英国政府、ポルノサイトの年齢確認の復活なるか?

英国政府は、インターネットプラットフォームのコンテンツに関する包括的な規則を定めた次期法案に、ポルノサイトの年齢制限の設置義務を新たに追加することを発表した。これは、子どもがポルノにアクセスしたり、偶然見つけたりすることを防ぐために、アダルトサイトに「年齢認証技術」の使用を義務付けるという政府の長年の目標の復活である。

デジタル・メディア・文化・スポーツ省(DCMS)は「セーファー・インターネット・デー」に合わせてこの発表を行い、子どもの保護に関する大衆的なレトリックを強化している。

DCMSによると、未成年者のアクセスを防ぐためのポルノサイトに対する法的義務は、ポルノサイトをOnline Safety Bill(オンライン安全法案)の対象にすることで実現されるという。オンライン安全法案は、2021年5月に政府が制定した、でに非常に広範な法案を、さらに拡大するものである。

この法案は当初、ユーザーが作成したコンテンツに付随するさまざまな「害悪」に焦点を当てていた。しかし、児童安全の活動家は、実際のポルノを提案された法的義務の対象外とすれば制度全体が弱体化すると警告し、政府もその点を認めたようだ。

Chris Philp(クリス・フィルプ)デジタル大臣は声明の中で次のように述べる。「子どもはあまりにも簡単にオンラインでポルノにアクセスできます。保護者が『子どもはオンラインで見てはいけないものを見ないように保護されている』という安心感をもてるようにしなければなりません」。

「私たちは現在、オンライン安全法案を強化し、すべてのポルノサイトに適用して、子どもたちにとってインターネットをもっと安全な場所にするという目的を達成しようとしています」。

DCMSによると、今回の法案には、ポルノサイトはどのような年齢認証技術を使用して、利用者が18歳以上であることを「確実に」確認する必要があるかは明記されていないという。

DCMSは「成人側が、安全な年齢認証技術を使用してクレジットカードを所持していることや18歳以上であることを証明したり、第三者サービスに政府のデータと照らし合わせて年齢を確認することなどが考えられる」と提案している。

「新しい法的義務をどのように遵守するかを決める責任は企業自身にあります。Ofcom(英国放送通信庁)は、ユーザーデータの処理を最小限に抑えることができる、幅広い年齢認証技術の利用を企業に推奨する可能性があります」と政府は延べ、次のように続ける。「 この法案は、特定のソリューションの使用は義務付けていません。イノベーションと、将来のより効果的なテクノロジーの開発と利用を可能にする柔軟性が不可欠だからです」。

児童安全の活動家は、オンライン安全法案のさらなる拡大を求めているが、市民の自由権やデジタル権(個人がデジタルコンテンツにアクセスする権利)を訴える活動家たちは、個人の権利や自由に対するリスクを引き続き警告し、あらゆる種類のインターネットコンテンツを規制するという大規模な計画の実現性にも疑問を投げかけている。彼らによると、この法案は、オンライン上の表現を萎縮させる恐れがあると同時に、英国でのデジタルビジネスの障壁にもなりかねないという。

後者についてはともかく、現在検討されているように、ポルノサイトへの年齢確認の義務化や、何らかの形で年齢確認を行い責任を軽減するようプラットフォームに働きかける「注意義務」制度などを盛り込んだ法案が実際に成立すれば、少なくとも年齢認証業界は大きな収益を上げることになりそうだ。

プライバシーや市民的自由に関する批判に対応するために、DCMSのプレスリリースでは、ポルノサイトが導入を義務付けられる年齢認証技術は「完全な身元確認は必要としない」としている。

また、ユーザーが身分証明書などを使って年齢を証明する必要がある「かもしれない」としながらも、企業が導入するソリューションでは「年齢確認の目的とは無関係のデータを処理または保存してはならない」と規定している。

(DCMSのプレスリリースは)「現在利用可能なソリューションには、携帯電話会社が保有する情報とユーザーの年齢を照合する方法、クレジットカードを使って照合する方法、パスポートデータなど政府が保有するデータを含むデータベースを使って照合する方法などがある」として「使用する年齢認証技術は、安全かつ効果的で、プライバシーを保護するものでなければならない」と強調する。

DCMSは、年齢認証技術を「使用または構築」する企業は、英国のデータ保護規制を遵守する必要があり、さもなければ英国個人情報保護監督機関(ICO)から強制措置を受ける可能性があると指摘する。

しかし、政府が同時に国内のデータ保護体制の簡易化を検討していることは注目に値する。DCMSは、人々のプライバシーを低下させることで、デジタルビジネスの「革新」を促進するかもしれないと示唆しているが、より明白な影響、すなわち、商業的なデータマイニングを野放しにした場合、個人のデータ侵害や誤用のリスクは大幅に拡大し、セキュリティ違反やスキャンダルのパイプラインを並べることで、デジタルサービスに対する国民の不信感を確実に高めることになる、という点を考慮していない。

DCMSは、英国の既存の個人情報保護法は、年齢・身元確認の義務化などにともなうポルノユーザーやインターネットユーザーの不正な追跡を防ぐことができると主張しているが、ICOがアドテックによるインターネットユーザーの不正な追跡をまったく阻止できなかったことを考えると、DCMSの主張も批判的に検討する必要がある。ICOが方針を180度転換し、英国のポルノユーザーが私的に楽しむ権利を強固に守るために、注意が大好きで企業に優しい規制当局がポルノサイトの年齢確認基準を積極的に尋問することを想像すると、控えめに言っても相当の不信の停止(批判を一時停止し、非現実なものを受け入れること)が必要がある。

しかし、政府のプレスリリースにはこのような詳細は書かれていない。むしろDCMSは、提案されているオンライントラッキングの拡大を「オンラインでの年齢確認は、オンラインギャンブルや年齢制限のある販売など、他のオンライン分野ではますます一般的になっている」として単に常態化しようとしている。

その上で「業界と協力して、企業が年齢認証技術を利用する際に従うべき強固な基準を策定し、Ofcomもオンラインの安全体制を監督する際にそれを利用できることを期待している」と述べる (つまり「産業界が年齢認証技術をどのように利用するかについては、我々が産業界と協力して考えるから、ユーザーが心配する必要はない」というのが政府の方針なのだ。えーっと……)。

英国政府は以前、ポルノサイトに年齢確認を義務付けようとしたことがある。しかし、年齢確認を義務化することは技術的にも規制的にも困難であり、また、アダルトサイトの利用者全員に本人確認を求めることはプライバシーの観点からも問題があるとの批判を受け、2019年にこの計画をひっそりと取り下げざるを得なかった。それにもかかわらず、政府は、このコンセプトを、すでに準備中のオンライン上の有害性に対するより包括的なアプローチに組み込めるように取り組むとしている。

このような「ポルノブロック」の波乱に満ちた過去や、拡大し続けるオンライン安全法案の範囲と野放図な表現の制限をめぐる現在の論争にもかかわらず、DCMSは法案の見直しを提案するのではなく、さらに項目を追加してインターネットコンテンツの規制を倍増しようとしている。

2月5日、DCMSの国務長官であるNadine Dorries(ナディン・ドリーズ)は、メディアのインタビューに応じ、犯罪コンテンツに新たに追加された項目について言及した。それにはオンラインでの麻薬や武器の取引、密入国、リベンジポルノ、詐欺、自殺の助長、売春を扇動・管理して利益を得ることなどが含まれ、取り締まりを強化するために法案の文言に追加されるという。

同氏は、オンラインやデジタルデバイスを使用したDV(ドメスティックバイオレンス)や強姦・殺害の脅迫に対処するために、新たな刑罰を法案に追加することも発表した。

この追加により、対象となるプラットフォームでは、積極的に識別して削除することが求められるコンテンツの種類が大幅に拡大される(単にユーザーからの問題コンテンツの報告に対応するだけには留まらない)。

つまり、これまでプラットフォームが何十年にもわたって享受してきた法的責任体制が大きく変わることになり、プラットフォームの運営やコスト、オンライン上の言論に大きな影響を与えることになる。

DCMSは2月4日に発表したプレスリリースで、次のように示唆している。「優先度の高い犯罪に積極的に取り組むために、企業は自社サービスの特徴、機能、アルゴリズムが、これらの犯罪への遭遇を防止し、これらのコンテンツの利用時間を最小限に抑えるように設計されていることを確認する必要があります」「これは、自動または人力によるコンテンツの修正、違法な検索ワードの禁止、疑わしいユーザーの検出、利用を禁止されたユーザーが新しいアカウントを作成できないようにするための効果的なシステムの導入などで実現可能です」。

法案で提案されている、この高度に規制されたコンテンツモデレーション体制(コンテンツをチェック・評価して不適切なものを除外する体制)を実施するために手段には、規制に準拠していないプラットフォームに対して最大で全世界の年間売上高の10%という大規模な金銭的罰則が含まれている。また、テロリズムや児童の性的搾取、自殺の助長や詐欺などの増え続ける害悪から人々を守ることができないアルゴリズムやプロセスが発見された場合、上級管理職に対しては懲役刑が科せられる可能性もある。

この法案には、英国の新しいインターネットコンテンツ規制機関であるOfcomにサイトをブロックする権限を与え、英国内でアクセスできないようにすることも含まれている(ということは、これは年齢認証技術を促進するだけではなく、VPNサービスの急成長も後押しすることになるはずだ)。

規制により創出されるかもしれないニッチなビジネスチャンスとしては、政府はエンド・ツー・エンドの暗号化サービスに組み込むことができる技術の開発を奨励しようとしている、という点が挙げられる。この技術では、監視を回避するために強固に暗号化されたコンテンツでも児童の性的虐待に関する情報をスキャンできるようにすることで、法律が適用されるようになる(ただし、ある種の違法なコンテンツをスキャンできるようになれば、他の犯罪や単に有害なコンテンツをチェックする機能を追加しようとする政治的圧力に抵抗するのは難しくなるだろう)。

1つの法律(実際には多くの二次的な法律も存在する)で非常に多くの複雑で微妙な問題を解決しようとすることは、本来ならば政治的な自殺行為であるはずだ。しかし、終わりの見えないコンテンツスキャンダルのおかげでハイテク企業を無責任な利益追求者として描くことが容易になった今、政府はこの法律に過度に単純化した「児童保護」という要素を付け加え、長く待たされたFacebook(フェイスブック)などを「調教」することに対する大衆的な支持を得られる理想的な状況を作り出したのである。

この法案の「ありとあらゆるものを詰め込んだ」性質と曖昧な定義が相まって、結果を予測することは非常に困難になった。連動する要件すべてが実際に何を意味するのかについての明確な指針の欠落は、この提案を推し進める閣僚にさらなる援護射撃となっている。

今回の追加提案の前にオンライン安全法案を精査した2つの議会委員会は、多くの懸念を表明しており、最近では、DCMS委員会が「この提案は言論の保護と有害性への取り組みに欠ける」と警告している

12月には、別の議会委員会が、ビッグテックによる自主規制の時代に終止符を打つという政府の広範な目的を支持しながらも、一連の変更を要求した。

政府は、児童保護活動家から寄せられたポルノサイトへのアクセスに関する広範な懸念とともに、これらの意見を最新の追加法案に反映させたとしている。

画像クレジット:Harshil Shah / Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

アダルト系SNS「OnlyFans」が認証済みNFTをプロフィール画像にできる機能を提供

Twitter(ツイッター)に続き、NFTプロフィール画像の波に乗るのは誰になるとあなたは考えていただろうか。アダルトコンテンツで成長したにも関わらず妙にイメージをクリーンアップしようとしている、NSFW(職場閲覧注意)クリエーター収益化プラットフォームであるOnlyFans(オンリーファンズ)と予想していたなら、大当たり!……と喜ぶのは、今はOnlyFansまでもがNFTをプロフィール画像に使うのかと認識するまでの話で、誰も勝者はいないのかもしれない(暗号資産を愛するとともに、NSFWクリエイターの仕事に報酬を与えたいと思っている人々を除けば)。

OnlyFansは、ユーザーが認証済みNFTをプロフィール画像として表示できるようになったと、英国時間2月10日に発表した。Reutersの報道によると、OnlyFansは2021年12月にこの機能を導入したという。TechCrunchはOnlyFansに連絡を取り、この報道を確認することができた。

OnlyFansでは、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で鋳造されたNFTのみがサポートされ、Ethereumアイコンが表示される。ユーザーはNFTのプロフィール画像をクリックすると、OpenSea(オープンシー)によるそのデジタル資産に関する詳細情報を見ることができる。

新たに就任したOnlyFansのCEO、Ami Gan(アミ・ガン)氏はこう述べている。「この機能は、NFTが当社のプラットフォームで果たすことのできる役割を模索するための第一歩です」。

OnlyFansは2021年、NSFWコンテンツをプラットフォーム上で禁止すると発表し、クリエイターの生活を根底からくつがえす事態になりかけた。このニュースは、MastercardとVisaの規制が変更されたことを受けてのものだった。しかしその後、同社は「OnlyFansがあらゆるジャンルのクリエイターをサポートできることを銀行パートナーが保証したため、変更の必要がなくなった」ことを明らかにし、この決定を撤回した。それでも、OnlyFansのクリエイターたちにとっては、クレジットカード会社の気まぐれによって、いつプラットフォームが崩壊するかわからないという警鐘を鳴らした出来事になった。

セックスワーカーが安定した収入を得られるよう支援することは、実は暗号資産のユースケースとしては悪くない。元OnlyFansのクリエイターであるAllie Rae(アリー・レイ)氏は、現在、暗号資産を中心としたOnlyFansの代替サービスであるWetSpace(ウェットスペース)に取り組んでいる。

クレジットカード会社とは異なり、パブリックブロックチェーンは、気まぐれに変更してポルノの購入を禁止することはできない。しかし、これまで見てきたように、十分な勢いのある中央集権型取引所は、特定の種類のトークンへのアクセスや市場活動を減らすことができる。もちろん、変動が激しく、時には詐欺まがいのこともあるこの分野に手を出したくないファンとクリエイターの両方にとって、暗号資産は障害にもなり得る。しかし、それはともかく、NFTのプロフィール画像を可能にすることで、OnlyFansは暗号資産を含む将来に向けたジェスチャーをしているのかもしれないし、それはポルノビジネスを続ける未来を意味するかもしれない。

TwitterやOnlyFansのほか、Reddit(レディット)もNFTプロフィール画像機能をテストしており、YouTubeも公的にこのアイデアを検討している。

YouTubeのチーフプロダクトオフィサーであるNeal Mohan(ニール・モーハン)氏は10日、Reutersへのアミ・ガン氏の発言を受けて「ブロックチェーンやNFTのような新しい技術によって、クリエイターはファンとより深い関係を築くことができると考えています」と書いている。

「当社の使命は、クリエーターが自分の可能性を最大限に発揮できるようにすることです」とOnlyFansのガンCEOは述べた。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

Tumblr、App Storeルールに準拠するためiOS版にセンシティブコンテンツのトグルを追加

Tumblr(タンブラー)は数週間にわたり、Apple(アップル)App Storeのガイドラインに準拠するため、iOS上でさまざまなタグの検索結果を隠していた。米国時間1月11日、Tumblrはこの問題を解決するべく、iOS版アプリにセンシティブコンテンツのトグルボタンを導入し、ユーザーがセンシティブなコンテンツの表示をオプトインできるようにした(デフォルトでは、センシティブコンテンツは表示されない設定になっている)。

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アップデートされたTumblrのiOSアプリでは、センシティブなタグ(たとえば「マリファナ」など)を検索すると、検索結果が非表示になる。代わりにポップアップが表示され、検索結果を見たい場合はセンシティブコンテンツフィルターをオフにするよう促される。センシティブなコンテンツを見るために「設定を表示する」をクリックすると、アプリ内メニューではなく、モバイルブラウザ上のTumblrのウェブサイトにリダイレクトされる。設定を変更したら、その変更を有効にするためにiOSアプリを再起動する必要がある。そしてついに、ベビーヨーダがマリファナでハイになっているファンアートを含む検索結果を見られるようになる(本当の話だ)。

画像クレジット:Tumblr

Tumblrによると「センシティブコンテンツを非表示にする」トグルを有効にすると、センシティブなタグが付いたおすすめ投稿、露骨なコンテンツのブログ、センシティブなタグが付いた検索が非表示になるという(Tumblrの定義では、セックスや性器を描写したGIF、画像、動画、イラストなどのアダルトコンテンツまでいかなくても露骨と分類され得る。現在、アダルトコンテンツは禁止されている。TechCrunchは、アダルトコンテンツと露骨なコンテンツの区別についてTumblrに明確な説明を求めたが、まだ回答は得られていない)。

この新しいトグルを無効にすると、ユーザーは、コミュニティガイドラインに違反していないセンシティブな内容の検索結果を表示したり、オーバーレイをタップして露骨だと判断されたブログにアクセスできるが、iOSでは露骨なコンテンツは非表示のままだ。トグルを無効にしたユーザーは、センシティブな可能性のあるコンテンツのレコメンデーションを受けることもできる。

一方、トグルを有効にすると、一見大丈夫そうなタグでも警告ポップアップが表示される場合がある。例えば「submission(投稿、提出、または服従)」というタグは、性的なコンテキストになり得るため、センシティブコンテンツフィルターを無効にしない限り、禁止されることがテストしてわかった。このタグはTumblrのプラットフォーム上で、性的ではない別の意味で使用されることが多いため、問題となっている。他のユーザーが自分にあてて投稿したコンテンツを自分のブログに投稿すると、自動的に「submission」というタグが付けられるのだ。

以前、Tumblrは同様のトグルスイッチを提供しており、ユーザーがアダルトコンテンツを表示することを選択しない限り、iOSの設定でサイトのアダルトコンテンツを直接ブロックすることができた。しかし、このトグルは、2018年にTumblrがプラットフォームからすべてのポルノを公式に禁止することを決定する前は、Tumblrがホストするポルノコンテンツを禁止することに重点を置いていた。

Tumblrは、同社のブログ記事でこう述べている。「これらの最新のアップデートは、iOSアプリ上の我々のコミュニティで、自分に最適な体験を構築し、自分がおもしろいと思うコンテンツを探索するためのコントロールを提供するものです。コミュニティの体験を最優先する一方で、AppleのApp Storeガイドラインおよび当社のガイドラインも遵守しなければなりません」。

画像クレジット:MARTIN BUREAU/AFP / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

Tumblrが「大人向け」コンテンツを巡って再びアップルと闘争中

「Tony the Tiger(トニー・ザ・タイガー)」や「Eugene Levy(ユージン・レヴィ)」のパロディは今すぐ隠すこと。これらをはじめとする数百件のフレーズは、現在、Tumblr(タンブラー)のiOSアプリから排除されている。

現在、自らを「mature(大人向け)」と称したいかなる個人ブログもiOSアプリでアクセスできない。ユーザーには「思わせぶり、あるいは露骨である可能性のあるコンテンツ」のために隠されている旨を説明するポップアップが表示される。Tumblrによると、一部の投稿は、検索機能やおすすめ投稿やフォローしているユーザーのコンテンツを表示するユーザーダッシュボードでも隠されるという。

「私たちがAppleのApp Store(アップ・ストア)に存続し、TumblrのiOSアプリを利用できるようにするためには、慎重に扱うべきコンテンツに関するAppleのポリシーにこれまで以上に厳格に従うよう修正する必要があります」とTumblrは公式ブログで述べている。

画像クレジット:Tumblr

Tumblrユーザーたちは、iOS版Tumblrアプリが一連のポリシーを守るために禁止したタグの非公式クラウドソースリストを作った。禁止されたタグの中には、繊細なコンテンツに関して潔癖でいようとするプラットフォームとして理にかなったものもあり、たとえば「porn(ポルノ)」「drug(ドラッグ)」「sex(セックス)」などが禁止されている。それ以外は理解不能(あるいは、それについて考えすぎると頭が痛くなる)であり、上にもあげた「Tony the Tiger」や「Eugen Levy」などがある。数字の「69」と「420」も禁止されている。

サイトには多くのTumblrユーザーが集まり、自分たちの体験について匿名で語り合っているが、タグの禁止によって、その会話も実質的に検閲状態にある。stimming(自己刺激行動)という自閉症患者にとって一般的な対処行動に関わるいくつかのタグ、例えば「depression(うつ病)」「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」「bipolar(躁うつ)」なども禁止されている。

「これらの調整によって、ユーザーが当社のiOSアプリを使って慎重に扱うべきコンテンツをアクセスできるかどうかに影響を与えることがあり、いらだたしいこともあることを理解しています」とTumblrの広報担当者がTechCrunchに伝えた。「現在もっと考慮された解決方法を検討中で近いうちに公開する予定なので、逐次状況をお知らせします」。

元TumblrのiOSエンジニアがsreegs(スリーグス)というブログで、この問題が起きた原因や、効果のないバンドエイドのような解決方法につい説明している。

「レビュー担当者がアプリを動かしてみて、ポルノが見つかればそのアプリは拒否されて、開発者は修正するようにいわれます」とブログに書かれている。そのエンジニアは、おおよそ「5回に1回のアップデート」でそれは起きるが、問題の投稿(スクリーンショットがTumblrに提供される)が削除されると、アプリは公開OKになる、と述べている。

「時おり、Tumblrが特別頑固なレビュー担当者に当たることがあります。ゴーサインをもらうまでにはいくつものポルノ粛清と再提出が必要になります」。同じようなことが今のTumblr iOSアプリでも起きているとエンジニアは考えている。

TumblrはiOS App Storeで承認を得るために、1年近く苦闘したことがある。2018年、TumblrのiOSアプリはApp Storeから削除され、それは児童性的虐待資料(CSAM)がアプリのフィルタリング機構に組み込まれた後のことだった。1カ月後、Tumblrはあらゆるポルノおよび性的に露骨なコンテンツを禁止し、ほぼ直後にトラフィックが29%減少した。それ以来、同プラットフォームのウェブトラフィックは低迷を続けている。

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画像クレジット:SimilarWeb

もちろん、ユーザー生成コンテンツのプラットフォームからあらゆるアダルトコンテンツを排除するのは果てしない無駄な作業だ。

「何かと言いたくなる気持ちもあるんです。Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)はあまりに巨大なので、Tumblrよりも許されることが多いのでしょう」と、その元Tumblr iOSエンジニアは理論づけた。「それとTumblrが2018年の終わりまでポルノをあからさまに許していた歴史とを合わせてみてください。もちろん証明はできませんが、もしTumblrのAppleでの評判というものがあるなら、それは良いものではありえません」。

それとは別に、Tumblrコンテンツは「#rule 34」から「#long post」まで、あれこれのタグを禁止されている。

Tumblrは米国時間12月28日、同社のChangesブログで、iOSアプリで利用できないタグのリストをレビュー中であり、1月までに完了する予定だと書いた。

そして「現在、iOSアプリで繊細なコンテンツを許容することをユーザーが選択できるウェブベースのスイッチを開発しています」と付け加えた。

Tumblrユーザーはしばしば、このプラットフォームをインターネットの荒れ地と呼ぶ。Tumblr自身、あるときApp StoreでiOSアプリの副題に「hellsite (affectionate)」(地獄サイト[愛情をこめて])と書いていたこともある。だったらなぜ使い続けるのか?

「サイトは死んだと思われていますが、この手のことには超簡単な回避方法があるものです」とあるTumblrのヘビーユーザーがTechCrunchに話した。「tab ban」をサイトで検索すればそういう抜け道を見つけるのは難しくないが、常連ユーザーはTumblrの検索機能がバグだらけなことも知っている。「実際、壊れた検索機能はこのピンチに役立っています。使った時の半分は欲しい物を見つけられませんが、Appleも見つけられませんから」。

しかし、TumblrがiOSアプリと検索機能で不足している部分は、アルゴリズムというかそれが欠けていることで補われている。TikTok(ティックトック)、Twitter、YouTube(ユーチューブ)、Facebook(フェイスブック)、Instagramなどのプラットフォームが上院に呼ばれて、彼らの謎の多いコンテンツの扱い方について釈明していた一方で、Tumblrは、昔風のやり方で仕事をしている。フォローしているユーザーのコンテンツを、逆時間順に表示するだけだ。

「正直、収拾不可能な状態でいることが、今はTumblrにとって完全に有利方向に働いていると私は信じています」とその熱心のTumblrユーザーは言った。「そこにアルゴリズムはないので、今でも自分の欲しいままの体験を収集することができています」。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

性的コンテンツの禁止で揺れたアダルト系SNS「OnlyFans」創業者兼CEOが退任、後任は広報担当者

OnlyFans(オンリーファンズ)の創業者でCEOを務めてきたTim Stokely(ティム・ストークリー)氏が退任することになったと、Bloombergが報じている。後任には、同社の元コミュニケーションマーケティング部長だったAmi Gan(アミ・ガン)氏が就任する。この動きは、OnlyFansにとって不安定な1年の終わりに行われたものだ。同社は8月にそのプラットフォーム上で繁栄しているセックスワーカーを禁止すると発表したが、この決定は1週間後に保留にされた

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広報担当者を会社のCEOに任命することが奇妙に思えたとしても、それは当然だろう。しかし、報道によると、これはストークリー氏自身の判断だったとのこと。同氏はアドバイザーとして会社に残ることになっている。

「私たちは、このクリエイターエコノミーに対する情熱を共有しながら、机を並べて仕事をしてきました」と、新CEOのガン氏は語る。「私たちの優先事項は、世界で最も安全なソーシャルメディアプラットフォームであるために引き続き全力を注いでいくことです」。

また、ガン氏は同社のsafe-for-work(職場で閲覧しても大丈夫)なストリーミングアプリであるOFTVに投資し、クリエイター向けの新しいツールを構築していくとも述べている。ストークリー氏自身のビジネスバックグラウンドがオンラインポルノであるのに対し、ガン氏はRed Bull(レッドブル)、Quest Nutrition(クエスト・ニュートリション)などのブランドや大麻カフェで働いた経験がある。

TechCrunchはOnlyFansに、このリーダーシップの変化がプラットフォーム上のセックスワーカーに影響を与えるかどうかを尋ねたが、OnlyFansはコメントを辞退した。

OnlyFansは、NSFW(not safe for work、職場での閲覧には不適切な)クリエイターのおかげで繁栄しており、8月には2021年の売上高が、2020年の12億ドル(約1370億円)から大きく増加し、25億ドル(約2860億円)に達する見込みであると発表していた(OnlyFansはクリエイターの収益の20%を徴収する)。しかし同時に、OnlyFansは同社を10億ドル(約1140億円)規模の企業にしたセックスワーカーたちの生活を脅かすような爆弾発言をした。それは、OnlyFansがNSFWコンテンツ(つまり、露骨に性的なコンテンツ)を禁止するというものだった。それが急速に反発を招いた後、OnlyFansはこの決定を保留し、銀行プロバイダーとの問題を解決したと発表している。

それでも、セックスワーカーたちは、プラットフォームから追い出されることを懸念しているようだ。結局、OnlyFansは禁止措置を撤回するのではなく「保留」すると言っているのだ。

OnlyFansのようなプラットフォームがセックスワーカーを排除すると脅すことは、彼(女)らが生活の糧を失うことを意味するだけでなく、彼(女)らをより危険なオフラインの労働環境に追いやることにもなりかねない。

米国議会は2019年に「Safe Sex Workers Study Act(性労働者安全調査法)」を導入し「Fight Online Sex Trafficking Act(FOSTA 、インターネット上の性的人身取引対策法)」など、オンラインでのセックスワークを困難にする法律の影響を調査した。この研究では、セックスワーカーが「オンラインプラットフォームへのアクセスによってもたらされる経済的安定性」を失った後「コミュニティ組織は、セックスワーカーのホームレス化が進んでいると報告していた(いる)」ことが判明した。

OnlyFansにおける変化の可能性は、プラットフォームからプラットフォームへと移ることがどれほど大変なことかを知っているセックスワーカーにとっても恐怖である。Patreon(パトレオン)でさえ、2018年にセックスワーカーをプラットフォームから排除した。同社はポルノを決して許可しないと言っていたが、何年もの間、このガイドラインは厳格に施行されていなかったため、セックスワーカーは同プラットフォームを利用して生計を立てることができていた。

Patreonでは、少なくともクリエイターはサブスクリプション会員のメールアドレスにアクセスできるので、プラットフォームの仲介がなくてもファンベースと連絡を取ることが可能だ。しかし、OnlyFansは、Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)と同様に、たとえ誰かにフォローされても、その人と直接コミュニケーションを取る手段がない。顧客と連絡を取る手段がなかったら、どうやって別のプラットフォームで新しいビジネスを構築すればいいのだろうか?

OnlyFansは、このリーダーシップの変化がセックスワーカーを危険に陥れると暗示してはいないが、NSFWクリエイターの信頼をすでに翻弄してきたプラットフォームにとって、これは重大な変化である。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】アダルト系SNS「OnlyFans」の性的コンテンツ禁止でクリエイターは「権利章典」について語り出す

性的に露骨なコンテンツを禁止するというOnlyFansの決定に端を発して、テック企業、コンテンツガイドライン、セックスワークをめぐる重要で見過ごされがちな会話が再燃している。しかし、こうした議論の意味するところは、1つのプラットフォームと1つの周縁化されたグループだけにとどまらない。

これは、クリエイターがコンテンツを共有してフォロワーやファンと関わることを可能にする方法に対して、プラットフォームが巨大なコントロール権を有しているという、コンテンツクリエイターにとっての壊れたエコシステムを示唆している。これに対応して、クリエイターたちは分散化し、複数のプラットフォームへのリーチを広げ、オーディエンスを引き連れている。

そうすることで、クリエイターは、これらのプラットフォームにどのような権利を組み込みたいかを定義する機会も得ている。

歴史は繰り返す

クリエイターが個々のプラットフォームから締め出されるのは目新しい話ではない。OnlyFansのポリシー変更について、2018年にTumblrがアダルトコンテンツを禁止した動きと比較する向きがあるが、これはYouTubeにとっても継続的な問題であり、LGBTQユーチューバーのグループを含むいくつかのコミュニティは、プラットフォームが彼らを非収益化アルゴリズムで標的にしていると非難している。

OnlyFansを含むこれらのプラットフォームの多くは、特定の種類のコンテンツを許可する際の障壁として支払いパートナーのポリシーを挙げている。この領域における主要な論争として最も初期のものは、PayPalが2010年にWikiLeaksを禁止した時に見られた。

こうした事象はいずれもクリエイターとフォロワーの怒りを買ったが、それはエコシステム全体の問題を示唆するものであり、必ずしもプラットフォーム自体を非難するものではない。

結局のところ、これらのプラットフォームは、クリエイターがオーディエンスを構築し、ファンと関わる機会を提供してきたのである。しかし一方で、これらのプラットフォームは、規制上のリスクや評判上のリスクから自らを守るためのポリシーを整備する必要もあった。

これは、すべてのガイドラインやポリシーが悪いということではない。それらは思慮深いガイドラインの下で、ポジティブで安全なコミュニティを醸成し、管理する役割を果たしている。しかし、これらのプラットフォームをコンテンツとエンゲージメントで活性化するクリエイターに損害を与え、彼らをプラットフォームから切り離すという犠牲を払うべきではない。問題の核心は、クリエイターが個々のプラットフォームに依存しており、ポリシーの変更に対して常に脆弱で、プラットフォーム間のオーディエンスと収益化の移行という痛みをともなう作業を余儀なくされることにある。

そして最終的には、有意義なコンテンツを作成し、コミュニティと関わり、信頼できる生計を得る能力が失われてしまう。

クリエイターのプラットフォームに対するコントロール力がますます失われていく中、一部のクリエイターたちは、オーディエンスからの独立した直接的な収益化を分散した方法によって可能にする、代替的な選択肢を模索し始めている。

分散化、収益化

ファンから直接収益化するモデルは、クリエイターたちが長年頼りにしてきた従来の広告ベースのプラットフォーム主導モデルをすでに置き換えつつある。筆者はPatreonに在籍していた時、コントロールとオーナーシップをクリエイターの手に委ねることで、より持続可能で、公正で、活気のあるクリエイターエコノミーが構築される様子を目にした。Substackはライターにも同様に強力な金融ツールを提供しており、クリエイターに奉仕する企業がここ数年にわたって増え続けている。

課題は、これらの企業の多くが、過去のプラットフォームを無力にした既存のシステムに依存しながら、テイクレート(手数料などの割合)と収益配分が必要なビジネスモデルを持っていることである。多くの点で、クリエイターエコノミーは、クリエイターとファンのインタラクションの次の段階を構築するために、新しいインフラストラクチャとビジネスモデルを必要としている。

適切なアプリケーションであれば、暗号資産により、クリエイターがどのように収益化し、ファンと関わり、プラットフォームとパートナーを組むかについてのプレイブックを書き換えることができる。そのピア・ツー・ピアの構造は、ファンとの直接の関係を反映するものであり、クリエイターは、テック大手や支払いパートナーを仲介者として頼ることなく、オーディエンスとの金銭的関係を持つことができる。さらに暗号資産は、クリエイターが所有権を維持し、ブランドや知的財産を管理することを可能にする。

加えて多くの暗号資産プロジェクトでは、DAOやガバナンストークンを通じて、参加者がプロジェクトにおける価値提案、戦略的方向性、運用機能、経済構造について発言権を持つことができる。このようにして、クリエイターはプロジェクトに参加し、コミュニティとの関わり方に合わせて方向性を決めることができる。

クリエイターは、自らのコミュニティを動機づけ、関与させる能力を備えており、コミュニティ主導のプロジェクトから利益を得る立場にある。私たちは暗号資産のアダプションの初期フェーズにあり、クリエイターにはこのパラダイムシフトの未来を形作る巨大な機会がもたらされている。ソーシャルトークンを使えば、クリエイターは自分の暗号資産をマイニングすることができ、クリエイターとファンが共に成長し、異なるプラットフォーム間で直接取引するために利用できる共有エコノミーが実現する。

別のカテゴリーとしてNFTが存在するが、2021年に入って爆発的な人気を集めているものの、今のところ業界はNFTが持つであろう有用性の表面をなでているにすぎない。クリエイターたちと暗号資産プロジェクトは、NFTをコレクティブル以上のものにする方法を模索している。つまり、NFTが提供するエンゲージメントの高い機能的なデジタルツールにより、クリエイターはファンに(ビデオ通話やAMAを通じて)自分の時間を提供したり、その他の独占的なメリットをもたらすことができる。

クリエイターたちは、暗号資産がもたらす力を見出そうとしている。暗号ベースのプラットフォームのユーザーエクスペリエンスがより直感的になるにつれて、暗号資産はどこにでも存在するようになる。その前段階として、クリエイターたちは、自らが利用している分散型サービスにどのような権利が必要か(そして要求できるか)について考えるべきであろう。

クリエイターの権利章典

暗号資産の中であるかどうかにかかわらず、クリエイターたちはついに自分たちの権利を決定する力を手にした。筆者は、クリエイターこそがこの会話をリードすべきだと考えているが、ここでいくつかのポイントを挙げておこうと思う。

  • プラットフォーム間を自由に移動する能力:個々のプラットフォームへの依存は、クリエイターが直面する多くの問題の中心的なものである。クリエイターがどこへでもファンを連れて行けるようにすることで、ファンからの直接収益化においても見られてきたような、多くの問題を解決することができる。
  • クリエイターとファンの直接的な金銭的関係:OnlyFansの問題の中心にあるのは、クリエイターがファンとの金銭的関係を持つことができなくなることである。たとえ直接的な金銭的関係がすべてのプラットフォームで実現可能ではないとしても、クリエイターはそうした関係を所有し、自らの条件を決定するための選択肢を持つべきである。
  • クリエイター主導の意思決定:これまでプラットフォームは、クリエイターに対し、プラットフォーム全体の意思決定とポリシーに関する最小限のコントロールしか与えてこなかった。クリエイターは直接的なインプットを持つべきであり、プラットフォーム全体のさまざまな施策について投票することさえできるべきである。
  • 量よりも質:プラットフォームとそのアルゴリズムは、量に報いるために構造化されており、クリエイターを燃え尽きさせ、コンテンツ作成を超高速化する。クリエイターとファンの両方が、より深く、エンゲージメントの高いインタラクションを求めており、この行動を奨励することで、より活気のある、持続可能なクリエイターエコシステムが実現するだろう。
  • 低い(あるいはゼロの)テイクレート:大手テック企業は収益のほぼ100%をクリエイターから得ている。クリエイター(とそのファン)は、プラットフォーム収益の大部分を得るべきである。
  • 公正性へのアクセスや収益の分配:大手テック企業はクリエイターの労働力を利用して帝国を築いてきた。分散型プラットフォームは、クリエイターに広告収入の支払いを命じるのではなく、クリエイターがパイの一部を完全に所有したり、エコシステム全体の成長から利益を得たりすることによって、真の「skin in the game(個人的な関与 / 自らの能力や資産を投資すること)」をクリエイターが備えることを可能にするべきである。この利害関係の整合は、今日見られる資本と労働の分離からの大きな転換となるだろう。
  • 透明性とコンサルテーション:クリエイターは、自分たちに何ができるのか、何ができないのかを完全に把握し、ポリシーが策定され適応されていく中で、議論の席に座るべきである。プラットフォームのコンテンツモデレーションの決定や、非収益化の背後にあるアルゴリズムは、しばしば不透明で、広く適用され、インパクトを与えるクリエイターに相談することなく決定される。また、全体的な収益のパイの大きさとシェアを把握する必要もある。
  • 改良と再生の能力:私たちはみんな人間であり、クリエイターはプラットフォームによって設定されたガイドラインを知らず知らずのうちに逸脱することがあるかもしれない。クリエイターが自らのコンテンツを回復させるためのスペースを作ることで、クリエイターとプラットフォームの間に、より信頼性の高い協力関係が生まれる。

私たちは、クリエイターたちに自らの条件を決定することを委ねたいと思う。彼らはあまりにも長い間この会話から締め出されている。それでも、RallyをはじめとするWeb 3.0エコシステムの主要な参加者の多くは、クリエイターとそのファンのために機能する環境を作るためのこの取り組みを、オープンにサポートしてくれると筆者は確信している。

編集部注:本稿の執筆者Bremner Morris(ブレムナー・モリス)は、クリエイターやアーティストが独自のデジタル通貨を立ち上げ、ファンコミュニティとともに持続可能な独立した経済を構築することを可能にする暗号プラットフォームRallyのCMO/CRO。以前は、Patreonのグローバル・ゴー・トゥ・マーケットおよび収益部門の責任者を務めていた。

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画像クレジット:Sean Gladwell / Getty Images

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(文:Bremner Morris、翻訳:Dragonfly)

アダルト系SNS「OnlyFans」が性的なコンテンツを禁止する決定を「一時的に中止」

アダルト系コンテンツで知られるOnlyFans(オンリーファンズ)は、露骨な性描写を含むコンテンツを禁止すると発表してポリシーの変更を予定していたが、広く反発を受けた後、その決定を中止した。Onlyfansは特にポルノのために作られたわけではないが、性的コンテンツは、同プラットフォームで最も目につくユースケースとなっていた。

「皆様の声をお聞かせいただきありがとうございます。当社は、多様なクリエイターのコミュニティをサポートするために必要な保証を確保し、10月1日に予定されていたポリシーの変更を中止しました」と同社は米国時間8月25日にツイートした。「OnlyFansはインクルージョンを支持しており、今後もすべてのクリエイターに活動の場を提供していきます」とも。

OnlyFansの広報担当者は、TechCrunchに対しメールで「提案されていた2021年10月1日の変更は、OnlyFansがすべてのジャンルのクリエイターをサポートできるという銀行パートナーの保証により、もはや必要ありません」と述べた。

OnlyFansは以前「銀行パートナーとペイアウトプロバイダー」の要求に応じるため、ポリシーの変更を行わざるを得ないと述べていた。同社はこれらの関係者からの圧力により、プラットフォーム上での露骨な性的表現を許可しないことを決定したと示唆していたが、OnlyFansがこの原因について公表した後、現時点では問題を解決することができたようだ。

なお、OnlyFansの公式声明では、この決定が「一時的に保留」されたとあり、このポリシー変更が完全に取り消されたわけではないことがうかがえる。

OnlyFansは、最初の発表に対するフォローアップのツイートの中で「クリエイターの皆様への公式なご連絡は、まもなくEメールでお送りします」と述べていた。

性的表現を禁止するという決定は、経済的に同プラットフォームに依存していたセックスワーカーたちを苛立たせた。この方針変更を受けて、一部のクリエイターはすでにOnlyFansのアカウントを削除し、他のサービスに移行していた。今回の決定取り消しにより、クリエイターたちはこれから、OnlyFansに戻るか、それともOnlyFansを離れて他のライバルサービスを利用するか選択しなければならない。

OnlyFansは2016年に設立され、1億3000万人以上の登録ユーザーと200万人以上のクリエイターがいるとされる。このプラットフォームは、Bella Thorne(ベラ・ソーン)、Cardi B(カーディ・B)、Bhad Bhabie(バッド・ベイビー)など、複数の有名人を引きつけることに成功している(18歳のラッパーBhad Bhabieは、OnlyFansアカウントを開設してから、わずか6時間で100万ドル[約1億1000万円]以上を稼ぎ出した)。

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画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

​​​​アダルト系SNSのOnlyFansのポルノ禁止は暗号資産決済にとって千載一遇のチャンスとなる

米国時間8月19日、​​​​アダルト系SNSとして知られるOnlyFansは、2021年後半に「性的に露骨なコンテンツ」をアプリから禁止するという大規模な爆弾発言をした。OnlyFansは、アダルトコンテンツ業界を完全に破壊し、パフォーマーが購読料を通じてファンと直接つながれるようにすることで、パフォーマーにさらなる独立への道を与えていましたが、これは明らかに大きな変化だ。今回の閉鎖は、暗号業界にとっては千載一遇のチャンスでもある。暗号業界は、今回の閉鎖と、消費者に優しい暗号資産決済インフラが次々と登場する流れを利用して、決済業者の影響を受けても崩壊しないプラットフォームを作ることができる。

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OnlyFansは、ユニコーン企業の評価額で資金調達をしようとしており、巨額の収益を上げているにもかかわらず多くの問題を抱えているが、今回の根本的な変更の理由については明言していない。OnlyFansのニュースに関する声明では「これらの変更は、我々の銀行パートナーおよびペイアウトプロバイダーの要求に応じるためのものです」と述べられている。

大衆文化の中で、セックスワークやアダルトコンテンツに対する風当たりが強くなっているにもかかわらず、銀行機関は基本的に保守的で、これらのプラットフォームを経由して流れる資金を扱うことに慎重になっている。

プラットフォームを運営する企業の多くは、ある日突然、プラットフォームが金融機関の支持を失い、すべてを失ってしまうかもしれないという不安を常に抱えている。その一方で、多くのベンチャーキャピタルは「悪徳条項」によって、これらの分野での活動を禁じられており、これらのプラットフォームが成長資金を得ることができないようになっている。アダルトコンテンツのプラットフォームが、これらの金融機関と友好的な関係を築くことができないのは明らかであり、プラットフォームとそれを利用するクリエイターたちが前進する時期がきているのだろう。

多くの意味で、OnlyFansがポルノを捨てたことは、クリエイターのネットワークに対する明白な裏切りのように見える。クリエイターたちは、自分たちの後にどんな模倣者を受け入れる際に必ず覚えているだろう。支払いプロバイダーの行き詰まりにどう対処するかについて懐疑的になる可能性が高いが、野心的なプラットフォームが成長しても、これまでと異なる結果にはならないだろう。クリプトネイティブなプラットフォームではまた別の状況になる可能性も高いが、普及率が低いことを考えると、ファンがコンテンツへの支払い方法を知らない可能性のあるプラットフォームを採用することは、クリエイターにとって大きなリスクとなる。

ポルノ業界は、ゆっくりではあるが、暗号資産による支払いを受け入れている。2018年、Pornhubは初めて暗号資産による支払いの受け付けると発表した。2020年に話を進めると、VisaとMastercardはこのプラットフォームを捨てため、現在では暗号資産による支払いとACH送金が、唯一のプレミアムサブスクリプションサービスの支払い方法になっている。この分野には、CumRocketやSpankChainなど、ニッチな視聴者を対象とした暗号プラットフォームのプレイヤーがすでにいくつか存在しているが(おそらくリブランディングが必要)、OnlyFansのような絶対的な存在がいなくなったことで、既存プレイヤーや新興プレイヤーが革新を起こしてこの市場を獲得する余地が実際にあるかもしれない。

本当の課題は、従来のウェブ決済構造が非常に合理化され、無料のアダルトコンテンツが相変わらず大量に提供される中で、規制ガイドラインに準拠しながら、新しいプラットフォームと最初の暗号ウォレットの両方に新規ユーザーを簡単に組み込めるようにすることだ。暗号資産購入を検証するためにパスポートや運転免許証をアップロードするようユーザーに求める顧客(KYC)のガイドラインは、おそらく新しい暗号資産ポルノサイトを求める最も簡単なオンボーディング要求ではない。しかし市場が少し成熟し、最初のウォレットを設定するユーザーの課題がプラットフォームのオンボーディングプロセスから切り離されると、実現すべき多くの利点が出てくる。

ポルノは、常に新しいテクノロジーの発射台のようなものだ。ここ数カ月で暗号資産の人気が急上昇し、総資産が2兆ドルを超えようとしているが、人々が実際に使用しているアプリでの暗号資産普及率は極めて低いままだ。暗号資産の購入や送信を簡略化することを目的とした新しいソリューションやスタートアップが登場していることから、OnlyFansの撤退で空いた空白を埋めて、暗号資産に全面的に取り組むより革新的なプラットフォームを構築するために、ポルノ業界が最適な場所にいる可能性があるように思う。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)