるという主張を支持するものとなった。

アフリカ大陸でビジネスモデルを開発した2つのスタートアップ、MallforAfricaとZiplineが国際的な注目を浴びている。

DHLは、ナイジェリアのデジタルリテール・スタートアップ、MallforAfrica.comから成長したターンキーのeコマース企業であるLink Commerceの少数株を買収した。

Link Commerceは新興市場でオンライン販売を行うためのホワイトラベルソリューションを提供している。

小売業者が同社のプラットフォームにプラグインすると、支払いと物流を管理するウェブベースのストアフロントを作成できるというものだ。

ナイジェリア人のChris Folayan(クリス・フォラヤン)氏は、アフリカ大陸における消費者市場の需給ギャップを埋めるため、2011年にMallforAfricaを設立した。フォラヤン氏はアメリカに在住する間に、アフリカ人の典型的な慣行に目を留めた。海外に住む家族に欲しい商品のリストを渡し、購入して持ち帰ってもらうというものだ。

そこでフォラヤン氏は、アフリカ大陸の人々がMallforAfricaを利用してグローバルな小売業者から直接オンラインで商品を購入できるようにすることを目指したのだ。

同eコマースサイトは250を超えるグローバルな小売業者を擁し、現在オレゴンとイギリスの注文処理施設で30人の従業員を雇用している。

フォラヤン氏はその後、Link CommerceをMallforAfrica.comの主幹会社として昇格させた。同氏とDHLは同プラットフォームを世界中の新興市場に拡張し、コアビジネスにオンラインストア、決済、ロジスティクスソリューションを取り入れたいと考えている企業に提供する予定だ。

「現在焦点を当てているのはアフリカですが、グローバルな展開を見据えています」とフォラヤン氏は言う。

アフリカにおけるもうひとつのスタートアップZiplineは、新型コロナウイルスとの闘いにおいて重要な医療用品をドローンで配達するため、米国の医療提供者Novant Healthに選出された。

両者はパートナーシップを発表。これによりZiplineのドローンはノースカロライナにあるNovant Healthの緊急ドローンフルフィルメントセンターと、第一線の医療従事者がコロナウイルス患者を治療しているハンターズビルにある同非営利医療センターの間の32マイルの飛行を2ルートで行うことになる。

ZiplineとNovantは、この取り組みが米国で認可された最初の長距離ドローン物流配達飛行プログラムだと述べている。この活動は米国連邦航空局とノースカロライナ州交通局の承認を得た上でのものだ。

NovantとZiplineのUAV(無人航空機)コラボレーションの背景にはひねりがある。米国での運用機能は主にアフリカで開発されているのだ。Ziplineはサンフランシスコ地域にテスト施設を持っているが、ドローン配信モデルの構成をする際にルワンダとガーナで数年を費やした。

Image Credits: Novant Health

アメリカ人のKeller Rinaudo(ケラー・リナウド)氏、Keenan Wyrobek(キーナン・ワイロベック)氏、Will Hetzler(ウィル・ヘッツラー)氏によって2014年に共同設立されたZipline。同社は重要な医療用品を配布するための独自のUAV、ローンチシステム、ロジスティクスソフトウェアを設計した。

同社は2016年に東アフリカに目を向け、ドローンサービスをテストおよび展開するためにルワンダ政府とパートナーシップを組んだ。2016年後半、ZiplineはルワンダでUAVによる救命医療用品の物流を開始。同社はこれを世界初となる全国規模のドローン配送プログラムだとしている。

2016年に同社はガーナへと拡大。ここではドローンによる血液とワクチンの配送に加え、現在では新型コロナ関連の医薬品と検査サンプルを配送している。

パートナーのNovant Healthに加え、ZiplineはUPSなどの大手物流プロバイダーの関心も集めている。UPSは2016年まで同スタートアップのアフリカでの事業をサポートおよび調査した過去を持つ

ルワンダとガーナの大統領、Paul Kagame(ポール・カガメ)氏とNana Akufo-Addo(ナナ・アクフォ=アド)氏は、Ziplineと両国とのパートナーシップを支援するのに尽力した。ケニア、南アフリカ、ザンビアなどのアフリカ大陸の他の国々は、商業ドローンのテストとセクターを規制するための新しいアプローチを推進し続けている。

Novastar Venturesの最新の資金調達後、アフリカのスタートアップらはさらにVCで1億ドル(約108億円)の売り込みをかけている。

ナイロビとラゴスを拠点とする同投資グループは、Africa Fund IIの立ち上げに向けた1億800万ドル(約194億円)の新規契約を締結し、同社の総資本を2億ドル(約215億円)に引き上げたと発表した。

マネージングディレクターのSteve Beck(スティーブ・ベック)氏によると、追加のリソースを使用して同社は大陸全体で12〜14の投資を計画しているとのことだ。

アフリカでは電気と太陽光を利用したオンデマンドモビリティが注目を浴びている。

ジンバブエの権力者であるStrive Masiyiwa(ストライブ・マシイーワ)氏によって設立された配車サービスのモビリティベンチャーであるVayaAfricaは、今週ジンバブエで電気タクシーサービスと充電ネットワークを立ち上げた。今後はこれらを大陸全体に拡大する計画を立てている。

南アフリカに本社を置く同社は、電気自動車である日産リーフを使用し、独自の太陽光発電充電ステーションを開発した。Vaya MobilityのCEOであるDorothyZimuto(ドロシー・ジムト)氏はTechCrunchに対し、同社はパートナーシップを完成させ、ケニア、ナイジェリア、南アフリカ、ザンビアなどの国々に電気タクシーサービスを展開する予定であると語ってくれた。

アフリカにおけるオンデマンドのモビリティマーケットは数年前から本格化しており、スタートアップや投資家、大手の配車サービス企業が人々や商品の動きをデジタルプラットフォームにもたらすことを目指している。

UberとBoltは、アプリベースのタクシースタートアップも数多くあるアフリカの主要経済圏で2015年から事業を行っている。また昨年以降、アフリカ大陸では主にモーターサイクルを中心として、配車サービスや配達用のEVを開発する動きが起きている。

環境における利点に加え、個人の収入と比較して燃料費がドライバーにとって一般的に高額なアフリカのタクシー市場において、Vayaは電気にシフトすることによる乗客とドライバーへの経済的利益も強調している。

充電ステーションネットワークへの電力供給にソーラーパネルを使用しているのも、Vayaの新しいEVプログラムがアフリカの電力網における課題を克服するための救いの手となっている。

Vayaはまた、ミニバスからトゥクトゥクタクシーまで、さまざまなオンデマンドの交通アプリケーションにおけるEVオプションを模索中だ。

5月のやや悲観的なニュースとしては、新型コロナ危機の経済的影響の結果として、アフリカに焦点を当てた技術人材促進企業のAndelaが一時解雇や給与の削減を余儀なくされたことであり、同社CEOのJeremy Johnson(ジェレミー・ジョンソン)氏がその事実をTechCrunchに認めている。

報酬の削減と135人の人員削減により、Andelaの従業員数は1199人へと減少した。同社のエンジニアは解雇の対象に含まれていない。

Chan Zuckerberg Initiativeを含む投資家からの、1億8100万ドル(約195億円)のVCに支えられている同スタートアップ。各プロジェクトのためにAndelaが選出したアフリカの開発者らが働いており、同社のクライアントベースは200社以上のグローバル企業で構成されている。

ジョンソン氏によると、Andelaのサービスに対する需要は減少しているとのことだ。

関連記事:サムライインキュベートがケニア、南アフリカ、ナイジェリアなどアフリカ向けに20億円規模の2号ファンドを組成

Category:ドローン

Tag:アフリカ

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(翻訳:Dragonfly)

ドローン動画「A World Artists Love」のアニ・アコピアン監督が語る制作秘話

「ドローンはカメラ」とAni Acopian(アニ・アコピアン)氏は率直に切り出した。「空を飛べる。空飛ぶスーパーカメラなわけ!私は、ドローンの敏捷で魔法のような性能を駆使したフィルムやテレビ番組を見たり、鳥瞰撮影のような定番ではない形でドローンを使うのが大好きなんです」。

ロンドンのレコードレーベルであるAWAL(Artists Without a Label、レーベルを持たないアーティスト)のために彼女が監督し制作したこの1分間の動画「A World Artists Love」(アーティストが愛する世界)は、無人航空機の潜在的な表現力に敬意を表すものになっている。机の上から飛び立ち、ガラス戸から外に出て、階段を通過して、車の中を通り向ける。レストラン、空のプールで遊ぶスケートボーダー、廃車置き場、庭のプールでのパーティーなどを見て回る。社会的距離の確保によって我々全員を夜行性の変人にしてしまう前の、太陽燦々の南カリフォルニアの陽気な映像だ。

ワンカットで撮られたように見えるが、じつは複数のカットをつなぎ合わせている。単独で見ても素晴らしい5つのショットを1本につなげた、まさに編集の魔法だ。ドローン・パイロットRobert McIntosh(ロバート・マッキントッシュ)氏の功績も大きい。彼は、2012年、Spike Jonze(スパイク・ジョーンズ)監督作品「Pretty Sweet」にも、自作ドローンを使った撮影で参加している。

重さ120gのこのドローンは、GoPro Hero 6(ゴープロ・ヘローシックス)のカメラ部分を取り出して組み立てられた。カメラは、レーシング用ドローンに組み込まれて配線されている。その結果、手の平サイズの繊細なバッテリー寿命は3〜5分というドローンが出来上がった。だがこの小ささによって、4K映像を撮影しながら非常に敏捷に飛び回れる性能が得られた。マッキントッシュ氏はレース用のFPV(一人称視点)ゴーグルを装着し、撮影監督のEric Maloney(エリック・マロニー)氏からの無線による指示に従い、ドローンをゆっくり飛ばした。

アコピアン監督によれば、撮影とは現場スタッフの機転を必要とする作業であり、60人のエキストラを使うシーンともなれば、なおさらだという。それぞれのエキストラには、個別に動きが与えられている。カメラの広角レンズに映り込まないよう遠く離れた場所から監督が拡声器で送る指示に従い、彼らは演技する。

「出演者を配置し、ドローンの飛行経路の交通を遮断してのリハーサルを事前に行うことは不可能でした」と彼女。「なので最大の難関は、毎朝、違う場所に集まるごとに、ドローンの飛行経路、出演者の配置や動き、視覚効果用マーカーを調整して、そこから日が沈む2時間前までにできるだけリハーサルを重ねるということでした。何かうまくいかないことがあれば、やり方を変えました。シーン全体がまったく撮影できないというリスクを避けるためです」。

どのシーンも、当然のことながら、何テイクも撮影された。最高15テイクというシーンもあった。さらに、繊細な小型ドローンは何度か墜落を経験したが、それでもほとんど損傷はなかった。

「みんなが凍り付いた事故がありました。パーティーの参加者がケーキをぶつけられるシーンです」とアコピアン氏。「女優が一歩後ろに下がったんです。そこはドローンの通り道でした。ドローンは彼女の髪の毛に絡んで停止しました。幸いにも彼女は無事で、髪の毛を少し切るだけでドローンを引き離せました。そして担当者が20分ほどでドローンを修理して、20分後、そのシーンを撮り直しました。彼女は2回、顔にケーキをぶつけられることになったんです。本当のヒーローよ」。

撮影が終わると、動画はマッキントッシュ氏が開発した画像安定ソフトウェアであるReelSteady(リールステディー)で処理された。このソフトウェアは、3月にGoProに買収されている。その後、視覚効果専門のAlpha Studios(アルファ・ステューディオズ)がシーンをつなぎ、1本の継ぎ目のわからない作品に仕上げた。

「最初は、すべてのシーンのトランジションを完全に境目なく、わからなくしようと考えていたのですが、場所や機材の関係でトランジションを定形化する必要がありました。そこで私たちは、ひとつのショットをどこで終えるか、そして次のショットをどこから始めるかをAlpha Studiosと緊密に作業し決めていきました」と、プロデューサーJeremiah Warren(ジェレマイア・ウォーレン)氏は話す。「Alpha StudiosのKaitlyn Yang(ケイトリン・ヤング)は現場の視覚効果責任者ですが、そのトランジションのポイントを決める要の人物でした。彼女のチームが、ポストプロダクションで視覚効果を使いシーンの融合を行ったからです」。

その結果、ドローンはお決まりのショットだけを撮るものではないことが、そしてその過程で奥深い物語をもたらしてくれることが、美しく端的な形で示された。

「ドローン撮影の未来は明るいと私は感じています。一目でいかにもドローンっぽいと思わせることなく、その他の方法では難しい斬新なカメラの動きをもたらすものとしてドローンが使われるようになるでしょう」とアコピアン氏。「高く飛ばす必要はないんです。ドローン、とくにレース用のFPVドローンには、記憶を呼び起こすときの感じを美しく再現してくれる、流れるような感覚があります。もっと多くの人がこれを試して内的体験を再現してくれるようになれば、新しい物語の手段が生まれるだろうと私は期待しています」

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(翻訳:金井哲夫)

エアロネクストとANAホールディングスが物流ドローンを共同開発へ、空の産業革命レベル4を目指す

物流ドローン「Next DELIVERY」の試作機

独自のドローン機体設計技術を擁するスタートアップでるエアロネクストとANAホールディングス(ANAHD)は5月20日、物流ドローンの共同開発に向けて業務提携することを明らかにした。

エアロネクストの産業用ドローンの基本性能を向上させる機体構造設計技術4D GRAVITYと、ANAHDのエアラインならびにドローンオペレーターとしての機体運航に関する知見を生かし、「空の産業革命レベル4」(有人地帯での補助者なし目視外飛行)を目指す。今後は共同開発した機体をベースに、国内外のドローンメーカーとも連携して量産化を進め、輸送インフラの一部として社会普及することを目標とする。レベル4の達成によって、陸上輸送が困難な地域における生活物資や医薬品の配送や都市を含む地域における荷物配送が実現する。

試作機の荷物部分

今回の業務提携でエアロネクストは、これまで開発を進めてきた、ハードウェア制御で飛行中に重心を安定させる荷物を水平に持つことが可能4D GRAVITY技術を搭載した物流用ドローン機体「Next DELIVERY」をベースに、ANAHAに技術提供を行う。

一方のANAHDは、ドローンオペレーターとして 福岡市や五島市にて無人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル3)による実証実験の実績があり、ドローン物流サービスの事業化に向けた検証を継続しており、オペレーターとしての視点から知見を提供する。

両社は2020年度内に共同開発した物流ドローンによる実証実験を開始し、2022年度の空の産業革命レベル4」解禁に向けて量産化を進める。ドローンによる物流サービスが地域課題の解決する新たなインフラとして社会実装することを目指すとのことだ。

関連記事:ANAやLINE Fukuokaがドローン配送実験、玄界島からアワビとサザエ運ぶ

DJIの最新産業用ドローン「Matrice 300」は飛行時間55分、最大伝送距離15km

ドローン最大手のDJIは米国時間5月7日、最新機種のベールをはいだ。産業向けドローンのMatrice 300は、同社のMatriceシリーズを基に作られ、長寿命バッテリーと6面に配置された障害物検出センサーに加え、最大15kmのビデオ通信範囲を備える。

Matriceは長年続いているDJIのオールインワン産業用製品シリーズだ。このシリーズのモデルは消費者向けやプロシューマー向けよりもずっと大きく実用的で、市場に合わせた機能を備えている。消費者がドローンを主にビデオ撮影に使うのに対して、企業や公共サービスはドローンによるデータ収集に目を向け始めている。

Matrice 300はデータ収集と航空測量向けにつくられている。カメラモジュールは2種類用意されていて、H20モデルには2000万画素で光学23倍ズーム付カメラと、広角1200万画素カメラに加えて、3~1200m先の距離を測れるレーザー・レンジファインダーが搭載されている。H20Tモデルでは、センサーアレイにサーマルカメラが加えられている。

さまざまな機能を統合することで、このドローンは定点撮影などの自動化機能をもっている。コントローラーの画面にマークをつけるだけで、ドローンが自動的に同じ場所同じ角度から撮影するように指示できる。移動する物体を追跡する機能もある。

DJIの他のハイエンド機種と同じく、Matrice 300にはデュアルオペレーターモードがあり、2人でドローンを操作することができる。必要なら、Matrice 300の行動範囲の反対の端にいるパイロットに制御を渡すことも可能で、そうすることで飛行範囲と安全性が飛躍的に向上する。

DJIはこの最新ドローンに数々の改善を盛り込んでいる。衝突検出センサーをドローンの6面に配置することで360度の保護が可能だ。Matrice 300に付属する新しいコントローラーには最新のフライトソフトウェアが搭載されているので、パイロットの操作も改善されるだろう。

バッテリー寿命も大きく改善された。DJIによるとMatrice 300の飛行時間は55分で、Matrice 200の38分やプロシューマー向けInspire 2の27分を大きく上回っている。デュアルバッテリー機構によって、ドローンが地上にいる間に電源を切ることなくバッテリーをホットスワップできる。

価格は公表されていない。Matrice 300は2020年後半にDJIディーラーを通じて販売される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

DJIがカメラとバッテリー寿命をアップグレードした新型ドローン「Mavic Air 2」を発表

DJIは、このような大変な時機に、大きな発表を控えるという手もあったかもしれない。しかし同社は、世界的なパンデミックのために発表を遅らせるようなことはしなかった。軽量版のMavic Airを発売してから2年ちょっとが経った今、その後継機を発表した。

発表の直後に最初のAirをレビューした際には、私は製品自体の有用性に大きな不満を抱いた。確かに、それは優秀なエンジニアリングの見本のような製品だったが、魅力はそれだけに留まっていた。今回DJIは、少なくとも最初の製品が抱えていた問題のいくつかに対処した。中でも、バッテリー容量の増加は重要だ。

わずか21分というバッテリー寿命は、この最初の製品に対する私の不満の最大のものだった。同社によれば、新バージョンは、1回の充電で最長34分間飛ばすことが可能となったという。実際に製品を試用できるようになったら、それが現実にもたらす効果について、改めて報告するつもりだ。

私も当初、いくつか動作に関わるバグを見つけた。それらに関しては、幸いなことにソフトウェアのアップデートによって対処されている。特に、Active Trackのバージョンは3.0になった。この機能では、飛行中に物体をトラッキングする機能が向上しているという。たとえば、トラッキング中の物体が一時的に、木などの障害物に隠れてしまうことがあっても、追跡を続ける能力が向上した。POI(Point of Interest)やSpotlight機能もアップグレードされている。

そして、やはりイメージングは重要だ。もちろん、最大の性能向上は、写真とビデオに関するもの。新しいAirは、毎秒60フレームで4Kビデオを撮影できる。静止画については、最大49メガピクセルで撮影できる。3軸のジンバルによってドローンの揺れの影響を軽減する効果も期待できる。8倍のスローモーション撮影や、HDRで写真やビデオの撮影も可能となっている。さらに、低照度に対応する設定や、シーン認識機能も備えている。

本体の改善点としては、他にもワイヤレス通信の強化や、障害物回避機能の進化などがある。後者は、特に初心者にとって有効だが、どんなレベルのユーザーにも歓迎されるはずだ。

Mavic Air 2は4月27日に中国で発売された。新型コロナによる危機のため、米国を含み、世界的な配送事情はかなり複雑なものとなっている。現時点では予約注文を受け付けており、5月中旬には出荷される予定となっている。ただし、今のところDJIでも確信が持てないのは当然だろう。日本版の基本システムは10万5600円で、充電ハブ、3本のバッテリー、専用ショルダーバッグなどを含む「Fly More コンボ」は13万2000円となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GPS不要のドローン自律飛行システムを開発するSpiralが資金調達、建築・土木領域の活用目指す

ドローン自動飛行システムを開発するSpiralは4月14日、テックアクセル1号投資事業有限責任組合(テックアクセルベンチャーズ)、Miraise1号投資事業有限責任組合(MIRAISE)、静岡キャピタルを引受先とする第三者割当増資による資金調達を発表した。調達額は非公開。

土木現場での点検・監視ソリューションのイメージ図

同社は、屋内に特化したドローン自律飛行システム「MarkFlex Air」を開発する2016年10月設立のスタートアップ。GPSが届かない室内などの環境でも独自の特許技術によるマーカーを利用することでドローンの自律飛行を可能にする「MarkFlex Air:MFA」システムなど提供している。今回調達した資金は、エンジニア中心の人材採用と開発拠点の整備、システム開発の加速、開発体制の強化に使われるとのこと。

写真に向かって左から、テックアクセルベンチャーズでアソシエイトを務める萩沢 巧氏、同投資パートナーの大場正利氏、Spiral代表取締役兼CEOの石川知寛氏、同取締役兼COOの濱地健史氏、 ミレイズでパートナー兼CEOを務める岩田真一氏、 同CTOの布田隆介氏

具体的な開発強化ポイントは、建築・土木領域でGPSが使えない環境でのドローン自律飛行技術の開発、クライアント各社の現場における実証実験と共同開発の推進、システムインテグレーターやセンシング、および光学系などを中心としたソリューションパートナー企業の開拓とアライアンス構築などとなっている。人材採用については、シンガポール、ドバイ、ルクセンブルク、フランスなど海外展開も視野に入れ、国内外からエンジニアを積極的に採用する。

UPSとドイツのWingcopterが共同で配達用多目的ドローンを開発

宅配大手のUPSがドイツのWingcopter(ウイングコプター)と共に、新しいタイプの配達用ドローンを開発している。米国でも世界でも今はロジスティクス企業のドローンによる配送が増えているが、新型機はその方面の需要を狙っている。Wingcopterはすでに電動の垂直離着陸機(eVTOL)を設計しており、最大航続距離約120kmで、許容最大風速は70mで最大約240km/hでフライトさせることができる。

Wingcopterは、UPSのドローンデリバリ子会社Flight Forwardと提携する。昨年の7月にできたこの子会社が、UPSの商用ドローンデリバリ事業を担当する。2019年10月にFlight ForwardはFAA(連邦航空局)から、荷物配達用ドローン専門の航空会社として認可を得ている。

Wingcopterはすでに、ドローンの商用利用のデモを終えており、例えば2020年始めに製薬企業Merckとのデモで、同社の自動操縦eVTOLによる小型荷物のドイツ国内Merk事業所間の配送に成功した。また、UNICEFなどの救援団体とのパートナーシップにより、僻地に医薬品や救命器具などを運んだ経験もある。

このコラボレーションには、Wingcopterの航空機を米国における商用配送に使用する認可を得る目的もある。認可が下りれば、今後両社はこの垂直離着陸タイプの多様な機種を開発して、いろんなニーズに応えていくだろう。ヘルスケアやホスピタリティ、小売業など、想定される需要分野は少なくない。

Wingcopterの主な利点は、ホバーリングや垂直離陸から低ノイズの前進飛行に切り替えができることだ。そのため人口過密地帯での利用に適している。同社のティルトローターの設計は、この垂直飛行と水平飛行をスムーズに切り替えられるだけでなく、雨や強風といった悪天候下でも安定飛行できるという利点もある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国が外国製ドローンの政府使用を禁止へ

TechCrunchが得た情報によると、米トランプ政権は国家安全保障上のリスクを理由に、連邦政府の部門や機関が外国製ドローンを購入または使用することを禁止する大統領令を準備している。

TechCrunchが確認した大統領令の草案は、この数週間で起草されたものだ。ドローンが収集した機密データが敵国に送信される恐れがあるため、外国製ドローンと外国製部品を使用するドローンの両方を事実上禁止する案だ。草案は特に中国の脅威を強調している。中国は米国で政府と消費者の双方にドローンを供給する主要拠点だ。他国製も後で追加される可能性がある。

草案は、米国製ドローンの使用を「奨励する」ことが政府の方針だと述べている。

署名されれば、連邦政府機関は1カ月以内に大統領令を順守する必要がある。だが草案によれば、軍と諜報機関に広く免除を認める見込みだ。

ホワイトハウスの広報は問い合わせに対しコメントを控えた。

これは中国製の技術を取り締まる最新の動きだ。中国政府が権力と影響力を行使して企業にスパイを強要している懸念がもたれている。とりわけHuawei(ファーウェイ)とZTE製品は、米政府機関内の使用が禁止された。中国政府とのつながりがリスクとなるという主張に両社は反論している。中国政府は、米国その他の外国製技術の政府内使用を禁止することにより対抗した

米政府が中国製ドローンを広範に使用している点が、ここ数カ月でより厳しく精査されている。米内務省は1月、収集されたデータが米国の敵にとって「貴重」だという懸念から、800近くの外国製ドローンの使用を緊急時を除き禁止するよう命じた。

だが、TechCrunchが2019年7月に確認した電子メールによると、禁止命令が発効するほんの数カ月前まで、外国製ドローンの使用に伴うリスクに関して政府内部で不一致があったようだ。内務省の最高情報責任者であるWilliam Vajda(ウィリアム・ヴァイダ)氏は、2人の上級スタッフへのメールで、同省のドローンプログラムは外国製ドローンの「リスクを理解した上で軽減するための適切な措置を講じている」と述べた。

「より効果的なリスク軽減策は、非外国、すなわち米国の技術のみを使用することだ」と同氏は述べた。

内務省が使用するドローンの大部分は、DJIなど中国拠点の会社が製造したものだ。大統領令が署名された場合、最も多くを失うのはDJIだ。10年後に約150億ドル(約1兆5600億円)の規模が見込まれる市場で、同社は世界のドローンの約70%を供給している。

内務省の広報は、同省が外国製ドローンの「リスクをさらに検討する」ために取り組んでいると語った。

DJIの広報担当Michael Oldenburg(マイケル・オルデンバーグ)氏は声明で「当社は草案を確認していないが、今回の提案は製造国を名目としたドローン技術に対する新たな攻撃だ。最近の報告によれば、 農務省、内務省、魚類野生生物局、さらにホワイトハウスの行政管理予算局もこのような攻撃を批判している」と述べた。

「これら機関の当局者らは互いに協議し、このようなアプローチが米国の利益を毀損するだけでなく、サイバーセキュリティーの問題解決にもならないと説明している。また、DJIの製品が政府の業務で安全に使用できると検証されたことも認めている」とオルデンバーグ氏は述べた。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

配達用ドローンのランディングステーションはSF映画のセットみたいだ

配達用ドローンはもちろんハイパーローカルなテクノロジーのホットな話題だが、その未来の飛行物体はそもそもどこに着陸するのか?芝生?そこでMatternet(マターネット)は、同社の輸送ドローン用のランディングステーションを作った。しかし、それは配達のためのインフラというよりも、60年代のSF映画の殺人光線兵器に似ている。

離着陸の場所を特定しないPrime Airなどと違ってMatternetのドローンは、特定の場所を結びつける配達ネットワークを使う。そのやり方は確実ではあるが、病院など時間を争う配達には向いていないかもしれない。

関連記事:大学病院が血液サンプルの配送にドローンを利用

同社はスイスとノースカロライナでパイロット事業を行い、最近サンディエゴでも始めた。医療機関が交通渋滞などの問題に悩まされずに血液などの検体や医療品やワクチンなどの発送や受け取りが目的だ。

問題は、ドローンがどこに着陸してそのあとどうするか。誰かが電池交換をするのか?そのドローンに接近しても安全だと誰が言うのか?積荷をどうやって取り外すのか?どんな方法にせよ、なるべく容易でできるだけ自動化してほしい。それを実現するのが、ステーションの役目のはずだ。

テクノオーガニックな曲線と、花のような上部のハッチを見ると、高さ10フィート(3m)のそのステーションは「Star Trek: The Original Series」(スタートレック宇宙大作戦)とか「Lost in Space」(宇宙家族ロビンソン)なんかを彷彿とさせ、機能的であると同時に、明らかに目立つことも狙っている。

ドローンが到着すると上部が開き、ドローンはその中央に着陸する。ステーションの機構部がドローンをしっかりと固定し、積荷を下ろすとともに電池も換える。積荷は塔の部分に収容され、認証された人物が来るのを待つ。その人はドングルをスキャンしてドアを開き、パッケージを受け取る。

ドローンが1台だけなら、再び必要とされるまで上部のバルブのような部分に収まるだけだが、配達に複数の機を使用するときは中の機がすぐ離陸して約60フィート(18m)上空を「ドーナツ状に」旋回する。

このステーションは今年の第2四半期に、Matternetの既存の顧客である病院のひとつに設置される。そして安定稼働が実証されたら、もっと広く展開されるだろう。下のデモビデオは、俳優たちが演じるドラマになっている。

画像クレジット: Matternet

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AlphabetのLoonとSoftBankのHAPSMobileによる成層圏ネットワーク構想に世界的大企業が続々参加

Alphabetの高高度気球企業Loonと、SoftBankの子会社で成層圏にグライダーを飛ばすHAPSMobileが率いる、全業界的企業連合が、高高度の送受信メカニズムを利用するネットワーク接続のスタンダードと関連技術を開発していくことになった。

これは両社が2019年4月に結んだパートナーシップの拡張で、Loonが使用するネットワークハードウェアが、HAPSMobileの長翼成層圏ドローンと互換性を持つことになる。両社はもっと多くのメンバーを歓迎しており、すでにAirbusの防衛および宇宙部門やBharti Airtel、China Telecom、Deutsche Telekom、Ericsson、Intelsat、Nokia、HAPSMobileの親会社SoftBank、Telefonicaなどが企業連合に参加している。

この企業連合はHAPS Allianceと呼ばれ、HAPSはHigh Altitude Platform Station(高高度プラットホームステーション)の頭字語だ。目的は技術の利用を宣伝するとともに、この技術を利用しようとする市場で規制当局と協力することだ。彼らが共同してネットワークの相互運用性のベースとなる共通の規格を開発し、企業連合各社が互いに衝突や妨害をしないような成層圏の利用技術ないし相互監視技術を作り出す。

現在のメンバーが増えたグループには、世界で最も強力なネットワーク事業者や、ネットワークインフラストラクチャの重要なプレーヤー、それに航空宇宙企業が含まれている。これだけ揃うことで、成層圏ネットワークに何か重要なことが起きると期待される。成層圏は地球に近く、人工衛星を利用するインターネット接続と比べてアドバンテージがあり、また困難な地形や狭い圏域など、地上基地局の不便さもない。

この動きをきっかけに、未来の携帯電話やインターネットの接続は、高い空を飛ぶ自律的な基地局が提供することになるのだろうか。現時点ではどこまで普及するか不明だが、現在、すでにそうそうたるメンバーが企業連合に参加しているだけに、実現性は高いと感じられる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドイツでトラックに代わるドローンによる社内輸送の試行を実施

ドローンのスタートアップであるWingcopterは、提携先である製薬会社のMerck(メルク)およびフランクフルト応用科学大学と共同で、新しいドローン輸送サービスの運用テストを完了した。物理的に離れた社内施設間で小型貨物を運ぶ際に、トラックやその他の路上輸送に代えてドローンを使うことの利点を示すことが目的だ。今回の初フライトでは、ドイツのゲルンスハイムにあるメルクの研究施設から約25km離れたダルムシュタットの本社まで顔料サンプルを運んだ。

この試行にはいくつもの重要な意味がある。現地は比較的密集した都市部にあり、送電線、鉄道、道路などの上を飛行しなければならない。またこの実験では、継続的な視界を確保せずに実施されたが、有視界飛行は現在ほとんどの商用ドローン輸送テストで必須だ。提携各社はこれが世界中で行われている同様のパイロットプロジェクトの参考事例になることを望んでいる。

今後、同プロジェクトはさらに輸送テストを重ね、実験結果をまとめて3月に報告する予定だ。トラックに代えてドローンを使用することは、時間(1日が1時間になることもある)、排出ガス、さらには重くて燃料を食う大型トラックを空で戻す無駄を省くこともできるなどのメリットがある。

WingcopterのCEOであるTom Plümmer(トム・プルマー)氏はプレスリリースで、さまざまな利用場面でのドローン配送の利点を「繰り返し実演」してきたことを強調し、救急救命医療品を遠隔地に届けたことにも言及した。米国では、Alphabet傘下のWingがFedExとの提携で実施した試験、UPSがMatternetと共同配送した例などがあるが、今回の商用試験は一般消費者の賛同を必要としない点で、短期的にはチャンスが大きいかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

大学病院が血液サンプルの配送にドローンを利用

ドローンは食べ物の配達には向いてないかもしれないが、でも病院が使えば命を救うこともある。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の大学病院であるJacobs Medical Center(ジェイコブス・メディカル・センター)では、運送大手UPSが運用するMatternet(マターネット)のドローンを使って、検査用血液などを同病院の複数の施設間で送受する試験を開始した。

このような事業はMatternetにとって三度目だ。まずUPSとの 最初のパートナーシップでは、ノースカロライナのWakeMed病院で1900回の飛行を行った。またチューリッヒでSwissPostが行った飛行では、墜落事故で中断した運用を今月再開する。

関連記事:UPSがドローンスタートアップのMatternetと組んで医療サンプルを輸送

速達性を要求される生物学的標本などの配送は、クーリエサービス(バイク便)が利用されることが多いが、どんなバイクの名人も渋滞には勝てない。

ドローンによる配達は自動操縦になるが、リモートで監視が行われるし、ジェイコブス病院とがんセンターのMoores Cancer Center(ムーアズ・キャンサー・センター)と実験医学センターのCenter for Advanced Laboratory Medicine(センター・フォー・ラボラトリー・メディシン、先端臨床検査センター)はお互いに距離1マイル(約1.6km)未満の見通し線上にある。

今月はドローンスタートアップのMatternetにとって大きな月だ。試験事業が並行して2つもあるし、またヘルスケア専門のVC、McKesson Venturesからの戦略的投資の話もある。

画像クレジット: Matternet

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米内務省がセキュリティーの懸念からドローン使用を休止

米国内務省は、サイバーセキュリティーの懸念を考慮して同省の非緊急用ドローン機隊の活動を休止すると発表した。同省はこの決定について、「ドローン運用に用いられるテクノロジーがわれわれの国家安全保障の妨げにならない」ことを確実にするためであると短い声明の中で説明した。

内務省報道官のCarol Danko(キャロル・ダンコ)氏は、「サイバーセキュリティー、テクノロジー、および国内生産に関わる懸念が適切に対処されていることを確認したうえで、非緊急用ドローン使用の一時休止」を同省が正式に命令したと語った。同省は3カ月前にドローン約800機の休止を発表していた。しかし、ドローンは今も救命や自然災害支援などの緊急目的には利用されると声明に述べられている。

このニュースはCyberscoopが最初に報じた

命令には中国からの脅威への具体的言及はなかったが、ドローン作戦中に収集した情報は、「外国の企業、組織、政府にとって価値をもつ可能性がある」と語った。

ダンコ氏はTechCrunchに、現在同省にはDJI製ドローン121機と、中国製だがDJI製ではないドローン665機を保有していると語った。また、24機は米国製だが中国製部品を使用していることも付け加えた。「今回の見直しはあらゆる脅威とリスクの可能性を検証するために行った」と同氏は述べた。

他のいくつかの政府機関(軍部を含む)も、中国製ドローン機隊の使用をを禁止または停止している。

DJI広報のMichael Oldenburg(マイケル・オルデンバーグ)氏は、この決定について同社は「非常に残念に思っている」と語った。

中国企業は、中国政府との関係疑惑から米国政府での使用禁止あるいは制裁措置を受けている。脅威の主な理由は、中国IT企業が中国政府からスパイを強要されている、あるいは欧米に対するスパイ行為に利用されている可能性だ。昨年トランプ政権は、政府機関におけるファーウェイおよびZTE製ネットワーク機器使用を禁止した。ほかにも、無線機器メーカーのHytera(ヒテラ)、監視カメラ最大手のHikvision(ヒクヴィジョン)など数社が米国政府から締め出された。

昨年DJIは、懸念を払拭するためにカリフォルニア州でのドローン組み立てを検討していると発表した。

関連記事:Despite objection, Congress passes bill that lets U.S. authorities shoot down private drones

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドローンの交通警官を目指すAirspace Linkが4.4億円調達

米国中の都市にドローンが増殖する中、行政当局はいずれ空中に巻き起こるであろう交通渋滞に対応すべく方法を探っている。

AirmapKittyHawkといった企業は、何千万ドルもの資金を調達して、都市の心地いい空の渋滞を整理するための技術を開発しているが、そこに新たなライバルが登場した。ミシガン州デトロイト拠点のスタートアップであるAirspace Linkは、多数の投資家から400万ドルの資金を集めて自社のサービスを拡大しようとしている。

Airspace Linkは今回の調達ラウンドの前に、連邦航空局(FAA)から、低高度認可および通知機能(LAANC)の認可を受けたことをCEOのMichael Healander「マイケル・ヘランダー)氏が語った。

ヘランダー氏によると、Airspace Linkが他社と差別化しているのは、地方自治体で使用されている地図ツールと統合することによって、地上のリスク情報を提供していることだという。

「我々は地上のリスクに基づいて経路を生成しており、どこを飛んでいいかを知らせるためにドローン・コミュニティーに情報提供している」とヘランダー氏は言う。

都市の地形情報の知識は、Airspace Linkと地理情報システム会社のESRIとの密接な共同作業から得たものだ。ESRIは国、州、地方自治体に長年地理情報やサービスを提供している。

「先月だけで、どんな規制が必要になるかを理解した。今後2年のうちに、あらゆるドローンが我々のプラットフォーム上でリアルタイムに追跡されるようになる」とヘランダー氏は語る。そして「現在は、飛行計画の承認のみ行っている」と続ける。

ドローン操縦者の数が増えるにつれ、無人飛行体が悪の手に渡ったときの市民へのリスクは増大する。

駐車場、スポーツイベント、コンサートをはじめあらゆる公共の場が、ドローンを使った攻撃の標的になりうる。

「ドローンはますます強力で賢くなっている」とEUセキュリティー委員長のJulian King(ジュリアン・キング)氏が昨年夏の声明で警告した。「これは正当な用途だけでなく、敵対行為のためにも魅力が増していることを意味している」。

すでに米国人口の約半数が管理された空域下に居住しており、重量が2分の1ポンド(227g)以上のドローンは、飛行計画の承認を受ける必要があるとヘランダー氏は説明した。

「我々は人口データを構築し、非常時や人口密度の高い地域に勧告を与えるためのツールを州および地方自治体に提供している」と同氏。「その結果、我々のプラットフォームを経由してドローン業界に勧告が伝えられることになる」と続けた。

Airspace Linkは、2019年9月に調達前評価額600万ドルで100万ドルのプレシードラウンドを完了した。現在の会社価値は公表されていないが、同社のこれまでの実績は、Indicator Venturesを筆頭に、2048 Ventures、Ludlow Ventures、Matchstick Ventures、Detroit Venture Partners、Invest Detroitらの投資家の注目を得るには十分だった。

ヘランダー氏は、Airspace Linkを起業する前に室内GPS追跡のスタートアップ、GeoMetriを設立し、後にAcuity Brandsに売却している。

「私は生涯に渡るESRIのパートナーだ」とヘランダー氏は語る。「地理空間業界で4社か5社に勤めたが常にESRIと仕事をしてきた」。

同社のサービスは4つの主要な部分からなる。AirRegistryは、人々がドローンによる配達の受取りをオプトイン/オプトアウトできるサービス。AirInspectは、都市や州がドローン操縦者を認可するためのサービス。AirNetmは、FAAと提携してドローン向けに承認された空路を作成する。AirLinkは、ドローン操縦者と地方自治体をつないでドローン登録の料金を徴収するためのAPIだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドローンの交通警官を目指すAirspace Linkが4.4億円調達

米国中の都市にドローンが増殖する中、行政当局はいずれ空中に巻き起こるであろう交通渋滞に対応すべく方法を探っている。

AirmapKittyHawkといった企業は、何千万ドルもの資金を調達して、都市の心地いい空の渋滞を整理するための技術を開発しているが、そこに新たなライバルが登場した。ミシガン州デトロイト拠点のスタートアップであるAirspace Linkは、多数の投資家から400万ドルの資金を集めて自社のサービスを拡大しようとしている。

Airspace Linkは今回の調達ラウンドの前に、連邦航空局(FAA)から、低高度認可および通知機能(LAANC)の認可を受けたことをCEOのMichael Healander「マイケル・ヘランダー)氏が語った。

ヘランダー氏によると、Airspace Linkが他社と差別化しているのは、地方自治体で使用されている地図ツールと統合することによって、地上のリスク情報を提供していることだという。

「我々は地上のリスクに基づいて経路を生成しており、どこを飛んでいいかを知らせるためにドローン・コミュニティーに情報提供している」とヘランダー氏は言う。

都市の地形情報の知識は、Airspace Linkと地理情報システム会社のESRIとの密接な共同作業から得たものだ。ESRIは国、州、地方自治体に長年地理情報やサービスを提供している。

「先月だけで、どんな規制が必要になるかを理解した。今後2年のうちに、あらゆるドローンが我々のプラットフォーム上でリアルタイムに追跡されるようになる」とヘランダー氏は語る。そして「現在は、飛行計画の承認のみ行っている」と続ける。

ドローン操縦者の数が増えるにつれ、無人飛行体が悪の手に渡ったときの市民へのリスクは増大する。

駐車場、スポーツイベント、コンサートをはじめあらゆる公共の場が、ドローンを使った攻撃の標的になりうる。

「ドローンはますます強力で賢くなっている」とEUセキュリティー委員長のJulian King(ジュリアン・キング)氏が昨年夏の声明で警告した。「これは正当な用途だけでなく、敵対行為のためにも魅力が増していることを意味している」。

すでに米国人口の約半数が管理された空域下に居住しており、重量が2分の1ポンド(227g)以上のドローンは、飛行計画の承認を受ける必要があるとヘランダー氏は説明した。

「我々は人口データを構築し、非常時や人口密度の高い地域に勧告を与えるためのツールを州および地方自治体に提供している」と同氏。「その結果、我々のプラットフォームを経由してドローン業界に勧告が伝えられることになる」と続けた。

Airspace Linkは、2019年9月に調達前評価額600万ドルで100万ドルのプレシードラウンドを完了した。現在の会社価値は公表されていないが、同社のこれまでの実績は、Indicator Venturesを筆頭に、2048 Ventures、Ludlow Ventures、Matchstick Ventures、Detroit Venture Partners、Invest Detroitらの投資家の注目を得るには十分だった。

ヘランダー氏は、Airspace Linkを起業する前に室内GPS追跡のスタートアップ、GeoMetriを設立し、後にAcuity Brandsに売却している。

「私は生涯に渡るESRIのパートナーだ」とヘランダー氏は語る。「地理空間業界で4社か5社に勤めたが常にESRIと仕事をしてきた」。

同社のサービスは4つの主要な部分からなる。AirRegistryは、人々がドローンによる配達の受取りをオプトイン/オプトアウトできるサービス。AirInspectは、都市や州がドローン操縦者を認可するためのサービス。AirNetmは、FAAと提携してドローン向けに承認された空路を作成する。AirLinkは、ドローン操縦者と地方自治体をつないでドローン登録の料金を徴収するためのAPIだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook