アート管理サブスク「美術倉庫」運営のbetween the artsが1.89億円のプレシリーズA調達

アートコレクター向けのアート管理サブスクリプションサービス「美術倉庫」を運営するbetween the artsは10月28日、プレシリーズAにおいて、第三者割当増資による1億8900万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Shinwa Wise Holdings、Gazelle Capital、複数のエンジェル投資家など。同時に、Shinwa Wise Holdingsとの資本業務提携を締結したことも明らかにした。

資本業務提携については、between the artsの持つアート作品管理ノウハウとShinwa Wise Holdingsの持つ日本の近代美術を中心とした近代陶芸やワイン、ブランド時計、宝飾品などの豊富なオークション運営実績を結集し、オークションのDX化を推進していくためとのこと。

これにより、美術倉庫で管理するアート作品に対しての落札見積価格(エスティメート)の自動表示、ワンクリック出品といった機能など、美術倉庫を利用するコレクターがオークション参加する際のハードルを下げる新機能・サービスを提供予定という。

美術倉庫は、アートコレクションを撮影するだけでオンライン上で購入時期や参考市場価格といった様々な情報を一覧化できるというもの。セキュリティと湿度・温度管理がなされた環境で1作品あたり月額100円から預けることが可能。同サービスは、2020年7月の提供開始から約1年で、現在様々なアート作品約7000点(オンラインも含む)を管理しているという。

2021年7月には、Shinwa Auction主催のオークションにアート作品を出品代行するサービスも開始。10月28日からは落札した作品を直接美術倉庫に預けられるアート管理サービス「SHINWA ART STOREGE powered by 美術倉庫」の提供も行っている。

暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

暗号化チャットアプリSignal開発者がNFTの潜在的な脆弱性にスポットライト、購入すると「ウ〇コ絵文字」に変わるNFT公開

TBA via Getty Images

セキュアなメッセージングアプリ「Signal」の創業者で暗号化技術のエキスパート、モクシー・マーリンスパイク氏が、表示するプラットフォームによって紐付けられた画像データの見え方が変わってしまうNFTをリリースしました。また、そのNFTは購入したのウォレットにウ〇コの絵文字( )を表示するとのこと。

NFTは、アート作品や貴重なメディアデータのオリジナル性と所有権を証明するためにブロックチェーン上に保存されるトークンのこと。デジタル鑑定書とでも言えばわかりやすいかもしれません。

しかし、マーリンスパイク氏がリリースしたNFT「At my whim, #1」は、他の誰かがそれを購入した際にデジタルウォレット内にウ〇コの絵文字が表示されます。さらにNFTプラットフォームのOpenSeaと、NFT販売所のRaribleそれぞれで、紐付けられたはずの画像の見え方が異なるとのこと。

マーリンスパイク氏はこのNFTを使った悪戯について、紐付けられたものの所有権を証明するはずのNFTが持つ脆弱性にスポットライトを当てることが目的だとしています。

NFTは技術的にはブロックチェーン上に保存されるユニークなデジタルトークンです。しかしほとんどの場合、実際にそこに保存されるのは記録だけで、アート作品などのデータは別のどこかに保管されることになります。

つまり、NFTに高額の代金を支払ってオリジナルデータとされる画像を購入したつもりでも、肝心のオリジナルデータはブロックチェーンとは異なるところにあり、保存先のなすがままに「いつでもNFTの画像を別のものに差し替えられる」可能性があるということです。

マーリンスパイク氏はOpenSeaおよびRaribleの説明書きに「あなたはこのファンクションコール」を所有しているかもしれませんが、私はファンクションそのものを所有しています」と記しています。

(Source:Moxie Marlinspike(Twitter)Engadget日本版より転載)

グーグルの3D美術館「Pocket Gallery」がウェブからも楽しめる

GoogleのArts & Cultureチームは、2018年に「Pocket Gallery(ポケットギャラリー)」を提供開始し、史上初めてヨハネス・フェルメールなどの芸術家の作品、通常は公開されていなかった作品もAR対応のスマートフォンユーザーで鑑賞できるようにした。米国時間10月14位、同チームは、「ポケットギャラリーPocket Gallery

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Pocket Galleryの当初の目標は、これまで見たことのない展覧会をデジタル3D形式で提供することだった。そしてこの度のウェブ化によって、ギャラリーはデスクトップや、AR非対応のスマートフォンでも鑑賞できるようになり、デジタル展覧会はより観やすくなった。

「お気に入りのブラウザを開くだけで、Pocket Galleryのすべてを3Dで観ることができます。世界のアートツアーを音声付きで楽しみ、ショーヴェ洞窟で人類最古の絵画を鑑賞し、古代インドの細密画に驚嘆したり、Klimt vs. Klimtで矛盾を抱えた人間を発見したりすることができます」とGoogle Arts & CultureのアソシエイトプロダクトマネージャーであるJoe Shepherd(ジョー・シェパード)氏はブログで述べている。

一部の作品には歴史の解説があり、またいくつかの作品は近寄って細部を観ることができる。また一部のギャラリーでは、音声付きのツアーでこの展覧会の見どころを解説し、作品の歴史的な由来の解説などもある。

画像クレジット:Google

また、フランスのRéunion des musées nationauxの協力による特別展示もある。ユーザーはバーチャルガイド付きのツアーに参加して「maritime tales, stormy landscapes, and shores swathed in light(海の物語、嵐の風景、光に包まれた海岸)」の美術作品を鑑賞できる。この特別展示にはベルサイユ宮殿やルーブル美術館などヨーロッパ屈指の美術館が提供した、海の絵画の傑作40点がある。

「私たちの最新のギャラリーで、海の神秘を解き明かすことをお楽しみください。ウェブからご覧いただけるPocket Galleryで、新しい角度から集めた文化的名品の、充実したコレクションをご経験ください」とシェパード氏はいう。

Pocket Galleryの展覧会は、Google Arts & Cultureのウェブサイトや、AndroidiOSでダウンロードしたGoogle Arts & Cultureアプリで見学できる。

画像クレジット:Mitch Barrie/Flickr CC BY-SA 2.0のライセンスによる。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

現代アートEC運営のTRiCERAが1.9億円調達、アジア・北米顧客増加に向けコンテンツ・機能開発・プロモーションを強化

現代アートEC運営のTRiCERAが1.9億円調達、アジア・北米顧客増加に向けコンテンツ・機能開発・プロモーションを強化

グローバルアートマーケットプレイス「TRiCERA ART」を運営するTRiCERAは10月7日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億9000万円の資金調達を発表した。引受先は、KUSABI、DGインキュベーション(デジタルガレージグループ)、ポーラ・オルビスホールディングス、SMBCベンチャーキャピタル、マネックスベンチャーズ。デジタルガレージグループとマネックスベンチャーズはシードラウンドに続いての追加出資。

調達した資金により、アーティストのさらなる獲得と、世界中で顧客をより増加させるためのコンテンツ強化、機能開発・プロモーション強化を行う。具体的にはアジア・北米を中心とした顧客の獲得、UI/UXの向上、そして人材の採用を積極的に進める。

2018年11月設立のTRiCERAは、「創造力に国境なんてない」を理念に、日本やアジア諸国をはじめ、世界中のアーティストが自由形式にアート作品を発表・販売できるTRiCERA.NETを2019年3月より運営。

2021年9月末現在TRiCERA ARTは、4800名を超えるアーティストが参加し、総出品数3万点を超えるアートプラットフォームに成長したという。アーティストの国籍は半数以上が日本以外となっているほか、月間流通総額も前年比3〜5倍と伸びているそうだ。現代アートEC運営のTRiCERAが1.9億円調達、アジア・北米顧客増加に向けコンテンツ・機能開発・プロモーションを強化

「NFT」セッションでスタートバーンの施井泰平氏がTC Tokyo2021登壇決定

「NFT」セッションでスタートバーンの施井泰平氏がTC Tokyo2021登壇決定12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

このうち「NFT」をテーマにしたセッションでは、スタートバーン代表取締役の施井泰平氏が登場する。

同社は、「アート×テクノロジー」を理念に掲げアート領域でのブロックチェーン活用に取り組むスタートアップ。ブロックチェーン技術およびNFTを利用し、アート作品の証明書や来歴の管理などアートの流通を支えるインフラ「Startrail」、アート作品の真正性と信頼性を守るためのブロックチェーン証明書「Cert.」、またコンテンツを取り扱う企業を対象にNFT事業の構築支援サービスを展開している。

NFT事業では、コンテンツの価値継承においては権利や情報の長期的な管理が重要となることから、現状のNFT市場の課題であるサービス同士の互換性と、サービスを横断した二次流通・利用の管理を実現したという。

施井氏は1977年生まれで、少年期をアメリカで過ごす。東京大学大学院学際情報学府修了。2001年に多摩美術大学絵画科油画専攻卒業後、美術家として「インターネットの時代のアート」をテーマに制作、現在もギャラリーや美術館で展示を重ねる。2006年よりスタートバーンを構想、その後日米で特許を取得。大学院在学中に起業し現在に至る。2021年にアートビート代表取締役就任。講演やトークイベントにも多数登壇。

すでに参加者チケットは発売中。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。

チケット購入

本記事執筆時点では「超早割チケット」は税込2500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「超早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。また、10月18日まで「超早割チケット」で安価で購入できるのでオススメだ。

Masterworksが物理的なアートを細分化した証券として販売(ただしNFTではない)

トップクラスの伝統的な資産市場の中で、投資家が所有を多様化しようとするにつれて、より多くのテクノロジー対応プラットフォームが出現し、各自が有力なオルタナティブ投資プラットフォームであることを主張している。著名な芸術家の絵画やその他の作品を細分化した証券として販売するスタートアップ企業のMasterworks(マスターワークス)がユニコーンの評価を得た。同社は人びとのポートフォリオにファインアートを加えさせる市場を掌握しようとしている。

米国時間10月5日、Masterworksは、10億ドル(約1116億円)を超えた評価額の下でシリーズAラウンドを行い、1億1000万ドル(約122億7000万円)の資金調達を行ったことを発表した。今回のラウンドは、ニューヨークを拠点とするベンチャーファンドLeft Lane Capitalが主導し、Galaxy InteractiveやTru Arrow Partnersなどが参加した。

ここ数年、オルタナティブ資産は大きなビジネスになっている。これは、公開市場が沸き立ち、投資家があまり伝統的ではない市場でより大きなリターンを求めようとしているためだ。オルタナティブ資産クラスは多岐にわたるが、未使用のNINTENDO64のカートリッジ、ポケモンカード、エアジョーダン、NFTといったものが並ぶ市場の中では、ファインアートは比較的伝統的なセグメントを占めていて、その利点や欠点をより予測しやすい。

「資産クラスとしてのアートは、(年頭にファンドの空売りで有名になった)GameStopやNFTのようなものではなく、最終的なリターンがかなり予測可能なのです」とCEOのScott Lynn(スコット・リン)しはTechCrunchに語っている。「たとえばこれらの絵画に投資しても、投資額の10倍のリターンを得ることは決してできませんが、投資額の90%を失うこともないでしょう」。

つまり、Masterworksは新進気鋭の画家を支援するプラットフォームではなく、作品の価値がマーケットで認められたアーティストに全面的に投資しているのだとリン氏はいう。彼は「私たちは、美術品市場の中で投資可能なセグメントは、一般的にいって、100万ドル(約1億1000万円)以上の絵画だけだと考えています。この場合投資可能という言葉の意味は、予測可能なリターンを生み出すものという意味ですけれど」と説明した。

Masterworksは、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリング、ジャン・ミッシェル・バスキア、草間彌生などの著名な現代アーティストの絵画を多数購入・保管し、SECに登録された適格公募による証券として販売している。公募の終了後は投資家がその証券を二次市場で売買することができるようになる。証券保持者は、Masterworksが最終的に絵画を販売したときに支払いを受け取る。スタートアップは、それらの絵画を販売することで利益を得ているが、絵画が売れるたびに利益の20%を得るとともに、各作品に対して年1.5%の管理料を受け取っている。

スタートアップは、多額の投資資金を持った投資家を追いかけ続けている。リン氏によれば、平均的な投資家は、対象の絵画それぞれに5000ドル(約55万8000円)以上を投資し、生涯では約3万ドル(約334万8000円)を投資するという。

画像クレジット:Mike Steele / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)

東京大学がシンクロダンスの練習支援システムSyncUp発表、コンピュータービジョン技術でポーズ・動きのズレ可視化

東京大学がシンクロダンスの練習支援システム「SyncUp」発表、コンピュータービジョン技術でポーズ・動きのズレを可視化

SyncUpインターフェース全体図。画面上部左にダンス動画、上部右はポーズのズレを可視化する動画上にオーバーレイを示している。掲載写真の例では、左腕がダンサー間で大きくずれているため、赤色のオーバーレイが表示されている。また画面下部では、ポーズと動きのタイミングのズレをグラフで示したものがユーザーに提示している

東京大学大学院工学系研究科の矢谷浩司准教授、周中一(ジョウ・ツォンガイ。Zhongyi Zhou)氏、徐安然(ズ・アンラン。Anran Xu)氏は9月28日、コンピュータービジョン技術を応用したシンクロダンスのポーズのズレを可視化する練習支援システム「SyncUp」(シンクアップ)の構築を発表した(SyncUp: Vision-based Practice Support for Synchronized Dancing)。

SyncUpは、コンピュータービジョン技術により抽出されたスケルトンデータをもとに、体の各部位の相対的な位置の差異を定量的に検出することで、ダンサー間のポーズの類似性を推定する。またシンクロダンスでは、常に全員が同じ動きをするとは限らない。その場合はどれだけ同期性が高いかシンクロ感が出る。そこで、各ダンサーがどのタイミングで体の部位を動かしているかも定量的に推定するアルゴリズムを実装しているという。つまり、体の動きとタイミングの両方の差異がわかる。

特別な機器は必要とせず、ダンスの練習動画をアップロードするだけで使えるため、アマチュアのダンサーにも気軽に利用できるとのことだ。タイミングや動きのズレは、グラフ化されると同時に、実際の動画の上にオーバーレイとしてズレている体の部位やズレの程度が示される。

東京大学がシンクロダンスの練習支援システム「SyncUp」発表、コンピュータービジョン技術でポーズ・動きのズレを可視化

オーバーレイの例。ポーズのズレの大きさに応じて色が変化する。赤色に近い色ほど、ズレが大きいことを示す

実験を行った結果、SyncUpの認識結果がダンサーの主観的な評価とおおむね一致したとのこと。練習の効率が上がるほか、ダンサー同士のコミュニケーションが円滑になるという。また実験では、この技術を応用して、うまく踊れた部分だけを自動抽出し、ハイライト動画を生成してSNSなどで公開する方法の可能性も確認された。

同研究科では、SyncUpを「人々の芸術的表現を支援する人工知能技術の新しい応用を示すもの」としている。

プレミアムデジタルアート・NFTプラットフォームNiioが約16.4億円調達、サムスンとの戦略的パートナーシップ締結受け

テルアビブを拠点とするデジタルアートプラットフォーム「Niio」は、先週発表されたSamsung Display(サムスン・ディスプレイ)との戦略的パートナーシップにともない、1500万ドル(約16億4000万円)のシリーズAラウンドを調達したことを発表した。

このラウンドは、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とCatterto(キャタルトン)のジョイントベンチャーであるL Catterton(Lキャタルトン)、Entrée Capital、Pico Venture Partnersが共同で主導したもの。さらに、Saga VCをはじめ、一流のアーティスト、アートコレクター、美術館、ギャラリスト、MoMA(ニューヨーク近代美術館)やGuggenheim(グッゲンハイム美術館)などの機関の評議会委員、オンラインギャンブル起業家であり、NFTにも投資しているShalom McKenzie(シャロム・マッケンジー)氏などが参加した。シリーズAの前に、Niioは最初に戦略的エンジェルから800万ドル(約8億7000万円)を調達し、続いて2017年に機関投資家からシードラウンドを行っていた。

Niioは今回の資金を、アーティストコミュニティの拡大と、アプリ対応のサブスクリプション・購入プラットフォームの拡張に使用するとのこと。ブロックチェーンベースのこのプラットフォームには、NFTやその他のデジタルアート資産の取引が可能なマーケットプレイスが含まれる予定だ。

Niioの共同創業者兼CEOであるRob Anders(ロブ・アンダース)氏は、次のように述べた。「デジタルアートは、NFTの爆発的な成長により市場が加速し、主流のメディアとして受け入れられるようになりました。人々がいま経験している変化は、文化にとってここ数十年で最も社会的に重要な瞬間であり、これまでにない方法で新しい種類のアートにアクセスし、スクリーン上で体験できるようになっています」。

Niioの技術は、ユーザーがデジタルアート作品をあらゆるデジタルスクリーン上でストリーミングすることを可能にし、音楽やエンターテインメントのストリーミングサービスがアルバムや映画に対して行ってきたのと同様に、アートとプラットフォーム構築との間のギャップを埋めるものだ。

前出のアンダース氏とOren Moshe(オレン・モシェ)氏によって2014年に設立されたNiioは、アクセシブルなストリーミング配信サービスと、公開マーケットプレイスや個人間取引を通じて、アーティストやギャラリー、コンテンツ所有者から直接、エディション化されたNFTアートワークを購入できる機能を組み合わせています、とアンダース氏はTechCrunchに語った。

Niioは、2021年末にサブスクリプションサービスを開始し、続いてNFTマーケットプレイスを開設する予定だ。これにより、アートの専門家からなるグローバルコミュニティに支えられたNiioは、デジタルアートメディアのための最も包括的なエンド・ツー・エンドのソリューションとなり、プレミアムデジタルアートに誰もがいかなるスクリーンからでも簡単にアクセスできるようになる。

約6000のギャラリー、機関、アーティストからなるグローバルコミュニティにNiioのツールを提供することで、Niioのプラットフォームとブロックチェーンは、アーティストが自分の作品を配信、管理、収益化、保存することを可能にする。

Niioは、クリエイティブコミュニティとアーティストがライフワークを公開、管理、保護する能力を尊重し、サポートするために、すべてのアーティストが同社のツールを永遠に無料で利用できるとしている。

Niioの共同創業者であるモシェ氏はこう述べている。「当社は、何よりもまずアーティストに力を与え、彼らの作品をデジタルで体験し、世界中で入手できるようにするというプラットフォームのビジョンを実現しました。6000人以上のアーティストが、ライフワークの公開、管理、保護、収益化を可能にする当社に信頼を寄せてくれていることに感謝しています」。

アンダース氏によれば、過去2〜3年の間に、約1万社のグローバル企業がNiioのプラットフォームを利用しているという。それらの顧客はギャラリー、美術館、スタジオ、アートスクールなどのアート関係者から、ラグジュアリーブランド、ホテルチェーン、不動産デベロッパーなど多岐にわたっており、プラットフォーム上で提供されている1万5000点のプレミアム作品から厳選されたアートストリームを、30カ国以上の公共スペースや場所で数百万人に向けて配信していると同氏は述べている。

アンダース氏は「スマートテレビは10億台以上の市場があり、当社のパートナーであるサムスンは市場の30~40%を占めているため、当社は『ラストマイル』提案をすることができます」とも語った。

デジタルアートの市場規模は、2025年には約500億~1000億ドル(約5兆4600億〜約10兆9200億円)になると予測されている。

L Catterton Growth FundのマネージングパートナーであるMichael Farello(マイケル・ファレロ)氏はこう述べている。「デジタルアートは、L Cattertonが長年注目してきた分野です。当社はデジタルアートの将来性に非常に期待しており、この分野を継続的に評価した結果、Niioにたどり着きました。サブスクリプションとNFTの両方を提供する彼らのプラットフォームアプローチと、批評家とアーティストのコミュニティで築かれた評判、そしてサムスンとのパートナーシップによる評価が相まって、彼らを市場のリーダーにすることを確信しています」。

画像クレジット:After Indifference by Siebren Versteeg, Commissioned by Niio

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

会員数1万人超、1万円から購入・売買できるアート作品の共同保有プラットフォームANDARTが2.8億円調達

1万円から購入・売買できるアート作品の共同保有プラットフォームANDARTが2.8億円調達、事業加速と組織拡大に向け経営体制強化

1万円から購入・売買できるアート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART」(アンドアート)を運営するANDARTは9月13日、第三者割当増資および日本政策金融公庫などの融資による総額2億8000万円の資金調達を発表した。引受先はユナイテッド、GMOインターネット、赤坂優氏(franky代表取締役)、竹内真氏(ビジョナル取締役CTO)。借入先は日本政策金融公庫、りそな銀行。調達した資金は、さらなる事業加速と組織拡大に向けた経営体制の強化のため、各事業・対応領域におけるコアメンバーの採用に活用する予定。

ANDARTは、2018年の9月に設立した「テクノロジーで、アートと社会を結び、拓く。」をミッションに掲げるアートテックカンパニー。現在は「ANDART」と「YOUANDART」(ユーアンドアート)の2つの事業を運営している。

ANDARTは、高額な有名アート作品や大型作品でも1万円から購入・売買できる、日本初のアート作品共同保有プラットフォーム。2019年9月のローンチ以来33作品の販売を行い、会員数は2021年6月に1万名を突破。オーナー権を購入した作品オーナーには、オンライン上でのコレクションをはじめ、実物作品の鑑賞機会など様々な優待を提供している。また、会員間取引機能ではオーナー権の売買が可能(β版)という。

過去アート購入の経験がまったくないユーザー65.4%のうち、半数以上が同サービス上で2作品以上のアートをコレクションしている(2021年3月同社調べ)など、これまで価格や知識面に高いハードルを感じていたユーザーが、新たにアートの購入体験をしているという。

YOUANDARTは、コロナ禍で住空間へのニーズが高まり生まれた、アートのオンラインストア。2021年6月に1周年を迎え、作品点数約500点を突破した。

 

【コラム】3億円のNFTを買っても著作権は手に入らない

編集部注:本稿の著者Harrison Jordan(ハリソン・ジョーダン)氏は、HP.LIFEの創設者兼CEO。

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現代アーティストにとって、作品を非代替性トークン(NFT)という形でブロックチェーンに紐づけることは、アートをオンラインで販売するための安全で検証可能な方法のように思えるかもしれない。

いくつかの点では、それは正しい。ブロックチェーンは本質的に、すべてのトランザクションについてタイムスタンプ付きのデータを記録し、分散型台帳上で所有権を永続的に示すものだ。ブロックチェーンのトランザクションを見れば、NFTがいつ取引されたのか、誰がその取引に関わったのか、いくら使われたのかを知るのに、必要な情報がすべて得られる。

しかし、NFTのオーナーシップの実態は、想像以上に複雑だ。新しい暗号資産クラスであるNFTは、現行の規制システムにほとんど縛られずに存在しているように見える。しかしアートと組み合わせた場合、考慮すべきオーバーラップがある。現代のNFTエコシステムの法的落とし穴を理解することが、その可能性を引き出すための最初のステップとなるだろう。

ブロックチェーンに著作権は存在するのか?

NFTが著作権の代替となる可能性に大きな期待が寄せられており、NFTが著作権そのものであると信じている人も多い。額面通りに見れば、その混乱は容易に理解できる。

実際には、NFTは資産を表すトークンに過ぎず、資産そのものとはまったく別物だ。すべてのNFTは唯一無二の資産であるため、オリジナルと同じ価値を維持したまま複製することはできない。多くの人はこの独占的な所有権を作品そのものの所有権と同一視しているが、その違いを強調しておく必要がある。

この誤解はさらに奥深くなる。NFTになり得るものの範囲は、著作権の対象となる作品と驚くほどよく一致している。「著作物」の定義は各国・地域で異なるが、本質から大きく外れることはない。例えばカナダでは、著作権の保護は、文学的、芸術的、演劇的または音楽的な作品に加えて、演奏、録音、その他の関連作品にまで及ぶ。創作者がこれらの保護を申請する必要はなく、作品の創作時に国が本質的に提供するようになっている。

もちろんこの保護は、NFT化されるオリジナル作品に対しても保証されている。アート作品が制作され、NFTマーケットプレイスでオークションに出品された場合、その著作権はアーティストに帰属し、対面での取引とほぼ同様に機能する。国際法に準拠した著作権取引のインフラが整っていないため、現在のプラットフォームでNFTの著作権をやりとりすることは不可能だ。

つまり、アーティストと購入者の間で外部契約が交わされない限り、NFTのさまざまな著作権はオリジナルアーティストに帰属することになる。NFTの購入者が所有するのは、ブロックチェーン上のユニークなハッシュと、トランザクション記録、作品ファイルへのハイパーリンクだけだ。

法的パラメータがなければ、不正行為は避けられない

盗難や詐欺の可能性を考えると、NFTの著作権追跡の問題はさらに厄介なものになる。NFTがブロックチェーンに追加されるためには、アップロードした者が「署名」する必要がある。画家が自分の絵にサインするのと同様に、この機能はNFTとその作成者を結びつけることを目的としている。しかし、トークン鋳造者が自分の身元を偽った場合には問題が起こる可能性もある。多くのNFTプラットフォームでは、これは珍しいことではない

この問題は、NFT市場に強力な法的枠組みがないことに起因する。プラットフォームによっては、作成者本人でなくてもツイートやアート作品、ニャンキャットのgif画像でさえもNFT化することができる。その結果多くのアーティストが、自分の作品が盗用され、同意なしにNFTの形で販売されていると報告している。従来のアート市場であれば、明らかに著作権侵害となるところだ。

この問題は、特にNFTツイートのやり取りの中で広まっている。2021年初めには、@tokenizedtweetsと呼ばれるTwitterボットが大量にNFT鋳造を行い、Twitter(ツイッター)とNFTコミュニティに衝撃を与えた。このボットは、作者の同意や通知なしにバイラルツイートからNFTを作成するという方針をとったため、俳優やアーティストなどのクリエイターから反発を買った。「スタートレック」で知られる俳優のWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏は「@tokenizedtweetsがコンテンツを盗み、私がアップロードした画像や私のツイートなど、すべて私の著作権のもとにあるものが無断でトークン化され、販売されている」と懸念を表明した。

強力な法的インフラを持たないプラットフォームでは、盗難や詐欺は当然の結果だ。現在Twitterの利用を禁止されている@tokenizedtweetsの行為は、この問題をよく表している。

何が足りないのか?国際的なコンプライアンス

これまでのところNFTプラットフォームは、NFT販売が表すアートの著作権について、国際的なコンプライアンスの領域に踏み込んでいない。それが起これば、NFTのエコシステムにとって非常に大きな飛躍となるだろう。著作権の行使を強化することで不正行為を最小限に抑えるだけでなく、国際的なコンプライアンスを実現することにより、ブロックチェーン上でのトークンによる著作権交換が可能になるからだ。

1886年に締結されたベルヌ条約は、179の加盟国において著作物が創作された時点で標準的な著作権保護を保証する国際協定であり、そのおかげですでに下地はできている。例えば2014年にはシンガーソングライターのTom Petty(トム・ペティ)が、Sam Smith(サム・スミス)のヒット曲「Stay With Me」が自身の「I Won’t Back Down」とメロディがほぼ同じであるとしてサム・スミスを著作権侵害で訴え、この条約が試された。この訴訟と、トム・ペティの財産へのロイヤルティ支払いを含む和解は、ベルヌ条約の継続的な機能を証明している。

1996年のWIPO著作権条約により、デジタルアートの領域にベルヌ条約の原則が正式に導入されたが、ベルヌ条約加盟国の多くはこの条約に署名しなかった。新たな条約の目途が立たない中、世界政府が残した不足を民間セクターが補わなければならないかもしれない。

国際条約で統一が図られているにもかかわらず、NFTの世界では世界各地の著作権法の多様性に対応できていないのが現状だ。業界を投機的なものからグローバルな機能性へと移行させるためには、国際的な著作権コンプライアンスをこの新興エコシステムに組み込む必要がある。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:コラムNFTアート著作権アーティスト

画像クレジット:John M Lund Photography Inc / Getty Images

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(文:Harrison Jordan、翻訳:Aya Nakazato)

Clubhouseのアイコンにもなった芸術家ドゥルー・カタオカ氏が初のNFTをオークション、収益すべてをアジア系米国人のために寄付

Drue Kataoka(ドゥルー・カタオカ)氏の作品は、世界30カ国のみならず、国際宇宙ステーションでも展示された経歴がある。最近ではClubhouseアプリの新しい顔に選ばれたアーティスト兼活動家の同氏は、アジア系米国人の活動を支援するため、同氏にとって初となるNFT作品をリリースすることとなった。このオークションはデジタルアートマーケットプレイスNifty Gatewayにて米国東部時間5月13日午後1時30分に開始され、Clubhouseでのローンチパーティとともに24時間にわたって開催された。Nifty Gatewayはオークション手数料を免除し、すべての収益はAsian Pacific Fundと提携しているビジネスリーダーや活動家の連合体Stand with Asian Americansの助成部門であるCatalyst Fund for Justice(CFJ)に寄付される予定だ。

鏡面仕上げの鋼製の彫刻や、バーチャルリアリティ、脳波、モバイル技術を用いたアートなどの依頼作品で知られているカタオカ氏。同氏の作品の1つでわら紙に墨で描かれた「Up!」は、国際宇宙ステーションで行われた初の無重力アート展示の一部にもなっている。また、活動家やオーガナイザーとしても活躍している同氏は、1968年にCoretta Scott King(コレッタ・スコット・キング)氏が始めた非営利団体The Martin Luther King Jr. Center for Nonviolent Social Changeのため、Clubhouseを通じて#StopAsianHate#Clubhouse4India#24HoursofLoveなどで合計で約30万ドル(約3300万円)の寄付を行っている。

「In the Club:#StopAsianHate」と名づけられたカタオカ氏のNFT作品は、Clubhouse内の活動家コミュニティにインスピレーションを得たものである。同氏は10万2000人のフォロワーを持つClubhouse最大のアートグループ「Art Club」を率いている。

「Clubhouseを社会変革のための媒体として活用することに情熱を注いできました」とカタオカ氏は話す。今回のプロジェクトでは「慈善活動かアートかのどちらかだけでなく、両方に総力を挙げ、目標を達成してアジア系米国人コミュニティにできる限りのインパクトを与えたいと思っています」。

同氏はDrue Kataoka Studiosの創設者兼最高経営責任者を務めており、禅宗、墨絵の修行、そしてシリコンバレーからの影響を結集した作品を制作している。バーチャルリアリティやARなどの技術、コードの書き方、ビジネスの基礎などを学びたかった同氏は、美術大学ではなくスタンフォード大学を卒業している。

「ここ20年間の私の信条は、アートはテクノロジーであり、テクノロジーはアートであるということです」と同氏はTechCrunchに話してくれた。

カタオカ氏にとって初となるNFT作品のリリースについて、同氏は「最初のプロジェクトについてはとても慎重に考えていたので、この作品となってうれしく思っています。私はこれまでもこの分野を注意深く見てきましたし、暗号資産やNFTに対してとても強気です。変動性が高く、衰退するものや時の試練に耐えられないものも多くあることは承知していますが、最終的には創造性や多くの重要なことのためのメカニズムとして未来をかたち作っていくことでしょう」と話している。

Stand with Asian AmericansのCatalyst Fund for Justiceの共同議長を務めるEric Kim(エリック・キム)氏は「彼女が今回の収益の100%をAAPI(アジア・太平洋諸国系米国人)コミュニティに向けて寄付してくれるということに、非常に大きな意味があります。また、ブロックチェーン技術の美しい表現でもあると感じています」と述べている。

キム氏はベンチャー企業Goodwater Capitalの共同創設者兼マネージングパートナーでもある。「私はブロックチェーンの最適なプロダクトマーケットフィットをずっと探してきました。デジタルアートがコード化されて非代替性トークンで証券化され、さらにコミュニティのために活用されてClubhouseなどでもローンチされ、Nifty Gatewayのようなプラットフォームを通じてオークションにまでかけられるというこのプロジェクトは、私がこれまでに見たブロックチェーンの中でも最高の方法の1つであり、複数のコンシューマーテックのプラットフォームが見事に連携した結果の賜物です」。

約1分間の「In the Club:#StopAsianHate」では、Clubhouseの部屋のイメージが金色の背景に重ねられている。ユーザーの写真は取り除かれ、残された空間にはカタオカ氏がバーチャルリアリティで造形した一連のモチーフが流れ動いている。同時に、最近行われた街頭デモの声がカタオカ氏自身の心臓の鼓動の録音に重ねて流されている。最終的にその声が風の音に変わり消えていくのだが、これは多くのアジア文化において生命力の源とされている空気、すなわち「気」「氣」「プラーナ」を象徴している。

「この作品はこの活動に信念と信頼を寄せ、当初からこの問題について声を上げ続けてきた活動家やコミュニティメンバーへの敬意を表したものです。主要メディアが、アジア系米国人コミュニティに起きている多くのヘイトクライムや大きな問題を見て見ぬふりをしたり、包み隠したりしていることがとても気になっていました。Clubhouseでは編集もセンサーシップもなく、2020年の早い段階から私はこのような会話をホストして聞いていました。私たちは真剣にこの会話に取り組み、Twitterとの相乗効果によって広がりが勢いを増していきましたが、当時主要メディアはまったく気にもしていませんでした」とカタオカ氏は振り返る。

キム氏によると、Catalyst Fund for Justiceはデータに基づいたアプローチで助成先を決定するという。初めはヘイトクライムの減少や被害者の支援、職場での差別、政治におけるアジア系米国人の欠如、資金不足の非営利団体の支援などに重点を置く予定だ。また、教育カリキュラムにアジア系米国人の歴史をもっと取り入れることや、職場での偏見によってアジア系米国人が昇進を妨げられているという状況を理解すること、また市民団体にアジア系米国人を増やすことなどを目標としている。

アトランタの銃乱射事件の後、キム氏はGoodwaterの共同設立者であるChi-Hua Chien(チ・ファ・チェン)氏、GGVのマネージングパートナーであるHans Tung(ハンス・タン)氏、Lightspeed VentureのパートナーであるJeremy Liew(ジェレミー・リュー)氏などのベンチャーキャピタリストと協力して有力なベンチャーキャピタルから500万ドル(約5億5000万円)を調達し、AAPIの組織に寄付をしている。

「このような意識の高まりと活性化から、ビジネスリーダー、起業家、投資家はどうすればもっと体系的にこの活動を行うことができるか、自分たちの専門的なスキルセットをこの活動にどう適用することができるかを考え始めました」とキム氏。

こういった議論の結果、Stand with Asian Americansが誕生。2021年3月末にはZoomの創業者兼CEOのEric Yuan(エリック・ユアン)氏、YouTubeの共同創業者であるSteve Chen(スティーブ・チェン)氏、Yahooの共同創業者であるJerry Wang(ジェリー・ワン)氏、Stitch Fixの共同創業者兼CEOのKatrina Lake(カトリーナ・レイク)氏、元ワシントン州知事で米国商務長官のGary Locke(ゲイリー・ロック)氏など、ビジネス界や政治界のリーダーたちが共同で署名したWall Street Journalの全面広告でそのミッションを紹介している。Stand with Asian Americansは、ベイエリアで最も長く活動しているAAPI 非営利団体であるAsian Pacific Fundと提携し、助成金を提供する部門としてCatalyst Fund for Justiceを立ち上げた。同部門には現在8000人近くの署名者と100人以上の献身的なボランティアの力が存在する。

Asian Pacific Fundの会長兼エグゼクティブディレクターのAudrey Yamamoto(オードリー・ヤマモト)氏は声明中で次のように述べている。「家の外に出る度に暴力への恐怖に怯えなければならい今、カタオカ氏によるGenesis NFTドロップの惜しげもない寄付はAAPIコミュニティにとってかけがえのないものです。Catalyst Fund for Justiceは新たな資金源を開拓し、データに基づいたアプローチを用いてAAPIコミュニティが直面する最大の不正に立ち向かうための助成を今後も行っていきます」。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTオークション寄付アートClubhouse

画像クレジット:Drue Kataoka

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)

ただ1つのNFT動画を表示するディスプレイでデジタルアートの再構築を目指すInfinite Objects

NFT(Non-fungible token、代替不可能なトークン)とは、デジタル所有権の概念の再構築を目指すものだ。アートハードウェアのスタートアップのInfinite Objects(インフィニット・オブジェクツ)が、デジタルアートやコレクターズアイテムの再構築を目指すことで、そうした資産の物理的なコピーの制作に大きなチャンスを見出そうとしている。

このスタートアップが作るのは、ただ1人のアーティストによるただ1つの動画を表示するだけで、他には何もしないディスプレイだ。このディスプレイには、追加のアプリをダウンロードしたり、自分の写真をアップロードしたり、時間や天気を確認したりすることはできない。たとえInfinite Objectsの別のアート作品が欲しい場合でも、ダウンロードをすることはできず、そのサイトに行って、欲しいアート作品が入った別のディスプレイを購入しなければならない。それぞれのディスプレイの裏面には、作品に関する情報やエディション番号、シリアル番号が刻まれていて、物理的なディスプレイと表示されている作品が密接に結びついている。

Infinite ObjectsのCEOであるJoe Saavedra(ジョー・サアベドラ)氏はTechCrunchに対して、今回の600万ドル(約6億6000万円)のシード調達には、主導したCourtside VCや、NBA Top Shot(NBAトップショット)を開発運営しているDapper Labs(ダッパーラボ)をはじめとする多くの投資家が参加しているという。

長い間Infinite Objectsは、NFTなしで運営されるNFTプラットフォームだった。同社は2018年からアーティストたちと協力して、1人のアーティストのデジタル作品を連続して表示し続ける物理的なディスプレイ(ほとんどの場合数量限定)を制作してきた。もちろん、ユーザーたちはそうしたデジタル作品をInfinite Objectsのウェブサイト上で好きな時に見ることができる。だがその価値はアーティストの作品の公式コピーを所有できる点にある。どこかで聞いたような話では?

2021年初めにNFTが投機的資産として広く認知されたとき、インターネットユーザーがデジタルアートの将来やデジタル希少性について議論し始めたことから、サアベドラ氏はそれを大きなチャンスだと考えた。彼のチームはその時点ですでにNFTに取り組んでいて、2020年の12月にはアーティストのBeeple(ビープル)氏と提携し、彼がNifty Gateway(ニフティゲートウェイ)というプラットフォームで販売していたNFTの「物理的なトークン」をリリースした。これは、ビープル氏がクリスティーズのオークションで6900万ドル(約75億円)の落札価格を達成して、美術界では知らないものがいなくなる数カ月前の出来事だ。

今夜7時(東部標準時間)

サアベドラ氏は、彼の会社が制作するものによって、NFTの世界で活躍する企業やクリエイターが自分たちの資産をより親しみやすく、一般の人たちに理解してもらえるようにできる大きなチャンスがあると考えている。また同時に、購入したデジタルアートを、NFTを単なる盲目的な所有から実際に鑑賞できることに焦点を当てたものに変えるチャンスでもあると考えている。

「所有権がともなうことを考えると、500ドル(約5万5000円)とか5000ドル(約55万円)でNFTを購入すことはエキサイティングですが、それを見せるためにスマートフォンのSafariを開かなければならないという行為はエキサイティングではありません」とサアベドラ氏はTechCrunchに対して語る。「私たちがデザインしたこの物理的な器は、ブロックチェーンをまったく理解していない人でも、限定版の物理的商品を理解している人ならば、とても理解しやすいものです」。

サアベドラ氏は、アート作品をただ循環表示させる他のデジタルディスプレイには否定的だ。彼は、アートの所有者が望めば、そのNFTの画像をテレビに表示させることもできるが、それは単にアートを「豪華なスクリーンセーバー」として使っているだけだという。

Infinite Objectsのチームは、NFTの世界にはもっと大きなチャンスがあると考えているが、具体的にどのような取り組みになるのかについては堅く口を閉ざしている。今回の支援者リストに、興味深いことにNBA Top Shotの生みの親であるDapper Labsが含まれていることは、ヒントになりそうだ。Dapper Labsは、Flow(フロー)と呼ばれる独自のブロックチェーンを構築していて、サアベドラ氏は会話の中で、それがEthereum(イーサリアム)ネットワークよりもスケーラブルで持続可能であると称賛を惜しまなかった。先ごろDapper Labsは、初のサードパーティ向けNFTプラットフォームを発表した。この発表は、今回のラウンドのまた別の投資家でもあるアバタースタートアップのGenies(ジニー)との提携と同時に行われた。Dapper Labsはデジタルアクセサリーのストアを2021年夏に立ち上げる予定である。

今回のラウンドには、erena Ventures、Betaworks、Brooklyn Bridge Ventures、GFR Fund、Kevin Durant & Rich Kleiman、Genie、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏のSound Venturesも参加している。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Infinite Objects資金調達NFTアートDapper LabsGenies

画像クレジット: Infinite Objects(フレーム内の作品はNatasha Tomchin)

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(文:Lucas Matneyk、翻訳:sako)

拡張現実でのNFTの閲覧・共有方法を模索する「Anima」がCoinbaseの支援を受ける

AR(拡張現実)とNFT(非代替性トークン)。これ以上いう必要があるだろうか?イエス?まあ、NFTが2021年にホットな瞬間を迎えたのは確かだ。しかし、投機的なゴールドラッシュがクールダウンし始め、人々がデジタル商品が将来どのように進化していくかを考え始めると、NFTが何の役に立つのか、NFTで何ができるのかという疑問がより頻繁に聞かれるようになってきた。

Animaは、Flipboardが2014年に買収した写真 / 動画アプリ「Ultravisual」の創業者たちによって設立された小規模なクリエイティブ系暗号スタートアップで、ARを利用してNFTアートやコレクターズアイテムの閲覧・共有方法を変えようとしている。同社の最新の取り組みは、アーティストがデジタル作品をより大きなデジタルステージに持っていくことを支援し、ARにおけるNFTの未来がどのようなものになるのかを見出そうとするものだ。

このスタートアップは、Coinbase Ventures、Divergence Ventures、Flamingo DAO、映画作家・写真家のLyle Owerko(ライル・オワーコ)氏、そして著作家Andrew Unger(アンドリュー・アンガー)氏から支援を得て50万ドル(約5500万円)の小規模なプレシードラウンドを実施した。

共同創業者のAlex Herrity(アレックス・ヘリティ)氏はこう語った。「NFTが、購入した商品のリターンを目的とした投機的な市場から離れていくのは健全なことだと思いますし、より親しみやすいものを作りたいと考えている私たちにとっても良いことだと思います」。

同社のより幅広いビジョンは、デジタルオブジェクトが現実世界と相互作用する方法を模索することだ。これはここ数年、ARの世界では最重要課題となっていたが、最近ではApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)の新製品に対するクリエイターの様子見の姿勢により、開発が停滞していた。Animaの共同創業者たちは、ARとNFTの分野はどちらも非常に初期の段階にあることを認めているが、どちらの分野もギミックが明るみに出るくらいには成熟したと考えている。

共同創業者のNeil Voss(ニール・ヴォス)氏は、TechCrunchの取材に対しこう語った。「今は体験型のギミックが主流になっていますが、そうではなくARを、自分が集めたものまたはライフスタイルを彩るアクセサリーと触覚的な関係を築くための手段ととらえることで、コンテキストの変化が起こります」。

同社のチームはデジタルアートのオブジェクトをARに導入する初期の実験を行っており、すでに数名のアーティストと協力している。来月末には、ConsenSysのPalmプラットフォームをベースにしたマーケットプレイスを立ち上げ、今後のパートナーシップをより多く紹介していきたいとのこと。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:拡張現実NFTAnima資金調達アートマーケットプレイスCoinbase

画像クレジット:Anima

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

爆発的な勢いのNFTアートのマーケットプレイス「SuperRare」が約10億円調達

NFT(非代替性トークン)のエコシステムは爆発的な勢いを見せており、その勢いに乗るべく準備をしていたスタートアップ企業が多くの資金を得ている。

ここ数週間で数千万ドル(数十億円)も売り上げているNFTアートプラットフォームのSuperRareは、投資家から数百万ドル(数億円)を調達した。900万ドル(約10億円)のシリーズAラウンドは、Velvet Sea Venturesと1confirmationがリードした。このラウンドに参加した他の投資家はCollaborative Fund、Shrug Capital、Third Kind、SamsungNext、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏、Guy Oseary’s Sound Ventures、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Naval Ravikant(ネイバル・ラヴィカント)氏、Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏などだ。

資金調達の発表では、チームは暗号アートシーンを 「世界的な現象」 と呼んだ。

SuperRareは2018年にアートプラットフォームを立ち上げて以来、販売するアートをより綿密にキュレーションするクローズドなアーリーアクセスプラットフォームを維持することで、差別化を図ってきた。プラットフォーム上のすべての作品は、すべてがシングルエディションかつ一点のみの販売となる。来年には、チームは同サイトを大々的に立ち上げる予定だとしている。同社はこのプラットフォームでのアート販売に対して3%の取引手数料を得る他、さらに一次販売に対しては15%のギャラリー手数料を得ている。プラットフォームの特徴は、クリエイターが作品の価値を高めることで、2次販売時に10%の手数料を得ることができることだ。

NFTによるアート作品の販売はここ数週間で急増しているが、SuperRareが運営するEthereum(イーサリアム)のメインネットにはスケーラビリティの問題があるため、主流になるにはまだ多くの構造的問題がある。多くの企業がスピードを向上させ、エネルギー使用量と取引手数料を削減するレイヤーツーのインフラを構築している。米国時間3月30日、ConsenSysはPalmというプラットフォームをローンチし、アーティストのDamien Hirst(ダミアン・ハースト)氏をプラットフォームの最初のアーティストとして起用した。

ブロックチェーンのスタートアップは長い仮想通貨の冬を経て、スタートアップへの投資を急増させNFTへの熱意を高め、ビットコイン価格の高騰の中で復讐するように戻ってきている。また30日にはNBAトップショットのメーカーであるDapper Labsが、3億500万ドル(約340億円)のベンチャー資金を調達したことを発表した。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SuperRareNFTアート

画像クレジット:SuperRare

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アートのある暮らしをもっと身近に、NYでアートレンタルサブスク展開の「Curina」が総額8000万円を調達

2021年3月30日、ニューヨークでアートのレンタルサブスクリプションサービスを運営するCurinaは総額8000万円を調達したことを発表した。今回の調達には個人投資家が多く参加していて中には起業家でエンジェル投資家の有安伸宏氏、CAMPFIRE代表取締役社長の家入一真氏、マネーフォワード代表取締役社長の辻庸介氏、クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏らの名前もある。

Curinaの創業者で代表を務める朝谷実生氏

Curinaは好きなアート作品を3カ月から月額料金でレンタルできるサブスクリプションサービスだ。提供地域はニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州の3州で、月額のレンタル価格は作品の大きさや質に応じて38ドル(約4108円)、88ドル(約9670円)、148ドル(約1万6260円)の3つのプランを用意している。作品は気に入ったら、レンタル期間終了後、購入価格からこれまで支払ったレンタル価格分を差し引いた金額で作品を買い取ることもできる。

Curinaを立ち上げたのは日本人起業家の朝谷実生氏。彼女は大学を卒業後、経営コンサルティング会社に4年ほど勤め、その後、コロンビア大学でMBAを取得するために米国に留学した。Curinaはコロンビア大学在学中の2017年に立ち上げた会社だ。

アートを買うのはハードルが高い

幼少期をヨーロッパで過ごし、週末は美術館やギャラリーに行ったり、ヨーロッパ中の美術館を巡ったりしてアートに触れる機会が多く、もともとアートが好きだったと朝谷氏は創業までの経緯を話す。だが、実際に自分でアートを購入しようとなると購入までのハードルが高く、そこを解消したいと思ったのがCuinaを創業したきっかけになったそうだ。

「アート作品が欲しいなと思ったときに、正直どこから始めていいのかわかりませんでした。ギャラリーはすごく入りづらいし、高額だし、ちょっと怖いイメージがあります。アート作品を扱うECサイトもたくさんありますが、基本的に返却できなかったり、郵送料が高かったりとハードルがある。これでは初めてアートを買うのを躊躇しても仕方がないだろうなと思ったので、自分の体験をもとに、私のようなアート初心者でも気軽に、手軽に、簡単に買えるシステムを作ろうと思いました」。

作品の一例

現在、Curinaはニューヨークで活躍するアーティストの絵画作品を中心に約1500点を取り揃えている。作品の価格は日本円で10万円から500万円ほど。郵送料や返送料はかからないし、作品を毀損した場合の保険料も月額料金に含まれている。レンタル可能な作品はいずれも届いたらすぐに設置できるよう額装が施してあるか、あるいはキャンバスの場合は作品の背面に設置用のワイヤーが取り付けてあるそうだ。今は新型コロナウイルスの影響で希望した人にのみ提供しているが、無料で作品の設置サービスも行っている。取扱作品は絵画が多いが、彫刻作品も扱い始めていて、今後、さまざまな作品を増やしていく予定だという。

数十万円する作品を月額38ドル(約4200円)から借りられるのであれば少しの期間試してみようという気になるし、購入する場合も自分の目で見てから決められるので安心感があるだろう。Curinaのこうした仕組みは、特に若い世代のユーザーに評価されているという。ユーザーの約9割が20代、30代で、さらにユーザーの半数はCurinaを通じて初めてアート作品をレンタル、購入した人という。

「服や食べ物さえオンラインで買っているのに、なぜアートはオンラインで買えないのかというのが若い世代の考え方です。Curinaはそこに対してオンラインで売ります。また、アートは高価で、エモーショナルなプロダクトなので、共感できないと買えません。買う前に見るとか、家に飾ってみてから買いたいということになります。Curinaではオンラインで買えるけれど、レンタルなので家でも確認できます。若い世代の人たちの購買行動にあったサービスです」。

Curinaを通じて作品をレンタルしたユーザーのご自宅の様子

日本ではアート作品を買うことに馴染みがない人が多いかもしれない。世界有数のアートフェア「Art Basel(アート・バーゼル)」とスイスの金融グループ「UBS」が2019年3月に発表したレポート「The Art Market 2019」によると、アートの世界市場のおける国別の割合は上から米国44%、英国21%、中国19%で、日本は「その他7%」に分類されている。朝谷氏は最初から日本ではなく米国で起業した理由についてもこの市場規模の差を上げ「米国にはアートを買う文化が日本よりも根付いている」ためと話していた。

日本にアートを買う文化が浸透していない理由の1つは、賃貸住宅における原状回復義務が関係しているのかもしれない。日本の賃貸住宅の場合、釘やネジを使ってアート作品を壁に取り付けた場合、賃貸契約の原状回復義務により、退却時に壁に空いた穴の修復を自己負担しなければならないこと多い。だが、朝谷氏によると米国ではこうした修復の多くは管理会社が担うので、入居者は賃貸でも壁に穴を開けるのに抵抗があまりないのだという。

とはいえ、ゆくゆくは日本展開も進めたいと朝谷氏は話す。主にオフィス向けにはなるが、Curinaはすでにアートアンドリーズンが提供する、AIによるアート作品の選出サービス「AutScouter」にギャラリーとして登録している。現在、AutScouterを通じてならCurinaの作品を日本国内でレンタル、購入可能ということだ。

今回調達した資金は、米国全土でサービスを提供するための物流やオペレーションの整備に加え、作品数の拡充、マーケティングに充てる予定だという。その後、日本や中国などでの世界展開も目指していく考えだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Curina資金調達アートニューヨークサブスクリプション

NFT(非代替性トークン)がアート界にもたらす劇的な変革とインクルーシブな未来

デジタルコレクティブル(デジタル版のコレクターズアイテム)は今、大きな変化のときを迎えている。2021年2月、Beeple(ビープル)というアーティストのデジタルアート作品が、デジタルアート専門のオンラインマーケットプレイスNifty Gateway(ニフティ・ゲートウェイ)に出品され、660万ドル(約7億2000万円)で売れた。また、米ロックバンドLinkin Park(リンキン・パーク)のMike Shinoda(マイク・シノダ)氏は最近、オンラインマーケットプレイスのZora(ゾラ)で楽曲クリップを発売した。さらに、Dapper Labs(ダッパー・ラブズ)が運営するNBA Top Shot(NBAトップ・ショット)では、試合中のNBA選手の写真や動画1万631点のうちのたった1点を購入するために、20万人以上が何時間も順番待ちをした。

これらは、ブロックチェーンを利用したデジタル資産、別名「NFT(非代替性トークン)」を売買できるマーケットプレイスの例である。数週間前にNBA Top Shotを始めたばかりの筆者にとって、NFTはまったく未知の世界だ。そこで筆者は、NFTクリエイター数人に連絡を取って、NFTについて詳しく教えてもらった。またその際に、この分野の展望や全体的なポテンシャルに関する意見も語ってもらった。

「NFTとは『真の所有者と来歴が確認できるデジタル資産』のことだ、と説明できると思う。NFTは、その出どころを追跡でき、一度に1人しか所有できない資産だ」。そう語ったのはRonin the Collector(ローニン・ザ・コレクター)だ。

例えばNBAのStephen Curry(ステファン・カリー)選手が3点シュートを決めた瞬間を収めた動画など、自分のコンピューターに無料でダウンロードできる短い動画ファイルになぜお金を払う人がいるのか、疑問に思ったことがある人は、筆者の他にもたくさんいると思う。

ローニンは次のように説明する。「それを進んで認めるかどうかは別として、人間は本質的に『モノを所有したい』という欲求を持っているものだ。モノを所有することは人間として生きていくうえで欠かせないことだと思う。何かを所有するということは、何かとつながるということであり、それが生きる理由につながる。物を所有することには独特のの意義があるんだ。それに、所有していれば、例えばそれが動画なら、好きなだけ何度も視聴できる。でも、それを売れるかどうかはまた別の問題だ」。

その動画がNFTであるなら、売ることができる。例えば、CryptoSlam(クリプトスラム)を見ると2021年2月にLeBron James(レブロン・ジェームズ)選手のダンクシュート動画を20万8000ドル(約2270万円)で購入したユーザーがいたことがわかる。Top Shotのマーケットプレイス取引高は先月、約5000万ドル(約54億4600万円)に達した。さらに先週は、24時間の間に3700万ドル(約40億3000万円)以上を売り上げた日があった。これもCryptoSlamの情報だ。

これほど爆発的な人気を集めている理由は、パンデミックのせいでコンピューターを使用する時間が否応なく増えたことと、使い始めるのが簡単であることだとローニンはいう。例えばTop Shotの場合、筆者のような「超」初心者でも非常に簡単に登録できるようになっており、仮想通貨ウォレットを持つ必要はなく、クレジットカードが使える。これはNifty Gatewayも同じだ。

しかし、ローニンによると、Top ShotとNifty Gatewayは例外らしい。大抵のNFTプラットフォームは、Ethereum(イーサリアム、ETH)と呼ばれる仮想通貨のウォレットを持っていないと利用できない。Audius(オーディウス)でクリプト戦略を統括しているCooper Turley(クーパー・ターリー)氏は、TechCrunchへの寄稿記事の中で「つまりコレクターは、Coinbase(コインベース)などの仮想通貨取引所を通じてETHを購入し、それを、長い文字列と数字からなる自己管理ウォレット用アドレスに送信しないと、NFTプラットフォームを利用できない」と書いている。

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それこそまさに、筆者が(少なくとも個人としては)NFTの世界に飛び込めない理由だ。大抵のプラットフォームにおいて使い始めるまでのハードルが高いことは、以前からNFT業界の課題だった、とローニンはいう。

ローニンは次のように説明する。「どのNFTプロジェクトも、今やっと『使いやすさ』に注目し始めたばかりだ。これはまさにぎりぎりのタイミングだったと思う。Clubhouse(クラブハウス)で最近一番興味深いと感じたルームは、世界中の注目を集めているNFTプラットフォームをどうやってうまく発展させていくか、というトピックについて話し合っているものだった。Top Shotのように、使い始めるのも登録も簡単で、気軽にアイテムを購入できるサービスが出てきている。クレジットカードは必要だが、仮想通貨は不要で、誰もがオンラインで利用できる環境になり、まさにそのタイミングで、Beepleのデジタルアート作品が300万ドル(約3億2700万円)で売れた。これがきっかけで、全世界が突然、NFTに注目し始めた」。

しかし、NFTの領域においてTop Shotよりもさらに大きくて興味深いのは、NFTアートの世界だ。Sirsu(サースー)というアーティスト名で活動するAmeer Carter(アミール・カーター)氏は、2020年の夏に友人のすすめでNFTの世界に足を踏み入れたという。同氏は、始めてすぐに、このテクノロジーには大変革を引き起こす可能性があると感じたそうだ。

「文字どおり不朽のクリエイティブ作品を生み出せるようになったと感じた」と同氏はTechCrunchに語った。

とはいえ、アート界には昔から黒人や有色人種のアーティストを歓迎しない傾向があり、NFTの世界ではその傾向が特に顕著だ、とカーター氏は語る。旧来のアート界はエリート主義で、カーター氏自身も正統派のアートを学んだ経歴を持っているにも関わらず、旧来のアート界に参入することはできなかったという。

「努力が足りなかったわけではないんだ」とカーター氏はいう。

何人ものアートキュレーターが作品を気に入ってくれたが、どのキュレーターも「(カーター氏の)作品は、系統化して学術的に確立させられるものではない」と話した、とカーター氏は語る。NFTは、カーター氏のようなアーティストが、これまでは手が届かなかった方法で自分のアート作品を創作、共有することを可能にするテクノロジーだ。

カーター氏はこう続ける。「NFTは、アート作品を創作、共有できる環境を提供してくれる、非常にオープンで利用しやすいプラットフォームだ。私が目指すのは、アーティストが作品を発表できるそのような環境を整え、彼らの創作能力を強化することだ。売れない芸術家が経験する苦悩を取り除くのが私の使命である。私は、アートは安っぽいものではない。アートとは豊かなものだ。生活を豊かにして、生きがいを与えてくれるものだと思う」。

しかし、黒人のアーティストがすでに行ったことを、白人のアーティストがまるで自分が初めて試みたかのように見せて手柄を横取りしていく事例を目にするようになった、とカーター氏は語る。

ブロックチェーンを使った作品を初めて生み出したアーティストたちと、そのようなアーティストたちより著名であることを利用して「初めてブロックチェーンを使ってアート作品を生み出したのは自分たちだ」と周りに思い込ませようとしているアーティスト達がおり、この2つのグループの間で攻防が続いている、とカーター氏は説明する。

例えば、Connie Digital(コニー・デジタル)やHarrison First(ハリソン・ファースト)などの黒人アーティストは、ブロックチェーンを使ったファン向けのソーシャルトークンを初めて導入したアーティストたちの例だ。

「彼らこそアルバム、EP、シングル曲をNFTとして初めて売り出したアーティストたちだ。しかし、最近になってBlau(ブラウ)がNFTのアルバムを発表すると、人々はBlauこそがNFTでアルバムを売り出した最初のアーティストだと言い出した。本当は違うのに。しかし、『誰が初めて行ったか』という評判は、大きな話題として取り上げられるかどうか、大きな売り上げを達成するかどうかに左右される。それは今も昔も変わらない。より大きな注目を集めた方が『初めて試みた』というタイトルを手にする。私が興味深いと思うのは、NFTの場合はその来歴を文字通り追跡できて、Blauが最初ではないことを示す動かぬ証拠がある、ということだ」。

カーター氏はこのような現象を見て、自分がNFTのアーキビスト(保存価値のある情報を査定、整理、管理し、閲覧できるよう整える専門職)にならなければと思ったという。

カーター氏は次のように述べる。「私は必ずしも歴史家ではないが、NFTの分野に深く関われば関わるほど、私がNFT専門のアーキビストとしての役割を果たすことが緊急に必要だと感じるようになった。分散型で誰もが使える仕組みの中であっても、私たちのようなアーティストの存在が文化的な意味で消し去られないようにするためだ」。

カーター氏がBlacksneakers(ブラックスニーカーズ)のような黒人アーティストの作品をアーカイブするためにThe Well(ザ・ウェル)を立ち上げている理由の1つはそこにある。The Wellは、黒人アーティストが安全だと感じ、サポートを得られ、不当に搾取されない環境で自分のNFTをミント(創出)できるプラットフォームとしても機能する予定だ。

画像クレジット:Black Sneakers via SuperRare

現在利用されているさまざまなプラットフォームでは、ウェブサイトやソーシャルメディアにおけるプロモーションの面で、全体的に白人アーティストの方が黒人アーティストよりも優遇されているように感じる、とカーター氏はいう。

「黒人アーティストにも、アーティストとして成長し、進歩するそのようなチャンスを得る権利がある。それなのに、チャンスを手にしているのは、多くの自称アーティストばかりだ」と同氏は述べる。

カーター氏は、黒人アーティストにチャンスを提供することはNifty GatewayやSuperRare(スーパーレア)をはじめとするプラットフォームの義務だと言っているわけではない。同氏が指摘したいのは、そのようなプラットフォームには、黒人アーティストがよりよいチャンスをつかめる環境を整える力がある、という点だ。

それは、カーター氏がThe Well Protocol(ザ・ウェル・プロトコル)で目指している目標の1つでもある。同氏は、6月19日の奴隷解放記念日にローンチ予定のThe Wellを通じて、NFT作品のアーティスト、コレクター、キュレーター向けのインクルーシブなエコシステムを築きたいと考えている。作品を発表するにはいつもTwitterを使うしかないと感じているアーティストに、彼らを全面的にサポートして作品を増やしていくためのエコシステムを提供したい、と同氏は語る。

「どこを見ても、黒人ではないアーティストはメディアで好意的に評価されたり、ニュース番組で取り上げられたりしている。一方、黒人アーティストは彼らほど頻繁に注目されることはなく、同じ土俵に上がって競争する機会が少ない。私は、真の意味で公平な環境を築こうとしている。つまり、私たちが躍進していけるツールとエコシステムを作り上げていく」。

「アートは富裕層だけのもの、と考える時代は終わりにしたい」とカーター氏はいう。

同氏はこう続ける。「私たちには、そのような考え方を完全に覆せるだけの力がある。私たちの取り組みを機能させるには、検討を何度も、何度も、そう何度も重ね、協力して動く必要がある。しかし、すでにNFTを使っているアーティストを、金に物を言わせて排除しようとする者がNFTの世界に入ってきたら、私たちの目的は達成できない。アーティストが成長できる環境を整えるためのプラットフォームに、そのような輩を参入させてはならないんだ。概して不安をあおり、一部のアーティストをプラットフォームから排除しようとするような人を私たちの取り組みに関わらせることはできない」。

NFTを単に投資目的のコレクティブルだとみなさないことも重要だ、とカーター氏は述べる。

「一獲千金を狙ってNFTの売買を始める人ばかりだが、それは間違っている。NFTの取引にはアーティストの人生とキャリアがかかっているのだ」とカーター氏はいう。

ローニンによると、大きな注目を集め始めたNFTだが、今はまだアーリーアダプション(初期採用)の段階であるため、まだNFTの売買を始めていない人も焦る必要はない、とのことだ。

ローニンは次のように説明する。「正直なところ、そのアーリーアダプション期でさえ本格的に始まったとは言えないと思う。安定した取引が全体的に行われるようになってはじめて、アーリーアダプション期を過ぎたと言える。今はまだアルファ版のような段階だ」。

ローニンがこのようにいうのは、これから5年後、あるいは10年後には、NFTの可能性が今とは比べものにならないほど広がっていると考えているからだ。例えば、ローニンは将来的にVR、AR、XRを超えるNFTエクスペリエンスを実現しようとしているアーティストに会ったことあるという。

「そのアーティストが私と組んで仕事をしようと言ってくれて、とてもワクワクしたよ。アドバイザーの役目を仰せつかった。彼女はこのテクノロジーで世界を変えることができると思う」とローニンはいう。

それこそまさに、ローニンがNFTに大きな魅力を感じている理由だ。このテクノロジーには、人々の生活を変え、世界を変える力がある、とローニンは語る。

「NFTは誰もが自由に使い始めることができ、大きな夢を描くことや、その夢を実現させる方法を見つけることを可能にするテクノロジーだと思う。AR、VR、モバイル、インターネット、何でもアリだ。あらゆるものを使って、空間、時間、生活の中に存在する壁を越えるNFTエクスペリエンスを創造できる。NFTはそれほど強力なテクノロジーだ。人々はNFTにもっと注目すべきだと思う」とローニンはいう。

今後はブロックチェーンをつなげて「NFTをビットコイン、イーサリアム、WAXFlowなどで実現できるようにすることがかなり重要になってくる」とローニンは予想している。

カーター氏は、The Wellの取り組みにより、インクルーシブな前例を確立して、NFTへの門戸を広げたいと考えている。また、カーター氏が、初めてでもスムーズにNFTを作り始められるようアーティストをサポートするMint Fund(ミント・ファンド)を立ち上げようとしてることも注目に値する。NFTを制作するには、Ethereumネットワークの混雑具合に応じて50ドル~250ドル(約5400円~2万7000円)の費用がかかるのだが、NFT初心者のアーティストの場合はMind Fundがこの費用を負担して、NFTという新しい世界に踏み込む手助けをする仕組みだ。

「すぐに行動を起こし、適切なタイプのコミュニティ主導型アプローチでMind Fundを実現しなければ、機を逃してしまう。そうなると、単に『うまくいかなかった』では済まない、悲惨な結果になってしまう。持つ者がさらに富を得る一方で持たざる者はさらに貧しくなるという悪循環に再び陥って抜け出せなくなる。現在の経済とシステムにおいて常に最善の方法で富を再分配する方法を見つけなければならない。それを見つけられなければ終わりだ。少なくとも私はそう考えている」とカーター氏は語る。

NFTを制作するにはかなりのエネルギーが必要とされるため、それが生態系に与える影響についても議論が行われている。カーター氏によると、この点については現在、2つの意見があるという。1つは、NFTの創出は生態系に大きなダメージを与えるという意見、もう1つは、生態系への悪影響はミンターの責任ではなく「ミントだけでなく(ブロックチェーンに関わる)他のさまざまな処理を行うためにすでに構築されたシステム上でミントする」ことについて、ミンターが責めを負うべきではない、という意見だ。

カーター氏は、前者の意見が正しいかもしれないとは思うが、現時点では単に批判が飛び交っているだけの状態だ、という。

「私たちミンターは、このような批判によって全体的に困惑させられて『これ以上は身動きが取れない』と考えてはならない」とカーター氏は述べる。

カーター氏はまた、作品をまとめて印刷、出荷することにもエネルギーが必要であると指摘する。

カーター氏は次のように説明する。「私がミントした作品1点を販売する場合と、例えば印刷版1000部を20ドル(約2200円)で販売するのにかかる場合の、エネルギーコストと排出量を比べる必要がある。後者の場合、1000部をそれぞれ別の場所に販売し、それらを1000件の異なる住所に配送することになる。これが正しい比較方法かどうかはわからない。現時点でこのような計算をすることにあまり興味はない」。

最終的にはこの分野における再生可能エネルギー源の利用量を増やし、より革新的なハードウェアを使用することが必要だとカーター氏は考えている。

「そのような革新的なハードウェアの開発、生産にも再生可能エネルギーを使う必要がある。つまり、フレームワーク全体としてカーボンネガティブになることを目指すべきだ。ミンティングだけでなくマイニングや製作に至るまで、可能な限りカーボンニュートラルまたはカーボンネガティブにする必要がある。これはサイクル全体として取り組むべき課題だ」とカーター氏は付け加えた。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTコラムアートcrypto art

画像クレジット:TechCrunch/Bryce Durbin

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Dragonfly)

イラスト作品をNFTアートとして発行できる「NFT Studio」が3月22日公開予定、クレジットカード決済対応

イラスト作品をNFTアートとして発行できる「NFT Studio」が3月22日リリース予定、クレジットカード決済も対応

ブロックチェーンゲーム「クリプトスペルズ」やNFTサービスの開発を手がけるCryptoGamesは3月18日、イラスト作品をNFTアートとしてブロックチェーン上に発行できる「NFT Studio」を3月22日にリリースする予定と発表した。NFTはクレジットカードで購入できる予定。

NFT Studioは、イラスト作品をNFTアートとして販売できるサービス。ブロックチェーンの特性を利用し、二次流通売買が行われた際売買手数料の一部がクリエイターに永続的に還元される。

NFTとは、唯一無二の「世界にひとつだけのデータ」の価値を生み出せる代替不可能なトークンを指す。代表的な規格としては、Ethereum(イーサリアム)のERC-721があり、「所有、譲渡、譲渡の委任」が定義されている。

イラスト作品をNFTアートとして発行できる「NFT Studio」が3月22日リリース予定、クレジットカード決済も対応

またNFT Studioでは、高騰するトランザクション手数料(ガス代)の解決策として、Matic Networkが提供するL2ソリューション「polygon」を採用。

polygonは、Ethereumによって保護された安全でスケーラブルな即時トランザクションを実行でき、ブロックチェーンサービス開発者のためのレイヤー2ソリューションとして急速に普及しているという。現在70以上のブロックチェーンアプリ(DApps)が構築されているそうだ。polygon上でNFTの発行・決済が可能なため二次流通取引の活性化が期待されているという。

イラスト作品をNFTアートとして発行できる「NFT Studio」が3月22日リリース予定、クレジットカード決済も対応

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タグ:アート(用語)ERC-721(用語)Ethereum(製品・サービス)NFT(用語)crypto art / クリプトアート(用語)CryptoGames(企業)日本(国・地域)

BeepleのNFT作品が75億円で落札、アート界に変革の兆し

米国時間3月11日、比較的無名のデジタルアーティストによるNFTデジタルアートのコラージュが、オークションで6900万ドル(約75億円)の値を付けた。「Everydays – The First 5000 Days(毎日 − 最初の5000日)」と題されたこの作品は、ネット上ではBeeple(ビープル)として知られるアーティストMike Winkelmann(マイク・ウィンケルマン)氏が数年間かけて毎日描いたスケッチを集めたものだ。250年以上の歴史を誇るオークションハウスChristie’s(クリスティーズ)がこれまで扱ってきた作品と違い、これは純粋なデジタル作品だ。

たしかにクレイジーな額だが、美術界の雲の上のパトロンたちが、これはブロックチェーンで生み出されたデジタルアートは受け入れ可能なメディアだと暗黙に認めたことを意味する。Beepleは、暗号資産愛好家たちがこの熱狂の波に乗り、暗号資産の新たな市場とブロックチェーンを利用した新たなメディアをテコ入れしようと目論んだおかげで、同じクラスの他のアーティストよりも注目され高評価を得たこともあるかもしれないが、それでもアートの世界にとって、これは歴史的な出来事だ。

クリスティーズのオークション記録によれば、今回の落札により、Beepleは世界に最も価値ある存命アーティスト3人の中に入ったという。この作品はオークションの最後の2時間で価格が爆発的に上昇したと、クリスティーズは説明している。入札が集中し、価格は1400万ドルほど(約15億2000万円)から6900万ドル(約75億円)に跳ね上がった。

Christie’s「メジャーなオークションハウスに初めてかけられたNFTベースの純粋なアート作品であるBeepleのThe First 5000 Daysは、69,346,250ドルで落札され、彼は最も価値ある存命アーティストのトップ3に入った。BeepleとMakersPlaceのおかげだ。詳細は後ほど」

Beepleは、数カ月前からNFTアートに取り組んでいる。美術界によってその価値が月まで押し上げられ、この技術がほぼ主流の美術関係者に受け入れられるようになる以前の2020年末にも、彼の作品は数百万ドル(数億円)を生み出している。NFT(非代替性トークン)とは、基本的にミント(創出)できる資産であり、デジタル商品の本当の所有者を示すことができる数学的に定義された契約のことをいう。ダウンロード、アップロード、共有が自由にできるデジタルファイルの希少性を明示する方法で悩んでいるデジタルアーティストにとって、NFTは、アートの世界のためのメディア革命のように感じられるだろう。

この業界で、美術的価値という側面からそうした作品が持つ意味の共通認識を模索してきた大勢の流行仕かけ人や利害関係者たちの苦々しい思いとは裏腹に、この10年間で、インターネットを利用しインターネットで広がるアートはストリートアートと融合し、伝統的な美術界に食い込んできた。今回の桁外れの取り引きでクリスティーズがNFTを受け入れたことは、最高に衝撃的な革命だったのかも知れない。その他のオークションハウスも、強い取り残され感から、これまで遠ざけてきたテクノロジーを慌てて採り入れるようになる可能性もある。

ブロックチェーンの影響力は、純粋なNFT作品の取り引きみならず、美術品のオークションハウスに長期にわたって影響を及ぼすようになるだろう。とりわけ、所有や移譲の証明のための信頼できるソリューションとして、オークションハウスがNFTを採り入れる可能性は非常に高い。美術界におけるNFTの未来は確実というにはほど遠いが、爆発的なスタートではある。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTアートクリプトアート

画像クレジット:Beeple

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(文:Lucas Matney、翻訳:金井哲夫)

アート領域でブロックチェーン活用に取り組むスタートバーンがアート媒体「Tokyo Art Beat」とタッグ

アート領域でブロックチェーン活用に取り組むスタートバーンがアートメディア「Tokyo Art Beat」とタッグ

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月31日~2月6日の情報から。

「アート×テクノロジー」を理念に掲げアート領域でのブロックチェーン活用に取り組むスタートバーンは2月5日、東京のアートシーンを伝えるメディア「Tokyo Art Beat」を運営するアートビートをグループに迎えることを発表した。両社は、さらなるアート業界の活性化を目的としたエコシステムの構築の推進を目指す。

2014年設立のスタートバーンは、アート作品の証明書や来歴の管理などアートの流通を支えるブロックチェーンインフラ「Startrail」(スタートレイル。旧アート・ブロックチェーン・ネットワーク。ABN)の構築をメインに事業を展開するスタートアップ。「アートの民主化」を目的としており、ブロックチェーン技術を用いることで、アート作品の取引や利用をより安全でスムーズに行える世界を目指している。

今回、スタートバーンがグループに迎えたアートメディア「Tokyo Art Beat」は、日本語と英語によるバイリンガルメディアとして、アートファンやアートにこれから興味を持つ人などに向けて、世界中の人々が東京のアートの魅力に触れるきっかけとなる情報を発信し続けている。NPO法人だったアートビートは、2020年10月1日より会社法人として活動している。

2004年創設のTokyo Art Beatは、月間平均500件におよぶ日英バイリンガルの展覧会情報と、最新アート情報を伝える記事を発信。同時に、YouTubeでの映像コンテンツ配信、人気イベントや最新ニュースほか展覧会検索サービス機能を搭載するiPhone向けアプリも展開している。また、ウェブのみならずリアルなアートイベント企画も行っているという。

Ethereum(イーサリアム)上で、美術品の所有情報などをまとめたERC-721準拠証明書を発行

スタートバーンは、2018年10月よりABNをテストネットで運用してきた。Ethereum(イーサリアム)上でスマートコントラクトを用いて構築されたABNは、ERC-721準拠証明書の発行とともに、美術品の所有情報をブロックチェーン上に書き込む。ブロックチェーンの耐改ざん性を生かして情報をセキュアに管理しつつ、また、流通による二次的な収益をアーティストへ一部還元する機能なども備えるなど、アート作品の所有権と来歴を電子的に管理できるとしている。

ABNは、SBIアートオークションが主催する美術品の競売会などで実際に利用されるなど1年超の実証期間を経て、2019年10月にABNの仕様や今後の開発計画を記したホワイトペーパーを公開。2020年3月には本格的稼働に入り、それに伴い名称をABNから現在のStartrailに改名。2020年8月にメインネットでの公開となった。

アート業界の活性化を目的としたエコシステムの構築

両社は協働で、さらなるアート業界の活性化を目的としたエコシステムの構築を推進していく。スタートバーンにとってアートビートは「アート業界のエコシステム構築を推し進める上で、美術館やギャラリーとのつながりを強めるハブとして、国内外で重要なシナジーを発揮していくことが想定される」と、スタートバーン代表取締役の施井泰平氏は コメントしている。

またアートビートは、スタートバーンとジョインすることで、新たなテクノロジーによって「ユーザーにとって利便性の高い機能や情報を提供し、地方や海外への展開を積極的に押し進めることが可能になります。これまでのファンの満足度を高め、さらなるファンを生み、ひいてはアート業界全体を活性化していくことでしょう」「単独では創り得なかったような価値を、お互いを高め合いながらであれば創っていけると強く確信しています」と、両社の関係性について述べている。

また、これを機にアートビートの株式会社化とスタートバーンへのグループ参加について、Tokyo Art Beat共同設立者の藤高晃右氏、ブランドディレクターの田原新司郎氏、スタートバーン代表取締役で美術家の施井泰平氏が、Tokyo Art Beatにて鼎談(ていだん)記事を公開。三者がTokyo Art Beatの今後について語っている。「アート×テクノロジー」について興味がある方は、一読するとよいだろう。

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タグ:アート(用語)アートビートERC-721Ethereum(製品・サービス)NFTスタートバーンブロックチェーン(用語)日本(国・地域)

現代アートEC運営のTRiCERAが1.15億円調達、80超の国・地域2400名以上のアーティストが参画

現代アートEC運営のTRiCERAが1.15億円調達、80超の国・地域のアーティストが参画し総出品数1万7000点以上

現代アートのノーボーダーEC「TRiCERA.NET」を運営するTRiCERA(トライセラ)は2月3日、第三者割当増資および融資による総額1億1500万円の資金調達を発表した。引受先は、エンジェル投資家の有安伸宏氏、複数の投資家。

調達した資金により、参画するアーティストと世界中のユーザーのマッチングをより促していくために、「TRiCERA.NET」におけるUI/UXの改善や、同社ブランドや認知向上にむけたアートフェア東京2021への参加など、プロモーションの強化を実施予定。

「創造力に国境なんてない」という理念の下、アートを好きな人たちのボーダーを取り払い、より快適で安全なアートの流通を支援できるプラットフォームの実現を目指す。

2018年11月設立のTRiCERAは、「創造力に国境なんてない」を理念に、日本やアジア諸国をはじめ、世界中のアーティストが自由形式にアート作品を発表・販売できるノーボーダーEC「TRiCERA.NET」を2019年3月より運営。

TRiCERA.NETは、80超の国・地域から、2400名を超えるアーティストが参画。総出品数1万7000点以上、流通総額は前期比の5倍、TRiCERA.NET上に登録されている作品の流通度合いも増加しているという。

現在のアート市場は約7兆円と推定されているものの、実際に作品販売によって生計を立てられているアーティストはごくわずかという。また、アーティスト個人で海外への販売などを試みても、販売やプロモーション、海外配送などが複雑であることから、販売自体を断念しているのが現状としている。

TRiCERAでは、TRiCERA.NETを通じてオンラインによる作品紹介の機会を提供することで、これまで海外マーケットにアクセスできなかったアーティストの認知、販売機会の拡大を支援していく。

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