SENRIがアジア・アフリカ新興国の小売店向け受発注プラットフォーム「SENRI Direct Order」を正式ローンチ

SENRIは10月1日、アジア・アフリカの新興国の小売店向けの受発注モバイルプラットフォーム「SENRI Direct Order」を正式にリリースしたことを明らかにした。

SENRI Direct Orderは、WhatsAppのミニアプリ版とウェブ版を組み合わせることで、新興国での流通のデジタル化を支援する。具体的には、WhatsApp経由の発注サイトへの誘導・プロモーションやWhatsAppを活用したチャットボットでの配送状況通知などが可能だ。ウェブ版では、小売店の発注業務を可能にし、プロモーション情報などを受け取れるメーカー別の発注サイトを提供する。

同サービスは、2020年10月現在、ケニア、ナイジェリア、ウガンダ、タンザニア、インドネシアの計5カ国で累計150社以上への導入実績があるそうだ。月間総取引額は約12億円に達しており、月間アクティブユーザー数は対前年比2.7倍と急成長しているという。

SENRI Direct Orderの特徴は、現地の通信環境やスマートフォンのスペックに合わせた仕様に最適化している点だ。ネットの速度が遅く不安定で、スマートフォンなどの処理スペックが低くても、利便性を損なわない作りになっている。具体的には、これらの条件下でも確実にデータを同期できる仕組みを構築しているとのこと。

また、SAPなどのERPとの接続はもちろん、ケニアや南アフリカで拭く湯しているmPesaモバイル決済システム、チャットアプリのWhatsApp、Google Data StudioなどのビジネスインテリジェンスツールとAPI連携が可能だ。

さらには現地にカスタマーサクセスチームを置いており、ITの知見がない営業マネージャーや営業担当者に対してもサポート対応が充実している点でもアドバンテージがある。

SENRIは2015年8月設立のスタートアップ。本日2020年10月1日に旧社名アフリカインキュベーターから社名変更した。関連会社として、ナイジェリアにSenri Ltd、ケニアにAfrica Incubator Kenya Ltd、ウガンダにAfrica Incubator Uganda Ltdがある。

新型コロナ隔離者の日記、中国から米国、そして中国への逃避行

【編集部注】TechCrunchのライターであるRita Liao(リタ・リャオ)の中国から米国、そして中国への帰国の旅は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界中で発生する何カ月も前に計画されていた。パンデミックによって、単なる帰国は大変な印象に残る旅になった。記事には彼女が移動した場所には触れられているが、ストーリーの本題に集中するためその詳細は省く。

焦点は、新型コロナウイルスの感染規模が拡大するなか、移動とともに世界の展望と見通しが変化する様子をユニークな視点で見ることができたことだ。この期間の日記をここに掲載することで、読者に主観的な視点の一部を伝える。当然ながら、(テック業界で働いているかどうかにかかわらず)現在のあらゆる人の生活に関係しているテクノロジーを、この記事では切り口にしている。アプリは、実際に人と会うことができないときに我々をつなぎ、物事を進めるうえで不可欠なものになっている。各国政府は事態の追跡にテクノロジーを慌てて使用している。驚くべきことに、最も一党独裁主義的だと考えられた対策でも危機には十分ではないのだ。結局、我々の情報すべてはインターネットからくるのだから。

14日にわたる中国での隔離は、午前1時に核酸検査のために街外れまで連れていかれるなど、想像を絶したものだった

出発

3月13日夜、フィラデルフィアから中国へ帰国するフライトの前夜、滞在していたAirbnbのホストが私の部屋にお別れを言いに来た。私は多数のマスクやハンドジェル数個をスーツケースに詰め込んでいたところだ。2月初旬、米国に到着してすぐ新型コロナウイルス感染防止のために買いだめしたものの残り。中国で生産がハイピッチで行われるようになったので、中国の家族に持ち帰ろうと思っていたもののほとんどを米国の友人や親戚に譲っていた。

3月初めにこの家に着いた際、細身で快活な50代初めの植物学者のホストにもこれらの防御グッズが必要かどうかを聞いた。彼女は穏やかに微笑んで、自分は心配していないと言った。フィラデルフィアにはほとんど感染者は出ていなかったし、彼女はマスクは使ったことがないらしい。

丁寧に断りながら彼女はこう尋ねた。「マスクをすると病気だと思われるわ。アジアの人はどうしてマスクをするの?」。

一般の人にマスクが必要かどうかについては賛否両論があると説明した。新型コロナウイルスの伝染を防ぐためには効果があるというのが合意の下にあるのだと。西洋の衛生当局者は長らく、患者または感染者と接触のある人だけに着用を推奨していたが、最近米国では公の場ではあらゆる人にマスクを着用するよう勧める動きが出てきた

アジアでは、新型コロナの発生以前からマスクの風習があった。 この病気の潜伏期間は27日間にもなる場合があり、多くの人が気づかないうちにキャリアになる可能性があることから、マスクの着用が他の人を守る結束の表れになった。中国の都市では、すでに公共の場でのマスク着用が義務付けられていた。私にとって、マスクは気休めでもあり顔を触らないためにも役立っていた。

1週間のうちに感染は全米で急速に拡大し、フィラデルフィアにも新たに何十人かの感染者が報告された。あらゆる大規模なイベントは中止され、私のホストも何件かのキャンセルの被害にあっている。

防御グッズがいらないか、もう一度彼女に聞いてみることにした。「ありがたくいただくわ。ハンドジェルを持ってないし、 マスクも持ってないの」。今回は目を輝かせて答え、こう尋ねた。 「でも、どうやって着けるの?」。

グッズを渡しながら、自分がコロナウイルスから逃れようとするのは2回目であることに気が付いた。数カ月前、今回の米国旅行を計画しているときは、それが2回もの大脱出になろうとは想像もしていなかった。最初は病気の感染が広がり始めている中国からの脱出、そして同様の危機が起こり始めようとしている米国からの脱出だ。

第1~2週:パラレルワールドでの恐怖

50日ほど前に米国に旅立つ際、私は不安で落ち着きをなくしていた。 客観的に考えれば、私が新型コロナに感染する可能性は低い。効果的な対策をいち早く講じた台北のような被害の少ない都市にいたし、香港発のフライトの99%の乗客はマスクを着けていた。しかし、出入国管理の突然の変更や、予告なく行われたフライトキャンセルなど、伝染病の流行によって引き起こされた不透明な出来事が重なることで、私の不安も高まっていた。

到着地のテキサスは不気味なほど普通だった。2月下旬に米国初の市中感染が報告される3週間前のことだ。入国審査では予想していた検査はなかった。体温チェックも、最初の新型コロナウイルス発祥地の中国の都市、武漢にいたかどうかの質問もなかった。 安心すると同時に、機内で着けていたマスクを捨てた。「ここは安全だ」と自分に言い聞かせた。マスクを外した理由の多くは、この地にはマスクに対する偏見があるためだったが、マスクをしていない人たちを見ることで安心感を得ようとしていた。

この安心は長くは続かなかった。実際この時から8週間、私は理性と妄想の間で揺れ続けることになった。

宿泊させてもらうはずの親戚と友人は、私を泊めることができなくなっていた。 彼らの雇用主はどちらもアジア系で、テキサス州にはそのような規制はなかったものの、中国からの訪問者と接触のある従業員に14日間の自己隔離を義務付ける新しい規則が言い渡されていた。

3月上旬、クリーニング用品が品切れになったテキサス州プレイノのコストコ。この時点での州全体の新型コロナ発生件数は1件。 この地区には多数のアジア系の人が住む(写真: TechCrunch)

厳密には、私は自由に外出できたが、現地の中国人コミュニティ内に存在する恐怖は明白だった。 祖国から離れている人々の気持ちを祖国につなぐためのデジタルツールは、国外の現実から引き離すものにもなった。 WeChatからの恐怖をあおる多量の投稿を見て、多くの中国人移民は、米国で大規模な流行が報告されるずっと前から日用品の買いだめを始めていた。 チャイナタウンはゴーストタウンと化した。中国にいる母は、米国ではアジア系の人しかマスクをしていないことを聞くと縮みあがり、マスクをするように、人込みを避けるように、というメッセージを連日送ってきた。

私が従ったのは後者のメッセージ、人込みを避け、自主的に14日間、他の人との距離を取ることだけだった。感染を恐れてのことではなく、無症状感染者として他の人を感染させるのでは、という妄想にかられていたからだ。この伝染病を理解するための情報をむさぼる行為は不安を強めることにしかならなかった。ここで体験した沈黙は、コロナウイルスがすべての人類にもたらした大きな不確実さの中での孤立と同様に、耐え難いものだった。

第2~5週:折り合いを付ける

2週間後、ついに人との接触を再開することを決めた私は、礼儀として自分が中国から来たことを人々に明かした。人々の反応はさまざまだった。

ほとんどの米国人の友人は中国の状況に同情を示し、私が安全な場所にいることを喜んでくれた。高齢者と同居している現地の歯科医は、21日後までは診察できないと言った。新型コロナの症状がでるまでに最長で21日間かかるという。 米国在住の中国人の友人の何人かは、疫病からの脱出を祝福するジョークを飛ばした。脱出のために来たのではないが、実際私はラッキーだった。50代の中国人の知人は握手を避け、米国に来て何日経つかを恐る恐る聞いてきた。

私を疑いの目で見る人のことは気にしないように努めた。 彼らの反応は生き残るための本能に過ぎないのだから。中国での感染の拡大に伴って信頼も損なわれていった。隣人たちはおしゃべりをやめ、エレベーター内でくしゃみをする人はひんしゅくを買った。 仕方ないことだが、こうしたちょっとした態度の変化が長期的には人との関りや精神衛生に打撃を与える可能性があるだろう。

この時点で、私は自分はおそらく感染していないと思った。 テキサス州が正常に機能していたこともあり、閑散とした並木道を他の人と距離を取りながら歩くことができた。 平静を取り戻したところで、米国旅行の2番目の目的地、フィラデルフィアに移動した。私は中国語で書かれたこの伝染病に関する記事の山をむさぼるように読み始めた。ウイルスの暗闇の中に一縷の望みが見いだせればと思っていた。

室内に閉じ込められた中国の人々は、難しい問題を熟考せざるを得なかった。それは離婚率の増加など、意図しなかった結果を招いた。例を見ない数の市民活動や、今回の危機に端を発する討論は、多少の慰めになった。一般の人が病気と闘うストーリーが党や市民のジャーナリストによって鮮明に語られた。内部告発者の李文亮氏の死は、インターネット上で類を見ない怒りを生み出した。もう1つ興味深いことは、インターネットユーザーが暗号を使って検閲されたインタビューを急いで保存したことだ

中国当局に対する異例の集団抗議運動は、瞬く間に断片化されたデジタルの世界に姿を隠した。中国の強硬な封鎖が実質的な効果を見せ始めると、オンラインユーザーは国の緊急時対策をいち早く声高に賞賛し始めた。一部の人はモバイルゲームや動画のストリーミングなどの気晴らしに没頭することで時間をつぶした。この間、学校や企業は、民間のテック企業によるITサポートの下、デジタル技術を駆使して再開されようとしていた。

人民の活力を維持するため、新型コロナ危機の中働く中国のフードデリバリーグループ美団のスタッフ(写真: Meituan(美団)

オフラインの世界でも中国は通常に戻りつつあった。 実店舗は再開を許可され、移動の制限は全国で緩和された。 人々は徐々に自宅から出始め、警備員の目の届かないところではマスクを外して新鮮な空気をこっそりと吸い込むのだった。

日常生活にそれほど変化がない人にとっても、生活はより不確かなものになった。 高収入を得られる職業に就いている人は仮想会議に出席したり、テレワークブームの恩恵を受けたりする一方で、サービス、製造、物流業界で働く人々は自宅にいるわけにはいかず、人々の生活を守るために昼夜を通して働いていた。おそらく彼らには有給休暇はなく、多くは企業健康保険も持たない。今回の健康危機は、格差を浮かび上がらせることにもなった。

第6週: 安全を求めることの代価

中国行きフライトの出発ゲートにたどり着くやいなや、中国が近いことが肌で感じられた。群衆は一様に何らかの予防対策を顔に装着していた。私はまだだった。何週間にもわたるマスクのない環境に慣れ、シカゴでの乗継時には着用の必要性を感じていなかった。他の人との距離を保つことだけは注意していた。香港と中国本土への乗客以外には、空港ではマスクを着けている旅行者はほとんど見られなかった。

それでも、私も一致団結の精神にのっとりマスクをつけた。しかし他の人の防御手段は、私を恥じ入らせるほどのものだった。多くの人は医療用手袋をはめ、研究室用の保護ゴーグルを装着している人もいる。中にはプラスチックのポンチョをかぶり、自分で触った物を消毒してまわっている。マスクの片耳を外して水を飲んだ私は悪いことをしたような気になった。機内食を食べるなどもってのほかだ。

他の人の防御手段に圧倒されただけではなく、それぞれが入手したマスクの違いにも興味を引かれた。丈夫だが入手が困難なN95マスクには法外な値段を払わなければならない。ほとんどの人はより安価な医療用マスクをしているが、これも供給者にコネがなければ入手は困難になってきている。スポンジマスク、イラスト付きの洗える布マスク、果てには自作のオシャレなショールのようなものなど、効果が定かではないものを着けている人もいた。2002年にSARSが流行した時には、私もハローキティのマスクを着けて小学校に通ったものだった。

フライトも防御格差を見せる小宇宙となった。ファーストクラスでは乗客同士は安全だと言われる距離を保って席に着くことができ、窮屈なエコノミーの乗客は伝染病が大流行する最中に飛行機に乗るリスクと、安全だと思う国への帰国のメリットを天秤にかけたのだった。

飛行機の席を確保できたことさえ恵まれたことだった。 航空会社はいずれも渡航禁止令による影響を受けていたものの、大規模な政策変更の前後には、需要が一時的に急上昇する可能性があった。新型コロナを世界的パンデミックとするWHOの宣言を受け、世界中の学校がオンラインでの授業に移行し、学生寮は閉鎖され、海外留学生は自国へ帰るように促された。 航空券の値段は急騰した。 帰国を希望しながら、その値段を支払えない人は取り残されることになった。

第7週:不確実さとの闘い

新型コロナを持ち込まないための中国入国時の健康検査(写真: TechCrunch)

飛行機が地球を横切っている間、新型コロナの中心地は国外に変遷し、私の地元の深圳市では海外からの感染の流入を防ぐため、4カ国からの入国者への強制隔離を8カ国に拡大した。これには米国も含まれていた。

午後8時、深圳の税関検査は病院の待合室の様相を呈し、何百mにも伸びた列はほとんど動いていないようだった。 コロナウイルスの感染者を検出するための検査が行われていた。この最新の政策は正式には発表されておらず、多くの旅行者はまだ家族が到着ゲートで待っているものと思っていた。イライラと混乱が、強烈な蛍光灯に照らされるホールに充満した。 全員へのウイルスのテストは入国時なのか、あとで隔離場所でされるのか?外国人も無料でテストを受けるのか?隔離には料金の支払いが必要なのか?

入国審査官すら詳細を知らなかった。中国の封鎖対策はウイルスの拡大と同様に流動的だった。帰国者の波は国の医療リソースを急速に圧迫し、隔離施設に姿を変えた格安ホテルを満員にした。

午前1時、やっと私の体温チェックの順番が来た。旅行履歴や健康状態など、同じような質問が書かれた異なる政府機関用の十種類ほどの書類に記入した。優れた技術力を誇っているはずの中国で、なぜこのような面倒な作業がまだデジタル化または合理化されていないのか?国民を監視するリソースが、政府の他の優先事項に回っているのか?

私は疲れ果てていたが、私を検査した税関職員は私より疲れているようだった。12時間を超えるシフトによる疲弊は明らかだった。防護具を全身につけてはいるものの、彼はマスクが鼻の下にずれているのに気が付かないようだった。

「あなたはいつ家に帰れるの?」と私が聞くと、「さあ。帰国者はこんなにいるんだよ。また中国で大流行を起こすわけにはいかない。今は働くしかない」と何でもないことのように答えた。

私の書類が整うと、国境を超えることができた。 直ちに中国はテキストメッセージで私の入国を祝福し、公安部への登録が促された。通信事業者からのロケーションデータで、私が最近「感染の被害が甚大な」米国にいたことが示されているからだ。 ウイルスの蔓延は、個人を監視することを政府にさらに正当化させた。不思議なのは、政府はすでに豊富な市民データを自由に利用できるのに、なぜ当初、武漢からの旅行者の追跡に苦戦していたのか、ということだ。

Rita Liao(リタ・リャオ)@ritacyliao 2020年2月12日
中国政府が移動データを基にコロナウイルスへの感染リスクを測るアプリを立ち上げた。 しかしなぜ今? 地方政府や企業から市民データを収集/統合することが困難だったから? もっと前に導入されていれば、このアプリがウイルスの封鎖に役立っていたのでは?

Rita Liao(リタ・リャオ)@ritacyliao
@thisboyuanが教えてくれたように、政府が伝染病発生中の人々の移動の追跡に苦心したことから、北京で実施している国民の監視システムにはまだかなりの問題があることうかがえる
2020年2月12日 3:45 PM

私は20人の旅行者からなるグループに振り分けられ、隔離先のホテルへ向かうシャトルバスを待った。20人のうちほとんどが海外へ留学していた中国人学生だった。私たちはすぐに打ち解け、この現実離れした8時間の入国審査について愚痴を言い合ったが、実際に怒っている人は誰もいなかった。反対に、最前線で働く医療従事者と出入国管理職員に心からの感謝を一様に口にした。

お腹がペコペコだった。1人が全員のWeChatグループを作って、食べ物のデリバリーを注文することを提案した。「3.14隔離」というピッタリな名前が付いた私たちのWeChatグループは、さまざまな問題が発生した隔離期間中の情報交換や、支え合いに役立つことになった。道路清掃車の音が遠くから聞こえる。時計は朝4時を打ち、バスはホテルに到着した。

第8週: 混沌の甘受

体温チェック、食事の配達、核酸検査、各種政府機関からの電話、新しい隔離場所への移動などが突発的に行われるなか、ホテルでの隔離中に身体を中国時間に戻すのは事実上不可能だった。ある夜、私たちは30分で荷造りして、バスで深圳の外れまで移動するように言われた。そこで私たちはウイルス検査を受け、8時間後の午前3時にまた前と同じ地区にある別のホテルに連れて行かれた。

隔離仲間たちは、この予測不可能な状況にいら立ち、助けになりそうな人に手あたり次第電話をかけ始めた。ホテル従業員、現地職員、親戚、友人から得た情報の断片をWeChatグループで共有するなか、何かが見えてきた。隔離システムは、民間組織と公的機関の間の大規模な動員と複雑な調整によって行われているらしい。これには、医療従事者や共産党下級行政機関(居民委員会と呼ばれる)から、政府の助成を受けたホテルや団地までが含まれる。

政策立案者による頻繁な変更に際し、たびたび各地の当事者はこれを大慌てで実施しなければならず、誤解を招いたり、逆効果の行動をとってしまうこともある。私たちをバスに詰め込み右往左往したのもこの結果だった。持ち場の仕事の説明しか受けないので、プロセス全体を把握していない。そのため、政策立案者に近いところからの情報を得ることが死活問題だった。ホテル従業員に何が起こっているか聞くより、疾病管理部で働く親戚に電話する方が役に立っていただろう。不確実な状況で少しでも確実な情報を把握したいとき、中国では個人的なコネが一層重要なようだった。

内部情報を聞き出した一部の仲間が、この仕組みを解明した。隔離場所に送られる前に、私たちは自宅住所を報告していた。これは各区政府がその帰国住民の隔離を担当するためだ。通常、財源の豊富な地区ほど質の高い宿泊施設と食事を提供するので、少しでもよい扱いを求めるのに必死な人たちにとって、この情報も貴重だった。

私は混乱を甘受することにした。少しでも情報を収集し、上層部からの継続的な規則の変更を把握しようとしたが、この対処法だと瞬く間に不安に陥ってしまうからだ。

セルフケアのためのアイデアは、これまでにいろいろと提案されているが、コロナウイルスから2回の脱出を遂げた私としては、少なくともその有効性は証言できるだろう。情報は1つか2つの信頼できる情報源に絞り込むこと。身体を動かすことを忘れないこと。誰かに電話すること。ユーモアのセンスをなくさないこと。深呼吸をして、マインドフルネストークに時間を当てるのもいい。新型コロナによって長期的な変化が起きる可能性はますます高まっている。今後の変化に備える気概を維持しておくことがのぞましい。

3月29日の午後、私の地区の居民委員会の職員が私のドアをノックした。青い防護服に身を包んだ職員に最後の体温チェックを受け、隔離完了を告げる書類をもらった。私はすぐにマスクを着け、階下に降りた。

街は一瞬いつもと同じように見えたが、よく見ると、中国を離れた2カ月間で起こった、目立たないが長期的な変化が見えてきた。

あらゆる人がマスクをしている。一人で車を運転している人でも。建物の入り口では体温チェックと消毒が行われている。多くの小さなレストランは閑散とし、営業を再開しているところでは中で食べている人より、外で待っている配達スタッフの方が多い。戦時下のようなプロパガンダポスターが街頭のあちこちに貼られ、疫病との戦いはまだ終わっていないことを告げている。世界は、以前と同じ状態にはもう戻らないのだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

自転車シェアの中国Mobike、海外市場からの後退を親会社Meituanが認めた

TechCrunchは3月8日に、自転車シェアリングサービスを提供しているMobikeがアジア太平洋地域全体での事業を解体したと報じた。それは、国際的な事業を縮小するための長期計画に向けた重要な一歩だ。3月11日にMobikeの親会社のMeituanは、この中国の自転車レンタル業界のパイオニアが、ほとんどの海外市場から手を引こうとしていることを認めた。

「Mobikeの国際ビジネスは再編中で、ほとんどの国際市場から撤退することになるでしょう」と、Meituanの最高財務責任者、Chen Shaohui氏は、月曜日の電話会議でアナリストに明かした。

しかし、その後にMobikeはChen氏の発言を「最終的にMeituanは、Mobikeの残っている海外資産を売却し、その部門を決算から除外する」という意味だったと説明した。

3月11日にTechCrunchがMobikeの国際的な計画について尋ねると、Meituanはなぜか直接その自転車部門に尋ねるよう差し向けた。そしてMobikeの広報担当者は、「一部の市場は、特にいくつかのアジア諸国では」閉鎖するものの「北東アジア、ラテンアメリカ、それにヨーロッパでは、国際的な事業を継続します」と明言した。

「今後を見据えて、潜在的な戦略的パートナーと議論を続け、持続可能な国際ビジネスを維持しようとしています」と、担当者は付け加えた。

(関連記事:自転車シェアリングのパイオニアMobikeが国際事業をすべて閉鎖し中国に退却

Mobikeを国際業務から撤退させるという決定は、自転車部門の営業損失を削減しようというMeituanの計画によってなされたものだと、前出の責任者も語っている。「サービスのためのAmazon」を標榜するアプリを提供するMeituanが、2018年の4月4日に買収して以来、Mobikeは45億5000万元(約6億8000万ドル)もの損失を出した。Meituanの最新の決算報告によれば、その自転車サービスが同じ期間に生み出した収益は、15億元(2億2000万ドル、約250億円)に過ぎない。

海外市場から手を引くことは、中国に焦点を合わせることを優先するというMeituanの長年の戦略と一致している。北京を本拠地とするこの会社は、収益の大部分を、自国内で展開する食料品の輸送と、旅行予約サービスから得ている。国際市場への進出は、ほとんど考えていないように見える。

フィナンシャルタイムズ紙のこれまでの調査によれば、「Meituanにはいかなる形、名目の国際部門もなく、おそらく欲しいとも思っていない。Mobikeの買収によって、初めて国際市場に手を出したのだ」という。

アジア太平洋地域からのMobikeの撤退について、われわれに情報をもたらしたTipstersは、彼らの声明は「あいまい」で、大衆をなだめるためのジェスチャーではないかと見ている。アジア太平洋地域は、実際に貸し出している自転車の数と、倉庫に保管してある数を合わせた事業規模からすれば、Mobokeにとって最大の市場なのに、そこから得られる収益はヨーロッパよりも少ない、ということに注目する必要がある。つまり、アジア太平洋地域からの撤退は、増え続けるMeituanの損失を削減することで、この経費ばかりかかる非中核事業の縮小に拍車がかかるのを防ごうという、自転車部門の壮大な計画の表れなのだ。

Meituanの第4四半期の収益は、198億元(約29.4億ドル、約3283億円)となり、ほぼ倍増したものの、純損失は前年の22億元から34億元(約5億1000万ドル、約563億円)に拡大している。自転車シェアリングや配車事業といった「新たな取り組み」への投資は、同社の収益力の上昇を「和らげた」ことになる。その一方で、その中核事業である食料品の配送、レストラン所有者向けソフトウェアのような店内サービス、および旅行予約は、2018年に営業利益を上昇させている。

(関連記事:Meituan, China’s ‘everything app,’ walks away from bike sharing and ride hailing

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Tesla、ギガファクトリー3の建設で中国と合意

Teslaは、約210エーカー(85万平方メートル)の土地を上海臨港地区に確保した。同社初の米国外工場の予定地だ。

Tesla幹部、および上海市経済情報委員会、上海臨港地区開発管理団体、上海臨港グループの首脳らが参加して、水曜日に中国で調印式典を行った。

「Teslaのミッションは世界の維持可能エネルギーへの移行を、全電動車だけでなく、スケーラブルなクリーンエネルギー生成や蓄電製品を通じて促進することだ」とTeslaの国際営業担当VP、Robin Reiが声明で言った。「上海で獲得したこの場所は、Tesla初の国外ギガファクトリーとして、高度で持続可能な開発による次世代製造拠点に向けての重要な礎になるだろう」

この土地移転はTeslaにとって重要な一歩である。最近同社は、コスト上昇によりいわゆるギガファクトリー3の建設を加速する必要に迫られていると語った。Teslaは10月始めの製造・配送レポートで、関税や外洋貨物船の輸送コスト、さらには現地生産の電気自動車に与えられる金銭的インセンティブがないなどの理由により、中国で同社が不利な立場にあることを予告した。

水曜日にTeslaは、プロジェクトは北米でのModel 3生産で学んだ教訓を生かし、「資本の効率化と急成長」を期待していることを改めて宣言した。

Teslaは7月、同社が年間50万台の電気自動車の生産能力を持つという工場を作る計画について上海市当局と合意に達した。工事が始まってからTesla車の製造が可能になるまで、約2年かかる。「工場がフル稼働して年間50万台の車を製造できるようになるにはさらに2~3年が必要」とTesla広報が当時話した。

この上海工場事業は、海外企業による完全所有施設の建設、運用を認めるという中国政府の転換を意味している。従来海外企業が中国に工場を作るためには、現地パートナーと50-50のジョイントベンチャーを作る必要があった。

中国の習近平国家主席は、海外自動車メーカーの共同事業規則を2022年までに廃止すると言った。Teslaはこの規則変更の恩恵を受ける最初の事例となる。

契約は、Teslaが臨港地区で完全所有の工場を建設、運用することを認めている。新工場では、研究開発、製造、および営業活動が行われる。

しかし、依然として中国政府は関与するだろう。協力契約の下、中国政府とTeslaは電気自動車技術と産業の発展を協力して推進することになっている。上海市はGigafactory 3を支援すると言っているが、それが意味するところの詳細は希薄だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、アジア地域初となるデータセンターを構築予定

Facebookが、初めてアジアにデータセンターを構築する。Facebookのアナウンスによれば、シンガポールに11階建てを建築する予定であるとのこと。サービスパフォーマンスおよび効率性の向上を狙ってのことだとのこと。費用はシンガポールドルで14億ドル見込みで、米ドルにすると10億ドル程度となる。

なお、この新しいデータセンターで用いる電源は、100%再生可能エネルギーとなるのだそうだ。さらに新しいStatePoint Liquid Coolingを利用し、水資源および電力の消費を最低限に抑えるようになっているとのこと。

Facebookによれば新データセンターの構築により、数百名の雇用を創出し、シンガポールおよびアジア地域におけるプレゼンスの拡大を実現することができるとしている。

建設予定データセンターの外観予想図

アジア太平洋地域における月間利用者数は8億9400万となており、全利用者中40%を占めている。これは地域ごとにみれば最高の割合となっている。ただし、収益面では他地域の後塵を拝している。Facebookの直近四半期のデータによれば、アジア太平洋地域での売上額は23億ドルで、全体の18%となっており、アメリカからの売り上げの半分にも満たない。サービスの効率性をあげることで、利用者シェアと売り上げシェのギャップを埋めたい考えもあるのだろう。

なお、アジアにデータセンターを構築する動きは他にもあり、Googleはシンガポールに3つめとなるデータセンター設立を予定しているようだ。Googleは、シンガポール以外に、台湾でもデータセンターを運営している。

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(翻訳:Maeda, H

メッセージング企業のLINEが暗号通貨に特化したファンドを立ち上げ

メッセージング企業のLineは暗号通貨の世界への深入りを続けており、今回は1000万ドルの投資ファンドの立ち上げを発表した

このファンドを運用するのはLineの韓国にあるブロックチェーン子会社Unblock Corporationで、ここはブロックチェーン関連の研究調査や教育などのサービスを担当している。ファンドはUnblock Venturesと呼ばれ、最初の資本プールは1000万ドルだが、Lineによると今後徐々に増加するだろう、という。

同社によるとこのファンドは主に初期段階のスタートアップへの投資を対象とするが、それ以上の詳細は提供されていない。

Lineは東京とニューヨーク証券取引所で上場している。このファンドにより同社は、暗号通貨に特化した投資ビークルを作った最初の上場企業になる。その目的は、“暗号通貨とブロックチェーン技術の開発と採用を推進するため”、という。

Lineによると、そのメッセージングアプリのユーザーは2億に近くて、とりわけ日本、台湾、タイ、そしてインドネシアで人気がある。同社は、決済、ソーシャルゲーム、ライドシェア、フードデリバリーなど、そのほかのインターネットサービスも提供している。

今回のファンド創設は、先月のBitBox取引所の開設に次ぐ同社の今年二度目の、暗号通貨関連の大きな動きだ。それはまだアメリカや日本を対象にしないが、Lineは今後、メッセージングサービスなどそのほかの機能との緊密な結びつきを作っていきたいようだ。

今年は1月にBitcoinが記録的高値の2万ドル近くまで上がり、Ethereumなども上げたが、その後多くの暗号通貨が深刻に落ち込んでいる。にもかかわらずの、Lineの今回のファンド立ち上げだ。今週はEthereumが300ドル以下まで下がって、初めての大きな危機を経験した。Bitcoinは長年乱高下を経験しているが、1月の価格はまるでゲームが大きくレベルアップしたみたいだった。

注記: 筆者は、少量の暗号通貨を保有している。それは勉強のためには十分な量だが、自分の人生を左右するほどの量ではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleがシンガポールに三つめのデータセンターをオープン、将来の膨大なインターネット人口を想定

Googleは、東南アジアにおけるインターネットの成長が今後も持続すると推測し、今後の成長市場対応としてシンガポールに三つめのデータセンターを開くことになった。

それは同社がシンガポールに同国で二つめのデータセンターを開設してから三年後にあたる。その3年間に同社の推計では東南アジアの7000万の人びとがインターネットを初体験した。それにより、当リージョンのインターネットユーザーは3億3000万人になったが、東南アジアの総人口は6億5000万だから、成長の余地はまだまだ大きい。

ローカルなデータセンターの目的は、必ずしもその至近の近傍に奉仕することではない。アジアのデータセンターがアメリカのトラフィックを扱うこともあるが、しかしローカルな容量を増やしたということは、Googleのサービスや、Googleのクラウドで事業を営む企業にとって、その特定のリージョンのインターネットユーザーにより高速なサービスとトラフィックを提供できることを意味している。だからそれは、地元の利益であるだけでなく、Googのビジネスにとっても重要だ。Google Cloudのこの地域の著名なユーザー企業には、Singapore AirlinesやNinjavan, Wego, Go-Jek, そしてCarousellなどがいる。

この検索超大手のデータセンターは、東南アジアでは台湾にもある。最初は、台湾とシンガポールの共通の拡張先を香港に求める、という案があったが、用地を確保できず2013年に計画はぽしゃった

Googleの最初のシンガポールデータセンターは2011年にオープンし、Googleによると、今度の三つめを合わせるとシンガポールにおける総支出額はおよそ8億5000万ドルになる。 これに台湾を含めると、総支出額は10億ドルを超える。

関連記事: 東南アジアは世界で三番目に大きいインターネット市場だ…Googleらの調査報告より

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

中国で加速するオリジナル番組制作――Baidu、Alibaba、Tencentが続々参入

【編集部注】筆者のHugh Harsonoは元金融アナリストで、現在はアメリカ陸軍に所属している。

近年オリジナルコンテンツ市場が賑わいを見せており、その主役は制作スタジオをはじめとする従来の主要コンテンツプロバイダーから、インターネット時代のスタートアップへと移行しつつある。彼らはオリジナルコンテンツを制作することで、事業ポートフォリオの拡大や限定コンテンツの配信を通じた有料会員数の増加を狙っているようだ。

アメリカでは、同市場の覇権を握るAmazonやNetflix、Huluが『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』『高い城の男』『侍女の物語』など評論家も絶賛するシリーズを投入しており、他の大手テック企業も彼らに必死で追いつこうとしている。たとえばAppleはスティーブン・スピルバーグ監督と契約を結び、『世にも不思議なアメージング・ストーリー』のリニューアル版の制作を予定しているほか、Facebookはオリジナルコンテンツの制作に最大10億ドルを投入Googleは将来的にTVシリーズの1エピソードあたりの制作費を最大300万ドルまで引き上げると発表しており、Disneyも独自のストリーミングサービス向けにオリジナルコンテンツを制作しようとしている。

同様に中国のオリジナルコンテンツ市場も、ネット大手のBaidu、Alibaba、Tencentが支配権を握っている。欧米諸国に住む人は、これらの企業名や彼らが制作しているテレビシリーズにあまり馴染みがないかもしれないが、徐々に中国産のコンテンツも世界に向けて配信されはじめていることを考えると、この状況は近いうちに変わってくるだろう。

中国とアジア諸国の違い

世界はもとよりアジアの他の国々と比べても、中国には数々のユニークな点がある。たとえばモバイルデバイス上でのメディア消費量の増加や、テレビの視聴ボリュームの増大、爆発的な成長を遂げつつある映画・テレビ業界の存在などがその一例だ。

eMarketerによれば、近いうちに中国の成人は1日あたり約3時間をモバイルデバイス上で過ごすようになるとされている。これは1日あたりのメディア消費時間の41.6%にあたり、さらに彼らはもう40%にあたる時間をテレビの視聴に費やしているのだ。このモバイル中心の生活スタイルが今後数年のうちに視聴時間が急増するであろうとされているデジタル動画と組み合わさることで、人口と同じように動画の消費量も増えていくだろう。

さらに中国のテレビ業界もここ数年で前例がないほどの成長を遂げた。実際のところ、国内の映画業界とテレビ業界を合わせると350億ドル以上の規模に達すると言われるなか、テレビ関連の売上がその88%を占めているのだ。中国ではIP放送の利用者も増えており、2017年には利用者数が1億人を突破。オリジナルコンテンツ市場の盛り上がりをさらに後押ししている。ほかにも、昨年12月には国内のスタジオが集結しChinese TV Drama Export Allianceという団体が立ち上げられ、グローバル市場でのプレゼンス向上やNetflixなどのストリーミング企業に対する中国語コンテンツの売り込みに今後力を入れていくようだ。

中国オリジナルコンテンツ界の巨人

ネット系コングロマリットのBaiduは中国のオリジナルコンテンツ市場を支える一社。特に同社の傘下でストリーミングサービスを運営するiQiyiはひときわ存在感を放っている。国内のストリーミングサービスとしては最大級のiQiyiは、アメリカでのIPOを通して22.5億ドル以上を調達しており、その月間ユーザー数は4億2100万人、デイリーユーザー数は1億2600万人を超える。そして規模やリーチを背景に、同社のオリジナルコンテンツは国内で大きな人気を呼んでいる。

同社が制作したリアリティ番組『Rap of China』『Street Dance of China』『Hot Blood Dance Crew』は、中国政府によるヒップホップカルチャーやタトゥーに関するメディア規制をものともせず、何百万人もの視聴者を熱狂させた。なかでも『Rap of China』は、最近アメリカのヒップホップトリオMigosとパートナーシップを締結しており、今後欧米の人々の目に触れる機会もでてくるだろう。

リアリティ番組以外のオリジナルコンテンツも負けてはいない。推理ドラマの『Burning Ice』や『Tientsin Mystic』はセカンドシーズンの制作が決まったと同時に、今年Netflixを通じてアメリカでも放送されることになった。ほかにも『The Lost Tomb』『Evil Minds』『Unforgiven』などの人気シリーズはいずれも何百万人以上もの視聴者を抱えている(注:『The Lost Tomb』と『Evil Minds』は政府の検閲によりiQiyiのウェブサイトから削除された)。

特に中国では、オリジナルコンテンツ市場の成長に伴い、仮想現実(VR)や人工知能(AI)など関連分野にも大きな影響が出てくるだろう。

Baiduと並んでこの市場で活躍するのが、ストリーミングサービスYoukuを展開するAlibabaだ。Youkuはタブレットやルータ、テレビボックスなどYoukuブランドのハードウェアを含む強固な流通ネットワークを通して、5億人以上のユニークユーザーにコンテンツを届けている。Youkuのサービスはすでに消費者の生活の一部となっていることから、彼らのオリジナルコンテンツも国中の視聴者にリーチできるのだ。

人気シリーズ『Day and Night』に関連し、Youkuは2017年終わりにNetflixと契約を結び、同番組は中国語のテレビシリーズとしては初めて世界中に配信されることとなった。ほかにも有名なコンテンツとしては、歴史ドラマの『The Advisors Alliance』『Oh My General』、人気コミックが原作のファンタジードラマ『Rakshasa Street』などがある。Youkuは短いビデオクリップとオリジナルコンテンツのどちらでも人気作品を生み出していることから、中国のオリジナルテレビコンテンツの制作においてはマーケットリーダー的な存在だと言える。

そして最後がネット界の巨人Tencentだ。WeChatの成功で知られる同社だが、Tencent Videoの平均デイリーアクティブユーザー数は1億3700万人以上と言われており、Tencentのオリジナルコンテンツも市場での重要度が増してきている。

Tencent Videoの人気シリーズとしては、1日で2億回もの再生数を叩き出し、これまでに何十億回も再生されたアクションアドベンチャードラマ『Candle in the Tomb』や、同名の人気小説がベースの歴史ロマンス『Rule the World』がある上、同社は『The Tomorrow Children』のようなバラエティ番組の制作も手がけている。さらに直近では、小説『The Tibet Code』や『Mystery of the Antiques』、日本ではおなじみのマンガ『テニスの王子様』を原作としたテレビシリーズの制作が予定されている。Tencentは今後もオリジナルコンテンツへの投資を拡大していこうとしており、向こう数年で同社のポートフォリオはさらに拡大していくだろう。

中国にはこれまでに名前が挙がったiQiyi、Youku、Tencent Video以外のプレイヤーももちろん存在する。たとえば人気コンテンツプロバイダーのSohu TVもオリジナルコンテンツ市場に参入し、人気ドラマ『Indelible Designation』や推理シリーズの『Medical Examiner Dr. Qin』の制作に携わっているほか、『Saturday Night Live』風の番組の制作も予定されている。

人気動画プラットフォームのMango TVも、コメディ番組の『Fashion Rivers』やドラマ『Gold Matchmaker』、インタラクティブな『Big Brother』風の番組『Perfect Holiday』などさまざまな番組を制作している。SohuやMango、そして彼らが提供するコンテンツからも、中国のデジタル化を推進する上で、オリジナルテレビ番組がどのくらい大きな役割を担っているかがわかる。

一方、その他のアジア諸国では……

規模では差がありつつも、オリジナルコンテンツ市場が盛り上がっているのは中国だけではない。アジアの他の国々もインターネットを普及させるにあたり、モバイルファーストなアプローチをとってきたため、モバイルデバイス上でテレビを視聴する人の数は増え続けている。

タイではLINEが運営するLINE TVがモバイルテレビ市場を席巻しており、自社のストリーミングプラットフォーム向けにオリジナルコンテンツの制作も計画している。さらにLINE TVはすでに現地のテレビ番組制作会社とパートナーシップを結んでおり、もともとの出発点であるYouTubeのようなサービスから、Netflix、Huluのようなサービスへと変化つつある。

インドネシアでは、ライドシェアのGo-Jekがオリジナルコンテンツ市場への参入を画策している。先日、同社は制作会社Go-Studioの立ち上げを発表。Go-StudioはサブスクリプションサービスGo-Play向けのコンテンツを制作していくとのこと。さらにGo-JekはVICE Mediaともパートナーシップを締結し、2019年を目標にオリジナル映画『When We Dance』(監督:Joko Anwar)の制作を予定している。

オリジナルコンテンツ市場がスタートアップに与える影響

特に中国では、オリジナルコンテンツ市場の成長に伴い、仮想現実(VR)や人工知能(AI)など関連分野にも大きな影響が出てくるだろう。Baidu、Alibaba、TencentはいずれもVRやAI分野へ積極的に投資しており、今後ハードとソフトが上手く絡み合ったテレビ番組が一般家庭でも楽しめるようになってもおかしくない。たとえば、VRヘッドセットを使ってテレビ番組内のキャラクターの視点で物語を楽しめるようになったり、ユーザーの視聴傾向をもとにAIがオススメのハロウィーンのコスチュームを提案してくれたりといったこともありえるだろう。

このような未来を実現するにあたり、オリジナルコンテンツ市場の成長はその第一歩と言え、国内の巨大企業のリーチや影響力、そして成長を続けるテレビ業界は今後さらに重要な役割を担うことになるだろう。

まとめ

オリジナルのテレビ番組制作には計り知れないほどの可能性がある。というのも、オリジナルコンテンツ市場自体の成長もさることながら、先述の通りアジアではモバイルデバイス上でテレビ番組を楽しむ人の数は急増しつつあるのだ。その結果、中国のトップ企業も単に同市場に目を向けるだけでなく、自らオリジナルコンテンツの制作に乗り出し、視聴者獲得のために高品質なシリーズをリリースするまでになった。

オンライン限定シリーズや視聴者の数はかなりのスピードで増加し、今では年に何百という数の番組が公開され、何十億回も再生されている。中国のコンテンツが海外でも同じように評価されるかどうかはまだわからないが、今のところ中国のオリジナルコンテンツ市場が減速する様子はなく、中国企業にとってはグローバル市場への飛躍もありえる有力な収益源として今後も注目されることだろう。

Image Credits: Kevin Thrash / Getty Images

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(翻訳:Atsushi Yukutake

中国のアクセラレーターCOMB+、7700万ドル規模のファンドを立ち上げ――中国進出目指すAI企業を支援

中国のテクノロジー界では、人材、イノベーション、ビジネスの観点から、アメリカと同じくらいAIに関する議論が活発に行われている。しかし、多くのAI企業がアメリカに拠点を構えようとする一方で、海外企業にとって中国進出のハードルは高い。

そんな背景を受け、この度新たなファンドが誕生した。中国でアクセラレータプログラムを運営するCOMB+が、中国進出を狙う海外AI企業のために6500万ユーロ(7700万ドル)のファンドを立ち上げたのだ。

先週、フィンランド・ヘルシンキで行われたSlushでお披露目されたこのファンドは、COMB+とBeijing Institute of Collaborative Innovation(BICI)が共同で設立したもの。COMB+は昨年、Sino Trackと名付けられたアクセラレータプログラムをローンチ。COMB+は同プログラムを通じて、北京とヘルシンキの拠点から、中国でのスケールを目指すアーリーステージ企業を支援しようとしており、このたび発表されたファンドは彼らの次なる一手と言える。

6500万ユーロの目標金額のうち、すでに半分以上の調達が完了しているとCOMB+ CEOのLeo Zhuは、TechCrunchとのインタビューで語った。具体的なLPの名前は明かされなかったが、政府系ファンドや政府系機関、私企業、大手企業など中国勢がそのほとんどを占めているようだ。

さらにZhuは、Sino Track同様、フィンランドからの投資にも期待していると話す。北欧からは19社がすでにSino Trackを卒業しており、COMB+はファンドの投資先としても北欧エリアに注目している。

「私たちは(フィンランドの)先進的なテクノロジーに感銘を受けた」と語るZhu。「エンジニアは通常5〜8年かけ、さまざまなテクノロジーについて学んでいる。中国は市場規模も大きいので、是非フィンランドの力を上手く活用したい」

また今回発表されたファンドでは、テクノロジーを含むさまざまな分野における中国・フィンランド両政府の協力関係を活用する目論見だ。

個別の投資額としては、100〜200万ユーロ(120〜240万ドル)の初期投資+フォローアップ投資程度を検討しているようだ。さらに各案件の上限は500万ユーロ(600万ドル)くらいになるだろう、とZhuは言う。

「私たちは、現地市場でビジネスの有効性を証明し、中国への進出を狙っている企業を投資対象として考えている」と彼は通訳者を通して語った。「そのような企業が、現状のテクノロジーを発展させ、中国市場でも活躍するための手助けをしていきたい」

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Grab、Uber撃退に向けてミャンマー市場への1億ドルの投資計画を発表

Grabは隣国ミャンマーの配車市場制覇に向け、これから3年間かけて総額1億ドルを投資すると発表した。

ミャンマーは現在世界のネット市場でもっとも注目されている国かもしれない。以前まで軍事政権下にあった同国ではネットへのアクセスが厳しく制限されていたが、2015年の総選挙を受けてインターネットが一般に開放されることになった。

そこに商機を見出した通信会社やテック企業が、かつては人里離れた小国でしかなかったミャンマーになだれ込み、携帯電話が一般市民の間で急速に普及していった。軍の支配下に会った頃には200ドルから最大1500ドル以上もしたSIMカードも、競争激化を受けて5ドル以下にまで値段が下がり、5500万人の人口を誇る同国に一気にモバイル化の波が訪れた。

今日のミャンマーは、登録されているSIMカードの数が人口を上回るという、たった5年前にも想像がつかなかったような状況にある。さらに以前のネット規制のせいで固定回線が普及しなかったこともあり、ミャンマーはオフライン社会から一気にモバイル社会へと変化した世界でも珍しい国なのだ。

まず注目が集まったのはECサービスで、スマートフォンの普及率が高まるにつれて最近では現地版Uberのようなサービスも誕生し始めた。そして今年、GrabとUberはどちらにとっても東南アジアで7つめとなる市場にミャンマーを選び、現地の配車サービス市場は一層の盛り上がりを見せた。

3月にサービスをローンチしたGrabが現在同市場を牽引しており、1日の予約数は2万5000件、ドライバー数は6000人にのぼる。そして同社はミャンマー配車サービス市場トップの座を確固たるものにするべく、この度アグレッシブな計画を発表した。

東南アジア最大の経済規模を誇るインドネシアに進出したときのように、Grabは単なるモビリティサービスを超えた事業をミャンマーで展開すべく、1億ドルの投資計画を明らかにしたのだ。最近調達した20億ドルもの資金がその後ろ盾となっているのは間違いないだろう。

まず彼らは、首都ヤンゴンをスタート地点に配車サービスを国中に展開し、現地の社員数を200人まで増やす予定だ。しかしインドネシア同様、Grabはミャンマーでも電子決済サービスGrabPayを普及させようとしている。同サービスの使い道の中心となるのは、もちろんGrabの利用料の支払いだが、それ以外にもユーザーのロイヤルティを高めるための試みとして、同社は有名小売企業の協力の下、リワードプログラムを提供している。

インドネシアでは配車サービス以外の目的でもGrabPayが使えるよう努力を重ねている同社は、5%を下回るクレジットカード保有率とモバイル社会への急速な移行で、電子決済サービスの潜在需要が見込まれるミャンマーでも、そのうち同じような動きにでるかもしれない。

「私たちはミャンマーの交通上の課題に、イノベーティブかつ現地の実情に沿った方法で挑戦している。これにより社会経済上のチャンスが生まれ、Grabと現地の人びとの間でウィン・ウィンな関係が築かれている。ミャンマーはGrabの進出先の中でも、もっとも成長速度の早い市場のひとつであり、今後さらに同国との関係を深めていけるのを楽しみにしている」とGrab CEOのAnthony Tanは声明の中で語った。

モバイル通信事業者を除くと、消費者向けのサービスを提供するテック企業の中で、ミャンマーにこれほどまでの投資を行うと決めたのはGrabが初めてに近い。今後さらにミャンマーが盛り上がっていくにつれて、きっと新たなニュースが耳に入ってくることだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ソフトバンクC&S、Ofoと共同でシェアバイク事業を開始――まずは東京・大阪で9月から

WeWorkの日本進出支援を発表してから約1か月が経ち、ソフトバンクは新たなユニコーン企業の日本進出をサポートしようとしている。本日同社は、ドックレスシェア自転車を日本に広めるべく、中国のシェア自転車サービス大手Ofoと協業すると発表した。

これまでにAlibabaやDidi Dhuxing、DST Globalらから合計10億ドル以上を調達してきたOfo。登録ユーザー数は1億人以上、シェア自転車の数は800万台とされている同社のサービスは、モバイルアプリ上でQRコードを読み込むことで、どこでも自転車を乗り降りできるというものだ。

Ofoが協業することになるソフトバンク コマース&サービス株式会社は、IoTやロボット、クラウドソリューションを提供しているソフトバンクグループの1社だ。まずは今年9月に東京と大阪にOfoの自転車を配備するとのことだが、恐らくそれ以降サービス提供地域を拡大していくのだろう。

「日本のことは重要な市場と位置付けています。自転車文化が根付いている日本で、Ofoはより便利でコストメリットのあるサービスを日本の皆さまに提供していきます」とOfoのAPAC部門を率いるLawrence Caoは声明の中で語った。

ドックレス自転車の解錠について説明するOfo CTOのAustin Zhang

WeWorkとは違い、今回の協業には(少なくとも現時点では)資本的なやり取りは含まれていないが、既に両社はさまざまな点で繋がっている。これまでに幾度となくソフトバンクと共同出資を行ってきたAlibabaは、Ofoが7億ドルを調達した直近のラウンドでリードインベスターを務めたほか、ソフトバンクの投資先であるDidi昨年Ofoに出資している。

最近の報道では、ソフトバンクが中心のラウンドがOfoが10億ドル超を調達しようとしていると噂されていることを考えると、今回の日本進出が両社の長期的な関係のスタート地点となる可能性もある。

Ofoは今年中に200都市へ進出するという野心的な目標を掲げているが、2017年の前半だけで、既に中国を中心とする100都市への進出(もともとはこれが2017年の目標だった)を果たした。そして現在同社は海外市場へ果敢に攻め込もうとしている。これまでのところ、イギリス、シンガポール、タイ、カザフスタン、マレーシアには進出済みもしくは進出間近の状態にあり、今回このリストに日本が加わることになった。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

中国配車サービス大手Didi、中東進出へ向けCareemに出資――さらに広がるUber包囲網

中国の配車サービス大手Didi Chuxingは、ヨーロッパ企業への初めての投資から1週間も経たないうちに、さらに勢力を拡大すべく、中東でUberと競合関係にあるユニコーン企業Careemへの出資を発表した。なお具体的な出資額は明らかになっていない。

そう、Didiはまた新たな市場でUberのライバルへの出資を決めたのだ。

今月に入ってから同社は、ヨーロッパ・アフリカでUberと競合関係にあるTaxifyへ投資しており、その他にもアメリカではLyft、インドではOla、南米では99東南アジアではGrabの株主を務めている。さらに昨年中国事業を買い取ったときの契約にもとづき、DidiはUberの株式も保有している。

世界中のいかなる配車サービスにも投資しようという彼らの戦略には納得がいく。将来的に投資先とパートナーシップを結んだり、買収したりしやすくなるだけでなく、Didi(Uberに続きテック企業としては世界第2位の評価額を誇る)は影響力を世界中に広げることでUberにプレッシャーをかけられるのだ。また、これまで中国で4億人ものユーザーを相手にする中で構築してきた専門性やシステムを活用し、Didiは世界中の投資先企業に資金面以外の手助けをすることもできる。

つまり「敵の敵は味方」ということだ。

「私たちが次の段階へと成長しようとする中、Didi Chuxingが最先端のAIテクノロジーや業界の洞察、ノウハウと共に私たちのことをサポートしてくれることになる」とCareem CEOのMudassir Sheikhaは声明の中で語った。「これまでにも長い付き合いのあったDidiとの関係深化によって、Careemはイノベーションと持続可能性を意識しながら、より効率的に成長のチャンスを掴めるようになるだろう」

5年前にドバイで設立された当時のCareemは、Uberの競合としては取るに足らないような存在だったが、そこから強固なビジネスを構築し、今年の6月には自動車大手のダイムラーらから12億ドルの評価額で5億ドルを調達した(2016年12月に同ラウンドの一部の調達を終えたときの評価額は10億ドルだった)。これまでの累計調達額は5億7000万ドル弱におよび、先述の企業以外にも楽天やSaudi Telecom Comapny(STC)などが株主に名を連ねている。

Careemは現在中東・北アフリカ地域の13か国80都市で営業しており、登録ユーザー数は1200万人、ドライバー数は25万人強にのぼると言われている。さらに同社はDidiファミリーの兄のような役割まで担っており、7月にはエジプトのSwvlへ出資した(出資額は不明)

このSwvlへの投資を受けて、Didiは「世界中に広がるコラボレーションの輪が」今では1000都市に広がり、世界の人口の60%をカバーしていると話していた。昨年中国でUberを撤退に追いやったことを考えると、Didiが次にどんな野望を抱いているかは容易に想像できる。

ここでもし、Didiと並んで世界中の配車サービス企業の株式を取得しているソフトバンクがUberに出資するとなると、話は少しややこしくなってくる。先日の報道を受け、昨日ソフトバンクCEOの孫正義氏はUberの株式取得に興味を持っていると認めたが、同時にLyftへの出資も検討していると語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

シンガポールがアメリカに続いてICO規制に乗り出しか

米証券取引委員会(SEC)のICO規制に関する発表から1週間も経たないうちに、シンガポール当局も証券として考えられるトークンの規制を始めると発表した。

世界的な金融ハブとして知られているシンガポールは、TenX(調達額:8000万ドル)、Golem(860万ドル)、Qtum(1560万ドル)などの資金調達を経て、ICOのメッカのような存在になった。ICOという、これまでになかった資金調達方法について各国当局の対応に注目が集まる中、シンガポール金融管理局(MAS)は自国通貨の電子化に努めており、仮想通貨業界からはポジティブな声が集まっていた。

中にはシンガポールを「ICOヘイブン」のように考えている人もおり、3月のWiredの記事では、シンガポール当局は「このような電子トークンを証券とは考えていない」とまで書かれていた。

どうやらそれは違ったようで、本日(現地時間7/31)MASは、一部の(どうやら全てではないようだ)ICOを規制する旨の書簡を公開した。

6つのポイント沿ってまとめられた書簡の内容を要約すると、MASは今後シンガポールの証券先物法の対象になりそうな(つまり株式のような証券に近い)トークンの販売を規制していくということだ。さらにMASは、取引所をはじめとするICO後のトークン売買を可能にするサービスも規制対象になると記している。

シンプルな内容のようにも見えるが、何を「証券」とみなすかはMASの判断であり、その条件については現時点では明らかになっていない。

MASは妥当なアドバイスとして、シンガポールが関連したICOを考えている企業・個人は「関連法に照らして第三者機関からの法的なアドバイスを受け、必要に応じてMASとも相談するよう」促している。

ICOを行うシンガポール法人以外にも、シンガポール人やシンガポールに拠点を置く個人・法人からの出資を受けるICOも規制対象になる可能性がある。

だからといって悲観する必要はない。シンガポール当局は同国でICO人気が高まっているのを認め、規制をもってこの新たな資金調達方法に漂う法的な不透明さを払拭しようとしたのだ。今後はどのICOが証券取引として考えられるのか(そもそもそんなものが存在するのかを含め)、そして当局がそれにどう対応するかということに注目が集まる。

業界団体のACCESS(シンガポールの仮想通貨・ブロックチェーン企業から構成されている)は、既にMASの書簡を歓迎している。

「本日MASが公開した書簡の内容を喜ばしく感じています。当局は仮想通貨の多様さと共に、証券先物法の対象にならない通貨の存在も認めているのです。明確化された規制対象や仮想通貨に対するMASの新たな意見について知ることができありがたく思っています」とACCESSの広報担当者は語った。

MASは以前にも、ICOで使われることのあるビットコインやイーサリアムといった仮想通貨に関する勧告を発表したが、資金調達の手段として仮想通貨が利用され始めたことを受けて、今回の書簡を公開するに至った。

「海外の規制当局と同じように、MASも仮想通貨を規制しないというポジションをとっています。しかし最近では、ただの仮想通貨を超えたトークンの使い方が散見します。トークンが発行者の資産や所有物の所有権や担保権を表章するものとして使われている場合がその一例です」と書簡には記してある。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Xiaomi、Amazon Echoのライバル商品を発表――国内価格は45ドル

FacebokがAmazon Echoのライバル商品を開発中との噂が広がる中、中国のXiaomiも競争激化が進むスマートスピーカー業界への参入を決めた。

「Mi AI Speaker」は、Amazon Echoに対抗するXiaomi初のスマートスピーカーだ。これまでにも、中国のAlibabaやGoogleAppleといった企業がEchoに”インスパイアされた”商品を発表してきた。

この度発表されたMi AIは、昨年12月に発売された音声操作スピーカーを改良したもので、AndroidベースのXiaomiオリジナルOS「MIUI」に最近追加された人工知能が搭載されていると同社は話す。さらに同スマートスピーカー経由で、Xiaomi製品のほか100社以上のパートナー企業が製造するスマートプロダクトの操作ができるとのこと。コンテンツ面では音楽やオーディオブック、童話、ラジオなどが楽しめるという。

ハード面では周囲360度の音声が拾えるよう、合計6つのマイクが搭載されている。

価格は299元(45ドル)で8月から販売が開始される予定だが、いつも通りこの情報には注意が必要だ。というのも、Xiaomi製品ではよくあることだが、中国国内に関する情報は決まっている一方で、海外での販売については何も発表されていないのだ。

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国内の初期顧客は、Mi AIをほぼ無料(1元)で手に入れられる。これはワーキングβテストの一環で、AIシステムの改善や「早い段階でさらに(システムを)賢くする」ことが目的だとXiaomiは言う。

Mi AIは本日北京で行われたイベント内で発表され、Xiaomiは他にもスマートアシスタントや便利なアプリランチャーといったAIを活用した機能が追加されたMIUI 9を公開した。

またMi5Xスマートフォン(5.5インチ、デュアルカメラ、MIUI9搭載)も同イベント内で発表され、価格は1499元(220ドル)に設定されている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

配車サービスGrab、ソフトバンクとDidiから20億ドル調達――今後は決済サービスにも注力

東南アジアでUberとライバル関係にあるGrabが、中国でUberを破った既存株主のDidi Chuxingとソフトバンクから新たに20億ドルを調達した。

他の既存株主や新しい投資家の意向を考慮すると、ラウンドの規模は最大25億ドルになりえたと同社は語っている。またGrabの広報担当者によれば、ソフトバンクからの出資はビジョン・ファンド経由ではなく、ソフトバンクグループ株式会社によるものとのこと。

さらに情報筋によれば、今回の資金調達によってGrabのポストマネー評価額は60億ドルを超えたとされている。これは、2016年9月に同社が7億5000万ドルを調達した際に報じられていた、30億ドルという評価額の倍以上だ。

「Didi・ソフトバンクとの戦略的関係をさらに深めることができ大変嬉しく思っている。また、先進的な両社が私たちと同じように、東南アジアや当地のオンデマンド交通市場、決済市場に期待していて、Grabがその巨大なチャンスを手にする上で有利な立場にあると考えていてくれていることにも勇気づけられる」とGrabの共同ファウンダーでCEOのAnthony Tanは語った。

要するにDidiとソフトバンクは、昨年8月にUberが中国事業をDidiに売却したのと同じように、Grabには東南アジア市場でUberを負かすだけの力があると考えているのだ。今月に入ってUberがロシア事業を現地の競合Yandexに売却したこともあり、その期待は高まる一方だ。

「市場でのポジションやテクノロジーの優位性、現地市場へのフォーカスといった特徴を備えたGrabが、配車事業を手始めに、東南アジアのネット経済でリーダー的な立場を築きつつあるのは明白だ」とDidiのファウンダーでCEOのCheng Weiは声明の中で述べた。これはUberにとってはかなり痛烈なメッセージだ(中国事業を買収したときの契約に基づき、DidiはUberの株式を一部保有している)。

現在Grabは東南アジアの7か国・36都市で営業しており、アプリのダウンロード数は5000万以上、ドライバーの数は110万人にのぼるとされている。サービスの中心は、営業許可を保有するタクシーや自家用車を使ったものだが、国によってはバイクタクシーやシャトルバス、カープーリングなどのサービスも提供している。

Uberは東南アジア事業の数字を公開していない一方で、インドネシアでGrabとしのぎを削るGo-Jekは、同国ではマーケットリーダーとして考えられている。

またビジネス面に関し、Uberは昨夏に東南アジアの一部で黒字化を果たしたと言われていた。しかし同社は中国市場から撤退した後、東南アジア(+インド)市場への投資額を増やしている(前CEOトラビス・カラニックは中国事業には年間10億ドルかかると語っていた)。Grabの広報担当者は「特定のサービス・都市に関しては黒字化を果たしているが、細かな分類は行っていない」と語ったが、同社が以前行った調査では、東南アジア全域に関し、営業許可のある車両を使った配車サービス市場の95%、自家用車を使った市場の71%をGrabが握っているとされていた。

今後ビジネスをひとつ上のレベルに押し上げるため、Grabはモバイル決済プラットフォームの開発にも取り組んでいる。そのかいもあってか、サービスローンチ当初は現金のみの支払いだったのが、クレジットカードも利用できるようになった。さらに決済プラットフォームの開発を進めるうちに、Grabは東南アジアで最大規模の経済、そして世界第4位の人口密度を誇るインドネシアでのフィンテックサービスに商機を見出した。

昨年Googleが共著したレポートによれば、東南アジアの配車サービス市場の規模は、2015年の25億ドルから2025年までに131億ドルへ成長すると予測されており、インドネシアがその半分以上を占めることになると言われている。Grabもインドネシアの古びれた銀行システムの影にその可能性を感じており、パイを拡大するためにも現代的な金融システムの開発を行っているのだ。

今年のはじめに、同社はインドネシアでのサービス開発に向けた7億ドルの投資プログラムを発表し、そのうち少なくとも1億ドルを企業への出資や買収に投じるとされていた。その後、発表から2か月ほどでオフライン決済スタートアップKudoを買収し、関係者によれば買収額は1億ドル近かったと言われている。

Go-JekもGrabが手をつけ始める前から決済サービスを提供しており、両社の正面衝突は必至だ。Go-Jekに近い情報筋よれば、同社は今年の5月にTencentを中心とする投資家から12億ドルを調達したと伝えられているが、当時Go-Jekはそれを認めず、それ以後も資金調達に関する発表を行っていない。しかし今回のGrabのニュースを受けて、Go-Jekは財務面のプレッシャーを感じていることだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

香港証券取引所に人気再燃の兆し――アジア企業のアメリカ志向を覆せるか

アメリカのいわゆるIPOウィンドウは、昨年の小康状態を経て2017年に再び開いたと言われているが、地球の反対側に位置する証券取引所でも状況が好転しつつあるようだ。

香港証券取引所(HKSE)で、テック企業のIPOがルネサンスを迎えようとしているのだ。昨年12月にはセルフィーアプリのMeituが、テック企業としては過去約10年で最大規模となるIPOを果たし、5億ドル以上を調達した。最近ではPCゲームブランドのRazerや、Tencent傘下で電子書籍サービス企業のChina Publishingも同取引所での上場の意向を示している。

香港は2014年に、その名を世界に知らしめるビッグチャンスを逃したと言われている。当時Alibabaが上場を検討していたものの、HKSEは同社の株主構成を容認できなかったため、結局Alibabaはニューヨーク証券取引所をIPOの舞台に選んだのだ。しかしそれから3年近くが経ち、状況が変わり始めたようだ。

先月中国の深センで行われたTechCrunchのイベントでは、オンデマンド物流企業Lalamoveの幹部が、2020年までに香港で上場する計画だとステージ上で語っていた。今年の1月に行われたシリーズBで3000万ドルを調達した同社で国際部門のトップを務めるBlake Larsonは、アメリカと香港の同時上場という可能性もあるが、「香港でもグローバルなテクノロジー企業をつくれるということを証明するため」同地での上場を優先的に考えていると話した。

海外企業も香港には注目しているようだ。今月行われたRiseというイベントで、TechCrunchがアジアを拠点とする2社(どちらも1億ドル以上を調達し世界中で営業している)のファウンダーに話を聞いたところ、彼らはHKSEでのIPOに向け、かなりの時間を割いて準備を進めていると語った。

Alibabaグループのフィンテック企業Ant Financialにも香港でのIPOの噂がある。しかし同社は今年の始めに最大600億ドルの評価額で30億ドル以上を調達しており、この資金調達によってIPOの計画が最短でも2018年まで先送りされたと言われている

HKSEは、MeituやRazer、China Publishingといった有名企業の誘致には成功したかもしれないが、世界中の企業にとって有力な選択肢となる上では、まだまだ越えなければならない壁がある。

まず、上記3社は全て中国国内で有名な企業やブランドで、これが同取引所に上場するための条件なのだ。さらに財務面での条件も厳しく、スケール中の企業が香港で上場を果たすのは難しい。

「HKSEはテック企業が上場する際のオプションになり得ると思うが、香港政府や投資家は赤字テック企業の分析の仕方やルールを変えていかなければならない」とアメリカ・中国を拠点とするVCのGGVでパートナーを務めるHans Tungは話す。

シンガポールの政府系ファンドTemasekの関連会社Vertex Holdingsで、社長兼CEOを務めるKee Lock Chuaも同じ意見だ。

「HKSEは流動性や評価額の観点から言って、テック企業の上場先としてふさわしい場だ。(しかし)まだ黒字企業が好まれる傾向にある」とChuaはメール内で語った。

「急成長を遂げながらも短期的には赤字のテック企業であれば、アメリカの方が上場しやすいと感じるかもしれない」と彼は付け加える。

別の問題が株主構成に関する条件だ。HKSEは種類株を認めていないことで知られている。これこそAlibabaがアメリカをIPOの場に選んだ理由で、結果同社はアメリカで歴史的な上場を果たし、香港はその様子を指をくわえて見ているしかなかった。

「HKSEはAlibabaの株主構成を容認して、香港で上場させるべきだった。Googleをはじめとするテック企業は、NASDAQ上場の際に種類株を発行していた。Alibabaが香港で上場していれば、潮目は大きく変わっていただろう」とTungは説明する。

その一方で、諸々の条件を乗り越えて上場を果たした若い企業も存在する。

「我々のポートフォリオ企業であるIGG(モバイルゲーム開発)は、当初GEM(新興企業向けの市場)に登録されていたが、その後メインボードに格上げされた。今では同社の時価総額は25億ドルに達する」とVertexのChuaは話す。

先行きが不透明なアメリカの政情と、ユニコーン企業がアジア中で増加していることを受けて、HKSEは有力な上場先になりつつある。しかし、依然アジア企業の上場先としてはアメリカが人気で、直近でIPOを考えている企業ではその傾向が顕著に見られる。

シンガポール発のゲーム企業Sea前Garena)やベトナムのゲーム・メッセージング企業VNG、EC企業のReboonz(VertexとGGVの投資先)といった企業は、VCを中心としたエコシステムから卒業し、新たなチャンスを求めていると言われているが、報道を見るとアメリカでのIPOばかりが話題になっている。

しかし最近では、アメリカで上場したアジア企業(中国企業を除く)に関するいい話を聞かない。

恐らく、マレーシア発のMOL Globalの話がもっとも注目に値するだろう。決済サービスを提供している同社は、NASDAQに上場してからの18ヶ月間、嵐のような日々を過ごした。2014年10月の上場直後に30%も下がった同社の株価は、その後も急落を続け、結局2016年4月には上場廃止となった。皮肉なことに、MOLはRazerに投資していることから、同社のIPOにも関わっている。

新しいアジア企業の中では、Seaが最初にアメリカで上場を果たす可能性が高い(日本のLINEはリスクを分散するため、東京とニューヨークで同時上場した)。彼らのIPOがいつ行われ、株価がどのように動くかということが、同じ道を辿ろうとしている企業の決断を左右することになるかもしれない。その一方で、RazerとChina PublishingがHKSEで上場することで、アジアのファウンダーがアメリカから香港に目を向けるようになるかも注目だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

仮想通貨急騰の背景に中国と日本の影――動き始めた政府と大手企業

【編集部注】執筆者のHugh Harsonoは元金融アナリストのアメリカ陸軍将校。

仮想通貨の価格がここ最近急上昇しており、特に過去数か月間はその傾向が市場全体に見られた。

主要通貨のビットコイン、リップル、イーサリアムは全て値上がりし、ビットコインは2588ドルの高値をつけたほか、リップルとイーサリアムの時価総額はそれぞれ100億ドル、200億ドル前後まで上昇した。

日本と中国は仮想通貨の需要・供給量が桁違いに多く、この価格上昇にも大きく関係している。

出金規制で揺れる中国

ハードウェアと電気料金の安さから、中国はマイニングのメッカとなった。BTCCをはじめとする取引所が運営する巨大なマイニングプールの力もあり、ビットコインネットワークの合計ハッシュレート(採掘速度)の60%は中国によるものだ。

しかし、今年はじめの中国当局による取り締まりの結果、投資家は各取引所から資金を引き出せなくなってしまった。中国は世界でも有数のビットコイン取引量を誇っているため、この影響は市場全体にまで及んだ。

先月には引き出しに関する規制緩和の話が浮上し、中国の経済紙CaixinはOKcoinHuobiBTCCで出金が再開される可能性があると報じていた。この報道を受けて、中国の消費者の間には仮想通貨に対する安心感が再度広がり、価格上昇に繋がった。

中国の穴を埋める日本

中国で仮想通貨の流動性が下がったことにより、日本のビットコイン市場は大きな盛り上がりを見せ、需要が膨れ上がった。

それまでビットコインの取引量全体における日本の割合は1%前後だったにもかかわらず、最近ではこの数字が6%近くまで伸び、日によっては全体取引の約55%が日本で行われていることもある。中国での規制を背景に日本での取引量が増加したことで、グローバル仮想通貨市場も勢いづいた。

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規制対策としての仮想通貨

人民元が中国政府によって厳しく管理されているのも、空前の価格上昇と関係している。中国政府は中国元の価値を完全にコントロールしており、以前から必要に応じて通貨の切り下げを行い国際的な競争力を保ってきた。

しかし、中国で個人資産が増加するうちに、代替資産としての仮想通貨の側面に注目が集まり始めた。つまり、仮想通貨はアクセスがしやすい上にボラティリティが低く、安定性も増してきたと中国の人々は考えており、その結果が価格に反映されているのだ。

一方日本では、日本銀行の量的緩和政策による金利低下(さらにはマイナス金利)も仮想通貨の価格高騰に繋がったと考えられている。

もともと量的緩和は経済成長を促すための政策だったが、日本円の価値は大きく下がり、投資家も日本円への投資を控えるようになった。出口の見えないこの金融政策を背景に、仮想通貨は代替資産として注目を集め、価格が上昇したのだ。

現地の投資家も予想がつかない政府の介入を危惧し、仮想通貨に逃げ道を見出している。

大手機関による仮想通貨の受け入れ

関係機関が仮想通貨を受け入れ始めたということも、価格上昇と大きく関係している。中国の杭州市で最近行われたGlobal Blockchain Financial Summitには、北京大学をはじめとする大学や金融機関などが大きな興味を寄せていた。なお、北京大学は現在イーサリアム研究所を発足しようとしており、そこでは同通貨のプロトコルの改善やアプリケーションへの応用に関する研究が行われる予定だ。

中国人民銀行(PBoC)の下部組織で、金融システムの電子化をミッションとしているRoyal Chinese Mintは、積極的にブロックチェーン技術の採用を提唱しており、予算と人員を一部を割いて人民元の電子化にまで取り組んでいる。

日本でも大手機関が仮想通貨を決済手段として認め始めており、日本全体での利用に耐えうるか調査が行われている。民間レベルで言えば、日本最大の取引所であるbitFlyerには、三大メガバンクの三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行が出資している。

消費者/小売レベルでいえば、ビックカメラがbitFlyerとパートナーシップを結び、一部店頭での決済手段としてビットコインの導入を決めた。さらにリクルートホールディングス傘下のリクルートライフスタイルも、コインチェックと呼ばれる取引所と共同で、モバイルペイメントサービスをローンチすると発表した。このように大手企業での採用が進むことで、仮想通貨は日常的な決済手段としてだんだん日本国民にも受け入れられつつあるようだ。

上記のような中国と日本の大手機関による仮想通貨の受け入れも、仮想通貨全体の価格上昇につながっている。

政府による仮想通貨の受け入れ

中国政府が仮想通貨の規制に乗り出したことで、数か月前にはビットコインの価格が1000ドル前後まで落ち込んでしまった。

しかし、PBoCによる規制の動きは、決済手段としての同テクノロジーの力を物語っているとも言える。さらに中国政府は独自の電子通貨さえ作ろうとしているのだ。

ビットコインの出金規制緩和の可能性に関する発表以外にも、PBoCは最近ブロックチェーンを利用した独自の仮想通貨の実験を終えた。この実験には中国初のオンラインバンクであるWeBankのほかにも、中国銀行や中国工商銀行など大手金融機関が参加していた。

日本政府も今年の4月1日からビットコインを正式な決済手段として認め、入札手続きへの仮想通貨導入に向けて動き出した。

さらに日本は中国に先駆けて取引所の登録制度を導入し、仮想通貨を金融庁の監視下におくことを決定した。bitFlyerをはじめとする大手取引所は既に申請済みのようで、制度面が整備されたことを受け、今後さらに日本国内外の仮想通貨取引が加速することになるかもしれない。

また、新しい資金決済法のもとでは仮想通貨に消費税が適用されないため、ビットコインの投資対象としての魅力がさらに増すことになる。

中国では独自通貨の開発が進められ、日本ではビットコインが正式な決済手段として管理されるようになるなど、両国で仮想通貨が受け入れられはじめたことで、市場は今後さらに盛り上がっていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

韓国のチャットアプリKakao、モビリティ部門を分社化し4億3700万ドルを調達

およそ5000万人のMAU(月間アクティブユーザー)を誇る、韓国で一番人気のメッセージングサービスKakao。その運営元のKakao Corp.は、国内ではUberにも勝る配車サービスを運営しているモビリティ部門を分社化し、引き続き事業の多角化に取り組んでいる。

さらに「Kakao Mobility」の分社化を受け、米投資会社TPGは5000億ウォン(約4億3700万ドル)を同社に投資した。なお、TPGのポートフォリオには、AirbnbやSpotifyのほか、Kakao Mobility最大のライバルUberが含まれている。

分社化は「意思決定の迅速化と積極的な市場拡大」を目的にしていると、2014年に数十億で大手ネット企業Daumと合併したKakaoは述べた。

Kakaoの成長維持に関してプレッシャーを感じている36歳のCEO Jimmy Rimは、主要部門の分社化を通してビジネスの増強を図ってきた。今回のニュースの数か月前にも、同社はモバイル決済サービス「Kakao Pay」やその他の金融サービスを運営するKakao Pay部門を分社化し、Alibabaのフィンテック子会社Ant Financialから2億ドルを調達していた。

Kakao Mobilityが運営するプロダクトの中でもっとも有名なのは、2年前にソウルでローンチした配車サービスのKakao Taxiだ。同プロダクトは、韓国におけるKakaoの支配力(国内で利用されているスマートフォンの95%にインストールされている)を活用し、メッセージングサービス以外の分野に進出するためにつくられた。なお、Kakao Taxiでは現在1日あたり150万件の配車依頼を受け取っており、既に日本への進出も果たしたとKakaoは話す。

一方、Uberは韓国での業績を発表しておらず、苦戦を強いられているようだ。

韓国政府は2014年に、当時CEOだったトラビス・カラニックに対して逮捕状を発行しており、UberXに関しては、2015年に無許可営業を理由に同国から撤退して以降、復活の話は耳にしていない。同年にはどうにかUber Blackのサービスが再開され、外国人や公務員、65歳以上の高齢者の利用に限るというルールもようやく撤廃された。

つまり、Uberは韓国市場には未だ十分に入り込めておらず、KokaoやCallbusといった競合サービスが現在でも幅をきかせている

配車サービス以外のKakao Mobilityの事業としては、270万人のMAUを誇る運転代行サービス「Kakao Driver」や、2016年2月のローンチから登録ユーザー数が1000万人まで増えた地図サービスの「Kakao Navi」などが挙げられる。

今回調達した資金は、さまざまな新サービスの導入に使われることになる。具体的には、法人向けのKakao Taxiや、Kakao PayのKakao Taxiへの導入、試験走行サービスのほか、日本以外の海外市場への進出などが予定されている。さらに同社は、Kakao DriverとKakao Naviの機能拡充も行おうとしている。

「これまであまりインターネットと関係していなかった業界のオンライン化が、世界中で急速に進んでいる。特にモビリティ分野には大きなチャンスが眠っており、注目が集まっている」とKakao MobilityのCEOに就任したJoohwan Jungは声明の中で述べた。

さらに彼は、「無限大の可能性をつかむため、戦略的パートナーシップや優秀な人材の採用を通じて、モビリティサービスのユーザーや顧客企業に新たな価値を提供していきたいと考えている」と記した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

中国のバイクシェアリングサービスOfo、自転車を広告化――北京でミニオン風の自転車を発見

週末にピッタリな話として、中国各地に広がるバイクシェアリングスタートアップ、そして彼らの自転車に関する話をお届けしたい。この度、業界の最前線にいる大手企業が、自転車を広告スペースとして使い始めたことがわかった。

2社あるユニコーン企業のひとつで、ドックレスのバイクシェアリングサービスを提供しているOfoが、ユニバーサル・ピクチャーズの『怪盗グルー』シリーズ第3弾(原題『Despicable Me 3』)の公開を控え、人気キャラクターミニオン風にカスタマイズされた自転車を配備しているのが見つかったのだ。

これは中国で現地のテック業界を追うEdmond Lococoが発見したもので、彼は本日(現地時間6月30日)北京の中心部にあるビジネス街で、たまたまミニオン自転車を見つけたと教えてくれた。下の写真からわかる通り、車輪の内側には映画の広告が貼られており、ハンドルの真ん中にはミニオンのゴーグルが取り付けられている。Ofoの自転車はもともと黄色なので、そこまで違和感もない。

同社によればサービスの利用回数は1日あたり1000万回にのぼるため、確かにOfoの自転車は広告主にとっては魅力的で新しい広告媒体として映るだろう。さらに、レンタル料は1回あたり1ドル以下に設定されているため、広告のような新しい収益源が彼らにとってどれだけ重要かというのも想像に難くない。

先週深センで行われたTechCrunchのイベントには、Ofoと彼らの最大のライバルMobikeの幹部が参加し、どちらも都市計画の手助けや渋滞の解消などのために自分たちのサービスがいかにユーザーデータをうまく利用しているかについて話していた。

レンタル料の安さもあり、これまでマネタイズはどちらの企業にとっても大きな問題だった。しかし、何億ドルという資金を調達し、何百万人というユーザーを獲得した両社の規模をもってすれば、自転車の貸出以外のビジネスにも参入していけるのは間違いない。

多い日には1日の利用回数が2500万回にのぼると言われているMobikeも、オンデマンド配達や小売店での割引サービス、データサービスといった将来的なマネタイズの手段を模索しているとCTOのJoe Xiaは先述のイベントで語っていた。しかし、その中に広告は含まれていなかった。

現在Ofoにミニオン自転車や今後の広告ビジネスに関するコメントを求めているので、新たな情報が入り次第この記事をアップデートしていきたい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

30歳未満の消費者の90%がターゲット――新興市場の人々の生活を支えるフィンテック

【編集部注】執筆者のJoshua Matemanは、中国本土を拠点に金融、アントレプレナーシップ、テクノロジー、消費動向、農業、ゲーム、スポーツ、アートに関する執筆活動を行っている。

国家が繁栄するにつれて、国民は郊外から大都市や海外に移り住み、経済力をつけながらグローバル経済に参加する。

そして彼らは食べ物を購入し、電気料金を支払い、交通機関のICカードをチャージし、オンラインサービスの料金を支払い、海外から商品を購入し、ローンを返済し、親戚に送金しなければならない。

しかし、国民の93%が銀行サービスを利用できるアメリカとは違い、発展途上国の市民の多くにとって銀行は縁遠い存在だ。世界中で約20億人の成人が正規の金融サービスにアクセスできない状態にある上、彼らが利用できるサービスはプロセスが複雑で料金も高いものばかりだ。

この問題を解決するために、フィンテックスタートアップはさまざまなオンライン・モバイルサービスを開発しており、消費者にも歓迎されている。特に若い世代は段々とネット銀行を受け入れるようになっており、30歳未満の消費者の約90%はいわゆる新興市場に住んでいる。

Paul Wuが、モバイル通信キャリアのためにアプリストアの開発を行うGMobiを立ち上げたのは、2011年のことだった。その後、同社は外部サービスのためのモバイルウォレットをローンチ。現在ではGMobiに在籍する100人の社員のうち、約3分の1が同社のモバイルペイメントサービス「Reach Pay」に取り組んでおり、このサービスはGMobiの新たな収益源として急成長を遂げている。

台湾発のGMobiは文化的、言語的に近いことから、まず中国本土への進出を模索したが、AlipayとTencent Payという二大サービスがすでに市場を席巻していた。「もう中国本土には進出できません」とGMobiの本社で台北郊外の山を眺めながらWuは言った。「中国の競争は死ぬほど厳しんです」

そこでGMobiはインドに目を向けることにし、数年間の準備期間を経て、プリペイド携帯のチャージや送金ができるモバイルウォレットOxymoneyをローンチした。ユーザーのほとんどは社会経済的地位の低い人たちでパソコンも持っていないため、GMobiはモバイルでのサービスのみ提供している。

例えば、ニューデリーに移り住んだ農村出身の労働者が、故郷の親にお金を送りたいと考えているとする。現状だと、普通は街中にある送金業者の店舗を訪れ、用紙に必要事項を記入し、どう計算されているのかよくわからない料金を支払って送金を行い、それから数日〜1週間経って親が住む農村部の銀行にお金が届く。

しかしOxymoneyを使えば、上記のプロセスにおける無駄や面倒くささがなくなる。WuはOxymoneyのプロセスを、GMobiの役員室でホワイトボードとマーカーを使って説明した。現状のフローは「消費者→業者→お店→消費者」へと簡略化できると彼は言うのだ。

ユーザーがOxymoneyを使って送金すると、まず大手の送金業者のもとにそのお金が届く。農村部に住む親も銀行口座を持っていない可能性が高いので、その後お金は銀行口座を保有している村のお店のもとに届き、親はそこでお金を回収することができるという仕組みだ。

このプロセス全体にかかる時間は約1日で、ユーザーは送金額の1%を手数料として支払う。ミニマム料金は設定されていないが、GMobiの1000万人におよぶインドのユーザーは、通常1件あたり15〜30ドルを送金している。

「私たちは金融サービスを効率化することで、中産階級〜下位中産階級の人々の経済状況を改善する手助けをしたいと考えています」とWuは語った。「まだまだ銀行の店舗を訪れる人が多いので、これからも積極的に消費者を教育していかなければいけません」

インド全体としての動向も同社を後押ししている。スマートフォン市場の伸びが世界一のインドでは、2021年までに携帯電話の契約数が14億件に達すると予測されている。さらに、インド政府はG20に送金手数料の削減を急ぐよう要請しており、インドの都市化が進むにつれて(現在人口の3分の1が都市部に住んでいる)送金額も増えていくだろう。

デジタル・インディア」構想のもと、政府は通貨や決済を含め、生活のあらゆる側面の電子化を推し進めている。

「この構想のおかげもあって、私たちは急成長しているんです」とWuは話す。

デジタル化構想がスタートアップの追い風となっている一方で、それに異議を唱える人もいる。コメディアンのBill Burrは、デジタル化構想が進むにつれて第三者に自分の情報が管理されるようになってしまうことを危惧しており、ポッドキャストの中で「全員にマイクロチップが埋め込まれるような世の中に向かって進んでいる」と語った。

現状、GMobiは国内送金だけ取り扱っている。海外送金についても考えてはいるが、実際に取り組むとなると、文化的にもオペレーション的にも規制的にもかなりの負担がかかってくる

「各国でライセンスを取得しなければならず、一定の資本金が必要になる上、現地の銀行と接続するために別のプロセスも経なければいけません」とWuは言う。「そのため、海外送金をはじめるのは簡単なことではないんです」

反マネーロンダリング規制が厳しさを増す中、海外送金には時間がかかるだけでなく、送金者が銀行の窓口を訪れなければいけないということもよくある。しかし、100人の社員を抱えるdLocalはその状況を変えようとしている。

送金用のインフラを開発するdLocalは、企業やお店(先進国が中心)が顧客(新興国が中心)からの支払いを受け取れるような仕組みを提供している。

例えば、FacebookやAirBnB、Uberといった企業がアジアや南米でサービスを提供した場合、それぞれの市場でオペレーション上の違いがあるため、支払いを受け取るのにも一苦労する。そこでdLocalは、SMSやモバイルウォレット、オンライン送金、クレジットカード、データカード、デビットカード、さらには現金まで含めた150種類以上の支払い方法をカバーする単一のプラットフォームを運営しているのだ。

dLocalの共同ファウンダーでCEOのSevastian Kanovichは、成功の理由について次のように語っている。「新興国に住む人たちは海外でも使えるクレジットカードを持っていないため、それ以外の方法で決済をしたいと思っています。しかも実際に彼らがどんな決済手段を使いたがってるかというのは、国によってさまざまです」

9年前、まだ南米のウルグアイに住んでいたKanovichは、dLocalのようなサービスの需要を目の当たりにした。当時、消費者はオンラインで商品を購入しても、海外で使えるクレジットカードをもっていなかったため支払いを完了することができなかったのだ。Kavonich自身は海外対応のクレジットカードを持っており、よく友人にそのカードを貸していた。

「消費者側はオンラインで商品を購入する気があるのに、お店側には彼らのお金を受け取る準備ができていなかったんです」とKavonichは言う。

個人間の送金だと顧客確認(Know-Your-Customer: KYC)や反マネーロンダリング(Anti-Money-Laundering:AML)規制をクリアするのが難しいため、dLocalは取引関連の決済のみを取り扱っている。彼が各国の中央銀行とP2P決済について話したところ、「全く別の話で、P2P決済だとさらに規制が厳しくなる」ことがわかったのだ。

国によっては規制変化の見通しが立ちづらく、これが彼らにとっての障害となっている。「ゲームのルールが完全に固まっているということはなく、政府がルールを変更することもあります」と彼は言う。「これこそ、私たちにとって最大の脅威なんです」

このような課題はいくつかあるものの、Kanovichはそれに怯むことなく前に進もうとしている。dLocalは現在18か国でサービスを提供しており、今年中にその数を30か国まで増やす予定だ。特にトルコ、コロンビア、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、チリで人気のdLocalだが、Kanovichはアフリカやアジア太平洋地域に大きなチャンスが眠っていると考えている。

dLocalは「グローバル化の波にのって進み、大きなチャンスをつかもうとしています」と彼は言う。

その他に成長が見込まれる領域といえば仮想通貨が考えられるが、dLocalは現時点では仮想通貨をサポートしていない。Kanovichは個人的にはビットコインを支持しているが、彼によれば新興国の銀行はそこまで乗り気ではないようだ。「仮想通貨がもう少し一般に普及するまで待ってからでないと、各国の中央銀行を説得するのは難しそうです」

最近資金調達を行ったフィリピンのCoinsは、公共料金の支払いや送金、プリペイド携帯のチャージ、世界中のサイトでのオンラインショッピングを携帯電話から行えるサービスを運営しており、決済手段のひとつとして仮想通貨を受け付けている。

そもそもCoinsは「金融サービスのギャップを埋めるため」に設立されたと、ビジネスオペレーション部門を率いるJustin Leowは話す。「特に発展途上国では利用できる金融サービスにかなりの格差があります」

彼らの提供するサービスのひとつにP2P決済がある。海外へ出稼ぎに出た人をターゲットに、Coinsは従来の送金業者よりも安く、効率的に、早く母国へお金を送る手助けをしているのだ。これまで10%近くかかっていた手数料も、Coinsを使えば2~3%の範囲に抑えられる。

例えば、香港に住む出稼ぎ労働者が毎月の所得700ドルの半分にあたる350ドルを母国のフィリピンに送金しているとする。彼にとって35ドル(10%)と10.5ドル(3%)の手数料の差は大きい。

統計によれば、世界中で毎年6010億ドルが送金されており、そのうちの約75%が発展途上国に関連したものだとされている。さらに、世界銀行のデータによれば、国民の10%が海外に住んでいるフィリピンだけでも、年に280億ドルが国境を超えて送金されており、二大送金先のインドと中国への送金額は年間600億ドルにのぼる。

フィリピンの銀行では最低預入残高が高く設定されているため、人口の3分の1以下しか銀行口座を持っていない。銀行口座の保有者よりもFacebookユーザーの方が多いくらいだ。

「つまり、銀行はかなりの数の人にサービスを提供できていません。しかし、私たちはこれまでに開発してきたモデルのおかげで、彼らの需要を満たすことができるのです」とLeowは言う。

CoinsはビットコインやStellarなどの仮想通貨もサポートしている。「仮想通貨を扱っているからこそ、世界中の送金を扱うプラットフォームとして機能できるんです」と彼は続ける。

Coinsのインフラにはブロックチェーン技術が採用されているが、顧客は裏で何が起きているかを完全に理解する必要はないとLeowは言う。「顧客が気にしているのは、送金先にきちんとお金が届くがどうかということですからね」

その一方で、Coinsが仮想通貨をサポートしているからといって、銀行のビジネスが脅かされるわけではない。「私たちのサービスには(銀行が)必要なんです。その代わりに、私たちはこれまで銀行がリーチできなかった人たちを取り込むことで、彼らのビジネスに貢献しています」

このような動きは結果的に消費者のメリットに繋がる。従来の銀行は顧客の情報を十分に把握できていないことが多いが、テック企業は顧客の趣向や行動に関するデータを収集し、ニーズに合わせたサービスを提供することができるのだ。

そして、銀行口座を持たない人を対象にサービスを提供している企業には、金銭的、そして社会的なメリットがある。

「Coinsがターゲットとしている市場には心躍るようなチャンスが眠っていますし、私たちは大勢の人の生活に良い影響を及ぼすことができるんです」とLeowは語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter