モバイル・ショートビデオのTikTokは2019年に急成長するも収益化に苦闘中

Sensor Towerのレポートによれば、ダウンロード数でも収入でもTikTokは2019年のモバイルアプリの星だった。中国のByteDanceのアプリであるため最近米政府の規制が厳しさを増し、米海軍では使用が禁止されるなどしているが、 現在までのダウンロード数は16.5億回、しかもその44%が2019年に集中している。 つまり昨年1年だけで、7億3800万以上のアプリがインストールされている。

問題は収益性で、TikTokでは各種の実験を繰り返しているがまだ十分な利益を上げていない。もちろん2019年には収入の伸びも著しく1億7690万ドルを得ている。これはそれまでの全収入、2億4760万ドルの71%にあたる額だ。ApptopiaのレポートはTikTokの四半期収入は5000万ドルに上ると報じていた

2019年のTikTokのダウンロード数は2018年から13%アップして6億5500万回となった。2019年の第4四半期はクリスマス休暇を含んだ期間だったこともあり、TikTokとして過去最高の時期となり、2億1900万回のダウンロードがあった。これはそれまでの最高記録だった2018年の第4四半期に比べて6%のアップだった。Sensor Towerのデータによれば、昨年TikTokはゲーム以外のアプリの世界ランキングで、App StoreとGoogle Playの双方でWhatsAppに次ぐ2位となった。

しかしTechCrunchでも紹介したHowever, App Anniieの「モバイルの現状」レポートによれば、Facebook Messenger、 Facebook本体、WhatsAppに次ぐ4位となっており、Sensor Towerの順位とは一致しない。

順位はともあれ、TikTokのダウンロード数が2019年に大きく伸びたことは間違いない。これは主としてインドで人気を得たことが大きい。Tiktokは今年には入ってインドで短期間だが禁止されたが、同市場はTiktokの総ダウンロード、3億2300万回の44%を占める大市場となっている。同時いこれは2018年の27%増だ。.

TikTokの母国、中国では収入の大半はiOSユーザーからのもので、2019年には1億2290万ドルだった。これは収入の69%を占めており、米国のユーザーからの収入である3600万ドルの3倍以上だった。3位の英国の支出は420万ドルにとどまった。

ただしこうした数字も Facebookの660億ドル以上という年間収入に比べるとごく小さい。またTwitterのように小型のネットワークと見られるサービスでも数十億ドルの収入がある。ただし公平にいえば、TikTokはまだビジネスモデルの実験段階にあるスタートアップだ。2019年にTikTokyは, フィード中にネイティブビデオ広告を表示したり、 ハッシュタグ・キャンペーンを行ったりしている。またソーシャルな投げ銭システムにも手を染めている。.

しかし今のところこのチップシステムで、意味のある収入を得ているのはごく少数のクリエーターに過ぎない。 TikTokがYouTubeに追いつくためには優秀なクリエーターにとって魅力のあるサービスになる必要があるのでクリエーターの収入を確保するのは重要な課題だ。

収益化ではTikTokが問題を抱えている理由は、Facebookなどの先行ソーシャル・ネットワークと比べてTikTokにはユーザーの個人データの蓄積が乏しい点が大きい。広告主は、趣味、過去の行動、デモグラフィーなどのデータから適切なターゲティングができず、Tiktokの広告メディアとしての価値をアップすることを妨げている。そこでブランドはTikTokの保持するデータに頼らず、TikTokで人気のあるインフルエンサーと直接提携して広告を配信するなどの手段を取っている。

TikTokは黒字化の達成に至っていないが、ユーザーエンゲージメントでは優秀な成績を挙げている。App Annieのデータによれば、利用時間は2019年に対前年比210%の伸びを示し、トータルで680億時間となっている。TikTokがモバイルユーザーの注目を集めていることは間違いないが、問題はこの注目をいかに収益に結びつけるかだ。

TechCrunchはこの点についてTikTokにコメントを求めたが、回答は「我々は統計を外部に発表していない」と確認するものだった。というわけでTikTokの現状についてはサードパーティーの推定に頼るしかないようだ。

画像:Anatoliy Sizov / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

デベロッパーのトップ1%が全ダウンロード数の80%を占めている

現在のアプリストアのエコシステムは、インディーズデベロッパーにやさしくない。Sensor Towerの最新データによると、全世界で公開されているアプリのトップ1%が、2019年第3四半期の総ダウンロード数296億件のなんと80%を占めていた。これは残りの20%、60億回のダウンロードを残りのデベロッパーで分け合っていることを意味する。

このボトム99%、約78万4080デベロッパーの同四半期平均ダウンロード数は7650回になる。これは、Facebookが四半期中に生み出したダウンロード数(6億8200万回)の1000分の1以下だ。

このデータはさほど驚くに当たらないだろう。なにしろFacebookやYouTubeのようなソーシャルプラットフォームはすでに10億人以上のユーザーを抱えているのだから。しかし、この市場が新規参入アプリにとっていかに偏っているのかは未だに懸念材料だ。公開されているアプリの数が増え続け、競争がいっそう激化していることを考えるとなおさらだ。

同レポートによると、2018年にApple App StoreとGoogle Play合わせて340万本のアプリが公開されていた。これは2014年の220万本から65%増の数字だ。しかし、そのうち1000回以上ダウンロードされたアプリの数は、同じ期間に30%から26%へと減少している。

ゲームだけに絞って見てみると、デベロッパーのトップ1%、すなわち10万8000社中1080社が、全111億回中91億回のダウンロード、82%を占めた。1社平均840万回以上だ。残りの18%、20億回のダウンロードを残りの10万6920社のデベロッパーで分け合った。1社平均は1万8000回のダウンロードになる。

売り上げ金額で見ると格差は一層大きくなる。同四半期の総売り上げ220億ドル中、205億ドルをわずか1526社のデベロッパーが生み出している。一方、残る15億ドルを15万1056社が分け合われ、平均約9990ドルを売り上げた。

ゲームのみの売り上げでは、トップ1%、445社のデベロッパーが全体の95%、155億ドルを生み出し、残りの8億ドルをボトム99%の4万4029社が分け合った。これは1社平均約1万8100ドルにあたる。

こうした傾向が新しいものではないこともSensor Towerは指摘する。トップ1%のシェアはインストール数でも売り上げでもここ数年大きく変わってはいない。つまり、大多数のデベロッパーがごく少数の新規ユーザーと新規インストールを奪い合っている状態だ。

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

App AnnieからGoogle Play Storeに10年目の成績表――Facebookとゲームがダントツの強み

Android MarketとしたスタートしたGoogle Playは先ごろ10年目の誕生日を迎えた。App Annieが最近リリースしたレポートによれば、Google Playのダウンロード数はiOSのApp Storeの2倍、2017年の世界のアプリ・ダウンロードで70%のシェアを占めたという。このレポートはAndroidのユーザー行動とGoogle Playの市場の特質についても調査している。

ただしダウンロード数で圧倒的なシェアを誇るわりに、世界市場でのGoogle Playの売上シェアは34%だ。これに対して2017年のiOS App Storeのシェアは66%と2倍近い。しかもこの数字はここしばらく安定している。

こうした統計は双方のアプリ市場に関する一般的な評価を裏付けるものといっていいだろう。つまりAndroidは新興国市場に対する低価格モデルを含めたデバイスの供給チャンネルの多様さに助けられてダウンロード数では圧倒的だ。しかしAppleのエコシステムのほうが売上ははるかに大きい

またApp Annieによれば、APAC(アジア太平洋圏)がGoogle Playの消費者向け売上の大半を占めている。また世界の市場でも日本が最大だった。アプリおよびアプリ内課金の売上は251億ドルでチャートのトップを占めている。2位に続いたのは193億ドルのアメリカ、3位が112億ドルの韓国だった。

App Annieによれば、日本におけるGoogle Playの成功はキャリヤ課金によるところが大きいという。キャリヤ課金がGoogle Playにおける消費者の支出を促す傾向は韓国、台湾、タイ、シンガポールでも認められた。

では消費者はどんなジャンルに金を使っているのか? 言うまでもなくゲームだ。

レポートによれば、ゲームがダウンロード数で占める比率41%だが、売上では88%だった。

ゲーム以外のジャンルでもアプリ内課金は成長している。

2017年のゲーム以外のアプリの売上は270億ドルに達した。1位のLINE以外、トップ5アプリのうち4つはサブスクリプション・モデルだ。2位はTinderで以下、Pandora、Netflix、HBO NOWが続いた。

App AnnieはGoogle Playの利用状態も調査し、Androidユーザーは大量のアプリをインストールする傾向があることを発見している。アメリカと日本では60種類以上のアプリがインストールされており、毎月30以上のアプリを利用している。利用アプリの数では首位がオーストラリア、2位がアメリカで、以下韓国、日本、イギリスと続く。トップ3カ国のユーザーは100以上のアプリをダウンロードし、40前後のアプリが利用されている。

下のリストはダウンロード数と売上それぞれのトップアプリを示したものだ。当然ながらFacebook関連アプリがダウンロードのリストの上位を独占している。また売上ではパズル&ドラゴンズ、モンスターストライクなどのゲームやアプリ内課金を持つプロダクトが強い。

レポートによれば、Google Playは2008年のスタート以来、1000万近いアプリをリリースしている。もちろんそのすべてが現在でも登録されているわけではない。現在、Google Play上にあるアプリは280万種類だという。

 

App Annieのレポート全文はこちら

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滑川海彦@Facebook Google+

Apple App Store、Q3売上がGoogle Playを93%上回る

AppleのApp StoreとGoogle Playの売上はこれまでも常に開きがあった。しかし2018年第3四半期、それが大きく広がった——おそらくこれまでで最大だ。Sensor Towerの最新レポートによると、同四半期にApple StoreはGoogle Playより93%多い売上を記録した。これは少なくとも2014年以降では最大の差だ(Sensor TowerがGoogle Playのデータを追跡し始めたのが2014年だった)。

同社によると、2018年Q3に生み出されたモバイルアプリ売上182億ドルのうち、約66%がAppleのApp Storeによるものだった。同社の四半期売上は120億ドルで前年同期の97億ドルから23.3%増えた。

一方同四半期のGoogle Playの売上は62億ドルで、一年前の51億ドルから21.5%伸ばした。

Sensor Towerの両ストアを合わせたトップセールスアプリのランキングを見ると、依然として定期購読が売上増に貢献している。Netflixは非ゲームアプリのトップセールスを3期連続で達成し、両プラットフォーム合わせて推定2.437億ドルを稼いだ。TinderとTencent Videoがそれぞれ2位と3位を守った。

モバイルゲームの利用も売上成長を後押ししており、同四半期の売上は前年比14.9%の138億ドルだった。これは同期の両プラットフォーム全アプリ売上の76%を占め、85億ドルがApp Storeから53億ドルがGoogle Playによる。

しかしながら、アプリのダウンロード数では、Google Playが依然リードしている。これは新興国市場で低価格Android端末が急速に普及したことが理由だとレポートは書いている。両ストア合わせたアプリのインストール数は271億件で2017年Q3の244億件から10.9%アップだった。

最多ダウンロード数アプリのランキングもQ3に大きく動いた。Bytedanceのショートビデオアプリ、TikTokがMusical.lyを吸収したためだ。統合の結果TikTokは、対前期比15%増、対前年比440%増で世界第4位のアプリとなった。

これで同アプリはQ3のアプリダウンロード数でInstagram(第5位)とSnapchat(第10位)の両方を上回り、Bytedanceはソーシャルアプリ市場でより重要なプレーヤーになるための地盤を築いた。

Sensor Towerのレポート全文はここで読むことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple App Store登録デベロッパーは2000万名、累積売上1000億ドル、毎週のビジター数5億

Microsoftがデベロッパーに大人気のコードリポジトリGitHubを買収したばかりだが、現時点で多くのデベロッパーがお金を稼いでいる場所はAppleだ。今日のWWDCでAppleのCEO Tim Cookは、iOSの登録デベロッパーが2000万名、そしてApp Storeにおける彼らのこれまでの累積売上が約1000億ドル、App Storeの1週間のビジターは5億名、と発表した。

これらの数字は、Appleの一貫した、デベロッパーとアプリのマーケットプレース重視の姿勢を表している。スマートフォンのハードウェアの売上が先進国を中心に鈍化しているだけに、このようなデベロッパー/アプリの重視の姿勢は今後ますます、重要な収益源になるだろう。

Cookによると、Appleが開発したプログラミング言語Swiftも、このような、ハードウェア経済からソフトウェア経済への移行を反映して、ユーザー数が伸びている。

彼曰く、“Swiftはもっとも急速に成長しているプログラミング言語だ。Appleのデベロッパーはこの言語を大々的に使用しており、App Storeの35万以上のアプリがSwiftで書かれている。プログラミングは必須のスキルであり、世界中の学校で教えるべき、と信じている。プログラミングを学ぶことの利益は多く、問題解決の能力や重要な思考力を育てる”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleがアプリでじわりじわりと中国プレゼンスを拡大、今度はファイル管理のFiles Go

Googleが今度はAndroidデバイスのためのファイル管理サービスFiles Goをローンチして、そのゆっくり着実な中国戦略を継続している。このアプリは昨年グローバルにローンチしたが、今日(米国時間5/30)は4つのサードパーティアプリストアから中国に上陸した。

中国で‘Google 文件极客’と呼ばれるこのアプリは、ユーザーのファイルがストレージの容量内に収まるように、削除するファイルを提案したりする。そのほか、ファイルを見つけたり、インターネットを介さずにファイルをローカルなデバイスと共有する機能などがある。スマホがすいすい使えるためには、良質なインターネット接続とともに、ストレージの十分な空きスペースがあることも重要だから、Files Goはそのあたりをヘルプする。

Files Goは、安価なAndroidフォーンが多く使われているインド向けに最初は作られたが、世界的に関心が広まったので全世界に向けてローンチした。今やアメリカは、このアプリの三つめに大きな市場だ。Googleの‘Next Billion’チームのプロダクトマネージャーJosh Woodwardが、そう語ってくれた。

それだけグローバルな需要のあるアプリを、中国戦略の一環として利用することは、なかなか合理的なやり方だ。しかも今回のローンチでは、Google Play Storeが中国で禁じられているので、サードパーティのアプリストアを使った。今回選んだのはTencentとXiaomi, Huawei, そしてBaiduのアプリストアだが、Googleはこれで、中国市場の感触をつかめるだろう。

Googleのサービスはこの国でまだ禁じられているが、アプリは昨年のGoogle Translateの復帰と、今週のARCoreのローンチに次いで、これで三つめだ。

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China App StoreからGoogleのDuoやCiscoのWebex TeamsなどのVoIPアプリが消えた

【抄訳】
今週初めに、Appleが中国政府の要求により、いくつかのVoIPアプリをApp Storeから取り去ったことが明らかになった。これらのアプリはVoIPアプリの起呼インタフェイスを提供するAppleの新しいツールセットCallKitを使っていて、それによりデベロッパーはバックエンドの通信部分を自分で書かなくてもすんでいた。中国政府はAppleを介してデベロッパーたちに、China App Storeで売っている彼らのアプリからCallKitを取り除くか、またはアプリケーション全体を取り去るよう求めた。

Appleがデベロッパーに送った通知を最初に見つけたのは9to5Macだ。同サイトはメール上に見つけたそれの、断片を共有した。

そのメールは、中国のMinistry of Industry and Information Technology(MIIT)(工業と情報技術省)が“China App Storeで入手できるアプリにおいてCallKitを不活にするよう要請した”、と述べ、アプリが承認されるためにはこの規制に従う必要がある、とデベロッパーに告げていた。

規制の対象は、China App Storeで配布されるアプリのみだ。

つまりアプリは他の市場で売るのならCallKitを使っていてもよい、ということだろう。

Appleはこの件についてコメントを発表していない。

CallKitに対する反発は、中国でVoIPサービスを開発または利用させないようにするための新たな手段だが、それをアプリを直接禁じずにもっと地味にやろう、というのだ。この分野を中国が弾圧するのは、これが初めてではない。11月にはMicrosoftのSkypeも、AppleとAndroidのアプリストアから取り除かれた

政府は昨年、ユーザーが万里の火壁(Great Firewall)(中国政府のインターネット規制のこと)を迂回するために使うVPNアプリをアプリストアから取り去るよう命じた。これもまた、Appleに下された命令だ。

WhatsAppやFacebookのようなソーシャルメディアアプリもときどきやられているし、The New York TimesやWall Street Journalのような新聞のアプリもブロックされている。

アプリストアに関する情報サービスSensor Towerによると、ニュースで報道される前の週には、CallKitを使っているアプリが2ダース、削除された。

下表は、そのリストだ。削除された日付とアプリの発行者の名前もある:

Sensor Towerによると、ほかのストアから削除されたアプリもあるが、同社はそのデータを持っていない。

また上表は、そのアプリのカテゴリーで上位1500位に入るほど多くダウンロードされたもののみである。そのほかについては、Sensor Towerにもデータを拾えない。でもランク外のアプリはダウンロード数も少ないから、削除のインパクトも小さいだろう。

しかしそれでもなお、このリストにはいくつかのよく知られている名前が並んでいる。CiscoのWebex Teamsや、Googleのビデオ通話アプリDuoなどの名も、そのほかのVoIPオペレーターやプロバイダーたちと一緒に登場している。

以下は、9to5Macが見つけたAppleのメールの全文だ:

【後略】
〔訳注: メール本文(英文)の訳を略します。CallKitに関する中国政府の要請について述べられています。〕

From Apple
5. Legal: Preamble
Guideline 5.0 – Legal

Recently, the Chinese Ministry of Industry and Information Technology (MIIT) requested that CallKit functionality be deactivated in all apps available on the China App Store. During our review, we found that your app currently includes CallKit functionality and has China listed as an available territory in iTunes Connect.

Next Steps

This app cannot be approved with CallKit functionality active in China. Please make the appropriate changes and resubmit this app for review. If you have already ensured that CallKit functionality is not active in China, you may reply to this message in Resolution Center to confirm. Voice over Internet Protocol (VoIP) call functionality continues to be allowed but can no longer take advantage of CallKit’s intuitive look and feel. CallKit can continue to be used in apps outside of China.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonがセラーのビジネスの合理化/自動化を助けるアプリ専門のアプリストアを立ち上げ

Amazonが新しいタイプのアプリストアを立ち上げ、とくにそこには、セラーの在庫管理や受注管理などを助けるツールが並ぶことになった。その新しいアプリストアはMarketplace Appstoreと呼ばれ、AmazonとAmazonの審査を通ったサードパーティデベロッパーがAmazon MarketplaceのAPI、Amazon Marketplace Web Service(Amazon MWS)を使って作ったアプリを揃えている。CNETの報道によると、このMarketplace Appstoreは今日(米国時間5/21)、セラー向けにローンチされた。

現在Amazon上のセラーは約200万社いて、そのうち100万あまりがアメリカの中小企業だ。Amazon MWSは、セラーが自分の在庫と受注とロジスティクスに関するデータをAmazonと共有して、さまざまなタスクを自動化するための総合的なWebサービスAPIだ。セラーが自分のアカウントや他のセラーのためのアプリを作ることもできる。

AmazonはCNETに次のように語っている: “たくさんのデベロッパーがうちが提供しているツールを補うようなアプリケーションを作って、それらを弊社(Amazon)のサービスに統合している。今回Marketplace Appstoreを作ったのは、そういうアプリケーションを見つけやすくし、彼らのビジネスのオペレーションを合理化し、結果的に今よりも良い顧客体験を作りだすためだ”。

Marketplace Appstoreへのデベロッパーの参加や利用は無料だが、当面はAmazonに申込書を提出して、審査に通らなければならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

2017年のアプリケーション購入額は1064億ドル。2022年には1565億ドル見込み。

App Annieの最新レポートによれば、全世界を通じたアプリケーションストアでの売上額は、本年末の段階で1064億ドルに達する見込みであるようだ。さらに、2022年段階では1565億ドルにも届きそうだとのこと。昨年12月の段階では、売上額が1100億ドルに達するとしていたので、若干の下方修正ということにはなってはいる。成長著しいのはアジア太平洋地域(Asia-Pacific region)で、もちろん中国が、全世界における支出の40%を占めてNo.1となっている。

レポートによれば、全体の支出額が増加しただけでなく、デバイス毎の支出も増加傾向にあるとのこと。1台あたりの支出額は、2017年の20.94ドルだったが、これは2022年には25.65ドルまで伸びそうだとしている。

さらにダウンロード数も2022年までに45%の伸びとなり、2582億に達する見込みであるようだ。

2022年までのダウンロード数予測で、大きく伸びが期待されているのはインドを含むアジア・太平洋地域だ。インドネシアやベトナム、そして中国の郊外エリアにおける成長が期待されている。ちなみにアメリカ大陸において成長を引っ張るのはブラジルで、EMEA(Europe, the Middle East and Africa)地域をリードするのはエジプト、ウクライナ、ポーランド、そしてロシアだと予想されている。

アメリカや日本などの安定的成熟市場にあっては、2022年までのダウンロード数は安定成長となりそうだとのこと。もちろんダウンロード数自体は多く、アメリカでは年間21本の新しいアプリケーションをダウンロードし、日本では15本となっている。

そうはいっても成長の鈍化によって、開発者としては新たなユーザーを獲得するための方策を探っていく必要も生じるのだろう。

利用者の支出額は2022年までに92%の伸びを示し、1565億に達する見込みだ。

支出額の多い国々は中国、アメリカ、日本、韓国、ドイツだ。中でも中国は、2017年比で107%の成長を遂げ、624億ドルとなる。アメリカについていえば、97%の成長で150億ドルから297億ドルとなる見込みだ。

1台あたりの消費額は2022年までに23%の伸びを示し、25.65ドルとなる。

1台あたりの購入額でのトップは日本で、2022年に140ドルとなる見込みだ。世界平均の6倍で、圧倒的な首位となる。

アメリカも2022年には倍増する見込みだが、額は60ドルを超えるあたりとなるようだ。

支出がもっとも多くなるのは、やはりゲームだ。しかし他ジャンルのアプリケーションも市場を広げることとなりそうだ。2022年までに、ゲーム以外の支出も750億ドル程度増加しそうだとのこと。出会い系(デート)アプリケーションや音楽、ビデオストリーミングなどのサブスクリプションによる増加が大きい見込みなのだとのこと。

レポートの全文はこちらから読むことができる。

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(翻訳:Maeda, H

アプリストアのデベロッパー虐待でフランスがAppleとGoogleを提訴へ

フランスの経済相Bruno Le Maireが、AppleのApp StoreとGoogleのPlay Storeのやり方をめぐって、両社を批判した。彼によると、GoogleとAppleはアプリのデベロッパーに対して揮う権力があまりにも強大すぎる。Le Maireはその判断を法廷に求め、必要なら巨大テクノロジー企業に罰金を課すつもりだ。

“デベロッパーがアプリを開発してそれらをGoogleやAppleから売ろうとすると、それらの企業が価格を決め、一部のデータを取得し、デベロッパーとの契約を一方的に変更することもある”、とLe MaireはRTLで述べている。“これらはどれも、受け入れられない。これは、われわれが望む経済ではない”。

フランスの政府高官がApp StoreとPlay Storeを問題視するのは、これが初めてではない。先月はARCEP(電子通信郵便規制庁)のSébastien Soriano総裁が、ネット中立性はキャリアとISPだけにとどまるべきでない、という記事を共有した。大手テクノロジー企業も、インターネットの中立性に関して責任がある、というのだ。

Sorianoはそのとき、“スマートフォンのユーザーが直面しているすべての制約を初めてリストアップした”、と述べている。“ユーザーの意味は、消費者と、アプリをストアへ提出するデベロッパーの両方だ”。

デベロッパーには、App StoreやPlay Storeのルールに従う以外の選択肢はない。AppleやGoogleに売上の30%(会員制のアプリなら会費収入の15%)を払う以外の選択肢はない。

AppleやGoogleがストアからアプリを削除しても、事前の契約があるから法に訴えることはできない。ただし契約内容を、交渉によって変えられる可能性はある。

“GoogleとAppleを虐待的事業実践の罪でパリ商業裁判所に訴えるつもりだ”、とLe Maireは言っている。罰金はおそらく数百万ユーロぐらいだから、GoogleとAppleにとっては痛くも痒くもない額だ。しかし、公的訴訟としてはなかなかおもしろい。

大手テクノロジー企業に対するEUの徴税計画は、Le Maireによると2018年の終わりごろに発効する。今月初めに彼は、数週間後に詳細を発表する、と述べた

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google Play、2017年Q4は190億ダウンロードで新記録――途上国のスマホ化進む

途上国市場でスマートフォンの普及が進んだことも追い風となり、Google Playにおけるダウンロード数が同ストアの四半期の新記録を達成した。今日(米国時間1/25)のApp Annieのレポートによれば、 2017年第4半期におけるGoogle Playのアプリダウンロードは190億回以上となった。 今回の新記録達成でGoogle PlayとiOSのダウンロード数の差も過去最大となり、Google Playが145%上回った。

Google Playは対前年比でダウンロード数で10%のアップとなったが、これにはインド、インドネシア、ブラジルにおける成長が貢献している。

特にインドの第四半期では、iOSとAndroidを合計したダウンロード数が初めてアメリカを上回った

ではこうした新たなユーザーがどんなアプリをダウンロードしているのか、というとゲーム、ファイナンス、カスタマイズ・ツールだという。 ファイナンス・アプリはiOSでも堅調で、第4四半期のジャンル別ランキングで2位となった。銀行と投資に関連するビジネスはモバイルに大きくシフトしている。また暗号通貨への関心も高い。

App Annieではこのファイナンス部門の成長はアメリカにおける納税の時期が近くづくため2018年第1四半期も続くと予想している。銀行はますますモバイル分野に投資を続ける入れるという。

他方、ショッピング部門はiOSの第4四半期をリードしたが、これはAlibabaの独身者の日やサイバーマンデーの主戦場がモバイルに移ったことが背景にある。

iOS、Androidともアプリ内での消費は拡大している。

iOSはショッピング分野の消費額でAndroidを大きく引き離しており、第4四半期での取扱額は全世界ベースでAndroidの2倍近い115億ドルだった。この結果にはアメリカ市場の動向が大きな影響を与えているといいう。iOSとGoogle Playを通じてモバイル・ショッピングの取扱額シェアでアメリカ市場が最大だった。

両プラットフォーム合計でモバイル・ショッピングの3位はドイツだったが、台湾はiOSで、韓国はGoogle Playでそれぞれ2位に食い込んだ。App Annie調査によれば、Samsungの母国である韓国ではAndroidのシェアが極めて高い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AppleのWeb上のApp Storeがシンプル&クリーンに改装

Appleが、Web上のApp Storeのルックスをアップデートした、と9to5Macが報じている。それはAppleが昨年9月にデザインを一新したiOS 11のApp Storeに、とてもよく似ている。しかしiOS 11と違って、アプリの発見機能はない。

機能的には前と変わらないが、重要なのは、クリーンでシンプルなデザインになったことだ。そう感じるのは、ホワイトスペースが増えたせいかもしれない。また、レビューが前よりも強調されている。

アプリがiPhone X向けに最適化されていると、表示されるスクリーンショットはiPhone Xの画面になり、iPhoneの前の機種ではない。それと、そのアプリがiOSデバイス用のApp Storeでしか入手できないことが、前よりも目立つレイアウトで訴求されている。

では、比べてみよう。

以前のデザイン:

新しいデザイン:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

WeWorkのオフィス占領作戦に、企業向けソフトウェアを扱うServices Storeが加わった

10万人以上の会員を抱えるコワーキングスペース界の巨人WeWorkは、本日(米国時間25日)よりWeWork Services Storeを開始した。

簡単に言えば、このニューヨークを拠点とする巨人は、オフィスを介した世界征服を目論んでおり、今度は単なるオフィススペースだけではなくオフィスツールにも力を注ぎ始めたということだ。

WeWork Services Storeは、従来のアプリストアとよく似ていて、メンバーに対して幅広いエンタープライズサービスへの便利なアクセスを提供する。しかもそのサービスはしばしば独占契約によるものだ。

WeWorkは、これまでも、その大規模なメンバー基盤を活用して、Amazon AWSを始めとする多くのサービスから、エンタープライズソフトウェアに関する割引と独占サービスを引き出して提供してきた。

Services Storeの立ち上げにより、WeWorkはそうした特典やその他のエンタプライズソフトウェアを、WeWorkメンバーシップの一部として提供することができるようになった。

さて、その仕組は以下のようなものだ。

メンバーはWeWorkのWebサイトにログインし、クリックしてServices Storeに入る。Slack、Hive、InVision、Boxなどのエンタープライズサービスは、ユースケースに従って整理され、既存のWeWorkメンバーからの独自のレビューが提供されている。

WeWorkに最適化されたパートナーのツールに関しては、ユーザーたちは他の取引と同様に、WeWorkサイトからそれらのソフトウェアを購入することができる。ソフトウェアは自動的に利用者数や名前、そして請求などに関する情報を自動的に取り込む。CEO向けに、そうした取引はWeWorkの月の請求書に反映されることになる。

人びとは長い間、WeWorkは単に中小企業向けのもので、ほとんどのスタートアップはいつか自分のオフィスを確保して出ていくものだと信じていた。しかしWeWorkはServices Storeの立ち上げによって、より粘り強くなろうとしている。単純にServices Storeの利便性と割引を、メンバーを引き止める魅力にしようとしているのだ。

しかしWeWorkは自身を、中小企業と大企業の双方にとって魅力あるオプションだと自負している。

たとえば、最近WeWorkは、Microsoftとの間で、ニューヨークのMicrosoftの巨大セールスチームに対する、オフィススペースの提供ならびにWeWork会員特典の提供に関する契約を締結した

そしてServices StoreにおけるWeWorkのデジタル会員(オフィススペースは使えないが、正規会員と同様のデジタル特典を受け取ることができる)は更に魅力的だ。

WeWorkのServices Storeの開始時のパートナー数は100である。デジタルプロダクト担当上級副社長のRon GuraはTechCrunchに対して、パートナーリストはこの先も成長を続ける予定だと語った。

Guraはまた、WeWorkは現在Services Storeでは収益をあげていないと説明したが、将来の可能性については否定しなかった。

WeWorkはこれまでに約40億ドルを調達し、200億ドルの評価に達していると言われている。

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(翻訳:Sako)

Apple、ブレグジットの影響でイギリスでのアプリ価格を25%値上げ

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ブレグジットによるビジネスへの影響を軽減するため、Appleはイギリスでのアプリの価格を25%値上げする準備を整えている。

iPhoneで知られるAppleは2016年10月、イギリスでハードウェアの価格を値上げした。米ドルに対するポンド安の為替差を吸収するためだ。アプリストアでも同じ対策をするようだ。Appleは、契約するiOS 開発者に今週、イギリスでアプリ価格とアプリ内購入の価格を25%値上げすることを伝えている。 MacRumorsが最初に記事で伝えた

この値上げは次の7日間以内に実施される予定だ。最も安い値段のアプリ(アメリカで0.99ドル)は、イギリスで0.79ポンドから0.99ポンドになる。1.49ポンドのアプリは1.99ドルになる。ただし、今の時点で加入しているサブスクリプションの料金に関しては、この変更の影響は受けない。

イギリスが歴史的な国民投票でEUからの離脱を決める直前の6月、1ポンドは1.49ドル付近にあった。現在、1ポンド1.22ドルくらいで推移していて、20%近く変動したことになる。

Appleはイギリス以外でもアプリの値上げを行っている。Appleは、インド、ルーマニア、ロシアでも税率の変更などに伴いアプリ価格を値上げした。

Apple以外の企業もブレグジットのビジネスへの悪影響を懸念し、対策を講じている。HTCはブレグジット後にVRヘッドセットViveの価格を見直した。また、 スタートアップのファウンダー、投資家をはじめ、テクノロジー業界全体でもイギリスのEU離脱の影響について意見が割れていたり、先行きが分からないと感じている 。現時点ではまだイギリスはEUの一部だ。この為替価格の下落はイギリスが実際にArticle 50を行使し、EUを離脱する時に起きることを示しているのだろうか。イギリスの首相Teresa Mayによると、それは4月までに起きる予定だとしている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

とにかくロードが早いHTML5ゲームを初披露、Blackstormが目指すアプリ開発の未来

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友人と楽しむアプリやゲームのローンチに数秒もかからない未来をErnestine Fuは思い描いている。数秒ですら長いくらいだ。

この構想の下、Blackstormは誕生した。Blackstormは素早く起動するアプリを制作するツールを備えた開発プラットフォームだ。App Storeで入手できるアプリと同じようなアプリを制作できる。BlackstormのアプリはHTML5で駆動し、メッセンジャーアプリやブラウザといった異なる環境でも利用することができる。今月にはゲームスタジオを新設し、このテクノロジーを使って初のゲームタイトルをいくつかFacebookのインスタントゲーム向けにローンチした。

このようなプラットフォーム、そしてBlackstormがローンチするゲームの特徴は、「瞬時に」ゲームがロードすることだ。Facebookの「インスタントゲーム」の名称が示している機能だ。BlackstormはHTML5のテクノロジーを最大限活用する一連のカスタムツールを構築し、ゲームの全アセットと要素の早いロードを実現する。少ないデータ量でも、従来のアプリにあるパーティクル・エフェクトや画面上で個別に動くスプライトを多く置くことを可能にしている。

「最大の点は、いかに迅速な開発を可能にし、今利用できるテクノロジーの限界に挑戦できるかです」とBlackstorm共同ファウンダーのFuは話す。「実際に何を制作できるか、何を表示できるかの限界に挑戦しています。Facebookのプラットフォーム、特に今回ローンチするゲームについては、ユーザーがゲームの開始ボタンをタッチした瞬間に動かなければなりません。人々が慣れ親しんだアプリストアの体験とは違います。基本的に、ゲームのすべてが5MB以内に収まっている必要があります」。

今日ローンチするゲームは2種類だ。1つはEverWingで、これは妖精のグループを操作してモンスターと戦う内容だ。昔ながらの宇宙空間で戦うゲームにファンタジー要素を加えたような見た目だが、メインのゲーム以外にも物語は広がっている。

2つ目はPuzzle Bobble Blitzだ。「Bobble(ボブル)」の部分でピンとくる人もいるかもしれない。Blackstormはタイトーのブランドと協力し、バブルが弾けるパズルゲームを開発している。定番ゲーム「バブルボブル」の派生版で、ここ10年で広まったモバイル端末のゲームスタイルを加えている。

「誰もがこのタイプのゲームで遊んだ経験があると思います」とFuは言う。「これはとても洗練したバージョンで、これからはFacebookで友人と遊ぶことができます。私たちはそのことにとてもワクワクしています。多くの人がこのゲームに親しみを持つでしょう」。

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競争的な要素は随時更新されるリーダーボードシステムにある。メッセンジャーのスレッドで友人とゲームをしている場合、常に最新のリーダーボードにアクセスすることができる。Blackstormには、さらに大きなグループの「Blackstorm Battle Group」がある。ここではそれぞれの高得点を閲覧することができ、競争心に火を付ける仕掛けだ。

もちろん、Facebookのインスタントゲームの開発は彼らにとって始まりにすぎない。Facebook Messengerやニュースフィードを介して何十億人の前にゲームを展開できたとしてもだ。Blackstormの目標はゲームや他のアプリ開発を裏で支えるテクノロジーを提供することだ。Facebookのインスタントゲームのように、異なる環境下でもアプリが瞬時にロードすることが求められる場合に対応している。

Blackstormが手がけるゲームは同社が発明し、構築している内部の開発環境で制作している。Xcodeに似ているとFuは話す。数週間から1ヶ月以内にはIDEと開発者向けツールを外部にも提供する予定だという。Blackstormは今年、3350万ドルの資金調達を実施したことを発表している。BlackstormのアドバイザーにはアメリカのSegaでチーフを務めるTom Kalinske(ソニック・ザ・ヘッジホッグに感謝!)、Zyngaの共同ファウンダー Justin WaldronとPlaydomのCEOであるJohn Pleasantsが含まれている。

このプラットフォームに開発者を引き込むのも課題だ。App Storeはゲームを始めアプリの最大の配信手段となっている。開発者をそこから剥がして、新しい開発環境とプラットフォームに移行してもらうハードルは高い。App Store経由でゲームを入手したユーザーに対して開発者は、クロスプラットフォームで他のゲームを宣伝することもできる。

しかしApp Storeが開発者にもたらす機会は、非効率で、時に数百メガバイトに及ぶゲームを最初にダウンロードするような労力をユーザーに強いているからだ。だが、App Storeのおかげでユーザーが多く集まるメッセージプラットフォームや他の代替サービスも誕生した。AppleはApp Storeでの体験をよりシームレスにしようと取り組んでいる。彼らは、ユーザーが何回も戻ってきたくなる方法を見つけだすかもしれない。しかし、少なくともBlackstormのような会社がApp Storeの時代以降の開発環境を作ろうと考える余地も残しているようだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

iMessage App Storeに登録された1650種類以上のアプリの大半を占めるステッカー

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AppleのiMessage App Storeには、1週間ほどで、1650種類以上のアプリケーションやステッカーパックが登録された。これは、iPhoneのデビュー当時の総アプリ数、そして1000以上あった、iPadのリリース当時の対応アプリ総数を超えているものの、昨年公開されたAppe Watch向けApp Storeの3500という数字には届かない。Sensor Towerの新しい報道によれば、1番人気のアプリは”ステッカーパック”で、1251種類ものステッカーが、402種類のそれ以外のアプリと共にストア上に登録されている。

iMessage App Storeは、サードパーティディベロッパーが、巨大なiPhoneユーザーベースにソフトを提供するための新しいプラットフォームを作る、というAppleの狙いのもとに誕生した。ちょうどiOS App Storeが、更新されていない古いアプリで埋め尽くされた頃に、iMessage App Storeが登場したのだ。なお、AppleはiOS App Storeの整理を進めており、何百、何千というアプリが登録削除される可能性がある。

その一方で、iMessage App Storeには、ユーザーのアプリの使い方における変化が反映されている。

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スタンドアローンのアプリをインストールして、ホームスクリーンに置いたまま忘れ去ってしまう代わりに、多くの人はモバイルメッセージの機能を拡大するためのアドオンを探し求めているのだ。これまでにも、カスタムキーボードのほか、GIF、絵文字、ステッカーなどのように、メッセージに自分の色やユーモアを足すことができるアプリが存在した。

さらに、現在App Storeで人気を博しているアプリの中には、アプリ自体にリッチなメッセージ機能を備えたものがある。Facebook Messenger(無料アプリ第3位)、Snapchat(第5位)、WhatsApp(第15位)などがその例だ。

Appleは、先週iOS 10と共に発表された改良版のiMessageアプリで、このようなユーザーのニーズを満たそうとしている。

メッセージアプリからプラットフォームへと進化した新しいiMessageには、さまざまな新機能も導入された。その中には、スクリーンをアニメーションや音で飾り付けるエフェクトや、”見えないインク”でメッセージを見えなくする機能のほか、リンクのプレビューや、手書きメッセージ、タップバックを使った返信、絵文字予測変換などが含まれている。

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しかし、何よりも重要な機能が、プラットフォーム化に伴うサードパーティアプリへの対応だ。

iMessage App Storeが、アプリとの新しい関わり方を提供しようとしている一方で、一般のアプリマーケットプレイス全体のトレンドもそこには反映されている。そのトレンドとは、ゲームアプリの台頭だ。

Sensor Towerのデータによれば、ステッカーを除くiMessage App Storeに登録されている402種類のアプリのうち、1番大きなカテゴリーがゲームとなっている。既に92種類のゲームが登録されており、その数は、ふたつめに大きなカテゴリーであるエンターテイメントのアプリ数(39種類)の約2.5倍にあたる。

トップ10に入っているその他のカテゴリーが、ユーティリティ(31種類)、仕事効率化(26種類)、ソーシャルネットワーキング(25種類)、写真/ビデオ(23種類)、旅行(21種類)、教育(18種類)、ヘルスケア/フィットネス(17種類)、そしてフード/ドリンク(15種類)だ。

興味深いことに、ニュースアプリの数は、現在の時点で6種類と極めて少ない。これは、例えばFacebook Messengerとは全く異なる傾向だ。最近TechCrunch Disruptで話をしてくれた、Facebook MessengerヘッドのDavid Marcusによれば、ニュースボットは、同社のチャットプラットフォーム上で人気なカテゴリーのひとつだ。ボット業界の動向を追っているサイト、Botlistによれば、Facebook Messengerのプラットフォームには、既に数十種類のニュースボットが登録されている。

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しかし、アプリに比べてステッカー人気は突出しており、ディベロッパーが確実に利益を生み出す手段となっている。現在公開されている1251種類のステッカーパックのうち、944種類がプレミアム(有料)で、307種類が無料だ。

有料ステッカーのほとんど(86%)が0.99ドルで、その他にも1.99ドル(12%)や、2.99ドル(1%)のものがある。1番高いステッカーパックは3.99ドルで、この価格がつけられているものはひとつしかない。

今回のiMessage App Storeに関する調査から、ディベロッパーがどのようなアプリを開発しているかについてのヒントを得ることができるが、消費者がどのようなアプリを実際にダウンロードしているかについてはまだ分からない。新しいiPhoneを購入する人や、既存のデバイスを新しいiOSにアップデートする人の数が増え、iMessageアプリの世界を発掘しだしてから、そのようなデータが明らかになってくるだろう。

Sensor TowerApp Annieといった、サードパーティーアプリのディベロッパーに対して情報サービスを提供している企業も、アプリのトラクションや人気に関する洞察を提供するため、そのうちiMessageアプリのダウンロード数を自分たちのプロダクトに組み込んでいかなければならない。特に、現在iMessage App Storeには、”トップチャート”が存在しないため、彼らの力が必要になってくる。そして、ディベロッパーが自分の目でユーザーの反応を確認することで、登録されているアプリの種類もやがて整備されていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ユーザーの4人に1人は、アプリの利用1回で離脱している

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AppleのiTunes App Storeには150万以上のアプリがあり、Google Playには200万以上のアプリがある。だが、実際にコンシューマーの端末にインストールされるアプリの数はほんの一握りだ。ユーザーが日常的に使っているサードパーティーアプリは少数であることも分かってきた。モバイルアプリの利用に関する新しい調査結果によると、4人に1人のモバイルユーザーはたった1回しかアプリを使用せずに離脱していることが分かった。

アナリティクス企業Localyticsと彼らのユーザーベースにある3万7000個のアプリのデータから、2015年に34%だったユーザーのリテンション率は、2016年には38%となり、少し上昇したことを示している。

しかし、数値が回復したからといって、この数値が良いということではない。むしろ、この数値が意味するところは62%のユーザーは11回未満しかアプリを使用していなかったということを示している。

レポートは「これは持続可能なビジネスモデルではない」としている。

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最近の調査結果で、23%のユーザーはアプリを1回しかローンチしていないことが分かった。昨年よりは改善しているが、ほんの少しだ。比較のために記すと、2014年時のアプリを1回で離脱するユーザーは20%だった。

iOSではユーザーリテンションが少し改善した。1回しかアプリを使用しなかったユーザーの割合は昨年の26%から24%に下がり、11回以上アプリを使用する割合は2015年の32%から36%に上昇した。

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特に、成長の途中段階にあるアプリ(月間アクティブユーザーが1万5000人から5万人まで)はリテンションと離脱に最も大きな改善が見られたと調査レポートは示している。これは、アプリのプッシュ通知、アプリ内メッセージ、メール、リマーケティングの活用による結果だ。プッシュ通知はこれまでもユーザーを保持する施策として挙げられてきたが、アプリ内メッセージにも注目に値する影響があった。これらのメッセージはユーザーのリテンションを46%改善すると調査は報告している。

アプリ内メッセージをユーザーが見ても17%は1回しかアプリを使わずに離脱するが、アプリ内メッセージ機能のないアプリは1セッション使った後、ユーザーの26%が離脱する。

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マイナーな改善は見られたものの、総じてみればこのデータはアプリ開発者にとって悩みの種となるような内容だ。このレポートは、ここのところ続いたアプリ・エコノミーの弱点を示す報道にだめ押しする。人気のあったアプリ開発企業のPixiteが停滞するまでの詳細な記事では、彼らの収益が昨年、3分の1にまで落ち込んだという。他にもユーザーのアプリ発見、ディスク容量の不足、インストールプロセスに関し、 アプリ・エコノミーは壊れているという詳細な分析記事も出ている。

さらに投資家さえもアプリ企業から遠ざかっている。Union Square VenturesのFred Wilsonは、 昨年終盤に「コンシューマー向けサービスのモバイル企業を作るのは難しい時期にある。それらの企業に投資するのもまた難しい時期だ」と書いた。

良いニュースがあるとするなら、それはアプリの問題点が判明したことで、アプリがどのように機能すべきかということに関して新しいアイディアが登場していることだ。

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例えばGoogleは、 今月のI/Oイベントで発表した「Instant Apps」のデビューで、アプリのインストールプロセスを丸ごと刷新することを計画している。ユーザーがアプリを探し、ダウンロードやインストールするのではなく、Instant AppsではユーザーはURLをクリックするだけでほぼ瞬時にアプリをローンチすることができるようになるという。

しかし、Googleはスマートフォンのエコシステムの二大勢力の一方に過ぎない。Appleも同様に新しいアプローチを検討しなければ、開発者がAppleのプラットフォームで開発することへの意欲を失ってしまうことになるかもしれない(Appleはこの課題に対し、開発者向けに新しいガイドやハウツーをリリースしたり、ヨーロッパインドにアプリ開発センターをローンチすることで対処しようとしている)。

アプリの減速の影響はすでに出ているという話も出てきた。 別の最近レポートでは、開発者はApple WatchやtvOSのためにアプリを開発することにさほど関心を持っていないと示す。リリースするiOSアプリ1000個ごとに、tvOSのリリース数は10個、Watchアプリは1個に留まる。

もちろん、この数字はWatchとApple TVのプラットフォームのリーチにも比例するだろう。しかし、App Storeの初期にあったゴールドラッシュは姿を消し、アプリで利益を稼ぐのが難しくなっている。また、ロイヤルユーザーを獲得するコストも上がっている。2014年には1.50ドルから2.25ドルだった獲得コストは昨年2.50ドルに上昇し、時には4.00ドルにもなることがあった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter