ソフトバンクがWeWorkの経営権を握る、評価額は8100億円程度と6分の1以下

いっとき470億ドルの評価額を得たコワーキングスペースのWeWorkだが、わずか75億ドル(約8100億円)の評価額でソフトバンクの支配下に入ることになったとCNBCが報じた

ソフトバンクは当初からのWeWorkへの投資家であり、CNBCによれば今後40億から50億ドル(約4300億円〜5400億円)を出資する見返りに新規および既存の株式を含め、所有権の8割近くを得るという。この契約は早ければ米国時間10月21日にも正式発表される。この資金はWeWorkが運営を続けるうえでの命綱となる。 同社はあと数週間で資金が枯渇する状態にあり、キャッシュの流出をわずかでも減らすために資産の一部の売却を図っていた。

WeWorkは報道に対してコメントを避けた。報道によれば、経営権を取得するのはソフトバンク・ビジョン・ファンドの親会社であるソフトバンクグループであり、同社の最高業務責任者のマルセロ・クラウレ氏がWeWork再建の指揮を取るという。

日本のテレコムの巨人であるソフトバンクは、WeWorkの共同創業者でCEOのアダム・ニューマン氏が事実上解任されてからきっかり4週間後に経営権取得の動きに出た。ニューマン氏は非常勤の会長といいう暫定的な役職に就いている。今回の動きはWeWorkが期待されていた株式上場を中止してから3週間後にあたる。WeWorkの副会長、Sebastian Gunningham(セバスチャン・ガニンガム)氏とプレジデント兼CEOのArtie Minson(アーティー・ミンソン)氏が現在同社の共同CEOを務めている。

こうした劇的な人事異動ではWeWorkでは最高コミュニケーション責任者のJimmy Asci(ジミー・アスキー)氏、最高マーケティング責任者のRobin Daniels(ロビン・ダニエルズ)氏他数名の幹部が会社を去っている。同時にWeWorkでは数百人をレイオフし、同社の起業家スクールのWeGrowも2020年に閉鎖すると決定した。

WeWorkは2020年に上場を図るものと期待されていたが、JPMorgan(JPモルガン)に最後の瞬間まで資金注入を求めて交渉を続けていた。いい教訓になる話かもしれないが、同社はこの後何カ月にもわたって途方もない大盤振る舞いの運営を縮小し資金の流出を防ぐ努力を続けていく必要があるだろう。

WeWorkは80億ドル(約8600億円)以上の資金を株式発行と借入によって調達 した後、8月にかなり普通でない上場目論見を明らかにした。 今年6月30までの半期で10億ドル(約1086億円)近い損失を記録しているにもかかわらず、同社は470億ドル(約5兆1044億円)という途方ない会社評価額を維持していたが、これはもっぱらニューマン氏のカリスマ的な資金調達能力が支えていた。

ニューマン氏はCEO辞任を認めた声明でこう述べている。「WeWorkの共同創業者として、過去10年でこの素晴らしい会社を築き上げたチームを誇りに思う。我々のグローバルプラットフォームは今や29カ国の111都市にまたがり、毎日52万7000人以上の会員が利用している。事業はかつてなく好調だが、ここ数週間私自身に向けられた調査がわが社にとって大きな障害となっていた。そのたCEOの職を退くことが社にとって最善との結論に至った。同僚、会員、パートナーであるスペースオーナー、投資家のみなさんにWeWorkの事業を信じていただいていることに感謝する」。

画像:Getty Images

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

WeWorkの共同創業者は会社の支配権を孫子の代まで受け継がせる計画だった

WeWorkの共同創業者のAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏は、家族による会社の支配を自分が死んでも終わらせず、ニューマン家の未来の世代にも引き継がせる計画だったとBusiness Insiderが報じた。

同紙によると、ニューマン氏は今年1月の社員向けスピーチで、WeWorkは「現在支配されているのではない。世代に渡って支配されている」と同紙が見たという動画で語っていた。妻のRebekah Neumann氏との間の子供5人は「会社を経営する必要はない」が「会社の道徳的指針にならなくてはいけない」とも語った。

Business Insider紙によれば、ニューマン氏は将来の孫たちについても言及した。「将来、おそらく100年後、あるいは300年後に私の玄孫が会社にやってきて、『ちょっと、私のこと知らない?この会社を支配しているのは私。あなた方のやっていることは、私たちの作りあげたものとはちがう』と言えることが大切だ」と同氏は話した。

突飛な発言に思えるかもしれないが、ニューマン氏にはドラマチックなことを言う才能がある。例を挙げると、今年Fast Company誌の取材に対しWeWorkを希少な宝石にたとえ「ダイヤモンドができるまでにどれだけ時間がかかるか知っていますか?」と話していた。

しかし、WeWorkが綻びを見せ始める前、同氏には自分のパワーを子孫たちに伝えられると信じる理由があった。上場企業の株主でも認識していない人は多いが、同氏を始めとする多くのIT企業の創業者は、デュアルクラス株と呼ばれる仕組みによって創業者らに一般株主より多くの議決権を与える仕組みを作っており、その権利は上場後の一定期間だけでなく生涯にわたる場合や子どもたちに受け継がせることができる場合さえある。

TechCrunchは先月この問題を仮説の1つとして取り上げ、SECの委員長で法律学教授でもあるRobert Jackson(ロバート・ジャクソン)氏の発言を紹介した。昨年同氏は、2004~2018年の間にデュアルクラス株を発行した上場企業の半数近くで、企業インサイダーらが「並外れた数の議決権を永久に」保持しているという現状を語った。

ジャクソン氏は「そうした企業は株主に対して、経営陣のビジネス判断を、5年、10年、50年でもなく、永久に信じることを求めている」と警告した。永久デュアルクラス株は「創業者の子供、子供の子供、さらには孫の子供たちのことも信用しろと言っている。これは、この国の上場企業もみんなの年金プランも、ごく少数のエリート企業インサイダーが永久に支配し、その権利は子孫へと受け継がれていくことを意味している。

そんなことを心配しなくてもWeWorkの例を見るように市場が答を出してくれると思うかもしれない。しかし、どの会社もあんな明らかなミスを犯すわけではないし、ニューマン氏だってもっとうまく立ち回れていたかもしれない。こうしたトレンドを誰かが止めることはできるのか、一般投資家はこうした状況に耐えられるのかが今後の問題だ。

同氏がそんなシナリオを描いたのは彼が異常だったからではない。かといって、正気だったわけでもない。上場後の一定期間、創業者に強い議決権を与えることは、デュアルクラス株擁護派が以前から挙げているさまざまな理由により、多くの人たちにとって理解することが可能だ。しかし、公開企業を支配する権力を子どもたちに与えることは、正気とは言えない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WeWorkのニューマンCEOが辞任、非常勤の会長職に

WeWorkは米国時間9月24日、同社の共同創業者Adam Neumann(アダム・ニューマン)氏がCEOを辞任した、と発表した。辞任に関しては、これより前にThe Wall Street Journal(WSJ)が報道していた。ニューマン氏は非常勤の会長となる。WeWorkの副会長であるSebastian Gunningham(セバスチャン・ガニングハム)氏と同社会長でCOOのArtie Minson(アーティー・ミンソン)氏が共同でCEOを務める。

ニューマン氏の一連の奇妙な行動の中でも、WSJがニューマン氏のドラッグ使用や、イスラエルの首相になるという願望を報道したあと、辞任要求のプレッシャーが高まっていた。

「WeWorkの共同創業者として、チームや過去10年で築き上げた素晴らしい会社を誇りに思う」とニューマン氏は発表文で述べている。「我々のグローバルプラットフォームは今や29カ国111都市にまたがり、毎日52万7000人超の会員が利用している。事業はかつてなく好調だが、ここ数週間私自身に向けられた精密な調査が大きな障害となっていた。そして私がCEO職を退くことが社にとって最善との結論に至った。同僚、会員、パートナーであるスペースオーナー、投資家のみなさんにWeWorkの事業を信じていただいていることに感謝する」。

ニューマン氏の妻でWeWork共同創業者のRebekah Neumann(レベッカ・ニューマン)氏も同様に役職から退いたとされている。レベッカ氏は過去数年、最高影響責任者や最高ブランド責任者などいくつかの役職を担っていて、最近ではWeWorkの自発的な起業家スクールであるWeGrowの共同創業者とCEOも務めていた。

コワーキング分野で輝かしい存在のWeWorkに数十億ドルもつぎ込んだ日本の投資家・ソフトバンクは、WeWorkが予定しているIPOを前にCEO職を辞任するようニューマン氏に促したとされている。WSJは、会長職への移行でニューマン氏は「自身が興した、米国で最も価値あるスタートアップのひとつである同社に居続けることになるが、と同時にWeWorkが経営陣を刷新し、さらなる成長を続けるために必要とする資金を調達できるかもしれないIPOを追い求めることができる」としている。

WeWorkは先月、エクイティとデットで80億ドル超(約8565億円)を調達した後に異例のIPO目論見書を公開した。ニューヨーク拠点の同社は、6月30日までの6カ月で10億ドル(約1070億円)近くもの損失が発生したもかかわらず、主にソフトバンクが数回にわたって投資したおかげでバリュエーションは470億ドル(約5兆315億円)と巨額になっていた。

ウォール街の投資家たちは驚くようなバリュエーションについて懐疑的だった。そのためWeWorkがバリュエーションを150億ドル(約1兆6080億円)に抑制することを模索するというレポートにつながり、これは世界で最も価値あるプライベート会社のひとつである同社にとって大きな敗北となった。結局、WeWorkは今年末までに上場するとして計画を延期した。

ウォール街の懸念を和らげるためのさらなる措置として、WeWorkはS-1書類を修正し、独立した同社初の女性役員となるFrances Frei(フランシズ・フライ)氏の指名を盛り込んだ。さらには、ニューマン氏が他の株主の20倍の議決権を持つことがないよう、クラスB株とクラスC株の権利を減らした。それから、同社の後継者計画からニューマン氏の妻を除外した。

最新のニュースによると、ニューマン氏の議決権付き株式は10対1から3対1に減らされる。

一方、WeWorkは赤字の営業コストを減らすために銀行と対策を練っている。The Informationは、WeWorkが最大で全社員の3分の1にあたる5000人を削減するかもしれないと報道している。

WeWorkのIPOに向けた動きは、否が応でもUberのIPO前の苦労を思い起こさせる。両社とも何年もの間、ニューマン氏とTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏という言いたい放題のトップに率いられてきた。早い話、2人とも数十億ドルを調達できるかもしれないIPOについて懸念を募らせた怒れる役員メンバーによって追い出された。

WeWorkの株式公開を実現するための苦戦ぶり、それから上場企業として低迷しているUberのパフォーマンスを考えた時、おそらくプライベートマーケットの投資家たちは、シリコンバレーの魔法の粉はウォール街では力を持たないことに気づくだろう。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)