スウェーデンとケニアの企業Opibusが初の大型EVバスのテスト開始、2023年の現地展開開始を目指す

スウェーデンとケニアのEV(電気自動車)スタートアップ、Opibus(オピバス)は、初の電動バスがケニアの公道に登場し、同社の大量輸送事業への挑戦の始まりを記した。Opibusが電動乗合バスを発売する計画を初めて発表したのは、2021年のプレシリーズAラウンドで750万ドル(約8億5000万円)調達したときだった。

現在、同スタートアップは、2022年中にケニアで、2023年末までにアフリカ全土でEVバスを商業運行することを目指してパイロットテストを行っている。

Opibusは過去5年間、既存のガソリン車とディーゼル車が時代遅れにならないよう、電動式に切り替える事業を行ってきた。EVには、輸送コスト削減やゼロ炭素排出などさまざまな恩恵がある。2017年にFilip Gardler(フィリップ・ガードラー)氏、Filip Lövström(フィリップ・ラブストロム)氏、Mikael Gånge(マイケル・ゴアンゲ)氏の3人が設立したこのスタートアップは、これまでに170台の車両を電動式に改造してきた。顧客は採掘会社や旅行会社などさまざまだ。

現在、同社はEVおよび、それを支える公共充電ステーションなどのインフラストラクチャの構築へと徐々に事業転換している。Opibus電動バスの価格は、新車が10万ドル(約1143万円)、改造(パイロットプログラムで利用している)なら6万ドル(約686万円)だ。

「1年目の2022年は、ナイロビで10台のバスを商用テストする予定で、プロダクトが市場にフィットし、利用パターンに最適化されていることを確認します。そこで重要なフィードバックを得た後、必要な変更を行い、生産パートナーを全員揃えてできるだけ早く量産に入ります」とOpibusの戦略・マーケティング責任者であるAlbin Wilson(アルビン・ウィルソン)氏がTechCrunchに話した。

Opibusは電動バスと電動オートバイの製造を専門にしている(画像クレジット:Opibus)

Opibusは、同社の製品は地元で設計、製造することで市場に低価格で届けられる競合優位性があると言っている。さらに、現地生産であることは、地元市場のニーズに合わせた製品を作れることを意味している。

「私たちの戦略は、価格、耐久性に優れ、この地域で入手しやすいバスを設計、開発することです。迅速なスケールアップが可能で海外、現地両方のメーカーを活用できる製品を作っています。つまり、当社の設計はアフリカ大陸全体で容易に実現可能であり、製品は利用場面に向けて最適化され、非常に費用効率に優れています」。

現在同社は、パートナーシップを通じて他のアフリカ地域に目を向けており、大陸全体でのEV普及を推進しようとしている。

例えば2021年1月に発表されたUber(ウーバー)のOpibusとの提携では、同スタートアップが製造した電動オートバイ最大3000台を、2022年中にアフリカ諸国に展開する予定だ。

ケニアのEV市場は芽生えたばかりで、ここ数年新たなプレイヤーが惹きつけられており、2021年11月にケニアでデビューを飾ったBasiGo(バジゴー)もその1つだ。BasiGoは最近、大量輸送EVバスを2台、パイロットのために輸入しており、中国のEVメーカーBYD Automotive(比亜迪汽車)の部品を使用して電動バスを現地生産する計画だ。BasiGoのバスは25人および36人乗りで航続距離は約250 km、一方Opibusのバスは51人乗り、航続距離は120 kmとなっている。

画像クレジット:Opibus

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXの元エンジニアがクリーンな自律走行型の電気鉄道車両を開発中

SpaceX(スペースエックス)の元エンジニア3人が設立したParallel Systems(パラレル・システムズ)は、バッテリーで駆動する型鉄道車両を開発する会社だ。同社は米国時間1月19日に4955万ドル(約56億円)のシリーズAでステルスモードから脱却した。360万ドル(約4億円)のシードラウンドを含め、これまでに5315万ドル(約60億円)を調達した同社は、既存の鉄道インフラを活用した、より効率的で脱炭素の貨物ネットワークの構築に取り組んでいる。

共同創業者でCEOのMatt Soule(マット・ソウル)氏によると、今回の資金はParallel Systemの第2世代車両の開発と、同社の車両を実際の運用に組み込む方法を考案するための高度なテストプログラムの立ち上げに充てられる予定だ。

同社は、Anthos Capitalがリードし、Congruent Ventures、Riot Ventures、Embark Venturesなどが参加した今回のラウンドで得た資金を、約60人のエンジニアの雇用に充てるつもりだ。そうしたエンジニアの多くはソフトウェアを担当するとソウル氏は話す。

同社の鉄道車両アーキテクチャは、貨物の二酸化炭素排出、トラック輸送のサプライチェーン上の制約、鉄道貨物の限界といったいくつかの問題の解決を目指している。米国では、鉄道網が全貨物輸送の28%を占めているが、そのほとんどはバルク輸送であり、すなわち石炭や木材などの天然資源を輸送する大型列車だ。鉄道貨物輸送のごく一部はインターモーダル輸送と呼ばれ、基本的に船やトラックなどさまざまな輸送手段間で鋼鉄コンテナを移動させる。

「鉄道は、インターモーダル輸送に関しては成長するチャンスが多く、当社はこの分野に重点を置いています。というのも、競争とイノベーションの余地があると考えている分野だからです」とソウル氏はTechCrunchに語った。

Parallelが特許出願中の車両構造は、標準的な輸送用コンテナを1段または2段積みにして輸送することができる個別動力の鉄道車両を含む。この鉄道車両は合流して「小隊」を組んだり、途中で複数の目的地に分かれたりすることができる。つまり、サービスを経済的なものにするために大量の貨物を積載する必要はない。しかし、米国でほとんどの貨物輸送を担っているトラックよりもはるかに多くの重量を運ぶことができる、とソウル氏は話す。

「貨物列車のユニットエコノミクス(ユニット単位での経済性)がトラックと競争できるようになるには、非常に長い列車が必要で、機関車と乗務員のコストをその長い列車1本で償却することになります」とソウル氏は語る。「問題は、その長い列車をどこに停めたらいいのかということであり、答えは『あまりない』です」。

貨物輸送を長い列車に頼るということは、eコマース分野の需要増に対して頻繁に処理するのは難しい、ということだ。なぜなら、そうした長い列車は常に都市部や港にアクセスできるとは限らない。その物理的な大きさに対応するために、特別に作られた大きなターミナルが必要なのです、とソウル氏は指摘した。

「当社のユニットエコノミクスは、それほど大きな列車には依存しません」とソウル氏はいう。「荷揚げと荷積みのために1日中待機するのではなく、小隊で動くことができます。1〜2時間で出発し、他の小隊のためにスペースを空けることができます。そのため、港湾や内陸部の港湾シャトルシステムを構築することで、海に面した港から内陸部の港にコンテナを移動させることができます。内陸部の港はトラックにとってアクセスしやすい場所であり、倉庫保管場所にも近いのです」。

自律性に関して言えば、鉄道の閉じたネットワークは、レールへのアクセスが制限され、交通が集中制御されているため、自律走行技術を安全かつ早期に商業化するための理想的な運用設計領域だとParallelは見ている。ただ、同社の長期的なビジョンは有望と思われるものの、同社はまだ全国ネットワークでのテストを行っていないことに注意が必要だ。同社は、全国ネットワークから隔離されたロサンゼルスの小さな鉄道でプロトタイプ車両をテストしてきた。

米国の鉄道はオーナー制で私有化されていて、これによりParallelが車両や車両を動かす自律システムを大規模にテストすることは難しい。同社は、民間の鉄道会社を顧客に据えており、鉄道会社が日常的にサービスを運営するためのツールを販売またはリースする一方、技術の提供や統合という点でサポートする役割を提供したいと考えている。従来型鉄道のパートナーを得るまでは、同社の技術が実際の運用に対応できるかどうかを確認することはできない。

Parallelが手がけている技術の市場投入は数年先になるかもしれない、とソウル氏は話すが、世界中の荷主はより速い輸送だけでなく、よりクリーンな輸送も求めており、この分野の市場を手に入れるチャンスはある。

同社の小隊技術は、自律走行型鉄道車両が互いに押し合って荷重を分散させるのが特徴で、この技術によりParallelの車両がセミトラックと比較してわずか25%のエネルギーしか使わないようになると同社は予測している。

「貨物の脱炭素化を加速させること。これが当社の取り組みの根本的な狙いです。しかし、我々が目にしている問題は、鉄道の事業規模がサービスを提供できる市場に限定されていることです」とソウル氏は話す。「なので我々は、エネルギー効率を高めると同時に、運用面や経済面の障壁を取り払おうとしているのです。さらに、パワートレインを電動化することで、脱炭素化の効果をさらに加速させることができます。というのも送電網そのものはクリーンではないからです。当社が開発しているものとディーゼルトラックの比較において、米国の送電網の平均的なCO2含有量を見ると、当社の技術を使えば、現在のディーゼルトラックより貨物輸送1マイル(約1.6km)あたりにかかるCO2を90%削減することができます」。

画像クレジット:Parallel Systems

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォルクスワーゲンとボッシュが合弁会社を設立、欧州でのバッテリー生産を推進

Volkswagen(VW、フォルクスワーゲン)とBosch(ボッシュ)は、欧州にバッテリー機器のソリューションを提供するための合弁事業の検討に合意した。VWによれば、両社はバッテリーセルおよびバッテリーシステムメーカー向けに、統合されたバッテリー生産システムを提供することや、オンサイトでの生産力強化ならびにメンテナンスサポートを目指しているという。

この合弁事業は、VWが2030年までに6つのセル工場を建設するという目標を達成するのに役立つと期待されているが、欧州各地の他の工場にもサービスを提供する予定だ。両社は、合弁事業への投資額を明らかにしていない。

各自動車メーカーは今後数年間で何百万台もの電気自動車を出荷するという、これまで以上に野心的な目標を設定しており、パンデミック関連のサプライチェーン問題でさらに問題となっている海外からのバッテリー供給への依存を減らし、自己完結性を高めることに取り組んでいる。2021年には、自動車メーカーとセルサプライヤーとの間で、メーカー近隣にバッテリーセル生産施設を建設する合弁事業が相次いだが、VWは2019年にNorthvolt(ノースボルト)と合弁事業を立ち上げ、ドイツのザルツギッターに最初の生産施設を建設する計画をすで進めていた。

VWの取締役でバッテリー計画を担当しているThomas Schmall(トーマス・シュモール)氏は「欧州には、今後数年のうちに世界のバッテリー基地になることができるユニークなチャンスがあります」と声明の中で述べている。「新しいギガファクトリーの設備を含む、バッテリー生産のあらゆる面での需要が強く高まっています。VolkswagenとBoschは、数十億ユーロ(数千億円)規模のこの新しい産業を、欧州で発展・確立させる機会を探っていきます」。

Volkswagenはまた、競合他社にサービスを提供することで収益の多様化を図るという最近増えつつある自動車メーカーたちの流れにも乗っている。米国時間1月18日には、Ford(フォード)とADTが合弁事業を発表し、車種を問わず取り付け可能な盗難防止用の車両監視システムを提供することになった。

関連記事:車上荒らし防止に取り組むFordとADTのジョイントベンチャー企業「Canopy」

シュモール氏は「バッテリー製造のバリューチェーンの垂直統合に積極的に取り組むことで、新たな利益を生み出すことができるでしょう」と付け加えた。「欧州製のe-mobility(電気モビリティ)のために、完全にローカライズされた欧州のサプライチェーンを確立することは、ビジネス史の中でも稀な機会となるでしょう」。

European Battery Alliance(欧州バッテリー連盟)は、韓国や中国の市場支配への依存を減らすためには、2020年代末までに世界の電池の3分の1を欧州で生産する必要があるとしているものの、現時点では、欧州の900GWh(ギガワット時)以下の生産能力を持つ電池工場は、2029年時点で世界の生産量の16%を占めるにとどまるとされている。

Tesla(テスラ)は、ベルリンのModel Y(モデルY)用の300ヘクタールの工場敷地の隣に、50GWhの生産能力を持つバッテリープラントを建設する計画を立てているが、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが2021年11月か12月に生産を開始すると以前から約束していたにもかかわらず、工場とプラントの両方が、生産開始のために地域当局の承認を待っている状態だ。

関連記事:テスラがベルリンのギガファクトリーで巨大イベント、12月の生産開始を発表

VWが計画しているザルツギッターのプラントの生産量は40GWhとなる予定だが、もしVWが生産の増強に成功し、合計6つの工場を建設できれば、合計で240GWhの生産量になるはずだ。

画像クレジット:The Volkswagen Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

行ったことのない都市でも環境に対応し走れる自律配送車向けAIの英Wayve、約229億円調達

アレックス・ケンダルCEO(画像クレジット:Wayve)

英国の自律走行車スタートアップ「Wayve」は、同社の技術をスケールアップし、商用フリートとのパートナーシップを拡大するために、シリーズBラウンドで2億ドル(約229億円)の資金を調達した。Wayveは、ロボデリバリーや物流の分野で主要なプレイヤーとなることを目指している。

同社は、これまでに総額2億5800万ドル(約296億円)の資金を調達している。この技術は、車両の周囲に設置された汎用ビデオカメラと車載AI駆動ソフトウェアに大きく依存しており、そのため4Gや5Gネットワークへの依存度が低くなり、環境への高い応答性を実現している。

今回のラウンドは、既存投資家であるEclipse Venturesがリードした。その他に参加した投資家には、D1 Capital Partners、Baillie Gifford、Moore Strategic Ventures、Linse Capitalのほか、Microsoft(マイクロソフト)とVirgin(ヴァージン)、アーリーステージ投資家であるCompoundとBaldton Capitalが含まれている。また、戦略的投資家であるOcado Groupや、Sir Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Rosemary Leith(ローズマリー・リース)氏、Linda Levinson(リンダ・レビンソン)氏、David Richter(デイビット・リクター)氏、Pieter Abbeel(ピーテル・アッベル)氏、Yann LeCun(ヤン・ルカン)氏などのエンジェル投資家も参加している。

WayveのAlex Kendall(アレックス・ケンダル)CEOによると、Wayveのテスト車両は、ロンドンだけでなく、これまでに行ったことのない都市での走行に成功したという。英国の道路は一般的に中世のレイアウトになっているため、これは並大抵のことではない。

英国のオンライン食料品会社Ocadoは、Wayveに1360万ドル(約15億6000万円)を出資して自律走行による配送実験を開始しており、英国の大手スーパーマーケットチェーンAsdaもWayveに出資している。

Wayveによると、同社のAV2.0技術はフリートオペレーター向けに特別に設計されており、カメラファーストのアプローチと、Wayveの他のパートナーフリートから提供される運転データから継続的に学習する内蔵AIを組み合わせている。これにより、交通情報や道路地図、複雑なセンサー群など、車外のデータから多くの入力を必要とするいわゆる「AV1.0」よりも、よりスケーラブルなAVプラットフォームになるとWayveは考えている。

Eclipse VenturesのパートナーであるSeth Winterroth(セス・ウィンターロス)氏は、次のように述べている。「業界が従来のロボティクスで自動運転を解決しようと奮闘している中で、AV2.0は、商業フリート事業者が自動運転をより早く導入できるような、スケーラブルなドライビングインテリジェンスを構築するための正しい道筋であることがますます明らかになってきています」。

TechCrunchの取材に対し、ケンダル氏はこう付け加えた。「今回の資金調達は、当社がコア技術の実証から、スケールアップして商業的に展開する権利を得たという市場からのシグナルだと思います。我々が事業を開始した2017年は、自律走行車のハイプサイクルのピーク時で、すでに何十億ドル(何千億円)もの投資が行われていました。誰もが1年先の話だと思っていたのです」。

「そして、何兆ドル(何百兆円)規模のテック巨人たちに対抗するために、逆張りスタートアップを作っていくことは、少しクレイジーだったかもしれません。しかし(技術を)裏づける実例のおかげで、次のレベルのスケールに移行することができました。それは、複数の都市でテストを行えるということです。ロンドンでシステムのトレーニングを行い、マンチェスター、コベントリー、リーズ、リバプールなど、英国全土で展開したことに加え、多くの商業パートナーや、すばらしい人材をチームに引きつけることができました」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

Blink Chargingが米国とカナダのGMのディーラーにEV充電器を供給へ

電気自動車用充電器メーカーのBlink Charging(ブリンク・チャージング)は、米国とカナダのGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)のディーラーにEV充電器を提供することを発表した。同スタートアップは設備ソリューション・プロバイダーのABM(エービーエム)と組んで、同社の新しいレベル2EV充電器IQ 200をGMに供給する。

Blinkは決して小さなEV充電器メーカーではないが、これまではChargepoint(チャージポイント)、EVBox(イービーボックス)、Tesla(テスラ)、さらにはShellと比べても市場シェアは小さかった。Blinkによると、同社は13か国に約3万台のEV充電器を展開しており、GMとの契約は、さらなる規模拡大とブランド認知度の向上という同社の目標にひと役買うだろう。

ただしこれはGMにとってBlinkとの初めての契約ではない。2021年4月、GMは充電ネットワーク7社(Blink、ChargePoint、EV Connect、EVgo、FLO、Greenlots、SemaConnect)をGMのモバイルアプリに統合し、顧客が容易に充電場所を探せるようにする計画を発表した。今回は、GMが2030年までにEV販売でTeslaのシェアを狙って売上を倍増する計画の中、Blinkが選ばれたようだ。

2021年5月にGMから最初の注文を受けたBlinkは、設置を担当するABMを通じて一部のGMディーラー向けに充電器の出荷をすでに開始している。今後数カ月間必要に応じて追加の充電ステーションに向けた準備ができていると同社はいう。契約には充電ステーション数の目標や大規模展開の日程は書かれておらず、これはディーラーからの注文ごとの設置が基本であるためだ。これまでにBlinkは「GMディーラーから1000件近く、計1505台の充電器の注文を受けている」と同社の広報担当者は述べた。

GMとの契約に同社からの出資は含まれていないとBlinkはいう。GMディーラーは、Blink製品を購買パートナーのABMを通じて、ディーラー機器購入価格で購入する。

BlinkのIQ 200充電器は、車両基地向けに設計されており、1つの共有回路上で最大20台の充電器を電力網に負荷をかけすぎることなく利用できる。80アンペアの充電器は、100アンペア回路上で高速レベル2充電が可能で、出力は19.2kW、充電1時間あたり最大65マイル(約104.6 km)走行できる。設置方法には壁かけ型、ポール型、および自立スタンドがある。

2022年のCESでBlinkは次世代レベル2充電器のMQ 200を発表しており、第1四半期末までに提供される予定だ。Blinkは、出荷可能になった時にGMがこの新型充電器を受け取るかどうかの質問には答えていない。MQ 200は高速かつ高機能で、Blink充電器をクラウドや、新しいBlink Fleet Management Portal(Blink車両管理ポータル)に接続するソフトウェアが付いてくるため、デーラー業務に最適だ。

関連記事:CESに登場したEV充電企業は家庭での充電を高速化、V2G、コネクティビティを推進

画像クレジット:GM

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードがeコマースを拡張するためにオンライン決済Stripeと5年契約を締結

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、自動車関連のeコマースおよび決済体験を拡張するため、オンライン決済プラットフォームのStripe(ストライプ)と5年間の契約を締結した。Stripeは車両を注文・予約する際の決済手続を円滑にするだけでなく、フォードの法人顧客のために融資オプションを提供したり、顧客がウェブサイトから支払いを行った場合、それを地元のフォードや(同社の高級車ブランドである)Lincol(リンカーン)のディーラーに正しく伝達する役割を果たすことになる。

フォードによると、同社は2022年後半よりStripeの技術を導入する予定で、まずは北米から始めるが、欧州で展開することも計画しているという。Stripeは2021年、評価額950億ドル(約10兆9000億円)で6億ドル(約690億円)の資金調達ラウンドを実施しており、その資金を欧州への事業拡大に充てると述べていた。

関連記事:決済サービスStripeが評価額10兆円超で約655億円調達、欧州事業の拡大に注力

Stripeとの提携は、フォードが2025年までに300億ドル(約3兆5000億円)の投資を予定している電動化と成長戦略の大規模な再建計画「Ford+(フォード・プラス)」の一環だ。この戦略的な決定は、特に新型コロナウイルスの影響で自動車メーカーが顧客の要求に応える能力が低下したため、自動車業界の多くが短期的にリターンを得られる可能性の高い技術に投資しようとしている動きと軌を一にしている。フォードとリンカーンは、最近ではAmazon(アマゾン)のFire TVのような、多くのサブスクリプションサービスを追加しようとしており、この自動車メーカーが強固なデジタル決済プラットフォームを確立しようとすることは理に適っている。

関連記事:2022年、Amazon Fire TVがもっと多くのクルマに搭載される

「成長と価値創造に向けたFord+計画の一環として、強力な専門知識を持つプロバイダーをどこに導入するか、そしてお客様のためになる差別化された常時接続型の体験をどこで構築するかということについて、私たちは戦略的な決定を行っています」と、フォードの金融サービス部門であるFord Motor Credit Company(フォード・モーター・クレジット・カンパニー)のMarion Harris(マリオン・ハリスC)EOは声明で述べている。「Stripeが開発してきたユーザー体験の強力な専門技術は、当社のお客様に簡単で直感的かつ安全な決済プロセスを提供するために役立ちます」。

他にもDeliveroo(デリバルー)、Shopify(ショッピファイ)、Salesforce(メールスフォース)などの著名顧客を持つStripeのプラットフォームは、フォードの製品やサービスの技術スタックにおいて重要な部分を占めることになると、同社では述べている。この決済処理システムは、電気自動車の充電サービスを含め、フォードのさまざまな電子商取引上の決済において、さらなる効率化を促進させるはずだ。

これまでのところ、投資家はFord+計画に肯定的な反応を示している。2021年には、Tesla(テスラ)やGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)、さらには新たに上場して過度に騒がれたRivian(リビアン)を抑え、フォードは最も優良な自動車株となった。先週、フォードの時価総額は初めて1000億ドル(約11兆5000億円)を超えた。

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米航空会社、Cバンド5Gが「壊滅的な混乱」を引き起こす可能性を警告

航空業界は、AT&TとVerizon(ベライゾン)が新しいCバンド5Gネットワークを起動する米国時間1月19日に「破局的な」危機をもたらす可能性があると主張している。ロイターが入手した書簡の中で、Delta(デルタ)航空、United(ユナイテッド)航空、Southwest(サウスウエスト)航空など、米国の主要な旅客・貨物航空会社数社のCEOは、5Gセルタワーからの干渉が、航空機に搭載されている繊細な安全装置に影響を与える可能性があると警告した。

この書簡は、ホワイトハウス国家経済会議、連邦航空局(FAA)、連邦通信委員会(FCC)、およびPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)米運輸長官に送られたもので「主要なハブ空港が飛行可能な状態にならない限り、旅行者や輸送者の大部分が実質的に運行停止となる」と述べている。「航空旅客、荷主、サプライチェーン、必要な医療品の配送への重大な影響を避けるためには、早急な介入が必要」とも。

航空会社は、AT&TとVerizonに対し、米国で最も繁忙で重要な空港の2マイル(約3.2キロメートル)以内で5Gサービスを提供しないよう求めている。また、連邦政府に対しては「壊滅的な混乱を起こさずに安全にサービスを実施する方法をFAAが見極めるまで、タワーが空港の滑走路に近すぎる場合を除いて5Gを展開する」ことを求めている。連邦航空局は1月7日、50の空港で5Gバッファーゾーンを設定した。

今回の書簡は、航空業界とワイヤレス業界の間で続いている一進一退の攻防における最新の進展だ。AT&T、T-Mobile、Verizonの3社は、FCCがオークションにかけたCバンドの再利用周波数を確保するために、2021年初頭に約800億ドル(約9兆1700億円)を投じた。11月、AT&TとVerizonは、FAAが干渉の懸念に対処するために、Cバンドの展開を2022年1月5日に延期することに合意した。両社はその後、空港近くの電波塔の出力を制限することを提案し、1月4日にさらに2週間延期することで合意した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

テスラの「完全自動運転」を激しく批判するニューヨーク・タイムズ紙の全面広告

米国時間1月16日日曜日のNew York Times(ニューヨーク・タイムズ)紙に掲載された全面広告は、Tesla(テスラ)の「Full Self-Driving(フルセルフ ドライビング)」を「フォーチュン500企業が販売した史上最悪のソフトウェア」と評し「フォーチュン500企業の他の商品で、8分ごとに致命的誤作動をするソフトウェアを見つけた最初の人物に、問題のソフトウェアの価格と同じ1万ドル(約114万5000円)を提供すると募った。

この広告を出稿したThe Dawn Project(ザ・ドーン・プロジェクト)は、最近設立された団体で、軍隊的ハッカーの標的になりうる重要システムの安全でないソフトウェアを禁止することを目的にしている。この広告はTeslaのFull Self-Driving(FSD)を「致命的誤作動が1000分の1以下になるまで」公道から排除するキャンペーンの一環だ。

反対運動団体の創設者であるDan O’Dowd(ダン・オダウド)氏は、Green Hill Software(グリーンヒル・ソフトウェア)という埋込み型安全およびセキュリティシステム向けオペレーティングシステムとツールを開発する会社のCEOでもある。同社はCESで、BMWの製品、iX は同社のリアルタイムOSと安全性ソフトシェアを使用していると話し、同社の新しい無線配信型ソフトウェア製品とデータサービスを自動車電子システム向けに提供することも発表した。

The Dawn Projectのファウンダーによる競合的バイアスの可能性はさておき、Teslaオーナーが都市道路で利用できる先進ドライバー支援システムであるTeslaのFSDベータソフトウェアは、システムの不具合を示す一連のYouTube動画が急速に広まったことで、ここ数カ月間監視の目を向けられている。

NYT紙の広告が掲載されたのは、カリフォルニア州DMV(自動車管理局)がTeslaに対し、専門のセーフティーオペレーター(非常時対応ドライバー)ではなく、一般消費者による同社のテストプログラムが自動運転規則の対象外であるという同局の意見を「再検討する」と伝えた数日後のことだった。カリフォルニア州DMVは、州内における自動運転試験を規制しており、Wyamo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)などのロボタクシーの運用にむけて開発、テストを行っている他の企業に対して、衝突事故あるいは「disengagements(自動運転の解除)」と呼ばれるシステム障害を報告することを義務づけている。Teslaはこれらの報告書を一度も提出したことがない。

その後TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏はTwitter(ツイッター)で曖昧な反応を見せ、TeslaのFSDは公開以来事故も負傷者も出していないと主張した。現在、米国幹線道路交通安全局(NHTSA)は、Tesla Model Yのオーナーによる、自車がFSDモード作動中に左折した際誤った車線を走り、その結果他の車に衝突されたという報告書を精査している

仮にそれがFSDにとって初めての事故だったとしても、Teslaの全車両に標準搭載されているADAS(先進運転支援システム)、Autopilot(オートパイロット)は、すでに10件前後の衝突事故に関わっている

関連記事:米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

NYTの広告とともに、The Dawn Projectは、自身の主張のファクトチェック(事実検証)を公表し、21件計7時間のYouTube動画のデータを研究した独自のFSD安全分析を紹介している。

分析した動画は、ベータバージョン8(2020年12月公開)および10(2021年9月公開)のもので、著しくポジティブあるいはネガティブな動画は、偏りをは減らすために研究対象から排除している。それぞれの動画は、人間のドライバーが運転免許を所得するために合格する必要のあるカリフォルニア州DMV運転技能評価に基づいて採点された。カリフォルニア州のドライバーが運転試験に合格するためには、車線変更の際に方向指示器を使用する、あるいは他の車両との安全な車間距離を維持するなどの運転操作上の誤りが15回以下、衝突や赤信号無視などの致命的な過ちはゼロでなくてはならない。

同団体の調査によると、FSD v10は1時間以内に平均16回の操作誤り、8分ごとに致命的運転誤りを犯した。v8とv10の間の9カ月間に改善があったことを分析結果は示しているが、現在の改善ペースでは、人間ドライバーの事故頻度を達成するまでに、あと7.8年(AAAデータによる)から8.8年(交通局データによる)を要する。

Dawn Projectの広告には、割り引いて捉える大胆な主張がいくつかあり、それは真剣に受け止めるには統計的基準からよりはるかにサンプル数が少ないからだ。しかし、もしこの7時間のビデオ映像が、平均的FSD運転を代表しているとすれば、発見結果はTeslaのFSDソフトウェアの大規模な問題の兆候を示すものであり、果たしてTeslaはこのソフトウェアを規制されることなく公道でテストしてよいのか、というより大きな問題につながってくる。

「私たちは、家族を公道を走る数千台のTesla車の実験用ダミー人形にする申込みをしませんでした」。

国の規制当局は、Teslaおよび同社のAutopilotとFSDベータソフトウェアシステムに対して行動を起こし始めている。

2021年10月、NHTSAはTeslaに2通の書簡を送り、同社のFSDベータを早期利用するオーナーに対する秘密保持契約の使用、および標準Autopilotシステムで、本来リコール対象とすべき問題の解決に無線ソフトウェアアップデートを使用する決定に対して説明を要求した。また、Consumer Reports (コンシューマーレポート)は2021年夏に声明を発表し、FSDバージョン9ソフトウェアアップグレードは公道で使用するには十分安全ではなく、同氏が独自にソフトウェアをテストする予定であると語った。そして先週、同誌はテスト結果を公開し「Teslaのカメラベースのドライバー監視システムは、ドライバーを路上に注意を向けさせることに失敗している」ていることを指摘した。同誌は、それに対してFord(フォード)のBlueCruise(ブルークルーズ)はドライバーの視線がそれた際に警告を発行していると報告した。

関連記事:米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

それ以来、Teslaは同社v10ソフトウェアの数多くの異なるバージョンを公開した。まもなく10.9が登場するはずで「都市 / 幹線道路向け単一ソフトウェアスタック」および「数多くの構造上のアップグレード」をともなうバージョン11は2月に提供される予定だ。

最新バージョン10.8のレビューはさまざまで、ずっとスムーズになったというオンラインコメンターがいる一方、多くの人たちがこのシステムを使うこと自体に自信が持てないともいっている。RedditのTesla Motors subredditで最新FSDバージョンをレビューするスレッドでは、複数のオーナーがソフトウェアに対する苦情を書いていて「絶対に一般公開できる状態ではない」と書いた人さえいる。

別のコメント人は次のようにいう。「完全に誰もいない直線道路に右折するのに時間がかかりすぎる。その後左折する時には理由もなくためらい続けて走行レーンを妨害し、次の道に入ると突然加速したかと思うと、同じくらい急に減速して、それは制限速度45mph(約72.4km/h)の道路を25mph(約40.2 km/h)だと思って速度を考え直したからだった」。

このドライバーは、最終的に完全にシステムを切り離すしかなかった。なぜなら「信号があり全方向の見通しが良くてまったく交通のない」普通の交差点で行うべき左折をシステムが完全に無視したからだったと語った。

The Dawn Projectのキャンペーンは、FSDは「最悪の時に誤ったことをする可能性があります」というTeslaの警告を大きく取り上げた。

「最悪の時に誤ったことをするかもしれない安全最重要製品が市場に出回ることを許せる人などいるでしょうか」と同団体はいう。「それは欠陥の定義なのではありませんか?Full Self-Drivingはいますぐ私たちの路上から取り除かれるべきです」。

Teslaからも、The Dawn Projectからもコメントは得られていない。

画像クレジット:The Dawn Project

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

パワーウェーブと大成建設、マリノアシティ福岡で電動キックボードmobbyのワイヤレス充電を実証実験中

パワーウェーブと大成建設、マリノアシティ福岡で電動キックボードmobbyのワイヤレス充電を実証実験中

豊橋技術科学大学発のスタートアップ企業としてワイヤレス電力伝送技術の社会実装を進めるパワーウェーブは、1月15日から30日までの土曜日・日曜日に、福岡県のマリノアシティ福岡で開催中の「モビリティサーキット in マリノア」において、電動キックボードのワイヤレス給電の有用性に関する実証実験を行っている。

写真左は停車中給電の様子。写真右は受電ユニットを外に出した模型

写真左は停車中給電の様子。写真右は受電ユニットを外に出した模型

この実証実験は、大成建設と共同で実施しているもの。会場には、大成建設が開発したワイヤレス充電システムと路面太陽光発電ユニットを掛け合わせた「グリーン充電ポート」を設置。そこで、mobby rideから提供された電動キックボード「mobby」(モビー)のワイヤレス充電が行われている。

ここで使われているワイヤレス充電は、グリーン充電ポートの床に設置された送電板を介して高周波電源がキックボードの受電ユニットに送られ、非接触でバッテリーに充電するというもの。パワーウェーブは、その送受電の開発を行った。大成建設によれば、この実験の目的は、同社の技術による発電と、車体の受電装置の安定性を明らかにすることだという。

「モビリティサーキット in マリノア」では、特設コースにてmobbyの試乗体験ができる。パワーウェーブと大成建設、マリノアシティ福岡で電動キックボードmobbyのワイヤレス充電を実証実験中

CESに登場したEV充電企業は家庭での充電を高速化、V2G、コネクティビティを推進

EV充電企業各社はここ数年間、CESで自社商品を展示してきた。2022年は、利害関係、そしてオポチュニティの度合いが若干高まっている。

数年以内に数十車種もの電気乗用車や商用車が市場に投入されると予想されており、EVはメインストリームになりつつある。より大きな市場には価格がついてくる。メインストリームの消費者は、ガスの燃料補給時間に匹敵する充電時間を期待し、優れたユーザーエクスペリエンス設計には慣れている。そしておそらく、ピーク時とオフピーク時のエネルギーグリッド時間について考える必要性はなかったであろう。

2022年のCESに登場した充電企業や小規模スタートアップはこのシフトを認識しているようで、迅速性、コネクティビティ、利便性、設置の容易性、電力網との連携において向上が図られたプロダクトのピッチを行った。特筆すべき点として、この大きな顧客基盤へのリーチに注力するEV充電企業各社は、商用車の充電から家庭での充電、Vehicle-to-Grid技術から充電器の広告スペースの収益化に至るまで、あらゆるユースケースに対応できるように設計されたプロダクトを披露している。

世界のEV充電器市場は2020年の32億3000万ドル(約3721億円)から2025年には110億ドル(約1兆2671億円)近くに成長すると予測されている。業界にはまだ新規参入者のためのスペースが残されているものの、その多くはデモやニュースでCESを飾ることはなかった。CESで技術を顕示した小規模企業は、独自のソリューション、豊富なコネクティビティ、充電速度のアップグレードという点で際立っている。

Blink Charging(ブリンク・チャージング)

Blinkは2022年、4つの新しい充電プロダクトを発表した。1つはDC高速ウォールマウント充電器であり、残りの3つはレベル2充電器で、フリートおよびマルチユニット用、家庭用、広告ディスプレイの統合用にそれぞれ設計されている。すべての充電器には、4G LTEおよびWi-Fi接続に加えて、フリート管理統合、負荷共有技術、エネルギー使用管理などのスマート性能が備わっている。

Blink MQ 200、フリートEV充電ステーション用

フリート、ワークプレイス、マルチファミリー向けに特別に設計されたこの50アンペアの充電器は、プラグアンドチャージ機能が搭載されており、車両から充電ステーションへの一意かつ暗号化された情報の流れを通じて車両の識別を自動的に行う。この機能は、その名前が示すように、ドライバーがプラグインするだけで充電セッションを開始できることを意味する。

2022年の第1四半期末までに利用可能になる「MQ 200」には、複数の充電器にまたがる直接ユーティリティ通信およびローカル負荷管理のためのスマートグリッド機能が付属しており、一回線に2〜20台の充電器を設置することができ、夜間のフリート充電に理想的である。また、Blink充電器をクラウドに接続するソフトウェアであるBlink Network(Blinkネットワーク)や、CESでローンチされたBlink Fleet Management Portal(Blinkフリート管理ポータル)とも通信する。同ポータルでは、フリート管理者向けに、充電および負荷管理、充電器、車両、ドライバーを追跡するダッシュボードを提供している。

Blink HQ 200、次世代家庭用充電器

「HQ 200」はBlinkの最新の家庭用充電器で、前世代の30アンペアから50アンペアのレベル2充電器にアップグレードされた。他のEV充電企業でも見られるように、家庭での付加的な電力供給は、各社が充電時間を短縮する方法を求めて競い合う中、2022年のトレンドとなっている。

消費者は基本的な充電器を選ぶ傾向にあるとはいえ、このスマートなWi-Fi対応バージョンは、実に私たちを魅了するものである。HQ 200はBlink初のV2G(Vehicle-to-Grid)技術搭載充電器の1つであり、ピーク以外の時間帯にはEVを充電し、ピーク時にはEVのバッテリーに蓄えられたエネルギーを電力網に戻すことができる。

HQ 200はさらに、Blink Mobile App(Blinkモバイルアプリ)に接続することで、即時の充電開始、充電時間のスケジュール設定、リマインダーの設定も可能になる。2022年の第1四半期末までに利用可能になる予定である。

同時に2台充電できるDC高速ウォールマウント

50キロワットのDC高速ウォールは、壁に取り付けたり、台座に設置したりすることができ、さらに同時に2台の車を充電することが可能で、車両、小売店、街角での充電、交通量の多い場所での使用に最適なものとなっている。最大出力150アンペア、V2G技術、10インチのタッチスクリーンディスプレイ、そして時間、キロワット時、あるいはセッションごとに課金する機能を備えている。また、Blink Networkを介したリモート管理とエネルギー使用量レポートが可能となっている。メンバーカード、RFIDクレジットカード、またはモバイルアプリを持つユーザーは、RFIDリーダーを使用して充電を開始することもできる。

「DC高速充電の予算がないと感じている店舗にとって、プライスポイントも魅力的になるでしょう」とBlinkの広報担当者はTechCrunchに語っている。「現在の既存の機器は通常3万5000ドル(約400万円)からですが、DCウォール50キロワットのコストは2万ドル(約230万円)未満です」。

Vision IQ 200(ビジョンIQ 200)、広告用

このレベル2充電器には、ダイナミックデジタルメディアディスプレイ用の30インチLCDスクリーンが1つまたは2つ付属している。小売店、ホスピタリティ事業、自治体施設や交通量の多い場所に理想的なフルサービスの広告性能を備えている。不動産保有者には充電と広告収入の両方の収益分配機会が提供され、後者はサードパーティーベンダーを通じて管理される。

「Vision IQ 200」は、80アンペアのIQ 200の充電器を1つか2つ搭載しており、RFID、Apple Pay、Google Walletおよびすべての主要クレジットカードによる支払いが簡単にできる他、リモート管理やリアルタイムのエネルギー使用状況レポートなどのスマート機能も備えている。

Blinkによると、DC高速ウォールは年内に利用可能になる予定である。

E-Lift(Eリフト)

E-LiftはCESで、カスタマイズ可能な新しいポップアップ式充電ステーション「E-LIFT GS」を発表した。このオランダの会社は、近くこれを北米でローンチすることを目指している。この小さなステーションには同時充電用のプラグが最大4つ付属しており、E-LiftのSustainable and Smart Energy Management System(SENSE、持続可能でスマートなエネルギー管理システム)に接続するセンサーを装備することができる。

SENSEプラットフォームは、ユーザーのモビリティとエネルギーのニーズを管理するシステムとして機能する。同社は声明の中で、顧客は遠隔地からログインして、モビリティとエネルギー消費データのモニタリングと管理を行うことが可能で「費用対効果の高いエネルギー転換が実現し、再生可能エネルギー資源の利用によって将来を再構築しようとしている政府や企業にとって有益なものとなる」と述べている。

JuiceBar(ジュースバー)

コネチカット州を拠点とし、Made in America基準を本格的に推進しているEV充電会社JuiceBarは、CESで同社初の家庭用充電器「Cheetah(チーター)」を発表、この名称は迅速さに由来すると同社は述べている。

Cheetahは2022年中に販売される予定で、同社によると、新しい充電器と交換される古い充電器すべてに対して1000ドル(約11万4600円)ずつ支払われるという。JuiceBarは米国とカナダで数百台の商用充電器を取り扱っており、この新しい家庭用充電器も同じ市場に投入される。

Cheetahは16、32、40、48アンペア構成で、入力電圧は120、208、240ボルトとなっている。Blinkの出力を見る限り、JuiceBarは市場で最速のレベル2にはならないが、近いところにある。CheetahはBluetooth、イーサネット、Wi-Fi、クラウド接続にも対応しており、スマートグリッドの充電に役立つ。25フィート(約7.6m)のコードが付属しており、絡まないコードリトラクターもオプションで用意されている。

家庭で充電するときの安心のために、Cheetahは二重のセーフティリレーを装備している。第1のリレーが閉じてヒューズが切れた場合に、第2のリレーが回路を開閉する。JuiceBarによると、充電器の電力は、充電器のカーボンフットプリントをオフセットする、100%認証済みのカーボン削減プロジェクトによって支えられているという。同社は初年度分のカーボンオフセットを購入することになっている。購入者はその後も、週1ドル(約115円)未満の会費でカーボンオフセットを購入できる。

Cheetahは第2四半期の終わりか第3四半期の初めに消費者向けに提供されると広報担当者はTechCrunchに語っている。当初は米国やカナダにおいて、自動車ディーラー、住宅建設業者、電力会社などの第三者を通じて販売される。

Wallbox(ウォールボックス)

Wallboxは、2022年のCESで「Quasar 2(クエーサー2)」を発表した。これは電気自動車の所有者が自宅や送電網に電気自動車を充電したり、放電したりすることを可能にするだけではなく、停電時に、それが自然災害によるものであっても、自宅を送電網から隔離し、EVをバックアップ電源として使用できる機能を提供する。Wallboxによると、Quasar 2は停電中でも3日間以上家に電力を供給できるという。

Vehicle-to-Home(V2H)機能は、特に電力料金が需要に関係する州で、EV所有者が家庭のエネルギーコストを節約するのに役立つはずだと同社は述べている。ユーザーは、レートが低いときに充電セッションが実行されるようにスケジュールを設定できる。また、太陽光発電を設置しているユーザーは、使用率が低いときにEVに余剰のエネルギーを蓄えることができる。

Quasar 2は48アンペアの電力を供給し、Jaguar I-PaceやBMW i3などの急速充電車に対応するCCS互換で、Wi-Fi、Bluetooth、イーサネット、4G経由でmyWallbox app(マイWallboxアプリ)に接続する。

Wallboxは、Quasar 2の価格を明らかにしなかったが、約4000ドル(約46万円)のQuasar 1相当になると説明した。2022年末までにローンチする予定である。

Meredot(メレドット)

この市場に出回るクルマは電気自動車だけではない。マイクロモビリティのクルマにも愛が必要だ。それこそが、Meredotが電動スクーター、電動モペッド、そしてフードデリバリーロボットや車椅子などの乗り物向けに設計された初の商用ワイヤレス充電器を発表した背景にある。この充電器は、地面の上または下に設置できる物理的なパッドの形態をとっており、受信機を搭載した車両がその上に駐車したときに充電が行われる。

Meredotは、同社のワイヤレス充電器において、マイクロモビリティOEMとフリート事業者をターゲットにしている。同社は、車を充電するための斬新で手間のかからない方法を提供したいと考えている企業向けに、自社の技術を市場に出してライセンス供与する準備が整っている。特にマイクロモビリティのフリートにとって、交換可能なバッテリーを持っていたとしても、スクーターやバイクの充電は大きなコスト削減要因の1つであり、この種の技術はゲームチェンジャーになる可能性がある。

「Meredotのワイヤレス充電器は新しい分散アーキテクチャを提供し、サイトの資本効率とスケーラビリティを向上させ、エネルギーとコストを節約します」とMeredotのCEOで共同創業者のRoman Bysko(ロマン・ビスコ)氏は声明の中で述べている。「Meredotのワイヤレス充電器は、新しいマイクロモビリティ充電エクスペリエンスのインフラ基盤となり、オペレーターとライダーの双方にメリットをもたらします」。

同社によると、従来のケーブル充電システムに比べて、同じ表面で電動スクーターを50%多く充電できるため、充電サイトのコストを大幅に削減できるという。

画像クレジット:Blink Charging

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

物流J.B. HuntがWaymoの自動運転貨物輸送の最初の顧客に、提携を拡大

自律走行車両企業のトラック輸送・貨物輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ヴィア)は、物流企業のJ.B. Hunt Transport Services(J.B. ハント・トランスポート・サービス)との既存の提携を、試験から長期戦略提携に拡大する。

この契約の一環として、J.B. HuntはWaymo Viaの完全自律走行のドライバーレス貨物輸送の最初の顧客となる。Waymo Viaは今後数年以内にドライバーレス輸送を達成すると見込んでいる。

WaymoとJ.B.Huntは2021年に、米国内で最も交通量の多い貿易回廊の1つであるテキサス州のヒューストン・フォートワース間のI-45で「試験走行」を開始した。Waymoによると、Waymo Driver自律走行プラットフォームを搭載したWaymoのDaimlerトラックは、試験終了までに86万2179ポンド(約391トン)の貨物を輸送し、衝突やスピード違反などはなく、100%の定時集荷・配達を行い、貨物は100%無傷だったという。試験走行には毎回、商業免許を持つトラックドライバーとソフトウェア技術者が同乗してオペレーションを監視した。

J.B. Huntのサステナビリティ最高責任者兼執行副社長であるCraig Harper(クレイグ・ハーパー)氏は声明で「2021年行ったWaymo Viaとの試験走行は、自律走行技術を当社の業務内でどのように導入できるかを実際に理解する上で本当に役に立ちました。この戦略的提携はその勢いを継続し、顧客にとって価値あるソリューションとするために詳細をさらに模索していきます」と述べた。

画像クレジット:Waymo

2022年以降、両社はテキサス州の同じルートでさらにいくつかの試験を開始し、ドライバーレスの自律的オペレーションに備えるつもりだ。

Waymoは、J.B. Huntとの次の試験で達成したい具体的な目標について、ドライバー・アズ・ア・サービスモデルを固めるということ以外は共有しなかった。ここには、WaymoがDaimlerなどのOEMと提携して、Waymo Driverを搭載した自律走行トラックを製造することが含まれる。これらのトラックは、J.B. Huntのようなフリートや運送業者が直接購入し、Ryderのようなパートナーによってサービスが展開されることになる。

Waymoの広報担当者であるJulianne McGoldrick(ジュリアンヌ・マックゴールドリック)氏は「これは長期的なビジョンです」とTechCrunchに語った。「そうしたビジョンにスケールアップするまでの間、我々はトラックのテストフリートを有し、そうした車両と当社の自律走行専門家とで行う試験は、当社が完全に自律走行オペレーションに到達した時に、J.B. Huntのような顧客のために人間のドライバーなしで貨物輸送するためのすべての基盤が整っているよう、その運用慣行を得るためにあります」。

提携中にWaymoとJ.B.Huntはまた、自動運転トラックを使用した集合的進歩についてより多くを学ぶために、共同で運用および市場調査を行うことを計画していて、さらにはJ.B. Huntのデジタル貨物マッチングプラットフォームであるJ.B. Hunt 360との技術統合を検討する。

もちろん、テキサス州などの道路を走る自動運転トラックは、Waymoのものだけではない。Waymo Viaの競合相手の1社であるTuSimple(トゥシンプル)はこのほど、初のドライバーレス自律走行トラックを完成させ、その技術は事実上、より進歩的なマイルストーンだ。Aurora(オーロラ)とKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)も、テキサス州で試験的に貨物を運んでいる。

そうしたことについて、Waymoは心配していない。Alphabet傘下の同社の戦略は、自律走行に必要な条件を満たすことよりも、パートナー企業とより緊密に連携することだと、マックゴールドリック氏はいう。

「この業界における多くのパートナーシップやコラボレーションは、主に単発の試運転や試験が中心で、あまり肉付けされていませんでした」と同氏は指摘した。「今回の複数年の契約はすべてをカバーするものであり、単に試験のための試験を行うのではなく、パートナーとの協力関係を深いものにすることを示しています。完全な自律走行がどのようなものか、パートナーと一緒に作り上げ、準備が整ったときにできるだけ成功するようにしているのです」。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

アパートなど地下駐車場でのEV充電を容易にするHeyChargeがBMW主導で約5.4億円のシード調達

明らかな理由から、EV充電ビジネスは高成長を続けている。2007年以降、最大のプレーヤーの1つとなっているのは、広範なEV充電ネットワークを持つ米国の上場企業、ChargePoint(チャージポイント)だ。しかし、多くのスタートアップがそれに追いつこうとしている。

ドイツに本社を置くHeyChargeは、一般的にEV充電活動の約80%を占める地下駐車場でのEV充電に問題があることに気づいた。問題は、通常のスマート充電インフラにはインターネット接続が必要だが、地下ではそれができないことだ。そこで、HeyChargeは解決策を考えた。

それを実現するために同社は中央ヨーロッパ時間1月13日、BMWグループのベンチャーキャピタル部門であるBMW i Ventures(ChargepointやChargemasterの初期投資家でもある)主導のシードラウンドで470万ドル(約5億4000万円)を調達した。今ラウンドには、欧州の大規模な再生可能エネルギー発電会社であるStatkraftのVC部門Statkraft Venturesも参加している。

HeyChargeがYCの2021年バッチの一部だったときに、TechCrunchは同社を取材した。

HeyChargeのソリューションは、アパートやオフィス、ホテルなどの地下にあるEV用のインフラを対象としている。同社のSecureCharge技術は、現場でのインターネット接続を必要とせず、Bluetoothで接続するプラグ&プレイ(PnP)セットアップを採用している。

HeyChargeのChris Carde(クリス・カルド)CEOは次のように述べている。「欧州では40%、米国では37%の人がアパートに住んでおり、自宅で充電できないために電気自動車を利用することが困難な人が大勢います。HeyChargeのソリューションは、EV充電の拡張性を高めるだけでなく、費用対効果を高めてよりアクセシブルにし、どこに住んでいても、どこで働いていてもEV充電ができるようにします」。

BMW i VenturesのマネージングパートナーであるKasper Sage(キャスパー・セイジ)氏はこう述べている。「今後数年でEV市場が急速に成長するのにともない、世界中で充電ソリューションのインフラ構築を進める必要があります。HeyChargeは、インターネットに接続しないEV充電ネットワークを可能にした最初の企業であり、これは未開拓のホワイトスポットをカバーするための重要な成功要因です」。

HeyChargeは、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Google(グーグル)、BMW、SIXTでの勤務経験を持つクリス・カルド氏とRobert Lasowski (ロバート・ラソウスキー)博士によって2020年3月に設立された。

画像クレジット:HeyCharge founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

Nuroの最新自律型配送ボットは一般商業向け、外装にエアバッグも搭載

Nuro(ニューロ)は米国時間1月12日に、商業的な自律配送戦略の最後のピースの1つを披露した。

元GoogleのエンジニアであるDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ズー)氏が2016年6月に創業して以来、21億3000万ドル(約2443億円)以上を調達したこのスタートアップは、商業運用向けに設計され、BYD North Americaと提携して製造した第3世代の電気自律型配送車両を発表した。

Nuroは、人ではなく荷物を運ぶために設計されたこの配送ボットのために、アルファベット数字の命名法(R1、そしてR2)をやめた。その代わり、この車両は「Nuro(ニューロ)」と呼ばれている。このロボットを大衆に紹介するためのセルフタイトルアルバムのようなものであり、同社の中でのこのフラッグシップモデルの位置づけを示す名称でもある。つまりは「Nuro 」が一番上だ。

Nuroボットは、歩道を走る宅配ボットではない。この新世代も、Nuroのこれまでのモデルも、すべて路上を走るためのものだ。

画像クレジット:Nuro

前モデルの2倍の荷室容量を持ち、カスタマイズ可能な収納と、荷物を保温・保冷する温度調節可能なコンパートメントを備えた新しい「Nuro」ボットは、自動車生産グレードの車両だ。これは、このボットが、天候やくぼみ、人による乱暴な扱い、長時間の走行など、配送車両に求められる過酷な条件に対応できるよう設計・製造されたものであることを意味する。

また、Nuroは、歩行者や自転車に乗っている人など、車両に接触する可能性のある人たちを保護するための安全機能も備えている。この車両はカメラ、レーダー、LiDAR、サーマルカメラなど数種類のセンサーを搭載し、360度の視界を確保しており、1つが故障した場合の冗長性も備えている。

また万が一、人や物に接触した際に作動する外装エアバッグも注目すべきアイテムの1つだ。

画像クレジット:Nuro

ボットの歴史

当初、同社は、アリゾナ州とテキサス州で試験的に食料品の配達や、テスト用にトヨタのプリウスセダンを改造して使用していた。

同社は2018年12月、荷物専用の車両への第一歩となるR1に移行した。

その第2世代の車両R2は2020年2月に導入された。ミシガン州のRoush Enterprises(ルーシュ・エンタープライズ)と提携して米国で設計・組み立てられたR2は、LiDARやレーダー、カメラなどを搭載し「ドライバー」が周囲を360度見渡せるようになった。

しかし、米国運輸省道路交通安全局が通常要求するいくつかの機能が欠けていた。3年にわたる規制当局との協議を経て、Nuroは米国運輸省道路交通安全局からR2車両のドライバーレス免責を取得した。この免除により、サイドミラー、フロントガラス、前進時に停止するリアビューカメラを搭載していないにもかかわらず、車両は走行することができるようになった。

また、Nuroは、カリフォルニア州で(顧客への請求ができる)自律走行車の配送サービスを運営するために必要なすべての承認と許可も得ている。

この新しい「Nuro」ボットは、少なくとも現時点では、商業的な目標に向けた最後のステップだ。

砂漠でボットを作る

同社は、まだNuroを市場に大量に解き放つ準備ができていない。しかし、それは近づいている。

Nuroは豊富な資金を調達し、著名なパートナーとともに車両を試験的に導入し、従業員も1200人を超えるまでに成長した。

5年足らずの間に、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、T. Rowe Price Associates Inc.(T. ロウ・プライス・アソシエイツ・インク)などの著名な個人投資家や機関投資家を惹きつけてきた。数カ月前に発表された最新の6億ドル(約687億円)の資金調達ラウンドは、新しい投資家であるTiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)が主導し、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)、Fidelity Management & Research Company(フィデリティ・マネジメント&リサーチ・カンパニー)、LLC、Gaorong Capital(高榕資本)、Google(グーグル)、Kroger(クローガー)、SoftBank Vision Fund 1、T. Rowe Price Associates, Inc、 および Woven Capital(ウーブン・キャピタル)が助言するファンドおよびアカウントが参加している。

Nuroは7-Eleven(セブン-イレブン)、CVS 薬局、Dominos(ドミノス)、FedEx(フェデックス)、Kroger食料品店、Walmart(ウォルマート)など、有名なパートナーも獲得している。

現在、その資金の一部を使って、ネバダ州南部に4000万ドル(約45億円)の最終製造施設とクローズドのテストコースを建設している。また、同社は、ラスベガス・モーター・スピードウェイの74エーカーの土地を借りて、路上自律走行車の開発と検証を可能にするクローズドコースのテスト施設を建設する予定だ。このテストコースでは、歩行者やペットの回避から、共有道路での自転車へのスペース提供まで、幅広いシナリオでのボット性能を測定する他、環境試験や車両システムの検証を行うと、同社は以前から述べている。

サプライヤーであるBYD North Americaが新モデルのハードウェア部品を組み立てる。その後、Nuroの新施設で完成され、ボットは配備に向けて準備される。

「BYDはNuroとのコラボレーションを非常に重要視しています」と、BYD Co. Ltd.の取締役副社長兼BYD Motors Inc.の社長であるStella Li(ステラ・リ)氏は、声明で述べている。BYDはランカスター工場の製造能力を活用してNuroを支援し、カリフォルニアに雇用をもたらすと、リ氏は付け加えた。

Nuroは具体的な生産能力を明らかにしていない。同社は、この施設には年間「数万台」の配送車を製造し、テストする能力があるとしている。また、ネバダ州の施設は2022年中にフル稼働するという以外、スケジュールを明かさなかった。2021年11月に現地で建設が開始された。

Nuroは、これらの商用グレードのボットが最初にどこに配備されるのかについては言及しなかったが、同社は、既存のパートナーであるKrogerと、新しいNuroの配送ボットを使用することで正式な合意に達したことを確認した。

画像クレジット:Nuro

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Yuta Kaminishi)

5分でフル充電できるEV用急速充電バッテリーのStoreDotがベトナムのVinFast主導で約92億円を調達

イスラエルの次世代バッテリーテクノロジー企業StoreDotは、ベトナムのEVメーカーであるVinFast(ビンファスト)が主導する最新の資金調達ラウンドのファーストクローズを完了した。同社は今回のシリーズDラウンドで、最大8000万ドル(約92億4000万円)を調達する予定だ。

この資金は、StoreDotの研究開発の完了と、同社技術の量産スケールアップに使用される。現在、自動車メーカーに出荷してテストを行っているという。

VinFastは、ベトナムでBMWベースの自動車をライセンスして製造している。シリーズDには他にも、BP VenturesとGolden Energy Global Investmentが参加した。

StoreDotのCEOであるDoron Myersdorf(ドロン・マイヤースドルフ)博士は、次のように述べている。「今回の戦略的な資金調達は自動車、エネルギー、テクノロジーの大手企業が主要な投資家となっており、StoreDot、同社のXFCバッテリー技術、長期的な製品ロードマップ、そしてEVドライバーの航続距離に関する不安を解消するためのワールドクラスの技術とイノベーションに対する大きな信頼の証です」。

StoreDotは、Daimler(ダイムラー)、Samsung(サムスン)、TDK、中国のバッテリー量産メーカーであるEVE Energy(EVEエナジー、恵州億緯鋰能)とのパートナーシップも獲得している。同社の革新的なリチウムイオン電池の設計は、非常に高速な充電が可能であり、わずか数分で車両をゼロ状態からフル充電できるとしている。

同社のXFC(超高速充電)バッテリーは、一般的な黒鉛を使用した負極ではなく、シリコン系の負極を使用しており、エネルギー密度が高く、従来の電池よりも長持ちする可能性がある。

VinFastのPham Thuy Linh(ファム・トゥイ・リン)副社長はこう述べている。「当社は、研究に献身的に取り組み、画期的な技術を持つ企業とパートナーシップを結び、投資することでグローバルな知性をつなげてきました。特に、StoreDotやその独自技術である超高速充電(XFC)などのEVバッテリーには注力しています」。

画像クレジット:StoreDot

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

EVの販売拡大を目指すGM、カリフォルニア州独自の排出ガス規制に同意

General Motors(ゼネラル・モーターズ)が政治的にも経済的にも有利と思われる立場を表明した。この自動車会社は米国時間1月9日、カリフォルニア州の規制当局が大気浄化法に基づき独自の自動車排出ガス基準を設定する権限を認めると発表したのだ。GMはこれまで、カリフォルニア州が同州で販売される新車に独自の規制を課すことを妨げるTrump(トランプ)政権の取り組みを支持していたが、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領の当選直後にその立場を撤回していた。

GMがカリフォルニア州の厳しい炭素排出基準を認めたということは、他の州も同様の規制を採用できるということであり、また、カリフォルニア州はフリート車両の購入に同社を検討することができるようになるということを意味する。このリストにはGMの他にも、BMW、Ford(フォード)、Honda(ホンダ)、Tesla(テスラ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Volvo(ボルボ)の社名が挙がっている。

カリフォルニア州は全米で最も人口の多い州であり、国内総生産の14.8%を占めている。排出ガス量の多い自動車の生産を続けたいという厄介な理由で、この州からブラックリストに載せられるのは、経済的な自殺行為になるだろう。TechCrunchは、GMがなぜ今このような手紙を送ることにしたのか、そしてそれがGMの幅広い戦略とどのように関連付けられるのかを知るためにGMに問い合わせたが、同社はすぐには回答しなかった。

GMのVP兼グローバルパブリックポリシー責任者であるOmar Vargas(オマー・ヴァーガス)氏は、カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事に宛てた手紙の中で、カリフォルニア州の排出ガス統治に忠誠を誓っていると、The Detroit News(デトロイト・ニュース)は9日に報じたが、これは同社の商用電気自動車部門であるBrightDrop(ブライトドロップ)が、今後数年間にわたる大規模な成長計画を発表した数日後のことだった。

BrightDropは米国時間1月5日、Walmart(ウォルマート)を新たな顧客として迎え、5000台の電気自動車の予約を受注したと、CESで発表した。また、既存の顧客であるFedEx(フェデックス)は、2021年発注した電動商用バンの台数を、当初の500台から2000台に増やすと発表。その多くがまずはロサンゼルスの路上に現れるという。

GMはまた、1月9日にカリフォルニア州大気資源委員会のLiane Randolph(リアン・ランドルフ)委員長に宛てた書簡の中で、ゼロエミッション車の展開を加速させることを約束した。GMは先週、Chevrole(シボレー)ブランドで2023年までに生産を開始する2車種の電動SUVを発表し、同時に2024年モデルとして発売される電動ピックアップトラック「Silverado(シルバラード)EV」(2種類の仕様が設定される)も公開した。さらに同社は、2021年末に「GMC Hummer EV(GMCハマーEV)」のピックアップトラックの納車を開始しており、2023年にはHummer EVのSUVも販売が始まる。電動ピックアップトラック「GMC Sierra EV(GMCシエラEV)」は、同じく2023年に市場に投入されるようだ。

また、GMのグローバルレギュラトリーアフェアーズ&トランスポーテーションテクノロジーポリシー担当VPのDavid Strickland(デビッド・ストリックランド)氏が署名したランドルフ氏への書簡では、低所得者層が同社のEVを購入できるように専心することも約束している。この取り組みには、プリペイド式充電カードの提供による充電インフラへのアクセス改善や、特に恵まれない地域でインフラを整備するためのパートナーシップ構築などが含まれる。

「GMは、カリフォルニア州が追求するゼロエミッションの未来に向けた取り組みの一環として、クリーンな空気と排出ガス削減のための戦いに参加することになりました」と、ニューサム知事室は1月9日にツイートした。「この合意は、カリフォルニア州が率先する気候変動問題への取り組みを加速させることになるでしょう。我々のクリーンカー革命にGMを喜んでお迎えしましょう!」。

GMは、2040年までに全世界に向けた製品および事業においてカーボンニュートラルを実現し、2035年までに新車の排出ガスをゼロにすることを約束している。

画像クレジット:Shabdro Photo / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Rivianが「冒険」を求めるユーザー向け電動バイクの商標を出願

電気自動車メーカーのRivian(リビアン)は、自転車と電動バイク、およびそれらに対応する構造部品の商標を新たに出願した。この動きは、Rivianが電動バイク需要の波に乗り、電動ピックアップトラックよりも大規模な生産が安価で、ターゲットとする「冒険」を求める顧客層に沿った製品で自社のポートフォリオを多様化しようと検討していることを示すものかもしれない。

同社はTechCrunchに対し、この件に関して共有することは何もないと語った。

企業はしばしば、最終的に使用しない製品についても商標を申請することはあるが、他の自動車メーカーは、7月までの12カ月間で240%の売上成長率を記録した電動バイク業界に価値を見出し始めている。2021年、Porsche(ポルシェ)はTaycan Cross Turismoの精神を受け継いだ2つの新しい電動バイクを発売した。BMWも最近、全電動スクーター「CE 04」のように、いくつかの電動バイクやその他のマイクロモビリティの生産計画を発表している。

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2021年12月、Rivianは株式公開時に調達した137億ドル(約1兆5700万円)の一部を使い、ジョージア州に第2工場を建設し(第1工場はイリノイ州)、生産能力を倍増してバッテリーセル(表向きは他のタイプの車両のバッテリーにも使用できるセル)を生産する計画を発表した。

Rivian Forumsが最初に明らかにした出願書類によると、Rivianは、自社の商標の使用を以下のように拡大したいと考えているようだ。

自転車;自転車構造部品;電動自転車;電動自転車構造部品;電動自転車用に特別に適合させた部品(バッテリーパック、モーターコントローラー、電動モーター、スロットルコントロール、ペダルアシストセンサー、ディスプレイコンソール、ワイヤーハーネス、スプロケット、カセット)、チェーン;自転車フレーム;自転車ペダル;自転車ホーン;自転車ブレーキ;自転車チェーン;自転車ギア;自転車ホイール;自転車シート;自転車タイヤ;自転車クランク;自転車タグ;自転車泥除け;自転車モーター;自転車サドル;自転車ポンプ;自転車ベル;自転車ハンドル;自転車トレーラー;自転車キックスタンド;自転車シートポスト;自転車カバー、自転車ホイールスポーク;自転車ホイールリム;自転車スタンド;自転車ペダルストラップ;自転車部品(ディレイラー);自転車水筒かご、自転車キャリア;自転車タイヤ用ポンプ、自転車タイヤ用インナーチューブ、自転車部品(ディスクホイール);自転車部品(ブレーキシュー)

Rivianは最近、自動車用統合テールゲート荷台システムの特許も申請した。これは基本的に、ドライバーが荷台スペースを失うことなくピックアップ車に自転車を積めるようにするテールゲート自転車用ラックのことだ。おそらく、R1Tトラック用のアクセサリーを好んで提供する同社は、ターゲットである環境意識の高い強靭な米国人冒険家向けに全体的なパッケージをデザインしたいのだろう。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

電動ピックアップトラックのRivianは2021年に1000台超を生産

米国時間1月10日、米国の電気自動車メーカーRivian(リビアン)は2021年に1015台の車両を生産したことを報告した。2021年12月に同社が下方修正した予測と一致している。

Rivianは2021年末までに920台を配車したとこの日に発表されたリリース文に書かれている。同社のピックアップトラック R1Tには7万1000台以上の「事前注文」(すなわち返金可能な予約)が入っていると、2021年12月の株主宛てレターに書かれていた。

当初Rivianは、年内に1200台の車両を生産することを目標としていた。2021年12月に同社は、CEOのRJ Scaringe(RJ・スカレンジ)氏をはじめとする幹部が、予測の下方修正を発表し、サプライチェーン問題およびバッテリー生産の課題により、出荷車両が数百台減る可能性が高いと語った。

12月の決算会見でスカリンジ氏は、生産について複雑なオーケストラに2度なぞらえた。

「この種の生産システムをまとめること、これは前にもいいましたが、本当に複雑なオーケストラのようです」とスカリンジ氏は言った。「何千ものパーツを納める何百というサプライヤーがいて、生産施設では数千台のロボットが稼働し、数千人のチームメンバーが働いて車体を組み立てています」。

目標を引き下げたにもかかわらず「ほぼ予定通り伸びている」とスカリンジ氏は決算会見で話した。

「バッテリーの制約は、高度に自動化されたラインがもたらした人為的な結果にすぎません」と同氏は12月にいう。「こちらも先にお話したように、私たちにとってこれは長期的課題ではありません。まもなく第二の生産ラインができて、バッテリー・モジュール生産は工場の他の部分よりも能力的にはるか先をいくようになります」。

Rivianが生産を強化する一方で、既存自動車メーカーのGM(ゼネラル・モーターズ)とFord(フォード)は、自社の電動ピックアップトラックの発売に向けて準備を進めている。Fordは1月4日、近日発売予定の電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力を2倍近く引き上げ、2023年半ばまでに年間15万台にして顧客需要に応えると発表した。F-150 Lightning最初の納車は2022年春となる予定だ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Airbnbのクルマ版、カーシェアリングのTuroがIPOを申請

ピア・ツー・ピア・カーシェアリングのスタートアップTuro(トゥーロ)が、米国で上場申請したことを正式発表した。2021年8月から密かに進めていた手続きだ。

米国時間1月10日、米国証券取引委員会(SEC)に提出されたS-1書類に、募集条件は書かれていない。

Turoは2010年に設立され、Airbnb(エアビーアンドビー)のクルマ版と言われている会社で、民間の自動車所有者が、同社のウェブサイトを通じて車両を貸し出すサービスを提供している。2021年9月30日時点で、7500以上の都市にアクティブ・ホスト8万5000人、アクティ車両16万台が登録していると同社は言っている。自動車オーナーは保有コストの削減が見込め、ユーザーは、パンデミックによるサプライチェーン問題でレンタカーが値上げされている時期に、短期レンタルを利用できるメリットがある。伝統的レンタカー業界の苦境が、激しい競争にもかかわらずTuroの市場シェア獲得に寄与したことは間違いないが、その人気は時として負担をもたらすことをS-1のリスクファクター記述が示している。

財務状況概要

まず財務状況を見てみよう。

2020年、Turoは純売上1億4990万ドル(約172億9000万円)を計上し、対前年比6%の成長だったとS-1に記載されている。収支は純損失9710万ドル(約112億円)で、2019年の純損失9860万ドル(約113億7000万円)からわずかに改善された。

Turoは売上増加についていくつかの要因を挙げているが、中でもRisk Score(リスク・スコア)と同社が呼ぶデジタルツールが目立っている。2020年4月に提供開始されたこの機能は、利用者が予約する際にTuroが徴収する手数料を動的に調整する。Turoは、このツール、およびホストが車両を貸し出す料金を引き上げたことが、純売上の増加に貢献したという。

2021年、売上と損失が急増。

Turoは2021年最初の9カ月間に3億3050万ドル(約381億2000万円)の純売上を生み出し、2020年同期間の1億780万ドル(約124億3000万円)から207%急増した。純損失も同じく急増した。2021年9月31日までの9カ月間に、Nuroは1億2930万ドル(約149億2000万円)の損失を計上し、2020年の同時期は5170万ドル(約59億6000万円)だった。

その理由?TuroはS-1書類で、レンタル日数の増加および1日当たりの総取扱高の増加によって売上が増えたと書いている。

S-1を精査したところ、Turoは2020年、少ない労力で多くのことを行おうとした結果、この年の財務状況が好転したとみられる。同社は2020年の出費を抑え、事業経費を2019年の1億3390万ドル(約154億4000万円)から2020年は9580万ドル(約110億5000万円)に削減した。

2021年最初の9カ月間の状況は異なる。同期間の事業経費は1億2401万ドル(約143億円)で、前年同期間の7160万ドル(約82億6000万円)を上回った。

リスクファクター

同社が直面するリスクファクターには、当然ながら「人々がTuroを使わなくなったらどうするか」および、類似アプリと伝統的レンタカー会社との「競争に直面する」ことが挙げられる。しかし、他にもいくつか気になる点がある。

まず、Turoは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが同社ビジネスに変動性を加えたことを指摘している。会社は社員の解雇を余儀なくされ、2020年にはドイツでの操業を閉鎖し、なんとか「新型コロナ以前レベルを超える」ところまでこぎつけた。

同社は、ホストに対する犯罪行為の責任問題に直面する可能性を指摘している。これまでに訴訟や罰金が発生した様子はないが、2021年8月、Turoをはじめとする複数のピア・ツー・ピア・レンタル・アプリが人身売買などの犯罪に利用されたことが発覚した。国境付近で増加傾向にあると米国税関・国境警備局が認めている犯罪だ。

Turoは、同社に対してレンタカー許可の取得を義務づけている都市、具体的には空港当局からの訴訟リスクもある。実際この面においては、Turoは訴訟を受け反訴もしている。空港利用に関する訴訟は4件あり、Turoがロサンゼルス市を相手取った訴訟を含め3件は未解決だ。

機会と成長

リスク要素はあるものの、Turoは現在のサービス可能獲得可能市場規模を1460億ドル(約16兆8405億円)、総獲得可能市場規模(TAM)を2300億ドル(約26兆5257億円)と推計している。

「当社の総獲得可能市場規模、2300億ドルのうち1340億ドル(約15億4541億円)は北米、650億ドル(約7兆4969億円)が欧州、310億ドル(約3兆5754億円)がそれ以外(中長期的機会があると当社が考える国々が含まれます)と推計しています」と提出書類にかかれている。

同社が事業を本拠地米国だけでなく世界市場に進出する用意ができているらしいことは注目に値する。さらに同社は、戦略的買収および提携によって「ホストやゲストに現在自社で提供していないサービスや機能を提供する」つもりだ。

画像クレジット:Turo

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(文:Rebecca Bellan、Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラ「完全自動運転」最新ベータ版は違法なローリングストップを行う「アサーティブ」モード搭載

The Vergeの報道によると、Tesla(テスラ)の最新の「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ10.3にはプロファイルが復活し、ローリングストップなどの違反にもなり得る操作を行う可能性のある「アサーティブ」モードが再び搭載された。このアップデートは当初、2021年10月に3つのプロファイル(「チル(=リラックス)」「アベレージ」「アサーティブ(積極的)」)を搭載してリリースされたが、信号での左折や予期せぬ停止などの問題が発生し、わずか2日後に撤回されていた。

米国時間1月9日に発表された最新のアップデートでは、FSDベータ版のプロファイルが復活している。「アサーティブ」を選択した場合、注意書きには「このプロファイルでは、Model Xの追従距離が短くなり、より頻繁にレーンチェンジを行い、追い越し車線から退出せず、ローリングストップを行う可能性があります」とある。なお、Twitterユーザーの@Digitalhenが指摘しているように「アベレージ」モードでもこのシステムはローリングストップを行うことがある。

「ロードレイジ(を招く)モード」は画面に収まりきらなかったらしい

一般的にローリングストップとは、クルマが停止線で徐行し完全に停止しないことを意味するが(これは違法で危険だ)、FSDの運転がそれに該当するかどうかはまだ明らかでない。また、多くの州では、誰も追い越していないのに左車線や追い越し車線を走行し続けることは違法だし、もちろん、先行車に追従しすぎるのもよくない。とはいえ、このモードはまだ十分にテストされていないため、これらのことがどのように行われるかを正確に示すことはできない。

週末、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、まだベータ版であるにもかかわらず、FSDの価格を1万ドル(約115万円)から1万2000ドル(約138万円)に引き上げると発表した。以前にも指摘したように、FSDは真のレベル4の自動運転ではなく、単にレベル2の高度運転支援を提供するものであるため「Full Self-Driving」という名称は(Autopilotと同様に)誤解を招く恐れがある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】クルマの「機能過多」が半導体不足を助長している

自動車業界における半導体不足への最善の対策は、もっとチップを作ることではないとしたらどうだろう? 代わりに「機能過多(feature bloat)」と呼ばれる現象を何とかすることを考えてはどうだろうか。激化する販売競争に押されて、新車にできる限り多くのテクノロジーを詰め込む傾向のことだ。

調査によると、消費者が欲している(そして期待している)のは、次の新車が眼を見張るような機能で埋め尽くされていることのようで、それが機能膨張の要因だ。先週終わったCES 2022では、これからのクルマがどうなっていくかを垣間見ることができた。Bosch(ボッシュ)は自動車用ソフトウェアは2030年まで2桁成長が続くと予測していると語った。Panasonic(パナソニック)は視線追跡付き拡張現実ヘッドアップ・ディスプレイと、出力1000ワット、スピーカー25基を要するELS Studio 3Dオーディオ・システムを披露した。BMW(ビー・エム・ダブリュー)は車の外装色と社内のデジタルアートをユーザーが変えられる未来技術を紹介し、後部座席の31インチシアター・スクリーンにはAmazon Fire TV(アマゾン・ファイアーティービー)が内蔵されていた。

そしてこれらは、CES 2022で披露されたカー・テックのごく一部にすぎない。

しかし、もしそのテクノロジーが信頼できないとしたら(実際いくつかはそのことが証明されている)、消費者の勝利とはいえない。一方、現実の市場では、現場の購入者をある災難が待ち受けている。いちばん欲しい機能のいくつかは、価格が高いだけでなく入手が困難であることだ。

「半導体不足ではありません、起きているのはソフトウェアの肥大化です」と、多くの自動車メーカーにグラフィカル(GUI)のデザインとツールを供給しているAltia(アルティア)のCEO・共同ファウンダー、Mike Juran(マイク・ジュラン)氏は言った。

たとえばChevrolet Volt(シボレー・ボルト)を見てみよう。このプラグインハイブリッド車の2011年モデルが登場した時、1000万行のコードが使われていた。現在の中・高級車に入っているコードは1億行前後だとAltiaのエンジニアリング担当副社長、Michael Hill(マイケル・ヒル)氏は言う。

「これは10年か15年前のジェット戦闘機で見るレベルです」とヒル氏はTechCrunchに語った。「そして、バグのないソフトウェアは存在しません」

消費者にとって悪い知らせがある:機能過多は不可避であり悪化していく。

「今日の車は、消費者が必ずしも望んだり要求したりしていない機能を背負い込んでいます」とConsumer Reports(コンシューマー・レポート)誌の自動車テスト担当シニア・ディレクター、Jake Fisher(ジェイク・フィッシャー)氏がTechCrunchに話した。

フィッシャー氏によると、同誌の2021 Auto Reliability Report(2021年自動車信頼性レポート)は、ハイエンドの電動SUV(スポーツ用多目的車)は最も信頼性の低い車だと評価している。

「そしてそれは、パワートレインに問題があるからではありません」とフィッシャー氏は言う。「問題はそうではなく、自動車メーカーがEVのアーリーアダプターにあらん限りのテクノロジーを載せた車を売ろうとしていることです。商品を差別化し、高い価格を正当化しようとしています。その結果生まれているのが、非常に信頼性の低い車です」

効率の悪さとコーディングの問題によって起きるバグのあるソフトウェアを生み出しているのは、自動車開発サイクルのシフト、もっと正確に言えば、加速だとAltiaのマーケティング担当副社長、Jason Williamson(ジェイソン・ウィリアムソン)氏は言う。

「みんな毎年新しいスマートフォンが出てくることに慣れているので、自動車メーカーは消費者家電に追いつこうと必死です」とウィリアムソン氏は言った。「全く新しい車を2年以内に開発するよう圧力をかけています。そしてそれは、必ずしも自動車アプリケーション用にカスタム製作された部品ではなく、ノートパソコン用に作られたかもしれない構成部品が使われていることを意味しています」

テクノロジーで消費者を誘惑しているのは高価なEVだけではない。多くの中・高級製品ラインで起きている。

「ソフトウェア過多というより機能過多です」とGuidehouse Insights(ガイドハウス・インサイツ)のEモビィリティー担当主任研究アナリスト、Sam Abuelsamid(サム・アブエルサミド)氏は言った。「ソフトウェアはあらゆる機能を働かせるためにあるだけです。それより、30種類に調整可能で5種類のマーサージ・オプションのついたシートが本当に必要ですか? あるいは、シーケンシャル・テールランプやマルチゾーン完全自動エアコンやコンサートホールとスタジオ設定のあるオーディオシステムも。ライバルの一歩先を行こうとする果てしない欲求がこれを助長しています」

自動車メーカーの十字架

あらゆるテクノロジーは良いテクノロージー、という考えの自動車メーカーは、扱いにくいが最終的にはより賢いアプローチを避ける。

「いちばん難しいのは、あるべき機能セットを見極めてそれを追究することです」とLucid Group(ルーシッド・グループ)のデジタル担当上級副社長、Mike Bell(マイク・ベル)氏は言った。「『よくわからないから、何でもかんでも載せよう』と言うほうが簡単しもしれません。しかし賢いアプローチは、顧客が本当にやりたいことを知り、どうすれば最高の体験を与えられるかを見つけ出すことです。何かをするための方法が7つもあるなどいけません」

ベル氏はApple(アップル)で17年近く過ごし、自ら率いるLucidの技術チームの何人かもそこで勧誘した。問題の原因の1つは、テック企業の規範とは異なり、自動車メーカーはソフトウェア業務の大部分を外部調達していることだと彼は言った。「外注してよい体験を期待することはできません」と彼は言った。「Lucidでは、どこかで買ってくるのではなく、自分たちでソフトウェアを作り、自分たちで統合しています」

自動車メーカーも新しいテクノロージーの重要性を認識し始めている。

「車を発売することは、もはやハードウェアだけの問題ではなく、ソフトウェアも重要になっています」とPolestar(ポールスター)CEOのThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏は言った。同氏はインタビューで、ソフトウェアの無線アップデート(OTA)ができるかどうかで「消費者満足度に大きな違いがでます。問題が起きた時に迅速に対応ができます」と付け加えた。

大きな期待

大きな要素の1つが消費者の期待だ。自動車購入者がさまざまな機能を必要としていないのは事実だが、表面的にはそれを欲しがっているように見える。データ・ドリブンの自動車購入アプリ、CoPilot(コパイロット)が11月に行った調査によると、自動車メーカーは人々の要求に答えているだけだという。現在のリース利用者の65.7%が、次の乗用車やトラックに今よりも良い機能を期待していて、56%以上が、現在の車に払っているのと同じかそれ以下しか払うつもりがない。

同様に、9月に1000人以上の自動車オーナーを対象に行ったCarMax(カーマックス)の調査では、50%近くが「今の車にもっとテック機能があればよかった」と思っていると答えた。

20代と30代という自動車メーカーにとって期待度の高い世代は、ほとんどがテック機能を購入検討する上で「極めて重要」だと答えた。全体では、15.9%がテック機能を極めて重要と考え、3.7%が非常に重要、31.8%が「ある程度重要」と回答した。「全く重要でない」と答えたのはわずか3.9%だった。

半導体不足の現状を踏まえると、テックへの期待が満たされている可能性は低い。

CoPilotのCEO・ファウンダー、Pat Ryan(パット・ライアン)氏は、消費者は3つの分野で困難必須の成り行きにあるという。「第一に、車を手に入れるまでに3~6か月かかり、みんなそのことに慣れていません」とライアン氏は言った。「二番目の問題は、新車には下取りに出そうとしている車よりも少ない機能しかないかもしれないことです」

高級サウンドシステム、ワイヤレス充電、暖房付きシートさえも半導体不足のために入手できないかもしれない。そして、おそらく表示価格の95%を払っていた人たちは、表示価格で買うことになるかもしれない。

それでもハイテク・カーへの欲求がなくなることはない。Edmunds(エドモンド)のInsights(インサイツ)担当エグゼクティブ・ディレクター、Jessica Caldwell(ジェシカ・コールドウェル)氏は、自動車メーカーは自社の乗用車やトラックを走る多目的オフィス兼住居空間だと宣伝していて、購入者は喜んでいる、とTechCrunchに語った。

「消費者は増え続ける機能と快適性を楽しんでいます。なによりも重要なのはそういう高度に満ち足りたクルマにお金を払う意思が彼らにあることです」と彼女は言った。「半導体不足によってオプションや機能を増やしたモデルを作ることが困難になりましたが、消費者の関心は続いています。そして、そこに消費者の欲求がある限り、自動車メーカーは自分たちの利益と市場シェアのために、答える方法を見つけるでしょう」

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jim Motavalli、翻訳:Nob Takahashi / facebook