CES 2022に出展された電動自転車や電動スクーターは、よりパワフルに、よりスマートに

ラスベガスで開催されたCES 2022の会場には「eMobility Experience(eモビリティ体験)」というテストコースが設置され、電動スクーターや電動自転車など、マイクロモビリティの試乗が行われた。

たくさんの製品が出展されたものの、その多くは実際にはまったく新しいものというわけではなかった。例えば、Bird(バード)社の「Bird Bike(バード・バイク)」「Bird Flex(バード・フレックス)」「Birdie(バーディ)」といった一般消費者向け新製品や、Zoomo(ズーモ)社のユーティリティー電動アシスト自転車、Euphree(ユーフリー)社のステップスルー型電動アシスト自転車「City Robin(シティ・ロビン)」、Arevo社(アレボ)やSuperstrata(スーパーストラタ)社の3Dプリントで製造されたカーボンファイバー製e-bike(イーバイク、スポーツ電動アシスト自転車)などだ。その他にも、電動スクーター、自転車、モーターサイクル、コネクテッド・テクノロジーの新バージョンを展示している興味深い企業がいくつかあった。

2022年のメインテーマは、いわゆるスマート・コネクテッド・ビークルだ。これらの小型電動車には、従来より強力なオンボード・コンピューターが搭載されており、アプリと同期することで、乗り手は自分の車両を見付けたり、フィットネスの目標を追求したり、鍵やライトなどの機能をコントロールしたりすることができる。

この記事では、CES 2022で発表された新しい自転車、スクーター、そしてコネクテッド・テクノロジーをまとめてご紹介しよう。

Segway(セグウェイ)

画像クレジット:Segway-Ninebot

個人向け車両の販売だけでなく、世界の多くのレンタル事業者に車両を供給している電動マイクロモビリティ・メーカーのセグウェイは、キックスクーターの新ライン「Pシリーズ」と、新しい原付クラスの電動スクーター「E110a」を携えてCESに参加した。

「P60」と「P100S」は、幅広のフットボードとハンドル、自動車グレードのオールシーズンタイヤ、前後にスプリングサスペンションを備える。ターンシグナルやテールライトも装備されており、複数の方法でロック/アンロックできる。E110aは2人乗りで、豊富な収納スペースとスマートな機能を備えているとのこと。セグウェイは、そのスマート機能が具体的に何であるかという詳細な情報を明らかにしなかったものの、もし前世代モデルと同じような機能なら、バッテリー管理システムと、スマートフォンに接続する機能、そしてそのためのSegway-Ninebot(セグウェイ・ナインボット)アプリなどだろう。

CAKE(ケイク)

画像クレジット:Cake

スウェーデンの軽量電動バイクメーカーが「CAKE :work(ケイク・ワーク)」シリーズを米国に初上陸させた。この仕事用電動バイクのシリーズは、欧州ではすでに発表されているが、米国ではまだだった。CES期間中に発表されたCakeのさらに大きなニュースは、コネクティビティ・アプリ「Ridecake(ライドケイク)」のアップデートだろう。このアプリには、企業の車両管理担当者が、各車両を監視・管理するための機能も含まれる。

新たなコネクティビティ機能は、データサービスに対応したCake Connect(ケイク・コネクト)モジュールを搭載している車両のすべてのライダーが利用できる。これにはすべての現行および次期モデルと、既存のCakeバイクの大部分が含まれる。今回のアップデートで、カスタマイズ可能なライドモード、リアルタイムのライディング情報、ライド履歴、盗難防止のセキュリティが、このアプリに追加された。

Cakeのクラウドベースの管理システムを使用している車両管理担当者は、リアルタイムでデータを取得することができる。これには、管理車両すべての現在位置、走行距離、航続距離、バッテリーの状態、診断データへのアクセスなどが含まれる。また、無線通信を介してファームウェアのアップデート、盗難防止機能へのアクセス、カスタムライドモードの設定なども可能だ。

Delfast(デルファスト)

画像クレジット:Delfast

米国とウクライナのスタートアップ企業であるDelfastは、1回の充電で最大200マイル(約322km)の距離を走行可能な電動バイク「Top 3.0」のアップグレードモデルを発表した。このスマートバイクにはコンピューターが搭載されており、ソフトウェアのアップデートを受信したり、盗難防止のために車両をロックすることができる。また、同社の新しいモバイルアプリと同期することで、スマートフォンからオンデマンド分析、バイクのロックとアンロック、盗難防止アラームの作動と解除、総走行距離と積算走行距離および走行速度の記録、バイクのパワー確認と航続距離の推定、車両の位置確認、照灯の制御などの機能が利用できる。

Niu(ニウ)

画像クレジット:Niu

中国の電動スクーター企業であるNiuは、2022年のCESに新型e-bike「BQi-C1」を出展した。この電動自転車は同社がすでに予告していたものだが、CESでついに価格と技術仕様が公開された。

ステップスルー型のフレームには、定格出力500W、最大出力750Wを発生するBAFANG(バーファン)製のハブモーターを後輪に搭載。米国では最高時速28マイル(約45km/h)を発揮することができるが、欧州ではe-bikeの規制が厳しく、モーターの出力は250W、最高時速は15.5マイル(約25km/h)に制限される。また、米国仕様ではスロットルとペダルアシストの両方が装備されているが、欧州ではペダルアシストのみとなる。BQiはアプリと接続して多くのスマートセキュリティ機能を利用できる。米国での販売価格は1499ドル(約17万3000円)と、このようなパワフルなe-bikeにしてはかなりお買い得だ。

Okai(オカイ)

  1. EB20-1

    Okui EB20 e-bike
  2. ES600

    Okui ES600 シェアリング向けキックスクーター
  3. ES800

    Okui ES800 オフロードキックスクーター
  4. SH10-1

    Okui SH10 スマートヘルメット
  5. SH10

    Okui SH10 スマートヘルメット
  6. SP10

    Okui SP10 スマートバックパック

Okaiも、多くの大手シェアード・モビリティ業者に車両を供給している中国のメーカーで、今回のCESには5つの製品を出展したが、乗れるのはそのうち3つだけだ。まずはそちらから見ていこう。e-bike「EB20」は、プロ用グレードのマウンテンバイクの部品を使用し、軽量なカーボンファイバー製フレームを採用。12段変速で、750Wのモーター、交換可能なSamsung(サムスン)製バッテリー、2.8インチの大型LEDタッチスクリーンを搭載する。

Okaiはまた、成長する電動キックスクーター・シェアリング業界の需要に対応するために「ES600」も発表した。このシェアリング向け電動キックスクーターは、交換可能なバッテリーシステムと、各バッテリーに備わるハンドル、最適化された重量配分、低重心、油圧式サスペンションシステムなどを特徴とする。サイドとフロントにはウインカー、LEDヘッドライトとテールライト、そして車体サイドにリフレクターを装備する。そして「ES800」は、本格的な1800Wのモーター、12インチのオフロード用タイヤ、デュアルショックアブソーバーを装備するオフロード・パフォーマンス・キックスクーターで、最大35%の勾配を登坂できる。重量は一般的な電動キックスクーターより30%重く、高い安定性を誇るヘビーデューティーな一台だ。

さて、それでは乗ることができない製品の話に入ろう。Okaiはより安全で衛生的な移動のために、抗菌素材を使用したスマートヘルメット「SH10」を発表した。これは、都市部でヘルメットの装着が義務付けられつつあるシェアード・キックスクーターのユーザーにも向けたものだろう。

このヘルメットにはBluetoothが内蔵されており、Okaiアプリに接続すると、ライダーはフロントとリアのLEDディスプレイをカスタマイズ設定して、視認性を向上させることができる。また、内蔵されたスマートスピーカーにより、ライダーは路上で聴覚による認識力に影響を与えることなく、音楽を聴くことも可能だ。

そしてもう1つ、Okaiがラスベガスで発表した製品は「SP10」と名付けられたスマートバックパックで、これは紫外線殺菌機能、セキュリティロックを解除する指紋センサー、デバイス充電機能、バイクとカラーを同期できるカスタマイズ可能なRGBストリップを備える。

Bosch(ボッシュ)

ボッシュは、e-bike用のコネクテッド・スマート・システムを2022年のCESに出展した。厳密にいうとこれは新しい製品というわけではないが、CES Innovation Awards(CESイノベーションアワード)で栄誉ある賞を受賞した。

このシステムは、キーの役割を果たす「eBike Flow(eバイク・フロー)」アプリと、コントロールユニット、ディスプレイ、充電式バッテリー、ドライブユニットで構成される。CESで発表された他の製品と同様、このシステムを装備したコネクテッド・バイクは、無線によるアップデート、個人の走行情報やフィットネスデータの記録、ライディングモードのカスタマイズが可能で、バッテリーの充電状態や次回のサービス予約などの情報をホーム画面に表示することができる。

Moonbikes(ムーンバイクス)

画像クレジット:Moonbikes

そろそろ飽きてきた読者の興味を惹き付けるため、最後にご紹介するのは、Moonbikesだ。

この会社の電動雪上車も、決して新しい製品というわけではないが、多くの人々が実物を見ることができたのは今回のCESが初めてだろう。これは3kW(4馬力)を発生する電気モーターを搭載したシングルトラックのスノーモービルで、最高速度は時速26マイル(約42km/h)に達する。

重量は182ポンド(約82.5kg)と、一般的なスノーモービルよりもはるかに軽いので、より簡単に操縦して遊ぶことができそうだ。リアには雪上トラックベルト、フロントにはシングルスキーが装備されており、バッテリーはスポーツモードで約12マイル(約19.3km)、エコモードで約22マイル(約35.4km)の距離を走行できる。フル充電には約5時間ほどかかる。

画像クレジット:Delfast

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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

シボレー・シルバラードがついにEV化、2023年に生産開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)のEVを発表した。航続距離は400マイル(約644キロメートル)、最高出力は664HP(馬力)、ベーシックなワークトラック版の価格は3万9900ドル(約462万円)からだ。フル装備で4輪駆動のRSTファーストエディションは10万5000ドル(約1218万円)となっている。どちらも2023年に生産ラインに載る予定だ。待てない方は、少し高価なGMC Hummer EV(GMCハマーEV)の列に並ぼう。ほぼ同じクルマだ。

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General MotorsのCEO、Mary Barra(メアリー・バーラ)氏は米国時間1月5日、CES 2022のバーチャル基調講演でこのクルマを発表した。同社は、Ford F-150 Lightning(フォード・F-150ライトニング)に対するChevy(シボレー)の答えの他に、複数の大衆向け電気自動車を発表した。また、2020年代半ばまでに個人向け自動運転車を販売する計画も発表した。

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Silverado EVは、Hummer EV、Sierra Denali(シエラ・デナリ)に続き、General Motorsが発表した3台目のEVピックアップトラックだ。同社はデナリのティーザー広告を2021年12月に発表したばかりで、それについてはほどんど何もわかっていない。しかし、Silveradoは、印象的なHummer EVと部品の大部分を共有しているようだ。Silverado EVが「付け足し」だと勘違いしないで欲しい。Silverado EVは、この3つの中で最も重要だ。Chevy Silveradoは長い間、主力製品であるFord F-150ピックアップの主要な競争相手だった。

画像クレジット:GM

発売時に用意されるのは、3万9900ドル(約462万円)のWork Truck(ワークトラック、WT)エディションと、フルスペックのRSTファーストエディション(約1218万円)の2種類。どちらも航続距離は400マイル(約644キロメートル)とされている。装備品を含めると、最終的には、5万〜8万ドル(約580万〜930万円)の価格帯になりそうだ。

Silverado RSTファーストエディションは、多くの技術的な改良が施されている。Hummer EVと同じ4輪駆動と適応性のあるエアサスペンションを使用している。中央には17インチの巨大な液晶画面、運転席には11インチの画面と巨大なHUD(ヘッドアップディスプレイ)が備わっている。このエディションには、Chevyのアドバンストトレーラリングシステムも搭載されている。

3万9900ドル(約462万円)のWork Truckエディションについて、公表された情報はより少ない。パワーはより小さく、510HP(馬力)、トルクは615ポンド・フィートだ。RSTエディションは664HP(馬力)、トルクは780ポンド・フィート。また、牽引力は8000ポンド[約3600キログラム](RSTエディションの1万ポンド[4500キログラム]より小さい)。インテリアも大きく変わり、ダッシュボードには10万5000ドル(約1218万円)のRSTモデルに搭載されている巨大な液晶ディスプレイがないのが特徴だ。

また、RSTエディションは、キャビンとベッドの間に取り外し可能なパネルがあるため、収納容量が大きい。また、センターコンソールも大きくなり、ルーフも固定ガラスになった。

WTとRSTエディションは、公共のDC急速充電ステーション対応機能(350キロワット)を備え、10分で100マイル(約161キロメートル)の航続距離が得られる。Silverado EVは、Ford Lightningと同様に110ボルトの発電機として機能するが、Chevyの最大出力は10.2キロワットで、Fordの9.6キロワットを上回る。

ChevyとFordの間には歴史がある。両社は長い間、互いの開発を追いかけてきた。2021年5月にFord F-150 Lightningを発表した際には、FordがChevyに数カ月先行した。それ以来、Fordに予約が殺到した。同社は今週初め、生産を倍増し、2023年半ばまでに年間15万台の生産を達成すると発表した。

General Motorsは米国時間1月5日、3万9900ドル(約462万円)のChevy Silverado Work Truckの生産を2023年春に開始する意向だと発表した。さらに、RSTファーストエディションは2023年秋から生産する。最終的には、同日プレビューされたオフロードをテーマにしたTrail Bossエディションなど、Chevyはより多くのモデルを市場に投入する見込みだ。

Ford F-150 LightningとChevrolet Silverado EVは、初めて根本的に異なる車種となった。これらは、それぞれ異なるアプローチをとった。Ford F-150 Lightningは、伝統的なボディオンフレーム・プラットフォームを採用している。これは、現在のFord F-150 LightningやChevy Silveradoなど、ピックアップ市場で採用されているものと同じアレンジだ。しかし、General Motorsは、ボディとフレームを一体化したユニボディを採用。Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも採用されている構造だ。この構造により、剛性は向上するが、牽引力と積載力が犠牲になることが多い。

電動ピックアップトラック市場は急速に拡大している。Silveradoは一部の競合他社よりも遅れて市場に投入される予定だ。SilveradoのいとこであるHummer EVは生産中であり、一部の顧客には納車が始まっている。Rivian(リヴィアン)も同様で、最初のピックアップトラックであるR1Tの生産を開始した。2021年12月に予約したピックアップトラックを受け取った顧客もいる。

TeslaのCybertruckは、わかっていないことが多い。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は2019年11月、このワイルドなピックアップを発表したが、多くの詳細がまだ明らかにされていない。Teslaのウェブサイトからは、生産予定時期が削除された。市場では、サイバートラックがまだ開発中であることはほぼ一致しているが、時期は不明だ。

General MotorsのEVへのアプローチは広がりつつある。2008年の自動車メーカー救済の暗黒時代に、Chevy Voltでスタートした。次に、2017年にChevy Boltで初の量産型EVを生産した。そして、新型コロナウイルスの数週間前の2020年3月4日、CEOのバーラ氏は、次世代EVプラットフォーム「Ultium(アルティウム)」を発表した。その後、チップ不足や世界的なパンデミックにもかかわらず、Hummer EV、GMC Sierra Denali、Cadillac Lyriq(キャデラック・リリーク)、シボレー・シルバラード、Chevrolet Blazer EV(シボレー・ブレイザーEV)、Chevrolet Equinox(シボレー・エクイノックス)を発表した。

画像クレジット:GM

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(文:Matt Burns、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが次世代のハンズフリー運転支援システムにクアルコムの自動車用プラットフォームを採用

GMが2023年に、まずはCadillac(キャデラック)から導入を開始する新しいハンズフリー運転支援システム「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」には、Qualcomm(クアルコム)の最新のSnapdragon(スナップドラゴン)システム・オン・チップ(SoC)が採用される。2022年のCESで行われたこの発表は、Qualcommが自動車分野、特にADAS(Advanced Driver Assistance System、先進運転支援システム)で多くの市場シェアの獲得に成功していることを示している。

「Snapdragon Ride Platform(スナップドラゴン・ライド・プラットフォーム)」と呼ばれるこのSoCは、ADASおよび自動運転向けに開発されたもので、Qualcommが提供する自動車用クラウド接続プラットフォーム群の1つ。自動車メーカーはこれらのプラットフォームの中から、使いたいものを選んで採用することができる。

GMのUltra Cruiseシステムは、2017年に初めて導入された同社のADAS「Super Cruise(スーパークルーズ)」をさらに高度化したものと考えられる。

GMによれば、Ultra Cruiseは運転中に予想されるあらゆる事態の95%に対応でき、最終的には米国とカナダのすべての舗装道路で使用可能になるという。これは大変な仕事だが、この目標を達成するために、同社はカメラ、レーダー、LiDARという3種類のセンサーを使用し、独自のソフトウェアとQualcommのプロセッサを組み合わせた。このシステムはまず、2023年に発売予定の高級電気自動車「Cadillac Celestiq(キャデラック・セレスティック)に搭載されることになっている。

もう少し掘り下げて説明すると、Ultra Cruiseのコンピュートユニットはノートパソコン2台を重ねた程度の大きさで、2基のSnapdragon SA8540P SoCと1基のSA9000P AIアクセラレータで構成されている。16コアのCPUで低レイテンシーの制御機能を提供し、カメラ、レーダー、LiDARの処理には毎秒300テラ以上のAIコンピュートを実行できるという。

このSnapdragon SoCは、5nmプロセス技術で設計されており、コンピュートユニットには、システムの安全性を確保するためのInfineon(インフィニオン)のAurix(オーリックス)TC397プロセッサも搭載されている。Aurix TC397は、自動車安全水準で最高レベルとされるASIL-Dに分類されている車載用マイクロコントローラーだ。

これらをすべて組み合わせると、数百台のパーソナルコンピューターに匹敵する処理能力を持つコンピュートシステムになる。GMの電気自動車・自動運転車・燃料電池車プログラム担当バイスプレジデントのKen Morris(ケン・モリス)氏は、このシステムが2017年に発表された同社の先進運転支援システムを「次のレベルに引き上げ、出発地のドアから目的地のドアまでのハンズフリー運転が可能なる」と述べている。

Qualcomm Technologies, Inc.(クアルコム・テクノロジーズ)のシニアバイスプレジデント兼オートモーティブ担当GMを務めるNakul Duggal(ナクル・ダガル)氏は、キャデラック車に搭載されるSnapdragon Rideを使ったUltra Cruiseシステムは「自動車業界にとって経験的にも技術的にも飛躍的な進歩となる」と述べている。

Super CruiseとUltra Cruiseの比較

Super Cruiseは、LiDARによるマッピングデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用する他、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムを備える。Super Cruise使用中にドライバーはハンドルに手を置いておく必要はない。しかし、目線はまっすぐ前方に向けていなければならない。

Ultra Cruiseは、より安定性が高く、より多くの道路で利用できるようになるかもしれないが、ドライバーが常に注意を払う必要があることに変わりはない。つまり「完全な自動運転」が可能なレベル4のシステムではないということだ。レベル4システムとは、特定条件のもとであれば、人間の介入を一切必要とせず、すべての運転操作を自動で行うことができる機能レベルのことで、GMの子会社であるCruise(クルーズ)などの企業が、ロボットタクシーへの適用を通じて実用化に取り組んでいる。

Ultra Cruiseは、Super Cruiseシステムの能力をさらに高めるように設計されている。また、Ultra Cruiseはカメラ、レーダー、LiDAR(LiDARのマッピングデータだけではない)の組み合わせを通して、車両周辺の環境を正確に360度、3次元で統計的に把握し、重要なエリアには冗長性を確保している。GMによればこの新システムでは、マッピングよりもセンサー類に大きく頼っているという。

これによってUltra Cruiseのシステムは、信号機への反応、ナビゲーションルートへの追従、制限速度の維持・遵守、自動およびオンデマンドによる車線変更、左折・右折、物体の回避、住宅地のドライブウェイへの駐車などを自動で行えるようになるということだ。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Volvoが新型e-SUVに自律走行機能を搭載へ、LuminarやZenseactと提携

Volvo Cars(ボルボ・カーズ)は米国1月5日、ライダー企業のLuminar(ルミナー)および自律走行(AD)ソフトウェア子会社のZenseact(ゼンセアクト)と協力して、次世代の完全電気自動車にAD機能を導入するとCESで発表した。「Ride Pilot(ライドパイロット)」と命名したこの機能を、今年後半に公開予定の電動SUVにアドオン・サブスクリプションとして導入することを目指す。

Volvoによると、Ride PilotはVolvoが「監視なし」のAD機能と呼んでいるもので、車が自分で運転できるようになるため、乗車する人は「読書、執筆、仕事、社交などの二次的活動」を楽しむ時間がたっぷり取れるようになるという。Volvoが株式の過半数を保有するLuminarとZenseactは、少なくとも2021年3月からこうした機能の構築に取り組んでいて、両社は技術を組み合わせて、他の自動車メーカーに提供できる「全体的な自律走行車スタック」を構築する計画を共有していた。Nvidia(エヌビディア)のシステムオンチップが、Volvoの基幹計算システムを動かす。

Volvoは、自律走行機能を備えた商用車の市場投入に向けた戦略を策定した最新の自動車メーカーだ。Tesla(テスラ)は、誤解を招くような名前の「Autopilot(オートパイロット)」と「完全自動運転」ソフトウェアを世に送り出した。これらは、カメラとコンピュータービジョン技術のみに依存し、はっきりと確認できる車線内での自動操縦、交通状況認識クルーズコントロール、自動車線変更、自動駐車、車呼び出し、交通および停止信号制御といったタスクを処理できる高度な運転支援機能を提供するものだ。中国の自動車メーカーXpeng(エックスペン)も、ライダー、レーダー、カメラに依存し、ドライバーが設定したルートに基づいて地点から地点への自動運転を支援する次世代ADASである「Xpilot」を展開している。

Volvoのデジタルビジネス担当副社長Martin Kristensson(マーティン・クリステンソン)氏は、「Ride Pilotで重要なのは、実際に自動運転ができることです」とTechCrunchに語った。「ハンドルにずっと手を置いている必要はありません。前方を見る必要もありません。実際に車の中で朝食を食べたり、本を読んだり、映画を観たりでき、その間、車が勝手に運転します。私たちは、車が自動運転しているときに責任を負います。そういう意味で、今の市場にはない提案だと思います」

Ride Pilotが市場に出る前に、このソフトウェアは、多くの条件下で高速道路で安全に使用できる技術の検証を含む、厳格な検証およびテストプロトコルを受けるとVolvoは話す。当初、Ride Pilotは限られた運用設計領域で利用できるようになる予定だ。具体的には、 Volvoが検証した高速道路での低速走行に限定される。

カリフォルニア州の顧客が最初にRide Pilotを体験し、その後、他の市場に徐々に展開する予定だが、カリフォルニア州が自律走行試験に対して良好な規制環境にあること、晴天が多い気候、そして高速道路を利用する車が多いことを考えれば、これは理にかなっている。ロサンゼルスの通勤者は平均年119時間も渋滞に巻き込まれており、その時間をもっと有効に使えるとVolvoは考えている。

Volvoはカリフォルニア州の公道で車両をテストするための許可を確保する必要があるが、クリステンソン氏は、同社が「カリフォルニア州陸運局を含む関連規制機関と対話し、必要なすべての承認を確保している 」と話す。今のところ、同社はスウェーデンでZenseactとRide Pilotのテストを行っているだけだが、今年半ばまでにはカリフォルニアの公道でのテスト開始に必要な許可を得られる見込みだ。Volvoがこの技術を実際に商業展開するために必要となる規制は、業界が提供するものに対してまだ追いついていない。例えば、カリフォルニア州には現在、運転中のドライバーの電話使用を禁止する法律がある。これは、自動運転中にTwitterをスクロールしたり、電子メールに返信したりできるとうたってドライバーをRide Pilotに加入させるVolvoの計画にとって障害になるかもしれない。

TechCrunchの情報提供要請に対するカリフォルニア州自動車局からの回答は間に合わなかった。

Volvoは、Ride Pilotサブスク料金や、SUVがいくらで販売される可能性があるかについては情報共有しなかったが、クリステンソン氏によると2022年のVolvo XC90の価格とほぼ同じで、5万ドル(約580万円)程度からになるとのことだ。顧客がソフトウェアを追加するかどうかにかかわらず、車両にはADとADAS機能を実現するために必要なすべてのセンサーを搭載する。その中でも、LuminarのIrisライダーセンサーは、光る宝石のようにルーフトップに取り付けられるのではなく、よりシームレスに車両のルーフラインに統合されるようになっている。さらに、新型SUVには5つのレーダー、8つのカメラ、16の超音波センサーが搭載される予定だ。

「Volvoは、ハードウェアの標準化を決定しました。つまり、人々がRide Pilotをサブスクするかどうかにかかわらず、すべての車両がこのソフトウェアを起動することができ、また、監視して安全で起動できることを確認するために必要なデータを収集することができるハードウェアを備えます」とZenseactのCEO、Ödgärd Andersson(オッドガード・アンダーソン)氏はTechCrunchに語った。 「全ての車両に、急ブレーキや急ハンドルの操作をサポートするような、基本的な安全機能が標準装備されます。この新しいレベルの技術とライダーによって実際に全く新しいレベルに到達し、その上、より優れたセンシングと計算が可能になったため、運転中にアシストするクルーズ機能が新しいレベルに到達したのです」

テスラのFSDと同様に、継続的に冗長性を確保するために、新しい市場のユーザーと既存のユーザーの両方に、ソフトウェアそのものとアップデートを無線で送信することができる。

Volvoは今後展開する電動SUVのデザインの詳細をまだ明らかにしていないが、フラットフロア、ガラス天井、後ろヒンジのスイング式後部ドアを備えたクロスオーバーに少し似ている、7月に公開したコンセプトEV「 “Concept Recharge(コンセプト・リチャージ)」は「実際の車がどのように見えるかをよく示しています」とクリステンソン氏は述べた。Volvoは、EVバッテリーを製造するNorthvolt(ノースボルト)、Google(グーグル)、Luminarといった企業と提携し、このEVや将来の車両を作る。

CESの期間中、Volvoは、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragonデジタルコックピットインフォテインメントセンターを新しい電動SUVに実装する計画も明らかにした。また、Volvoは1月5日にGoogleとの提携の詳細も発表した。Googleアシスタント対応デバイスとの統合により、ユーザーはGoogleに車のウォームアップを頼んだり、YouTubeを車にダウンロードしたりすることができるようになる。

「電気自動車の充電を待っている間、あるいは自律走行車内で運転というより乗ってくつろいでいる状況で、ドライバーが運転以外の時間を車内で過ごすことが増えるとみています。ですので、車内でもっとデジタルサービスを可能にしたいのです」とクリステンソン氏は述べた。

Volvoが戦略的パートナーシップを通じて構築している一連のデジタルサービスは、同社がサブスクリプションモデルを構築し、顧客がこれらの新製品とどのように接したがっているかを学ぶ機会を与える。

デジタル・コンシューマー・プロダクト責任者のAnne-Mette Nygaard(アンネ・メッテ・ナイガード)氏はTechCrunchに次のように語った。「来年には、前もって購入するのではなく、実際にサブスクできるサービスや体験が消費者に提供されるでしょう。ですから、より柔軟なオーナーシップ、そして消費者への透明性を高めることが進むべき道なのです」。

画像クレジット: Volvo Cars

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

BMWはクルマをプライベートシアタールームにする

2年前のCES 2020で、クルマに心地よいラウンジシートをフィットさせたBMWは、米国時間1月5日、同社の車載エンターテインメントの次なるステップを披露した。31インチ、8KスマートテレビにAmazon Fire TVサービスがついてくる(中国向けには国独自のストリーミングサービスを開発中)。後部座席に乗る人のために配置されたこの新しい32:9「My Mode Theatre(マイモード・シアター)」画面とBowers & WilkinsのDiamond Surround Sound Systemの組み合わせは、国道を走りゆく乗客に映画館のような体験をもたらすことを意図している。

関連記事:BMWは自動運転車をラウンジに変える

5G接続を利用して、このクルマでは最新のショーをオンデマンドでストリーミング視聴することが可能で、My ModeシステムはThe Expanseのエピソードを最新回まで一気見するムードを醸し出す。今のところ見るべき8Kコンテンツは多くないし、Fire TVもまだ対応していないが、少なくともそのときが来たら、あなたのクルマは準備完了だ。

画像クレジット:BMW

また、巨大画面にいつも視野を遮られたいわけではないため、スクリーンは天井に格納することができる。そのためのタッチコントロールは後部ドアに備え付けられている。

「私達は純粋なドライブの楽しみのために没入的なデジタル体験を開発しました」とBMW AG Developmentの研究開発責任者、Frank Weber(フランク・ウェーバー)氏はこの日の発表で語った。「シアターモードでは後部座席がプライベートシネマラウンジに変わります。31インチディスプレイと5G接続、8K解像度にサラウンドサウンドとストリーミングプログラムによって車載エンターテインメントの新しい標準を決める前例のない体験が作り出されます」。

映画を観るだけでなく限らず車内のムードを醸し出すために、BMWの最新のiDriveやOSはMy Modeを備えている。My Modeは運転とトランスミッションの制御を変更することで、車全体の運転挙動だけでなくディスプレイのテーマやサウンド、全体のライティングなどをユーザーの好みに基づいて変化させることができる。

画像クレジット:BMW

これまでにあったモードは「Efficient(効率的)」「Sport(スポーツ)」「Personal(パーソナル)」の3つだったが、この日のCESで同社は、新しいバリエーションをいくつか追加した。「Expressive(表現的)」「Relax(リラックス)」「Digital Art(デジタルアート)」および映画鑑賞のための「Theatre(シアター)」だ。これらの新モードは2022年の後半に提供される。ちなみにここで取り上げている新しいモードのほとんどはドライブの特性を変えるものではなく、クルマのテーマ変更に関するものだ。

デジタルアートモードに関して、BMWは中国のマルチメディアアーティストCao Fei(ツァオ・フェイ[曹斐])氏とパートナー契約を結び、人間と自然の深いつながりを象徴することを狙いとする新発表に向けて同氏が新しいアートワークを制作した。

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一方、サウンドデザインについては、BMWは映画音楽作曲家のHans Zimmer(ハンス・ジマー)氏と再び組んで、同社の電気自動車シリーズのために特別なサウンドを制作した。BMW IconicSounds Electric(BMW アイコニックサウンド・エレクトリック)は、2022年後半にBMW i4でデビュー予定で、ワイヤレスオンラインアップデートで提供される。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

BMWが電気自動車の高性能モデル「iX M60」を発表

BMWのM部門(BMW M GmbH)は、このドイツの高級車メーカーの製品を、さらに数段上まで引き上げることを常に目指している。そして競合他社と同様に、BMWは長い間、電気駆動装置と進歩的な自動運転技術の組み合わせが、BMW Mのようなブランドにとって、どのような意味を持つかということについて考えてきた。BMW Mが手がけた最初の電気自動車は、2021年発売された最高出力544psのセダン「i4 M50」だった。しかし、今週ラスベガスで開幕したCESでは、同社のテクノロジーフラッグシップモデル「iX」の最強バージョンとなる「iX M60」を発表した。この最高出力619ps(スポーツ・モード選択時)を発揮する電気自動車は、BMWのテクノロジーを中核としたiXプラットフォームと、パフォーマンスを重視するMシリーズの伝統を、組み合わせることを目指している。

BMWは、iX M60が停止状態から100km/hまで3.8秒で加速すると約束している。これはローンチコントロールを作動させると2基のモーターが瞬間的に発生する合計1100Nmものトルクに寄るところが大きい。最高速度は電子制御リミッターにより250km/hに制限されるものの、超能力を持った悪の怪人から逃げるような状況でもなければ十分だろう。大きくて重いクルマだが、1回の充電で走行可能な航続距離は WLTPテストサイクルで最大566kmとされている(現時点の開発状況に基づく欧州仕様の予想値)。参考までに挙げると、Tesla(テスラ)の電動SUV「Model Y(モデルY)」は同じWLTPテストサイクルで最大507kmだ。iX M60の高密度バッテリーは、DC急速充電器を使えば10%から80%まで35分で充電できる。

画像クレジット:BMW

BMWは、iX M60に搭載されている2つのモーターには永久磁石がないため、レアアースを一切使用していないと明記している。代わりに「電流付勢同期機械」の原理を採用しているという。

標準装備の4輪アダプティブ・エア・サスペンションと電子制御式ショックアブソーバーは、どんな速度でも車高を適切に保つことを約束する(ドライバーが手動で車高を調整することも可能)。

画像クレジット:BMW

テクノロジー面では、運転支援システムやインフォテインメントシステムのために最新世代のセンサーとソフトウェアを採用し「自動運転や自動駐車を一貫して進化させる大きな可能性を秘めた」コンピューティング・プラットフォームを備えていることを、BMWは約束している。標準装備も充実しており「BMW Live Cockpit Professional(BMWライブ・コックピット・プロフェッショナル)」や「BMW Natural Interaction(BMWナチュラル・インタラクション)」「Bowers & Wilkins Diamond Surround Sound System(バウワース&ウィルキンス・ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システム)」「BMW Laser Light(BMWレーザー・ライト)」「Comfort Access(コンフォート・アクセス)」、運転席と助手席の「Active Seat Ventilation(アクティブ・シート・ベンチレーション)」などが含まれる。さらに、シートやステアリング、アームレストのみならず、真冬のスキー旅行に備えてドアパネルやダッシュボードも温めることができる「Radiant Heating Package(ラディアント・ヒーティング・パッケージ)」も標準で備わる。

画像クレジット:BMW

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ステランティスがアマゾンと提携、コネクテッドカー体験をアップグレード

世界的な自動車メーカーStellantis(ステランティス)は、ソフトウェアから年間225億ドル(約2兆6130億円)を生み出すという計画の一環として、2024年までに一連の車載製品とサービスを同社の車両に導入するため、Amazon(アマゾン)とタッグを組む。

米国時間1月5日に2022 CESで発表されたこの提携は、Stellantisのビジネスのほぼすべての側面に影響を与えるものと思われる。両社によると、Amazonの技術は、Stellantisの自動車開発、車載接続体験の構築、次世代の自動車ソフトウェア・エンジニアの育成に活用されるとのことだ。

この複数年契約の一環として、Stellantisは車両プラットフォームの優先クラウドプロバイダーとして、Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス、AWS)を選んだ。最近、既存社員および新入社員向けのソフトウェア・アカデミーを立ち上げたStellantisは、AWSと協力してソフトウェア、データ、クラウド技術を網羅するカリキュラムの作成にも取り組んでいる。

Stellantisは12月にソフトウェア計画を発表したが、その時はAmazonには触れていない。Stellantisは、ソフトウェアと電動化に2025年までに337億ドル(約3兆9140億円)以上を投資すると発表している。この投資には、2024年までのソフトウェアエンジニア5000人の雇用も含まれる。

同社の最終目標は、2030年までに3400万台のコネクテッドカーを走らせ、消費者に販売した後も何年も収益を上げられるようにすることだ。この目標を達成するために、BMW、Foxconn(フォックスコン)、Waymo(ウェイモ)、そして今回のAmazonとのパートナーシップに傾注している。

Stellantisが自動車のソフトウェアを利用して乗客やドライバーに製品やサブスクリプションを販売する計画には、すでに開発が進んでいる3つの構成要素が含まれている。

それは、同社がSTLA Brainと呼ぶ、基盤となる電気およびソフトウェア・アーキテクチャから始まる。このシステムはクラウドと統合されており、車両内の電子制御ユニットを高速データバスで車両の中央高性能コンピュータに接続する。これにより、同社は「無線」、つまりワイヤレスで車両のソフトウェアをアップグレードすることができるようになる。

この「頭脳」に、Stellantisは「SmartCockpit」を追加した。これはFoxconnと共同で構築したプラットフォームで、ナビゲーション、音声アシスト、eコマースマーケットプレイス、支払いサービスなどのアプリケーションをドライバーに提供するものだ。最後に、BMWと共同開発した3つめの自動運転プラットフォーム「AutoDrive」で、Stellantisのソフトウェア計画は完了する。

同社は1月5日に、Amazonと協力してSmartCockpitプラットフォームをさらに発展させ、ドライバーと乗客にパーソナライズされた車内体験を提供できるアプリケーションを搭載すると発表した。Stellantisの14種の自動車ブランドのいずれにおいても、乗車する人はアプリストアにアクセスしてサービスやエンターテインメントを見つけることができるようになる。また、音声アシスタントAlexaもSmartCockpitに搭載される予定だ。

AmazonのAIテクノロジーは、顧客の行動や関心事を把握し、それに適応するのに使用される。これは、顧客が厳しい地形の道を走る前に車両を調整し、性能を最適化するのに役立つデジタルオフロード「コーチ」がJeep車に搭載される可能性があることを意味する、とStellantisは述べた。

車載ソフトウェアは、スマートホームやサービスなど、Amazonの他の製品とも連携し、ユーザーは車に乗ったまま自宅を監視・管理できるようになる。また、この機能は逆にも作用する。自宅のAlexa対応デバイスやスマートフォンのAlexaアプリにコマンドを送ることで、車に乗る前に車内の温度を設定することができるようになる。

画像クレジット: DENIS CHARLET/AFP / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

キャデラックの新たな自動運転コンセプトは「車輪のついた高級ラブシート」

2021年に6人乗りの自動運転ボックスや乗車可能なドローンのコンセプトを発表したGM(ゼネラルモーターズ)の最新の高級自動運転EVのアイデアは、より地に足の着いたものとなっている。InnerSpaceコンセプトは、外観は未来的なクルマのように見えるが、内部には、我々がこれまで見た中で最も広いスクリーンの1つに囲まれた2人がけのラブシートがある。もちろん、ハンドルやペダルはない。その代わりに、オットマンがビルトインされ、スリッパやブランケットを置くスペースがある。GMが目指すところでは、マニュアル操作の類は必要ない。

ドアが飛び出し、大きなフロントガラスとサンルーフが立ち上がる。クルマに乗り込むことさえもSFの世界のようだ。InnerSpaceのようなコンセプトは、例によってカーデザイナーが未来のクルマの姿を想像し、その力を発揮するための手段だ。確かに大半の人には手が届きそうにもないが、Cadillac(キャデラック)の裕福な顧客層なら、個人用の宇宙船を所有することに興味を持つかもしれない。少なくとも、フルサイズの高級SUVよりは環境にも優しい。

GMのグローバル・アドバンスド・デザイン担当エグゼクティブ・ディレクター、Bryan Nesbitt(ブライアン・ネスビット)氏は声明の中で「電動化と自律走行は、自動車の役割と顧客の乗車体験を根本的に変えるでしょう」と述べている。「私たちは、モビリティをウェルネスの味方として想定し、顧客に究極の贅沢を、そしてパーソナルな時間を奪うのではなく提供し、これらの革新的なコンセプトで行く末を模索しています」。

運転という行為が嫌いだが、運転が必須の場所に住んでいる者として、自動車メーカーがこれらの自動運転コンセプトカーをどのように現実のものにするのか、興味を持っている。そして、このような荒唐無稽なデザインを経て、さらに自動運転ファミリーEVのコンセプトカーが登場するかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget

画像クレジット:Cadillac

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(文:Devindra Hardawar、翻訳:Nariko Mizoguchi

Google HomeとYouTubeがVolvo Carsと統合

米国時間1月5日にCESで、Googleは、Androidデバイスをネットに接続し続けるためのさまざまな方法を披露した。そこには自動車も含まれており、多くの車両がEVになり、自動車メーカーがソフトウェアの開発者へと進化していくにつれて、自動車がコネクテッドデバイスになっていくであろうことが予想される。

その1つの例が、Volvo Carsだ。同日、VolvoとGoogleは数カ月後にGoogle Homeのエコシステムを直接統合すると発表した。この統合で自動車オーナーは、オンオフや温度調整、バッテリーの寿命といった自分のクルマの情報取得などを、Googleアシスタント対応のホームデバイスやモバイルデバイスに音声のコマンドでさせることができるようになる。また、Volvo車とGoogleアカウントをペアリングすると、車内でGoogleと直接会話することができるようになる。

Googleによるとこの機能は、当初米国とスウェーデン、ノルウェー、ドイツ、イタリア、フランス、スペインなどのヨーロッパ市場で利用できるようになるが、近いうちに他の市場にも対応していくとのこと。

またVolvoによると、今後のVolvo車はGoogleが内蔵されるため、YouTubeをダウンロードするプラットフォームにもなり、車内でビデオのストリーミングを楽しめるようになる。YouTubeはQualcommのSnapdragon Cockpitプラットフォームから利用でき、Volvoの発表によると、次期の電動SUVに搭載される。Googleとのパートナーシップは、デジタルサービスを増やし、ドライバーにより多くのエンターテインメントを提供していくという大きなプランの一環だという。そのために同社が導入を準備しているRide Pilotは、同社の新しい「監督不在」の自動運転機能であり、最初はハイウェイを走る同社の次期SUVを完全に自動運転化する。その際ドライバーは、ハンドルから完全に手を離して、他のことをしていてもいい。

関連記事:クアルコムが自動車分野へのさらなる注力を表明、ボルボ、ホンダ、ルノーなど新規顧客を発表

「顧客が充電時や子どもが学校から出てくるのを待つ間にビデオを見られることは、生活を幸福で楽しくするという私たちの約束の一環です。YouTubeなどのメジャーなストリーミングサービスを近く見られるようになれば、顧客は充電の時間を面倒と思わずに、むしろ楽しめるようになり、EVのオーナーであることが、やや気楽なものになるでしょう」とVolvo CarsのチーフプロダクトオフィサーであるHenrik Green(ヘンリック・グリーン)氏は声明で述べている。。

Volvoだけで満足していないGoogleは12月に、クルマのデジタルキーを発表した。それによりユーザーはGoogle PixelとSamsung Galaxyスマートフォンの一部機種で、2020、2021、2022年式のBMW車 / 互換車のロックとアンロックおよび始動ができる。今回のGoogleの発表では、ユーザーは年内に超広帯域無線のデジタルカーキーを使って、スマートフォンをポケットから取り出さなくてもクルマをアンロックすることができ、キーを他の人と共有することもできる。この機能が使えるのは、ヨーロッパ、アジア、北米、アフリカの一部、そしてロシアとニュージーランドとオーストラリアとなっている。

画像クレジット:Volvo Cars

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ステランティスは28年までにクライスラーをオールEVブランドに変える、コンセプトカーから垣間見えるその未来

Stellantis(ステランティス)が所有する96年の歴史を持つブランドで、今日ではミニバンで有名なChrysler(クライスラー)は、2028年までにオールEVブランドとなる計画だ。

同社は、2つの電気モーターと1回の充電で350マイル(約563km)から400マイル(約643km)走行できるバッテリーを搭載した全輪駆動の電気SUVコンセプトカー「Crysler Airflow Concept」を公開した際に、この発表を行った。

Stellantisは、このコンセプトカーが生産されるかどうかについては言及しなかった。現在のところ、Airflow Conceptは、ブランドの将来のポートフォリオを特徴づけるデザインと技術を披露するためのもののようだ。

Chryslerの新しいEVの未来における最初の実製品は、わずか数年後に登場する。Fiat Chrysler (フィアット・クライスラー)とフランスのPSAグループの合併によって誕生したこのグローバルな自動車メーカーは、2025年までに最初のバッテリー電気自動車を市場に投入することを明らかにしたのだ。

現在、同ブランドの車種は、ミニバンの「Chrysler Pacifica」と「Chrysler Pacifica Hybrid」、セダンの「Chrysler 300」の3車種のみだ。ChryslerブランドCEOのChris Feuell(クリス・フォイエル)氏によると、2017年初頭に市場投入されたプラグインハイブリッドのChrysler Pacifica Hybridは、同ブランドの目指す方向への飛躍台として機能したという。

Crysler Airflow Conceptの内部

Chrysler Airflow Conceptの内装(画像クレジット:Stellantis)

Chrysler Airflow Conceptは、低い車高とツートンカラーのルーフラインにより、空力性能ひいては航続距離を向上させながら、強靭なスタンスを兼ね備えてデザインされたSUVだ。また、ロングホイールベースとワイドトレッドに22インチホイールを組み合わせることで、外観は完成させれている。

パノラマルーフや乗員の好みに応じて変化する照明、クリスタルLED照明で照らされた光刃を含むグリルに結び付けられたChryslerウィングのロゴなど、エクステリアとインテリアの一連の工夫によって、プレミアムSUVを披露することが今回の目的である。

Chrysler Airflow Conceptは、ブランドのウィングロゴをグリルに結びつけ、クリスタルLEDライトで照らされたライトブレードを搭載(画像クレジット:Stellantis)

しかし、Stellantisがブランドのために計画している本当の姿は、Airflowに搭載されているハードウェアとソフトウェアの技術だ。StellantisのチーフデザインオフィサーであるRalph Gilles(ラルフ・ジル)氏が発表の中で述べているように、Airflowは「Stellantisのコネクテッドビークル技術の集大成を、内側と外側から熟考して完成した成果物」なのだ。

それは、いったいどういう意味なのだろうか?Stellantisの考えにおいて、それはコネクティビティ、デジタルコンテンツとサービス、そして先進的なドライバーアシスタンスシステムのことを指す。

このコンセプトには、Stellantisがすでに開発を進めている3つの分野が含まれており、12月には、クルマに搭載されたソフトウェアから年間225億ドル(約2兆6000億円)を生み出し、乗客やドライバーに商品とサブスクリプションを販売する計画の一環として、その概要を発表している。

関連記事:ステランティスが車載ソフトウェアで年間約2.5兆円の収益を上げる計画を発表

まず「STLA Brain」と呼ばれる電気とソフトウェアの基本的なアーキテクチャからだ。このシステムはクラウドと統合されており、車両内の電子制御ユニットを高速データバスで車両中央の高性能コンピュータに接続する。これにより、同社は「無線」で、つまりワイヤレスで車両にソフトウェアをアップグレードすることができるようになるのだ。

この「頭脳」の上に、同社は「SmartCockpit」を追加した。これはFoxconn(フォックスコン)と共同で構築したプラットフォームで、ナビゲーション、音声アシスト、eコマースマーケットプレイス、支払いサービスなどのアプリケーションをドライバーに提供することができる。

最後に、BMWと共同開発した「AutoDrive」と呼ばれる第3の自動運転プラットフォームが、自動車メーカーのソフトウェア計画を完成させることになる。

Chrysler Airflow Conceptの各スクリーンは、デジタルコンテンツにアクセスするためのパーソナライズされた空間だ(画像クレジット:Stellantis)

「頭脳」「スマートコックピット」「自動運転」という、これら3つのプラットフォームは、2024年までにすべてのStellantis新モデルに搭載される予定だ。同社の方向性を示すコンセプトであるAirflowは、これら3つのプラットフォームも搭載している。

頭脳、スマートコックピット、自動運転の3つのプラットフォームを通して何が実現できるのかを示してくれたこのAirflowの車内には、いたるところにスクリーンがあり、ユーザーはアプリやエンターテインメントなど、パーソナライズされたデジタルコンテンツにアクセスすることができる。スクリーンに表示された情報は、スワイプすることですべての乗客と共有することができる。

Airflowの写真は以下のギャラリーで確認してみて欲しい(画像クレジット:Stellantis)。

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画像クレジット:Stellantis

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

クアルコムが自動車分野へのさらなる注力を表明、ボルボ、ホンダ、ルノーなど新規顧客を発表

大手テクノロジー企業のQualcomm(クアルコム)は2022年のCESで、自動車分野の技術をさらに発展させるという強い意志を示した。同社は、新しいOEM顧客を発表するとともに、最新のSnapdragon Digital Chassis(スナップドラゴン・デジタル・シャシー)で、欧州の自動車業界の顧客をサポートするために、ベルリンにエンジニアリング・ソフトウェア・オフィスを開設した。

「このオフィスの開設は、自動車分野に新しいエキサイティングな技術を提供するという当社の取り組みをさらに証明するものです」と、Qualcommの欧州 / MEA担当シニア・バイス・プレジデント兼Qualcomm Europe(クアルコム・ヨーロッパ)社長であるEnrico Salvatori(エンリコ・サルバトーリ)氏は、声明で述べている。

このSnapdragon Digital Chassisとは、自動車メーカーが全面的またはアラカルト的に採用できるクラウド接続の「プラットフォーム」群のことで、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転に対応した「Snapdragon Ride(スナップドラゴン・ライド)」プラットフォームをはじめ、LTE、5Gコネクテッドサービス、セルラーV2X(Vehicle to X、車両とさまざまなモノとの相互接続)、Wi-Fi、Bluetooth、精密測位に対応した「Snapdragon Auto Connectivity(スナップドラゴン・オート・コネクティビティ)」プラットフォーム、そして次世代のデジタルコックピット / インフォテインメントシステムである「Snapdragon Cockpit(スナップドラゴン・コクピット)」などがある。

同社によると、Digital Chassisを含むQualcommの統合自動車プラットフォームには、130億ドル(約1兆5000億円)を超える受注パイプラインがあるという。現在のSnapdragonの背景にあるのは、2020年のCESで発表されたQualcommのCar-to-Cloud(カーツークラウド)サービスで、これは自動車を常にクラウドに接続させておくことを目的とした同社初の製品だった。これによって、より迅速な無線アップデートが可能になる他、車両や使用状況の分析データを収集し、同社とパートナーである自動車メーカーの両方に、新たな収益源を生み出すことができる。

「Qualcomm Technologies(クアルコム・テクノロジーズ)は、自動車メーカーが独自性と差別化を求めていること、そして自動車および輸送のビジネスモデルを再定義する大きな機会が到来していることを理解しています」と、Qualcommの自動車部門担当シニア・バイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるNakul Duggal(ナクル・ドゥガル)氏は、声明で述べている。「Snapdragon Digital Chassisのプラットフォームでは、ユーザーが車両を購入した後も継続的に新機能を利用することができ、自動車メーカーは顧客エンゲージメントの強化やサービスベースのビジネスモデルを実現するための新機能やサービスを生み出すことが可能です」。

Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)は、自社の製品にSnapdragonを統合する多くの自動車メーカーの1つとなった。米国時間1月5日に行われた発表で、同社はボルボの次期型電気自動車SUVと、ボルボ傘下の高性能EVブランドであるPolestar(ポールスター)から登場する新型SUV「Polestar 3(ポールスター3)」に、Google(グーグル)のAndroid Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)を搭載したQualcommのSnapdragon Cockpitプラットフォームと、Wi-FiやBluetoothをサポートする一連のワイヤレス技術が採用されることを明らかにした。これらの機能を搭載した車両は、2022年後半に発売される予定だ。

また、Honda(ホンダ)も同社の次期モデルにQualcommのデジタルコックピットを初めて採用する計画を発表。この新型車は2022年後半に米国で、2023年には世界各国で発売になる見込みだ。

Renault Group(ルノー・グループ)はすでに2021年9月に、電気自動車「Mégane E-Tech(メガーヌEテック)」にQualcommのデジタルコックピットを採用する計画を明らかにしているが、米国時間1月5日にはこのコラボレーションを、Auto ConnectivityプラットフォームやSnapdragon Rideプラットフォームなど、一連のDigital Chassisプラットフォーム全体に拡大する計画を発表した。

ボルボ、ホンダ、ルノーが加わり、数多くの自動車会社が名を連ねるQualcommのSnapdragon顧客リストは、2021年10月に同社が自動車技術会社のVeoneer(ヴィオニア)を買収した頃から本格的に活性化したように思われる。以来、QualcommはBMW、GM、Hyundai(ヒョンデ)、JiDu(ジドゥ、集度汽車)、Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)、NIO(ニーオ)、WM(威馬汽車)など約40社の自動車会社と契約を結び、これらのメーカーの自動車にさまざまなSnapdragonプラットフォームを統合させている。

関連記事:Qualcommがマグナを退け、先進運転支援技術を手がけるヴィオニアを約5000億円で買収

QualcommのSnapdragonは、自動車のインフォテインメント機器を製造している他の企業の技術革新にも貢献している。今回のCESでは、同社はAlps Alpine(アルプス・アルパイン)と提携し、Snapdragon Cockpitを用いた「Digital Cabin(デジタルキャビン)」を開発すると発表した。このDigital Cabinには、周辺の視界を映し出すことで死角を改善するeミラー、大型の天井ディスプレイ、各乗員に個別の音楽を浴びせることができるサウンドゾーンなどの技術が含まれる。

Qualcommの顧客の多くは、コックピットやインフォテインメントシステムの強化を選んでいるが、おそらく同社が最も力を入れているのはRideプラットフォームだろう。そのシステムオンチップ(SoC)は、多くのADASや自動運転機能を実現するのに十分な強力なプロセッサーを提供する。Veoneerの自動運転ソフトウェア部門Arriver(アーリバー)が強化しただけで、Rideプラットフォームは、NVIDIA(エヌビディア)の「DRIVE Orin(ドライブ・オーリン)」SoCと直接競合できるようになった。NVIDIA DRIVE Orinは、Cruise(クルーズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、ボルボ、Zoox(ズークス)、そして最近ではTuSimple(トゥーシンプル、図森未来)などの顧客が、同様の機能を開発するためにすでに使用している。

画像クレジット:Qualcomm Technologies

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

遠隔操作DriveU.autoがEasyMileの自動運転シャトルやCocoの配送ロボットをサポート

2021年ステルス状態から脱したイスラエルのスタートアップ企業DriveU.auto(ドライブUオート)は、自動運転シャトルバス企業のEasyMile(イージーマイル)と、歩道ロボット配送スタートアップ企業であるCoco(ココ)が、その業務を同社のテレオペレーションおよびコネクティビティプラットフォームに統合することになったとCESで発表した。

自動運転車の業界では、多くの企業がその実現を約束したり、先進運転支援システムの名称を決めたりしているものの、依然として完全な自動運転技術を商業化するまでにはまだ遠い道程がある。実際、ほとんどの国では、公道における自動運転走行中には、安全のために人間のオペレーターが介在することが義務付けられている。自動運転技術をてがける多くの企業は、より早く市場に投入し、一般の人々に無人運転車を受け入れてもらうために、緊急事態や異常事態、安全上の問題が発生した場合には、遠隔地にいるドライバーが無人運転車の操縦を取って代わることができるテレオペレーションを採用している。

「事故現場で、複数の警察官が身振り手振りで交通整理をしている状況を想定してみてください」と、DriveU.autoのAlon Podhurst(アロン・ポドハースト)CEOは、TechCrunchに語った。「車両に搭載されたAIは、これらの身振りや声による命令を解釈するために、あらゆる可能性の支援を求めます。そのため、遠隔操作オペレーターは、ロボットや自動走行車など支援する車両の周囲の世界を、リアルタイムで見る必要があります。そこで我々は、車両のセンサーから遠隔操作オペレーターのいる場所へフィードをストリーミングしたいと考えました。遠隔操作オペレーターが車両周辺における実際の状況に基づいて判断を下すためには、信頼性の高い高品質で低遅延のコネクティビティ(相互接続性)を確保する必要があります。これはセルラーネットワークを介して行われます」。

テレオペレーションを成功させるためには、映像、音声、その他のセンサーデータを転送するための高性能なコネクティビティが不可欠だ。DriveU.autoのコネクティビティプラットフォームは、安定したネットワーク接続を確保し、自動運転走行車を支援する遠隔操作を妨げる可能性のある遅延や「ダークスポット」と呼ばれる接続性の低下を回避することを目的としている。

「1つのセルラーネットワークでは、5Gでさえ、信頼性の高い遠隔操作に必要なパフォーマンスレベルを保証することができません」と、ポドハースト氏はいう。「つまり、車両には複数のカメラが搭載されているので、複数の高精細な映像フィードを、移動中の車両から、制約のあるセルラーネットワークを使って伝送しなければならないのです。結論として、1つのネットワークでは十分ではないということになります」。

DriveU.autoの技術は、フランスの医療施設にサービスを提供しているEasyMileの「EZ10」自動運転シャトルバスにすでに搭載されており、現在はEasyMileの全車両に統合する作業を進めていると、ポドハースト氏は述べている。

EasyMileのマネージングディレクターであるBenoit Perrin(ブノワ・ペラン)氏は「自動運転車のユースケースを次々と継続的に展開していく中で、遠隔監視は当社のソリューションにおける重要な要素になることが予想されます」と声明で述べている。

DriveU.autoのコネクティビティ・ソリューションは、Coco社が保有する約100台のコンセプト実証用のパイロット車両「Coco 0(ココゼロ)」にもすでに搭載されている。Cocoによると、このプラットフォームへの統合は、新たに1000台が出荷される配送ロボット「Coco 1(ココワン)」でも計画されているという。Segway(セグウェイ)がハードウェアベースを開発しているCoco 1は、2022年第1四半期中に米国のロサンゼルスおよび他の2都市で展開が予定されている。

DriveU.autoは、EasyMileとCocoの他にも、ロボットタクシーや自動運転トラック、その他の配送ロボットや特殊用途の自動運転車でもすでに運用を行っているという。これらすべてのパートナーシップはまだ秘密保持契約の下にあるものの、今後数週間のうちに公開したいと同社では述べている。DriveU.autoは最近、日本の自動車部品メーカーであるDenso(デンソー)との18カ月間におよぶ提携も発表している。

DriveU.autoは通常、車両のコンピュータに統合されるソフトウェア開発キットを顧客に提供する。顧客は、車両に搭載されている既存のセンサーやその他のハードウェアコンポーネントを利用して、テレオペレーションを含む車両の操作を行うわけだ。このソフトウェアのみを提供するというアプローチが、より迅速な統合を可能にするため、同社の市場牽引の鍵となっていると、ポドハースト氏はいう。

同社のソフトウェアベースのコネクティビティプラットフォームは、ダイナミックなビデオエンコーディング、低遅延アルゴリズム、セルラー結合という3つの技術の融合により機能する。融合されたデータパッケージは、送信時のネットワークのパフォーマンスに応じて、複数のセルラーネットワークを介して送信される。このデータは遠隔地のオペレーター側に届くと、ビデオフレームとして再構成される。さらに詳しく見ていくと、このプラットフォームは、車両のシステムに組み込まれたソフトウェアモジュールと、クラウドベースのソフトウェアコンポーネントおよび遠隔操作オペレーターのコンピューターに組み込まれたモジュールで構成されている。

「高度なコネクティビティソリューションを配送ロボットに統合するには、過酷な電力と計算のパラメータが要求されます」と、CocoのCOOであるSahil Sharma(サヒル・シャルマ)氏は述べている。「この分野における業界リーダー各社を評価した結果、DriveUのソリューションが当社の成長計画と積極的な配送スケジュールに最もマッチすることがわかりました」。

画像クレジット:DriveU.auto

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Intel傘下のMobileyeが自動運転に特化したSoC「EyeQ Ultra」発表

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は、乗用車、トラック、SUVに自動運転の能力を与えるために設計された、新しいスーパーコンピュータを市場に投入する。

同社は米国時間1月4日、CES 2022で、自動運転に特化した「EyeQ Ultra」という新しいシステムオンチップ(SoC)を発表した。同社によると、毎秒176兆回の演算が可能なEyeQ Ultra SoCの最初のシリコン生産は2023年末、完全な自動車グレードの生産は2025年となる見通しだ。

また、Mobileyeは先進運転支援システム(ADAS)向けの次世代EyeQシステムオンチップ「EyeQ6L」「EyeQ6H」も発表した。EyeQ6Lは、いわゆるレベル2のADASに対応するもので、2023年半ばに生産を開始する。2024年まで生産が開始されないEyeQ6Hは、ADASまたは一部の自動運転機能に対応する。この高性能チップは、あらゆる高度運転支援機能やマルチカメラ処理(駐車カメラを含む)を提供することができ、駐車の可視化やドライバーモニタリングなどのサードパーティアプリケーションをホストする予定だ。

Mobileyeは、ADASを強化するコンピュータービジョン技術を自動車メーカーに供給していることで、よく知られている。2004年に発売された最初のEyeQチップは衝突防止のために自動車に使用された。Mobileyeのビジネスは好調で、2021年末時点でEyeQ SoCの出荷数は1億個に達した。

近年、同社は自動車メーカーに対し、高度運転支援システムに必要なチップを供給する一方で、自社の自動運転車技術を開発・テストするという、いわば二重の戦略を追求してきた。2018年には、単なるサプライヤーであることにとどまらず、ロボタクシー事業にも手を伸ばした。

その2本の道は今、1本に重なろうとしている。そして、消費者向け自動運転車を「この業界の終盤戦」と表現する同社のAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)社長兼CEOの長年の戦略を実現しようとしている。

Mobileyeは、数年前から自動運転車の技術開発を進めてきた。カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長なセンシングサブシステムを含む同社のフル自動運転スタックを、REMマッピングシステムおよびルールベースの「責任感知型安全論(RSS、Responsibility-Sensitive Safety)」による運転方針と組み合わせる。

MobileyeのREMマッピングシステムは、EyeQ4(第4世代システムオンチップ)を搭載した一般車や商用車のデータをクラウドソースし、ADASや自動運転システムをサポートす高解像度の地図を作成する。このデータは、ビデオや画像ではなく、1キロメートルあたり約10kbの圧縮されたテキストだ。この新しいEyeQ Ultraチップの開発に貢献した地図技術にクラウド経由でアクセスし、走行可能な道路前方の最新情報をリアルタイムで提供する。

Mobileyeは、BMW、日産、Volkswagen(フォルクスワーゲン)など6社のOEMと契約し、先進運転支援システムに使用されるEyeQ4チップを搭載した車両からデータを収集する。商用車については、商業オペレーターに販売するアフターマーケット製品からデータを収集する。同社によると、現在、100万台以上の車両がREMデータを収集しており、1日あたり最大2500万キロメートルにのぼる。

EyeQ Ultraは、前世代のSoCアーキテクチャを踏襲している。Mobileyeによると、EyeQ Ultraは、EyeQ510個分の処理能力を1つのパッケージに詰め込んでいる。同社のソフトウェアで設計されたEyeQ Ultraは、追加のCPUコア、ISP、GPUと対になっており、カメラのみのシステムとレーダーとLiDARを組み合わせた2つのセンシングサブシステムからの入力と、車両の中央演算システム、高解像度REMマップ、RSS運転方針ソフトウェアからの入力を処理できるという。

自動運転可能な自動車、トラック、SUVを消費者に販売することを目指す自動車メーカーは、理論的には、このまだ販売されていないチップを使ってその目標を実行することになる。EyeQ UltraにはレーダーやLiDARなどのセンサーは搭載されていない。その代わり、入ってくる情報をすべて処理する。EyeQ Ultraチップをどのように使うかは、顧客である自動車メーカー次第だ。例えば、ある自動車メーカーは高速道路でのみ自動運転可能な新車を提供するかもしれないし、別の自動車メーカーは都市部での自動運転に焦点を絞るかもしれない。

画像クレジット:Mobileye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMは2020年代半ばまでに自律走行車の個人向け販売を目指す

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は「2020年の中盤」までに個人向けの自律走行車を販売すると、同社のMary Barra(メアリー・バーラ)CEO兼会長は米国時間1月5日に行われたCES 2022の基調講演で述べた。

同社は、自動運転子会社Cruiseが最初にロボットタクシーサービスを開始することを期待しているが、バーラ氏は個人向けAVも追求していると述べている。

「私たちは今後、消費者が期待する安全性と品質、そして複数の道を同時に追求することで、現在のオーナーシップ体験を変える最先端の自動運転車技術を使って、完全自動運転車技術を個人の移動手段にまで広げる機会を探しています。GMとCruiseは、重要な技術的専門知識と経験を獲得しており、個人向け自律走行車の小売販売で市場最速になるよう取り組んでいます。実際、私たちは2020年代半ばまでに、初のパーソナルな自律走行車を提供を目指しています」。

バーラ氏が個人向けAVの目標に言及したのは、これが初めてではない。バーラ氏は2021年5月の決算説明会で、自動運転子会社Cruiseの技術を活用して、個人向けAVを販売するアイデアを探っていることを初めて明らかにしている。

GMが支配的な株式を保有するCruiseは、密集した都市部で動作し、人や荷物の可能性が高いシャトルバスになる共有の電気自律走行車に取り組んでいる。同社は、サンフランシスコの公道でその技術をテストし、2021年末には従業員にドライバーレス(つまり人間なし)の乗り物を呼べるようにした。このサービスは、まだ一般には公開されていない。

どのような車両が自律走行するのか、さらにはGMが自律走行をどのように定義しているのか、そしてCruiseがこの取り組みにまだ関与しているかどうかは、正確にはわかっていない。Cruiseは、商業用ロボットタクシー事業を立ち上げようとする一方で、独自の経営陣の激変を経ている。

2021年12月、CruiseのCEOだったDan Ammann(ダン・アマン)氏が突然会社を去り、内部関係者は彼を追い出したと主張している。自律走行車の共同設立者で、同社の初代CEOだったKyle Vogt(カイル・フォークト)氏が暫定的にその役割を引き継いでいる。フォークト氏はCruiseの社長兼CTOを務めてきた。GMによると、Northrop Grummanの元会長兼CEOでGMの取締役を務めたWesley Bush(ウェスレイ・ブッシュ)氏がCruiseの取締役に就任するという。

詳細はわかっていないが、重要なピースが1つ明らかになった。バーラ氏はそのタイムラインを設定された。

画像クレジット:スクリーンショット

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Katsuyuki Yasui)

BMW、ボタン1つで色が変わるクルマをCESで披露

数週間前に情報をリークした後、BMWはCESで米国時間1月5日、色が変わるクルマを正式に発表した。「BMW iX Flow」と名付けられたこの試作車は、基本的にはBMWがE Inkと協力して開発した電子ペーパーの一種に包まれている。

現在のところ、色の選択肢は黒と白(その間にいくつかの濃さのグレーがある)だけだが、これは時間の経過とともに変わる可能性がある。また、Kindleのスクリーンがコンテンツを変更した後はエネルギーを消費しないように、iX Flowの電子インク技術も、好みの色やデザインを設定した後はエネルギーを消費しない。

画像クレジット:BMW

これは何よりも、ドライバーがクルマの外観をカスタマイズするための選択肢を増やすことを目的としている。E Inkを搭載したBMW iX Flowのプロジェクト責任者であるStella Clarke(ステラ・クラーク)氏は、次のように述べている。「これによりドライバーは、自分の個性のさまざまな側面や変化を楽しんでいることを外に向けて表現し、クルマに乗るたびにそれを再定義する自由を得られます。ファッションやソーシャルメディアチャンネルのステータスと同様に、クルマは日常生活におけるさまざまな気分や状況を表現するものになるのです」。

現時点では、BMWは車体の表面全体が変化する様子を見せているだけだが、電子インクのバンパーステッカーに相当するものや、今のご時世を考えると、クルマの側面にフルサイズの広告が表示されることも容易に想像できる。

画像クレジット:BMW

しかしBMWは、ここには別の動機もあると主張している。例えばドライバーは、暖かい日には熱を吸収する黒い面ではなく、明るい面を選ぶことができるかもしれない(寒い日にはその逆も可能だ)。「これにより、車両の電気システムが必要とするエネルギー量が減り、それに伴って車両の燃料や電気の消費量も減ります」と同社は5日の発表で主張している。「全電気自動車の場合、天候に合わせて色を変えることで、航続距離を伸ばすことができます。インテリアでは、ダッシュボードが熱くなりすぎないようにするなどの効果があり得ます」。

それはいいボーナスではあるが、多くの人が求めているのは、単にスーパーヴィランのように色の変わるクルマではないだろうか。だが、それはすぐには実現しない。今のところ、これはあくまで実験であり、いつ、あるいは市販車に搭載されるかどうかは未定だ。

画像クレジット:BMW

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

MobileyeとZeekrが中国向けにレベル4の自律走行型EV製造を計画

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は、中国の自動車ブランドZeekr(ジークロ)と提携し、消費者向けの完全電動自動運転車を開発する。この車両は2024年から中国で販売され、最終的には他の市場にも展開されると、特定の国や時期を明言することなく両社は米国時間1月4日に発表した。

MobileyeとZeekrはラスベガスで開催中のテック見本市「CES 2022」でこの発表を行った。Mobileyeはまた、Ford(フォード)およびVolkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)と、同社のマッピング技術を使用してそれぞれの先進運転支援システムをサポートする契約を締結したことも発表した。

計画中のZeekr自律走行車は、MobileyeのチップとZeekrの親会社であるGeely Holdings(浙江吉利控股集団)の電気自動車アーキテクチャを組み合わせ、ブレーキ、ステアリング、パワーの冗長化が図られている。同社は、その車両がどのようなものになるかは示していない(この記事で紹介しているメインの写真は、Mobileyeの技術を搭載した「Zeekr 001 EV」だ)。

今度の車両は、いわゆるレベル4、つまりL4の能力を持つことになる。この言葉は、特定の条件下で人間に代わって運転のあらゆる局面を処理できるようになることを意味する。これは、特定の道路や都心部、あるいは気象条件が理想的な場合にのみ、この技術が機能するということを意味するのかもしれない。

Mobileyeの技術には、同社のEyeQ5(第5世代)システムオンチップが6個搭載され、センサーからの受信データの処理に加え、同社ブランドの「ロード・エクスペリエンス・マップ」マッピング技術や責任感応型安全論(RSS)をベースとした運転ポリシーが組み込まれる予定だ。

Mobileyeはまた、中国での研究開発活動を拡大し、現地にデータセンターを開設し、従業員を増強する計画であることも発表した。

MobileyeとZeekrのニュースは、Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(ウェイモ)が、中国の自動車メーカーであるGeelyと提携して、全電気式の自動運転ライドヘイリングカーを製造すると発表してから1カ月もたたないうちに発表されたものだ。両社は、WaymoのAVシステムをGeelyのZeekr車両に統合し「今後数年のうちに」米国市場で使用する予定だと述べた。

高度運転支援システムをサポートするチップで知られるMobileyeも、数年前から自動運転車技術の開発を進めてきた。カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長なセンシングサブシステムを含む同社のフル自動運転スタックは、REMマッピングシステムおよびRSS運転ポリシーと組み合わされている。

MobileyeのREMマッピングシステムは、先進運転支援システム(ADAS)や自律走行システムをサポートするために使用できる高解像度マップを構築するために、システムオンチップを搭載した消費者やフリート車両を利用することでデータをクラウドソーシングしている。そのデータは、ビデオや画像ではなく、1キロメートルあたり約10キロビットを収集する圧縮されたテキストだ。このマッピング技術にクラウド経由でアクセスすることで、前方の走行可能な経路の最新情報をリアルタイムで提供する。

MobileyeはすでにBMW、Nissan(日産)、Volkswagenと契約を結び、ADASに使用される最新のチップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車に関しては、Mobileyeは商業オペレーターに販売するアフターマーケット製品からデータを収集している。現在では、100万台以上の車両がREMデータを収集しており、1日あたり最大2500万キロメートルを超えている。同社は、このクラウドソーシングによる匿名化された情報をすべて利用して、精密で高精細な地図のデータベースを作成し「Mobileye Roadbook」というブランドを立ち上げた。

同社は現在、Volkswagen Group との関係を拡大し、収集した地図データを同社の運転支援システム「トラベルアシスト2.5」に適用している。この提携拡大もCESで発表された。

この契約により、Mobileye Roadbookは、VolkswagenのADASの機能拡張に利用されることになる。例えば、同社によると、利用可能な場合は、目に見える車線標識のない多くの地域で車線維持のアシスト機能が提供されることになるだろう。

両社は1月4日、Mobileye Roadbookで強化されたトラベルアシスト機能が、VolkswagenのMEBプラットフォームをベースにしたVolkswagen、Škoda(シュコダ)、Seat(セアト)の電気自動車モデルでまもなく利用できるようになると述べた。

Mobileyeはまた、Fordのハンズフリー先進運転支援システム「ブルークルーズ」の将来のバージョンにMobileyeのREMマッピング技術の使用を開始することも発表している。両社は、このマッピング技術がFordのADASシステムに統合される時期については共有していない。

画像クレジット:Mobileye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソニーがSUVの新型「VISION-S 02」披露、電気自動車会社「ソニーモビリティ」設立を発表

Sony(ソニー)の代表執行役会長兼社長CEOは、米国時間1月5日、ラスベガスで開催されたCESにおいて、電気自動車「VISION-S」の新しいプロトタイプを公開し、ソニーグループが新しい部門「ソニーモビリティ」を立ち上げ、電気自動車の商業化を開始すると発表した。

ソニーはCESの記者会見で、2021年のCESで公開されたセダン「VISION-S」セダンを披露。さらに2022年は、新型SUV「VISION-S 02」の試作車も発表した。

関連記事:ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開

吉田氏は「VISION-Sを公開した後にいただいた感動は、移動の体験を変えるために、どのように創造性と技術を提供できるかをさらに考えるきっかけになりました」と述べ、新しいVISION-S SUVのプロトタイプを公開した。「これが新型SUV『VISION-S』です。VISION-Sは安全性、適応性、エンターテインメント性を基盤に開発されました。快適なモビリティを実現するために、安全性を第一に考えてきました。このSUVの開発でも、それは変わりません。車内外に合計40のセンサーを設置し、安全性を監視しています」。

「適応性という点では、継続的に進化するクルマを作るためのコネクティビティを備えています。また、ユーザーごとに車内をパーソナライズすることもできます。さらに5G通信は、車載システムとクラウド間の高速・大容量・低遅延の接続を可能にします。VISION-Sは、エンターテインメント空間としてのモビリティも進化させます。VISION-Sは、ゲーム体験やオーディオなど、エンターテインメント空間としてのモビリティも進化させています。VISION-Sの探求、またこの取り組みを支えていただいているパートナーのみなさんをとおして、モビリティについてより深く知ることができました」と吉田氏は語る。

ソニーは「ソニー製EVの実用化検討」の取り組みを加速させるため、新会社Sony Mobility Inc.(ソニーモビリティ)を設立すると発表し、そう遠くない未来、あなたの近にソニーカーがやってくるかもしれないことを暗示している。

画像クレジット:Sony

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

フォード、電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力を倍増へ

Ford(フォード)は米国1月4日、顧客の需要に応えて2023年半ばまでに、次期電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力をほぼ倍増させて年間15万台とすると発表した。

F-150 Lightningトラックは、税制優遇措置適用前の仕向け地費用を含まない基本価格が3万9974ドル(約464万円)で、ミシガン州ディアボーンのルージュ電気自動車センターで生産される予定だ。

この新しい電動ピックアップトラックに約20万件の予約(実質的には車両購入前の返金可能なプレースホルダー)が入っていることを受け、同社はこの決定を下した。こうした需要が本物かどうかが試されるのは、同社が今週末、予約権保持者の第一陣にトラックの注文を呼びかけるときだ。

予約は段階的に解除され、今後数週間から数カ月でより多くの顧客が注文の機会を知らされるはずだと、同社は述べた。招待状はEメール、またはFord.comのアカウントにログインすることで送られてくる。

生産がさらに増えるということは、当然部品も増えるということだ。Fordはバッテリーセル、バッテリートレイ、電気駆動システムなど、EVに必要な部品の生産能力を高めるために、主要サプライヤーや自社の製造施設ローソンビル部品工場、ヴァンダイク電気パワートレインセンターと協業しているという。

画像クレジット:Ford

一方、F-150 Lightningの開発は進んでいる。同社によると、Lightningは今週、2022年後半の量産開始に向けてプリプロダクションの最終段階に入ったとのことだ。これらの生産レベルのトラックは、実環境でのテストに使用される。顧客に販売するF-150 LightningおよびF-150 Lightning Proの最初の納車は今春始まる予定だ。

今回の発表の数週間前に、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は2023年までに現在の生産能力の3倍を目標に、2022年に電気自動車のMustang Mach-Eを増産する計画だと述べていた。

Fordは2021年11月に、電気自動車の生産能力を2023年までに世界で60万台まで引き上げると発表した。この目標はMustang Mach-E、F-150 Lightning、商用E-Transitバンに分散される見込みだ。Fordがこの60万台という数字を達成すれば、今後2年間に生産する予定の台数の2倍になる。

同社は、2025年までに電気自動車に300億ドル(約3兆4810億円)超を投じると明らかにした。この投資には、SK Innovation(SKイノベーション)と共同でバッテリー工場を新設するための114億ドル(約1兆3230億円)も含まれている。テネシー州に1つ、ケンタッキー州に2つある工場では、次世代Ford車とLincoln車の動力源となるリチウムイオンバッテリーを生産する予定だ。

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

金魚が自ら水槽を操作する実験

金魚がクルマを運転できると知って、即座の反応が「またか」なら、まさしく「日の下に新しきものなし」だ。しかし、ここでご紹介する魚類学の革新は、数年前にあった魚が運転するクルマに見たところは似ており、水槽をやや深くしただけのように思えるかもしれないが、ここには重要で新たな特徴がある。金魚が本当に運転を学んだということだ。

気づいたかもしれないが、2014年当時は、運転をしながら水槽の中をぐるぐる回る金魚が実際にいた。当時の、ピュアだった人たちはそれを見て喜んだものだ。ウェブカメラを水槽の上部につけて、オブジェクト検出アルゴリズムが魚の位置を追うと、水槽が乗っているカートが金魚の泳ぐ方向へ動いた。自分のアドレスも覚えられない私が、それを覚えてるなんて信じられない。

確かに楽しいが、それは真剣な科学的取り組みというよりもパーティーにおける手品のようだった。魚はただ水槽の中を泳ぎ回っているだけであり、世界についても、自分を部屋の中で移動させている仕組みについても魚は何も知らない。

しかし今回、イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学大学の研究者たちは、それを一歩前進させた。使用するメカニズムは以前のものとよく似ていて、やはり水槽内の金魚の位置も検知し、泳いできたセクターの方向に「魚が運転する乗り物(Fish Operated Vehicle、FOV)」を移動させるという。

しかし、そこから先が違っている。研究者たちは金魚にさまざまなタスクをセットし、それによって金魚は、外の水のない世界の中でクルマ(水槽が乗ってるカート)を誘導しなければならない。たとえば魚は部屋の中央からスタートして、赤いストライプのある壁に達したらごほうびをもらえる。

Shachar Givonと@MatanSaminaが指導し@MatanSaminaが参加した研究をここにシェアできることは喜ばしいことです。金魚が地上の小さなロボットカーの誘導を学習できる。金魚の動きに反応する台車があり、金魚を訓練して、その動きに反応する車輪の付いた台車を運転できるようにしました。

人の常識では、金魚は特に頭が悪いことになっているが、実際のところ、彼らはかなり複雑な行動や状況を学習し記憶することができる。しかし、金魚が水槽によって表現されている抽象的な空間概念を理解し、何らかの外的手段を駆使してもっと大きな世界を動いていける、と想定すべき理由はない。

それでも研究者たちは、Behavioural Brain Researchに掲載された研究論文の概要で次のように述べている。

魚はその乗り物を運転し、新しい環境を探検し、どこから出発しても目的地に到達できた。またその間、行き止まりを避け、位置の不正確を修正した。これらの結果は、魚が自分の空間表現を移転するやり方と、それによりまったく異なる地上環境へ誘導するスキルがあることをを示している。

これは、金魚程度の生物でさえ移動する方法がハードコーディングされた水中運動回路ではなく、もっと普遍的なもの、おそらく私たちが考えるよりも早く、もっと基本的なレベルで進化したものであることを示唆している。どの程度抽象的で普遍的なのかはまだわかっていないが、興味深い結果であることは確かだ。

しかし、もっと重要なことは、魚やイグアナ、トカゲ、あるいはタランチュラでも移動式のテラリウムを手に入れることができる可能性がかなり高いというだ。彼らに自由な家を与えることができ、しかも自由のために彼らは、這ったり滑ったり転がったりしなくてもいい。ちなみに、このアイデアに興味を持った人にはJames Blish(ジェイムズ・ブリッシュ)の「Surface Tension(表面張力)」という本がおすすめだ。

画像クレジット:Ben-Gurion University of the Negev

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

メルセデス・ベンツが描く未来像、航続距離約1000kmの超高効率ラグジュアリーEV「Vision EQXX」

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は米国時間1月3日、同社の電気自動車の未来を紹介するためのコンセプトカー「Vision EQXX」を発表した。結論は?目を見張るようなデザインと、コンパクトでスポーティーなパッケージにパワーと効率と走行レンジを詰め込んだ最新エンジニアリングとの融合だ。

EQXXはブランドを象徴する「ハローカー」であり、MercedesはCESに先立って行われたデジタル発表会で、アイデアからプロトタイプまで18カ月かかったと説明している。このクルマは同社の将来の電気自動車の基盤になるために作られた。狙いは、外装スタイリングを向上させたり、巨大なインフォテイメントディスプレイを搭載することだけではないが、実際EQXXには搭載されている。

同社はEQXXを、デザインとエンジニアリングをどこまで追究できるかを証明する実験の場として使った。会社が焦点を当てたのは、バッテリーのエネルギー密度の向上とバッテリー・ケースやブレーキ・ディスクなどに軽量な材料を使うことによる車体重量の減少、抵抗係数Cd 0.175を生み出す空力設計、超低転がり抵抗タイヤ、新型のコンパクトな電動パワートレインなどだ。

電動専用のシャシーには、軽量F1サブフレームが用いられ、パワーエレクトロニクスの開発に非常に有効な研究ツールであるとMercedesはいう900ボルト電動系統を採用している点が注目される。

Mercedes-Benz VISION EQXXのエクステリア(画像クレジット:Mercedes-Benz)

他に、バッテリーシステムに最大15.5マイル(25 km)の走行距離を追加する超薄型ルーフパネルなもある。

最終的に出来上がったのは、一回の充電で620マイル(約1000km)走行可能な電気自動車で、効率95%はバッテリーのエネルギーの95%が車輪に伝わることを意味している。

この未来的で高効率のEVを開発するために、同社は研究開発部門に加えて、フォーミュラ1とフォーミュラEのチームからも人員を参加させた。

「彼らはすでにパワートレインの電動化が進んでいるモータースポーツにおけるイノベーションが、ロードカーの開発に直ちに応用できることを証明しています」とDaimler AG(ダイムラー)の取締役でMercedes-Benz ATの開発・調達担当CTO(最高技術責任者)であるMarkus Schäfer(マーカス・シェーファー)氏は語った。

バッテリーのサイズを大きくするだけでなく、Merceds-Benzと同社のHPP(ハイパフォーマンス・パワートレインズ)チームは、エネルギー密度が400Wh/Lに近い新しいバッテリーパックを開発した。

同社によると、このベンチマーク成績によって、100kWh近い利用可能エネルギーをEQXXのコンパクトな車体に収めることが可能になった。

「実質的に、EQSのエネルギーをコンパクトカーの車体サイズに収めたことになります」とHPPの先進テクノロジー担当ディレクターAdam Allsopp(アダム・アルソップ)氏は、2021年に同社が発売した電気自動車であるEQSを引き合いに出した。「バッテリーはほぼ同じエネルギー量を持ちながら、サイズは半分で30%軽量です。バッテリー管理システムとパワーエレクトロニクスは、損失の減少に最大の焦点を当てて設計されています。この効率化目標を達成するために、将来の開発プログラムに応用できることを数多く学びました」。

このエネルギー密度向上を可能にしたのは、Mercedesがアノードの化学における「重要な進展」と呼ぶもので、シリコン含有量が高く、一般に使われているアノードより大幅に多くのエネルギーを蓄積可能な最新の化学組成からなる。

外観は、傾斜したフロントとグロスブラックのグリルとローズゴールドのハイライトに加えて、フロントパンパーには2Dのスターパターンがあしらわれている。ヘッドライトは2つの星型部分からなり、大きい方のセンターレンズの後方にロービームとハイビームのライトアレイがある。Mercedesは、この星型の配置とバンパーにある2Dスターパターンは、将来のモデルに採用されるフロントエンドデザインのプレビューになっていると語った。

後部にはサプライズがある。リトラクタブルリアディフューザーだ。

Mercedes-Benz VISION EQXXのエクステリア(画像クレジット:Mercedes-Benz)

室内には8K解像度の47.5インチ一体型LEDディスプレイがある。このインフォテイメントスクリーンは応答の速いリアルタイムグラフィクスが表示され、クルマの幅いっぱいまで表示されるとMercedesはいう。同社がNAVIS Automotive Systems(ナビス・オートモティブ・システムズ)と共同で開発した3Dナビゲーションシステムを使って、ユーザーはこの巨大画面をズームインしたりスクロールしたりできる。そして同社の最新モデル車と同じく、EQXXにはユーザーの行動を学習していく最新ボイスアシスタント・ソフトウェアが搭載される。

Mercedes-Benz VISION EQXXのインテリア(画像クレジット:Mercedes-Benz)

EQXXの機能と開発成果の多くがすでに生産モデルで利用されており、コンパクトカーおよび中型車のためのMerceds-Benz Modular Architecture(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー)もその1つだと同社は言った。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook