任天堂子会社NERDが「スーパーマリオ 3Dコレクション」で採用したエミュレーション技術など公表

任天堂子会社NERDが「スーパーマリオ 3Dコレクション」で採用したエミュレーション技術やディープラーニング紹介

Nintendo

スーパーマリオ35周年記念の1つとして発売された「スーパーマリオ 3Dコレクション」は、NINTENDO 64向け「スーパーマリオ64」、ニンテンドー ゲームキューブ専用の「スーパーマリオサンシャイン」、Wiiで発売された「スーパーマリオギャラクシー」の3世代マリオが1本に詰め合わされています。

これらをNintendo Switchに移植する上で影ながら貢献していたのが、任天堂の子会社でソフトウェアやミドルウェア開発に特化したフランスのNERD(Nintendo European Research and Development)でした。3本のマリオを任天堂の最新ハード上に再現するため、NERDがどのような技術を駆使したかが公式サイトで語られています。

NERDは任天堂のヨーロッパ研究開発部門として知られており、長年にわたって数々のプロジェクトを支えてきた存在です。Wii UのニンテンドーDSバーチャルコンソールやNewニンテンドー3DSの「3D立体視の調節機能」しかり、ミニファミコンやミニスーファミも元々はNERD開発チームが関わっていたプロジェクトが商品化したかっこうです。

さて今作でNERDによる主な貢献は3つ。まず独自のゲームキューブエミュレーション技術であり、「スーパーマリオサンシャイン」を動かすのに使われています。最大の課題の1つは、スイッチのカスタムプロセッサ上でGC(略称)の古いとはいえ強力なMPU(マイクロプロセッサ)をエミュレートすることで、ゲームをフル速度で実行するには多くの最適化トリックが必要だったと語られています。

2つ目が、「スーパーマリオサンシャイン」開発チームと協力して現代的な機能を追加したこと。これには16:9のHDレンダリングやJoy-Conによる新たな操作が含まれているとのことです。またゲーム内の画像は、NERD独自のディープラーニングエンジンによりHDにアップグレードされたと述べられています。

最後に「スーパーマリオサンシャイン」については、GCとWiiのハードウェアアーキテクチャが似通っていることを活用し、「グラフィックスとオーディオエミュレーション技術」を提供して移植を支援したとのことです。

現代のゲーム専用機は過去と比べれば強力になっているとはいえ、普及を前提とした価格からプロセッサや搭載RAMも抑えめとなり、レトロゲーム機といえども丸ごと仮想マシンとして再現するエミュレーションは荷が重いと思われます。そうした強力とは言い難いハード上で快適にゲームを動かすために培われた技術が、噂されているNintendo Switch Pro(仮)にも活かされるのかもしれません。

(Source:Nintendo European Research & Development(NERD)、via:Nintendo EverythingEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:アニメーション(用語)スーパーマリオ(製品・サービス)ディープラーニング / 深層学習(用語)任天堂 / Nintendo(企業)Nintendo Switch / ニンテンドースイッチ(製品・サービス)

Preferred NetworksがCrypkoを含む深層学習活用のデジタル素材生成システムをクリエイティブ産業向けに開発

 

Preferred Networksが深層学習活用のデジタル素材生成システムをクリエイティブ産業向けに開発

Crypkoで自動生成したキャラクターの例

Preferred Networks(プリファードネットワークス。PFN)は3月10日、クリエイティブ産業向けとして、好みのキャラクターや高精細な3Dモデルを生成できるデジタル素材生成システムを発表した。

また同システムを利用した映像作品の第1弾として、PFNは、バーチャルシンガーHACHI(RK Music所属)の楽曲「20」をフィーチャーした短編動画(企画・制作:PFN、キングレコード、ポリゴン・ピクチュアズ)を公開した。

キャラクターの自動生成を行う「Crypko」(クリプコ)

同デジタル素材自動生成システムは、キャラクターの自動生成を行うプラットフォーム「Crypko」(クリプコ)、「高精細3Dモデル生成」の2機能で構成している。

Crypkoは深層学習を利用し、制作者が定義した顔のパーツ、表情、髪の色などに合ったキャラクターのCG(立ち絵)を自動生成可能。これまでCrypkoは顔を生成対象としていたが、より高い解像度で上半身まで生成可能となった。

高精細3Dモデル生成

高精細3Dモデル生成機能では、実物のアイテムを専用3Dスキャナーに配置し撮影するだけで、高精細な3Dモデルを自動生成できる。様々な材質や大きさの被写体に対応しており、小型アイテムであれば、約6時間の撮影作業で当日中に200点以上の3Dモデル化が可能という。生成した高精細3Dモデルは市販の編集ソフトで自由に加工・複製し、映像作品やゲームなどで使用できる。

Preferred Networksが深層学習活用のデジタル素材生成システムをクリエイティブ産業向けに開発

実物の写真

 

Preferred Networksが深層学習活用のデジタル素材生成システムをクリエイティブ産業向けに開発

3Dスキャンで生成した高精細モデル

 

Preferred Networksが深層学習活用のデジタル素材生成システムをクリエイティブ産業向けに開発

回転させた3Dモデル(低解像度)

 

3Dモデルのメッシュ構造

3Dモデルのメッシュ構造

映像作品の第1弾で、主人公キャラクターやアイテム類の制作に利用

PFNが公開した短編動画では、キャラクター自動生成システムが生成したキャラクターを基に主人公のデザインを行ったほか、スマートフォンや背景の文房具などのアイテムは高精細3Dモデル生成機能を用いて実物から生成したデータを基にしているという。

また、動画に登場するギターのCG制作過程では細部の質を上げるため外部クリエイターと共同作業しており、精細なデジタル素材を作成できたとしている。

Preferred Networksが深層学習活用のデジタル素材生成システムをクリエイティブ産業向けに開発

短編動画で使われたギターと家具の3D CG

なお、同デジタル素材自動生成システムは、経済産業省の令和元年度補正予算「コンテンツグローバル需要創出促進・基盤整備事業費補助金」(J-LOD)第4弾の採択事業として開発したもの。

同システムをはじめとして、PFNは今後もクリエイティブ産業向けに先端技術を活用した制作手法を提案し、新しい表現・体験の実現を目指すとしている。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:アニメーション(用語)AI / 人工知能(用語)Crypko(製品・サービス)ディープラーニング / 深層学習(用語)Preferred Networks(企業)
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ブロックチェーン活用し「唯一無二」のアニメ原画データなどを販売する「AniPic!」が4000万円調達

ブロックチェーン活用し「唯一無二」のアニメ原画データなどを販売する「AniPic!」が4000万円調達

アニメ作品のワンシーンや原画の高解像度デジタルデータを収集できるコレクションサービス「AniPic!」(アニピク!)などを運営するYUIMEX(ユイメックス)は2月19日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による約4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ANOBAKA(旧KVP)、iFund、Upstart Venturesの3社。

またAniPic!において、「攻殻機動隊 SAC_2045」の商品化を明らかにした。発売は2月下旬予定。

調達した資金により、AniPic!をはじめとするデジタルプラットフォーム構築や、マーケティングの強化を図る。AniPic!ブランドのテクノロジーを活かした新たなグッズプロダクトや、アニメ・マンガ作品向けのデジタル美術館サービスもAniPic!内にローンチを予定しているという。また近日中に「AniPic!ストア」をオープン、AniPic!ブランドの「メモリアルグッズ」、「テクノロジーグッズ」を展開予定。

ブロックチェーン活用し「唯一無二」のアニメ原画データなどを販売する「AniPic!」が4000万円調達

AniPic!は、「もっとダイスキなアニメを、いつも側に。」をサービスコンセプトとする、ブロックチェーン技術を利用したアニメコンテンツ販売サービス。AniPic!は、著作権者の許諾に基づきアニメ・マンガのワンシーンや原画の高解像度デジタルデータを販売しており、ファンは好みのデータをコレクションとして収集し楽しめるという。

AniPic!は、2020年11月にサービスを開始。フジテレビ系列のアニメ「GREAT PRETENDER」(グレートプリテンダー)の場面写真や設定資料などを「アニピク」こと「デジタル・ブロマイド」として販売している。

YUIMEXは、同サービスを進める市場背景として、インターネットやデジタルデバイスの普及によって、アニメやマンガなど創作物の著作権を侵害する事例が後を絶たず、1月1日の改正著作権法施行により、海賊版デジタルコンテンツのダウンロードが違法化された点を挙げている。

こういった状況においてYUIMEXのグッズ販売では、ブロックチェーン技術を使うことで、それぞれのユーザーが所有するデジタルブロマイドが唯一無二のものであることを証明できるという。これによりファンがクリエイターを支援できるだけでなく、市場を健全化を目指すとした。

2020年2月設立のYUIMEXは、「世界に結い目を、デジタルに愛を」というコーポレートビジョンの下、事業を展開。現在、ブロックチェーン技術を用いた価値証明を通じて日本が世界に誇るアニメ文化への、テクノロジーによる革新的アプローチを行うAni-Tech(Animation-Technology)領域を掲げている。

世界に新しいアニメ作品の価値を届け、世界中のアニメファンと日本のアニメ文化を結ぶサービスのさらなる拡大に向けて「ダイスキとダイスキの結い目を創り続ける」というミッションに挑戦していくとしている。

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