子ども向けインタラクティブ通話デバイスAmazon Glowが半年の招待制販売を経て米国で一般に販売開始

2021年9月、Amazon(アマゾン)は「Amazon Glow」という不思議な形のデバイスを発表した。

ビデオ通話デバイスでありながらプロジェクターでもあるこの製品は、離れている家族と子どもをユニークなデュアルスクリーン方式でつなぐことを意図している。1つは内蔵スクリーンで遠隔地の通話相手の顔を写し、もう1つはプロジェクターでデバイスの下にあるテーブルに照射し、ゲームや本のための大きなタッチスクリーンとして機能する。子どもが卓上のタッチスクリーンで見ているものはすべて、通常、遠隔地の発信者のiOS / Androidタブレットに反映される。ママ、パパ、おじいちゃん、おばあちゃんが遠く離れた場所でページをめくると、子ども側のページもめくられる。

しかし、Glowには当初、1つだけ難点があった。購入するには、まず招待を受ける必要があったのだ。Amazonの製品テストプログラム「Day 1 editions」の一環として製品の不具合を解消する間、出荷は一部のユーザーに限定されていた。

Amazonは、米国時間3月29日より招待が不要になることを発表した。注目すべきは、「Day 1」プログラムから外れるため、価格が249ドル(約3万600円)から299ドル(約3万6740円)に跳ね上がることだが、同社は以前からその予定であると述べていた。この価格には、本体に必要な本やゲームを提供するほぼ必須の(Amazonプライムとは別の)サービス「Amazon Kids+」の1年間の契約と、本体がテーブルから転がり落ちて壊れた場合の2年間の「安心」交換補償が含まれている。

なお、Amazonによると、Glowはこれから「米国内」のすべての人に提供されるとのことで、他の国での販売についてはまだ詳しく述べられていない。

数カ月前、3歳の子どもの手を借りて初期モデルをチェックしたが、予想されたバグや時折のハードクラッシュにもかかわらず、我々(と祖父母)は非常に楽しい時間を過ごすことができた。そのため、レビュー用の貸出機を返送したあと、すぐに自分たちのものを購入したぐらいだ。まだ少しバグがあるが、だんだん改善されている(より軽快で、ここ数週間はより多くのゲームが追加されている)。少なくともうちの子どもは、祖父母と私がFaceTimeしているのを見ると毎回、Glowに切り替えるよう要求する。

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画像クレジット:Amazon

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Den Nakano)

Netflixはさらに進化したインタラクティブ・クイズ番組「トリビア・クエスト」でトップ死守を目指す

インタラクティブコンテンツに力を入れているNetflix(ネットフリックス)は、アニメーションによるクイズ番組「Trivia Qeust(トリビア・クエスト)」を4月1日から開始すると3月3日に発表した。Sunday Sauce Productions(サンデー・ソース・プロダクションズ)のDaniel Calin(ダニエル・カリン)氏とVin Rubino(ビン・ルビノ)氏が開発したシリーズは、4月の間、毎日配信され、1日に24問出題される。

Netflixが日刊のトリビアゲームをスタートするのが、我々が今も毎日、自分のWordleのスコアを投稿し、絶対的クイズ王のAmy Schneider(エイミー・シュナイダー)氏が記録を破り、「Jeopardy!(ジェパディ!)」の人気を絶頂にした時と一致しているのは偶然ではない。だからNetflixは「Trivia Crack」というゲームをetermax(エターマックス)からライセンスして「トリビア・クエスト」を開発した。

毎日放映されるトリビア番組にはバイラルで流行する下地がある、ただし人々が連日プレイするだけの注意を引ければの話だ。予告編を見る限り、トリビア・クエストからは子どもっぽさも感じるが、ゲームの問題には「standard(普通)」と「hard(難しい)」があるようだ。そして筆者らは、予告編に出てくる「Avatar(アバター)」問題の答えを知らなかったことを告白しなければならない。予告には任天堂のWiiに関する問題もあったが、正直なところ、Wiiが何か知っている子どもはいるのだろうか?

「Black Mirror:Bandersnatch(ブラック・ミラー:バンダースナッチ)」は、Netflixのインタラクティブコンテンツが躍進した瞬間だったが、公開以来4年近く過ぎている。Netflixがゲーミング(インタラクティブコンテンツのもう1つの形態)に巨額の投資をしている今、どうやらこの会社の関心事はインタラクティブでもう1つの成功を収めることへとシフトしているようだ。

「Black Mirror」のクリエイターたちは、Netflixで「Cat Burglar(怪盗猫ラウディ)」を先週リリースしたばかりだ。トリビア問題に答えていくことで、視聴者はRowdy Cat(怪盗猫のラウディ)がPeanut the Security Pup(警備犬ピーナッツ)(すごい名前ばかりだ)を出し抜いて絵画を盗むのを手伝う。

「Squid Game(イカゲーム)」や「Inventing Anna(令嬢アンナの真実)」といったオリジナルコンテンツの大成功にもかかわらず、Netflixは絶好調とはいえない。2021年、同社加入者数の伸びは2015年以来の最低水準だった。理由の1つは、Disney(ディズニー、現在Disney+[ディズニー・プラス]、Hulu[フールー]、ESPN[イーエスピーエヌ]の親会社)やHBO Max(エイチビーオー・マックス)が成長を続け、Netflixの長年のトップを脅かしているからだ。だからゲーミングとインタラクティブ・コンテンツは、Netflixの将来戦略にとって大きな位置を占めている。

「当社は、みなさんのよく知っている膨大なゲーム資産をライセンスして利用していただくことに門戸を開いています」とNetflix COOのGreg Peters(グレッグ・ピーターズ)氏が前四半期決算発表時に言った。「1年以内にそれが始まるのを見られるでしょう」。Netflixは最近、ゲーム・スタジオのNight School(ナイト・スクール)を買収し、同社の知的財産をもとにゲームを開発した。そして3月2日、同社はゲームの「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」と「Walking Dead(ウォーキング・デッド)」の販売元であるNext Games(ネクスト・ゲームズ)を7200万ドル(約83億円)で買収した。「怪盗猫ラウディ」と「トリビア・クエスト」の出来次第では、今後さらに多くのインタラクティブコンテンツを目にすることになるかもしれない。

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画像クレジット:Netflix

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルのビデオ通話アプリ「Duo」、アップルのSharePlayにヒントを得た「ライブ共有」機能を追加

Google(グーグル)は、ビデオ通話サービスGoogle Duoのユーザー向けに新しい「ライブ共有」機能を導入する。Apple(アップル)のFaceTimeで使えるSharePlay機能への対抗だ。しかし、Googleの場合、このインタラクティブな共同視聴体験は、Appleのものほど充実したものでなければ、広く利用できるわけでもない。差し当たっては、GoogleとSamsung(サムスン)の一部のアプリでしか動作しない。そして、導入時はSamsungに限定される。

関連記事:アップルが動画や音楽をバーチャル共同視聴できる新機能「SharePlay」をiOS 15で導入

この変更は、Samsungが新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズの端末を発表したGalaxy Unpackedイベントの中で発表された。これに関連して、GoogleもDuoをはじめ、YouTubeなど自社アプリのアップデートを発表した。

Google Duoのライブ共有機能が骨抜きのバリエーションのように感じられるとしても、SharePlayと同様のユースケースに対応しているため、他よりも注目すべき変更の1つとして際立っていた。SharePlayと同様、Duoのライブ共有は、離れている友人、家族、同僚とビデオ通話で交流する時間が増えているという、パンデミックが引き起こしたトレンドとも結びついている。今日、人々はビデオチャットで話すだけでなく、より多くのことができるようになればと考えている。一緒にコンテンツを見たり、同じアプリでやり取りしたり、画面を共有したりすることを望んでいる。Duoはこうしたニーズにある程度対応しているが、SharePlayが提供するサードパーティ製アプリとの幅広い統合エコシステムはない。

画像クレジット:Google Duo(スクリーンショット)

Duoのアップデートにより、ユーザーはGoogleのデジタルホワイトボードJamboardを使った新しいアイデアのブレインストーミング、Galleryでの写真共有、Samsung Notesを使ったメモの共有、Google マップでの位置検索、YouTubeでの動画の同時視聴ができるようになるとGoogleは説明する。

それに比べて、AppleのSharePlayはDisney+、NBA、TikTok、Twitch、Paramount+、Showtimeなど多くの人気ストリーミングサービスやApple TV+、Apple Music、Apple FitnessといったAppleのアプリなど、はるかに多くのアプリやサービスと連携する。残念ながら、今後Duoをより機能豊富なサービスにする意図があるかどうかという質問に対し、Googleは言及を避けた。また、開発者向けAPIプラットフォームに関する新たな発表もなかった。

さらに詳しい説明を求めると、広報担当者は「最初に共有されたもの以外に、現時点で共有できる計画は現在のところありません」と述べた。

しかし同社は、長期的にライブ共有がSamsungのみで使えるものとはならないと指摘した。同機能は、Galaxy S22やTab S8など、最新のSamsung製デバイスでまず展開される。そして間もなく他のSamsung端末やPixel端末でも展開され、2022年に他のAndroid端末にも導入される予定だ。

Duoのライブ共有に加えて、別のアップデートでYouTubeユーザーはメッセージでYouTube動画のプレビューを閲覧して、動画を今見るか後で見るかをより適切に判断できるようになった。チャットから離れることなく、タップしてビデオを再生することもできる。この機能は、Android  Goエディション端末を除くすべてのAndroid端末に搭載される。

また、新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズにはVoice Accessが搭載されるため、ユーザーが別途アプリをダウンロードする必要はない。そして、これらの端末はGoogleのパーソナライズされた新しいデザイン言語「Material You」に対応するとのことだ。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

GPT-3に対抗してAI2がQ&Aを重視したオープンなライバルAIを披露

OpenAI(オープンエーアイ)のすばらしいAI言語モデルであるGPT-3は、多くの機能を備えているが、1750億個のパラメータを備えたそのモデルを、特にすっきりしているという人はいないだろう。このたびAllen Institute for AI(AI2、アレン・インスティチュート・フォー・エーアイ)が、GPT-3と同等もしくはそれ以上の質疑応答能力を持ちながら、サイズが10分の1というモデルのデモを行った。
AI2のモデルであるこのMacaw(マカー)は、標準的なテストで人間レベルのパフォーマンスを発揮するAIを作ることを目的として、非営利団体AI2で行われてきた研究から生まれた。

AI2の責任者であるOren Etzioni(オーレン・エチオーニ)氏は「非常に高いスコアを得た後、モデルはより難しい問題に移っていきました。人間にとって最も簡単な質問が、機械にとっては最も難しいというパラドックスがありますが、このときの最大のギャップは『常識』でした」と語る。

たとえば「トム・ハンクスが月に降り立ったのはいつですか?」と尋ねてみるのがその例だと彼はいう。GPT-3はこの質問に1995年と答える、なぜなら映画『アポロ13』が公開されたのが1995年だったからだ。しかしMacawは、私たちが知る限り、トム・ハンクスが実際に月に行ったことはないと正しく指摘する。

AI2は、その違いを示す例題(「デモ」という言葉は少し過剰な表現かもしれない)を公開しているが、その中ではトリッキーな質問やそれほどでもない質問に対してMacawの方がしばしばより良い答えを行っている。

どちらもかなりの高確率で失敗したり、不合理な答えを出したりすることがあるので、両者を比べてみるのはおもしろい。Macawは誰が何をしたかを追跡するのは得意だが、蛇には足があると信じている。GPT-3の回答は(おそらく過剰なほど)自信に満ちていてしかも読みやすいが、その内容が、新型コロナウイルスは「実験的で危険な新薬」であるというような陰謀論的なものであってもその態度は変わらない。

いくつか例を挙げてみよう。

  • 結婚生活をより安定させるにはどうしたらいいですか?
    Macaw:コミュニケーション。
    GPT-3:私なら自分が常に正しいということを確認するでしょう。
  • もしも鳥に翼がなかったら、どのような影響があるのでしょうか?
    Macaw:飛ぶことができなくなります。
    GPT-3:それは質の悪い鳥ですね。
  • クランベリージュースを自分で注いだ後、うっかりしてティースプーン1杯ほどのグレープジュースを注いでしまいました。見た目は大丈夫です。その匂いを嗅いでみましたが、風邪をひいていたので何の匂いもしません。ともあれ、あなたはとても喉が渇いています。だからそれを飲むことにします。次はどうなりますか?
    Macaw:気持ち悪くなる。
    GPT-3:たぶん死ぬ。
  • ヘビはどうやって移動するの?
    Macaw:四つん這いで進みます。
    GPT-3:ヘビは筋肉で地面を押して移動します。どの方向にも動くことができますが、後ろ向きに動くことはできません。

子どもでも答えられるような、基本的な質問に失敗しない質疑応答AIの実現はまだまだ遠そうだ。しかし、MacawがGPT-3と同程度の成功を、はるかに少ないデータ量の処理で達成していることにも注目したいと思う。エチオーニ氏は、これはGPT-3に取って代わろうとするものではなく、世界中で行われている言語の生成と理解に関する研究の新たな一歩であることを明言した。

彼は「GPT-3はすばらしいものですが、1年半前にローンチしたばかりで、アクセスも限られています」という。GPT-3が示す能力はすばらしいものの「しかし、私たちは、より少ない資源でより多くのことができることを学んでいます。たとえば1750億個のパラメータが必要となるようなものでも、私たちならおそらく100億個のパラメータでできるでしょう」とエチオーニ氏は語る。

優れた質疑応答AIは、パーティーの余興に役立つだけでなく、音声による検索などで中心的な役割を果たす。簡単な質問に外部と通信することなくすばやく正確に答えられるローカルモデルは、基本的に価値がある。たとえばAmazon Echo(アマゾン・エコー)自身がGPT-3を実行することはまずないだろう、それは、スーパーに行くために大型トレーラーを買うようなものだ。大規模なモデルはこの先も有益だが、今後はよりコンパクトなモデルが使われるようになるだろう。

ここでは示されていないものの、AI2チームによって積極的に追求されているMacawの機能の1つが、その答を説明させることだ。なぜMacawはヘビに足があると思っているのか?それが説明できないと、どこでモデルが間違ったのかがわからなくなってしまう。しかし、エチオーニ氏は、これはそれ自体が興味深く難しいプロセスであるという。

「説明の問題点は、本当に誤解を招く可能性があることです」と彼はいう。彼は、Netflixが視聴者に番組を推薦した理由を「説明」している例を挙げたが、それは複雑な統計モデルに関係した動作理由の説明ではない。人は機械に関係する説明を聞きたいのではなく、自分の心に関係する説明を聞きたいのだ。

エチオーニ氏は「私たちのチームは、こうした『誠実な説明』を開発しています」と語り、今回いくつかの研究成果を発表したものの、まだ一般に公開できる状態ではないと述べた。

しかし、AI2が開発しているほとんどのものと同様に、Macawもオープンソースだ。気になる人は、ここにコードがあるので、是非とことん遊んで欲しい。

画像クレジット:Andrii Shyp / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

LinkedIn、インタラクティブなClubhouseスタイルの音声イベント機能を2022年1月開始、動画版は今春登場予定

8億人以上の人々がキャリアを積むために仕事用のプロフィールを掲載しているLinkedInは、次のステップとして、プラットフォームをより多く使ってもらう狙いだ。同社は新しいイベントプラットフォームを展開し、インタラクティブなバーチャルライブイベントの掲載、主催、マーケティングを行う予定だ。まず、音声のみの製品をベータ版として2022年1月に発表し、その後、春に動画版を発表する。最初は、LinkedInをオーガナイザーやホストとして利用しているクリエイターをターゲットにする。

ここ数年の新型コロナ生活の中で、オンラインイベントが多くの支持を得ていることから、現在の計画では、LinkedInの新しいイベント製品はすべてオンラインで提供し、フォーマットをオープンにしてイベントの運営者自身がフォーマットを作ることができるようにする予定だ。

プロダクトマネージャーの Jake Poses(ジェイク・ポーズ)氏はインタビューで次のように答えている。「私たちの理念は、主催する人が管理できるようにすることです。オンラインの円卓会議、炉辺談話などを簡単に開催できるようにしたい。フォーマルなイベントを開催したい人もいれば、インフォーマルなイベントを開催したい人もいるでしょう。また、リスナーとコミュニケーションをとりたい、質問を受けたいという要望もあるでしょう。私たちは、プロフェッショナルな人々にインタラクティブな機能を提供し、サポートします」。

2022年1月開始するオーディオイベント機能には聞き覚えがあるかもしれない。これはClubhouseに匹敵するもので、LinkedInの取り組みが最初に記事となったのは2021年3月だった。LinkedInは2021年、このイベントサービスに追加する可能性のある他の機能を試してきた。例えば、2021年9月にテストを開始した有料のチケットオプションなどだ。しかしポーズ氏によると、今のところインタラクティブイベントは無料サービスとして開始され、現時点ではチケット制にする計画はないとしている。

(LinkedInは近いうちにチケット制を導入すると思われる。私が尋ねたところ、Clubhouseの広報担当者は「クリエイターファーストというマントラの一環として」、当スタートアップ企業は「クリエイターが自分の作品をさらにマネタイズできるよう、チケット制イベントを含む複数の選択肢を模索している」と言っていたが、時期は特定できなかった。また、動画に関しては今のところロードマップにないことも確認した。彼女は「当社は、ソーシャルオーディオ体験に引き続き注力しており、オーディオ中心の新機能がコミュニティの体験をどのように強化できるかを引き続き模索しています」と付け加えた。)

オーディオイベントのモデルはこちら。

2022年1月末に開始されるこの新しいイベントプラットフォームには、他のサードパーティ製のソフトウェアを使用せずにインタラクティブなコンテンツをエンド・ツー・エンドで実行できるツールが含まれる。ホストはLinkedInから直接イベントを記録・実行できる他、オンラインの参加者とホストがライブで会話し、議論を進行できるツールや、イベント開催中と終了後に参加者が互いにコミュニケーションするためのツールが備わる予定だ。また、LinkedInは当然ながらイベントをリストアップし、プラットフォーム間でイベントに関する情報発信のサポートを行う。

これらのイベントのホストについては、まず、LinkedInを利用してすでに多くの人々とつながっている個人、つまり、TikTokなどの他のソーシャルプラットフォームで見られるような独自のクリエイターをターゲットとし、キャリア開発、専門的な話題、その他のLinkedIn中心の専門分野に向けたコンテンツを構築していく予定である。

LinkedInはここ数カ月、より広く、より活発なクリエイターコミュニティの育成に取り組んできた。この目的のために、2021年秋には2500万ドル(約28億6407万円)の資金とインキュベーターを立ち上げた。ポーズ氏によると、現在配信製品であるLinkedIn Liveを利用できるクリエイターは150万人とのことだ。イベントの企画と開催は、その戦略を拡張するための自然な流れといえる。

LinkedInは時間とともに、企業や大きな組織にもLinkedInでイベントを構築してもらいたいと考えているとポーズ氏は付け加えた。しかし大きな組織では、より大きな予算、より高い生産価値を目指したインフラ、そしてチケットやその他のサービスが必要になることが多い。同氏は、必要な人、あるいは希望する人は、サードパーティのアプリケーションやソフトウェアを製品に統合することができるようになると語った。(実際、今のところツールのほとんどはLinkedIn自身で構築されていることも認めていた。LinkedInを所有しているMicrosoftとの統合もあるのは確かではあるが)。

フィードに表示される動画機能のモデルはこちら。

LinkedInがイベントへの尽力により大きな関心を持ったのは、やや時代をさかのぼり、パンデミックの時期より前の2019年に初めてデビューし、対面での集まりに焦点を当てていたEventsハブに始まる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こってから数カ月後、LinkedInはバーチャルエンゲージメントを目的としたオンライン投票や配信スタイルの動画イベントの開始により、それまでオンラインイベントシナリオで使用されていた方法の一部を公式化した。

同社にとって、これらのイベントは成功を収めている。ポーズ氏は、年間のオンラインイベント作成が2021年1年間で150%増加し、同じ期間にLinkedIn Liveのバーチャルイベント参加者が231%増加したと述べた。取り上げられたトピックは、AIイノベーション基調講演ファイナンシャルプランニングライブ住宅施工メンターシップサイバーセキュリティ授賞式などだ(これらによっても、長期的にLinkedInがこれらのイベントの運営者として個人のクリエイター以上を抱え得る可能性が伝わる)。

LinkedInはまた、その規模と資金力を利用して、イベント分野で活躍する他の興味深い企業への投資や買収も行っている。2021年6月、LinkedInは、オンラインイベントの大企業であるHopin(2021年8月の直近の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8874億6025万円)と評価された)に投資していることを明らかにした。また2021年8月には、クリエイターがハウツーやその他のメンタリング動画を作成・共有できるJumpropeというスタートアップ企業を買収している。(実際、これがポーズの入社の経緯であり、クリエイター、イベント、動画を網羅する製品をリードすることになった。)

これらのことは、LinkedInのコンテンツ戦略における次の論理的なステップであるだけでなく、パンデミックから2年経った今でも多くの人が在宅勤務をしており、新型コロナウイルス感染症が多くの人にとって脅威であることを考えると、明らかに時代の兆しのように感じられるのである。

だが、オンラインビデオ会議、そして率直に言ってオンラインなものすべてに対して私たちの多くが抱く疲労の影響をLinkedInはどのように受けるのか、また、オンラインイベントの選択肢が1つ増えて、結局多すぎるということが判明した場合、LinkedInは調整できるのかということを考えざるを得ない。

ポーズ氏の答えは、オンラインイベントはさらなる民主化のために必要なものであるが、イベント企画者の中にはハイブリッドなアプローチを取る人もいるかもしれない、というものだった。

オンラインやハイブリッドなものは「この先の時代」かもしれないが、インタラクティブイベントが解決しようとしているものはまったく異なるものだとポーズ氏はいう。

「物心ついたときから、私は講演やミートアップに出かけていました。これらは、社会人がコミュニケーションし、物事を学ぶ方法の主軸です。しかし、これらのイベントには、お金と移動時間、部屋に入って話す勇気、そしてイベントを運営するスペースが必要です。私たちの狙うところは、対面からバーチャルへ移行することで、実際にアクセスを民主化し、より多くの人々にそれを開放することです」と彼はいう。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ストリーミングビデオをインタラクティブにするAdventrが約5.7億円のシード資金調達

創業者でCEOのDevo Harris(ディーボ・ハリス)氏がAdventrを思いついたのは、音楽業界の大物アーティストたちと仕事をしていたときだ。

「AdventrはKanye West(カニエ・ウェスト)やBritney Spears(ブリトニー・スピアーズ)やNas(ナズ)といったアーティストのコンテンツを作っているときに思いつきました。インタラクティブな要素を導入したミュージックビデオは人気を博し、視聴者を惹きつけるのは高価な映像や編集だけではないことが証明されました」とハリス氏はいう。

そこでハリス氏は、グラミー賞まで取ったメディアプロデューサーとしての地位を捨て、一介のアーリーステージスタートアップの創業者になった。現在、Adventrはインタラクティブなメディアを作成、閲覧、共有するためのドラッグ&ドロップSaaSツールで、ユーザーはタッチスクリーンやクリック、さらには自分の声を使ってビデオを操作できる。Adventrは、「SmartListen」という音声制御技術の特許を取得し、音声コマンドに基づいてメディアコンテンツを流れの途中で変更することができる。この技術は広告に応用可能で、視聴者が「緑のシャツを買って」などということができるようになるかもしれない。また、クリエイターがAdventrで映画を作る場合、ホラー映画の主役に「あの廊下を進むな」というように、観客から登場人物に指示を出すよう呼びかけることもできる。

その特許を取ったSmartListen機能はまだ未完成だが、Harris氏によると、2022年の初めには一部のパートナーが利用できるようになる。

「これはゲームチェンジャーであり、動画内のクリックを超えたコネクテッドメディアの可能性にクリエイターの心を開くことになるでしょう」とハリス氏はいう。

関連記事:動画に話しかけることでユーザーがストーリー展開を変えるAdventrのボイスコントロール技術

立ち上げからわずか1年のAdventrは、2021年秋のTechCrunch Disrupt、Startup Battlefieldに登場し上位5社のファイナリストに残った。その後、同社はベータでプロダクトを磨き、ユーザーは8000社になっている。その中にはAsiaNet NewsやMSI Gaming、SK Interactive、そしてニューサウスウェールズ州政府もいる。これらの顧客はユーザーが動画と対話している際のアナリティクスを確認できるので、消費者についていろいろ知ることができる。

Disrupt後、AdventrはPaladin Capitalがリードするシード投資で500万ドル(約5億7000万円)を調達し、それにReinventure CapitalやIn/Visible Ventures、そしてアカデミー賞受賞者John Legend(ジョン・レジェンド)氏らが参加した。レジェンド氏はハリス氏の長年の協力者で、カレッジのルームメイトでもある。

「Disruptの直後から6桁ドルの収益が上がり、今でもオンラインでピッチビデオを見た人からインバウンドがきています」とハリス氏はいう。

Adventrは今回の資金をチームの構築に使っていきたいという。Disruptに出たときは5人の社員しかいなかった。最近同社はVimeoのゼネラルマネージャーだったPeter Gerard(ピーター・ジェラルド)氏をプロダクトのトップに招いた。Adventrはまもなくソーシャルメディア・プラットフォームとの統合を開始し、顧客がそれらのプラットフォーム上でインタラクティブビデオをネイティブに共有できるようにする予定だ。

画像クレジット:Adventr

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebook Gamingに「PAC-MAN」登場、ゲーム配信者と一緒にプレイできる新機能も

Facebookゲームは、TwitchやYouTubeのゲームといったホットなストリーミング配信先ではないかもしれないが、ソーシャルネットワークは、その魅力を高めるためにインタラクティブな機能を着実に追加している。

Facebookは、視聴者がお気に入りのストリーミングパーソナリティと一緒にゲームストリームに参加できるようにする「Play with streamer」(配信者と遊ぼう)と呼ぶ新しいインタラクティビティを試している。この機能は、「Twitch Plays Pokémon」のような魅力を引き出すことを目的に、マルチプレイヤー、ユーザーが作成する迷路、視聴者のインタラクティブ性などの現代的な要素を加えた古典的なゲームバージョン「PAC-MAN COMMUNITY」を発表したことで注目を集めている。

この機能が有効になっているゲームでは、視聴者はボタンをクリックしてゲームを直接開き、マルチプレイヤーモードに参加することができる。今のところ、ゲームの種類はとても少なく、新作の「パックマン」と、8月にひっそりとこの機能を導入したMinecraftクローンである「Worlds FRVR」に限られる。

配信者は、誰がこの特権を得るかをコントロールでき、最も熱心なサポーターに特典として提供することができる。これは、クリエイターがゲームベースのコミュニティを構築し、接続するための重要なツールだ。

新人配信者にとって魅力的なハブとなるように、Facebook Gamingは現在、収益の100%をクリエイターに提供しているが、この契約は2022年に期限切れになる。

Facebookは10月に、クリエイター同士が協力して同時に配信できる「co-streaming」機能を追加した。これは、Twitchでは2019年当時から「Squad Stream」として提供していた機能であり、活気あるストリーミングエコシステムを構築するために必要なものだ。

関連記事:Facebook Gamingで全ユーザーが共同ストリーミング機能を利用可能に

FarmVilleの登場以来、Facebookは、Twitchの人気タイトルとはほとんど共通点のない安定したカジュアルゲームを提供してきた。Facebook Gamingでは「Fortnite」や「Call of Duty」といったゲームのストリームを配信しているが、モバイル向けのHTML5ゲームに重点を置いているため、ハードコアゲーマー以外にもユニークな魅力を持つプラットフォームとなっている。さらにストリーミングが主流になれば、Twitchでは見られないような視聴者を惹きつけることができるだろう。

Twitchは、現在もストリーミング視聴時間の大半を占めている。2020年末には視聴時間の66%をTwitchが占め「YouTube Gaming」が23%「Facebook」が11%で続く。現在、後者2つのプラットフォームは成長しており、2020年には、Facebook Gamingのストリーミング視聴時間は前年の3倍に、YouTubeは2倍になっている。

関連記事:Facebookもクラウドゲームへ参入、Appleと同社の新たな確執が生まれる

画像クレジット:Facebook Gaming

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

短編動画アプリに一石、インタラクティブな映画体験ができる「Snax」

短編動画アプリには、TikTok(ティックトック)のような大きな成功例もあれば、Quibi(クイービ)のような大きな失敗例もある。今回「Snax(スナックス)」という新しいアプリは、人気のある縦型動画フォーマットに変化を加え、ユーザーがモバイルデバイスでミニムービーを見るだけでなく、それらとやりとりする方法を提供しようとしている。Snaxの定額制ストリーミングサービスには、拡大中の、伝統的な物語の要素とインタラクティブなゲームを組み合わせたオリジナルムービーのレパートリーを取り揃えている。ユーザーは、物語を進めるためのパズルを解いたり、殺人事件のシーンで手がかりを探したり、ゲームブック「Choose Your Own Adventure」のようなモードで登場人物の選択をしたり、360度動画の要素を利用したりと、さまざまなことができる。

この新しいタイプのインタラクティブな映画体験のアイデアは、パリを拠点とするアプリケーション開発会社であるMarmelapp(マーメラップ)から生まれた。Marmelappは、Alan Keiss(アラン・キース)氏、Stéphane Fort(ステファン・フォート)氏、Jérôme Boé(ジェローム・ボエ)氏が共同で設立した会社だ。Marmelappは、これまでに15のアプリをリリースし、そのダウンロード数は3000万を超え、アプリ全体で年間数百万ユーロ(約数億円)の収益を上げている。

Marmelappの最近のタイトルには、パーティゲームのPicolo(ピコロ)や、テキストベースのゲームブックスタイルのアプリBlaze(ブレイズ)などがある。このBlazeがSnaxの出発点になったと聞いている。

「Blazeの開発はとても楽しく、すばらしいフィードバックをいただきました。Blazeでは、75のオリジナルストーリーを開発・公開しました。枝分かれしていて複数のエンディングがあるため、実際にはかなりの数のコンテンツがありました」とSnaxのコンテンツ責任者であるJames Davies(ジェームズ・デイビス)氏は説明している。後にチームは、Blazeが単なるテキストだけでなく、ストーリーに沿ったミニフィルムなどを盛り込めば、もっと楽しいものになると気づいた。当初、彼らはそのコンセプトをBlazeに取り入れようと考えていたが、あまりにも複雑になってしまった。

「別のプロジェクトにする必要があることがはっきりしました」とデイビス氏はいう。そうして1年半ほど前にSnaxの開発が始まった。

画像クレジット:Snax

現在、このアプリは、縦長の動画として観ることができるひと口サイズのムービー(「Snax」という名前の由来)をウリにしている。各エピソードは約3〜5分で、ユーザーが何らかの形でコンテンツに関われるためのストップポイントが含まれている。ユーザーはパズルやクイズを解かなくてはいけないかもしれない。もしくは、部屋の中で何かを選択したり、隠されたアイテムを見つけたりする必要があるかもしれない。キャラクターとメッセージのやりとりをする必要があるかもしれない……などなど(困ったときには「ヒント」という選択肢もある)。

ユーザーは、選択肢をタップする以上のことをしなくてはいけないこともある。例えば、ある殺人事件のムービーでは、テキストボックスが表示され、そこに自由に答えを書き込んでいく。この機能を実現するために、Snaxは答えの候補とその誤字脱字をデータベース化し、ユーザーが正解したときに正しく判断できるように設計した。

画像クレジット:Snax

ムービー自体も、この種のエンターテインメントアプリとしては想像以上に高品質なものになっている。

Snaxでは、7人のチームが脚本の作成やインタラクティブ機能の追加を担当し、映像コンテンツの制作はプロの映像作家や提携した制作会社と協力して行っていると説明している。現在、これらの撮影には、1つのプロジェクトにつき10万ユーロ(約1280万円)の費用がかかっているが、Snaxは、同じチームが異なる脚本で複数のシリーズを連続して撮影することで、制作費の効率化を図っている。

画像クレジット:Snax

映像作家には、アプリが生み出すサブスクリプションの収入は分配されず、前払いとなっている。現在、Snaxは、週4.99ドル(約560円)、月8.49ドル(約960円)、年47.99ドル(約5450円)の定額制サービスを提供している。(試しに2、3のエピソードを無料で視聴することもできる)。

同社は、2021年初めにフランスでSnaxの提供を開始し、10月には米国、英国、カナダ、オーストラリアの英語圏の視聴者にもこのアプリを導入したばかりだ。現在のところ、このアプリには、英語に吹き替えられたフランス映画が掲載されているが、長期的な戦略として、今後は英語とスペイン語でのコンテンツ制作にも着手する予定だ。

サービス開始以来、Snaxのユーザーの約半数は英語圏の人たちだが、同社は近い将来にはこれが90%にまで増えると予想している。

画像クレジット:Snax

Snaxのユーザーは、18歳から24歳の若い世代が多く、男女の比率は均等だ。これまでのところ、特に米国のユーザーが多くアプリについて話したり、シェアしたり、アプリのコンテンツに反応を示している、とSnaxは確認している。

「私たちは、フランスのユーザーより、米国の男女のほうが、多くのコンテンツに関わろうとする傾向にあることに気づきました。エピソードを完成させたり、ストーリーを完成させたりする割合が、フランスよりもかなり高いのです」とデイビス氏はいう。「つまり、北米の視聴者に向けて作品を制作する必要があるのです」。

初期の作品には無名の俳優を起用したものもあったが、Snaxは現在、フランス第3位のYouTuberであるNorman、俳優でコメディアンのLudovik(ルドヴィック)、俳優のBastien Ughetto(バスティアン・ウゲット)など、フランスで知名度の高いスターを起用して制作を進めている。今後、米国での展開に合わせて、このような取り組みをさらに進めていく予定だ。

Snaxは現在、インタラクションのバリエーションを増やし、よりエキサイティングで、より深く楽しめるようにすることに取り組んでいる。また、スクリプトを作成するための独自のソフトウェアの開発も進めている。

Marmelappは、2022年にSnaxを独立させることを計画しており、その際には資金調達を検討する可能性がある。

画像クレジット:Snax

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

プレイも開発も、Manticoreのゲーム制作プラットフォームCoreは「メタバースの入り口」

自称「終わりなきアーケード」のCoreは、90年代のサイバーパンク熱の夢が現実のものとなったようだ。プレイ可能なゲームライブラリでもあり、ノーコードのゲームクリエイターでもある。すべてがネオンライト。この新しいプラットフォームは、誰もが最近話題にしていそうなこのメタバースのビジョンを驚くほど巧みに具現化している。

「マルチバースへのポータル」と謳うCoreは、長年の命題をテストする準備が整っている。構築すれば実現に向かう。RobloxやFacebookのような巨大企業は大規模なプラットフォームを確立しているかもしれないが、Coreはクリエイターにとってもプレイヤーにとっても非常に魅力的な基盤を築いている。

ログインすると、プレイヤーはコアの中心的なハブに移動する。そこはテーマパーク、ハイテクモール、カジノがちょうどよく交差した場所で、エンターテインメントやショッピングは重力の影響を受けずにあらゆる方向に広がっている。巨大なネオンサインに誘導され、プレイヤーは多種多様なユーザー生成バーチャルワールドに飛び込んでいく。服やゲーム内のギアを交換したり、友人を誘って自分と一緒に参加させたりするのも、ほんの数回クリックするだけで実行できる。

Coreが「Fortnite」(フォートナイト)によく似ているとしても、それは偶然ではない。Manticore Games(マンティコア・ゲームズ)が作ったCoreは、FortniteのメーカーであるEpic(エピック)のUnreal Engine(アンリアル・エンジン)で動く。Epicは2019年に同社への1500万ドル(約17億円)の投資ラウンドを主導しており、同プラットフォームはPC向けのEpic Games Store(エピック・ゲームズ・ストア)を通じてのみ提供されている。Manticoreは2021年3月、大手投資家からさらに1億ドル(約114億円)を調達し、クリエイタープラットフォームを公開した。

画像クレジット:Manticore Games

Coreはまだ誰もが知っている名前ではないかもしれないが、メタバースを熱望する人なら克服しなければならない課題の1つをすでに解決している。Coreでプレイしていたとき、ある場所から別の場所への移動の体験があまりにもシームレスで、間違った場所に迷い込んでしまったことがよくあった。これはユーザーのミスだろうと思うが、Deadmau5(デッドマウス)のショーや、肥大化したディストピアの荒れ地、アイソメトリックな海賊ゲームなど、さまざまなポータルを経由して瞬時に移動することは、こうしたゲームに10年以上携わってきた中で、最もシームレスなオンラインマルチプレイヤー体験といえるものだった。

Coreはすばらしい。メタバースのビジョン構築で最も成功した企業の1つRoblox(ロブロックス)に対して際立つ攻撃力を示している。Fortniteと同様、Coreのグラフィックは非現実的ながら、あまりにも非現実的というものでもない。Robloxの13歳以下の層は年齢を重ねている。この層はRobloxが意欲的に構想を練っているファクターだ。そしてそれほど若くないプレイヤーたちは遠からず、より成熟した雰囲気のある新しいバーチャルハウスを探すようになるかもしれない。

野心的なedgelord(背伸びをした思春期の若者のような意味のスラング)なら、Coreの豊富なカスタム衣装やアバターのセレクションに自分が真剣になるような要素を見出すだろう。あるいは子猫になるかもしれない。

画像クレジット:Manticore Games

Deadmau5、メタバースの住人

Coreのコンテンツのほとんどは、UGC、つまりユーザー生成コンテンツである。これは時代を定義するオンライン現象を象徴している、やや新しい呼称だ(頭字語から総合格闘技を連想しても自分を責めないで欲しい)。しかしManticoreには、ミュージシャンやブランドと提携し、テーマを絞ったゲーム内体験を提供する余地も十分にある。

DJとEDMのフェスティバルの常連であるDeadmau 5は先に「メタバースの恒久的居住地」として描かれた広大でカラフルな一連の体験をローンチした。Coreはその大部分がユーザー作成のゲームで構成されているが、エンターテインメントや教育にも適している。一部のユーザーはゲーム開発の講座をホストし始めたと同社のチームは指摘する。

RobloxのLil Nas X(リル・ナズ・X)やFortniteのAriana Grande(アリアナ・グランデ)のような他のバーチャルワールドの最近のショーとは異なり、Deadmau 5をテーマにしたコンテンツはデビューした後もライブのままで、探索の可用性を広げている。Manticoreのチームはこれを、コメディグループPenn and Teller(ペン&テラー)のようなパフォーマーがラスベガスで進行中のショーのためにキャンプする様子になぞらえている。しかしラスベガスと違って、パフォーマーは同時に2つの場所に滞在できる。Deadmau 5は2021年10月半ば、Ethereum(イーサリアム)ベースのバーチャルプラットフォームDecentraland(ディセントラランド)で開催される音楽フェスティバルに参加することを発表した。

筆者は早めの内覧として、Deadmau 5ことJoel Zimmerman(ジョエル・ジマーマン)氏と一緒にこのショーを鑑賞した。同氏は自身のトレードマークである巨大な動物のヘルメット(ネコだろうか?)とサイボーグの天使の翼を身にまとい、一方筆者はメタバースの小さな黒いドレスともいえる地味な黒のパーカーを選んだ。

ジマーマン氏は、Deadmau 5マウスが飾られたゲーミングチェアに座って現実世界でくつろぎながら、Coreの中をあちこち飛び回り、筆者にこう語った。「私がこれに惹かれたのは、すべてがモジュール化されていて、クリエイターたちにより多くのツールを提供しているからだと考えています」。

画像クレジット:Manticore Games

バーチャルコンサートに期待されるように、このインタラクティブなパフォーマンスには、溶けるようなサイケデリック感のあるビジュアル、ミニゲーム、ターンテーブルの耳がついた威嚇的なChain Chump(ワンワン)風マウスなどがそろっている。ジマーマン氏、そしてCoreの共同創業者であるFrederic Descamps(フレデリック・デスキャンプス)氏とJordan Maynard(ジョーダン・メイナード)氏も、筆者と一緒にこのショーを少なくとも10回は回ったが、全員が本当に楽しんでいるようだった。

ある時、筆者は溶岩に落ちたか、巨大な金属の拳の一撃を受けてコンベヤーベルトにぶつかってしまったようで、近くにはDeadmau 5をテーマにした悪役がそびえ立っていた。「死ぬことを疑似体験できる唯一のインタラクティブコンサートになると思います」とメイナード氏。このショーは、視覚的にも楽しく、創造的にもインタラクティブで、最終的にはFortniteのコンサートのようなものになっていた。

Oberhasli(オーバーハスリ)と呼ばれるこの精巧なバーチャル体験は、薄気味悪いジャングルの廃墟から、浮遊する宇宙ゴミでいっぱいの不気味な世界まで、ゲーム開発の経験のないファンたちによるユニークな世界も見せてくれる。Core Deadmau 5のパフォーマンスは10月中旬に行われ、現在はオンデマンドで、EDMをバックにたくさんの要素が詰め込まれた世界に浸りたい人たちに向けて配信される。

画像クレジット:Manticore Games

クリエイターのためのCore

後にDiscord(ディスコード)で行われた電話会議の場では、Coreツアーはあらゆる人に寄り添う形で展開されており、破壊可能な壁の裏の秘密の門を走り抜けたり、ゲームのジャンルを超えて世界を飛び回るような体験が、コードやゲーム開発経験を必要としない、驚くほど洗練されたものに仕上がっていた。Wi-Fi接続が悪かったとしても、ゲームの世界から別の世界へと移動するのにほんの数秒しかかからない。World of Warcraft(ワールド・オブ・ウォークラフト)の暗いポータルのようなものを通り抜けて、最後にはアイソメトリックな海賊船で航海に出た。

このWoW(World of Warcraft)に向けた賛同は、おそらく偶然ではないのだろう。デスキャンプス氏は、真剣な長年のプレイヤーにしかできないような、キャプチャされたゲームプレイで構築されている物語風のムービー、WoWマシニマの全盛期への郷愁に満ちていた。デスキャンプス氏とメイナード氏は以前、10年以上にわたって忠実に支持されているファンタジーMMOのRift(リフト)にも関わっていた。(メイナード氏は7人目の従業員だった。)最近では誰もがそのメタバースを称賛しているが、驚くべきことに、この分野において、何年も前から人々を結びつけてきたシームレスなバーチャルゲームの世界にルーツを持つ企業はほとんどない。

画像クレジット:Manticore Games

Coreで何かを作ることがいかに簡単かを強調すべく、メイナード氏は、私たちがプレイできる1人称視点のシューティングゲームを手早く作成した。それはドラッグ・アンド・ドロップのプロセスで、Coreのシステムを使って作られたオリジナルのゲーム内アセットの膨大なライブラリに、おそらく2分ほど入り込むだけだった。いくつかの3Dオブジェクトが用意されており、テンプレート(バトルロワイヤル、レース、ダンジョンクローラーなど)からゲームモードを選ぶと、Coreのモジュール式サンドボックスに組み込まれている洗練されたプレイ可能なゲームにほぼたどり着く。冷たい雪景色や不毛な砂漠の中でのゲーム設定も、ドラッグ・アンド・ドロップと同じくらいシンプルな操作で、環境に広がりを与えてくれる。

ゲームプレイはさておき、Robloxで目にするUGCよりCoreゲームの方が何光年も先を行っているように見えるが、プラットフォームのユーザーはそのことを特に気に留めていないようだ。ビジュアルスタイルやゲームのジャンルの広さも、他のプラットフォーム上の同じようなUGCから抜け出してきた人たちにとっては驚きに値するだろう。

コンテンツを作成するコアユーザーには、Manticoreが「perks」と呼ぶ収益化のオプションがかなり充実している。これには、ゲーム内のコスメティックアイテムの提供だけでなく、プレミアムゲームへの課金、Fortniteのようなバトルパスの販売、サブスクリプションモデルの導入などが含まれている。収益の配分は50対50で、Robloxがクリエイターに渡す25%と比べると寛大だ。また、Coreでは他のモジュール式ゲーム制作プラットフォームと同様に、誰もがクリエイターであり、開発経験は必要ではない

現在のところCoreはPC限定だが、Manticoreは2022年からiOSを含む他のプラットフォームにも展開する予定だ。ゲーム制作はPCに限定されるだろうが、同社は誰もがどこでもCoreのゲームをプレイできるようにしたいと考えている。プラットフォームにとらわれないビジョンは、初期のFortniteや最近のRobloxを確実に後押ししたものだ。

「ゲーム開発はお菓子作りに似ています。非常に正確な手順と技術が必要で、何週間もかけて繰り返し行うものです」とデスキャンプス氏はいう。しかしCoreでは、技術的なことを抜きにして、通常は長引いてしまうプロセスを数分で終わらせることが可能。残りの時間を実験やプレイに充てることができる。

「マリオカートにポータルガンを取り入れたらどうだろう?」というメイナード氏の質問にも、間違いなくその場で答えが出ただろう。

画像クレジット:Manticore Games

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)