セルフ型トラックレンタルマーケットプレイスFetchが事業拡大で約4億円調達

昔、筆者はトラックを所有していた。そのトラックが大好きだった。しかし、実際にトラックとして使うことはさほどなく、結局、そのトラックを売って、もっと日常的なニーズに合ったものを購入した。より「実用的」なものだ。今でもあのトラックが恋しい。

現在、年に数回、トラックをトラックとして使う必要があり、その場合、友達を説得して34回目の借用をさせてもらうか、大型ハードウェア店でレンタルを試みるしかない。店に着くまでに使えるトラックがあることを願い、列に並び、書類に記入し、保険証を忘れたために車まで走っていき、また列に並び直す。

数年前にTechCrunchが初めて紹介したFetch(フェッチ)は、このプロセスを少し簡単にする。近くにあるトラック(またはバン!)を探し、アプリで予約し、歩いて行って携帯電話からロックを解除すれば、すぐに出発することができる。今週、Fetchはチームと事業を拡大するために350万ドル(約4億円)を調達したことを発表した。Fetchを実現するために、とも言える(編集部注:Fetchは行って取ってくる、の意)。

Fetchは今のところ、いくつかの都市で事業を展開しているが、そのリストは急速に増え始めている。最初に地元アトランタで開始し、最近ではボルチモア、フィラデルフィア、ダラス、ワシントンDCに事業を拡大している。Fetchの共同創業者Adam Steinberg(アダム・スタインバーグ)氏によると、2022年末までに「さらに12都市」に進出する予定だという。

同社のビジネスモデルも、前回取り上げたときからかなり拡大している。以前は、Fetchで利用できるトラックはすべてFetchが所有していたが、最近は、空きトラックを持つ人なら誰でも貸し出せるマーケットプレイスとなっている(車両を抱える企業でも、空き車両を持つ個人でも、週7日レンタルに貸し出せれば利用できる)。

登録を済ませると、トラックの所有者は、承認された借り手が車両のロックを解除し、トラックを使えるようにするためにFetchのハードウェアを取り付ける。借り手は自分で保険に加入する必要があるが、Fetchはその保険契約を補うための二次保険も提供している。

レンタル料金は、サイズや運転距離など求めるものによって若干異なり、時間や日単位、あるいは必要な期間に応じて借りることもできる。例えば、アトランタで全長6フィート(182センチ)のピックアップトラックは、現在サイトでは1時間19ドル(約2200円)で、あるいは走行距離50マイル(80キロメートル)までなら1日70ドル(約8000円)で提供されている。

他にオンデマンドレンタカーサービスがある中で、なぜこのようなサービスを立ち上げたのだろう。理由はターゲット層だ。重量1000ポンド(約453キロ)の木材を動かしたり、古い机をオフィスから運び出したりしたいときに、休暇用のレンタカーアプリに飛びつくのは、ちょっと変な感じがする。「私たちの理想の顧客は、中小企業の経営者です」とスタインバーグ氏はいう。「ケータリング業者やイベントプランナーなど、定期的にトラックを必要とする中小企業です」。

スタインバーグ氏によると、同社は「レンタル1台あたりの収益性も達成」している。そして、現在「数百台のトラックをマーケットプレイスで稼働させていて」、その約半数がアトランタ地域にあるとのことだ。また、Home Depot(ホームデポ)とも提携し、一部の地域で同社のレンタル業務を受託している。

次の動きは?チームの拡大だ。同社の従業員は現在12人で、今後3カ月ほどで倍増させる計画だ。

今回の資金調達ラウンドはNextView Venturesがリードし、Knoll Ventures、Zeno Ventures、Nassau Street Ventures、その他多くのエンジェル投資家が参加した。

画像クレジット:Fetch

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Nariko Mizoguchi

デルタ航空が生体認証による手荷物預けを開始、TSA PreCheckと提携で

米国時間10月27日、デルタ航空は、TSA(米国運輸保安庁)PreCheck(プレチェック)との提携によって、バイオメトリクス(生体認証)の利用を拡大し、乗客が顔を見せるだけで手荷物を預け、保安検査を通り、飛行機に乗ることができるようにすることを発表した。最も新しいサービスであるPreCheckのバッグドロップ(手荷物預け)が行われているのは、現段階ではアトランタ空港のみで、デルタ航空のマイレージプログラム「スカイマイル」の会員でTSA PreCheckにも登録している利用客を対象とした試験的なものだ。


このプロジェクトは、デルタ航空がハブ空港であるデトロイトやアトランタ空港の国際線で行ってきた作業をベースに、さらに発展させたものだ。そこに、顔認証を利用したバッグドロップも可能にしたのが今回の取り組みだ。

デルタ航空とTSAがこの試験を実施しているアトランタでは、デルタ航空のマイレージプログラム「スカイマイル」の会員で、TSA PreCheck会員でもある乗客は、セルフサービスのPreCheckバッグドロップエリアを利用できるようになった。このプログラムを利用する乗客は(フライトにチェックインするたびに、デルタ航空のアプリで利用指定を行う必要がある)、新しい手荷物預け入れ機の前に行き、顔をスキャンする。するとTSAのデータベースを通じて本人であることが確認され、手荷物ラベルが印刷される。ラベルを貼り付けた後、スーツケースをコンベア上に置くと、新しい自動手荷物預け入れ機がスーツケースの重量を量り、カメラがサイズを確認する。

画像クレジット:デルタ航空

デルタ航空のエアポートエクスペリエンス担当マネージングディレクターであるGreg Forbes(グレッグ・フォーブス)氏は、正式公開に先立つプレスイベントで「目標は30秒です」と語った。「これを実現するために、私たちは技術開発を行うだけではなく、アプリを立ち上げたり運転免許証を探したりといった特定の振舞を行わないだけでもなく、似たようなスタイルで移動する乗客を集めることにしました」。

フォーブス誌は、このサービスは通常のローラーバッグ、スーツケース、ダッフルバッグにしか使えないと指摘している。これは基本的に、自分が何をしているかを知っているフリークエント・フライヤーのためのバッグドロップエリアなのだ。

画像クレジット:TechCrunch

フォーブス誌は「サーフボードやゴルフクラブをご持参のお客様には、建物の外で車寄せがあるチェックインカウンター(カーブサイド)のSkycap(スカイキャップ)の方がお勧めです。またもし2年生の遠足で子どもが30人いて、それぞれチケットにひと悶着ある場合にも、おすすめできません」という。

現在、アトランタを起点とするデルタ航空の利用者の約4分の1が、この方法で荷物を預ける資格をすでに得ている。この体験はスカイマイルのアカウントと連動しているため、デルタ航空のマイレージプログラムへの登録を促すことにもなり、その結果、デルタ航空はマイレージプログラムの利用者に向けた新たなマーケティング手段を得ることになる。

実際に体験してみたところ「30秒でバッグドロップ完了」という約束は、十分実現可能なものに思えた。マスクをちょっとずらして行う顔認証は数秒で完了する。ラゲッジタグを手で貼り付ける方がよほど時間がかかる。

現段階では、デルタ航空はこのために機械が4台だけが置かれた小さなスペースを設けているが、フォーブス誌によると、処理能力が問題になった場合には、空港内の別の場所に2つ目のバッグドロップエリアを設ける計画がすでにあるとのことだ。

また、目の不自由な乗客のための設備や、本人確認に問題が起きた場合の搭乗券読み取り装置も設置されている。

バッグドロップした後は、PreCheckの列に並び、そこでまた顔面スキャンを受け、さらに搭乗口でも再び顔面スキャンを受ける。すべてが順調にいけば、搭乗券や身分証明書を出す必要はない(もちろん身分証明書は持っていくべきだが)。

画像クレジット:TechCrunch

一般的には、バイオメトリクスを使用すると、プライバシーに関する問題が発生する。デルタ航空は、画像は本人認証のためにTSAに送るだけだということを強調している。そもそも、乗客がPreCheckやGlobal Entry(グローバル・エントリー)を選択した段階で、TSAはすでに乗客の顔と旅行スケジュールを把握しているのだ。フォーブス誌はまた、デルタ航空自身は生体データには一切触れず、その技術を提供するパートナーに任せているとも述べている。彼らの技術の安全性は政府によって検証されているが、100%安全であると保証されたシステムは存在しないことはご存知の通りだ。

個人的には、2021年に入ってから何度も米国境を越えていて、そのほとんどはGlobal Entryを利用している。Global Entryも現時点では完全に顔認証に依存している。最初は少し奇妙な感じもしたが、国土安全保障省はすでに私の情報をすべて把握しているので実際には問題ということはなく、単に接続までの時間を短縮することができた。またデルタ航空のシステムを使った、上述のカーブサイド経由の搭乗も、かなり似ていると感じた(何も触らなくていいというのは、コロナの時代にはありがたい特典だ)。

しかし、すべての人がこのようなトレードオフを望んでいるわけではない。そうした人たちにとっては何も変わらないままだ。結局これらはオプトインであることに変わりはない。

今のところ、少なくとも現在のパイロットプログラムでは、これはデルタ航空とTSAとの間の独占的なパートナーシップで運営されている。もちろん他の航空会社もすでに同様の取り組みを行っていることだろう(ユナイテッド航空の場合はCLEARとの提携だが、次に導入する可能性が高い)。デルタ航空が空港内のさまざまな顧客接点でこれを展開し、他の企業もすぐに追随することを期待している。

画像クレジット:Delta

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

アトランタが米国南東部でユニコーンを量産するテクノロジーハブに成長した理由

ここ5年間、米国南東部はアトランタを筆頭に、テック業界における「指折りの穴場の1つ」から、10億ドル(約1091億円)規模のテック企業が群がる活気あるエコシステムになった。ちなみに、このような10億ドル規模のテック企業は(その希少性から)投資業界では「ユニコーン」と呼ばれる。

アトランタに本社を置くValor Ventures(バローア・ベンチャーズ)のパートナーであるLisa Calhoun(リサ・カルフーン)氏によると、この5年間で米国南東部におけるベンチャーキャピタル投資額は急増して21億ドル(約2292億円)に達した。そして、そのうち10億ドル(約1091億円)は2020年1年間で投資されたものだという。

これは、ジョージア工科大学、アラバマ大学、オーバーン大学、ジョージア大学、バンダービルト大学、エモリー大学や、歴史的に黒人学生を対象として設立されたモアハウス大学、スペルマン大学、ザビエル大学など、南東部の私大と公立大学から才能ある起業家が生まれていることを示す兆候だ。また、地元の起業家への再投資が行われているサインでもある。地元への再投資は、アトランタをハブ都市としてマイアミ、バーミングハム、ナッシュビル、ニューオーリンズなどのスタートアップ都市を結ぶネットワークを作ることを目指す数十年来の取り組みだ。

カルフーン氏はメール取材に対して次のように答えてくれた。「アトランタは、次世代のグローバルなポストシリコンバレー型テクノロジーハブだ。今から10年後、米国社会ではマイノリティが全体として多数派になる。アトランタの現在の人口はその動態を先取りしている。南東部には米国人口の40%以上が南東部に住んでおり、有色人種の創業者や企業経営者の密度は米国一で、AirBnB(エアビーアンドビー)をはじめとする数多くのテック企業が拠点を置いており、地元でも昔からトップレベルのテック企業や人材が生まれていることを考えると、アトランタは未来のテクノロジーハブのあるべき姿を示していると思う。この地域の人口基盤は多様で拡大し続けている。これは、力のある創業者なら誰もが考慮すべき要素だ」。

とはいえ、ベンチャーキャピタル企業や投資企業に経済的なリターンをもたらす次なる主要地域の1つとして数えられるには、まだ課題が山積みである。

アトランタに本社を置く投資会社Tech Square Ventures(テック・スクエア・ベンチャーズ)の創業者兼ジェネラルパートナーであるBlake Patton(ブレイク・パットン)氏は次のように述べる。「米国のGDPのうち、南東部が占める割合は24%で、そのうちベンチャー投資が占める割合はわずか7%だ。しかし、南東部における最近の動向を見ると、その状況は変わり始めている。投資企業が南東部に注目してその地域の担当者をサポートし、その担当者が南東部の優れた才能豊かな起業家に投資する、というケースが増えている」。

アトランタにおけるドットコムバブルの到来と崩壊

1996年に夏季オリンピックを開催してから数年の間、アトランタは米国の次なる大型スタートアップハブの候補都市として飛ぶ鳥を落とす勢いを見せていた。

オリンピックを開催したことにより、アトランタは世界の表舞台に躍り出た。さらに、バージニア州のAmerica Online(AOL)をはじめとするインターネット企業の誕生により、企業活動が活発になり、注目度が上がり、投資家が集まるようになったのを見たアトランタの市議会と市長は、第一次ドットコムバブルの初期、アトランタをテレコム企業とスタートアップのハブ都市にしようと力を入れていた。

アトランタを拠点とする非営利団体Launchpad2X(ローンチパッド2X)の創設者で連続起業家および経営者でもあり、アトランタのエコシステムと深いつながりを持つChristy Brown(クリスティ・ブラウン)氏は次のように語る。「1990年代半ばにオリンピックを開催したことによって何かが起こり、アトランタは世界中で認知されるようになった。アトランタがサプライチェーンやロジスティクスのハブだったことが唯一の理由ではない。1990年後半にドットコムバブルがいよいよ盛り上がりを見せると、本来であれば表から見えるべき物事が舞台裏で進行した。Atlanta Gas Light(アトランタ・ガス・ライト)はオリンピックのためだけにアトランタ周辺に米国最大のダークファイバ―網(敷設されたが未使用状態の光ファイバー網)を敷設した。次世代の宇宙航空技術を研究しているはずのジョージア工科大学はコンピューターサイエンスにも力を入れ始めた」。

アトランタは初期の成功にある程度貢献した。第一次ドットコムバブル期の革命的な変化を引き起こした(が、その後はスキャンダルの泥沼にはまったり大企業に買収されたりした)優秀なテレコム企業やネットワーク企業を輩出したからだ。MCI Worldcom(MCIワールドコム)や、Cingular Wireless(シンギュラー・ワイヤレス)に買収されたAirtouch Cellular(エアタッチ・セルラー)は、最終的には再編後のAT&Tの傘下に収まった。

ブラウン氏は次のように説明する。「アトランタのテック業界ではさまざまな出来事が進行していた。これらの創業者の多くは机上の空論に基づいてドットコム企業を立ち上げており、それがドットコムバブルへと発展していった。このような状態が1990年代半ばから後半にかけて続き、ドットコムバブルが崩壊すると、アトランタとその周辺で数多くのドットコム企業が廃業した」。

初期のドットコム企業が2000年のドットコムバブル崩壊とともに崩れ去ると、その影響はアトランタのテックエコシステムに波及して、企業が手にしていた初期の好業績は消え去り、このバブル崩壊を何とか耐え抜いたいくつかの企業は成功したものの、アトランタは10年に及ぶ再建の道を歩むことになった。

画像クレジット:TechCrunch

不況の日々

そのような企業の1つがMailChimp(メールチンプ)だ。テックバブル崩壊直後の2001年に創業した同社はメールマーケティング用サービスを提供する非上場のスタートアップで、Ben Chestnut(ベン・チェストナット)氏とDan Kurzius(ダン・カージアス)氏のウェブ開発企業が手がけたいくつかのプロジェクトのうちの1つである。

両氏はCox Interactive Media(コックス・インタラクティブ・メディア)で知り合い、初期のMP3製品の開発にともに携わった。このプロジェクトが下火になって結局は失業した両氏は一緒に事業を始めることにした。両氏は事業収益を元手にメールチンプのサービスを開発し、ベンチャー資本の投資を受けずにメールチンプ事業を一から立ち上げたのだが、この企業モデルは後に南東部の多くのテック起業家が見習うものになった。

数年後の2003年には、John Marshall(ジョン・マーシャル)氏という別の起業家がホスピタリティ業界の施設にインターネット接続用のホットスポットを設置する事業を始めて、最終的には他のネットワークインフラの監視と管理を含むWandering WiFi(ワンダーリングWiFi)というサービスへと成長させた。スタートアップの世界に勢いよく進出したワンダーリングWiFiはその後AirWatch(エアウォッチ)としてエグジットを達成し、アトランタ発の大型テックエグジット事例となった。

メールチンプは創業後6年間、共同創業者2人の副業だった。両氏とも同サービスに引き続き携わってはいたが、フルタイムでは関わっていなかった。2007年に1万ユーザーを達成してはじめて、両氏ともフルタイムでこの事業に従事するようになった。

起業当初はまとまりのなかったメールチンプが、両氏を億万長者に押し上げた。2018年のForbes(フォーブス)には、メールチンプの評価額は42億ドル(約4582億円)、収益額は6億ドル(約655億円)だと記されている。

アトランタのテック業界再生が本格的に始まった時期を挙げるとするなら、それは2006年だろう。世界的な金融危機が発生する数年前、テック業界で今よりも多くの企業がもっと安定した収益見通しを投資家に提示できていた頃だ。1990年代終わり頃にIPOを達成したアトランタエリア発のドットコム企業であるInternet Security Systems(インターネット・セキュリティ・システムズ)が13億ドル(約1418億円)でIBMに売却された年でもある。

インターネット・セキュリティ・システムズの共同創業者であるTom Noonan(トム・ノーナン)氏とChris Klaus(クリス・クラウス)氏も同じように長い道のりを経験した。1990年代半ば、クラウス氏がアトランタにあるノーナン氏の自宅のガレージに住んでいたときに立ち上げた事業は、IBMによる買収直前には年間収益4億ドル(約436億円)の企業に変身していた。

資本が流れ込んでくるようになると、アトランタはテック業界でいくらか体勢を立て直し、自分の事業に夢中になっていた創業者が地元の企業に再投資するようになった。さらにアトランタは起業家精神を育てるためのイベントを増やすべく行動を起こした。2006年には南東部出身の新しい人材や初期スタートアップを紹介する場となるVenture Atlantaというカンファレンスが創設され、アトランタのテック業界の未来を形作る起業家が数名、このカンファレンスを登竜門として飛び立っていった。

画像クレジット:TechCrunch

新たなスタートアップシーンのモデル都市

2006年は、アトランタ企業のエグジットにとって重大な年だっただけでなく、新たなスタートアップが大量に生まれた年でもある。そのことが原動力となり、アトランタはその後の10年間で現在のように活発なスタートアップ都市になり、10億ドル規模のテック企業をいくつも生み出すようになった。

David Cummings(デービッド・カミングス)氏とAdam Blitzer(アダム・ブリッツァー)氏がマーケティングと営業の自動化ソフトウェアを開発するPardot(パードット)を創業したのも2006年だ。パードットは急成長し、ExactTarget(イグザクトターゲット)などの業界大手から注目されるようになった。Manhattan Associates(マンハッタン・アソシエイツ)の経営幹部だったAlan Dabbiere(アラン・ダビエーレ)氏がマーシャル氏と手を組み、ワンダーリングWiFiがエアウォッチに変わって、モバイル企業のネットワーク管理やセキュリティに関するサービスを提供するようになったのも、やはり2006年だった。

2006年以降の数年間、メールチンプはより活発に活動した。現在はSean O’Brien(ショーン・オブライエン)氏とともに投資会社Overline Ventures(オーバーライン・ベンチャーズ)の共同創業者であるMichael Cohn(マイケル・コーン)氏がCloud Sherpas(クラウド・シェルパス)を立ち上げたのも、動画配信サービスを開発するClearLeap(クリアリープ、2015年にIBMに買収され、評価額は1億1000万ドル(約120億円)だった)、サイバーセキュリティのDamballa(ダムバラ、後年アトランタ近郊に本社を置くCore Security[コア・セキュリティ]に買収された)、多くの大手銀行が顧客向けポイントプログラムの実施に利用しているCardlytic(カードリティクス、現在はNASDAQに上場しており時価は40億ドル[約4364億円])などの企業が起業したのも、すべてこの時期だ。

台頭するこれらのテック企業に鼓舞されて、他の起業家も次々とこの波に乗った。Kabbage(カベッジ、後に8億5000万ドル[約927億円]で買収された)、Calendlyカレンドリー、2021年の時点で事業規模30億ドル[約3273億円])、音声認識テクノロジーを開発するPindrop(ピンドロップ、2018年に9000万ドル[約98億円]を調達)などの企業がスタートアップシーンに姿を現したのも同じ時期である。

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これらの企業は、決済・金融サービス、クラウドベースのビジネスソリューション、インターネットセキュリティを中心とする多種多様なスタートアップが生まれる土壌を整えた。Scientific Atlanta(サイエンティフィック・アトランタ)のようなハードウェア製品に特化したテレコム企業やネットワーク企業は姿を消した。ちなみに、サイエンティフィック・アメリカは、Hewlett Packard(ヒューレットパッカード)がシリコンバレーでそうだったように、1950年代のアトランタにおいてハイテク企業の草分けとなった企業だ。

一方で、新世代の投資家がアトランタを視界に入れ始めた。その前兆となったのが、2006年のBIP Capital(BIPキャピタル)創設だ。これはアトランタの新米起業家にとっても重要な意味を持つ出来事だった。

アトランタの未来を信じた投資家たち

アトランタ出身の起業家が増えるにつれて、瀕死の状態にあった現地の投資コミュニティが活力を取り戻した。CrunchBaseのデータや数人の投資家および創業者への取材によると、ドットコムバブルの崩壊後、深刻な痛手を負いつつも何とか生き残ったアトランタエリアの投資会社は、レイターステージのスタートアップやアトランタ以外のエコシステムに属するスタートアップを探し始めたという。

例えばNoro-Moseley Partners(ノロ=モーゼリー・パートナーズ)はアトランタ発の投資会社の中では群を抜いて活発に投資を行っている。Crunchbaseのデータによると、同社はその長い歴史の中で123件を超える投資案件を取り扱ってきたが、直近5年間でアトランタを本拠とする企業へ投資した案件はわずか4件しかない。

対照的に、BIPキャピタルの創設以降、同社に飛びついた企業は、資本を展開し、連続して何度も巨額の資金調達を成功させてきた。ここ5年間でBIPキャピタルは最低でも15社のアトランタエリア企業に投資しており、現在は米国南東部と中西部を本拠とするアーリーステージのスタートアップを対象とする3億ドル(約327億円)規模のファンドPanoramic Ventures(パノラミック・ベンチャーズ)の設立を計画している。

BIPキャピタルの共同創業者兼CEOであるMark Buffington(マーク・バフィントン)氏はTechCrunchによるメール取材の中で次のように説明した。「アトランタや南東部の創業者が出資者を見つけることは昔から困難だった。以前は、テクノロジーハブの古株であるシリコンバレーや北東部の都市以外でテック企業を創業するのは不利だと考えられていた。投資資本を確保することがさらに難しくなるからだ。大手ファンドはハブ都市にあり、そのようなファンドが提供する豊富なチャンスをつかめるのは、地理的にそのハブに所在する企業だけだった。古参のハブ都市は、資本が集まるという意味では現在でも重要な存在だが、スタートアップも物理的にハブ都市に所在する必要性は変わった。イノベーションが進行している他の都市に拠点を移すベンチャーファンドが増えている。同時に、地元の都市や地域を本拠とする投資会社の投資額も増えている。その主な原因は、非公開市場に資金が流入していることだ」。

アトランタの投資シーンを変えつつあるこのような一連の新たな投資家の1人がパットン氏だ。同氏は、テック・スクエア・ベンチャーズや、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)投資を行うと同時にアトランタに本社を置く大企業数社の力を活用してスタートアップを支援する投資会社Engage(エンゲージ)のパートナーとして働くことにより、起業家たちを奮い立たせ、新たに芽生えたテック企業スタートアップへの関心を高めた。

パットン氏は次のように説明する。「南東部で最近高まっている機運の原動力となっているのは、イノベーションのエコシステム全体でつながりが強化されたこと、そして、この地域から生まれて成功しているスタートアップから輩出される起業家や人材の数がクリティカルマスに達したことだ。企業がデジタル変革とイノベーションに重点を置いている今、どの企業もある程度はテック企業にならざるを得なくなっており、そのことがスタートアップとテック企業との間で人材の流動を促し、つながりを強めている。この地域の最大の強みは多様性とHBCU(歴史的黒人大学)のトップ4校があることだ。5年間には、南東部が、多様性のある起業家により創業され、多様性豊かなチームによって運営されるスタートアップの成功例を生み出す点で主導的な存在になっていて欲しいと思う。単に人間としての責務に関する話ではない。米国の黒人人口の半分を擁する南東部には、チャンスに恵まれない起業家がリードする立場になれるようサポートする点で成功する義務がある。南東部で多様性の課題に取り組めないなら、米国全土で取り組めるわけがない」。

とはいえ、アトランタでスタートアップの活動を再び活性化させるには別の材料も必要だった。例えば、2012年にカミングス氏が立ち上げたAtlanta Tech Village(アトランタ・テック・ビレッジ)が提供するコワーキングスペース、Advanced Technology Development Center(ATDC、先進テクノロジー開発センター)による継続的な関与、Venture AtlantaカンファレンスやHypepotamus(ハイプポタマス)を中心に展開されたコワーキング環境などだ。Hypepotamusは今でも南東部におけるスタートアップ活動に関して一番頼りになるメディアである。

カミングス氏がアトランタで再投資することを決め、都心から少し離れた上品なバックヘッド地区の近くにテック・ビレッジを立ち上げたことが、アトランタの起業熱を再燃させた大きな要因の1つだと、どの起業家や投資家も口をそろえていう。カミングス氏はパードットを売却後、David Lightburn(デービッド・ライトバーン)氏とともに、起業家向けのコワーキングスペースとしてアトランタ・テック・ビレッジを設立した。このスペースは、大型スタートアップの次なる波を作り出すであろう新たなスタートアップ創業者を何人も引きつけた。アトランタのテックコミュニティで長年活動する人は次のように語る。「デービッド・カミングスがパードットを売却したのは、起業家たちのコミュニティになる場所を作りたかったからだ。スタートアップの創業者が一緒にランチを食べられる場所を作り、起業家たちがビジネスを作り上げていくのを強力にサポートしていた」。

それと同じくらい主要な鍵となったのは、ジョージア工科大学と関連したスタートアップ向けのハブとして長年活動してきた先進テクノロジー開発センターだと、起業家と投資家はいう。Venture Atlantaカンファレンスも、米国全土から投資家をアトランタに集めて地元の人材を紹介するという役割を果たした。CreateX(クリエイトX)とVenture Atlantaのプログラム、アーリーステージの起業家を対象とした4つのイニチアチブとワークスペースは、後にPartPic(パートピク)、Greenlight(グリーンライト、現在の評価額は23億ドル[約2507億円])、カバッジ、ピンドロップなどのような大輪の花を咲かせるための種をまいた。

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画像クレジット:TechCrunch

多様性のある創業者や投資家が活躍できる都市

アトランタのスタートアップエコシステムの初期において、多様性のある創業者や女性創業者にとって他の何よりもうれしかったサポートが、Hypepotamusが提供するコワーキング用スペースとオフィスだ。

連続起業家のMonique Mills(モニーク・ミルズ)氏も、2016年にパートピクをAmazon(アマゾン)に売却し、現在はGoogle(グーグル)の米国スタートアップ部門を統括するJewel Burks Solomon(ジュエル・バークス・ソロモン)氏も、Hypepotamusを利用していた。

バークス・ソロモン氏は当時を振り返ってこう語る。「Hyperpotamusが無料で提供していたスペースが私の初めてのオフィスになった。当時、手元にそれほど資金が残されていなかった私が次にまとまった額を調達できたのはATDCでのことだった。ATDCでジョージア州のインキューベーターに会えたからだ。ATDCはスペースを貸し出してくれるだけではなく、起業家を常駐させており、ATDC全体がアトランタ発のテック系スタートアップを支援する包括的なプログラムとなっていた」。

数人の創業者や投資家は、Hyperpotamusが提供していたスペースと、後続のOpportunity Hub(オポチュニティ・ハブ)やThe Gathering Spot(ザ・ギャザリング・スポット)などのコワーキングスペースが、アトランタの黒人起業家コミュニティが成功につながる化学反応を引き起こしたと述べている。

さらに、National Builder Supply(ナショナル・ビルダー・サプライ)から派生したHypepotamusのスペースが触媒の1つだとしたら、エンジェル投資家のMike Ross(マイク・ロス)氏もまた成功につながる化学反応を引き起こす役割を果たしたと言える。

起業家のCandace Mitchell Harris(キャンディス・ミッチェル・ハリス)氏が最近UrbanGeekz(アーバンギークズ)に語ったプロフィールの中で次のように述べている。「マイク(ロス氏)はアトランタのエコシステム内の成功した黒人創業者スタートアップの多くに投資してきた。マイクがいなかったら現在の私たちはない。私たちの多くは、から約束に振り回されたり、あからさまな拒絶を受けたりしてきた。そんな創業者に対して確信を込めて投資して創業者の背中を押してくれたのがマイクだった」。

モアハウス大学を卒業したロス氏は、建設・業務請負業界でコンサルティング業を営んで富を築き、Luma(ルマ)、パートピク、Monsieur(ムッシュ)、Axis Replay(アクシス・リプレイ)、Myavana(ミヤバナ)、TechSquare Labs(テックスクエア・ラブズ)、オポチュニティ・ハブザ・ギャザリング・スポットなど、黒人の創業者や投資家に出資してきた。

投資家のPaul Judge(ポール・ジャッジ)氏や、Joey Womack(ジョーイ・ウォマック)氏、Barry Givens(バリー・ギブンズ)氏、Mitchell Harris(ミッチェル・ハリス)氏などの起業家は皆、ロス氏による気前の良い投資の恩恵を受けてきた。

美容テック系スタートアップのミヤバナの共同創業者兼CEOであるミッチェル・ハリス氏はUrbanGeekzに次のように語っている。「マイク(・ロス氏)は当社を支援してくれた最初のエンジェル投資家で、当社が成功するきっかけを作ってくれた。2012年6月にBlack Founders Conferenceで初めてマイクに会ったときのことを今でも覚えている。彼は探求心があって、当時アトランタのテック系スタートアップシーンで生まれつつあった機運を高めたいという意欲にあふれていた」。

ロス氏は他の投資家のためにも道を切り開いた。例えば、Arian Simone(アリアン・シモーネ)氏、Ayanna Parsons(アヤナ・パーソンズ)氏、Keshia Knight Pulliam(ケシア・ナイト・プリアム)氏が運営する、女性投資家によるファンドFearless Fund(フィアレス・ファンド)だ。同社は2019年に最初のファンドを発表した。別の例はCollab Capital(コラブ・キャピタル)だ。2020年設立されたこの投資会社は、Burks Solomon(バークス・ソロモン)氏、Justin Dawkins(ジャスティン・ドーキンス)氏、Barry Givens(バリー・ギブンズ)氏によって運営されている。どちらの例も、ロス氏が最初に投資を始めてから10年近くたった後の出来事だ。

シモーネ氏は次のように述べている。「現在、有色人種の女性創業者は数の点では最も多いが、調達できる資金は最も少ない。アトランタは黒人起業家のメッカであり、私たちがベンチャーキャピタルやテクノロジーを利用できる場所であるはずだ。私たちがアトランタで行っていることを支援して欲しいと、アトランタ市、ジョージア州、そして各銀行に訴えたい。彼らの支援が必要だ」。

そのような支援は単に必要なだけではなく、成功に寄与する。TechCrunchによるリサーチの中で「アトランタエリアでアーリーステージ投資に力を入れている」と判明したベンチャーキャピタル36社のうち41%が、(1)全投資案件において多様性を重視している、(2)ファンドマネジメントチームが多様性に富んでいる、という2つの基準の片方または両方を満たしていた(Crunchbaseのデータによる)。

さらに、TechCrunchによるリサーチの対象としてサンプリングされたアトランタエリア拠点のプレシード、シード、シリーズAスタートアップ全158社のうち、48%が、(1)創業者チームの性別が多様、または(2)創業者チームの民族が多様、あるいはその両方の基準を満たしていた。創業者チームが自分たちについて紹介していないスタートアップも多かったため、多様性に富んだ創業者チームの数は現在公表されているデータよりも多い可能性がある。

UrbanGeekzが述べているように、アトランタのテック業界で働く従業員の約25%は黒人だ。対照的に、サンフランシスコではその割合が6%に下がる。

ロス氏はUrbanGeekzに次のように語った。「10年前は(黒人創業者のテック系スタートアップは)まだ始まったばかりだった。今ではアトランタが米国でトップレベルのテクノロジーハブになっており、そのエコシステムの多様性もトップクラスだ」。

今後の展望

「現在起きている出来事について考えると非常にワクワクする。資本を配置する能力を持つ人たち自身が多様性に富んでいる。この地域のテック業界の未来は明るいと思う」とバークス・ソロモン氏は語る。

そう感じているのはソロモン氏だけではない。コーン氏とオブライエン氏が共同で立ち上げたオーバーライン・ベンチャーズ、Panoramic(パノラミック)、以前はロサンゼルスで投資活動を行っていたPaige Craig(ペイジ・クレイグ)氏とLeura Craig(ローラ・クレイグ)氏が立ち上げたOutlander Labs(アウトランダー・ラブズ)なども、アトランタのスタートアップエコシステムは長い目で見て有望であると投資家たちが考えている証拠だ。

アウトランダー・ラブズの共同創業者であるローラ・クレイグ氏はメールで次ように説明してくれた。「南東部、特にアトランタは今後5年間で主要なテック系スタートアップハブになれる可能性がある。まるで5年前のロサンゼルスを見ているかのようだ。人材も地元にいる。ただし、昔から問題だったのは、メンターが少ないこと、アーリーステージ向けのキャピタルが少ないこと、成長・拡大したレイターステージ向けのキャピタルも少ないことだ。しかし、これらすべてが今、変わりつつある。非常に多くの投資家が米国各地に移転しており、以前には投資対象にならなかった地域での投資を検討し始めている。新型コロナウイルス感染症によって、カリフォルニアやニューヨークから転出する動きが大幅に加速されたが、この動向によって圧倒的な勝ち組になるのが南東部のテックシーンだ」。

大手テック企業もアトランタのエコシステムに多額の資金を投じることにより、同市のスタートアップシーンに期待を寄せていることを示している。直近では、Apple(アップル)がアトランタでの新たなプロジェクトに合計で約1億ドル(約109億円)を投じることを発表した。これには、2500万ドル(約27億円)を投じてアトランタの歴史的黒人大学の近くに多様性を促進し、起業家精神を育てるための施設を建設するPropel Center(プロペル・センター)プロジェクトが含まれている。

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このプロジェクトは、バーチャルプラットフォームと、Atlanta University Center(アトランタ大学センター)内の物理的キャンパスの両方で構成される予定だ。

学生たちは、人工知能、アグリテック、社会的公正、エンターテインメント、アプリ開発、拡張現実、デザイン、クリエイティブアート、起業など、さまざまなコースを選んで学ぶことができる。アップルはこのプロジェクトに対して金銭的な投資を行っているだけではない。アップルの社員がカリキュラムを開発し、メンターとしての助言も提供する。学生たちにはインターンシップの機会も与えられる。

アトランタの好調なテックコミュニティへの支援を表明している大手テック企業はアップルだけではない。Facebook(フェイスブック)はアトランタ市近況のデータセンター施設の拡大に数十億ドル規模の巨額投資を行う予定だ。また、Google(グーグル)は米国全土を対象とした雇用創出投資のために取り分けた90億ドル(約9811億円)の一部をアトランタエリアに投入することを決めている。

現在成長しているアトランタのスタートアップシーンは、台頭している他の都市エリアが参考にできる事例になるだろう。必要なのは、優秀な技術系の高等教育機関、コラボレーションを通してスタートアップを生み出すためのリソースへの投資、地元のコミュニティに再投資する意欲にあふれた投資家のネットワーク、非営利の活動やプロモーション活動を通じた地元自治体によるサポート、そして最後に、その都市が持つ多様な歴史を擁護することである。シリコンバレーをまねする必要はないが、急成長するテックコミュニティをさらに良くするためにシリコンバレーのツールを活用することは可能だ。

最後に、TechCrunchの取材に応じてくださったみなさんに御礼申し上げるとともに、今後も南東部からうれしいニュースが数多く届くことを期待したい。

【注記】本記事はTechCrunchのアナリストKathleen Hamrickの取材協力を得て執筆された。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:アトランタユニコーン

画像クレジット:Virendra Murumkar / Contributor / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、Kathleen Hamrick、翻訳:Dragonfly)

米アトランタ地区にT-Mobileとジョージア工科大学のタッグによる5Gインキュベーターが新設

T-Mobileとジョージア工科大学の先端技術開発センター(Advanced Technology Development Center、ATDC)の協力により、米アトランタ都市圏に5G技術に取り組むスタートアップのための新たなインキュベーターが設立されることが米国時間2月17日発表された

これはT-Mobileのアクセラレータプログラムの拡大であり、携帯キャリア大手の同社が5Gイノベーションを後押しする取り組みの一環だ。

アトランタに隣接する準郊外都市、Peachtree Cornersのスマートシティテクノロジー開発パークを拠点とするこのインキュベーターは、T-Mobileの5Gサービスがすでに導入されており、自律走行車、ロボット、産業用ドローンアプリケーション、MRトレーニングやエンターテインメント、遠隔医療、パーソナルヘルスなどにおける5Gユースケースを開発者が構築し、テストするのを支援すると同社は述べている。

この「5G Connected Future」プログラムに参加するスタートアップは、T-Mobileのアクセラレーター、ジョージア工科大学、Peachtree CornersキャンパスのイニシアチブであるCuriosity Labのスタッフと直接仕事をすることになる。

ATDC のディレクターであるJohn Avery(ジョン・エイブリー)氏は、「5G 分野の起業家は、通常のスタートアップの問題に加え、州や地方レベルでの規制問題、 ネットワークセキュリティ、統合テストなど、独自の課題に直面します」と語る。

Peachtree Cornersのセットアップは、そうした展開をナビゲートするのに役立つかもしれない。ATDC は、その関与の一環として、プログラムの提供、スタートアップ企業の採用と評価、Peachtree Cornersでの垂直展開を管理するスタッフの雇用を行うとのことだ。

「今回のコラボレーションは、ATDCとジョージア工科大学、Peachtree Corners市とCuriosity Lab、そしてフォーチュン50社の1つであるT-Mobileにとって、これらの企業と一緒に仕事をし、アイデアをスケーラブルな企業に磨き上げ、彼らのソリューションをより迅速に市場に投入するためのユニークな集積を作りだす絶好の機会です」とエイブリー氏は述べている。

このようなパートナーシップは、「明日のテクノロジーリーダーを可能にするというジョージア工科大学のコミットメントを強調するものであり、それは、ATDCが41年前に設立されたときから変わっていません」と、ジョージア工科大学の研究担当エグゼクティブバイスプレジデントであるChaouki T.Abdallah(チャウキ・T・アブダッラー)氏は述べている。「イノベーションは孤立した状態では起こりません。起業家やスタートアップ企業は、このようなパートナーシップを通じて提供される知識とリソースを必要としています」。

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)