KanoのPixel Kitは、子供たちをプログラミングに熱中させる


度重なる遅れを経て、Kanoは最新の子供向けプログラミング製品、Pixel Kitをようやく出荷した。可愛らしくコンパクトでカラフルなこの製品は、子供たちのイマジネーションを呼び起こすに違いない。

79.99ドルのこのデバイスは、ピクセル化されたアクリル製Etch A Sketchのようにも見えるが、子供にやさしいこのガジェットの神髄は、子供たちがテクノロジーに親しみエレクトロニクスにできることは何でも作れるということを学ぶところにある。

子供たちは部品を組み立て、同社の提供するソフトウェア群を通じてデバイスを制御することで、プログラミングの基本に慣れることができる。ピクセルアートを方法的に作っていくことで、Pixel Kitは子供たちにアートとテクノロジーの両方と同時に関りをもたせる。

Pixel KitはComputer KitやScreen Kitに続く、増え続けるKano製品の最新作だ。他のデバイスが150ドルだったのと比べてPixel Kitはコンセプトに興味をそそられた親たちが買いやすい価格に設定されている。

ロンドンを拠点とするKano Computingは、これらの直観的で賢いキットを作るために投資家から1500万ドルを調達したほか、2度のKickstarterキャンペーンで、それぞれ140万ドルと64万3000ドルを集めた。

昨年9月にスタートした最新のキャンペーンでは、Pixel Kit、Camera Kit、およびSpeaker Kitという3つの新製品を披露した。

昨年Kanoが発表した新製品の詳細はこちら

Pixel Kitは目標出荷日の2016年12月から数か月遅れてやってきたが、価格は支援者が払った金額よりも安く設定されている(プレッジは99ドル、目標小売価格は129.99ドルだった)。

現在Kanoは別のキットの開発に重点を移しており、Pixel Kitに続きSpeaker Kitも出荷予定だと支援者に通知している。Kickstarterキャンペーンのコメント欄を見る限り、その他のデバイスの出荷予定日は更新されていない。

Pixel Kitは79.99ドルでKanoのサイトから購入できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

この伸縮する耐久性の高いセンサーは衣服に織り込むことも可能だ

もし私たちがIoTに関わらなければならないのなら、衣服もその仲間に入れないことには意味がない。しかし、衣服は着用され、洗濯され、束ねられ、折りたたまれなければならない。そうした扱いすべてに耐え得る電子機器を作るのは困難だ。それでも多くの試みが重ねられて来ている。その最も新しい試みの1つが、ハーバード大学ウィスインスティテュートによるものだ、これはシンプルだが効果的なレイヤー手法を用いて、耐久性がありカスタマイズ可能な、柔軟なセンサーを生み出すものだ。

これはとても基本的なものである、すなわちシリコンの充填物の上下を導電性の布地の層で挟んだ素材のサンドイッチだ。布地が伸びると、シリコーンは薄くなり、導電層が互いに接近して、それらの間の静電容量を変化させ、異なる電気信号を生成する。

液体シリコーン上に布を置くことで、加工を可能にし、層を物理的に固定化されたものにする。このため信号はより予測可能となり、布地はいつでも基本静電容量に戻ることができる。その一方、わずかな曲げや伸びがあっても、測定可能な変化が生じる。また、任意の大きさと形状の布片に細断しても機能する。

チームは複数の素材を組み合わせて作った手袋で、個々の指の微妙な動きが簡単に検知できることを示した。

この素材について説明した論文の、共著者の1人である大学院生のVanessa Sanchezは、ハーバードのニュースリリースの中で「センサの感度が高いということは、手全体を開いているか握りしめているかだけではなく、1本の指をわずかに動かすなど、小さな動きを区別する能力があることを意味します」と語っている。

これはスポーツからバーチャルリアリティまで、あらゆる種類の産業に対して恩恵をもたらすものかもしれない。身体追跡を行なうための現在の手段は、例えば拳に装着する外骨格のようなものや、運動着の内側に付けるストップウォッチサイズのトラッカーなどのように、硬く奇妙なものが多い。

とはいえ、この材料はまだ初期の段階だ。信号は非常にシンプルなので、慎重な工夫を凝らすことなしに、方向性を持たせることは基本的にはできない。つまり、システムは対象が曲がっていることは検知できるが、左右のどちらに曲がっているかを検知することはできないのだ。とはいえ、私は賢いエンジニアが、信号処理か、異なる切断方法を行って素材に貼り付けることによって、この問題を解決してくれると信じている。

チームはAdvanced Materials Technologiesの最新号作成手順を詳述している。もし自分で試してみたいと思っている人は、ハーバードのSoft Robotics Toolkitページでも詳細を読むことができる。

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(翻訳:Sako)

マイクロソフト、AI研究所を創設してGoogleとDeepMindに挑戦

本日(米国時間7/12)Microsoftは、汎用人工知能技術の開発に重点を置く新しい研究所を設立したと発表した。場所はMicrosoftのレドモンド本社内で、科学者100名以上からなるチームが、自然言語処理から機械学習、知覚システムまで様々な分野のAIを研究する。

単一の作業に特化することなく様々な分野の問題に効率よく取り組むことのできる汎用AIを作ることは、多くの先端企業が目指しているゴールだ。例えばGoogleは、自社のGoogle Brainプロジェクトおよび2014年に買収したDeepMindの成果を利用して、汎用性の高いAIを開発しようとしている。DeepMindは現在Googleの親会社でもあるAlphabetの子会社になっている。

Microsoftの新たな挑戦はMicrosoft Research AIと呼ばれ、社内のAI専門家に加えて、認知心理学など関連分野の専門家を積極的に採用してチームを強化していく、とBloombergは書いている。新研究所はMITのCenter for Brains, Minds and Machines[脳・知性・機械センター]とも正式に提携する。産学協同による研究はAI開発分野では珍しくない ―― Microsoft、Google、およびUberを始めとする各社は学術組織に協力を約束することで関連する学問を専門にする学生を採用候補として確保している。

研究所の設立に加え、Microsoftは会社全体の監督機関として、AI倫理監視委員会を設置する。これもまた業界のトレンドを追うものだ。Microsoftは、DeepMind、Amazon、Google、Facebook、およびIBMと倫理的AI開発のための会社間契約を結んでおり、GoogleとDeepMindにも独自のAI倫理委員会がある

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスクのHyperloop One、実物大ポッドの走行テストに成功

Hyperloop Oneは最初のフルスケールモデルの実験に成功した( The Vergeの記事)。実物同様のサイズのポッドを密閉された真空チューブで走行させたものだ。このシステムは最終的には超高速運輸を狙っているが、ネバダ州における今回の実験は速度記録への挑戦が目的ではなかった。実験用ポッドの最高速度は時速112キロ程度にとどまった。

Hyperloop Oneの共同ファウンダー、Shervin Pishevarによれば、このテストは、速度ではなく、チューブ内に真空環境を維持し、ポッドが計画どおり走行できることを実証するのが目的だった。ポッドは高度60キロ程度の成層圏上層に相当する準真空中を走行した。Hyperloop Oneは空気抵抗を除くことによって高速と経済性の達成を狙っている。

ネバダ州に設けられた全長500メートルのテスト・コースにおける実験の次の目標は時速400キロでの走行だ。このシステム最高速度は理論上、時速1200キロに達するはずだが、現在のテスト・コースでは短すぎて実現不可能だという。

実用化までにHyperloop Oneが解決しなければならない課題はまだ数々ある。Hyperloop OneはUAE(アラブ首長国連邦)のドバイとアブダビを結ぶ時速800キロの路線を開設する計画だ。小さい一歩にしても進歩は進歩だ。フルスケールのポッドの走行テストが成功したのは実現に向かっての前進といえるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

政府のデータ要求からユーザーを保護する(or しない)IT企業はここだ

電子フロンティア財団(EFF)の最新レポート、”Who Has Your Back?” には、IT巨人たちが政府の侵略的データ要求からユーザーを保護するためにしていること ―― あるいはしていないこと ―― が詳しく書かれている。

この年次レポートには、米国4大ワイヤレスネットワーク事業者を始め、IT業界最大手の各社が揃って取り上げられている。勝者と敗者には、読者の予想通りのものもあるが、ちょっとした驚きもいくつかあった。

EFFは以下の5種類の分野についてそれぞれ5つ星で各社を評価した:業界のプライバシー慣習に従っているか、データ要求についてユーザーに通知しているか、ユーザーを第三者に売っているか、口外禁止命令に反抗しているかSection 702に基づく監視の廃止あるいは改訂を支持しているか。このレーティングシステムでは、5つ星はユーザーのデータを売り渡している可能性が最も低いことを意味し、星ゼロは、政府のデータ要求からユーザーを保護する努力を全く行っていないことを意味している。

「われわれは、政府による無制限なデータ利用を阻止する暫定行動を測定する具体的基準をいくつか定めた。このレポートを通じて、私たちのデジタル生活が政府の侵略的・非民主的監視の対象にならないよう、IT企業がポリシーを見直すことを願っている」とEFFは書いている。

5つ星★★★★★:

  • Adobe
  • Credo Mobile
  • Dropbox
  • Lyft
  • Pinterest
  • Sonic
  • Uber(これが入るとは思わなかっただろう!)
  • Wickr
  • WordPress

4つ星★★★★(敢闘賞)

  • Apple
  • Facebook
  • Google
  • LinkedIn
  • Microsoft
  • Slack
  • Yahoo

1つ星★の敗者たちの共通点にお気づきだろうか

  • AT&T
  • Comcast
  • T-Mobile
  • Verizon

2つ星★★(不名誉賞)

  • Amazon
  • WhatsApp

3つ星ランクには、Airbnb、Snap、およびTwitterが入った。なお、このレーティングシステムは「政府要求」によるユーザープライバシーが対象であることに注意されたい。広告主その他に関するユーザープライバシー全般についてではない(FacebookやGoogleのことを言っている)。各社の強みと弱みについては、報告書の会社別詳細を参照されたい。

ご存知でない方のために書いておくと、EFFはプライバシー問題に関する非常に有意義ななまとめを提供している組織だ。数多くのポリシーをこのレポートのようなスコアカードにまとめて毎年公開している。近く公開される2017 Secure Messaging Scorecard[2017年安全なメッセージングアプリ・スコアカード]にも注目されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

仮想通貨取引所のビットバンクがポイントサイトのセレスから8.5億円を調達、スマホ向けサービスで協業

仮想通貨の会社とポイントサイトの会社が手を組んだ。7月12日、仮想通貨取引所を運営するビットバンクは、スマートフォン向けポイントサイトを運営するセレスを引受先とする第三者割当増資により8.5億円を調達する。セレスはこれに加えて既存株主からも株式を取得し、ビットバンクの株式の29.9%を保有する第2位の大株主となる。今後両社は仮想通貨関連の事業で協力していく。仮想通貨分野の中でも大型の資本業務提携といえる。

ビットバンクは今まで主に個人投資家と事業会社から資金を調達してきた。今回の資本提携で、ビットバンクはセレスの持分法適用会社となり、セレス代表取締役社長の都木聡氏がビットバンクの取締役となる。ただし1位の株主はビットバンク代表取締役CEOの廣末紀之氏のままだ。調達した資金は、仮想通貨取引所のマーケティング強化、仮想通貨交換業者として金融庁に登録する上で重要となる財務基盤の強化、人材獲得などにあてる。

セレスが運営するポイントサイトはアクティブユーザー数約300万人の規模だ。このリーチを活かし、セレスはスマートフォン向けの仮想通貨取引所サービスを提供する予定だ。ビットバンクの仮想通貨取引所サービスを相手先ブランドで提供できるbitbank for brokerを活用する。

ビットバンクでは今までビットバンク先物取引のBitbank Tradeが売り上げの主力だった。今後はスマートフォンを使うライトユーザー向けの仮想通貨取引所ビジネスに期待している。「モバイルのライトユーザーを取り込むことで、取引所の流動性が上がる。ビットバンクの取引所はスプレッド(売買の価格差)が小さいことはライトユーザーにも分かってもらえるはず」(廣末CEO)と話す。

両社は仮想通貨取引所のビジネスにとどまらず、仮想通貨とブロックチェーンに関わる将来的な事業に関しても協力する。いわゆる「レイヤー2」と呼ばれるマイクロペイメント分野や、IoT(Internet of Things)分野への展開も視野に入れる。セレスは発表資料の中でポイントサービスと仮想通貨&ブロックチェーン技術は「親和性が高いと考えている」と述べている。一方ビットバンクは「トークンエコノミー(非現金決済社会)の実現に向けて共同で事業展開」していくと述べている。これは、両社が仮想通貨取引所だけでなく、新しい応用に目を向けていることを示していると言っていい。

ビットコインに代表される仮想通貨は、その可能性の一部分だけしか具体化していない。現段階では一部の店舗やサービスでの少額決済や、仮想通貨取引所でのトレードなどに限られている。Ethereumプラットフォーム上のDapps(Decentralized Application:分散型アプリケーション)は多数登場しているが、その中に実稼働中の本格的なサービスがあるかどうかは議論の余地がある。

だが、仮想通貨の認知は広がりつつあり、それにつれて応用分野も広がりつつある。例えばICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨の発行による資金調達)が企業などの新たな資金調達手段となる可能性が真剣に議論されるようになった。ビットバンクもICOへの取り組みは考えているとのことだ。

また新技術のLightning Network(ビットコインのブロックチェーンの外部で高速・高頻度の少額決済を実行する)に代表される、マイクロペイメントによる新たな応用の可能性が開けようとしている。

セレスの事業であるモバイルサイトのサービスでは、スマートフォンで広告を閲覧したり、ミニゲームをプレイすることで換金性があるポイントが貯まる、いわゆるインセンティブマーケティングの枠組みを提供する。この枠組みと仮想通貨のマイクロペイメントを組み合わせると、例えば広告を閲覧するごとに仮想通貨が貯まる仕組みも実現できる。従来の「ポイント」と比べて仮想通貨が大きく異なる点は、特定の事業者のシステムに閉じておらず、インターネット経由で価値を交換可能なことだ。

ビットバンクは、ビットコイン先物取引のbitbank Trade、仮想通貨取引所のbitbank.cc、仮想通貨取引所のマッチングエンジンbitbank exchange、仮想通貨取引所参入事業者向けサービス(ホワイトラベル提供サービス)のbitbank for brokerを運営。また仮想通貨およびブロックチェーン関連ニュースサイトのビットコインニュース BTCNや、エンジニア教育プログラムのブロックチェーン大学校を運営している。

セレスは、スマートフォン向けポイントサイトであるモッピーモバトクお財布.comを運営。今まで仮想通貨およびブロックチェーン関連企業としては、今までにもbitFlyer、coincheck、Orbと提携してきた。また東大発ベンチャーの合同会社ジャノムと共同でビットコインによる投げ銭サービスCoinTipを提供している。

Tesla Model 3は、プロトタイプと生産モデルでこう変わった

ついに登場したTesla Model 3の生産モデルは、プロトタイプと比べてどこが変わったか気になるだろうか?初期プロトタイプが披露されたのは2016年5月。Teslaのホーソーン・デザインスタジオで公開されて以来、あのプレアルファ・デザインが少々変わった。

PartCatalog.comのデザインチームが、両社の違いをビジュアル化した動画をつくったので、この一年でModel 3のデザインがどう変わったかをご覧あれ。上に貼ったGIF動画で、明るい色のModel 3がブレ・アルファ・プロトタイプで、黒い車がElon Musk所有のModel 3生産モデル第1号だ。

最終デザインがプロトタイプと非常に近いことは間違いないが、ライトの外観には違いが見られる。またPartCatalogの人たちによると、車体が少し長くなったか、あるいは後部ドアが以前よりわずかに大きくなっている。

形状デザインのわずかな変更は、この種の車の開発サイクルではよくあることで、生産に向けた最終年であっても珍しくない。ともあれ、この一年でデザインがどう進化したかは興味深い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフト、テレビの未使用チャンネルを地域ブロードバンドに活用へ

今やどこのインターネット企業も、確実な接続手段を持たない人たちをつなぐための計画を何かしら持っている。Microsoftは、未使用のテレビ放送チャンネル、別名「ホワイトスペース」を活用して、米国の郊外地域にブロードバンドインターネットを提供しようとしている。New York Timesによると、Microsoftのパイロットプロジェクトは12の州の地域コミュニティーにホワイトスペース・ブロードバンドを提供することで、新たに200万人の米国民が高速ネットワークを利用できるようにする計画だ。

テクノロジーは新しいものではない ―― Microsoftを始めとする各社は少なくとも2008年からこの問題に取り組んでいる。ホワイトスペースを利用する方式には従来のブロードバンドと比べていくつか利点がある。Wi-Fiと同程度の信頼性を保ちつつ、低消費電力でずっと遠くまで届けることができる。また、ホワイトスペースは携帯電話網よりもカバー範囲が広く、これはコンクリート壁などの電波障壁の影響を受けないからだ。

Microsoftには乗り越えるべきハードルがまだ残っている。地域の規制当局から未使用チャンネルの利用許可を得ることもその一つだ。テレビ局は、空きチャンネルを使うことが自分たちのテレビ電波に悪影響を与えると主張している。さらには、膨大なコストの問題がある ―― ホワイトスペース・ブローバンドに使用するハードウェアは高価だ。しかしMicrosoftは、イベントのデモンストレーションに使うハードウェアはコストダウンが可能で、将来は200ドル以下にできる、とTimes紙に伝えた。
Microsoftは地域のインターネットプロバイダーらと組んでいる。これは自身がISPにはなりたくないからだ。地域ISPと協力してインフラストラクチャーの整備を進めるとともに、新規顧客から入る収益を分配する。2400万人の潜在顧客からなるインターネット市場を作れるこのチャンスは、地域ISPにとっても大きな魅力に違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SAPがビジネスとIoTのデータを結ぶLeonardo IoT Bridgeを発表

SAPは本日(米国時間7月11日)、Leonardo IoT Bridgeと呼ばれる新しいツールを発表した。現場のセンサーから収集されたデータと、企業内で動作するビジネスシステムの間のギャップを埋めるためにデザインされたツールだ。

製造業界は今、センサーを備えた機器群が、健康や周囲の環境データを、濁流のようにインターネット上を介して送り付けるようになる、大規模なシフトの途上だ。

大規模で複雑なERPシステムデータベースの開発で知られるドイツのSAPは、大量のビジネスデータ処理処理を通して学んだ知見を、接続されたセンサ群や基盤となるシステムに適用したいと考えている。

このため、同社はこの5月に、SAP Leonardoと呼ばれる新しいプラットフォームを発表した。SAPのInternet of Things担当SVP(これが出来たばかりのポジションであることは確実だ)であるNils Herzberg氏によれば、Leonardoは、大量のIoTデータを収集し処理を行い、そして活用することを助けるクラウドサービスである。

初の顧客イベントであるLeonardo Liveで、本日発表されたLeonardo IoT Bridgeは、SAPアプリケーション情報とセンサーデータを組み合わせて、運用状況をリアルタイムで追跡することができるようにするデジタル司令センターだ。

新しいツールを発表した同社のブログ記事によれば、「SAP Leonardo IoT Bridgeの主要な機能は、IoTアプリケーションから送られる予想外のイベントや予定外のイベントを特定し、ユーザーにコンテキストと共に提示を行なうことです。その際には意思決定を助けるために、サービスレベル契約、コストおよびその他の関連要因とのトレードオフも同時に示されます」とのことだ。

もし述べられたとおりに動作するならば、リアルタイムで情報を追跡するために苦労している物流および運用チームを持つ顧客たちへの福音となるだろう。実際同社は、Bosch Groupと提携し、配送会社向けの、配送車両ならびに荷物のリアルタイム追跡を行なう、IoT Bridge Bridgeのダッシュボードの構築を行なうことを発表した。このシステムは車両の位置情報や、車内の温度並びに衝撃データに基づく荷物の状態に関わるセンサーデータを、IoT Delivery Bridgeに対して送信する。

しかも、それは単に車両が故障していることや、ひどい渋滞に巻き込まれていること、そして荷物が破損したことなどが検知できるだけではない。近隣のどこに代替車両や荷物があるのか、とにかくどのような手段を用いれば配送を完遂できるのかを知るために、ビジネス情報にアクセスすることが可能だ。

このツールは、さまざまなやりかたで構成することができるため、この同じ技術を使用して、製造業における機械設備の故障や、スーパーマーケットの食品腐敗に対する予測などに応用することも可能だろう。

標準のLeonardoサービスには、機械学習、分析、ビッグデータ、さらにはブロックチェーンがサービスとして含まれる。プラットフォームはセンサーからの情報を収集し、データを活用する、より実用的なワークフローを構築する目的に役立つ。

Herzbergが指摘したように、もし倉庫内に修理部品があるかどうか、どれ位の時間でそれを入手できるのか、そして修理を行うことのできる訓練されたサービス要員がいるのかどうかが分からないのならば、燃料ポンプが故障する可能性があると予測できてもあまり意味がない。これは実際、こうした種類の情報を追跡するシステムを構築している、SAPのようなERPプロバイダにとっては、魅力的な応用対象分野だ。そのノウハウを使ってIoTデータを活用できると彼らは考えている。

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(翻訳:Sako)

Google、ポップアンダー、ポップオーバー広告を禁止

今日(米国時間7/11)、Googleは広告ポリシーの変更について解説を加えた。いかなるサイトに対してであれGoogle広告をポップアンダー広告として用いることは禁止だという。

閲覧中のウィンドウに隠れてそれと気づかれないよう広告ウィンドウが自動的に立ち上がるポップアンダー広告は無礼かつ不快であるだけでなく、内容も往々にしてスパム的だ。ユーザーが閲覧中のウィンドウを最小化するまでポップアンダーが表示されていることに気づかないことも多い。

またGoogle広告をポップオーバーに用いることも禁止された。新しい広告ポリシーについてGoogleは 「〔ポップオーバー、ポップアンダーのような〕広告は良いユーザー体験を与えるものではなく、これらにGoogle広告を用いることは適切でないと結論した」と述べている

Googleの発表によれば、Google広告をいかなるポップアンダーにも用いることができないだけでなく、ポップアンダー方式で広告を表示するサイトはGoogle広告そのものを利用することができない。

Googleはポップアップ広告に関して、サイトのナビゲーションに干渉するもの、ユーザー設定を勝手に書き換えるもの、ダウンロードを始めるもの、ウィルスを拡散するもの(これは当然!)など不適切な手法をすでに禁止していた。

この変更でウェブサイト運営者はユーザーフレンドリーでない広告を掲出することがいっそう困難になる。 Googleは「広告主にとってもサイト閲覧者にとっても利益となるようなエコシステムを維持する」ため広告におけるトレンドを分析しているという。

Googleが不適切な広告を締め出すためポリシーを変更するのはこれが初めてではない。この変更は往々にして大量のサイトが検索ランキングを下げられるという結果をもたらしてきた。AdSense広告を利用していないサイトにもこの変更は影響することがある。

たとえば、昨年、Googleはモバイルでポップアップ広告、インタースティシャル(ページ間)広告を表示するサイトのランクを下げると発表した。これは今年の1月から実施されている。今日の発表は広告ポリシーの変更にとどまったが、Googleはサイト運営者の悪事を正すためにこうしたさらに強力な手段を用いることがある。

〔日本版〕記事トップの画像はポップアンダーの説明。Googleは記事中のAdSensブログで「新ポリシーを簡単に要約すれば、ポップオーバーないしポップアンダーとしてロードされるページにGoogle広告を用いることは今後許されない。(To simplify our policies, we are no longer permitting the placement of Google ads on pages that are loaded as a pop-up or pop-under.)」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Elon Muskが1999年に自身が所有していたX.comを買い戻した

Elon Muskは、X.comの新しいオーナーになったことを誇らしくツイートした。1999年に彼が所有していた間違いなくクールなドメインだ。

X.comを買戻させてくれたPayPalに感謝!現段階ではまだ何の計画もない。しかし私にとってとても懐かしい価値のあるものだ。

Whoisの変更は、ブロガーであるElliot Silverによって最初に発見されたようだが、彼はX.comはPayPalの前身としての当時から塵を集めていたと指摘している。7月3日、ドメインはプライベートな新オーナーに手渡され、そして私たちはそれが非常に熱狂的な(そして明らかにノスタルジックな)Elonであることを確認した。

Muskは以前、2001年に、PayPalとして再ブランド化される契約でConfinityという別の会社に手渡された彼の金融サービス会社のホームページとして、X.comを所有していた。

1文字のドメインには価値があり、xはアルファベットの中で最もクールで多目的な文字であるため、その価格が500万ドルをはるかに上回っていたとしても驚くことではないだろう。正確なところは今後の詳細な発表を待たなければならないが、この価格なら最も高価なドメイン名の殿堂に入ることだろう。

またMuskが、SpaceXとTesla Model Xブランドがうまく組み合わされるX.comストアで何をするつもりなのかも、ただ待つしかない。

それまでは、最も神秘的なドメイン名の誇り高き新しい所有者に祝福を。その神秘さが真に価値を高める男へ。

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(翻訳:Sako)

DARPAが小型で並列性の高い双方向脳コンピューターインターフェイスの開発に6500万ドルの研究資金を提供

DARPAは6500万ドルの新規ファンドを用いて、人間の脳がコンピュータインタフェースと直接対話することを可能にする神経インプラントの開発を目指している。Neural Engineering System Design( NESD:神経エンジニアリングシステム・デザイン )プログラムの一環として、DARPAは5つの学術研究グループとサンホセに本社を置く1つの小さな企業に資金を提供し、その目標をさらに進める。

DARPAが興味を持っていることの雰囲気を味わってもらうなら、例えばブラウン大学のチームは、大脳皮質の上または中にインプラントとして装着することのできる「ニューログレイン」の広大なネットワークに編み込むことのできるインターフェイスを作成しようとしている。これらのセンサーは、脳がどのようにして音声言語を処理し、解読しているかを理解する目的のための、リアルタイム電気通信を行うことができる。これに関わる脳の働きは極めて複雑で自動的なもので、この側面はいまだに研究者たちを悩ませている。

資金提供を受ける6組織のうち4つは視覚知覚に興味があり、残りの2人は聴覚知覚と発話に関する研究を行っている。MIT Technology Reviewによれば、資金調達ニュースに含まれている唯一の企業であるParadromicsが、約1800万ドルを受け取ると報じている。ブラウン大学のチームと同様に、Paradromicsは資金を利用して、音声を解読し、解釈することができる補助装置を開発する予定だ。

受け取り側の組織は皆、熱烈に目指している高い目標のリストを持っている。DARPAにとって開発が最優先されるテーマは、1度に100万ものニューロンからの信号を記録することのできる「高分解能」神経インプラントを開発することだ。さらに加えて、デバイスは双方向通信を提供することを要求している。信号を受信するだけでなく、信号を送信することも可能にするのだ。そして、もはや2枚の硬貨が重ねられたようなものではないパッケージングが求められている。

「NESDは、高度な神経インタフェースの能力を増強し、100万以上のニューロンを並行して扱うことにより、脳の豊かな双方向コミュニケーションを、その器官の基礎となる生物学、複雑さ、機能の理解を深めるのに役立つスケールで実現することを目指しています」と、NESDの立案プログラムマネージャであるPhillip Alveldaは述べる。

NESD資金受給者の全リスト:

研究チームは、4年間のプログラム期間中、DARPAの夢のインプラントを人間の脳内および脳表面に装着することによる、長期的な安全性の影響について、FDAと調整を行なう予定だ。

しばしば脳コンピュータインターフェース(BCI)と呼ばれるこのテクノロジーが、なんらかの進展をみせた場合、広大な可能性の世界が開かれる。例えば外傷性脳傷害からのリハビリへの利用から、WhatsAppメッセージを考えただけで入力できるようになるまで、BCIは現代技術のあらゆる面に革命を起こす可能性がある。しかし、たとえ資金が流入しても、このような技術を開発する際の課題は無限に残る。日常身に付けることができるほど、ハードウェアはどれほど小さく非侵襲(ひしんしゅう)的なものにできるだろうか?人間の脳への直接的なリンクを作るというプライバシー上の悪夢を考えたとき、どうすればそれらを保護することができるのだろうか?

実用的な脳とコンピュータのインターフェースを作り出すことは、最も難しいハードウェアと最も難しいソフトウェアの問題をなんとか織り交ぜて行くことが必要な挑戦だ。そしてもちろんDARPAは、近未来の双方向性脳インプラントの橋を建設することに関心を持っている唯一の資金潤沢な組織ではないが、その防衛予算と学術的なコネクションを考えれば、間違いなく私たちが賭けるに値する馬だ。

DARPA

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(翻訳:Sako)

IPOの「秘密申請」手続きを大企業も利用可能に

本日(米国時間7/10)以降、年間売上10億ドル以上の企業もIPOの「秘密」申請ができるようになった。。これは、大企業が上場申請後に財務書類を変更した場合でも、上場の数週間前まで公表しなくてよいことを意味している。

2012年にJOBS法が施行されて以来、100を超える企業がこの制度を活用して長期にわたって世間に監視されることを避けてきた。企業がIPOの時期を遅らせることがあっても、秘密申請精度のおかげで非難の目に曝されずにすむ。

S-1書類を提出した会社は、「沈黙期間」に入り、この間メディアと話すことができない。自社株の宣伝とみなされるからだ。この期間が短いほど面倒が少ない。

申請書類が公開されてからIPOまでは速い。企業は説明のための投資家回りに出かける15日前までに財務情報を公開しなくてはならない。多くの企業は正確にこの時期を設定する。

新ルールの狙いは多くの企業が上場しやすくするためだ。これによってプレッシャーが回避できるという意見もある。秘密のうちに「申請」しながらIPO手続きを踏んでいない会社はいくつもある。

今回のルール変更は、Dropbox、Airbnb、Uberといった大きな会社がついに上場する後押しになるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国政府、通信事業者にVPNの利用禁止を要求

インターネット検閲の回避を可能にするVPNソフトウェアに対する中国政府の弾圧が深刻になりつつある。

Bloombergの報道によると、中国政府は国営通信事業社に対して、自社ネットワークで顧客がVPNアプリを実行できなくするよう要請した。情報筋によると、政府はVPNブロックを2018年2月1日から有効にする意向だと同誌は伝えている。

こうした動きの与える影響は甚大だ。China Mobile(中国移動通信、利用者8.6億人)、China Unicom(中国聯通、同2.68億人)、およびChina Telecom(中国電信、同2.27億人)は同国の三大通信事業者でありいずれも国営企業だ。

VPNのブロックが有効になると、利用者は政府がブロックしているウェブサイトをアクセスできなくなる。これには、Facebook、TwitterなどのSNSだけでなく、中国での利用に適さないとされるニュースサイトやウェブページも含まれる。New York TimesとWall Street Journalを始めとする国際ニュースサイトも中国でブロックされていると、検閲監視サービスのGreat Fireは報じている。

情報アクセスが制限されるだけでなく、包括的なVPN阻止は中国を拠点とする企業や従業員の仕事を困難にする。最近のSCMPの記事は、中国のVPN排除の影響を受けている個人を特集している ―― 例えばGoogle Docsを使った情報共有に頼っている環境調査員や、海外の芸術家と仕事をしている上海拠点の収集家などが紹介されている。

検閲回避に対する監視強化の予兆はあるものの、実際にブロックが行われるどうかはさだかでない。2015年、中国政府は北西部新疆自治区で一部のVPNユーザーのモバイル利用を禁止した。新疆は多くの少数民族が居住地で、インターネット検閲の実験台にしばしば使われてきた地域だ。しかし全国レベルの禁止は、これまで以上に過激で広範囲にわたる。

過去数年間、中国政府はVPN事業者といたちごっこを続けてきた。今年1月、中国企業がVPNを提供するためには政府のよる認可が必須になった。その結果、多くの地域サービスが実質的に違法になった。

VPN事業者に対しても政府は動いている。最近政府は中国の人気VPNサービス2社を強制的に閉鎖させたが、海外拠点の事業者は今も追求を逃れている。それは、こうした極端な手段をとってVPNの利用を完全に排除しようとしている理由の一つなのかもしれない。

Bloombergの記事のひと月前、中国は広範囲にわたるサイバーセキュリティ法を制定し、海外企業はその影響を受ける可能性がある。2018年に有効になる新法案の影響範囲はまだ明らかになっていないが、一部のデータを中国国内に保存することを要求していることから、表現の自由を推進する各組織に懸念をもたらしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電気自動車のLucid Air、高速性能テストで時速378 kmを記録

Lucid Motorsの電気自動車、Airのプロトタイプが運輸研究施設のレーストラックで高速性能テストの第2ラウンドを行った ―― そして今回はソフトウェアによるスピードリミッターが外された。

スピードリミッターのかかっている状態では、Airプロトタイプは時速217マイル(350 km)を超えることはなかった。今ラウンドではリミッターを外して時速235マイル(378 km)を記録した。Lucidは1回目のテストで学んだことに基づき、この高速プロトタイプを工場に戻していくつか改善を加えた。

手を加えたのは、車両の高負荷下でのエアサスペンションシステムの改善、予想以上に高温になったフロントモーターの冷却の強化などだ。

こうした変更の結果、チームはリミッターを外しても走れる確信を得て、バンクのあるオーバルトラックの直線部で最高速度235.44マイルを達成した。これは最終生産モデルの最高速度ではないとLucidは説明しているが、堂々たる記録であることに違いはない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

プライムデーの影響かAmazonジャパンがダウン中、「ショッピングを続ける」ボタン連打でもショッピングできず

7月10日18時から予告されていた「プライムデー」の影響なのか、10日18時20分現在、Amazon.co.jpのトップサイトが「503 Service Unavailable」と表示されてアクセスできない状態となっている(アクセスのタイミングによっては、子犬が表示される404ページへリダイレクトされることもあるようだ)。

プライムデーとは、Amazonプライム会員向けの特売日で、今回は7月10日月曜日の18時から翌7月11日火曜日の23時59分までの30時間が予定されている。「数量限定タイムセール」で商品が5分ごとに登場したり、PC・ガジェットからおでかけ・アウトドアまで、 人気が高い20種類以上のテーマ別にセール商品をご紹介する企画。

非プライム会員であっても、30日間無料体験に登録することで、プライムデーに参加できる。新規プライム会員獲得の施策なわけだが、予想以上のアクセス集中となっているようだ。Amazonのトップサイトがアクセス不能となるのはきわめて珍しい。

【追記 18:45】トップページではなく、直接商品ページを開くことは可能。またアプリではprimedayの特設コーナーにも問題なくアクセスできている。

【追記 18:46】Amazon.co.jpの公式ツイートによればセール会場へは以下のリンクを直接クリックすることでアクセスできる(TechCrunch Japan編集部でも確認ずみ)

「火星は思ったより住みにくい」――土壌成分と降り注ぐUVで微生物はあっという間に死滅

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NASAやESAその他宇宙機関が火星を目指す計画を立て、2015年には火星に水が存在する可能性が高まったことから、最近では火星移住計画も荒唐無稽な話ではないという感覚になりつつあります。ところが、最新のScientific Reportsに掲載された論文では、火星に土壌成分には細菌レベルでも生命が存在できないほどの毒性があると報告されました。

1970年代にNASAが実施したバイキング計画では、火星表面に過塩素酸塩で覆われる土壌があることがわかっています。当時の研究では、過塩素酸塩は微生物のエネルギー源になる可能性があり、近辺に微生命が存在する可能性があると解釈する研究者も多くいました。

しかし実際には、過塩素酸塩はロケットの固体燃料酸化剤として使われる物質でもあります。スコットランド・エディンバラ大学の研究者Jennifer Wadsworthは、この火星の土壌で実際に微生物が存在できるかを確認するために、地球上のバクテリアを過塩素酸塩に混ぜ合わせ、火星環境に近い強さの紫外線を照射してみました。

すると、ただ紫外線に晒したときの2倍の速さでバクテリアが死滅したとのこと。それではと、火星の一般的な土壌にある、酸化鉄や過酸化水素といった成分も加えて再度実験したところ、今度は過塩素酸塩のときの11倍もの速さであっという間にバクテリアが死んでしまいました。過酸化水素と言えば、要するに殺菌消毒液オキシドールの成分。これでは生命が存在する可能性どころではありません。

研究者は、この毒性を回避して微生物が存在するには、かなり地中深く潜った位置にいなければならないとしています。

なお、欧州宇宙機関ESAは、2020年にExoMarsローバーを火星に送り込むべく準備中です。ExoMarsローバーには地表から2mの深さまで掘り下げられるドリルを備えており、そこで採取した土壌サンプルに火星初の微生物を発見することが期待されています。

ちなみに、今回の実験にはポジティブな面もひとつ見つかっています。それは、これまでに火星に送り込んだ探査機や着陸機、ローバーに付着していたかもしれない地球由来のバクテリアがおそらく火星上では死滅しており、火星の汚染が広まっていないと考えられること。”地球人”よりも先に”地球菌”たちが火星探査機にヒッチハイクして移住し、地球人がそこへ到達するまでに、やけにでかい脳と骸骨のような顔を持つ生物に進化している可能性は著しく低くなりました。

Engadget 日本版からの転載。

このFlyTrexのドローンはビールを運ぶ

商品がドローンで届けられる未来はそう遠くない。

Amazonを始めとする巨人たちがドローン配達に取り組む中、規制のハードルを越えることができれば、ライバルたちも市場に参入するだろう。

そこでFlyTrexの登場だ。

本誌はテルアビブにある同社を訪問した。企業が自社製品をドローンで配達するために必要なハードウェアからソフトウェアまで提供するオールインワンの会社だ。

FlyTrex Muleは、小型冷蔵庫くらいの大きさのオクトコプター(8軸ドローン)で、最大2.7 kgの荷物を積載できる。これはChipotleのブリトー4本分に相当する。時速約72 kmで約22 kmを飛ぶことができる。

つまり、SeamlessやPostmatesに食料品を配達してもらうやり方は今後数年で全く違う体験になる。食料品だけではない。CEO・共同ファウンダーのYariv Bashは、Amazonが配達する荷物の大部分(80%以上)は2.7 kg以下だと言っている。

できるだけ効率を高めるために、FlyTrexはドローンを着陸させず、ケーブルに結び付けたバッグに入れて商品を届ける。目的地 ―― FlyTrexの配達先は個人の住宅 ―― に着くと、ドローンはケーブルを使って荷物を降ろす。荷物は自動的にケーブルから外れる。

ドローンが去った後にはビールの4本パックが残される(私の場合)。

FlyTrexは離陸と距離ベースで企業から料金を取る。企業はFlyTrex APIを通じてドローンによる配達を管理できる。

FlyTrexはプロジェクトの詳細を公表していないが、来年のうちに未発表の「都市環境」で荷物の配達を始めるべく、郵便事業者と交渉を進めている。

私たちは、未来を生きている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tesla Model 3の生産モデル第1号はこれだ

ついにやってきた:Model 3生産モデルの最初の1台が組み立てラインから送り出され、オーナー ―― Elon Musk ―― の物になった。Teslaのファウンダー・CEOは新車の写真をツイートした。実は彼がこの車を手に入れることができたのは、実際に予約で一番だった顧客が、誕生日プレゼントにとMuskに順番を譲ったからだ。

Muskは写真と共に、Teslaで新型車を出した時に誰が最初の1台を手に入れるかについて興味深いトリビアをツイートした。最初に車の正規代金を払った人物だそうだ。MuskはRoadsterとModel Xでその栄誉に浴したがModel Sでは逃したと書いている。

このModel 3生産モデル第一号のカラーは黒で、フォードのT型初代モデルを思い出させる。「どんな色でもお届けします、ただし黒に限る」という売り口上で知られていた車だ。Model 3では色を選べるが、これはこのモデルで顧客がカスタマイズできるごく限られた中の一つだ。Teslaはオプションを限定することで製造プロセスを簡易化している。

プロトタイプモデルや初期の隠し撮り写真から、新モデルはModel Sより車体が短いが、同じスポーティーな4ドアセダンだろうと予想されていた。Muskの大々的発表は技術スペックについては詳しくなかったので、最低215マイルの走行距離がどこまで延びるのかを含め、技術情報はまだわかっていない。

以前Teslaは、Musk以外の初期購入者らに届けられるのは7月28日ごろからだと言っていたので、そのころには詳しい情報が得られるだろう。

ボーナス:Model 3の新しい写真が追加された。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

エッジで安価にディープラーニング活用、Ideinが1.8億円を調達

処理性能が高くないエッジデバイスでディープラーニングを使った画像認識などを実用化する技術を開発するスタートアップ企業のIdein(イデイン)は今日、グローバル・ブレインDG LabファンドからシリーズAラウンドとして合計1億8000万円の資金調達を実施したことを発表した。Ideinは2015年4月の創業で、これまでエンジェル投資家や日本政策金融公庫などから3000万円の資金を得て、受託や研究開発を進めてきた。2016年末には黒字化しているが、「高度センシングデバイス」と、それらを使うためのクラウド側のインフラをSaaSで提供するという狙いでビジネスをスケールさせるという狙いだ。

クラウドではなくエッジでDLを活用

静止画や動画を解析して「そこに何が映っているのか」「何が起こっているのか」を理解するコンピュタービジョンという研究と応用の領域が、ディープラーニングによって近年劇的に性能が向上している、というのは皆さんご存知のとおり。GoogleやAmazon、Microsoft、IBMが次々とAPIを公開して民主化も進んでいる。もう各企業がモデルのトレーニングをしたり、開発者がディープラーニングのライブラリの使い方を学ばなくてもディープラーニングの恩恵を受けることができるようになってきた。

問題は画像を認識する場所だ。

APIベースにしろ、自社でディープラーニングを使うにしろ、今のところ多くの処理はサーバー上(クラウド上)で起こる。サーバー上で認識(推論)するということは、そのための画像データをネットワークで送信する必要があるが、その通信コストは用途によってはペイしないかもしれない。監視系のIoTなんかが、そうした応用の1つだ。

Idein創業者で代表の中村晃一氏は「画像認識APIを呼び続けるよりもエッジデバイスでディープラーニングを使うことで安くできます。普通にクラウドでやると通信コストは月額数十万円になり、これは削りづらいところです」と話す。

認識するのは画像だけではなく、音や加速度といったセンサーも組み合わせる。ポイントはセンサーから入ってきた情報をクラウドに投げるのではなく、エッジ側でディープラーニングを使った処理をしてしまうところ。サイズが小さく構造化したデータをクラウドやサービスに接続することでデータ収集や監視を行うのが狙い、という。

Idein創業者で代表取締役の中村晃一氏

例えばヘルスケアや介護の見守りの領域で応用が可能だ。医療関係の知人から「睡眠時無呼吸症候」の相談を受けて2014年末に試作した電球型のセンシングデバイスで手応えを感じたことが、そもそもの今回の取り組みのスタートという。「実際に3Dプリンターを使って3ヶ月ほどで作ってみたら、デバイスでイベントを取得するというのは他にも需要がありそうだ、これは結構いけるぞと思ったんです」(中村氏)

中村氏をはじめIdeinの11人のチームメンバーは情報科学系の研究者とエンジニア。中村氏は 東京大学情報理工学系研究科コンピューター科学でコンパイラの最適化技術に取り組んだりしていたそう。

Ideinの強みは、汎用のRaspberry Pi上で高速にディープラーニングを使うソフトウェア環境を整えたこと。Ideinが使っているのはプロセッサもソフトウェアも汎用のものだ。Raspberry Piはスマホと似たプロセッサだし、ディープラーニングにはChainerやCaffeといったオープンソースのライブラリを使う。難しいのはRaspberry Pi搭載のGPUであるVideoCore IVを使うために、アセンブラ、コンパイラ、数値計算ライブラリなど一通りのツールチェーンを自分たちで作った部分という。これによって10倍から30倍の高速化となり、以下の動画にあるように、30ドル程度の汎用デバイスでGoogleNet(Googleが配布している画像認識の学習モデル)による認識時間が0.7秒という実用的な速度になっている、という。

戦略としてはライブラリの一部はオープンソースとしていき、むしろソフトウェアのデプロイ(エッジデバイスに配布する)や管理、センシングで得たイベント情報のネット側のつなぎこみの部分で課金をしていくモデルを考えているそう。センサー自体も高度なものである必要がないほか、ソフトウェアのアップデートによって、新しい学習モデルを使った認識機能を増やしていくことができる。例えば顔認識は最初から組み入れつつ、後から顔の方向や表情を取得するといったようなことができるそうだ。