香港のイベントプラットフォームEventXがシリーズBで約2.8億円調達、HTCとVRで協力も視野に

EventXのCEOであるSum Wong(サムウォン)氏(画像クレジット:EventX)

各国が新型コロナ規制を緩和するにつれ、人々の活動は対面式に戻りつつある。しかし、バーチャルイベント分野は、少なくともアジアにおいては、投資家を魅了し続けている。香港を拠点とするイベント管理プラットフォームEventXは、香港時間2月16日、シリーズBでさらに800万ドル(約9億2000万円)を調達し、このラウンドで確保した総額を1800万ドル(約20億8000万円)に引き上げた。

今回の資金調達は、Hillhouse Capital(高瓴資本)のアーリーステージ投資部門であるGL Ventures(高瓴創投)が主導した。これまでの投資家には、Hillhouse Capitalの元パートナーが設立した投資会社Gaocheng Capital(高成资本)や、近年VRに力を入れている台湾の大手電機メーカーHTCなどが含まれている。EventXは、ポストマネー評価額を公表していない。

今回のシリーズBは、EventXが設立されてから8年後に実施された。これは、中国本土のバーンレートが高いインターネット企業に比べて、異例の忍耐強い資金調達ペースだ。同社は、ユーザー登録のサポートから参加者のバーチャル名刺交換まで、現実のイベントを管理することからスタートした。2020年に新型コロナウイルスが出現したとき、デジタル化のチャンスだと考え、ウェビナーやバーチャル展示会などのライブイベントをサポートするHopin(ホピン)のような新サービスを開発した。現在では、主催者がイベントを通じて新たな顧客やパートナーを開拓するリード生成機能も備えている。

対面式イベントを封じるパンデミック規制のおかげで、Hopinは最近の記憶では最も急速に成長した企業の1つとなった。しかし先週、ロンドンを拠点とする同スタートアップは、ポストコロナにバーチャルイベントへの需要が鈍化すると判断し、スタッフの12%を解雇したと報じられた。パンデミックはEventXにも恩恵をもたらし、同社プラットフォームの2021年第4四半期のオンライン参加者数は120%増加した。また、ライブイベントが元通りになったとしても、同社は長年続いてきたオフラインビジネスを維持することができると考えています。

これまでに、同社はアジアを中心に100以上の都市でイベントの開催を支援し、そのプラットフォームには500万人以上の参加者が訪れている。同社の100人のチームは、香港、シンガポール、日本、韓国、台湾に分散している。

同社は今回の資金を、買収、製品開発、人材採用、アジア(特に台湾と東南アジア)での事業拡大に充てる予定だ。また、投資家であるHTCと協力して、イベント体験にVRソリューションを導入することも視野に入れている。

画像クレジット:

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

香港のイベントプラットフォームEventXがシリーズBで約2.8億円調達、HTCとVRで協力も視野に

EventXのCEOであるSum Wong(サムウォン)氏(画像クレジット:EventX)

各国が新型コロナ規制を緩和するにつれ、人々の活動は対面式に戻りつつある。しかし、バーチャルイベント分野は、少なくともアジアにおいては、投資家を魅了し続けている。香港を拠点とするイベント管理プラットフォームEventXは、香港時間2月16日、シリーズBでさらに800万ドル(約9億2000万円)を調達し、このラウンドで確保した総額を1800万ドル(約20億8000万円)に引き上げた。

今回の資金調達は、Hillhouse Capital(高瓴資本)のアーリーステージ投資部門であるGL Ventures(高瓴創投)が主導した。これまでの投資家には、Hillhouse Capitalの元パートナーが設立した投資会社Gaocheng Capital(高成资本)や、近年VRに力を入れている台湾の大手電機メーカーHTCなどが含まれている。EventXは、ポストマネー評価額を公表していない。

今回のシリーズBは、EventXが設立されてから8年後に実施された。これは、中国本土のバーンレートが高いインターネット企業に比べて、異例の忍耐強い資金調達ペースだ。同社は、ユーザー登録のサポートから参加者のバーチャル名刺交換まで、現実のイベントを管理することからスタートした。2020年に新型コロナウイルスが出現したとき、デジタル化のチャンスだと考え、ウェビナーやバーチャル展示会などのライブイベントをサポートするHopin(ホピン)のような新サービスを開発した。現在では、主催者がイベントを通じて新たな顧客やパートナーを開拓するリード生成機能も備えている。

対面式イベントを封じるパンデミック規制のおかげで、Hopinは最近の記憶では最も急速に成長した企業の1つとなった。しかし先週、ロンドンを拠点とする同スタートアップは、ポストコロナにバーチャルイベントへの需要が鈍化すると判断し、スタッフの12%を解雇したと報じられた。パンデミックはEventXにも恩恵をもたらし、同社プラットフォームの2021年第4四半期のオンライン参加者数は120%増加した。また、ライブイベントが元通りになったとしても、同社は長年続いてきたオフラインビジネスを維持することができると考えています。

これまでに、同社はアジアを中心に100以上の都市でイベントの開催を支援し、そのプラットフォームには500万人以上の参加者が訪れている。同社の100人のチームは、香港、シンガポール、日本、韓国、台湾に分散している。

同社は今回の資金を、買収、製品開発、人材採用、アジア(特に台湾と東南アジア)での事業拡大に充てる予定だ。また、投資家であるHTCと協力して、イベント体験にVRソリューションを導入することも視野に入れている。

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

イベントマーケティングは「チームスポーツ」、Vendeluxは最高の投資利益率のために企業を指導

イベントや会議、展示会などに参加し、多くのきっかけや機会を生み出すという点でうまくいった場合、それは良い経験だ。しかし、イベントがあまりうまくいかないとき、それは時間とお金の浪費という点でリスクになりえる。

Shutterstock(シャッタースクトック)の元幹部、Alex Reynolds(アレックス・レイノルズ)氏とStefan Deeran(ステファン・ディアラン)氏の2人は、APIとコンピュータビジョンの収益化に一緒に取り組み、そうしたいまいちなイベントにいくつか参加した経験から、どのイベントをリストのトップにもってくるか、会社のどのチームメンバーが行けば投資対効果を最大化できるかを判断する、より良い方法があるはずだと考えた。

「イベントマーケティングは、チーム全体で行う大規模なスポーツのようなもの、との結論に至りました」とレイノルズ氏はTechCrunchに語った。「経営陣、営業チーム、さまざまなマーケティングチーム、運営、調達が関わってきますが、そのコラボレーション、説明責任、可視性を支援するプラットフォームや記録システムがないのです」。

その結果、例えば、毎年開催される3万以上の展示会のうち、どの展示会に出展べきか、過去にその展示会でどれだけの収益を上げたかなど、企業が基本的な質問に答えるのは非常に難しい、と同氏は話す。Shutterstockのイベントチームとマーケティングチームの協力を得て、レイノルズ氏とディアラン氏は社内でプロセスを作成する方法を考え、チャネルからのROI(投資利益率)が劇的にアップするのを確認した。

そこで2人は、このアプローチが他のビジネスでも有効かどうかを検証することにした。2021年末にVendulux(ヴェンディラクス)の構築を開始し、すでにActiveCampaign、Gainsight、Gorgiasなど十数社の顧客が、講演者、スポンサー、参加者といったデータを含め、3万以上の対面およびバーチャルイベントの独自データベースにアクセスしている。

Vendeluxは、一般に公開されているソースからデータを取得し、特定のイベントにどのスポンサーや講演者が参加するかを表示することができる。また、ユーザーは、LinkedInの連絡先も含め、自分のCRM(顧客管理)から情報をアップロードすることもでき、とある企業が今後イベントに参加する予定があるか、自分のネットワークの誰かがイベントで講演するかどうかを逐一確認することができる。

1月に一般向けにサービスを開始したVendeluxは、前月比で2桁の売上増を記録している。同社は米国時間1月28日、Tenacity Venture Capitalがリードし、Earl Grey、Shafqat Islam、Avi Muchnikなどの戦略的エンジェル投資家が参加したシードラウンドで240万ドル(約2億7000万円)を調達したと発表した。

Vendeluxのエクスプローラータブ(画像クレジット:Vendelux)

今回の資金調達は、主に製品開発とチーム拡大に充てられる。このラウンドを完了する前、創業者たちは自己資金で運営していた。しかし、レイノルズ氏は、顧客からの問い合わせと機能の構築を両立させることが難しくなってきたと述べた。

「火に少し燃料を注ぐのに、そしてチームを強化するのに適した時期だと思ったのです」と同氏は付け加えた。「製品面では、統合の点でまだまだ追加したいことがたくさんあります」。

一方、レイノルズ氏とディアラン氏は、会社の成長に探索、実行、評価の3段階でアプローチしている。同社は現在、イベント・インテリジェンス分野の探索に注力しており、今回のシードラウンドで実行に移すことになる。

企業がどこに行き、誰を派遣すればよいかがわかったら、次のステップとして、創業者たちが検討しているのは、事前に十分なミーティングを予約し、発生しているデータを把握し、担当者のパフォーマンスやROIをリアルタイムで確認できるようにするすことだ。

「イベントマーケティング担当者は、大規模な計画を立て、適切な場所にすべての人を集めるという、マーケティングチームの縁の下の力持ちのような存在ですが、説明責任と可視性を促進するためのプラットフォームを持っていません」とレイノルズ氏は付け加えた。「当社はそのような記録システムとなり、企業がどこに向かうべきか、それが価値の観点から何を意味するのかについて、よりデータに基づいた決定を下すことをサポートしたいと考えています」。

画像クレジット:Vendelux / Vendelux founders Stefan Deeran and Alex Reynolds

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】パンデミックで再び変化したCESを振り返る、テックの進化に合わせて家電ショーの進化も必要だ

CES開催までの数週間、私たちは難しい決断を迫られた。年末年始の旅行シーズンに向けて、オミクロンの感染者が全米で急増したため、飛行機をキャンセルして戦略を練り直したのだ。そのため、年末の数週間は混乱した。しかし、CESが毎年第1週に開催され続ける限り、ハードウェアに関する記事を生業とする私たちは、今後どちらにしても年末年始にあまり休みを取ることはできないだろう。

確かに、数字を見てこの決断に至ったのは我々だけではない。Engadget、The Verge、PCMag、CNETなど、2022年はリスクに見合うリターンが得られないと判断した企業が続々と登場した。決して簡単な選択ではなかった。CESの仕事は大変で、ストレスが多く、時には悲惨なこともあるため、私たちもよく不満を漏らす。しかし、CESは長い間、その年のトレンドを直接見て、触ることができる貴重な機会なのだ。

それは、近い将来やってくるコンシューマー向けテクノロジーと空想的なSFが混在する魅力的なイベントで、エウレカパークのスクラムの中で業界のリーダーと会ったり、スタートアップと交流したりする機会でもある。風邪やインフルエンザにかかるかもしれないし、スーツケースいっぱいに洗濯物や業界グッズ(コミック業界の友人たちは、愛情を込めて「the con crud(コン・クラッド)」と呼んでいる)を詰め込んで持ち帰ることになるだろうが、それは真冬のコンベンションセンターに大勢の人が詰め込まれた結果だ。

もちろん、パンデミック時には、費用対効果の分析が大きく変わる。現在までに、米国内だけで5700万人の感染者が報告され、83万1000人が死亡している。そしてもちろん、後者の数字だけを見ていると、新型コロナウイルスが人体に与える永続的な影響などは考慮されていない。また、休暇を利用した旅行が感染者の総数に与える影響も、まだ十分に見えていないようだ。結局のところ、私たちにとって意味のある決断はただ1つ、CESをリモートで取材し、再び取材することだったのだ。

CESに参加することを選んだ人たちを恨むつもりはない(確かに、比較的参加者の少ない展示会について記録することが、どれほど魅力的なのかを考えていた)。 パンデミックも3年目になり、このウイルスが何であるか、どのように広がるかについて、前回CESが直接開催された2020年1月よりもはるかによくわかるようになった。今はワクチンやブースターもある。ショーの運営団体であるCTAは、義務づけやマスクのルールなどを規定した。しかし、私たちだけで決断したわけではなかった。

参加を見送ったメディアに加え、多くの大手企業が訴訟に参加した。その不完全なリストには、GM(ゼネラルモーターズ)、Google(グーグル)、Lenovo(レノボ)、Intel(インテル)、T-Mobile(Tモバイル)、AT&T、Meta(メタ)、Twitter(ツイッター)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Peloton(ペロトン)、TikTok(ティックトック)、Mercedes(メルセデス)、BMW、Velodyne(ベロダイン)、IBM、Proctor & Gamble(プロクター・アンド・ギャンブル)、OnePlus(ワンプラス)、Pinterest(ピンタレスト)などが含まれている。数週間にわたり、CESから発信される主要なニュースは、有名企業の辞退についてだった。テクノロジーカンファレンスの凱旋となるはずだったCTAが、このような報道を期待していたわけではないことは、ほぼ明らかだろう。

CTAの会長であるGary Shapiro(ゲーリー・シャピロ)氏は、クリスマスの日にLas Vegas Review-Journal紙に「CESはラスベガスで継続されるだろうし、継続しなければならない」という見出しで、激しい論説を寄稿した。もちろん、シャピロ氏のいう「go on(継続)」とは、直接会うという意味である。イノベーションは我々の未来に必要であり、そのイノベーションを促進するために対面式のCESが必要である、という一線を引いたのである。シャピロ氏は、CESの辞退者を「事件や有名企業のレンズを通してしか語れないマスコミや評論家の太鼓持ち」と一蹴し、直接参加しないことを選んだ人たちに同情を示した後、対面式のイベントを中止する考えを「恐怖の中で生きること」と同等だと表現した。

CTAのような組織はコンシューマー向けテクノロジーにとって重要であり、CESのようなショーはその存続のために必要である、という現実的な議論も可能だったはずだ。しかし、この論説は、CESのようなイベントに対して、ありえないほど高いハードルを設定した。バーチャルカンファレンス全盛の時代にCESは必要なのか、という疑問はすでにあっただろうし、このような論説で語られるような、人生を変えるような期待を抱かせることができなかったことは、その疑問をさらに深めるにすぎない。

実は、テクノロジーというものは、ほとんどが反復的なものだ。CESのようなイベントでは、少なくとも理論上、市場に出ることを前提とした製品に焦点が当てられるので、なおさらそうだ。つまり、毎年目にする製品のほとんどは、少し速くなったプロセッサーや、少し解像度が高くなったスクリーンなのだ。私は長い間この業界を取材してきたが、毎年革命に期待していると、失望する人生を送ることになると断言できる。

これは、私たち全員が本質的に認識していることだが、多くの流行語(「メタバース」という言葉を目にするたびに、会場のホール1から出られるかどうか試してみて欲しい)やHyundai(現代自動車)のような空想的なSFのプレゼンテーションによって見えなくなってしまっているのだ。最終日に向けて、私は午前中、このショーで「人生を変える」と思えるような何かを最後に見たのはいつだっただろうと考えていた。しかし、今のところ、そのようなものは見つかっていない。

結局のところ、CESが始まると同時に、出展を見合わせた企業の話題が実際のCESのニュースより多くなるのではという懸念は払拭された。CESを取材するメディアは、多くの場合、遠隔地からではあるが、CESを取材した。これまで多くのCESに直接参加してきた身としては不思議な体験だったが、2021年のオールバーチャルショーで予習していたことでもある。

しかし、その結果はやはり賛否両論なものだった。ありがたいことに、オンライン版のショーは、2021年よりも混乱が少なかった。プレスカンファレンスは、プラットフォーム上でより見やすくなった。しかし「真の発見」という点ではまだ問題があり、それがオンラインに移行したときに結局不足している点だ。突然、エウレカパークでおもしろいスタートアップに出くわす機会が、底なしの受信トレイに投げ込まれるただのメールへと姿を変えてしまうのだ。

これは、私がCTAに同意する点だ。私たちが対面式のイベントから完全に離れた場合、プラットフォームを持たないスタートアップ企業が最終的に最も多くを失うことになってしまうのだ。そのため、私も、直接会って話をする必要性を感じている人たちに確実に共感することができる。それに、デポジット代やホテル代、飛行機代は、GMやGoogleよりも、新しいスタートアップ企業の収益に大きな影響を与えるという事実もある。

その数週間の間に、私は、スタートアップ企業から、彼らもまた出席しないことを選択したというメールを何通も受け取った。また、参加する企業からも発表を延期するというメッセージが届いた。製品が発表されても、それをカバーする人がいなければ、それは本当に発表と言えるのだろうか?1年で最も忙しい週に製品を発表することに疑問を持つ人は多く、その疑問は、それをカバーする人がいないとなると、さらに顕著になる。このようなことから、従来はCES後の数週間が不作であったのが、2022年はそうでもなくなりそうな気がしている。

CESの真実は、常に進化しているということだ。間近で見るのは難しいが、一歩下がって見ると、そのマクロなトレンドがはっきりと浮かび上がってくる。CES 2012の最大のニュースを振り返ることは、そうしたトレンドを追う上で興味深い訓練となった。中でも、モバイル中心の展示会から脱却し、自動車関連の展示が大きな比重を占めるようになったことが大きな特徴だ。今やショーのかなりの部分を占めている。

CTAの細則には「世界的なテクノロジーイベントの正式名称は『CES』です。このイベントを指すのに、『Consumer Electronics Show』や『International CES』は使わないでください」と記されている。このように、Consumer Electronics AssociationからConsumer Technology Associationへの変更も、このショーがそれまでの枠を超えて成長しようとしていることを明確に示している。そして、正直なところ、その試みは成功していたと言っていい。

13年前、私は「CES 2009、来場者数22%減」という記事を書いた(この記事は長くなってしまったが)。その2012年の回顧録で述べたように、その年のショーは最高の参加者数だった。この成長はその後数年間続き、2019年にピークを迎えることになる。

以前にもCESは死んだと宣言した人がいる。実際、彼らは何度もそう言ってきた。しかし、CESを成長させ続けるということは、進化し続けるということであり、ショーのあり方に関する期待の変化に対応することでもあるのだ。2022年、私は友人や同僚に会うことができなかった。エウレカパークのホールを歩いたり、コンベンションセンターの向かいにある、金曜と土曜に女優のPia Zadora(ピア・ザドラ)がショーを行う暗い小さなイタリアンレストランで食事をしたり(ラスベガスは実に不思議なところだ)することもできなかった。

しかし、今週は毎晩10時(東部標準時)には家でベッドに入れているのも嫌じゃなかった。また、2022年のショーに直接参加しなかったことで、私たちや他のサイトの取材が必ずしもうまくいかなかったと言えるかどうかもわからない。これまで述べてきたように、私のCESの楽しみ方は他の参加者とは違う。もし、このパンデミックが終息したら、またいつか行ってみたいと思っている。しかし、1月初旬の寒い冬の日に、ミラージュでiPhoneケースを見ている自分がいないとしても、それについてもそれほど怒ることはきっとないだろう。

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Beyond Next Venturesがピッチイベント「BRAVE2021 DEMO DAY」開催、最優秀賞はfcuro・優秀賞をTOWING獲得

Beyond Next Venturesがピッチイベント「BRAVE2021 DEMO DAY」開催、最優秀賞はfcuro・優秀賞をTOWING獲得

シード、アーリー期のディープテック・スタートアップへの出資や支援を行う独立系ベンチャーキャピタル(VC)「Beyond Next Venturesは12月24日、ピッチイベント「BRAVE2021 DEMO DAY」を12月22日に開催し、最優秀賞・優秀賞・準優秀賞を獲得したスタートアップ企業を発表した。

Beyond Next Venturesは、ディープテック特化型アクセラレーションプログラム「BRAVE」を2016年から運営しており、その集大成としてデモデイを実施している。2021年のBRAVEには130以上の応募があり、その中から選抜された医療・農業・材料領域など起業前後のディープテック・スタートアップ8チームが賞金・投資機会の獲得を目指しピッチを実施した。また今回のBRAVE2021 DEMO DAYは、初めて一般公開(リアル会場とライブ配信のハイブリッド)の形で開催しており、約300名が参加したという。過去最大規模となったそうだ。

登壇スタートアップ8チーム(ピッチ順)

BRAVE2021 DEMO DAYの最優秀賞に輝いたのは、救急全身CT診断AI技術により「見逃し」と「時間」の問題に挑む「fcuro」で、賞金200万円を獲得した。優秀賞(賞金100万円)は、人工土壌「高機能ソイル」を利用した持続可能かつ高効率な栽培システムで宇宙農業実現と地球農業発展を目指す「TOWING」(トーイング)が獲得。「せん妄」の発症予測・予防向けAI医療機器を開発する「DELISPECT」(創業前)が準優秀賞および賞金50万円を獲得した。

このほかパートナー賞では、不妊治療はじめ女性を医療面から支えるAIサービスの提供を目指す「vivola」、野菜・果物の不可触部分の残渣を由来とするオーガニックポリマー開発の「EF Polymer」も選ばれている。

またBRAVE2021 DEMO DAYでは、パネルディスカッション「VC パートナーに聞く、ディープテックスタートアップの最前線」も実施され、インキュベイトファンドの村田祐介氏(代表パートナー)、東京大学協創プラットフォーム(東大 IPC)の水本尚宏氏(パートナー)、ファストトラックイニシアティブ(FTI)の安西智宏氏(代表パートナー)がゲストとして登壇した。アカデミアと社会をつなぐ学生団体によるピッチコンテストも開催された。

最優秀賞:fcuro

Beyond Next Venturesがピッチイベント「BRAVE2021 DEMO DAY」開催、最優秀賞はfcuro・優秀賞をTOWING獲得fcuroは、救急現場における「見逃し」と「時間」の問題を解決するための救急全身CT診断AI技術を開発している。

医療現場には、生理データ・血液データ・CT画像データなど、数値化および可視化された情報が存在するものの、迅速性が求められる救命現場ではこれら情報を長時間かけて把握する余裕はないという。実際に膨大なデータに埋もれて重要所見にたどり着けず、救命できないことがあるという。

その解決を図るものとしてfcuroは、AIをはじめ技術の力で情報を適切に整理することで、診断の遅れや見落としが原因で起きる死をなくし、いつどこの病院に運ばれても命が助かる未来を作るとしている。その1歩目として、現場データの中で解釈に最も時間がかかり、見逃しが多いCT画像について、効率的な診断を実現するためのAIおよび表示技術の開発を進めている。Beyond Next Venturesがピッチイベント「BRAVE2021 DEMO DAY」開催、最優秀賞はfcuro・優秀賞をTOWING獲得

優秀賞:TOWING

Beyond Next Venturesがピッチイベント「BRAVE2021 DEMO DAY」開催、最優秀賞はfcuro・優秀賞をTOWING獲得TOWING(トーイング)は、人工土壌「高機能ソイル」を活用した次世代の作物栽培システム「宙農」(そらのう)を開発・販売する名古屋大学発スタートアップ。この人工土壌の技術をベースにし、地球上における循環型農業の発展と宇宙農業の実現を目指している。高機能ソイルとは、植物の炭等の多孔体に微生物を付加し、有機質肥料を混ぜ合わせて適切な状態で管理してつくられた人工土壌という。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が開発した技術に基づき、TOWINGが栽培システムとして実用化した。

準優秀賞:DELISPECT(創業前)

Beyond Next Venturesがピッチイベント「BRAVE2021 DEMO DAY」開催、最優秀賞はfcuro・優秀賞をTOWING獲得DELISPECTは、超高齢社会の医療課題の解決を目指し、「せん妄」の発症予測と予防のためのAI医療機器を開発する創業前チーム。

パートナー賞

今回複数のパートナー賞が用意されており、以下スタートアップが受賞した。

  • 大正製薬賞:vivola
  • アストラゼネカ賞:DELISPECT
  • JSR賞:fcuro
  • 帝人ファーマ賞:DELISPECT
  • カゴメ賞:EF Polymer
  • J-オイルミルズ賞:TOWING
  • LINK-J(ライフサイエンス賞):DELISPECT、fcuro、vivo

Go Discoは地元のリアルイベントをキュレーションし、サービスで人と人とのリアルな共感関係を作るアプリ

Go Discoアプリ

Foursquareの全盛期はとっくに過ぎたが、自分の地元のクールな催しを見つけるという問題は健在だ。口コミとFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)を組み合わせるという、面倒な方法に頼っている人も多いようだが、実際には、アプリを離れて世界に出ていくことを助けてくれる良いアプリは少ない。Go Discoはここに注目した。

Go Discoの共同創業者であるSean Conrad(ショーン・コンラッド)氏は次のように語る。「簡単にいうとこれは、あなたをオフラインにして、日頃気にかけている人たちと一緒に過ごすためのアプリなんだ」。つまりGo Discoはイベントレコメンデーションエンジンだが、コンラッド氏によるとこのアプリは、エンゲージメントを注入してユーザーをつなぎとめるソーシャルネットワークに対する解毒剤でもある。

「テクノロジーは、医療やロジスティクスや運輸・交通に利用されて人の命を救い世界を効率化したけど、悪い面もある。それは、人間の社会生活に市場原理を強要したことだ。ポケットの中の、人を元気にする魔法のようなデバイスが、我々の社会生活にとって悪夢になっている」とコンラッド氏はいう。

コンラッド氏は以前、消費者アプリのデベロッパーで、もう1人の共同創業者であるJesse Berns(ジェシー・バーンズ)氏はデータサイエンティストだ。iOSバージョンは米国時間12月17日にローンチしたが、Androidは2022年半ばになる。ローンチ時のGo Discoは、ロサンゼルスのクールなイベントを紹介するだけだが、2022年内にはニューヨークとワシントンD.C.、サンフランシスコ、マイアミ、ポートランド、そしてオースチンも対象となる。

 

Go Discoは、ローカルイベントの検索や分類を自動化システムと人力を併用して行っている。人の編集チームは、他では見つからない特定のコミュニティに結びついたアンダーグラウンドな催しを見つける。

同社のイベント集積技術は、公開されているイベントのリストを特定の用語でふるいにかけ、それを65種類の関心のリストに割り振る。アプリにサインアップすると、まずそのリストから関心を選ぶ。ロッククライミングもあれば、書籍もあり、LGBTQのコミュニティや活動もある。

コンラッド氏は、Go Discoのレコメンデーションで人間的な感触の重要性を強調している。それによりレコメンデーションが格差や差別に陥ることなく、思いやり豊かなものになる。またそれは、そこから選ぶのが大変な何でもありのイベントのカレンダーではなく、個人とコミュニティに配慮し、意思決定の面倒をユーザーに押し付けない。

Go Discoにとっては、「少ない」ことが「良い」ことだ。ユーザーが住んでいる都市で行われるすべてのイベントを載せるのではなく、そのユーザーにとって楽しめると思われるイベントだけを選別する。コンラッド氏は「何もかも載せる必要はない。3つから5つの本当にニッチなイベントを紹介すればいい。完全なアプリとは、ユーザーがそれを開いたら必要なものだけがそこにある、それを見たら終わりというアプリだ。何かを見つけるのに時間がかかるのはダメなことです」。

アプリの最初のバージョンは米国時間12月17日にローンチするが、今後はユーザー体験を深めるためにソーシャルなレイヤーを追加する計画だ。2022年3月頃に、Go Discoは今後のイベントについてユーザー同士がコミュニケートし、リプライがスレッドになるような機能を加える。それまでは、一般的なシェアとカレンダー的な機能だけとなる。

ソーシャルのレイターを加えるとGo Discoは、友だちと日程などを調整するためにテキストのスレッドを探しまくるという困難からユーザーを解放し、特定のイベントに群がる人たちを、そのイベントの周りに集めるようになる。そして会話がイベント固有になれば、ユーザーは単純にその会話に参加すればよく、1つの巨大なテキストの塊の中から特定のスレッドを苦労して探さなくてもよくなる。

コンラッド氏によると「私にはロッククライミング好きの友だちもいるし、グルメな友だちもいる。そして音楽の友だちもいる。一部は重複しているが、そうでない人たちもいる。そえを3つの極端にノイズの多いテキストのスレッドにはしたくない。それぞれの友だちグループとエンゲージして、接続した状態を維持したい。それと同時に、私のライブの音楽友だちが参加するようなライブすべてに行きたいわけでもない」。

Go Discoはまだ初期の段階だが、収益化については一定の考えを持っている。このアプリはユーザーデータは販売しないが、チケットを売って手数料を取ったり、特定のユーザーに有料の機能を提供することは行うだろう。コンラッド氏が強調するのは、イベントの宣伝を載せるような場合も、思いやりを忘れないことだ。なぜなら、このプロジェクトの全体が思いやりのある選択と編集方針をベースにしているからだ。健全なS/N比を維持することも重要だ。また、多くの人たちのリアルでの結びつきを尊重し、彼らをより幸福にしたいと考えている。

「子どもたちが、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)が作ったフェイクの世界で成長することを想像すると、とても悲しくて怖ろしい。その世界は、私たちをお互いに戦わせるために作った奇妙なアルゴリズムの増幅にすぎない。私たちが何度も考えたのは、他者への共感が今のこの状態を緩和できるということです。そして、人が一緒にいることが共感を強制的に作り出す関数だと考えています」。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

LAオートショー2021の高揚感としらけムード

LAオートショーは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下で初めて戻ってきた室内自動車ショーだ。ニュースに乏しく、いつも以上にベーパーウェアが多い中、それでも、いくつかのクルマやテクノロジーや企業が、イベントに先立って行われた2日間のプレスデーで目立っていた。

以下に、2021年のロサンゼルスで良くも悪くもTechCrunchの目に止まったクルマとテーマを紹介する。

グリーン&クリーンへと変わるストーリー

画像クレジット:Kirsten Korosec

米国時間11月17日正午前に行われた少数の主要なニュースカンファレンスでは、持続可能性と気候変動が中心テーマだった。そこには企業の偽善的環境配慮と実際の行動が入り混じっていた。

Hyundai(ヒョンデ)とKia(キア)は、環境の認識がいかに大切かを訴える短編動画を流したあと、全電動コンセプトカーとプラグインハイブリッド車を披露した。Fisker(フィスカー)は海洋保護について話した。長年グリーン化に取り組み、国立公園から動物保護まであらゆる活動の支援に多額の資金を投入してきたSubaru(スバル)も、環境保護の支援を継続していくことを強調した。

これは過去においても珍しくなかったことだが、自動車業界全体が二酸化炭素排出量低下に重い腰を上げ、持続可能な生産と調達に革新を起こし、有効な寿命を終えた部品や車両リサイクルと再利用の方法を探求していることは銘記しておくべきだろう。人類の気候変動への影響を減せる時間はあと10年しかないという恐怖の警告は、ショーで行われた複数のプレス会見で言及されていた。

ハリウッドモード

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年特に目立った発表の1つが、Fisker Ocean(フィスカー・オーシャン)の量産間近なバージョンだ。全電動SUVが備える17.1インチ巨大スクリーンは、180度回転可能で、同社が「ハリウッドモード」と呼ぶ横位置のランドスケープモードから縦位置のポートレートモードへ回転できる。

横位置モードでは、Oceanが駐車あるいは充電中に、ゲームをプレイしたりビデオを見たりできる。Fiskerは、このスクリーン回転技術の特許を取得していると述べた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

電化、電化、電化

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショー全体のテーマは、(驚くに当たらないが)あらゆるものの電化だ。展示場にはICE(内燃エンジン)駆動の車両が数多く見られたものの、バッテリー電力の世界にいくつもビッグニュースがやってきた。

Nissan(日産)の全電動SUV、Ariya(アリヤ)、Toyota(トヨタ)bz4xと双子車Subaru Solterra(ソルテラ)から、TechCrunchのお気に入りである全電動Porsche(ポルシェ)Sport Turismo(スポーツ・ツーリズモ)セダンの最新モデルとマジックルーフ付きワゴンまで話題は尽きない。

健康被害からあなたを守るテクノロジー

画像クレジット:Kirsten Korosec

現行パンデミックが3年目を迎える中、自動車メーカーは利用者を病気から守る方法を考え始めている。HyundaiがLAオートショーで披露した SUVコンセプトカーSEVEN は、垂直空気循環、抗菌性の銅、紫外線殺菌装置などの機能を提供している。

電動化レストモッドがやってくる

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショーで目についたトレンドの1つが、何台かの古い車体に電動パワートレインを積んだレストモッド(レジストレーション&モディフィケーション)モデルだ。内燃エンジンのような直感的体験を与えることはないかもしれないが、クラシックカーの新しい楽しみ方を提供するものだ。

自動車製造のスタートアップ、Cobera(コベラ)が展示していたC300は、懐かしいShelby Cobraとよく似た外観だ。しかし、ボンネットの中にはV8エンジンに代わってC300を時速0〜62マイル(0〜約99.8km)まで2.7秒で加速すると同社がいう全電動パワートレインが入っている。Cobera C300は、ハンガリーの乗用車とキャンピングカーの製造に特化した会社Composite-Projects(コンポジット・プロジェクト)が設計・製造した。車両のスイッチを入れると、合成されたサウンドが出て、昔のV8に少しだけ似た音が聞こえる。

Electra Meccanica(エレクトラ・メカニカ)は、LAオートショーで三輪自動車Solo(ソロ)(詳しくは下で解説)も発表している会社だが、もう1台、Porsche 356 Speedsterに似た電動車、eRoadsterを披露した。エアコンディショニング、パワーウィンドウ&ロック、最新インフォテイメントシステムなどを備える。

画像クレジット:Kirsten Korosec

新たなパワートレインを搭載したレストモッドを披露したのは比較的無名で小さなメーカーだけではない。Ford(フォード)は11月初旬のSEMAショーに登場した電動化したF-100を持ちこんだ。1978 F-100 Ford Eluminator(フォード・エルミネーター)はFordの電動モーター、E-crate(イークレート)を備えたレストモッド機能で、ユーザーはこれを購入して自分の車両に取りつけられる。

F-100は前輪と後輪に1台ずつモーターを備え、最高出力480馬力、最大トルク634lb-ft(860Nm)を誇る。室内には新型インフォテイメントシステムのスクリーンとデジタル・ダッシュボードがある。

画像クレジット:Kirsten Korosec

三輪車

画像クレジット:Kirsten Korosec

例年、会場には少なくとも数台の三輪自動車が登場するが、2021年はいつもより多かった。Biliti Electric(ビリティ・エレクトリック)が持ってきた電動&ソーラー駆動トゥクトゥクは、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)が世界の人口密集都市のラストワンマイル配達に使える、と同社は言っている。

同社のGMW Taskmanは、すでにヨーロッパ、アジアの各所で使われていて、これまでに1200万個の荷物を配達し、延べ2000万マイル(3200万km)を走ったとファンダーが言っていた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Electra Meccanica のもう1台、Soloは同社が2016年のこのショーでも披露したsharyou

で、プレスデーにテスト乗車を提供していた。同社によるとSoloは1回の充電で最長100マイル(約161 km)走行可能で、最大出力82馬力、最大トルク140lb-ft(約190N-m)、最高速度は80mph(約128 km/h)。定員1名で荷物スペースを備え、近距離の移動や都市圏での通勤のために作られている。Soloの価格は1万8500ドル(約211万円)で、アリゾナ州メサで製造されている。

Sondors(ソンダーズ)の三輪電気自動車は、3人乗りで航行可能距離は約100マイル(約160km)と同社はいう。このクルマは、100万ドル(約1億1400万円)以上を集めて成功したクラウドファンディングの後に開発されたもので、33 kWhのバッテリーパックを備え、最大出力170馬力、最大トルク323 lb-ft(約438N-m)を発揮する。

Imperium (インペリウム)も三輪電気自動車、Sagitta(サギッタ)を披露した。ショーに登場した三輪乗用車の中では最大で、4人まで乗ることができるスペースをもつ。Sagittaは車両のスペックを発表していないが、2022年中頃から予約を開始すると同社は述べた。

バービー

画像クレジット:Abigail Bassett

ことしのLAオートはには、バービーまで登場した。Mattel(マテル)はBarbie Exra(バービー・エクストラ)カーの実物大バージョンを公開した。2021年式Fiat(フィアット)500のシャシーに載せたファイバーグラスのボディーはキラキラの白い塗装で飾られ、ウィング式ドアと後部にはペット用プールもある。

ソーラーパワー

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のショーには、興味深いソーラー充電オプションを備えたクルマがいくつかあった。中国のエネルギー会社、SPI参加のPhoenix Motor Inc.(フェニックス・モーター)が発表したピックアップトラック、EF1-Tの収納可能なソーラーピックアップベッカバーは、最大25〜35マイル(約40〜56km)の走行距離を追加できると同社はいう。EF1-TおよびバンバージョンのEF1-Vは、いずれも巨大な車両で、明らかにまだプロトタイプであり、機能や利用形態について顧客の意見を聞いているところだと会社は述べた。

大きな虫のような外観のEF1-Tは、1回の充電で380〜450マイル(約612〜724 km)走行可能で、2025年の発売に向けて予約を受け付けているという。ずいぶんと遠い話だ。

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Nob Takahashi / facebook

内閣府「ワクチン・検査パッケージ」対応、playgroundが有観客イベントの感染対策をワンストップで支援するサービス提供

総合エンターテック企業のplaygroundは11月4日、有観客イベント運営における感染対策を支援する「イベント入場業務の感染拡大対策、ワンストップアウトソーシングサービス」の提供開始を発表した。

内閣府の「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証事業および経済産業省のコロナ禍のイベント開催様式の実証事業で採択された、プロバレーボールチーム「ヴォレアス北海道」との実証実験では、全来場者にワクチン・検査履歴の登録を義務付け、「ワクチン・検査パッケージ」を基に合計1000名が入場したという。

なおこの「ワクチン・検査パッケージ」とは、「ワクチン接種歴およびPCRなどの検査結果を基に、個⼈が他者に⼆次感染させるリスクが低いことを⽰す仕組み」を指す(内閣官房「ワクチン接種が進む中における日常生活の回復に向けた特設サイト」)。

playgroundの支援サービスは、「入場管理面」「イベント運営面」の双方から、新型コロナウイルスの感染対策を一気通貫でサポートするというもの。興行主側の専門知識やノウハウの不足、運営リソースの不足などの課題をクリアでき、様々なイベントの実施ハードルを下げてWith/Afterコロナ時代における有観客イベントの実現が可能になるという。

入場管理においては、playground独自の入場認証機能「MOALA QR」を搭載した電子チケット発券サービス「MOALA Ticket」を利用。今回コロナ対策として、同伴者を含めた全来場者に対する来場者情報と「ワクチン・検査パッケージ」の登録を事前に行える機能を搭載したという。

まずイベント来場者は、playground提携のチケット販売各社でチケットを購入後、ウェブブラウザーで表示された電子チケット券面上において、本人確認用の顔写真・来場者情報・ワクチン接種履歴(または検査履歴)の3点を登録する。来場者は、この際発行された入場用QRコードを、スマートフォン(または紙印刷)でイベント会場に持参することになる。

イベント当日は、入場認証端末に顔とQRコードをかざす動作だけで、チケット確認・本人認証・発熱検知および「ワクチン・検査パッケージ」確認を1.5秒以内に終えられる。

興行主は全入場管理を1つの管理画面上で確認できるため、コロナ対策に向けた新たな人員拡充や設備追加、管理業務が不要となることに加え、蓄積した来場者データに基づくイベント後のアフターフォローやマーケティング活動に活かせるという。

またplaygroundによると、イベント運営支援の面において、感染対策における運営設計から、官公庁・医療機関などの関係各所とのコミュニケーション代行、抗原検査キットといった各種物品の仕入れ支援までワンストップでサポートする。playgroundは、専門業者として情報収集と対策を実施しており、日々変化する感染情報や政府方針、世論に対してタイムリーで最適な対応が可能であるとのこと。こうした部分をアウトソーシングすることで、イベント運営者はイベント本来の価値向上に集中できる環境を構築できるとしている。

2017年設立のplaygroundは、スポーツ・エンターテインメント業界に特化した技術開発、コンサルティング、SI事業を行なう総合エンターテック企業。エンタメのデジタル化支援プラットフォーム「MOALA」の提供、コンサルティング・SIサービスの提供などを事業としている。

香港のスタートアップエコシステム強化を目指すFoundersHKが最初のデモデーを開催

2年以上におよぶ政治的混乱、および新型コロナウイルスのパンデミックを乗り越えた香港で、FoundersHKは、香港のスタートアップコミュニティを強化するために設立された。イベントおよびメンタリングネットワークとして開始されたFoundersHKは、先日FoundersHK Accelerateの最初のデモデー(香港本拠のスタートアップの資金調達と世界市場への進出を支援するための同社のエクイティフリーのアクセラレータープログラム)を開催した。

さまざまな分野を代表する11のスタートアップ(ペットケア、フィンテック、保険、教育など)がメンターや投資家など約500人の聴衆を相手にプレゼンテーションを行った。これらのスタートアップは、150の応募チームの中からFoundersHKのクリエーターが選択したものだ。FoundersHKのクリエーターには、BEA Systems(2008年に85億ドルでOracleに売却)の共同創業者Alfred Chuang(アルフレッド・チュアン)氏、500 Startupsの前ジェネラルパートナーEdith Yeung(イーディス・ヤン)氏、Homecourt(ホームコート)の共同創業者Philip Lam(フィリップ・ラム)氏などがいる。

FounderHKの目的の1つは、香港のスタートアップエコシステムに希望を取り戻すことだ。その意味をヤン氏に尋ねると、次のような返答が返ってきた。「2019年、私が香港の空港に到着したときには、数千人の若者が抗議のデモを行っていました。私は悲しみに襲われ、この混乱で自分が感じたことを忘れないように写真まで撮りました。香港で生まれ育った人間として、何もせずにただ傍観することはできませんでした。そして、起業家精神を結集して、創業者たちがスタートアップを立ち上げるのをお手伝いするのが、今の香港に貢献する最善の方法だと感じました。そうしてFounderHKが生まれたのです」。

FounderHKの目的の1つは、スタートアップがより多くの資金を調達できるようにすることだ。「香港で活発に活動している多くの投資家たちは香港の地元の会社には投資していません。本当に皮肉な話ですが、香港で生まれたすべてのユニコーン企業は海外から資金を調達していました」とヤン氏はいう。

FoundersHKはスタートアップとメンターとのつながりを形成する。メンターの多くは香港出身で、Facebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)、LinkedIn、Apple(アップル)、Grab(グラブ)などの大手ベンチャー企業やテック企業に在籍している。FoundersHKは、2019年に最初にイベントを開催したが、パンデミックが発生した後は、教育イベントをオンラインで主催していた。

FoundersHKがエクイティフリーである理由の1つは、まずは香港のスタートアップカルチャーを変えることを重視したいからだ。「香港は利益第一主義の場所なので、FoundersHKが利益優先ではないと聞くと、多くの人が驚きます」とチュアン氏はいう。「私たちが何はさておき修正したいのは人と人のネットワーキングの問題です。人は他の人から学習しますが、香港のスタートアップコミュニティでは人のつながりが薄いため、学習が非常に困難です」。

チュアン氏によると、香港の創業者たちは最初自分がやろうとしていることを話すのを嫌うところがあるものの、ビジネスチャンスを活かそうとする意欲は強いという。「最初の1人が何が最大の問題なのかを話すと、すべての人がそうするようになります。皆が共通の問題を抱えていると認識するからです。そうして多くのチームがつながるようになり、カルチャーに変化が生じます」。

チュアン氏によると、数百のスタートアップがFoundersHKのメンターシッププログラムを終了したという。FoundersHKがこのアクセラレータープログラムを始めた理由の1つは、多くのチームが投資家にアプローチする前にサポートを求めていたからだ。500 Startupsの前ベンチャーパートナーBonnie Cheng(ボニー・チェン)氏はFoundersHKに引き抜かれ、FoundersHK Accelerateの運営を任された。このプログラムでは、参加スタートアップが毎週FounderHKのリーダーたちとチェックインミーティングを開く。また、Sequoia Capital(セコイアキャピタル)、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)、Alibaba(アリババ)、Monks Hill(モンクスヒル)、Matrix Partners(マトリックスパートナーズ)といった企業の社員で構成されるメンターシップネットワークも用意されている。

「香港のスタートアップコミュニティを支援し、どのようなスタートアップがあるのか知りたいと思っている香港出身投資家たちを世界中から集めています」とヤン氏はいう。

この数週間は、デモデーに向けたスタートアップたちの準備に費やされた。また、彼らが自分たちを必要以上に控えめに表現することのないようアドバイスも行われた。これはFoundersHKが推進したいと考えているもう1つのカルチャー面の変化だ。「資金の調達は確かにこのアクセラレーターの大きな目的ですが、本当に重要なのは、スタートアップたちに何をすべきか、つまり、自分たちの魅力とそれをプレゼンする方法を教えることです」とチュアン氏はいう。「我々の仕事の大半はスタートアップと彼らがプレゼンする相手である投資家たちをつなげることです」。

FoundersHKには、スタートアップがしかるべき市場でパートナーを見つけられるよう支援するという仕事もある。香港は小さな市場なので、ほとんどのスタートアップたちは、最初から東南アジア、米国、中国本土などの地域への進出を目論んでいる。

これらの海外市場から100人を超える投資家たちがFoundersHK Accelerateのデモデーに出席した。

「多数の香港スタートアップのプレゼンテーションに世界中から100人もの投資家たちを集めるなどということは、これまでになかったことです」とチュアン氏はいう。「これは初めての試みであり、これが今後のプログラムに繋がっていくことを願っています。立案者はボニーで、我々の目的はこうしたイベントをどんどん増やしていくことです」。

FoundersHK Accelerateのリーダーチームの面々と最初の創業者たち(画像クレジット:FoundersHK)FoundersHKの最初の創業者たち

Sleekflowはソーシャルコマース企業向けに設立されたB2B販売プラットフォームだ。大半のソーシャルコマース販売者は、WhatsAppや他のメッセージングアプリを使って顧客と対話し、取引を成立させる。中央ハブが存在しないため、ソーシャルコマース販売者は多くの面倒な業務を行う必要がある。そのため、コンバージョン率を上げることができる貴重なデータを見逃してしまう。Sleekflowは、企業向けのSaaS販売プラットフォームで、カスタマーフローオートメーション(例えば買い物かごが放置されている場合に値引きを申し出るなど)や分析を行って、販売実績を維持する。Sleekflowには、メッセージングアプリ、ソーシャルメディアネットワーク、Salesforce(セールスフォース)などのCRMソフトウェアが統合されている。Sleekflowは、主に中堅企業向け市場やエンタープライズ向けだが、チャネルパートナーと協力して、海外展開を計画している。

DimOrderは「レストラン管理用スーパーアプリ」で、現在、香港の5%のレストランで使用されているという。共同創業者のBen Wong(ベン・ウォン)氏は、レストラン経営者の家族の出で、業務に費やす労働量を削減すると同時に利益を増やすソリューションを開発したかったと話す。DimOrderのフロントエンドには、注文、香港中の物流業者との統合による配達、およびマーケティングツールが配置されている。バックエンドでは、仕入れ、支払い、分析を処理する。DimOrderは、来年には、香港の108の学校向けに集中調理施設と学校給食の注文機能をフロントエンドに追加し、運転資金貸付、在庫管理、人事システムをバックエンドに追加する予定だ。来年は東南アジアに事業拡大する。

Spaceshipは、分断化した国際宅配便、特急便、小包サービス市場に特化した物流プラットフォームで、すでに10万人を超える利用者がいる。Spaceshipを利用することで、販売業者は、各物流プロバイダーの比較、出荷荷物の内容の宣言、出荷日時の選択、支払いを行い、出荷元から配達先まで荷物を追跡できる。また、消費者向けに、物流の予約、移転、引っ越しサービスも提供しており、マーケットプレイスやトラベルプランニングなどの分野でもサービスを立ち上げる予定だ。今後は、まず台湾に事業を拡大し、その後、シンガポール、タイ、日本などの市場にも参入する計画だ。

FindRecruiterは、企業が従来の方法よりも極めて迅速に人材を見つけられるよう支援する報奨金ベースの求人プラットフォームだ。共同創業者のLawton Lai(ロートン・ライ)氏は10年間採用担当者として実績を積んだ後、このスタートアップを立ち上げた。同氏によると、現在、空いたポジションを求人で埋めるのに52日くらいはかかるという。FindRecruiterは、アジア6か国に配置された各専門分野の500人を超えるオンデマンドの採用担当者と連係することで、この期間を約17日に短縮する。FindRecruiterでは、求人を掲載し、分野、専門知識、ニーズに基づいて求人側とリクルーターをマッチングする。FindRecruiterによると、同社のリクルーターは手数料で従来の25%以上を稼ぎ、毎月の売り込み電話に要する時間を30時間節約できるという。クライアントには、さまざまなスタートアップユニコーン企業と優良企業がいる。

PowerArenaは、製造作業を監視するためのディープラーニング分析プラットフォームだ。現時点では、主に電子および自動車分野を対象としており、Wistron(ウィストロン)やJabil(ジャビル)などの顧客がいる。多数のオートメーションマシンが稼働している製造フロアでさえ、72%以上の作業が今でも手作業で行われている、とPowerArenaの創業者たちはいう。製造業者がPowerArenaを使うには、画素数1080pのカメラを設置し、プラットフォームに接続してリアルタイム分析を行う。例えば製造プロセスで急に製造速度が低下した場合、PowerArenaは原因(工場の一部でメインテナンスが実施されているなど)を突き止めることができる。

WadaBentoは、人通りの多い地域に自動販売機を設置することで、レストランの業務拡張と利益向上を支援する。これまでに、香港で14万個の弁当を販売している。業務拡張を目指すレストランには通常、新規店を開くか配達アプリを導入するという2つの方法があるが、どちらもコストが高い。WadaBentoは、レストランが用意したランチボックスを回収して、同社の特許取得済みの自動販売機に入れる。食品は、配達中も自動販売機内でも65度以上に保たれ、衛生状態もIoTデバイスで監視される。WadaBentoは日本、米国、中国で特許を取得し、最近、香港最大の食料品チェーンと契約を結んだ。また、最初の海外市場である日本にも自動販売機を出荷した。2022年上半期までに、200台以上の販売機を設置する計画だ。

Retykleは、妊婦服や子ども服の再販売を容易に行えるようにして、衣服の無駄を削減したいと考えている。LVMHなどの高級ファッションブランドで10年間経験を積んだ創業者のSarah Garner(サラ・ガーナー)氏によると、子どもたちは、成長して18歳になるまでに平均で1700着の衣服が着られなくなるという。しかし、中古市場に流れてくる子ども服は5%ほどしかない。Retykleの目的は、できるだけ多くのアイテムが循環する状態を維持することだ。Retykleは、赤ん坊から10代半ばまでのアイテムを用意している。すべてのアイテムは委託販売される。売り手がRetykleに送った衣服は、すべてチェックされてからサイトに掲載される。アイテムが売れると、ユーザーにはメールで通知され、現金または口座振替で代金が支払われる。Retykleは来月シンガポールに、2022年にはオーストラリアに進出する計画だ。

Preface Codingは、拡張可能だがカスタマイズ可能なコーディングのクラスを提供するテック教育プラットフォームだ。生徒は先生をオンデマンドで予約できる。バーチャルでも対面でもクラスを受講できる。このプラットフォームで先生のトレーニングも可能で、ほとんどのクラスはマンツーマンで行われる。生徒は、3~15歳の子ども、大学生(特に米国やオーストラリアのアジア人留学生)、金融、マネージメント、コンサルティング業界の上級プロフェッショナルまで多岐にわたる。大学や銀行とも提携しており、今後世界中に事業展開していく計画だ。

ZumVetは、動画による獣医相談、自宅訪問、薬の配達(薬の処方と自宅での診断テストを含む)を提供するペットケアスタートアップだ。共同創業者のAthena Lee(アテナ・リー)氏によると、かかりつけの獣医のいない、または動物病院の少ない地域に住んでいるペットオーナー向けにZumVetを創業したという。獣医は、相談を受け、治療計画を作成し、遠隔からのサポートや往診も行う。Zumvetは開業獣医のネットワークを活用しており、ペットケア費用を安くするためにサブスクリプションプランも提供している。

Big Bang Academyは、STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)教育への需要の高まりに応え、子どもたちにとって学習を「映画のように魅力的で、テーマパークのように楽しく、授業のように教育的な」ものにするために創業された。その公認カリキュラムには、各生徒向けの動画、個別レッスン計画が含まれる。また子どもたちの自宅に届けられる実験キットを使った手作業によるアプローチも行われている。現在、200の対話型セッションが用意されており、コース修了率は70%とEdTechプラットフォームとしては高い数字を残している。ビジネスモデルとしては教育機関と提携したB2B、およびB2Cサブスクリプションモデルがあり、顧客の80%は繰り返し受講している。また、コンテンツの多様化と学習用おもちゃの開発も計画している。

YAS Microinsuranceは、わずか5秒でポリシーを有効化できるインシュアテックスタートアップだ。補償範囲には、ランニング、自転車、ハイキングなどでの事故も含まれる。最近、香港最大の公共バス会社の1つKowloon Motor Busと初めて提携し、乗客の持ち物の紛失や盗難、事故発生時の医療費などを補償の対象としている。創業から4カ月で80万ドル(約8950万円)の確定収益を達成している。この2カ月間で約6,300のポリシーが有効化されており、現在も毎週約600のポリシーが新たに有効化されている。

画像クレジット:guowei ying / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)

LinkedInが有料チケット式のイベントサービスをテスト中

LinkedIn(リンクトイン)は先日、そのプラットフォームにオリジナルコンテンツ(とエンゲージメント)を増やすため、クリエイターを中心とした新しい取り組みを発表したが、このネットワークサイトにさらなる活動をもたらそうとする努力は、それだけではない。LinkedInがイベント(特に有料イベント)に関するテストを行っていることも確認した。

我々は匿名を希望する情報源から、そのイベントテストに関連するコードを初めて入手した。そのコードは、LinkedInがチケットを販売して、イベントの企画者がダッシュボードで販売状況や収益を監視し、もちろんLinkedIn自身でもイベントを運営することを示唆していた。LinkedInの広報担当者はこの情報を認め、次のように我々に語った。

「仕事の世界が変化し、ほぼすべてがリモートワークに移行する中で、LinkedIn Events(リンクトイン・イベント)は急成長を遂げており、2020年にはLinkedInのあるイベントに2100万人が参加しました」と、LinkedInの広報担当を務めるNicole Leverich(ニコル・レベリッチ)氏は述べている。「私たちは、メンバーやカスタマーフィードバックから学び、LinkedIn体験を改善するための新しい方法を試し続けています。その一環として、イベント主催者からのフィードバックに基づき、イベントへの支払い方法のオプションを模索しているところです」。

我々の理解しているところによれば、これは同社が映像や音声を使ったサービスを大幅に改善しようとしている取り組みの一環だ。おそらく今後はこれらがイベントサービスの中核になると思われ、すべてが今後数週間から数カ月の間に展開される見込みだ。LinkedInは2021年6月に、バーチャルイベントプラットフォームのHopin(ホピン)へ出資すると発表したが、直近の8月の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8620億円)の評価を受けたHopinが、これに関与するかどうかは明らかになっていない。

LinkedInは、新型コロナウイルス流行前の2019年に初めて導入したLinkedInイベント機能を中心に、何年も前からイベントに関する機能に取り組んできたが、当初は人と人が対面する集会に重点を置いていた。しかし、新型コロナウイルス感染流行が始まってから数カ月後には、よりバーチャルなイベントで使用されていた方法の一部を形式化し、バーチャルな結びつきを目的としたオンライン投票やビデオイベントを導入した。

このように、LinkedInはプロフェッショナルネットワークのSNSという地位を確立していたため、大規模な業界の展示会やカンファレンスと、より小規模な集会の両方において、すでに自然な強い関わりを持っていた。多くの大規模なイベントでは、参加者のログインを管理するためにLinkedInが使用されており、イベントのコンテンツをLinkedInで共有したり、カンファレンスに参加した人は、実際に会って(あるいは最近ではバーチャルに)交流した後に、LinkedInを使ってネットワークを継続している。

だから、LinkedInにとって、そのプロセスの中で、事業としてより積極的かつ中心的に関わる方法を模索し、自らそのようなイベントを主催して、そしておそらく、そこから少しでも利益を得ようとすることは、理に適っている。

さらなる情報が得られたらまたお伝えする。

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(文:Ingrid Lunden、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

高級感とテクノロジーが両立したデザインを追求する自動車メーカーたち、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」開催

2021年の夏はモントレー、デトロイト、そして夏の終わりには英国オックスフォードで恒例のカーイベントが開催され、自動車コレクターが集結して高級車やビンテージカーを鑑賞し、オークションを楽しんだ。

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で多くのカーイベントが中止。2021年は屋外に高級車を集めたイベントが復活し、7月の「Goodwood Festival of Speed(グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード)」、8月の「Monterey Car Week(モントレー・カーウィーク)」「Woodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)」、そして9月上旬に開催された「Salon Privé(サロン・プリヴェ)」などのイベントでは、魅力的なクーペや派手なハイパーカーだけではなく、さまざまなクルマが展示された。

COVID-19の変異株「デルタ」の流行にもかかわらず集まった観客と、豪華な会場に並んだ自動車に対する彼らの反応は、ビンテージカー、そして未来の超高級車に対する抑えきれない興奮を反映したものだった。

Gooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークション・スペシャリスト、Angus Dykman(アンガス・ダイクマン)氏は「現地で参加できるオークションの需要が高まっていました」「私たちは現地でのセールスに強い関心があり、ビジネスは活発です。皆がさまざまな自動車を応援してくれました」と話す。

カリフォルニア州ペブルビーチの「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス2021」に出品されたPorsche 917(2021年8月15日)(画像クレジット: Getty Images、撮影:David Paul Morris / Bloomberg)

この屋外の展示には、新興自動車メーカーも歴史あるブランドも、未来を反映させた最新の自動車を顧客に提示する必要がある、という緊迫感があった。高級車メーカーにとって、8月のモントレーは、次世代モデルのデザインをアピールできる重要なイベントだ。Bentley(ベントレー)、Bugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)などの老舗の自動車メーカーに加え、新規参入のRimac Automobili(リマックアウトモビリ)やLucid Group(ルシードグループ)もモントレーでの存在感のアピールに資金を投じた。

ビンテージカーでもコンテンポラリーカーでも、その一貫したテーマは新しい顧客を惹きつける見事なデザインである。

マイクロチップが不足し、車両数も限られている中、カーコレクターは生産開始前から新型車の予約を行っていた。各ブランドのトップもコレクターたちと交流を図り、ペブルビーチでは、Ford Motor(フォード・モーター)のJim Farley(ジム・ファーレイ)CEO、メルセデス・ベンツ米国プレジデントのDimitris Psillakis(ディミトリス・プシラキス)氏、Aston Martin(アストンマーティン)のTobias Moers(トビアス・モアーズ)CEO、Lamborghini(ランボルギーニ)のMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)CTOなど、少なくとも十数名の経営幹部が目撃された。

現地時間2021年8月13日(金)、米国カリフォルニア州カーメルで開催された「The Quail, A Motorsports Gathering(ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング)」で、ブガッティ・オートモービルズのSAS Bolideを鑑賞する参加者たち(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg via Getty Images)

モアーズ氏は、アストンが建設した大きなスタンドからビンテージカーショーを見下ろし「私たちのラグジュアリーカービジネスに関していえば、この場所が最適です」と話す。「ここでは、これまで会ったことのない新しい顧客に出会うことができます。私たちのブランドは、F1(フォーミュラワン)でかつてないほどの注目を集めています」。

同社は未来のレース仕様のアストンを展示。F1マシンを中心に、ValkyrieやValhallaなど、アストンの今後の方向性を示す指標となっている。

「これは私たちのメッセージです」とモアーズ氏。「2020年は、誰もがアストンは終わったと思っていたでしょう。そこにLawrence Stroll(ローレンス・ストロール)氏が乗り込んできて、多額の投資をしてくれました。私たちは復活し、お客様との関係はかつてなく強化されています」。英国で多くの地域がロックダウンされている中、同社はベントレー、フォード、Porsche(ポルシェ)から新しい部門長を採用した。

モアーズ氏自身もパンデミックの最中に新しいCEOとして就任しているが、同氏は北米の従業員、ディーラー、顧客と初めて顔合わせをした。

Mercedes-AMG(メルセデスAMG)出身のモアーズ氏は自信に満ちた経営者で、電動化の経験が自分の強みになると考えている。同氏は「アストンは超高級車を開発しており、その美しさは昔から有名でした。新しい技術を使えば、もうどこにも妥協する必要はありません」と語る。

ペブルビーチの観客を魅了することも重要だが、同氏はアストンの中国でのビジネス、そしてメルセデスのエンジニアリングをアストンの事業拡大にどのように利用するかという点にも注目している。

「中国では北米とは異なり、18歳~30代の若い顧客層に対応する必要があります。それから60代以上。その間の購買層は今のところ存在しません。中国のペースは信じられません。世界の富豪層の増加という点では、中国とアジアがトップだと思います」。

アストンにとっての未来とは、電動化と車内のユーザーエクスペリエンスの再考であり、これはメルセデス・ベンツの前世代の技術を採用するという過去の計画を破棄することを意味する。

「私たちは、メルセデスのインフォテイメント(情報とエンターテインメントを組み合わせた造語)やHMI(ヒューマンマシンインターフェース)を使用しないと決めました。未来を見据えてHMIを構築するなら、もう少し魅力的なものが必要です」とモアーズ氏。同社はメルセデスのMBUXインフォテイメントを取り入れずに、ランボルギーニやApple(アップル)と仕事をしているイタリアのサプライヤー、ART(アート)と一緒に新しいインフォテイメントシステムを構築しているという。

アストンマーティンは、電動化という業界の要求に応えるため、メルセデスのV8エンジン技術を利用して効率化を図る計画だ。

パワー、情熱、テクノロジー

Audi skysphere concept(画像クレジット:Tamara Warren)

ペブルビーチでは、自動車メーカーの経営者たちの間で、コンプライアンス基準を満たすために新しい動力源を開発する一方で、顧客の自動車に対する情熱を維持し、最新の車内エクスペリエンスで新しい顧客を惹きつけるというテーマが浮上した。

1社でできることではない。オーダーメイドの小さな超高級車ブランドは、エンジンや電子プラットフォームの供給を大手自動車メーカーや親会社の投資に頼っている。また、開発には競争力のある人材が必要だ。その上で、これらの小さなブランドは、大企業とは異なる独自性を強く打ち出す必要がある。

ランボルギーニのレッジャーニCTOは次のように話す。「将来に向けて一年前から開発が続けられている最も重要で高価なものの1つが、電子プラットフォームと呼ばれるものです」「ユーザーが電子プラットフォームに触ることはできません。電子プラットフォームはまさしく自動車の神経系(nervous system)です。私たちはグループ内でこれを使おうとしています。そうすれば、従来の車両に使用されていたパーツの多くや、識別できなかったシステムやコンポーネントを使用することが可能になります」。

ランボルギーニはVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)の傘下にあり、ブガッティ、ベントレー、Audi(アウディ)、ポルシェなどの主要な競合車もフォルクスワーゲングループの企業である。

「グループで共有できるものは利用していますが、私たちは他とは違うことをしようとしています」とレッジャーニ氏。ランボルギーニはAmazon Alexaとのパートナーシップに着手した最初の自動車ブランドであり、顧客にAlexaが受け入れられたことで将来的な思考への扉が開かれたと話す。「『音』は、音声認識のフィルターを構成する手段です。未来を想像してみてください。トラブルが発生してランプが点灯しているときに、Alexaに『どうすればいいか教えて』と尋ねたとします。Alexaは、車を停め、サービスアシスタントを呼ぶようにと教えてくれます。そして人工知能が訓練されます」。同氏は、サウンドデザインと音声の新しい使い方を構築するためのデータ収集に取り組んでいるという。

しかし、目の肥えたランボルギーニの顧客には、高価なテクノロジーも時代遅れにならないような魅力的なデザインで魅せる必要がある。「デザインはランボルギーニを購入する1つ目の理由です」とレッジャーニ氏は話す。「しかし、従来のようにデザインが良ければそれでいい、というわけではありません。今や多くが、美学の中にエンジニアリングを統合したデザインになっています。車を構成する部品の1つ1つに機能性が求められます。そして空気力学と冷却の融合。PHEV(プラグインハイブリッドEV)の登場で、冷却系はますます複雑になりました。バッテリーマネジメントも今後ますます複雑になるでしょう。それらすべての要件を満足するクールなデザインが必要です」。

今という時代のテクノロジーとデザイン

モントレー・カーウィークに展示されたビンテージカーと比較すると、特にモータースポーツカーでは、空気力学と重量配分が常に車の設計原理を支配し、進歩を促してきたことがわかる。しかし、現代におけるテクノロジーとデザインとは、スピード、電動化、ADAS(先進運転支援システム)、コネクティビティなどが、時代を超越する洗練されたシステムに収められていることを意味する。レッジャーニ氏は「最も重要なポイントの1つは、必ず感動を呼び起こすデザインであることで、これは譲れない条件です」と話す。

未来をデザインするということは、その方向性を伝えることだ。急速に変化する世界で、高級車メーカーはそのペースに必死で追いつこうとしているが、これは非常に難しい課題である。モントレー・カーウィークに参加しなかったTesla(テスラ)は、同社のAIの発表をこの週に合わせて行った。テスラでさえも電動化を進化させようとしている。

モントレーで、完璧に手入れされ、限られた数しか生産されず、それゆえに数億円もの価値があるビンテージカーを運転することは魅惑的な体験だ。筆者は1957年式Mercedes-Benz 300 SLというエレガントなマニュアルトランスミッション(MT)オープンカーを太平洋沿いの道路で試乗し、(パンデミックにより入場料が高額な)この神聖な世界を少しだけ垣間見ることができた。

グッドウッド、ウッドワード、そして今週末に終了したサロン・プリヴェも同様に魅力的だったが、豪華な屋外イベントが終了した今、自動車業界は、輸送機関の未来に焦点を当てたショーに視線を移したようだ。

現地時間9月7日にミュンヘンで開幕したIAAモビリティ(旧フランクフルト・モーターショー)では、旧態依然の自動車ショーのイメージを一新しようとする自動車メーカーの姿勢が感じられ、より臨場感のある体験を楽しむことができる。展示されているEVのモデルやコンセプトの数々は、進化のスピードは金銭では予測できないものの1つであることを思い出させてくれる。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

2022年1月5日から開催する「CES 2022」の参加者はワクチン接種証明が必要に

2022年1月5日から開催する「CES 2022」の参加者はワクチン接種証明が必要に

ROBYN BECK/AFP via Getty Images

2022年1月5日~8日にラスベガスで対面イベントとして実施される予定の国際家電見本市CES 2022ですが、運営元のCTAより、参加するにはワクチン接種証明を提供する必要があると発表がありました。

CES 2022は対面式イベントとしてラスベガスで開催へ

ワシントンなど米国の一部州では、飲食店や劇場など、屋内施設の利用にはワクチン接種証明の提示が義務付けられましたが、CTAとしては、州や地域のガイドラインや、米国疾病予防管理センター(CDC)の勧告に従うとのことです。

世界中から人が集まるだけに、米国で認可されていないワクチン(アストラゼネカや中国のシノファームなど)を接種している場合にどうなるのかなど、気になるところではあります。ただ、ワクチン接種証明の代わりに、抗体検査が陽性であることを証明して参加できる可能性もあるとしており、こちらに関しては、後日詳細を共有するとのことです。

ウイルスの変異体も広がっており、この先パンデミックがどうなるのか見通しが難しい状況ですが、CTAは引き続き状況を監視・評価し、開催日に近い段階でプロトコルの追加や修正を発表する予定としています。

(Source:CTAEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:イベント(用語)CDC / 米国疾病予防管理センター(組織)新型コロナウイルス(用語)CES(イベント)ワクチン(用語)

ライブ会場の再開に合わせてMixhaloが対面式ライブイベント用音声ストリーミングの新技術を発表

全米各地のライブ会場が再開される中、Mixhalo(ミックスヘイロー)は、その対面式ライブイベント用のオーディオストリーミングプラットフォームに「Mixhalo Over Cellular(ミックスヘイロー・オーバー・セルラー)」と「Mixhalo Rodeo(ミックスヘイロー・ロデオ)」と呼ばれる2つの新機能を追加することを発表した。

1つ目の機能は、その名の通り。Wi-Fiに頼る代わりに5Gを活用する。これはMixhaloの初期のWi-Fi製品で魅力とされていた「超低遅延」を提供できると、同社では述べている。

Mixhaloはこの機能を展開するために、携帯電話会社と協力しているが、その社名は明らかにしていない。ただし、この機能はLTEでも利用できるものの、明らかな理由により、5Gの方が低遅延を実現できる機会が多いと言及している。

もう一方の「Rodeo」は、既存の会場の無線ネットワークと連動するように設計されているため、追加のオーバーレイシステムを導入する必要がない。

「Rodeoシステムでは、既存のアクセスポイントがMixhaloのトラフィックを認識し、それに応じてネットワークデータの準備やバッファリングを行うことができるため、実際にネットワークの負担を軽減することができます」と、CEOのJohn Vars(ジョン・ヴァース)氏はTechCrunchに語った。「2015年以降にワイヤレスシステムを導入した会場であれば、Rodeoをサポートするために必要なハードウェアを備えている可能性が高いです。会場のサーバールームにサーバーを設置する必要がありますが、これがRodeoの唯一のハードウェアコンポーネントです」。

画像クレジット:Mixhalo

Incubus(インキュバス)のギタリストであるMike Einziger(マイク・アインジガー)氏らが共同で設立したMixhaloは、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)氏の協力も得て、Disrupt 2017(ディスラプト2017)のステージでプロダクトを発表し、その超低遅延のストリーミング技術でライブイベントのサウンドを観客に届けることを約束した。

当然のことながら、2020年と2021年前半は、ライブイベントと結びついたスタートアップ企業にとって非常に大きな苦難の時となった。新型コロナウイルス感染流行の初期には、契約終了にともない人員削減を余儀なくされたとヴァース氏はTechCrunchに語ったが、その後は多くのパートナーシップのお陰もあり、なんとか成長していると付け加えた。

(左から)ファレル・ウィリアムス、Mixhaloの創業者でCEOのマイク・アインジガー、TechCrunchシニアライターのAnthony Ha。2017年5月17日にニューヨーク市のPier 36で開催されたTechCrunch Disrupt NY 2017 – Day 3のステージにて(画像クレジット:Noam Galai/Getty Images for TechCrunch)

「このような状況の中で明るい兆しが見られたのは、一歩下がって中核製品の改善に集中する機会が得られたからです」と、ヴァース氏は語る。「これらの改善には、今回発表したMixhalo RodeoやMixhalo over Cellularの他、会場内の物理的な位置に基づいて遅延を動的に調整する機能などが含まれています。新型コロナウイルス感染流行前のビジネスに全力投球していた中では、これらの改善に取り組む時間や機会が得られなかったかもしれません。これらの新機能により、スポーツ界のパートナーからの関心が高まり、Mixhaloの使用例が本格的に飛躍することを期待しています」。

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タグ:Mixhaloライブストリーミングイベント音楽音楽ストリーミングエンターテインメント5Gアプリ

画像クレジット:WIN-Initiative

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バーチャルイベントにネットワーキング機能を追加するためにtwineが3.6億円調達、ビデオチャットアプリから方針転換

パンデミックの中で「新しい人たちと出会うためのZoom」的なものとして立ち上げられたビデオチャットのスタートアップtwine(トゥワイン)は、その焦点をオンラインイベントに移し、その結果シード資金として、330万ドル(約3億6400万円)を調達した。現在までに、twineのイベント顧客には、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)、Forrester(フォレスター)などの名前が挙がっており、同社によればこのサービスは2021年には100万ドル(約1億1018万円)分の予約を行う予定だという。

関連記事:深い会話で孤独感を解消するビデオチャットアプリtwine

今回のラウンドは、Moment Venturesが主導し、Coelius Capital、AltaIR Capital、Mentors Fund、Rosecliff Ventures、AltaClub、Bloom Venture Partnersが参加した。Momentの創業パートナーであるClint Chao(クリント・チャオ)氏は、今回のラウンド終了後、twineの取締役会に参加する。

twineの共同創業者のLawrence Coburn(ローレンス・コバーン)氏、Diana Rau(ダイアナ・ラウ)氏、Taylor McLoughlin(テイラー・マクラフリン)氏らが、2019年にCvent(シーベント)が買収したモバイルイベントテクノロジープロバイダーのDoubleDutch(ダブルダッチ)の出身者であることを考えると、オンラインイベントの分野へのシフトは理に適っていると言える。

DoubleDutchのCEOであったコバーン氏は、買収した会社と2020年12月まで競業禁止義務を負っており、それがイベント分野への復帰を最初に試みなかった理由の1つだ。

twineチームの当初のアイデアは、新型コロナウイルスによるロックダウンの下で社会的なつながりを失った人びとが、他の人との出会いやオンラインチャットの方法を見つけられるようにすることだった。この初期バージョンのtwineは、わずかながらも支持を得て、10%のユーザーがお金を払うようになった。しかし、それ以上に多くの人は、ネット上の見知らぬ人とつながることに不安を感じていることが、twineの調べで判明した。

画像クレジット:twine

そこで同社は、よく知るイベント分野に焦点をシフトした。特にパンデミックで人気が高まったオンラインイベントを、その中心に据えることにした。多くのオンラインイベントでは、ライブストリームやテキストチャット、Q&Aなどを設定することは可能だが、一方かつては対面で行われていたようなカジュアルで予期せぬネットワーキングは欠けている。

「これまではエレベーターやバー、ロビーで交わされていた会話のような、ネットワーキングやセレンディピティ(偶然の発見)をバーチャルイベントに持ち込むことは、とても難しいことでした」とコバーン氏は説明し「そこで私たちは、自分たちで新しいコミュニティを作ろうとするのではなく、既存のコミュニティにtwineを導入する形で、グループスペース版twineのテストを始めたのです。それは、より多くの可能性を見せてくれました」と語る。

2021年1月には、イベントに特化した新バージョンのtwineが稼働し、イベントオーナー向けにプロフェッショナルなネットワークツールを提供し始めた。Twineは、一対多や少数対多数のビデオ放送とは異なり、twineは少人数同士をつなぎ、より親密な会話をすることを可能にする。

「私たちは、お客様やユーザーのみなさまに対して多くの調査を行いました。その結果(会話に加わる人数が)5人を超えると、それはウェビナーになるのです」とコバーン氏は、twineのビデオチャットの制限について指摘した。twineでは、少数の人々がビデオチャットに参加していたが、ここではネット上のランダムな他人が参加するものではない。登場するのは同じイベントに参加している仲間なのだ。こうすることで、一般にユーザーの行動はプロフェッショナルなものになり、会話も生産的なものになる。

イベント主催者は、30人までの小規模なイベントであれば、twineのウェブサイトから無料で製品を使用することができるが、それ以上の規模に対応するためにはライセンスが必要だ。twineは参加者ごとに課金を行い、顧客(イベント主催者)はSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)モデルで参加者パックを購入する。

顧客はtwineを自分のウェブサイトに直接埋め込んだり、twineのウェブサイトを別のブラウザタブで開くようなリンクを追加することができる。

twineは大企業のイベントプログラムに最適な場所を見つけたのだと、コバーン氏は語る。現在同社の顧客数は約25社だが、その中には、最初に小規模なイベントで試した後、すでに10〜15件のイベントでtwineを使用している顧客もいる。

「現在私たちは、世界最大クラスの大企業5、6社と一緒に仕事をしています」とコバーン氏はいう。

画像クレジット:twine

マッチングはデジタルに行われるため、twineは「デジタル名刺」交換や、イベントの主催者と参加者のための分析やレポートなど、他のツールも提供することができる。

通常の状態に戻ることが米国では慎重に行われているために、対面式のイベントの復活は1年後になるかもしれないが、twineはそれでもオンラインイベントにはまだ未来があると考えている。パンデミックの影響は長期にわたるため、企業は今後、イベントにハイブリッドなアプローチを採用していく可能性が高い。

「イベント業界がここまで経験したような15カ月を、かつて経験した産業は、これまで存在しなかったと思います」とコバーン氏はいう。「こうした企業は収益を失い、中には数億ドル(数百億円)レベルからゼロに転落した企業もありました。つまり、これまで世界が経験したことのないようなデジタルトランスフォーメーションが起きたのです」と彼は付け加えた。

今では、テックイベントやオンラインイベントを得意とするイベントプランナーが何万社もいる。そして彼らは、バーチャル参加者ならこれまでより4〜5倍の動員が望めるオンラインに可能性を見出したのだ、とコバーン氏は指摘する。

彼は仮想会議技術事業のための最近の資金調達について言及し「LinkedInがHopin(ホーピン)に5000万ドル(約55億850万円)を投じたのはこのためです」と語った(実際の買収額は5000万ドル以下だったと言われている)。「だからこそ、HoppinやBizzabo(ビザボ)、Hubilo(ハビロ)などへの資金調達ラウンドが続いているのです。ここはUber(ウーバー)登場以前のタクシー市場なのです」。

もちろん、対面での体験が可能になれば、バーチャルイベント自身ではソーシャル機能にはこだわらないことになるかもしれない。また、オンラインイベントを開催したいと考えている側は、たとえばZoom+twineよりも広い範囲のソリューションを求めるかもしれない。

しかし、twineにはこれから実現したいさまざまなアイデアがある。たとえばその1つが非同期型のマッチメイキングだ。これは現在オンラインになっている人だけに限定されないため、より良いマッチングにつながる可能性があり、より価値のあるものになるだろう。

今回の調達資金を使って、twineは営業とカスタマーサクセス要員の採用、アクセシビリティの改善、プラットフォームの拡張を行う。現在までに、twineは470万ドル(約5億2000万円)を調達している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:バーチャルイベントtwine資金調達ビデオ会議イベント

画像クレジット:twine

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(文: Sarah Perez、翻訳:sako)

Open Network Lab第22期デモデーを開催、社内向け動画ツールやCO2削減サービスなど4社が登場

2021年4月20日、デジタルガレージは同社が主催する起業家支援プログラム「Open Network Lab」 の第22期デモデーを開催した。2020年4月に開始したOpen Network Labは2021年で11年目を迎える。2021年3月にOpen Network Labが公開したインフォグラフィックスによると、これまでに投資したスタートアップの累計は132社で、そのうちの5社がM&A、1社がIPOを達成しているそうだ。

第22期となる今期は134社から応募があり、そのうち1次面談と最終面談を通過した5社が採択された。デモデーに登場したの次の4社だ。

社内向け音声・動画プラットフォーム「IMA」

リモートワークで社員同士の会話が減り、会社のミッションや価値観を共有しづらくなった。「IMA」はテキストでは伝えきれない声や表情を音声と動画を通じて発信できるようにすることで、社内のコミュニケーション不足、情報連携不足の解決を目指す。特徴は、Slackなどのツールと連携してすぐに音声や動画を撮影し、同僚や部署に共有できること。インタビュー形式や対談形式での撮影や画面共有機能に加え、動画の自動文字起こし、検索、コメント機能などを備えている。

不動産オーナー向けESG推進支援SaaS「EaSyGo」

国連の調査によると世界の温室効果ガスの約50%が不動産と不動産を起点とした移動、交通から排出されているという。しかし、不動産が排出する85%はテナントの活動が主体であるため、ビルオーナーは残りの15%分しか把握できていない。EaSyGoはビルオーナーがテナントによるCO2排出量の収集・解析の機能を提供することでCO2排出量を可視化し、CO2排出量を削減するためのサービスである。

EaSyGoは今回のデモデーのベストチームアワードとオーディエンスアワードを受賞した。

ウェルビーイングな活動の習慣化をサポートするコミュニティプラットフォーム「nesto」

新型コロナウイルスの影響で、生活習慣の改善に対する意識が高まっている。だが、生活習慣を改善しようと思っても1人では続けるのが難しい。nestoは価値観の合う会員と時間に合わせて、互いにウェルビーイングな習慣ができるようサポートするコミュニティプラットフォームだ。それぞれの活動は「リズム」と呼ばれ、各リズムのホストが中心となって体操や瞑想といった活動やメンバーを集めた対話イベントなどを開催する。nestoは入会金と月会費の30%を得るビジネスモデルを採用している。

「nesto」は今回のデモデーの審査員特別賞を受賞した。

中小企業向けの貿易金融プラットフォーム「Nu-Credits」

80%の貿易取引が融資を活用しているが、中小の輸出入業者の場合は信用情報が足りず、融資を受けられないことが多い。融資する銀行側も、書類の情報漏洩や改ざんリスク、融資判断に必要な情報の不足、複雑な債権回収プロセスといった課題を抱えている。Nu-Creditsは中小の貿易業者向けに、複雑な請求業務を解消するファクタリングサービスやブロックチェーンを用いた与信管理サービスを提供することでこうした問題の解決を目指している。

カテゴリー:イベント情報
タグ:デジタルガレージOpen Network Lab日本IMAリモートワークEaSyGo不動産二酸化炭素nestoウェルビーイングNu-Creditsイベント

画像クレジット:デジタルガレージ

【コラム】2021年、テック見本市は復活するのか?

この1年はカンファレンス業界にとって壊滅的な1年だった。これはTechCrunchでも取り組んできた問題であり、我々はすでにプログラムをバーチャル環境に移行している。地理的条件、出席率、その他のさまざまな要因に応じて、個々のケースごとに個別の解決策が必要であることは明らかである。

IFAは対面の要素について強気であることを実証している。ベルリンで開催されたテクノロジーショーは、ヨーロッパにおける数少ないイベントの1つとなった。IFAは2020年9月に、大幅に縮小されたもののリアルイベントを開催した。

「少し詩的な表現をすると、例年の夏の終わりには、ベルリンには特別な空気があり、朝外に出るとこの空気を感じることができます」とディレクターのJens Heithecker(イェンス・ハイテッカー)氏は2020年のイベントについて筆者に語った。同イベントの出展企業は2300社から約170社に規模が縮小されている。

新型コロナウイルスとその変異株に対する懸念が長期化しているにもかかわらず、案の定、同組織は2021年大規模な復活を計画している。このショーの秋の復活を発表するプレスリリースは、まさにお祝いモードである。

関連記事:IFAのエグゼクティブディレクターがコロナ禍でもリアルなテックイベントを続ける理由を語る

「新型コロナウイルスのパンデミックから世界が回復に向けて前進する中、IFAベルリンは2021年9月3日から7日にかけて、フルスケールのリアルイベントを開催します」と同社は記している。「あらゆる業界のブランド、メーカー、小売業者がベルリンで出展し、ネットワークを構築し、ともにイノベーションを推進することに大きな関心を寄せています」。

同組織は、2020年のイベントから引き続き行われる安全衛生対策を強調し、まだ規模について語る準備は十分に整っていないものの、カンファレンスの新しい内容や方向性をいくつか紹介している。

同社は声明で次のように述べている。「これまで同様、訪問者や出展者の安全を守ることが最優先事項です。ご来場のみなさまの健康を確保するために入念な感染予防対策を講じますので、IFAベルリン2021が出展企業数や来場者数で過去最高記録を更新することは難しいかもしれませんが、業界を再びリードするべく、IFAは本格的な復活を目指します」。

一方スペインでは大手企業数社が「バーチャル」でのみショーに参加する意向を示しているため、GSMAは現在も方向性を検討している。

主催者はTechCrunchに以下の声明を提供した。

MWCバルセロナ2021では、すべての企業の参加は難しい状況ですが、Verizon※、Orange、Kasperksyなどの出展企業に参加していただくことをうれしく思います。誰もが独自のMWC体験を楽しめるように、業界をリードするバーチャルイベントプラットフォームを開発しました。MWCバルセロナに集う方々全員が最適なかたちで参加できるよう、リアルとバーチャルのオプションが用意されています。一部の出展企業の決定を尊重し、それぞれの企業と協働しながらバーチャルプラットフォームへの参加を推進しています。

(※情報開示:Verizonは本誌TechCrunchを所有)

Google、IBM、Nokia、Sony、Oracle、Ericssonはすでにリアル参加しないことを表明している。その他の大手企業はまだ未定のようだ。すべては、最終的に中止が決まった2020年のイベントを思い起こさせる。

こうした大規模なイベントの必要性は、パンデミックが発生する前から疑問視されていたが、バーチャルイベントへの移行にともなって真に浮き彫りになった。実際のところ、ハードウェア関連のリアルイベントには依然として価値があるが、多くはバーチャル環境に適応してきている。先日開催されたCESで学ぶところがあったとしても、このシステムにはまだ解決すべき問題がたくさんある。特にコンテンツの優先順位づけに関連する問題として、すべてが同じファネルを通して効果的に配信されていることが挙げられる。

さまざまな要因が、こういったイベントへの参加意欲を左右する。最も基本的なレベルでは、個人が安心できるか否かだろう(過去のイベントの混雑した写真を見るたびに本能的な反応を示すのは筆者だけではないだろう)。多くの人にとって、大規模な室内カンファレンスにいきなり参加することは、システムに対するストレスのようなものを多少なりとも感じるものではないだろうか。ワクチン接種や特定の地域におけるパンデミックへの対策に関連する要因も存在している(いずれも数カ月のうちに大きく変動する可能性がある)。

米国時間4月15日、ドイツの連邦保健大臣が緊急警報を発し、規制を強化するよう各州に求めた。「2020年の秋以降、迅速な行動の必要性が顕著になっている」とJens Spahn(イェンス・シュパーン)保健大臣はメディアを通じて警鐘を鳴らした。

この他にも、参加を検討している人の居住地や職場が出張を承認するかどうかなど、さまざまな要素がある。多くの企業は不要不急の出張を制限しているが、仕事が何かによって「不要不急」の定義は異なってくるかもしれない。しかし、その間にどれだけの変化が起こり得るかを考えると、多くの人にとって最も健全な戦略は、リモートで物事に取り組むことだ。

4月第3週の初め、GSMAはこれまでの参加者に向けて「MWCバルセロナ2021が開催される理由について」というタイトルの電子メールを配信した。このメッセージは、バーチャル出展を選択する出展者に対して直接話しかけているように受けとれる。

「これを読まれる時期によって異なりますが、バルセロナで開催されるMWC21の開幕まで残り約12週間となりました」とCEOのJohn Hoffman(ジョン・ホフマン)氏は記している。「2020年は混乱をもたらしたというだけでは不十分な表現であり、新型コロナウイルスの影響を受けたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。私は将来に希望を持っており、またMWC21で私たちのエコシステムを招集できるということをとても楽しみにしています。誰もがリアル参加できるわけではないことを認識しており、MWCバーチャルプログラムでショーのコンテンツをお届けすることで物理的なイベントを補強しますので、その点は問題ありません」。

フラッグシップショーを1年間中断していたら、壊滅的だったかもしれない。こうした主催者、そして観光費に頼る地方自治体の多くにとって、2年間という期間は考えられないだろう。新型コロナウイルスのパンデミックが発生した年のMWCのバーチャル戦略は、当然のことながら未熟なものだった。

しかし1年以上が経過した今、GSMAをはじめとする各組織はより強固な戦略を確立しているはずだ。実際のところ、バーチャルへの移行は1回や2回限りのものではない。パンデミックの影響を強く受けている多くの企業や人々にとって、これは未来の姿を象徴しているのだ。

関連記事:MWCの開催中止が決定、主催者のGSMAが新型コロナウィルスを懸念

カテゴリー:その他
タグ:イベント新型コロナウイルスコラムバーチャルイベントIFAベルリンGSMAドイツMWC

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)