テレビでも現地でもない“新しいスポーツ観戦”の形を——「Player!」が数億円を調達

スポーツエンターテイメントアプリ「Player!」を運営するookamiは6月20日、NTTドコモ・ベンチャーズ、みずほキャピタル、朝日メディアラボベンチャーズ、アシックス・ベンチャーズ、グリーベンチャーズ、スパイラル・ベンチャーズらを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。具体的な調達額は非公開だが、数億円規模になるという。

今回のラウンドは2017年3月にIMJ Investment Partners、グリーベンチャーズ、朝日新聞社、個人投資家から数億円を調達した時に続くもの。ookamiでは調達した資金をもとに組織体制を強化し、事業の拡大と新しい広告商品の開発を進める。

大学スポーツを中心にアマチュアスポーツが拡大

Player!はさまざまなスポーツのリアルタイム速報を軸に、ファン同士でライブチャットを通じてコミュニケーションが取れる機能や、各競技のニュース記事を閲覧できる機能を持つサービスだ。好きなチームや気になる大会をフォローすることで、関連する情報を逃さずチェックできる。

現在はiPhone版とWeb版を提供。各機能は無料で楽しめる。

先日から開催されているサッカーのワールドカップをはじめとしたプロスポーツはもちろん、大学や高校といったアマチュアスポーツや、マイナースポーツにも対応しているのが大きな特徴。

メジャーなスポーツについてはテレビを見ながらPlayer!で他のユーザーと交流を楽しむ、という使い方もされているそう。この点はTwitterに近い感覚で使っている人も多いようだ。一方のマイナースポーツについては、今まで地方紙などでしか試合の情報を扱っていなかったようなものでも、Player!ならデジタル上で気軽にアクセスできる点がウリだ。

ookami代表取締役の尾形太陽氏の話では、2017年3月の調達時と比べてユーザー数は年次で約8〜9倍になっているそう。その要因のひとつが、大学スポーツを中心としたアマチュアスポーツのコンテンツの拡大だという。

「直近1年間では高校や大学、地域リーグといったマス向けというよりはロングテールよりの領域を強化してきた。数百万人のファンがいるわけではないけれど、数万人、数十万人の根強いファンがいるコミュニティにアプローチできてきている。実際にこのような競技でも1試合あたり数千人ほど集客できるようにもなった」(尾形氏)

たとえば大学スポーツはビジネスの観点からもポテンシャルがあるというが、どうしてもプロスポーツに比べるとその規模に限りがあるため、これまではあまり手付かずだった領域だ。Player!においても現時点では「まだコンテンツの供給量も十分ではない」(尾形氏)というが、それでも現役の学生やOB、保護者といった関係者を中心に利用が増加。大学側からも問い合わせが来るようになった。

今回の資金調達も踏まえ、Player!では大学スポーツを中心としたアマチュアスポーツ領域のコンテンツをさらに強化する方針。調達先であるアシックスやドコモとは事業面でも連携をとりながら、「まずは大学スポーツといえばPlayer!だよね、というレベルまで持っていきたい」(尾形氏)という。

ブランド・コンテンツ・ファンが一体になった新しいビジネスモデルを

ookamiのメンバー。写真左から3番目が代表取締役の尾形太陽氏

アマチュアスポーツの拡大と合わせて、尾形氏が今後注力していきたいと話すのが新しいビジネスモデルの構築だ。

スポーツマーケティングの軸となるのはスポンサーとなるブランド、各種チームや大会などのコンテンツ、それぞれのチームを応援するファンの3つ。ブランドがチームや大会をスポンサードすることを通じて、ファンに自社や自社の製品をアピールするというのが一般的な仕組みだろう。

ただ尾形氏によると「この仕組みではブランドからファンまでが一直線」である一方で、「近年はブランドがファン側によってきているのがトレンド。ブランドとコンテンツとファンが一体になってコミュニティを形成するようなモデル」が生まれ始めているのだという。

その一例として尾形氏があげるのが、今シーズンからJ1リーグに昇格したサッカーチームのV・ファーレン長崎。同クラブは2017年より「ジャパネットたかた」でおなじみのジャパネットホールディングスのグループ会社となり、代表取締役社長に髙田明氏が就任している。

「社長がサポーターと同じ席でチームを応援したり、J1昇格を一緒に喜んだりといったようにブランドがファンと同じ目線になっている良い事例だと思う。従来はファンから見えづらかったブランドの顔がよく見えることで、一体感が生まれる。結果的にブランド側としてもテレビCMなどに多額の予算を投じるよりも、高い広告価値を生み出す可能性があると考えている」(尾形氏)

これはあくまでデジタルではなくリアルの場の例だが、Player!ではこのような共感を得られるブランドの見せ方をデジタル上で模索しているそう。すでにこの1年間ほど個別でクライアントとテストマーケティングを実践していて、新しいビジネスモデルの実現を目指すという。

「目指しているのは新しいスポーツエンタメの形を提供すること。テレビでも現地でもできない『スマホだからこそ、デジタルだからこそできる観戦体験』を作っていきたい。同様にスポーツマーケティングのあり方も変わってきているので、新しいスポーツビジネスにも挑戦していく」(尾形氏)

BtoBエンジニアプラットフォームを運営するメイプルシステムズが1.4億円調達、間接部門向け新サービスも

客先常駐型のシステムエンジニアリングサービス(SES)業界向けに、エンジニア管理のプラットフォーム「PRO-SESS」を提供するメイプルシステムズは6月20日、第三者割当増資と金融機関借り入れにより総額約1億4000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はベクトルエボラブルアジアオークファンOrchestra Investmentと個人投資家の高野秀敏氏。今回の資金調達は2017年8月に実施した総額1億円の調達に続くものとなる。

またメイプルシステムズでは同時に、PRO-SESSで提供してきた機能の一部を切り出し、いくつかのサービスに分けて提供していくと発表。第1弾としてSESの間接部門業務を一元管理できる「契約管理できるくん」を7月1日にリリースする。

IT業界では、急なエンジニア需要に対応するために、企業間でのエンジニア派遣の仕組みとして、SESが利用されてきた。しかしSESでは、仲介会社がいくつも関わることによるエンジニアのミスマッチや契約の不透明性、多重下請け構造などが問題となっている。

PRO-SESSは、そうした問題を解消したいと開発された、BtoBのオープンプラットフォームだ。エンジニアが所属する企業と顧客企業とを、仲介企業なしで直接結び付ける。

契約管理できるくんは、PRO-SESSの中からSESのバックオフィス業務を支援する機能を分割して提供。SES契約の管理や見積書・発注書・発注請書の作成・送付、勤怠管理、請求書発行などが行える。

メイプルシステムズ代表取締役の望月祐介氏は「PRO-SESSをエンジニアが集まるプラットフォームとして、1年ほどかけてブラッシュアップを進める中で、業務にシステムがより溶け込んでいかなければ使ってもらえないし、エンジニア情報も集まらない、と課題を感じた」とサービスを分割する理由について説明する。

望月氏によると、現在PRO-SESSの契約企業は300社を超え、対象企業のエンジニア数は1万2000人を数える規模となったそうだ。その一方、PRO-SESSに登録されているエンジニアは2000人程度で、登録にまで至っていないエンジニアの数が多いという。

「SESは契約形態が独特で、納品もプロダクトを引き渡せば終わり、とはならない」と望月氏は話す。エンジニアが現場常駐の形で働くことの多いSES業界では、契約期間や勤怠情報の管理・レポーティング、それに基づく請求書発行などのバックオフィス業務が煩雑になりやすい。

SES企業には小さな会社も多く、自社で管理ツールを導入できるところは少ない。こうした業務はExcelやWordを使って、手作業で行われていることがほとんどだ。

メイプルシステムズでは、業界でニーズが高かった、これらの業務支援を切り離してサービスとして前面に出し、契約管理できるくんとして提供。このサービスでは契約・勤怠管理から請求書発行までを一元管理できるため、エンジニアを登録することがバックオフィス業務負荷の軽減にもつながるという。

同社としては、ニーズの高い部分のサービスを業界に浸透させた上で、エンジニア登録を進めてもらい、エンジニア情報の収集も図っていく考えだ。

契約管理できるくんは登録料、月額利用料は無料。望月氏は「顧客企業からSES企業への支払いサイトを縮めるファクタリングの手数料などで収益化を検討している」と話している。PRO-SESSの一連のサービスについても「マッチングでの収益ではなく、案件情報やエンジニア情報の上位表示を有料オプションとして提供したい」とのことだ。

メイプルシステムズは契約管理できるくんに続き、エンジニア探しを支援するプラットフォーム「エンジニアあつまるくん」もPRO-SESSから切り出して、来年1月ごろをめどに正式リリースを予定している。7月の契約管理できるくんのリリースとともに、エンジニアあつまるくんのベータ版提供を開始する。また、今後も数段階にわたり、PRO-SESSから分割したサービスのリリースを行っていくという。

「SES所属エンジニアも、これまでは所属会社や客先へのレポーティングなどをExcelで行っていた。今後リリースするエンジニア向けのサービスでは、それに置き換わるアプリも提供するつもりだ」(望月氏)

今回、シリーズAラウンドの資金調達を完了したメイプルシステムズ。調達資金は「広報とカスタマーサクセスチームの体制強化に充てる」と望月氏は述べる。「今回参加した投資家は、事業会社としての連携に期待している。SES業界における『エンジニアがいない、抱えたい』あるいは『エンジニアを外に出したい』との需要に応えていきたい」(望月氏)

漁獲量を予測する「スマートブイ」、KDDIが実証実験

eng-logo-2015KDDI総合研究所は、漁獲量を予測する新型のスマートブイを開発しました。6月中に石巻湾漁場(宮城県東松島市)で実証実験を開始します。

このスマートブイは、多層の水温測定が可能なセンサーのほか、塩分や溶存酸素などさまざまなセンサーを目的に応じて交換・接続することが可能。測定データは低省電力で広域をカバーするIoT向け通信(LPWA)の「LTE-M」や「LTE Cat.1」を経由してクラウドに蓄積します。

メンテナンス性の高さも大きな売り。ソーラーパネルと二次電池で1年間メンテナンスフリーの連続駆動を目指すほか、従来型に比べて50%軽く、運用性も格段に向上しているといいます。

同研究所によると、同スマートブイで得られる異なる深度の水温データは、過去の漁獲量実績や周辺気象データと組み合わせて分析することで、漁獲量のおおまかな予測を実現できるとのこと。これを活用し、効果的な出漁判断などによる漁業の効率化を目指すとしています。

Engadget 日本版からの転載。

メルカリ、上場初日で時価総額がマザーズ市場トップに——経営陣が展望を語る

ここ数年の国内スタートアップシーンを牽引してきたメルカリが、本日6月19日に東証マザーズ市場に上場した。

2013年7月にリリースされたフリマアプリの「メルカリ」の累計ダウンロード数はすでに1億DLを突破。アプリ内の年間取引高を合計すると、その額は2900億円を超える。そして上場初日、株式市場はそのメルカリを1株あたり5300円と評価した。同価格で算出した時価総額は約7132億円で、マザーズ市場で首位の規模となる。

メルカリは同日、都内にて上場記者会見を開催。代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏、取締役社長兼COO小泉文明氏、米国メルカリCEOのジョン・ラーゲリン氏が今後の展望について語った。

会見のトップバッターとして登場した山田氏は、「これから、社会の公器としての責任に真摯に向き合っていく。メルカリは写真をとるだけでAIが価格を算出するサービスを開発するなど、テクノロジーに力を入れてきた。日本を代表するテックカンパニーと呼ばれるようになりたい」と語った。

「メルカリの強みは、高い成長力とユーザーのエンゲージメント。このサイズになっても年間流通額の成長率は50%。利用時間は5.3時間で、国内ではインスタグラムやFacebookアプリ以上のエンゲージメントだ」と話す山田氏。今後は人、テクノロジー、海外への投資に注力し、「国をまたいで取引ができる世界的なマーケットプレイス」を作っていきたいとメルカリの目標を語った。

日本の成長戦略について語るのは、社長として国内事業を率いる小泉氏だ。同氏は「メルカリの成長にとって重要なのは、ユーザー数の拡大と1人あたりの売上高を拡大すること。そのためにもテレビCMなどを通して40代や50代の認知・利用を向上したい。スポーツ用品など、さまざまなジャンルの商品の取り扱いを増やす必要がある」と、メルカリが現状抱える課題を踏まえて成長の道筋を示した。

もう1つ、小泉氏が会見で強調したのはメルペイを中心としたエコシステムの構築だ。メルペイは、メルカリグループの金融ビジネスの担い手として設立された新会社。まだサービスの詳細は不明ではあるものの、フリマアプリ内の売買で生まれたお金をウォレットに貯め、それをコンビニなどの外部施設やサービスで利用できるモバイル決済機能をつくり、メルカリ独自の経済圏を構築していくという。また、将来的にはユーザーの取引履歴、評価情報など信用情報を活用し、総合的な金融サービスを提供するとした。

米国メルカリを率いるラーゲリン氏は、「メルカリに入ってすぐ、アメリカでも日本と同じように高い回転率で商品が売買されていると感じた。ただ、規模も認知もまだまだ。シリコンバレーで戦っていくためにはチームをさらに強化する必要がある」とアメリカ市場の現状と注力ポイントについて語った。

CAMPFIREとパルコがタッグ——購入型クラウドファンディングを共同運営、新規金融サービスも

購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」などを運営するCAMPFIREは6月19日、パルコと業務提携を締結したことを明らかにした。

7月26日よりパルコが運営する購入型クラウドファンディング「BOOSTER(ブースター)」を共同で運営する予定のほか、新たな金融サービスの創出に向けた取り組みも行っていくという。なお業務提携と合わせて、パルコがCAMPFIREの株式を取得することも発表している(出資金額などは非公開)。

BOOSTERはパルコが2014年に立ち上げた購入型クラウドファンディングプラットフォームだ。もともと両社では2017年12月より、BOOSTERとCAMPFIREを連動させて同一のプロジェクトを支援する取り組みを行っていた。

その結果として目標を大きく超える金額の調達に成功。相乗効果の実証に加え、ビジョンや企業風土の親和性を確認できたことが今回の提携にも繋がっているようだ。

BOOSTERの共同運営にあたって、同サービスの会員やシステムなどをCAMPFIREと統合。プロジェクトの組成やPRを両社で実施するほか、BOOSTERのプロジェクト全案件をCAMPFIREにも掲載し、購入できる仕組みにする。

新生BOOSTERではこれまで以上に幅広い領域で、エンタテインメントを掛け合わせたユニークな商品やサービス、イベントを提供していく方針。プロジェクト実行者には両社の取引先とのマッチング機会を設けるほか、PARCO店舗などリアル店舗を活用した販売促進、サイト制作やリターン商品の制作、問い合わせ対応、配送など業務の代行といったサポートも検討していくという。

CAMPFIREとパルコでは、2020年に両社のサービスを合わせた年間の流通総額200億円の達成を目標に「新商品開発やクリエイター支援、地域活性化など幅広い領域でステークホルダーや世の中に貢献できるサービスに進化することを目指します」としている。

また上述した通り、共同で新たな金融サービスの創出に向けた検証を始める計画。クラウドファンディングとパルコのリアル店舗をかけ合わせ、Webとリアル双方で収集したデータを活用した「成長意欲のある組織や個人向けの金融サービス」の開発に取り組むという。

なおパルコに限らずCAMPFIREでは他社との連携を積極的に進めていて、直近ではワールドと資本業務提携を締結しているほか、幻冬舎と共同出資会社を設立するなどしている。

大阪地震、シェアサイクルを無料開放。HELLO CYCLINGが発表

eng-logo-2015シェアサイクルサービスの「HELLO CYCLING」は6月18日、阪神地区の11箇所の駐輪ステーションにおいて、自転車の利用を無料化したと発表しました。大阪府北部で震度6弱を観測した地震被害への支援処置としています。

地震が発生した6月18日8時頃から無料を適用し、終了日は未定。地震発生後にすでに乗車しているユーザーに対しても、遡って適用するとしています。

対象となるステーションは下記のとおりです。

・阪神西九条駅東棟B駐輪場(大阪府 大阪市此花区西九条3丁目15-13)
・阪神福駅前A駐輪場(大阪府 大阪市西淀川区福町3丁目52-1)
・阪神御影駐輪場(兵庫県 神戸市東灘区御影本町2丁目)
・阪神杭瀬西第2駐輪場(兵庫県 尼崎市杭瀬本町3丁目36-1)
・阪神千鳥橋駅前広場駐輪場(大阪府 大阪市此花区四貫島1丁目1-4)
・阪神尼崎駅南口(兵庫県 尼崎市東御園町93番地)
・阪神尼崎センタープール前駐輪場(兵庫県 兵庫県尼崎市水明町373-6)
・阪神尼崎駅西 アマスタアマセン高架下駐輪場(兵庫県 尼崎市神田中通2丁目27-47)
・阪神甲子園西駐輪場(兵庫県 西宮市甲子園浦風町100番地)
・阪神西宮東駐輪場(兵庫県 西宮市六湛寺町135番地)
・阪神西宮西駐輪場(兵庫県 西宮市産所町88番地)

なお利用にはアカウント登録が必要。駐機ステーションにある自転車の数には限りがあるとしています。

「HELLO CYCLING」は、ヤフー子会社のZコーポレーションが出資するOpenStreetが運営するシェアサイクルサービス。全国の主要都市や観光地などで駐輪ステーションを提供しています。

Engadget 日本版からの転載。

自然に会話できるAI開発のSELFが東京理科大VCとエイベックスから2.5億円を調達

対話型AI開発を行うスタートアップのSELFは6月18日、東京理科大学ベンチャーファンドとエイベックスを引受先とした第三者割当増資により、2億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

SELFが開発するのは、自動で理解と推測を行い、自然な会話を進めることができるAI会話エンジンだ。ボットや自然言語処理開発者によって開発されたこのシステムは、ユーザーと会話した内容をもとに情報を記憶。これをリアルタイムに応用して新しい情報を提示する。ユーザーとAIとの掛け合い、コミュニケーションがより自然に行えるという。

SELFのAIエンジンでは、単層的なレコメンドサービスやボットサービスと違い、ユーザーから得られたさまざまな情報を各要素へ分解した上で、総合的に会話と情報提示へ結びつける。同社が独自に開発した30万近い会話のライブラリーから、システムが自動で適した会話を選択して、ユーザーとのコミュニケーションを成立させる。

現在同社では、このAIエンジンを活用して、自動でセールスや接客を行う企業向けのマーケティングソリューションや、ユーザーとの会話でグルメやニュースの提案や性格診断ができる個人向けAIアプリ「SELF」を提供している。

SELFでは、今回の資金調達は出資元との実践的なシナジーを見込んだ業務提携を目的としたものと説明している。

東京理科大学とは今回の資金調達後、学生生活をサポートする新規サービスの開発や共同研究、新規技術開発など、サービス面・技術面・人材面での総合的な提携を目指す。

エイベックスには、まずはエイベックスグループが運営するアーティスト育成スクールに、サービスナビゲーション型AIの導入を行う予定だ。AIが会員や入会希望者向けの情報提供を行うことで、サービスの利用促進を目指す。また、今後エイベックスが保有する、音楽コンテンツやエンタテインメントコンテンツに関わるサービスへのAI導入、アーティストやアニメキャラクターのAI化なども進めていくという。

調達資金については、AIエンジンの開発とサービス拡充に充てていくということだ。

仮想通貨取引所向けウォレットのスタンダード目指すフレセッツ、UTECとセレスから約3.5億円を調達

仮想通貨やブロックチェーン技術の研究開発を行うフレセッツは6月18日、UTEC(東京大学エッジキャピタル)およびセレスを引受先とした第三者割当増資により総額3億4900万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回調達した資金をもとにエンジニアの採用など組織体制を強化する方針。近日公開予定の事業者向けウォレット管理システム「Bitshield」の開発を進めるほか、マーケティング活動への投資も行う。

フレセッツは2017年8月の設立。同年9月にセレスとストーンシステムから約2300万円、2018年3月にも同じくセレスとULSグループから約3500万円を調達している。

社内に専門家がいなくても導入できるウォレット

フレセッツが現在開発しているのは、複数のホットウォレットとコールドウォレットをそれぞれマルチシグで複合利用できる事業者向け(仮想通貨取引所向け)のウォレットだ。

「コールドウォレット(ネットワークに接続されていない環境に秘密鍵を保存したウォレット)」や「マルチシグ(送金に必要な秘密鍵を分割し複数管理することでセキュリティを高める技術)」については1月にコインチェックからNEMが流出した騒動で取り上げられたこともあり、仮想通貨を保有していない人であっても聞き覚えがあるキーワードかもしれない。

この1件の影響もあり、金融庁では仮想通貨交換業者への一斉検査を実施。複数の事業者が行政処分の対象となり、一時は16社あったみなし業者も半数以上が登録申請を取り下げている。

こういった背景からすでに仮想通貨交換業に参入している事業者やこれから参入を目指している事業者は、これまで以上にセキュリティ面に配慮する必要がでてきた。特に安全性と利便性を兼ね備えたウォレットの整備は急務だ。

今までウォレットと言えば一般ユーザー向けのものが複数登場する一方で、事業者向けのものはアメリカの「BitGo」などほんのわずか。このBitGOでさえもAPI利用が前提となるため、コンプライアンス面がネックになる場合もあるという。

フレセッツのBitshieldはそのような事業者の課題を解決すべく、ウォレットの組み合わせやマルチシグによる運用管理をはじめとした機能により安全面を担保。それと同時に可用性やスケーラビリティを実現することを目指したものだ。

Bitshieldでは根幹となる標準化されたモジュールと、顧客ごとにカスタマイズできるモジュールを明確に分割。社内に高度な知識やスキルを持つ専門家がいない事業者でも、社内の内部統制基準に合わせて導入できることが特徴だ。技術面のアップグレードや、将来的に金融庁から新たな要望があった場合にも対応できるように設計しているという。

利用料金は初期費用と月額の利用料。BitGoのように出金額の一定割合(0.25%)が手数料となる仕組みではなく、取引額の大きい取引所でも使いやすい形で提供する。

まずは近日中にビットコイン向けのウォレットをリリースする計画で、年内を目処にイーサリアムなどほかの通貨への対応を目指す。

事業者向けウォレットのデファクトスタンダードを目指す

フレセッツの代表取締役社長を務める日向理彦氏は、東京大学の博士課程在学中にビットコインと出会ったことをきっかけに、モナコインの取引所の開発・運営を始めビットコイン決済のできるECサービスや、Twitter上でビットコインを送金できるサービスなどを開発してきた。

並行して専門家向け、初心者向けに仮想通貨関連の勉強会をかれこれ約2年に渡って運営。エンジニアとしてプロダクトを開発するだけでなく、ナレッジの提供や情報発信なども積極的に行っている。

フレセッツ創業のきっかけとなったのは、2017年4月の改正資金決済法の施行が決まった2016年の秋頃。これを機に仮想通貨交換業への参入を決める企業が一気に出てきた中で、上述したようなウォレットの問題が発生し、日向氏のもとに相談が寄せられたのだという。

共同創業者である余語邦彦氏とともにいくつかの事業者を回り、事業者向けウォレットのニーズを確認。8月にフレセッツを創業しBitshieldの開発を始めた。

2人の話では「社内に専門的な技術者がいない事業者が仮想通貨交換業に参入するのは日本がはじめてのこと」で、そこに海外展開も含めて大きなチャンスがあるという。まずは事業者向けウォレットのデファクトスタンダードを目指しつつ、ゆくゆくはウォレット以外にも同社の仮想通貨・ブロックチェーン技術を活用したプロダクトを開発する予定だ。

きっかけはクックパッドを支えた社内ツール、個人の情報発信をチームの力に変える「Kibela」が資金調達

「ものづくりを支える“いい道具”を提供することで、世の中からもっと良いサービスが生まれる。そんな循環を作っていきたい。イメージとしては大工さんが仕事で使う道具のようなもの。(周りからは)見えづらいけど、ものづくりをしっかりと支える存在」——そう話すのは、チーム向けの情報共有ツール「Kibela(キベラ)」を提供するビットジャーニー代表取締役の井原正博氏だ。

同社は6月18日、元クックパッドの社長で現在はオウチーノやみんなのウェディングで取締役会長を務める穐田誉輝氏から約5500万円を調達したことを明らかにした。

クックパッドの組織作りを支えた情報発信の文化

井原氏はもともとヤフーやクックパッドで開発部長や技術部長を担っていた人物だ。

特にクックパッドにはエンジニアが7〜8人のタイミングでジョイン。「日本で1番、イケてるエンジニアが働きたいと思う会社」を目標に技術力の向上やエンジニアの採用に従事し、開発チームが40〜50人規模になるまでを支えた。同社ではその後、人事副部長や新規事業の立ち上げなども担当している。

ビットジャーニー代表取締役の井原正博氏

そんな井原氏が自ら起業をして、社内情報共有サービスを開発するに至ったのは、クックパッドで使われていた社内ツール「Groupad」の影響が大きかったという。

「クックパッドではGroupadを通じてエンジニアに限らず社員みんなが積極的に情報発信をしていて、これが強い組織作りのひとつの源泉になっていた。あるメンバーの知見や経験、アイデアがほかのメンバーにもインプットされ、また新しいアイデアを生むきっかけになる。そんな良いサイクルが回っていたように思う」(井原氏)

自分が得たものを少しだけ頑張って社内へアウトプットすることで、他のメンバーの役に立てる。そんな効果があるのはもちろんだけど、実は発信者側にも大きなメリットがあるという。

「情報を発信すればするほど、周囲から『自分の得意なこと』を知ってもらえる。結果的に関連する情報や仕事が自分に集まり、さらに得意になり成果にもつながる。(この仕組みができれば)わかりやすく言えば、情報を発信することで給料もあがると考えている」(井原氏)

このような文化が他の組織にも広がっていけば、より良いものづくりが行われ、今よりもさらに良いサービスが増えていくのではないか。そんな思いからまずは井原氏1人でKibelaの開発を始めたそうだ。

そこから少しずつ体制を整え2016年5月にベータ版のティザーサイトを公開したところ、数百チームが登録。同年8月にベータ版を、2017年3月に正式版をリリースしている。

とにかく簡単でシンプルなインターフェースがウリ

少し背景が長くなってしまったけど、ここからはKibelaがどんなプロダクトなのかをもう少し詳しく紹介したい。

Kibelaは社内に蓄積しておきたいストック情報を発信、共有するためのツールだ。個人的なメモや考えを共有できるBlog(ブログ)と、複数人で情報の整理がしやすいWiki(ウィキ)の2種類のアウトプット方法を用意している。

発信の対象となるのは議事録や日報だけでなく、個人的な学びや気づきなど幅広い情報。部署ごとにグループをつくることで、情報が届く範囲をコントロールすることもできる。発信した情報が個人のプロフィールページにも蓄積されていくので、「各メンバーごとの得意分野や関心トピック」も周囲からわかりやすい。

チームの情報共有をサポートするサービスとしては、世界で広く使われている「Confluence(コンフルエンス)」のほか、国内発の「Qiita:Team」や「esa」などがある。

井原氏の話では世界のエンタープライズ向けのツールとしては現状Confluenceの一択であり、別の選択肢となれるようなサービスを目指したいということだった。サービスの特徴としては「技術的に何かしらの特許で支えられているわけではない」とした上で、今は使い勝手の違いが大きいという。

「前提として社員全員が使えないと意味がない。クックパッド出身者が多いということもあり、とにかく簡単で使いやすいインターフェースへのこだわりや、サービス開発に対する考え方は意外と真似できないのではないか。いかにUIを追加せずやりたいことができるかを追求する一方で、なんでもできるツールにはせず『こう使うといいのでは』という意思を込めている」(井原氏)

たとえばこういったツールでは一般的な機能のように思える、記事ごとのタグ機能はKibelaにはない。その理由は「探したい情報にたどり着きやすくするのが目的なのであれば、検索の精度をあげるなど別の手段もある。検索の場合はインターフェースを増やさずにすむので、よりシンプルに保てるから」(井原氏)だという。

試しに少し使ってみたのだけど、投稿画面も含め余計な機能が一切ないというか、他のツールではあるような機能も削ぎ落とされているように感じた。Confluence含め上述した3つのサービスは全て使ったことがあるが、確かに「それらにはない特別な機能がいくつもある」というわけではなさそうだ。

なおKibelaはユーザー数に応じて料金が変わる設計になっていて、5ユーザーまでは無料で使うことができる。

今後はエンタープライズ領域で拡大へ

現時点の導入企業はスタートアップ含めTech系の小規模なチームが多いというが、徐々に大きめの企業からの問い合わせが増えてきているという井原氏。これからの1年で売り方を固めつつ、より大規模な企業にも使われるサービスを目指していくという。

「今までコツコツと作ってきて、ようやくお金を払って使ってもらえるレベルになってきたのでここからアクセルを踏んでいく。(大規模な企業では)情報が属人的になってしまい、社内に共有するという文化がないところも多い。アウトプットをするのが日常的ではない人でも使いやすいサービスを通じて、情報共有の課題を解決していきたい」(井原氏)

ビットジャーニーでは今回調達した資金を通じて、開発やセールスなど人材採用を強化する方針。エンタープライズ向けの機能開発や事業推進、ネイティブアプリの開発などに取り組む。

サッカーW杯がいよいよ開幕、試合をちょっと盛り上げてくれるサービスを紹介

いよいよサッカーW杯が開催した。これから7月15日までの約1ヶ月間、サッカー好きの人もそうでない人も、ワールドカップ開催中のあの独特な雰囲気を楽しめることだろう。そのワールドカップをさらに盛り上げてくれるサービスが2つあるので紹介しておこう。

中継を観れないときに重宝する「ビジュアル速報」

まずは、グラッドキューブが運営するスポーツメディア「SPAIA(スパイア)」だ。SPAIAでは試合情報を詳細に伝えるワールドカップ専用コンテンツを用意しているのだけれど、特に僕たちが面白いと思ったのは、試合経過をアイコンやグラフで視覚的に速報してくれる「ビジュアル速報」だ。

選手交代はもちろん、スローインやフリーキックといった試合中のイベントがいつ、どこで行われたのかを視覚的に知ることができる。また、下の方にあるグラフでは、コートの中心を軸にしてボールがどの位置にあるのかを教えてくれる。得点だけでは分からない、各チームの試合中の優勢度なども知ることができそうだ。

もちろん試合映像を中継で見ることが一番エキサイティングではある。でも、仕事中でどうしても観れないときなどはこっそりとSPAIAを覗いてみるといいだろう。上司には、「試合を観たすぎて仕事に集中できないので、せめてこれだけは」と説明すれば分かってくれるはずだ。

試合の予想も、クイズの出題もできるAIロボ

次に紹介したいのは、テック系プロダクトの制作を手がけるコネルがフジテレビ、東急エージェンシーと手を組んで発表した「AIカビラくん」だ。AIカビラくんは人工知能を搭載した音声認識ロボット。「予想して」と話しかけると試合の結果を予想してくれたり、ワールドカップに関するクイズを出題してくれたりする。「写真撮らせて」と言えば、フォトジェニックなポーズもとってくれる。

AIカビラくんでは、Googleの「Dialogflow」を利用して音声認識と会話のテキスト化を行い、それを独自の会話DBにかけて適切な返答テキストを生成する。ジョン・カビラ氏の音声を合成し、返答テキストをもとに音声出力をするのは、東芝の「RECAIUS」の役割だ。

残念ながらAIカビラくんを一般販売する予定はなく、TC読者が彼と実際に会える場所は限られているとのこと。彼は普段、新宿駅の東口と西口をつなぐ地下連絡通路「メトロプロムナード」にいて、休日やワールドカップ終了後はフジテレビ本社にいることが多いそうだ。ただ、テレビ出演があればそちらを優先しなければならない。彼も忙しいので、その点だけは了承してほしい。

自動運転の “眼” を担う高性能なステレオカメラの開発へ、東工大発のITD labが4.8億円を調達

自動車やドローンなどの自動運転や衝突防止システムの基盤となる、ステレオカメラの開発を行っているITD lab。同社は6月15日、ニッセイ・キャピタル、三井住友海上キャピタル、ミナトホールディングス、ソニーセミコンダクタソリューションズを引受先とした第三者割当増資により、総額4.8億円を調達したことを明らかにした。

ITD Labは2016年5月の創業。同社の代表取締役会長でCTOも務める実吉敬二氏は、元東工大の准教授であり、スバルの運転支援システム「アイサイト」で使用されるステレオカメラの発明者でもある。実吉氏は1998年にスバルを退社した後、東工大へ。それから約20年に渡ってスバルとは独立してステレオカメラ技術の研究開発に従事。この研究を引き継ぐ形でスタートしたのがITD Labだ。

同社が開発するステレオカメラは、2つのイメージセンサーから得られる視差を使って物体までの距離を計算するというもの。たとえば自動車やドローン、建機、ロボットの自動運転、衝突防止システムを組む際に活用できる。

ステレオカメラの基本なるアルゴリズムは、商品化されているステレオカメラの多くが採用しているSGM(Semi Global Matching)方式とは異なるSAD(Sum of Absolute Difference)方式。これによってアルゴリズムを簡素化し、必要となるコンピュータパワーを低減。コストや消費電力を抑えながら毎秒60〜160フレームの超高速処理を実現できるという。

SGM方式と比べて視差画像の中で物体の輪郭がハッキリと表現されるため、高価なLiDARを使わずに衝突防止や自動運転のシステムを組めるのも特徴。またアイサイトでも実現できていない高速リアルタイム自動調整を搭載していて、温度変化や衝撃などによりステレオカメラの組立て精度が変動しても、システムが全て自動調整・自動補正する機能も備えている。

以下の映像は同社の技術を活用した運転支援システムの様子を映したものだ。走行中の車の前方に現れる歩行者や車、障害物や白線などを自動検知。危険な状況を瞬時に見極めてアラートする。

特に今後期待されるレベル4、レベル5の自動運転車においては、運転者ではなくシステムが衝突回避の責任を負うため、高精度の衝突回避性能が必須となる。その点で応答速度が遅かったり、モデルに無い物体や状況では距離計算ができなかったりする既存のシステムでは、自動運転を実現することが困難だという。

ITD Labでは上述したような技術を活かして従来の壁を乗り越え、レベル4、5の自動運転を可能にする“眼” の役割を担うことも視野に入れているようだ。今回調達した資金は研究開発を進めるための人材確保や環境整備のほか、外部開発会社を巻き込んだ大規模開発の推進費用などに用いるとしている。

スキャンで人間を判別、周囲を把握して動く自律移動型ロボット開発のSEQSENSEが10億円調達

自律移動型ロボットを開発するスタートアップのSEQSENSE(シークセンス)は6月15日、三菱地所TIS、およびJAFCOが運営するファンドを引受先とする総額約10億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

SEQSENSEの創業は2016年10月。宇宙航空研究開発機構(JAXA)ではやぶさ、はやぶさ2のプロジェクトメンバーを務めた明治大学理工学部教授の黒田洋司氏らにより設立された。

今回の資金調達はSEQSENSEにとってシリーズAラウンドに当たる。同社は2017年4月、TISとジャフコから2億円の資金調達を実施している。また2017年度のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップに対する事業化支援」にも採択されている。

SEQSENSEが開発する自律移動型ロボットは、レーザースキャナーを使った3次元マッピング技術でロボット周辺の環境をリアルタイムに把握し、スキャンの形状から人間も判別することができる。そのため、 あらかじめ地図情報を用意したり、GPSを使わなくてもスムーズに移動が可能。人が多く出入りするような商業施設やオフィスビルなどでの利用が想定されている。

SEQSENSEでは、2017年秋に警備ロボットのプロトタイプを開発済み。24時間の巡回警備が必要なオフィスビル、商業施設や空港などでの警備、管理、監視など、「高度なセキュリティレベルが求められるが人材の確保が難しい」という分野でニーズが高く、すでに警備会社やビルのオーナー、総合建設業者などから問い合わせが来ているという。

SEQSENSE代表取締役の中村壮一郎氏は「これまでは実証実験を進めてきた。その成果をもとに、調達資金で複数ロボットのクラウド連携への対応やAIによる人識別機能の精度向上など、プロダクトをビジネスとして成立させるための開発強化を行う。またフロントエンドやアプリケーション開発も進めていく」と資金調達の目的について説明。「今年度中にはセキュリティロボットシステムの商用化を目指す」としている。

また将来的には「ロボティクスで新マーケットを築き、高齢化や生産人口減などの課題に対応する」という企業理念に基づき、「新しい付加価値を提供し、生産性向上に寄与したい」と話す中村氏。「人間には人間しかできないことに集中できるよう、ロボットが人間に代わってできること、ロボットにしかできないことを提供していく」と述べる。

具体的には、人員不足のために直近で需要の高い、警備ロボット、警備システムの分野からサービス提供を始めて「ゆくゆくは物流や小売など、ほかの分野でも自律移動型ロボットの新しいマーケットを作っていきたい」と中村氏は話している。

LINEでスマホ乗り換え相談、ジラフが「ズボラ旅」そっくりな新サービス

LINEのチャットで出発地を伝えるだけ——行き先や予算、宿が決まっていなくてもスタッフがおすすめの旅行プランを考案してくれることで話題を呼んだ「ズボラ旅 by こころから(以下、ズボラ旅)」。

同サービスがリリース後わずか数時間で数千件の相談を集め、パンク宣言をしたのは2018年5月22日のこと。あれからまだ1ヶ月も経っていないが、早くも別の領域でズボラ旅そっくりなサービスが生まれたようだ。

買取価格比較サイト「ヒカカク!」や中古スマホのフリマサイト「スマホのマーケット」を運営するジラフは6月15日、LINE上で格安スマホへの乗り換えについて相談できるサービス「携帯かえるくん」をリリースした。

ズボラ旅のモデルを格安スマホの買い替え相談に持ち込んだもの、端的に言うと携帯かえるくんはそんなサービスだ。コンセプトは「ズボラのりかえ」。ユーザーはLINEで友だち登録をして、現在使っている端末の通信会社と要望を伝えると、チャット形式でスタッフから最適なプランの提案を受けられる。

相談内容としてはオススメの端末や格安SIMの基本的な仕組み、利用料金や買い替えの手順など。スマホの買い替えに関する幅広い相談について、ズボラ旅と同様システムではなく人力で受け答えするという(かえるが対応すると言ったほうが正しいのかもしれない)。

ジラフ代表取締役社長の麻生輝明氏の話では、これまでも格安サイトの比較サイトや診断サービスはあったが、多くのユーザーにとってわかりやすい状況とは言えず課題を感じていたという。

乱立する比較サイトとは違った形で「従来の携帯ショップのように相談できるサービスがあったらいいなと考えていた」ところ、ズボラ旅を見て「これだ!」と思い急ピッチで準備を進めてきたそう。ちなみにズボラ旅の運営元であるHotsprings代表取締役の有川鴻哉氏はジラフの株主。麻生氏によるとTwitter上で相談後、許諾を得て立ち上げに至ったようだ。

なお携帯かえるくんについては、相談料は無料。まずはサービスの検証を進める方針ではあるものの、実際にチャット上で提案したプランにユーザーが加入した場合に、送客手数料を取るような仕組み(アフィリエイトのようなモデル)は検討しているそう。

いずれはスマホのマーケットなど自社サービスへの送客なども視野にいれつつ、現状は「とにかくズボラに相談できるというサービスのフレンドリーさ」をウリに、「悩んだ時にこれを使おうと思いついてもらえる、格安スマホ関連サービスのマインドシェア1位」(麻生氏)を目指す。

E3 2018で任天堂が発表したプロダクトまとめ(ビデオ)

任天堂は今年のE3カンファレンスに強力な砲列を持ち込んだ。既存の人気シリーズをアップデートすると同時にSwitchに全く新しいゲームを発表した。われわれが紹介した主要なプロダクトは以下のとおり。

  • Super Smash Bros. Ultimate 〔大乱闘スマッシュブラザーズ Special〕
  • Super Mario Party 〔スーパー マリオパーティ〕
  • Fortnite 〔フォートナイト バトルロイヤル〕
  • その他〔ファイアーエムブレム 風花雪月、ドラゴンボール ファイターズ、ゼノブレイド2 黄金の国イーラ〕

〔日本版〕任天堂の日本向けE3 2018サイトはこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本の民泊が動き出すーーAirbnbが日本企業36社とともにグループ初のパートナーシップ開始

Airbnb共同創業者のNathan Blecharczyk氏

いよいよ明日6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される。日本の観光産業にとって節目となる日だ。そんな中、民泊分野のメインプレイヤーとも言えるAirbnbが新たなパートナーシップ制度を発表した。

Airbnbは6月14日、日本企業36社と手を組み、パートナーシップ制度「Airbnb Partners」を立ち上げると発表した。このパートナーシップ制度は、グローバル組織であるAirbnbとしても初の取り組みとなる。同社はこの発表に合わせて記者会見を開催。Airbnb共同創業者のNathan Blecharczyk氏とAirbnb Japan代表取締役の田邊泰之氏が日本での戦略を語った。

体験型の日本旅行を、日本らしい形で

Airbnb Japan代表取締役の田邊泰之氏

「一番重要なのは、Airbnbが提供する体験型の旅が日本らしい形で成長することだ」ーー田邊氏は会見でこう語った。

個人が所有する空き家や空きスペースを旅行者に宿として提供できる民泊サービスとして成長を続けるAirbnb。これまでの累計利用者数は3億人を超え、掲載された宿の数は500万件を超える。これは、ホテル最大手のマリオットグループが所有する部屋数の約4倍にもあたる数字だという。

しかし、Airbnbは単に場所だけを提供するサービスではない。例えば、日本のAirbnbに掲載されている宿のなかには、宿のオーナーが持つ日本酒のコレクションを旅行者が楽しめるものもある。ユーザーが旅の最中に現地の人々とふれあい、日本の文化を体験できる“体験型の旅”がAirbnbの最大の特徴だ。

そのような体験型の旅を日本で成長させるためには、もちろん体験型のサービスを現地で提供する必要もあるし、部屋の管理や清掃だけでなく移動、金融などの各種サービスを充実させる必要もある。安心安全といった要素も重要だ。

でも、それらのサービスをすべてAirbnbが単体で提供することはできない。そこで彼らは、各分野でビジネスを行う企業とパートナーシップを組むという道を選択したというわけだ。現時点でAirbnb Partnersに参加する日本企業は36社。銀行のみずほフィナンシャルグループ、保険の損害保険ジャパン日本興亜、旅行のエボラブルアジア、小売のビックカメラ、家具のニトリ、エンターテイメントのカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)など、参加企業は多種多様だ。

日本独自の7つの施策

Airbnbは今後、これらのパートナー企業とともに以下の7つの施策を実行する。

  1. ハイスタンダードな宿だけを集めた上位プラン「Airbnb Plus」を東京、大阪、京都でも提供開始
  2. AirbnbでCCCの「Tポイント」が利用可能になる
  3. パートナー企業のエアトリスティが提供する宿の一括運営サービスをフランチャイズ化し、全国展開。地元ならではの体験型サービスも提供
  4. パソナと連携してホスト(宿のオーナー)の育成プログラムを強化
  5. パートナー企業とともに、地域活性化に貢献する旅行プログラムを提供(例:アソビシステムと原宿のポップカルチャーを体験できる宿の提供)
  6. 住宅系のパートナー企業とともに、“民泊ファースト”な住宅の開発
  7. 旅行系のパートナー企業とともに、日本独自の保険プログラムを提供

Blecharczyk氏は、「Airbnbを利用する日本のすべての人々が、より快適に利用ができるようコミットする。この新しいパートナーシップによってホストとゲストが必要なサービス、サポートを提供することで、Airbnbのコミュニティもさらに大きく、力強いものになっていくと確信している」と話す。

冒頭でも述べたように、Airbnb Partnersはグローバル組織であるAirbnbとしても初の試みであり、上にあげた7つの施策も日本独自のものだ。2020年には東京オリンピックを控え、インバウンド旅行者も2800万人を突破した日本の観光産業がもつポテンシャルの大きさを物語る。

また、ここ数ヶ月中の出来事だけで言っても、民泊運営ツールのmatsuri technologiesSQUEEZEが数億円規模の資金調達を実施し、宿泊予約のReluxが民泊施設の取り扱いを始めるなど、この分野ではスタートアップの動きもいよいよ活発化してきた。民泊新法の施行を合図に、日本の民泊ビジネスが一斉に走り出す。そんな気がするのは僕だけだろうか。

サイバーエージェントがC2Cのスキルシェアサービス開始、まずは約100人の著名人がスキル販売へ

近年続々と生まれているシェアリングエコノミーサービスの中でも、個人が持つ知識や特技をシェアする「スキルシェア」はホットな分野のひとつだろう。先日メルカリが「teacha」というサービスをローンチして話題を呼んだばかりだけど、今度はサイバーエージェントがこの領域に参入することを決めたようだ。

サイバーエージェントは6月14日、同社の運営する「Ameba」にてスキルシェアリングサービス「REQU(リキュー)」を開始した。まずは認定する約100名の芸能人や有名人、著名インフルエンサーらがセラー(スキル販売者)として参加。保有する知識や特技をサービス上で販売する。

Amebaは2004年にブログサービスを開始して以降、14年間にわたって著名人から一般ユーザーまで多くの利用者を獲得してきた。「個人の発信力」に対する注目度が年々高まる中で、ブログやSNSで影響力を持つ個人を対象にAmebaのノウハウを活用した、スキル売買プラットフォームを提供するに至ったようだ。

REQUでは販売者が購入者とやり取りをしながら、要望に応じて商品を作成し提供する「オーダーメイド」と、記事やマンガといった作品をコンテンツ単位で販売する「有料コンテンツ」の2種類の形式を備える。

たとえばファッションに詳しいインフルエンサーがメイクや着回しのアドバイスをしたり、著名編集者が手紙の添削をしたり、イラストレーターがオリジナルの似顔絵を作成したりといったものがオーダーメイドに該当するもの。

一方の有料コンテンツはグラビアアイドルがダイエット方法を紹介する記事などがその典型例で、コンテンツプラットフォーム「note」などで有料ノートを売買する仕組みに近いかもしれない。なおREQUで販売する商品の情報はアメブロに埋め込むことができ、ユーザーはブログ記事面から商品を購入できるという。

REQUでは今後オーダーメイドや有料コンテンツ以外にも機能拡充を行うほか、ユーザーからの参加リクエストも受け付け、2019年度中に1万人のセラー獲得を目指していく方針だ。

個人間のスキルシェアプラットフォームに関しては、冒頭でも紹介したようにメルカリがteachaを提供しているほか、「サイタ」や「ストアカ」、「タイムチケット」、「ココナラ」といったサービスがある。

今年もやるぞ!スタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo」開催は11月15〜16日

スタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo」の開催日が決定したのでお知らせしたい(チケットはまだ発売していない)。日程は11月15日と16日の2日間。会場は昨年と同じく渋谷のヒカリエだ。TechCrunch Tokyoは今年で通算8回目の開催で、昨年は約2500人が参加した国内最大級のスタートアップイベントだ。

この記事を読んでいる人の中にはまだTechCrunch Tokyoに参加したことがない人もいるだろうから、簡単にイベントの内容を説明しておこう。

国内外から業界のキーパーソンを招待

Google Assistantグループ、プロダクトマネージャーのBrad Abrams氏

TechCrunch Tokyoでは、国内外のスタートアップ業界の中心にいるキーパーソンたちをお招きして、彼らの経験やノウハウを大いに語ってもらっている。昨年で言えば、海外からSlack共同創業者のCal Henderson氏やWeWorkのChris Hill氏を招き、国内ではマネーフォーワードの辻庸介氏、ソラコムの玉川憲氏らに登壇していただいた。今年もみなさんがワクワクするようなセッションを用意する予定だ。

スライド資料を用意したプレゼン形式のセッションはもちろん、モデレーターと複数の登壇者がカジュアルに語り合う形式のセッションもある。とりあえず2日間を通してTC Tokyoに参加しておけば、スタートアップ業界のトレンドや将来の動向をおおむね理解しておくことができると思う。開催が1年の終わりに近い11月ということもあるし、“今年の総集編”のような気持ちで参加して頂きたい。

創業3年未満のスタートアップの登竜門

TechCrunch Tokyoの最大の目玉イベントは、創業3年未満の新進気鋭のスタートアップが壇上でピッチバトルを繰り広げる「スタートアップバトル」だ。例年100〜150社の応募が寄せられ、VCを中心に構成した書類審査員による審査を通過したスタートアップだけが当日の本戦に進むことができる。

本戦でもVCや起業家たちが審査員を務め、 まるで実際の投資案件をみるような厳しい視線でスタートアップをジャッジする。審査員から浴びせられる厳しい質問を起業家たちが上手くさばいていく様子は、TechCrunch Tokyoの名物風景だ。11月の寒さなど忘れるほど熱いバトルが繰り広げられる。

起業家にとっても、スタートアップバトル出場はその後の資金調達やメディア露出につながるチャンスだ。実際、バトル登壇直後にVCから話しかけられてそのまま出資が決まったなんていう例もある。

2013年のスタートアップバトルに登場したマネーフォワードの辻庸介氏

昨年のTechCrunch Tokyoで創業ストーリーを赤裸々に語ってくれたマネーフォワードの辻氏も、2013年に開催したTechCrunch Tokyoの“卒業生”の1人。今や上場企業となったマネーフォワードも、当時はサービスリリースから1年と経たない小さなスタートアップだった。今年のスタートアップバトルからも将来の上場企業やユニコーンがきっと誕生してくれることだろう。来場する皆さんからすれば「俺はあのサービスをリリース当初から知ってるよ」なんて、音楽バンドのコアなファンみたいに将来自慢するネタを手に入れるチャンスだ。

残念ながら、現時点でみなさんにお伝えできるのはイベントの概要、開催日、場所だけだ。スピーカーや具体的なセッション内容についてはこれから随時公開していく。チケット販売もまだ少し先のことだけれど、まずはGoogleカレンダーの11月15日と16日の欄に「TC TOKYO」と書き込んでおいてほしい。後悔はしないはずだ。

真っ暗闇でカラー撮影ができる暗視カメラ開発のナノルクスが約2億1600万円を資金調達

全く光が入らない暗闇でもカラー撮影ができる「赤外線カラー暗視技術」を持つナノルクスは6月13日、総額2億1592万円を資金調達したことを発表した。第三者割当増資の引受先は、Samsung Venture Investment日本ベンチャーキャピタルフリーバンクきらぼし銀行が組成したTokIめき応援1号ファンド、筑波銀行グループの筑波総研の各社およびファンド。

今回の調達は2017年5月に実施した、ASUSおよび筑波銀行グループからの約1.3億円の調達に続くもので、ナノルクスにとってシリーズAラウンドにあたる。

ナノルクスの暗視技術は産業技術総合研究所(産総研)が発明したもの。この特許を技術移転によって製品に活用することを目指して、2010年1月につくば市で設立されたのがナノルクスだ。

カラー暗視技術は、これまでのカメラの構造はほとんど変える必要がない。赤外線を被写体に当てて反射光をカメラで捉え、カラー画像に再現するというものだ。これまでの赤外線暗視カメラでは、モノクロ画像しか作成できなかったが、赤外光の反射強度に色の要素(RGB)との相関関係があることを利用して、赤外線情報から色を再現することを可能にしている。

カラー暗視技術原理の説明(ナノルクス サイトより)

2017年2月にカラー暗視技術が搭載されたカメラの第1号機を完成させたナノルクス。調達資金はカラー暗視カメラの量産開始のために投資するとのことだ。防犯カメラや車載カメラ、医療カメラなど、光がないところでもカラー撮影が可能なカメラを提供すべく、今年後半の量産体制確立を目指す。

ナノルクスの代表取締役の祖父江基史氏は、今回出資に参加したサムスンについて「当社がグローバルにビジネス展開を行う上で最良のパートナー」と述べ、「サムスンがナノルクスに加わることで、資金面だけでなく豊富なビジネス経験を得られることをとても喜んでいる」とコメントしている。

レシート1枚10円で買う「ONE」、約半日で買取レシート数10万件突破も買取を一時ストップ

どんなレシートでも1枚10円にかわるアプリ「ONE」。本日6月12日の6時にローンチしたばかりの同アプリには、運営元のワンファイナンシャルが想像していた以上の反響があったようだ。

同社はローンチから12時間25分でONEのユーザー数が3万人に、同じく12時間35分で買取レシート数が10万件に達したことを明かした。なおこのユーザー数というのは、アプリをダウンロード後に電話番号認証をした人の数を指すという。

ワンファイナンシャルCEOの山内奏人氏に確認したところ、19時30分時点でユーザー数は約4万5000人にまで増え、買取レシート数も約16万件になっているそう。本人確認の通知も約1万件ほど届いているとのことで(ONEでは出金するまでに本人確認が必要)、現在10人以上の体制で対応をしているも追いついていない状況。

公式Twitterでは「本人確認完了まで最長で1ヶ月ほど掛かる見込み」としている。

山内氏の話ではリリース前は「月に1万件程度」を想定していたそうだが、実際は約半日でその10倍を超えた計算になる。

【6月12日21時30分追記】ONEではレシートの買取を一時的にストップすることを発表。運営に確認したところ現時点では「再開時期は未定」とのことで、アプリのダウンロードや登録自体はできる。

ヒトとAIが協働、接客アバターの「コラボロイド」提供元が数千万円を調達

最近ではキャラクターを通じてYoutube上で動画配信を行うバーチャルYouTuber(VTuber)が注目を浴びているが、今後は店舗での窓口案内や受付業務などさまざまなシーンでアバターが活躍する時代になっていくのかもしれない。

アバターを通じて接客業務や案内業務を効率化するデジタル派遣サービス「コラボロイド」。同システムを開発するUsideUは6月12日、Draper NexusおよびDEEPCOREを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。金額は非公開だが、関係者によると数千万円規模とのこと。なお資金調達をしたのは2018年の4月10日だという。

コラボロイドはアバターによる音声や表情、ジェスチャーとタッチパネルやテキスト、画像などの情報を組み合わせることで対話業務を効率化するサービスだ。遠隔からアバターを操作する人間のスタッフとAIが補完しあう仕組みを採用。定型化できる業務についてはAIが担い、AIだけでは難しい業務を人が対応する。

現在ハウステンボスが運営する「変なホテル ハウステンボス」内の「変なバー」ですでに導入済み。ここでは店内に設置されたタブレット越しに、アバターが飲み物の説明や注文の受付を担当。遠隔で控えているスタッフと、アバター越しに会話を楽しむこともできる(スタッフの声はボイスチェンジャーで変更)。

初期は人間が対応する比率が高くなるが、接客データが蓄積されていけば徐々に自動化できることも増える。UsideU代表取締役社長の高岡淳二氏の話では「ある程度定型的な会話はAIに任せられるようになる」という。

コラボロイドはアバターによる声やジェスチャーに加えて、画面にメニューや案内の情報を出しながら対話をできるのが特徴。たとえばどのタイミングでどんな情報を出しながら説明するのが効果的なのか、そういったデータも集めているそうだ。

このようにコラボロイドを用いることで、これまでは現地で担当者が対応していた業務の一部は遠隔にいるスタッフとAIで担えるようになる。UsideUでは「デジタル派遣サービス」と表現するが、自動化によって業務が効率化されるだけでなく、その場にいないとできない仕事が減っていくことで「柔軟な働き方を選びやすくなったり、サービス産業の人材不足を解決していく効果もある」(高岡氏)という。

同社では今回調達した資金をもとにプロダクトの開発を進めるほか、6月末からはハウステンボス内での接客業務や案内業務の効率化を目指し、コラボロイドを活用した取り組みを始める予定だ。

UsideUは2017年6月の設立。代表の高岡氏は中国で転職サイトの立ち上げを経験したのち、アリババジャパンの社長室やシリコンバレーのVC・Draper Nexusでの勤務を経て起業している。

UsideUのメンバー。写真右上が代表取締役社長の高岡淳二氏