顔認識スタートアップのClearview AIがイリノイ州法違反で集団訴訟に発展

つい2週間前、Facebookは米国イリノイ州のプライバシー法違反を巡る裁判で和解に達した。和解金は5.5億ドルという巨額だった。そして米国時間2月14日、数百万件のデータのスクレーピングと分析を行っていることを臆することなく認めて物議を醸しているスタートアップのClearview AIが、同様の違反行為で新たな訴訟の標的になった。

今年Clearviewは、Twitter、Facebook、Instagramなどの公開データを大規模に濫用することを前提としたビジネスモデルで波紋を呼んだ。もしあなたの顔がウェブスクレーパーや公開APIから見えるところにあれば、Clearvierはそれをすでに手に入れているか、なんとかして手に入れて顔認識システムに送り込んで分析する。ひとつだけ問題がある。その行為はイリノイ州では違法であり、無視すれば危険を招くことをFacebookは知った。

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2月13日に起こされたその訴訟は複数のイリノイ州民を代表するもので、「Clearviewは原告の生体情報(イリノイ州住民ほぼすべての生体情報だった)を積極的に収集、保存、および利用し、通知することも、書面による了解を得ることも、データ保持ポリシーを公表することもなかった」と主張している。Buzzfeed Newsが最初に報じた。

それだけではない。その生体情報は多くの警察機関にライセンスされ、その中にはイリノイ州自身の警察も含まれている。これらはすべて、2008年に制定された生体情報プライバシー法に違反している疑いがある。同法は驚くほど将来を見据えたもので、別の裁判を戦ったFacebookを含む、これを骨抜きにしようとする業界の試みに対する抵抗力もある。

Clearviewの拠点があるニューヨークで提訴された本訴訟は、現在まだごく早い段階にあり、割り当てられた判事は1名のみで、召喚状が送られたのはClearviewおよび同社のサービスを警察機関に販売する仲介業者であるCDW Governmentだけだ。現時点で結果は予測できないが、Facebook裁判の成功とふたつの裁判の類似性、顔認識システムによる写真の無断自動使用を踏まえると想像はつく。

規模の予測は難しく、BIPA(生体認証情報プライバシー法)に保護されている写真の分析の数や方法については、Clearviewの発表に大きく依存している。仮にClearvierがイリノイ州市民の全情報を直ちに削除したとしても、過去の行為について責任を問われる可能性は高い。Facebookの判例で連邦判事は、「顔認識技術を使って了解なく(今回の争点である)顔テンプレートを開発することは、個人の私的生活と利益を侵害する」と裁定した。よって違法である。これは強固な前例であり、類似性は明白だ。ただし、否定されないという意味ではない。

訴状の全文も公開されている。

画像クレジット:Stegerphoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook