Gooder Foodsが約7.3億円を調達、大人のマカロニ&チーズ「Goodles」を発売開始

親会社であるGooder Foods(グッダー・フーズ)が44億ドル(約5000億円)規模の乾麺カテゴリーでニッチを開拓するために640万ドル(約7億3400万円)を調達した後の米国時間11月16日、マカロニ&チーズの新ブランド「Goodles(グードルズ)」が発売を開始した。

Gooder Foodsの共同創業者兼CEOであるJennifer Zeszut(ジェニファー・ゼスツット)氏は、TechCrunchの取材に対し、この食品はコンフォートフードの上位に位置しているが、大人の59%が毎週少なくとも1品の麺料理を食べているにもかかわらず、何十年もの間、子ども向けに特化した広告が出されてきたと語っている。

「ここには製品とブランドの革新もあります。重要なのは、既存の競合他社がマカロニ&チーズを子ども向けと考えているのに対し、我々の経験とデータでは誰もがマカロニ&チーズを好きだと示しているということです。製品の差別化や、大人をターゲットにした他のフレーバーも考えています。すべてを壊していく楽しい機会となっています」と彼女は付け加えた。

Annie’s(アニーズ)の共同創業者で元社長のDeb Churchill Luster(デブ・チャーチル・ラスター)氏、元Kraft(クラフト)ブランドの幹部でEarle & Co(アール・アンド・カンパニー)の創業者であり、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院の教授でもあるPaul Earle(ポール・アール)氏、そして女優のGal Gadot(ガル・ガドット)など、豪華な創業チームを集め、ゼスツット氏が4度目の指揮を執ることとなった。ゼスツット氏とガドット氏は3年前に出会い、ガドット氏のマカロニ&チーズ好きを通して意気投合した。ゼスツット氏が会社を設立する際に、彼女が参加したいと連絡してきたという。

Goodlesは、KraftとAnnie’sというこの分野の2大老舗企業の後を受けて、味と栄養の両方に優れた健康的な代替品を提供する。Goodlesは高タンパク、高繊維で、21種類の有機野菜の栄養素を含んでいる。

「1つは83年前、もう1つは30年以上前のものです」とゼスツット氏。「あれから食品は飛躍的に良くなっています。マカロニ&チーズはとても普遍的なものですが、食べ物をパフォーマンスとして考え、体に入れるものを気にする人が増えました。これまでイノベーションがなかったので、私たちはこのカテゴリーを見直すことにしたのです」。

通常であれば、企業は何度も味見テストをするところだが、パンデミックの影響で、Gooder Foodsはオンラインコミュニティを作り、何千もの小袋の麺を発送して、人々に試してもらう方法をとった。実際、同社は最良のものに決めるのに1000種類以上もの麺を開発した。全員が1000種類すべてを試したわけではないが、マスブランドを構築するためには味が重要だったと、彼女は付け加えている。

画像クレジット:Gooder Foods

92%の人がGoodlesに乗り換えるという調査結果もあり、ゼスツット氏は「私たちは何か大きなものを手に入れたと考えており、このことを箱の裏に印刷しています」と語り、これはこれまでの食品の中では最高数値だと考えている。

同ブランドは、カチョエペペにインスパイアされたマカロニ「Mover & Shaker」、ゼスツット氏がマカロニ&チーズのオリジナルフレーバーに近いと考える「Cheddy Mac」、Annie’sに真っ向勝負を挑む「Shella Good」、そしてアシアゴとクリーミーなパルメザンをブレンドした「Twist My Parm」の4つの品目で本日発売される。

今回の640万ドル(約7億3400万円)の投資は、シードラウンドとコンバーチブルノートを組み合わせたもので、消費者への直接販売の開始、在庫、ブランディング、マーケティングに充てられる。DTC(D2C)モデルに重点を置いているが、ゼスツット氏は他の販路での全米販売も計画している。

今回の投資にはSpringdale Ventures(スプリングデール・ベンチャーズ)、Willow Growth Partners(ウィロー・グロース・パートナーズ)、Third Craft(サード・クラフト)、Gingerbread Capital(ジンジャーブレッド・キャピタル)、Purple Arch Ventures(パープル・アーチ・ベンチャーズ)、First Course Capital(ファースト・コース・キャピタル)などの投資家や、個人投資家のグループが参加している。

アーリーステージの消費者向け投資会社であるSpringdale Venturesの共同設立者兼ジェネラルパートナーのGenevieve Gilbreath(ジュヌビエーブ・ギルブレス)氏は、同社は通常、Gooder Foodsのような収益化前の企業には投資しないが、この会社は製品市場に適合しているという点で珍しいと感じ、パンデミックの際に同社が行った、何千人もの味覚テスト参加者を生んだコミュニティの構築に好感を持ったという。

フードテックの動向について、セルラーミートのような技術的な分野も興味深いが、ギルブレス氏がより大きなインパクトを与えると見ているのは、栄養価と味が向上した本物の食品を使ったブランドだと述べている。まさにそれが、Goodlesが今行っていることだと彼女はいう。

「リーダーとして、ジェンの粘り強さ、情熱、経験、そしてチームを率いる能力は、非常によく伝わってきました。本当に感銘を受けたのは、彼女が市場や消費者のニーズを調査し、データを追跡していることでした」とギルブレス氏は付け加えている。

画像クレジット:Gooder Foods

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

人工衛星で地表温度データを収集・解析するHydrosatがさらに11.4億円の資金調達

地理空間データのスタートアップであるHydrosat(ハイドロサット)は、地表温度分析製品の商業化を加速するため、シードラウンドで1000万ドル(約11億4000万円)を確保した。

Hydrosatは、赤外線センサーを搭載した人工衛星を使って地表の温度データを収集することを目指している。同社がサブスクデータ分析プロダクトとして販売する予定の温度データでは、水ストレス、山火事の脅威、干ばつに関する理解を深めることができる。カリフォルニア州での記録的な干ばつの年、米国西部で歴史的な火災シーズンが終わる今、その3つが将来も起こると予想することは極めてやさしい。

Hydrosatは、継続的な情報収集を計画している。各衛星が地球上のあらゆる範囲を継続的に監視するため、それぞれの衛星に特定の地域を監視させる必要がないという意味だ。

「環境モニタリングや農林業における多くの利用例で、そのことが非常に有益になっています。我々はデータを、将来のためにライブラリに保存しているため、その日、翌週、翌々年など、いつでも使えるのです」と同社のCEOであるPieter Fossel(ピーター・フォッセル)氏は最近のインタビューで語っている。

6月に500万ドル(約5億7000万円)の資金調達を完了後、またすぐに資金調達を行うことにしたのは「チャンスがあった」からだとフォッセル氏はいう。「我々は、ヨーロッパに拠点を置くすばらしいグループであるOTB Venturesと繋がりをもちました。同社はレーダー衛星のICEYEをはじめ、この分野の先進的な企業に出資してきました」。

「これまで既存の投資家シンジケートから得たサポートもありましたが、それに加え、この新しい投資家と一緒に仕事をする機会に恵まれたのです」とフォッセル氏は付け加えた。

今回の追加資金は、商用のサブスクリプション向けアナリティクス製品の2022年初頭の発売や、同年後半に宇宙サービスプロバイダーのLoft Orbitalと共同で実施する最初の衛星ミッションを十分に検討するために使用される。また、同社は、市場投入までの時間短縮のために従業員を大幅に増やすことできる。

画像クレジット:Hydrosat

同社は、資金調達のニュースと同時に、スイスの多国籍テクノロジー企業であるABBと協力し、宇宙で使う熱赤外機器を製造することを明らかにした。ABBは、これまでにNASA(米航空宇宙局)、カナダ宇宙庁、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)、および民間企業向けにイメージャーやセンサーを製造してきた。ABBが製造した赤外線イメージャーは現在、同名の会社が運営する温室効果ガスの排出量を検出・測定する宇宙機「GHGSat」に搭載されている。

また、Hydrosatは、NASAのランドサットプログラムの熱赤外データの調整を行っているロチェスター工科大学と提携している。同社が政府機関との取引を成功させるには、すでに政府機関と取引実績がある企業や機関との契約の確保が鍵となりそうだ。

Hydrosatは、すでに欧州宇宙機関との契約と、米空軍および国防総省との3つのSBIR(Small Business Innovation Research)契約を獲得した。空軍との契約の一環として、同社はニューメキシコ州の高高度気球に第1世代のイメージャーを搭載し、宇宙との境界まで飛行させた。同社にとって重要な技術的マイルストーンとなった。熱赤外画像を収集し、その処理と調整が正確に行えるようになったからだ。

また、同社は商業分野にも目を向ける。フォッセル氏は、農業や環境分野の企業とすでに契約を結んでいると付け加えたが、詳細は明らかにしなかった。

中期的な目標として、同社は16機の衛星を打ち上げたいと考えている。フォッセル氏によると、衛星群の数は、同社が提供できるデータの頻度ほど重要ではないという。中期目標を理解するには、データ収集の頻度が鍵となる。同社は、地球上のあらゆる場所で毎日熱赤外画像を撮影できるようにしたいと考えている。「それが中期的な目標であり、衛星群の規模は単にそれを実現する手段にすぎません」。

今回の資金調達ラウンドはOTB Venturesがリードし、Freeflow Ventures、Cultivation Capital、Santa Barbara Venture Partners、Expon Capitalも参加した。

画像クレジット:Hydrosat

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

小売・製造・物流・介護などデスクレスワーカーが働く現場向け動画教育サービスのTebikiが8億円のシリーズA調達

現場向け動画教育プラットフォーム「tebiki」を運営するTebikiは11月16日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による8億円の資金調達を発表した。引受先はグロービス・キャピタル・パートナーズ。調達した資金は、主にチームの拡大にあて、開発・営業・カスタマーサクセス・マーケティング・デザイナーなどの全職種で積極採用を行う。

tebikiは、小売・サービス・製造・物流・介護・飲食といった、デスクを持たない社員(デスクレスワーカー)が働く「現場」向けクラウド型動画教育プラットフォーム。

難しいシステム操作を現場に強いるのではなく、作成から編集まで誰でも最新動画技術を直感的に使いこなせるUIを採用。現場のOJTをスマホで撮影するだけで、音声認識技術で字幕が自動生成され、シーンの削除・静止などの動画編集、音声吹き込みや図形挿入、自動翻訳が可能。また、動画閲覧データを自動分析し誰がどこまで習熟したかを可視化し、リアルタイムで教育の進捗を管理できるという。

認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkが11.2億円調達、脳ドック用AIプログラムの全国普及・拡大推進

VRリハビリ機器を提供する「mediVR」が5億円のシリーズB調達、「成果報酬型自費リハ施設」開設を計画

認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkが11.2億円調達、脳ドック用AIプログラムの全国普及・拡大を推進認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkは11月17日、総額約11億2000万円の資金調達を発表した。引受先はジャフコ グループ、東京海上日動火災保険、三菱UFJキャピタル、博報堂DYホールディングス、個人投資家。調達した資金により、引受先とのシナジーを活用するとともに製品化・事業化を加速する。

Splinkは、2017年の創業以来、認知症予防の促進を目指し、脳ドック用AIプログラムとして「Brain Life Imaging」の提供を進めてきた。都内を中心に様々な医療機関が利用しており、今後全国への普及・拡大を推進するという。また、この先行サービスで得られた知見を活用し、開発を進めてきた「脳画像解析プログラムBraineer」では、診断・治療フェーズにおける認知症見逃しを防ぐ医療機器プログラムとして2021年6月に薬事認可を取得した。

同社は、今回の増資により主力製品Brain Life ImagingおよびBraineerの製品強化を引き続き進めるという。さらに、複数アカデミアとの共同研究を通じて開発パイプラインの製品化に向けた投資も実施する。認知症という高齢化社会における課題に対し、健常段階の予防から発症後の病気と共生できる社会に寄与すべく、認知症の予防から診断まで一貫したソリューションをワンストップで提供するとしている。

デジタル教材プラットフォームのLibryがシリーズC累計で約3.4億円調達、プロダクト開発・営業体制強化

中高生向けデジタル教材プラットフォーム「Libry」(リブリー)を提供するLibryは11月17日、LITALICO(リタリコ)を引受先とした第三者割当増資による資金調達を発表した。同エクステンションラウンドを含めたシリーズCラウンドの累計調達額は約3億4000万円となり、2017年のサービス提供開始からの累計調達額は8億円を超えた。

リブリーは、デジタル教材とAIドリルの特性を併せ持つデジタル教材プラットフォームで、全国の高校・中学を中心に600校以上(2021年11月15日現在)で導入されている。大手出版社・教科書会社と提携し、既存の教科書や問題集をそのままデジタル化しているため、教師と生徒が「これまで通りの教材」として利用できるという。1つの端末で複数の教材・問題集を管理できるほか、生徒ひとりひとりの学習履歴に基づいた「類似問題」「苦手問題」機能などで生徒の学習状況や理解度に合わせた個別最適化学習を実現する。宿題の配信・回収・集計を自動で行なう「宿題管理ツール」や、クラスの学習状況をExcelデータで出力できる機能など、教師をサポートする機能も用意している。

日本の学校教育は、コロナ禍の影響もあり、急速にICT化が進んでいる。小・中学校では、2021年3月末までに全国97.6%の自治体でPC・タブレット1人1台環境が整備され、高校でも47都道府県のうち42自治体(89.4%)で生徒1人1台の端末整備を目標としている。そのような状況の中で、リブリーは2021年10月末時点で17社の出版社と提携。数学・物理・化学・生物・地学・英語の6科目で400冊を超えるデジタル教科書・デジタル問題集を提供している。

「一人ひとりが自分の可能性を最大限に発揮できる社会をつくる」をビジョンに掲げるリブリーは、2022年4月に学習者用デジタル教科書への対応を予定。調達した資金により、プロダクト開発・営業体制を強化し、日本の教育のデジタル化を牽引する教材プラットフォームとしてさらなる成長を目指す。今後はLITALICOとの協業の可能性についても検討を開始するという。

Nommiがフードボウルを作るキッチンロボットを展開、「料理の鉄人」森本氏と提携も

レストラン業界で人手不足が続く中、オーナーらは今後、自動化への期待をますます募らせるはずだ。また、世界的なパンデミックの影響で食品の取り扱いが厳しくなっていることもあり、食品ロボットの会社を経営するには間違いなく最高のタイミングだと言える。

LAに拠点を置くNommi(ノミ)は、レストランブランドのC3(Creating Culinary Communities)との提携を発表し、世界中の不動産や大学キャンパスのパートナーに、最大1000台のロボットキオスクを展開する予定だ。

自動化が可能な食品の種類は、まだ比較的少ない。Nommiが注目しているのは、ピザのように比較的均一で自己完結型の食品配送システムであるフードボウルで、ロボットに最適なものだ。同社を代表する製品は、基本的に細長いキオスクで、客が自分の食事をカスタマイズできるタッチスクリーンがビルトインされている。

このマシンは、麺類、穀物、サラダなどのボウルを最短3分で作ることができる。最大330個のボウルと蓋を収納でき、一度に複数のボウルを作ることが可能だ。完成したボウルを最大21個「ロッカー」にキープし、料理を取り出すにはQRコードを使う。C3との契約には、料理の鉄人である森本正治氏とのパートナーシップも含まれており、森本氏の「Sa’Moto」ブランドのプロダクトがマシンに導入され、24時間365日稼働することになる。

「Nommiの秘密のソースは、ブランドと消費者の両方の視点から見て、比類のない汎用性にあることは間違いありません」と、社長で共同創業者のBuck Jordan(バック・ジョーダン)氏はリリースで述べている。「C3のような革新的なプラットフォームと提携することで、多くの収入源とユニークな顧客へのアクセスが可能になります。両社とも食品業界に変革をもたらしており、我々のパートナーシップは最高のタイミングで実現しました」と話した。

Nommiは、MisoやFuture Acresといったロボット企業のインキュベーターであるWavemaker Labsの支援を受け、最大2000万ドル(約23億円)の資金調達に取り組んでいる。

画像クレジット:Nommi

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンライン小売業者の偽チャージバック対策をAIで支援するJusttが計80億円を調達して登場

チャージバック軽減に取り組むテルアビブ拠点のスタートアップJustt(ジャスト)は現地時間11月16日、総額7000万ドル(約80億円)となる資金調達でステルス状態から登場した。

2020年2月にRoenen Ben-Ami(ロエネン・ベン・アミ)氏とOfir Tahor(オフィール・タホール)氏によって創業されたJusttは、オンライン小売業者に代わってチャージバック異議を完全に自動化する、と話す。同社は最近、コネチカット州グリニッジを拠点とするOak HC/FTがリードしたシリーズBラウンドで5000万ドル(約57億円)を調達した。このラウンドは、2月にZeev Venturesがリードした1500万ドル(約17億円)、2020年11月にF2 Venture Capitalがリードした500万ドル(約5億7000万円)の資金調達ラウンドに続くものだ。Justtの戦略的個人投資家には、PayPalの元社長David Marcus(デイビッド・マーカス)氏、Square Capitalの元代表Jacqueline Reses(ジャックリーン・ローズス)氏、DoorDashの幹部Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏などがいる。

以前AcroChargeという社名だったJusttは、年間経常収益(ARR)が2020年9月に比べて900%増加していると話す。従業員数は1年前の3人から110人超に増加している。同社は、シリーズBでの評価額については明らかにしなかった。

知らない人のために説明すると、チャージバックとは、クレジットカード会社が小売業者に対して、不正な取引や問題のある取引の損失を補填するよう要求することだ。Justtは、自社開発した人工知能を用いて、世界中の小売業者が偽のチャージバックに対処できるようにすることを目指している。

偽のチャージバックは「フレンドリー詐欺」とも呼ばれ、消費者がクレジットカードやデビットカードへの請求に不正に異議を唱えることで、金融機関が支払いをキャンセルし、小売業者が損失を被る。JusttのAI駆動の技術は、不正なチャージバックにフラグを立てるように設計されている。不正なチャージバックは通常、異議の85%以上を占め、年間1250億ドル(約14兆円)超の損失につながっているとJusttは話す。同社は、カードプロセッサーを統合している各小売業者に合わせたシステムを構築し、不正なチャージバック請求を否定する証拠を収集してその情報を小売業者に代わってクレジットカード会社に提出する。

最終的には、フィンテックのユニコーン企業Melioや、ブロックチェーンベースの決済会社Wyreなど、大企業を中心とした企業の社内チャージバック軽減プログラムに置き換わることを目指している。Justtは顧客のために月に1万件以上のチャージバックを処理している。

「チャージバックシステムは基本的に不正なものですが、多くの業者はその損失を単にビジネスのコストと捉えています。Justtではもっと良い方法があると信じています。eコマースの販売業者は、この古めかしいシステムを乗り越えるために誰かの助けを必要としているのです」とCEOで共同創業者のタホール氏は話した。

タホール氏は、Chargehound、Chargeback.com、Midigatorなど同業他社と自社は異なると考えている。これらの企業は技術的ツールを提供しているが「それでも顧客はテンプレートの作成や証拠の収集に必要な専門知識を備えた社内チームを維持する必要がある」。

「これらのシステムは、最適化と成功率の向上を顧客のチームに依存しており、Justtのようなフルサービスのソリューションは提供していません」とタホール氏は指摘する。

他の競合他社はフルサービスを提供しているが、顧客のチャージバック処理を支援するためにオフショアチームを使って証拠作成を手作業で管理していると同氏は主張する。

「技術的な要素がないため、オフショアチームは一般的なテンプレートに頼ってしまい、パフォーマンスの低下を招いています」。

同氏によると、Justtは調査チームが小売業者の精算プロセス、利用規約、確認メール、チャージバック理由コードなどを分析し、よりカスタマイズされたサービスを提供する点が異なるという。

同社のビジネスモデルは、潜在的な顧客のリスクを最小限に抑えるように設計されている。顧客の売上が回収されない限り、顧客には何の請求もない。

「我々のビジネスモデルはすべて成功に基づいています。統合費用や案件ごとの費用は一切ありません。当社が手数料を請求するのは、小売業者が取引詐欺の減少によって実際に節約できた場合のみです」とタホール氏はTechCrunchに語った。

Justtが設立されたのは、パンデミックによってオンライン取引が急増し、それにともなって不正なチャージバック行為が急増した時期だった。

「それ以来、当社のソリューションに対する需要はうなぎのぼりです。これは、オンラインビジネスやオンライン取引の一般的な成長と、経済的圧力、サプライチェーンの問題、配達遅延など特定のプレッシャーによって引き起こされたもので、不正取引の取り消しの増加に拍車をかけています」とタホール氏は話した。

同社は、新たに得た資金を製品開発、販売、マーケティングに「重点的」に投資する予定で、ここには販売とマーケティングの業務を米国と欧州に拡大することも含まれている。また、2022年にはイスラエルの研究開発部門の人員を3倍に増やすことも予定している。

タホール氏は「今回の資金調達により、ニューヨーク市に米国本社を設置し、西海岸のオフィス開設の準備を行うなど、北米市場への積極的な進出を計画しています。また、市場機会に応じて、欧州地域へのサービス提供にも投資していきます」と述べた。

Oak HC/FTのパートナーMatt Streisfeld(マット・ストリスフェルド)氏によると、Justtでは取引後に発生する不正なチャージバックによって失われた60〜80%の収益を取り戻すことができる。

eコマースブームでは不正チャージバックによる企業のリスクが高まっているにもかかわらず、不正なチャージバックを特定して追跡し、異議を唱え、失われた収益を回収するシステムを導入しているブランドはほとんどない、とストリスフェルド氏は指摘する。

「ほとんどのブランドは、これらの損失を単に帳消しにしています。これは持続不可能でコストのかかるアプローチであり、小売業者が新たな方法を模索する中で、Justtは今後5年間で記録的な普及を遂げるはずです」と同氏は電子メールに書いた。

画像クレジット:Justt

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

カナダのオンライン中古車購入プラットフォームClutchが事業拡大へ約91億円調達

Clutch(クラッチ)は、カナダ最大のオンライン中古車購入プラットフォームになりたいと考えている。2016年に設立された同社は、8000万ドル(約91億円)のシリーズBラウンドを完了したばかりだ。同社はこのラウンドで獲得した資金を、カナダ国内の新しいマーケットに進出するための準備として、チームの拡大、物流機能の拡充、在庫の拡大に充てる。

ClutchのCEOであるDan Park(ダン・パーク)氏は「我々は2023年末までにカナダ人の90%にサービスを提供したいと考えています。そのためには、カナダのいくつかの主要都市でサービスを開始する必要があります。モントリオールやウィニペグなどはカナダの中でも大きな都市であり、最終的には進出する予定です」とTechCrunchに語った。

Clutchは、近年市場に登場した数少ないオンラインカーディーラーの1つだ。オンラインカーディーラー各社は注力する地域を抱える。米国ではCarvanaとVroomが、英国ではCazooが、メキシコではKavakが、それぞれ最大のプレイヤーとなっている。Clutchはトロントに本社を置き、アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、ノバスコシア州、ニューブランズウィック州、オンタリオ州、プリンスエドワード島州でサービスを展開しているが、2022年にはさらにエリアを拡大する予定だ。海外進出よりもカナダ市場に注力することで、Canada Drivesのような競合他社に先駆けて、数十億ドル(数千億円)規模のビジネスチャンスをつかみたいと考えている。

パーク氏によると、Clutchはこれまでに数千台の中古車を販売し、現在は約1250台超の在庫を抱えているという。同社は、過去の債務融資を使って車両を購入し、オークション、個人販売者、フリートなどから調達した車両を210項目におよぶ厳しい再調整プロセスにかけ、その間にClutchの点検・整備部門が車両の安全性と外観をチェックする。その後、一新されたクルマは平台型トラックにのせられ、パーク氏がいう「ボタンをクリックするとクルマがあなたの家の前に現れるという、可能な限り魔法のような方法で」最終消費者に直接届けられる。

D1 Capital Partnersがリードし、Flight Deck Capital、Canaan Partners、Upper90、Real Ventures、GFC、BrandProject、FJ Labsが参加した今回の資金調達ラウンドは、Clutchが2022年中に従業員を約160人から250人超に増員するのに役立つだけでなく、事業拡大に必要なインフラと物流ネットワークの構築にも役立つ。Clutchはカナダ国内に倉庫を持っていて、そこに車を保管し、最短で翌日には納車できるようにしている。

「在庫を増やし、幅広く多様な車種を揃えることが、来年の大きな課題です」とパーク氏は話す。「顧客がClutchのファンであったとしても、もし顧客が走行距離5万キロのスバルの青いOutbackで2018年以降のモデルを本当に探していて、当社にそのモデルの在庫がない場合、顧客がClutchから購入する可能性はかなり低くなります。我々は、できるだけ多くのカナダ人に対応したいと考えています。そのため、在庫を増やして品揃えを充実させることは、来年のことを考えるとき大きなフォーカスであり、間接的な資金の使い道でもあります」。

eコマースはClutchのビジネスモデルの一部にすぎず、売上高の約半分は保証、保険、融資などのフィンテックサービスによるものだとパーク氏は話す。

「我々がここでやろうとしているのは、本当に合理的な体験を提供することであり、これまでその面での垂直統合はあまり行われてきませんでした」とパーク氏は指摘する。「すばらしい自動車購入体験を提供するだけでなく、消費者をサポートし、また一部のケースでは消費者の信用回復に役立つ金融商品の提示などすばらしい所有体験も提供できます」。

Clutchは、事業規模の拡大にともない、ユニットエコノミクスの向上を目指している。同社のビジネスで最もコストがかかるのは、車両の購入と、生産工程を経て車両を手に入れるための物流だ。カナダ国内でさらに規模を拡大すれば、部品の購入、配送トラックの使用、リフトの使用、その他のコストを効率化することができ、いつかはより多くのユニットで償却できるようになる。

Clutchは中古車マーケットプレイスであるため、在庫のうち電気自動車(EV)はごく一部にすぎないが、パーク氏は今後数年でそれも変わってくると考えている。

「我々のモデルは、EVにより適していると確信しています」と同氏は話す。「EVは一般的に再調整が少なくて済みます。ガソリン車の可動部品は2000個ですが、EVは200個で、当然メンテナンスも少なくなります」。

従来のディーラーの多くは、利益率を得るために部品やサービスに大きく依存しているが、Clutchはそこで利益を得ているわけではない。利益率はさておき、Clutchが内燃機関搭載車を販売する際には、そのクルマが送られる地域に3本の木を寄付するとパーク氏は話した。同社はこれまでに約8000本を植林したという。

画像クレジット:Clutch

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

医療業界のデジタルインフラ構築に取り組むフランスのLifenが約66.2億円調達

フランスのスタートアップであるLifen(ライフェン)は、5800万ドル(約66億2600万円)の資金調達を行った。このスタートアップは、医療レポートを皮切りに、ヘルスケア業界のデジタルインフラに取り組んでいる。実際、600の医療施設が医療文書の送受信にこの製品を使用している。

また、各顧客は、毎月24万人の医師に送られる200万件の医療文書をLifenがまかなうため、Lifenを集中して使用している。患者はLifenから直接文書を受け取ることもできる。

Creadev(クリーデブ)Lauxera Capital Partners(ラクセラ・キャピタル・パートナーズ)は、米国時間11月15日のシリーズCラウンドを主導した。既存の投資家であるSerena(セレナ)Partech(パーテック)は今回の資金調達ラウンドに再び参加した。

Lifenは、アップグレードの機会を見据えて、ヘルスケア業界の通信方法から手を付けた。医療業界の多くの関係者は、医療文書の送付に昔ながらの物理的な手紙に頼っていた。病院では、データのプライバシー保護のため、電子メールに切り替えることができず、困っていた。

同スタートアップは、医療記録用に設計された複数の電子メッセージングプロトコルと連動するドキュメントプラットフォームを構築した。これにより、ペーパーレス化やレポートの自動送信が格段に容易になる。

また、Lifenは、ドキュメント製品の上に機械学習を追加した。同社は、重要な情報を自動的に検出し、ドキュメントを構造化されたデータに変えようとしている。例えば、同社は患者の名前や送信者の情報を自動的に識別しようと試みている。

そして今、同社は通信方法にとどまらず、ヘルスケア業界向けに本格的なデジタルプラットフォームを提供したいと考えている。医療機関は、Lifenを利用して他のe-ヘルス・アプリを使い始めることができる。

Lifenには独自のアプリストアがあり、Lifenのユーザー管理システムと連携するすべてのアプリを参照し、Lifenと接続することができる。この戦略は、Salesforce(セールスフォース)にとって特に効果的だった。

今回の資金調達により、同社は今後1年半の間に200人以上の従業員を雇用する予定だ。2025年までに、このスタートアップは1500の病院、200のe-ヘルスソリューションと連携したいと考えている。

画像クレジット:Lifen

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

法人設立、会計、税金、規制遵守など煩わしいバックオフィス管理を行うSleek、ビジネス構築に集中したい起業家向けサービス強化

Sleekの創業者ジュリアン・ラブリエール(右)とエイドリアン・バーゼル氏(左)(画像クレジット:Sleek)

起業家や中小企業は、カンパニーセクレタリー業務、簿記、銀行業務、税務、給与計算、雇用サービス、保険など、サイロ化された機能への対応に苦労することがよくある。

フランスの起業家Julien Labruyere(ジュリアン・ラブリエール)氏とAdrien Barthel(エイドリアン・バーゼル)氏は2017年にSleek(スリーク)を設立し、起業家がシンガポールと香港で事業を設立して運営するのを支援した。Sleekは法人設立、行政、会計、税金、ビザから規制遵守まで、すべてを処理するバックエンドのOSプラットフォームを構築した。

同社の使命は、Sleekによってバックオフィスの煩わしさをすべて取り除くことで、ビジネスの構築に集中したい起業家やビジネスオーナーにとって最適なプラットフォームになることだと、バーゼル氏は述べている。

Sleekは米国時間11月16日、White Star Capital(ホワイト・スター・キャピタル)とJungle Ventures(ジャングル・ベンチャーズ)がリードする1400万ドル(約15億9800万円)のシリーズAラウンドを獲得したことを発表した。これにより、Sleekの総調達額は2400万ドル(約27億3900万円)となった。

この資金は、技術および製品開発の強化、人員の増強、既存市場でのプレゼンスの拡大、オーストラリアや英国を含む新規市場への参入に使用される。

英国市場への参入にともない、Sleekは、英国の法人設立管理会社で、2005年の設立以来、45万社以上の法人を設立してきたLtd Companies(Ltdカンパニーズ)の買収を発表した。Sleekは、既存のLtd Companiesのサービスに同社のスタックを加え、英国の中小企業向けのオペレーティングシステムを構築する。

Sleekは設立以来、シンガポールだけでなく、香港、オーストラリア、英国、フィリピンにも拠点を拡大してきた。

同社は、パンデミック時に顧客ポートフォリオの規模を2倍にした。興味深いのは、Sleekの顧客は経済全体の混乱の影響をあまり受けていないようだ、とバーゼル氏はTechCrunchに語っている。また、2021年初めには1000万ドル(約11億4100万円)の年間経常収益を達成したとバーゼル氏は述べている。

5000社以上のポートフォリオを管理しているSleekは、2020年に140万件以上の簿記取引を処理し、約7億ドル(約799億円)の収益を計上した。

Sleekは最近、中小企業の銀行口座開設を簡素化したSleekビジネスアカウントを発表した。これにより、起業家や中小企業の経営者は、Sleekアプリを使ってわずか1日で預金口座を開設し、取引を開始することができ、口座開設前の煩わしい書類作成の必要性がなくなった。さらに、ユーザーはSleekのダッシュボード上で、他の会社の指標と一緒に口座の詳細を確認することができ、会計や簿記のための銀行照合を効率的に行うことができる。また、送金やカード発行に対応した製品のリリースも予定している。

「Sleekビジネスアカウントのリリースにより、起業家のためのオペレーティングシステム(OS)を構築するという当社の製品ビジョンに、大きな一歩を踏み出すことができました」とバーゼル氏は述べている。

また、経験豊富なCFO(最高財務責任者)がビジネスインテリジェンスツールを介してクライアントの会計データにアクセスし、クライアントへの提案や分析(予算編成、戦略、資金調達)を行うCFOサービスを試験的に開始した。

「テクノロジーが人間の超効率化を可能にする未来では、人間は手作業よりも顧客へのアドバイスに多くの時間を費やします。現在、当社のカンパニーセクレタリーは、従来の会社の4~5倍多くのクライアントにアドバイスを行っていますが、その機能の100%自動化を実現し、クライアントへのアドバイスのみに集中できるようにすることを目指しています」と、バーゼル氏はTechCrunchに語っている。

White Star Capitalの創業者兼マネージングパートナーであるEric Martineau-Fortin(エリック・マルティノー・フォーティン)氏は「我々は、Sleekの優れたパートナーとなり、我々のグローバルなカバーエリアを活用して、すべての中小企業が抱える根本的な問題を解決し、ヨーロッパやオーストラリアへの成長を加速できると信じています」と語っている。

「Sleekは、世界中の起業家や中小企業が抱えるバックオフィス管理という、まだ十分なサービスが提供されていない領域の課題に取り組んでいます。Sleekの地域を超えた成長と急速な拡大は、プラットフォームの導入が加速していることと、それがエコシステムにもたらす価値を証明しています」。とJungle VenturesのマネージングパートナーであるDavid Gowdey(デビッド・ゴウディ)氏は語っている。

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Snapchatのフィルター、Lightroomの編集機能、Photoshopの柔軟性などを持つパワフルな写真編集ツール「Facet」

ひと言で言えば、Facet(ファセット)は、APIを使ってアクセスできるAI搭載の写真編集ツールを開発した。これにより、Snapchatの写真フィルター、Adobe Lightroomの編集機能、Photoshopの柔軟性、Figmaなどのコラボレーション力を合わせたような、非常にパワフルな写真編集ができるようになる。しかも、このツールは、これまでの写真編集の分野では目にしたことがないことができる。Facetは、Accel(アクセル)、Basis Set Ventures(ベイシスセットヴェンチャーズ)、Slow Ventures(スロウヴェンチャーズ)、South Park Commons(サウスパークコモンズ)の参加とともに、Two Sigma Ventures(ツーシグマヴェンチャーズ)から1300万ドル(約14億8900万円)を調達した。

私はかつてプロの写真家だったこともあり、写真に関する本を20冊ほど書いているので、私は写真に大きな興味を持っている。Facetから写真編集の分野で何か新しいものを提供すると連絡があったときは、かなり興奮したが、その後「非常に困惑した」。創業者や投資家と1時間ほど話をしても、このツールが何なのか、誰のためのものなのか、はっきりと理解できなかった。

しかし、実際にこのツールを使ってみると、すべてが明らかになった。オークランドで開催されたダンスイベントLindy by the Lake(リンディバイザレイク)で撮影したダンス写真をギャラリーにアップロードして、Facetに任せてみた。ウェブベースのエディターは、学習曲線が非常に急で、いわば学習の壁のようなものがあるが、Photoshopでは不可能ではないにしても、難しい編集をすぐに行うことができた。

私が作成したフィルターの1つは「背景を検出し、ぼかして脱色する」というものだ。画像の前景 / 背景の検出は完璧ではなかったが、うまくいった写真については、写真編集ソフトで個々の画像を開いて編集することなく、非常にすばやく写真をポップにすることができた。

左側の画像は、Facetによって背景が自動的に脱色され、ぼかされたもの。右がオリジナルの画像。結果は完璧ではないが、Facetは数分で200枚の写真にこのような処理を行うことができた。これはAI画像編集の驚くべき成果だ。Photos by Haje Kamps, editing by Facet’s AI.

Facetは、膨大な量の写真を用意してプレゼンテーションを行うような商用レベルの画像編集に特化していますが、Photoshopと同様に、画像制作者の創造性次第で何十通りもの使い方が可能だ。

「人々が画像を編集し、その変更を重ねていくとき、私たちはすべての編集を分析し、より大きなコンテンツライブラリに転送する方法を考え、自動的にプリセットを作成します。これは、キャンペーン全体でブランドの一貫性を維持し、すべての製品や写真に一貫性を持たせるために非常に有効です」、FacetのCEO兼共同設立者であるJoe Reisinger(ジョー・ライジンガー)氏は述べている。「例えば、Spotifyのような場合です。アルバムカバーで有名なデュオトーン効果を見たことがあると思います。私たちはそれを作成し、APIエンドポイントで再利用可能な画像編集パイプラインを提供することで、何千枚もの写真を非常に迅速に処理することができます」。

同社の選択・フィルタリングツールは強力で、無限の拡張性を持っている。趣味の写真家が使用できるコンシューマーグレードのプラットフォームを持っているが、同社が本当に輝くのは、クリエイティブなソフトウェア開発者がこのツールを使用してAPIを利用するときだ。

ライジンガー氏は「印刷中心の古いソフトウェアをインターネット時代に適応させようとするのではなく、コンテンツを意識した画像編集プラットフォームで、クリエイターが必要とするツールを一から構築しています」と語っている。

Facetのインターフェースの一例。このスクリーンショットでは、脱色と背景のぼかしをツールに依頼した。うまくいったときは信じられないほどすばらしく、Lightroomに何年も前からできるようになって欲しいと思っていたことだ。うまくいかないとき(中央2枚の写真のように、女性の足だけに色がついていたり、ダンサーの顔を前景として検出できなかったりしたとき)は、少し残念だ。とはいえ、Photoshopのレイヤーファイルとして画像をダウンロードすることができるので、それを整えるのは簡単だし、編集の時間も大幅に短縮されるだろう。the Facet toolのスクリーンショット。

「Facetで気に入っている点は、非同期のコラボレーションが可能なことです。写真のスタイルを定義しておけば、デザイナーはそれぞれの写真を手動で編集しなくても、たくさんの写真に同じスタイルを使うことができます。写真の見た目と感じをプログラムでエンコードし、それを画像間でコピーすることができます」今回のFacetの主な投資家であるTwo Sigma VenturesのパートナーであるDan Abelon(ダン・アベロン)氏は語った。「誰かのスタイルが気に入れば、それを自分の画像に適用することで、リアルタイムなコラボレーションの世界が広がります」。

「これは単に金儲けのためだけではありません。Facetは、クリエイティブなコミュニティやウェブの世界に大きな影響を与えようとしています。ウェブ全体に影響を与えたいという気持ちが伝わってきて、私たちもその点にとても惹かれました」とアベロン氏は語っています。

同社は、シリーズAの次のステップとして、チームの拡大、牽引力の強化、市場参入戦略の構築など、最近拡大した資金を活用していく予定だ。Facetでは、無料トライアルにサインアップして試用することができ、有料プランは、プロフェッショナルユーザーが月額24ドル(約2700円)、APIを必要とするハイエンドチームユーザーが月額50ドル(約5700円)からとなっている。

画像クレジット:Gabriella Achadinha under a CC BY 4.0 license.

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Yuta Kaminishi)

設計・建築事務所のプロジェクト管理を支援するソフトウェアを提供するMonographが約23億円調達

Monograph(モノグラフ)は、建築・設計の専門家がプロジェクトを管理するためのクラウドベースのプラットフォームを提供しているスタートアップ企業だ。同社は米国時間11月15日、シリーズBラウンドで2000万ドル(約23億円)の資金を調達したと発表した。このラウンドは、新規投資家のTiger Global(タイガー・グローバル)が主導し、Tishman Speyer(ティシュマン・シュパイヤー)と既存投資家のIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)およびHomebrew Ventures(ホームブルー・ベンチャーズ)が参加した。

今回の資金調達により、2019年に設立されてからMonographが調達した資金総額は2930万ドル(約33億6000万円)となった。同社の前回の資金調達は、2021年5月のシリーズAで、740万ドル(約8億5000万円)を調達している。

Monographを設立した3人の設計技術者であるRobert Yuen(ロバート・ユエン)氏、Moe Amaya(モー・アマヤ)氏、Alex Dixon(アレックス・ディクソン)氏は、いずれも建築学のバックグラウンドを持つ。同社のソフトウェアは、建築事務所がタイムシート、予算、人事、請求書の発行など、多くのさまざまな業務システムを管理するのに役立つ。これまでに5億ドル(約570億円)相当のプロジェクトが、このプラットフォーム上で実行されている。

サンフランシスコを拠点とする同社は、2021年にわずか8人でスタートした後、33人の従業員を抱えるまでに成長したと、CEO兼共同創業者のロバート・ユエン氏は、TechCrunchにメールで語った。新たに調達した資金は、製品チームとエンジニアリングチームのさらなる成長のために使用される予定だ。

新型コロナウイルス感染流行の影響で、新たな住宅のリフォームや建築の需要が高まり、小規模な設計会社の成長が加速していると、ユエン氏は書いている。業界で雇用が活発化する中、Monographは中核となるソフトウェア製品への投資に加えて、コンテンツの共有や求人情報の提供を通じて、その分野の専門家による仮想コミュニティを構築している。

ユエン氏は、プロジェクトマネージャーがプロジェクトレベルの財務状況をリアルタイムで確認できるMonographの予算管理ソリューションを、スプレッドシートに依存しているこの業界では特にユニークなものであると強調した。同氏によると、Monographを使用していない一般的なプロジェクトマネージャーは、プロジェクトの予算が不足しているのか超過しているのかを理解するために、平均で1カ月ほど待たなければならないという。

Tiger GlobalのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・クルチウス)氏は、同社のMonographへの投資に深く関わっている人物だ。同氏はTechCrunchにメールで次のように語った。

「Monographは、建築家による建築家のための製品です。それゆえに、プロジェクト管理に費やす時間を最小限に抑えるソリューションを提供する点において優れているのです」。

画像クレジット:Monograph

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ギフトを贈るモバイルアプリ「Goody」がホリデーシーズンに合わせさらなる資本を獲得

Goodyの共同創業者兼CEOのエドワード・ランド氏(画像クレジット:Goody)

ギフトを贈ることは必ずしも簡単ではないが、Goody(グッディ)は、それをテキストを送るのと同じくらい簡単にしたい。

マイアミを拠点とする同社は、2020年12月に、ローブからクッキー、多肉植物、スパトリートメントまで、厳選されたギフトのリストとともに始まった。必要なサイズを知らなくてもギフトを選ぶことができ、受け取った人はサイズや種類を選んだり、同じような価格のギフトと交換したりすることができる。

Goodyのアプリ画面(画像クレジット:Goody)

Goodyは消費者向けのアプリとしてスタートし、現在は企業間のギフト用にGoody+というウェブサイトも展開している。Goody+は4月にサービスを開始して以来、1000社以上の企業が利用している。

この11ヵ月間、同社は好調で、2021年3回目のラウンドを迎え、共同創業者兼CEOのEdward Lando(エドワード・ランド)氏が「ステップアップ」と呼ぶ1500万ドル(約17億1900万円)の資金を、Lantin America Fund(ラテンアメリカファンド)を通じてSoftBank(ソフトバンク)から調達した。

「2021年初めにNEAから1310万ドル(約15億円)のシリーズAを調達し、Index(インデックス)から400万ドル(約4億5000万円)のシードラウンドを調達した後、我々には十分な資金がありました」、ランド氏はTechCrunchの取材に対し語った。「チームに資金を投入しましたが、多くの関心が寄せられていました。また、ホリデーシーズンはeコマース企業にとって大きなイベントですので、完全なシリーズBは行わず2022年に行うことにし、拡大のために高い条件で資金を調達することにしました」。

短期間で約3200万ドル(約36億6800万円)を調達したGoodyは、今後のブランドとの提携を含め、法人向けギフトの既存製品、機能、サービスの拡大に注力している。新機能の中には、アプリ内で誕生日のリクエストをすると、ユーザーにポイントが付与されるというゲーム性のあるものもある。

消費者向けアプリとデスクトップツールを合わせて、2021年の第2四半期から第3四半期にかけて5000%の成長を記録しており、ランド氏は9月と10月に送られたギフトの量が615%増加したと述べている。

「Goodyへの投資には期待しています」、SoftBank Lantin America FundのマネージングパートナーであるShu Nyatta(シュウ・ニャッタ)氏は、書面による声明で述べた。「企業向けのギフトや従業員のエンゲージメントには、多くの空白があります。このスペースに消費者レベルの楽しいアプローチを提供するチームを見るのはとてもエキサイティングです。私たちは、Goodyが米国だけでなく、ラテンアメリカでもサービスを拡大できるよう支援していきたいと思います」。

Goodyは、2420億ドル(約27兆7400億円)の市場規模があると推定されているギフトサービス、特に法人向けのギフトサービスに資金を集めた最新の企業だ。2021年これまでに、Reachdesk(リーチデスク)が4300万ドル(約49億円)、Sendoso(センドソ)が1億ドル(約114億円)、Alyce(アリス)が3000万ドル(約34億円)を調達している。

ランド氏は、2022年までにGoodyを「米国における主要な雇用者の幸福とエンゲージメントのプラットフォーム」のレベルに押し上げるために、このパイの大きな部分に食い込もうとしている。また、フランスで育った彼は、ラテンアメリカに加えて、他の国での展開も視野に入れている。

 

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

ギフトを贈るモバイルアプリ「Goody」がホリデーシーズンに合わせさらなる資本を獲得

Goodyの共同創業者兼CEOのエドワード・ランド氏(画像クレジット:Goody)

ギフトを贈ることは必ずしも簡単ではないが、Goody(グッディ)は、それをテキストを送るのと同じくらい簡単にしたい。

マイアミを拠点とする同社は、2020年12月に、ローブからクッキー、多肉植物、スパトリートメントまで、厳選されたギフトのリストとともに始まった。必要なサイズを知らなくてもギフトを選ぶことができ、受け取った人はサイズや種類を選んだり、同じような価格のギフトと交換したりすることができる。

Goodyのアプリ画面(画像クレジット:Goody)

Goodyは消費者向けのアプリとしてスタートし、現在は企業間のギフト用にGoody+というウェブサイトも展開している。Goody+は4月にサービスを開始して以来、1000社以上の企業が利用している。

この11ヵ月間、同社は好調で、2021年3回目のラウンドを迎え、共同創業者兼CEOのEdward Lando(エドワード・ランド)氏が「ステップアップ」と呼ぶ1500万ドル(約17億1900万円)の資金を、Lantin America Fund(ラテンアメリカファンド)を通じてSoftBank(ソフトバンク)から調達した。

「2021年初めにNEAから1310万ドル(約15億円)のシリーズAを調達し、Index(インデックス)から400万ドル(約4億5000万円)のシードラウンドを調達した後、我々には十分な資金がありました」、ランド氏はTechCrunchの取材に対し語った。「チームに資金を投入しましたが、多くの関心が寄せられていました。また、ホリデーシーズンはeコマース企業にとって大きなイベントですので、完全なシリーズBは行わず2022年に行うことにし、拡大のために高い条件で資金を調達することにしました」。

短期間で約3200万ドル(約36億6800万円)を調達したGoodyは、今後のブランドとの提携を含め、法人向けギフトの既存製品、機能、サービスの拡大に注力している。新機能の中には、アプリ内で誕生日のリクエストをすると、ユーザーにポイントが付与されるというゲーム性のあるものもある。

消費者向けアプリとデスクトップツールを合わせて、2021年の第2四半期から第3四半期にかけて5000%の成長を記録しており、ランド氏は9月と10月に送られたギフトの量が615%増加したと述べている。

「Goodyへの投資には期待しています」、SoftBank Lantin America FundのマネージングパートナーであるShu Nyatta(シュウ・ニャッタ)氏は、書面による声明で述べた。「企業向けのギフトや従業員のエンゲージメントには、多くの空白があります。このスペースに消費者レベルの楽しいアプローチを提供するチームを見るのはとてもエキサイティングです。私たちは、Goodyが米国だけでなく、ラテンアメリカでもサービスを拡大できるよう支援していきたいと思います」。

Goodyは、2420億ドル(約27兆7400億円)の市場規模があると推定されているギフトサービス、特に法人向けのギフトサービスに資金を集めた最新の企業だ。2021年これまでに、Reachdesk(リーチデスク)が4300万ドル(約49億円)、Sendoso(センドソ)が1億ドル(約114億円)、Alyce(アリス)が3000万ドル(約34億円)を調達している。

ランド氏は、2022年までにGoodyを「米国における主要な雇用者の幸福とエンゲージメントのプラットフォーム」のレベルに押し上げるために、このパイの大きな部分に食い込もうとしている。また、フランスで育った彼は、ラテンアメリカに加えて、他の国での展開も視野に入れている。

 

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

Z世代が安心して少額寄付を行えるようにするソーシャルメディアWishly

米国時間11月16日、社会的責任に焦点を当て、Z世代の視点から資金調達のあり方を変えることを目指す新しいソーシャルメディアプラットフォームWishly(ウィッシュリー)が、120万ドル(約1億4000万円)を調達したことを発表した。同プラットフォームは、消費者ブランド、慈善活動家、非営利団体の活動が交差する興味深い地点を目指している。その願いは、ソーシャルメディアの力を利用して、社会に貢献することだ。

このアプリは、経験豊富なソーシャルインパクトマーケターであり、非営利団体の資金調達者であり、管理者でもあるJoanne Gonzalez-Forster(ジョアン・ゴンザレス=フォースター)氏とJustine Makoff(ジャスティン・マコフ)氏の2人によって作られた。彼らは、Z世代の楽観主義と利他主義を受け入れ、人びとが団結し世界に真のポジティブな変化をもたらすことができるソーシャルプラットフォームの必要性を感じていた。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やBlack Lives Matter(ブラックライブスマター)への支援が爆発的に増えた2020年初頭、私たちは子どもたちやその友人たちがソーシャルメディアを使って、フォロワーに行動を起こさせたり、自分たちが気にかけている活動に寄付をさせたりしている様子を目の当たりにしました」と、共同創業者でCEOのジョアン・ゴンザレス=フォースター氏は語る。「しかし彼らにとって、非営利団体を見つけて吟味したり、少額の寄付をして友人にも参加を促すような簡単な方法はありませんでした」。

同社は、Pelion Venture Partnersの創業パートナーであり、現在は引退しているJim Dreyfous(ジム・ドレイファス)氏や、ソーシャルインパクト投資家であるJoshua Mailman(ジョシュアメールマン)氏などの、名のあるエンジェル投資家を集めることができた。この2人は、2020年に40万ドル(約4570万円)のプレシードラウンドに投資したあと、現在のシードラウンドに80万ドル(約9140万円)を投資するために他の投資家を連れて戻ってきてくれたのだ。

ゴンザレス=フォースター氏は「Z世代やミレニアル世代の子どもたちが何をしてくれるのか、私たちはとても楽しみにしています。機会はたくさんありますし、世界にはやるべきことがたくさんあります。毎日のように自然災害が起きていますし、たくさんの社会的な動きがあります。私たちは彼らが、つまり今の若い世代が、小さな行動で世界にポジティブな影響を与えることができるようにWishlyを作りました」という。「『慈善家』をGoogle検索しても、ビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾス、ウォーレン・バフェットといった人たちの写真は出てきますが、若い人の顔は出てきません。私たちはそれを変えたいのです。さまざまな色や形、そして大きさの若い顔を見たいのです」。

同社のビジネスモデルはシンプルで、プラットフォーム上で調達した資金の5%を得るというものだ。また、Wishlyは、プラットフォームに掲載されるすべての非営利団体をしっかり精査する。

「私たちはIRS(米国国税庁)から、登録されているすべての501c3団体(課税を免除される非営利団体)のリストを入手しており、それらの団体はすでに私たちのプラットフォームに登録されていて、それらの団体向けの寄付を受け付けることができます。ゴンザレス=フォースター氏は「非営利団体がアプリ上でプロフィール掲載を要求したら、それを合図にその団体の審査を始めます」という。「私たちはIRSの検索ツールを使って、彼らがIRSと良好な関係にあるかどうか、つまり3年連続できちんと税金を申告しているかどうかを確認します。また、Charity Navigator(チャリティーナビゲーター)やBetter Business Bureau(ベタービジネスビューロー)をチェックしたり、Googleでその非営利団体に関する詐欺や訴訟、誤解を招くような情報がないかを確認したりします。世の中には悪質なチャリティがたくさんあるのです」。

このアプリは現在、iOSAndroid上で提供されているが、チームによれば、このプロダクトは近日中に予定されているより一般的なローンチまでは、基本的に親しい者向けのステージだという。

画像クレジット:Wishly

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)

中国が独占するEV用電池の鉄系正極材料製造を目指すMitra Chem

Mitra Chem(ミトラ・ケム)の名称で知られるMitra Future Technologies(ミトラ・フューチャー・テクノロジーズ)は、億万長者の投資家Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏が創立したSocial Capital Holdings(ソーシャル・キャピタル・ホールディングス)が主導する2000万ドル(約23億円)のシリーズA資金調達を実施した。このスタートアップ企業は、中国以外向けの鉄系正極材料を製造することで、現在、中国が独占している北米のバッテリーサプライチェーン業界を活性化することを目指している。

今回のラウンドには、台湾の億万長者Richard Tsai(リチャード・ツァイ)氏、Fontinalis Partners(フォンティナリス・パートナーズ)、Integrated Energy Materials(インテグレーテッド・エナジー・マテリアルズ)、Earthshot Ventures(アースショット・ベンチャーズ)も参加した。また、かつてTesla(テスラ)でグローバル・サプライ・マネジメントを担当しており、現在はロケット打ち上げ企業のAstra(アストラ)でサプライチェーン担当VPを務めるWill Drewer(ウィル・ドリューリー)氏が、パリハピティヤ氏とともにこのスタートアップの取締役会に加わることになった。

鉄系電池は、特に中国の企業が独占的に製造できる特許を取得していたため、もっぱら中国で主流になっており、欧米ではニッケル系電池が普及していた。しかし、これらの特許が間もなく切れることから、鉄系電池は自動車メーカーにとってますます人気の高い選択肢となりつつある。Tesla(テスラ)は最近、安価な鉄系電池を、全世界向けのModel 3(モデル3)とModel Y(モデルY)に標準搭載することを認めた

自動車メーカーで鉄系電池の採用が進む一方で、問題となっているのが中国の優位性だ。「これは大きなアキレス腱です」と、Mitra Chemの共同設立者兼CEOであるVivas Kumar(ヴィヴァス・クマール)氏は、最近のTechCrunchによるインタビューで語っている。

このサプライチェーンにおけるギャップを埋めるために、同社は中国以外のバッテリーに適用できる鉄系正極材料の製造を計画している。テスラでバッテリーサプライチェーン担当チームに所属していたクマール氏によると、鉄系材料を採用するという決定は、単に地政学的な問題のみならず、特に自動車メーカーが、消費者の幅広いニーズを満たすために、さまざまなモデルのEVを発売することによって、EV用バッテリーに対する市場の需要が高まっていることに応じるためだという。

「バッテリーが自動車に使われている部品の中で最大のものであり、電気自動車の性能を決定する部分でもあることを考えれば、用途別の差別化が必要になるのは時間の問題でした。現在、市場で使用されている単一サイズですべてに合わせる正極材料のソリューションだけでは対応できなくなります」と、クマール氏はいう。

特に、General Motors(ゼネラルモーターズ)やFord(フォード)を含む北米の自動車メーカーが、電池メーカーと提携して電池セル工場を米国内に構えることを次々と発表する中で、米国に垂直的なサプライチェーンのハブを作ることは、ビジネス的にも意味のあることだと同氏は付け加えた。

Mitra Chemは現在、カリフォルニア州マウンテンビューに研究施設を建設中で、2022年半ばまでにプレパイロット生産が可能になる予定だ。同社は共同創業者でスタンフォード大学の材料科学教授であるWill Chueh(ウィル・チュエ)氏が先駆けて開発した機械学習プロセスを採用し、この鉄系正極材料を研究所から生産規模まで、他社よりも早く実現すると述べている。

業界情報会社のBenchmark Mineral Intelligence(ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス)によると、原材料の精製から必須部品の製造、最終的なリチウムイオン電池セルの生産に至るまで、中国はサプライチェーンのすべての段階において、電池業界最大のプレイヤーであるという。

ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスが「リチウムイオン電池の中核を成す部品」と呼ぶ正極や負極などの部品の生産量は、世界の約66%を中国が占めている。また、中国は大規模な電池工場の計画数も最も多く、2030年までに計画されている200施設のうち148施設が中国にあることが、同社の調べで分かった。

クマール氏は、現在の電池サプライチェーンの状況を、歴史的な米国の石油に関する立場に例えながら次のように述べている。

「75年間、米国は石油の純輸入国であり、そのエネルギー面における不利益は、米国の消費者や、時には敵対する他国との関係にも大きな影響を与えてきたことを忘れてはなりません」と、同氏は語る。「今も同じことが起きています。(中略)北米にサプライチェーンのようなものがなく、100%外部に無防備な状態であるということは、過去に石油に関して無防備な状態であったのと同じことになります」。

画像クレジット:ChargePoint

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動車フリマ「カババ」を運営するアラカンが資金調達、累計調達額が4億円に到達

面倒な手続きなどをプロが完全代行する自動車フリーマーケット「カババ」を運営するアラカンは11月15日、シリーズAラウンドにて第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は三菱UFJキャピタル、Z Venture Capital 、名古屋テレビ・ベンチャーズ。累計調達額は4億円となった。調達した資金は、関東・関西・中部エリアにおける人材投資、認知度向上のためのプロモーションの強化へあてる。

カババは、車を売りたい人と買いたい人をマッチングするプラットフォームサービス。ネット上のみで完結するほか、自動車の個人間売買における鑑定ほか面倒な手続きなどを完全代行することで、車を売りたい人・買いたい人の双方にメリットを提供するという。

車を売りたい人のメリット

・面倒な手続きはプロが完全代行
・手数料は一切かからない
・相手(買手)と会わずに完結できる

車を買いたい人のメリット

・価格も品質も全車、プロが鑑定済み
・個人売買なのに、ローンでも購入可能
・相手(売手)と会わずにネット上のみで完結

アラカンによると、店舗や常駐営業スタッフなし、在庫リスクなしという仕組みにより固定費を最小限に抑えており、買い手の手数料を安価に設定しているという。

LINEアプリからスクールランチを予約注文、福岡拠点の給食スタートアップPECOFREEが総額6100万円の資金調達

LINEアプリからスクールランチを予約注文できるサービス「PECOFREE」(ペコフリー)を開発・運営するPECOFREEは11月15日、資金調達を行なったことを発表した。引受先はSun Asterisk、RKB毎日放送、テノ.ホールディングス。また9月に実施したNCBベンチャーキャピタルからの資金調達と合わせて、総調達額は6100万円となった。調達した資金は、システム開発、サービス認知拡大のためのマーケティング、人材採用の拡充に充てる。

PECOFREEは、学校で食べる食事をスマートフォンで予約注文(モバイルオーダー)できるサービス。学校単位での導入が可能。栄養士が監修した献立の弁当を毎日3種類用意しており、生徒が食べたいものを前日までにLINE上のLINEミニアプリで選択・予約注文すると、学校内に配置された受け取り・返却ボックスに当日配送を行う。

価格は1食(弁当)あたり税込450円(価格変更可能)で、支払いは保護者がチャージしたポイントから行なわれる。アプリからの注文は、学校が配布するログインコードをLINEアプリに入力するだけで誰でも開始できる。氏名や連絡先などの個人情報、さらに支払時のカード情報はシステムに保存されないため、保護者としても安心して利用できるとしている。

2021年2月設立のPECOFREEは、福岡を拠点とする給食領域のスタートアップ。「お腹を空かせた(ペコペコ)学生へ自由(フリー)な食事を!」をスローガンに、全国の高等学校を対象とした高校生のための給食(お弁当)モバイルオーダーサービスとして、2021年4月より同サービスを開始した。

リリース後、高校以外にも幼稚園・小中学校、専門学校、大学、塾などから問い合わせがあるという。現在は小学校学童施設、専門学校などを含めて県内外を含め約70校以上の導入が決定しており、学校寮の朝食・夕食の提供や自治体、市の給食への導入検討も進めているそうだ。

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達動画を活用したインフォームド・コンセント支援システム「MediOS」(メディオス)を提供するコントレア(Contrea)は11月16日、プレシリーズAラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権発行による総額1億4000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先はCoral Capital、千葉道場ファンド、個人投資家。調達した資金は、システムおよび動画コンテンツの開発強化、営業・マーケティング体制の強化にあて、2024年の医師の働き方改革に向けた医療現場のDXを推進する。

インフォームド・コンセント(医療従事者が患者に診療目的・内容を説明し患者の同意を得ること)の内容には、病気の概要や治療方法、合併症など前提となる知識を伝える「講義」の部分と、患者の気持ちのサポートや意思決定の支援、質疑応答などの「対話」の部分にわけられるという。

医師はどちらも口頭で説明するものの、医療知識を有さない患者への説明では多くの時間を要するため、がんなどの場合では1時間以上かかることも少なくないそうだ。その結果、厚生労働省の調査では医師の時間外労働の発生原因の第3番目に「患者への説明対応」が挙がるなど、全国的な課題として顕在化している。

一方、患者側は時間をかけて説明を受けても、「講義」の部分は専門性が特に高く一度で理解することは容易ではない。「対話」の部分にたどり着く頃には頭が「パンク」していることがあり、その場では質問が浮かばずに帰宅してから聞きたいことが出てくることもある。コントレアは、インフォームド・コンセントにおいて、医師・患者の双方に課題があると指摘する。

同社のMediOSは、「講義」ではなく、患者との「対話」に注力できるようにするための、医師・患者間のコミュニケーション支援システムという。病気の概要や治療方法・合併症などの「講義」に該当する部分は患者個別性が少なく、医師にとっては標準的で繰り返しの説明となるため、MediOSが「講義」部分をアニメーションを用いた動画でサポートする。

病気概要など医師の定型説明箇所を動画で効率化するインフォームド・コンセント支援クラウドのコントレアが1.4億円調達

医師は、患者の病状や治療法に応じて動画を組み合わせることで、患者ごとにカスタムされた動画を発行できる。また患者側は、医師から発行された動画を自分の都合のいい場所・時間に何度でも繰り返し視聴可能だ。さらに、システム内において事前に質問を登録できるため、医師への質問や疑問点の伝え忘れを防止できる。患者の自宅や病院内の待ち時間などでMediOSを利用することで、診察室を拡張可能としている。

患者の理解度が高まった状態で医師との対面の説明にのぞむことで、医師の「講義」の効率化、またより本質的な「対話」に注力できるようになり、信頼関係の強化にもつながるという。コントレアは、これまで人力に頼っていた領域にデジタルのエッセンスを加えることで、医療現場の効率化と患者エンゲージメント向上を両立できるプロダクトを目指しているとした。

MediOSは2021年1月にβ版をローンチし、大学病院を始めとした200~700床の病院で導入済みという。導入効果として医師の説明時間が患者1人あたり33%短縮された。また、高齢者が多い中にあっても7割以上の患者が自力で動画視聴を完了し、理解度も4.6点(5段階中)を取得するなど、医師および患者の双方に効果が出ているそうだ。

セキュリティスキルをゲーム化して教える英Immersive Labsが米Snap Labsを買収、気候変動も考慮して

サイバーセキュリティのスタートアップであるImmersive Labs(イマーシブラブズ)は、最近7500万ドル(約85億6000万円)のシリーズCラウンドをクローズして相当な資金を獲得したが、同社は「数百万ドル(数億円)規模」の株式と現金を組み合わせた非公開の取引で、米国のサイバースタートアップSnap Labs(スナップラブズ)を買収するとのこと。Snap Labsは、今回の買収以前にはベンチャー資金を調達していないことがわかっている。

最新のサイバー脅威インテリジェンスを「ゲーム化」して企業の従業員にサイバーセキュリティのスキルを教えるImmersiveは、今回の買収により、組織が社内でサイバー知識を身につけることを支援するための新たな力を得られるとしている。

サイバーセキュリティは技術チームだけの問題ではなく、会社全体のビジネスクリティカルな問題へと変化しているため、Immersiveのアプローチは、国際的にも多くの新規ビジネスを獲得しているようだ。一方のSnap Labsは、現在Accenture(アクセンチュア)、Mandiant(マンディアント)、CrowdStrike(クラウドストライク)と提携しており、米国での実績も十分にあるため、Immersiveのサービスを大幅に強化することになるだろう。

Immersive LabsのJames Hadley(ジェームズ・ハドリー)CEOは次のように述べている。「Snap Labsの買収により、お客様は、直面するリスクにピンポイントで対応した詳細でリアルな体験を通し、より優れたサイバー人材を育成することができます」。

ペンシルバニアを拠点とするSnap Labsは、共同創業者のChris Myers(クリス・マイヤーズ)氏とBarrett Adams(バレット・アダムス)氏によって2016年に設立された。

マイヤーズ氏は「2つのプラットフォームは自然にフィットしており、組み合わせることで、お客様がサイバー脅威に対する耐性をさらに高められるよう支援できると期待しています」と述べている。

また、これには気候変動に関する側面もある。Snap Labsは「エラスティックコンピューティング」を採用している。これは、サーバー上で仮想環境を継続的に稼働させて電力を消費するのではなく、使用するときだけ仮想環境を起動し、使用しないときは直ちにシャットダウンするというものだ。これは、各サイバー攻撃シミュレーションのカーボンフットプリントにプラスの影響を与え、全体としても大きな影響を与える。

ハドリー氏は筆者との通話で次のように語った。「Snap Labsの技術を利用することで、企業が自社のネットワークを仮想的に再現するなど、非常にクールなことが可能になります。お客様は複雑な規模の独自ネットワークを構築し、複製することで、マルウェアやペネトレーションテストに対するチームの戦闘力を試すことができるようになります」。

Immersive Labsは、英国の退役軍人を対象にサイバー職業訓練を行うTechVetsという慈善団体を無料で支援している。

画像クレジット:Chainarong Prasertthai / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)