ゴミの山からプラスチックに代わる素材を作るUBQ Materialsがインパクト投資家TPG Rise主導で約193億円調達

100%分別されていない家庭ゴミだけで作られた、プラスチックのような素材を開発したとするイスラエルのスタートアップUBQ Materials(UBQマテリアルズ)は、TPGのグローバルインパクト投資プラットフォームであるTPG Riseが主導し、同社の気候変動投資専用ファンドであるTPG Rise Climateと、マルチセクター・インパクト投資ファンドであるThe Rise Fundsを通じて、1億7000万ドル(約193億2000万円)の資金を調達した。

今回の資金調達ラウンドには、既存の投資家であるBattery Venturesをはじめ、英国を拠点とするM&GのCatalyst Strategyなどが参加した。

UBQ Materialsは、通常なら埋め立て地に送られる有機物を含む都市固形廃棄物を、石油由来のプラスチックに代わる持続可能で、かつリサイクル可能な素材に変えることができるとしている。「UBQ」の名を冠した同社の製品は、建設、自動車、物流、小売、さらには3Dプリントなどの分野で、単独または従来の石油系樹脂と組み合わせても使用することができるという。

The Rise Fundsの共同代表パートナーであるSteve Ellis(スティーブ・エリス)氏は次のように述べている。

UBQの素材ソリューションは、都市ゴミを機能的な熱可塑性プラスチックに変換するだけでなく、エネルギー効率が高く、加工過程で水を使わず排水も出さないため、産業およびコンシューマアプリケーションにおいて、幅広い用途に利用することが可能です。

UBQがどのようにこれらを実現しているかについては曖昧だが、同社の主張を興味深く見守っていきたいと思う。

画像クレジット:UBQ Materials

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】地球を救い、利益を上げるために地球の最大の課題に投資する

それを持続可能性と呼ぼうが、ESGまたは気候技術と呼ぼうが構わないが、お金を稼ぎながら良いことをしようとする動きが世界を席巻していることは間違いない。

ブルームバーグによれば、世界の持続可能性への投資資産は、2020年には35兆3000億ドル(約4000兆円)に増加している。これは「世界をより良い場所にする」ことで利益を得ようと管理されている3ドル(約340円)分に対して約1ドル(約110円)分に相当する。

こうした資金がベンチャーキャピタルに流れ込む中で、世界は地球を温暖化の摂氏1.5度以内に保つために、気候関連の最も困難な問題のいくつかを解決しようとしている。PwCのレポートによると、投資家は緊急性を感じているようだ。気候技術への投資が、2013年から2019年の間に、VC全体よりも速いペースで成長している。

関連記事:気候テクノロジーへのVC投資はVC全体の5倍の速さで成長、PwC最新レポート

なお、この記事では「インパクト投資」という用語が、社会的責任投資(SRI)や環境、社会、ガバナンス(ESG)といった他の用語とおおよそ同じ意味で使われていることをお伝えしておく。本質的に「インパクト」とは「世界をより良い場所にする」ことだ。

しかし、そこにはインパクト投資の問題がある。見る人の目に良いものが映っている場合、正確には何が良いものなのだろうか?

例えばフィリップ・モリスは年間7000億本の紙巻たばこを製造していながら、投資家を惹きつけるESG目標を目指して努力している。目眩しの論理、だが要点はおわかりだろう。

Hans Taparia(ハンス・タパリア)氏はこれを美しく説明している

多くの投資家の考えに反して、ほとんどの格付けはESGファクターに関連しているだけで、実際の企業責任とは何の関係も持っていません。代わりに、彼らが測定するのは、ESGファクターによって企業の経済的価値がリスクにさらされる度合いです。例えば格付け会社が、ある会社に対して、その会社の汚染行為が適切に管理されているかその会社の財務価値を脅かさないと見なした場合には、重要な排出源でありながらも高いESGスコアを付与する可能性があります。

手に入るのは測定したものだけだが、公的公正の世界では、その測定がひどい誤解を招く可能性がある。それでも個人投資家たちは、巧みな「ESGファクター」のマーケティング活動を受けて、そのファンドに投資するだろう。

だが、最大のインパクトを与えるために最善の努力をしている本物の投資マネージャーたちもいる。

インパクトを示すために、そうしたマネージャーはIRISなどの標準的な測定フレームワークを採用している。しかし、インパクト測定を適用するのは非常に難しいことで知られている。それらはまた、測定すること自体が非常に難しく、多くは本質的に主観的であり、それらを改善しようとするソリューションと比較して測定するのに費用がかかるのだ。

さらに、肯定的な結果を生み出す複数の要因が存在する可能性があり、それらの結果を改善する際の特定の原因や結果を識別することはしばしば不可能だ。その結果、マネージャーは次善の策に頼ることになる。すなわち行動や実装を測定するのだ。しかし、目立つ指標を変化のための指標ととり違えてしまうことは容易に起こり得る。

例えば遊んでいる子どもたちが回転させることによって、地下水を汲み上げるメリーゴーランド装置のPlayPumps(プレイポンプス)は、その好例だ。PlayPumpsの設置数、それを使用している子どもの割合、もしくは汲み上げられた地下水の量は、コミュニティがポンプのおかげで、きれいな水にアクセスしやすくなっているどうかを必ずしも示していなかった。

これらはそれでも変わらずに財務実績を提供しなければならないファンドマネージャーや企業経営者による発表であることを忘れてはならない。

ドルの価値とは異なり、影響の測定は曖昧で真の基準がないため、投資家が投資ポートフォリオの社会的影響を比較したり、相対的なパフォーマンスを評価したりすることはより困難になる。これにより、パフォーマンスベースの出資をインパクト測定と結び付けることもほぼ不可能になる。

インパクトは具体化するのに時間がかかり、多くの場合、ファンドまたは会社による影響の範囲外にある。四半期ごとを生き抜く金融の世界では、選択を行う必要がある場合には、ドルを最大化することが常に簡単な選択となる。

それでもインパクトが存在できる特別な場所がある。それはマネージャーと企業の間のインセンティブが一致し、特定の測定値はそれほど重要ではなく、測定期間が真の違いを生むのに十分な長さで考えられるような場所だ。

そうした特別場所とは?アーリーステージのベンチャーグループだ。

Creative Venturesでは、インパクトを機会を見るレンズとして使用している。インパクトが大きければ大きいほど、問題も大きくなり、市場機会と経済的利益も大きくなる可能性があることを私たちは理解している。

インパクトは問題がある場所に存在するからだ。高度なインパクト測定に悩まされている世界で、私たちのアプローチは、EVのコストが20%低く、40%遠い場所まで行くことができる世界を想像している。ガンを治せる世界。すべてのデータセンターのエネルギー消費量が半分になる世界。

そして、これらの企業の1つだけが成功しただけでも、世界がはるかに良い場所になるとは思わないだろうか?

編集部注:本稿の執筆者Champ Suthipongchai(シャン・スティポンチャイ)氏は、労働力不足、医療費の増加、気候危機の影響に取り組むスタートアップたちに投資する、ディープテックVCであるCreative Ventures(クリエイティブ・ベンチャーズ)の共同創業者でゼネラルパートナー。

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(文: Champ Suthipongchai、翻訳:sako)

【コラム】VCは気候変動との戦いで極めて重要な役割を果たすが、すべてを行うことはできない

TechCrunch Global Affairs Projectでは、ますます関係が複雑化しているテック業界と世界政治の関係を検証する。

先にグラスゴーで行われたCOP26は、大惨事を食い止めるだけでなく、気候変動との戦いで民間セクターが果たす役割の重要性を明確にした。メタン排出対策とすり減った経済協力の再燃などいくつか注目すべき政治的成果があったものの、最も期待されていたのは民間セクターの新たな関与だ。

去る2006年、アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」は、250億ドル(約2兆8410億円)のベンチャー投資をクリーンテックのために引き出すきっかけとなり、ソーラーとエタノール分野がその中心だった。投資家たちの楽観をよそに、投資のほとんどは数年後に燃え尽き、その結果ベンチャー投資家の多くがその後10年間の大半でクリーンテック分野を回避した。

最初のクリーンテックブームで成功したおかけで、我々はごく自然に、革新的クリーンテックソリューションへの資金提供と規模拡大におけるVCの役割に関して楽観的でいる。COP26が終わり、気候変動に取り組むためのクリーンテックの迅速な導入に世界が依存する今、我々はVCのさらなる可能性だけでなく、その限界も理解する必要がある。

VCの強み

最もうまく行った場合、このベンチャーモデルは若い企業がリスクを負って早期テクノロジーに取り組み、大企業にできないイノベーションを追求することを可能にする。直感に反するかもしれないが、ベンチャーの支援を受けたスタートアップは、パフォーマンスの高いファウンダーと組織が魔法を生み出すだけことに加えて、ずっと大きく資産も豊富な大企業よりも多額の資金を費やすことがよくある。

Tesla(テスラ)はアーリーステージのスタートアップだった10年間、電気自動車(EV)の技術、設計、生産においてVW(フォルクスワーゲン)、Ford(フォード)をはじめとする大手自動車企業より多くの資金を費やし出し抜いた。同様に、スタートアップのJoby Aviation(ジョビーアビエーション)とLilium(リリウム)は、Boeing(ボーイング)とAirbus(エアバス)を電動垂直離着陸機(eVTOL)でを引き離して、QuantumScape(カンタムスケープ)は次世代全固体電池の先頭を走っている。

任期の短さ故に、大企業のCEOは絶え間ない成長やコスト削減その他の「市場主導」の必須要因に集中し、破壊的イノベーションの開発と商業化に必要なリスクを消化することができない。歴史は革新に関する鮮明な教訓で埋め尽くされているが、今も大企業のCEOはリードできていない。その結果、我々は時間軸が長く高リスクでリーダーのいない、VC独自のチャンスを提供する分野を探し続けている。顕著な例を挙げると、Teslaから20年後の今も、輸送分野の電動化にまだチャンスがある。例えば、EV革命が起きている今、EVとバッテリーのリサイクルは持続的成長のために不可欠になりつつある。バッテリーをリサイクルするこの生まれたばかりの分野でトップを占めるのはここでもスタートアップのRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)だ。

ベンチャー投資家は、気候に優しい革新を多くの伝統的産業で推し進めることができる。例えば化学と製造業を見てみよう。これらや他の重工業分野の既存企業は、行動が遅く、カルチャー的に革新への対応能力に欠けている。対してVCマネーは、適応さぜるをえないテクノロジーの開発を支援する。たとえば再生可能エネルギーを使って水から水素を、空気から炭素を分離して持続的に炭化水素を調達し、これらの元素を組み合わせることによって、これまで石炭、石油、ガスから作られていたあらゆる化学薬品を作ることができる。Electric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロジェン)やTwelve(トゥウェルブ)などの若い会社はまさしくそれをやっている。

ベンチャー投資家は、核融合エネルギーなどの実験的技術への資金提供でも有利な位置にいる。政府以外で、事実上この分野にいる伝統的企業はなく、成功を掴もうとする大胆な参入企業がない中、この分野はスタートアップに頼っている。2021年、Helion Energy(ヘリオン・エナジー)とCommonwealth Fusion Systems(コモンウェルス・フュージョン・システムズ)など、いくつかのスタートアップが5億ドル以上の投資資本を獲得した。

VCはすべてを解決できない

影響を与える能力に関する私の楽観に関わらず、テクノロジーは、そしてもちろんベンチャー投資は、気候変動に取り組むパズルの1ピースにすぎないことを我々は忘れてはならない。執拗に進む気候変動と戦うために、我々はクリーンテックソリューションを著しく速くスケーリングしなくてはならない。そしてVCは、その重要な挑戦に関わるセクターとして十分に組織化されていない。

まず、低リスクですでに確立されているソーラー、風力、ストレージなどのテクノロジーを、通貨が弱く、ほとんど自由な米国と比べて高い金融コストの国々へ送り込むために、今のVCと比較にならないほど膨大な資金が必要だ。我々の推計によると、30兆ドル(約3409兆2000億円)以上、すなわち現在世界で投資可能な全資金の10%以上が、次の10年に投資される必要があり、リターンは数パーセント程度だ。さもなければ、容赦ない気候変動の波と戦える速さでクリーンなインフラストラクチャーを拡大することはできない。

幸い、現在巨額の資金が再生可能エネルギー投資以下のリターン率で債券に停滞している。向こう10年の課題の1つは、金融市場のその他のセクターに対して、特に新興市場で需要が急増している電力、輸送、材料、食糧などの分野に資産を再配分するインセンティブを与えることだ。高リターンと不釣り合いなスケールの資金が求められるVCは、この巨額にほとんど関与しないだろうが、中枢となるインフラストラクチャーとチャンスに関わっていく。

多くの人々が、この問題を回避する方法として「インパクト投資」を挙げる。そしてそれは正しい。ベンチャー投資の早い時期、我々は新しいスタートアップが資金を手にする唯一の方法であることがよくあり、それに乗じて高いリターンを要求した。自分たちの金銭的インセンティブを犠牲にすることなく、高インパクトなプロジェクトに投資することができたからだ。

しかし、クリーンテックの機会を追求する多くの新ファンドが参入するにつれ、インパクトとリターンのバランスを取ることが難しくなってきた。我々は高リターンと高インパクトの不一致の可能性を認識する必要があり、現在のVCは高いコストと資金を正当化する特異な価値を付加した上で、セクター内の大きな熱狂の中で規律を保たなくてはならない。「ホットな」機会を追求し、より主流のテクノロジーの増殖に焦点をシフトしたい誘惑は非常に大きい。私の見るところ、クリーンテックは今も技術革新のブレークスルーの機が熟しているので、最高の最も影響力のあるVCたちは逆張り哲学を維持して、不人気でアーリーステージで資金を集めるすべが他にない分野に焦点を当てていくだろう。

第2に、政府介入の重要性は無視できない。エネルギーその他の工業分野を汚れた化石ベースのシステムから他へ転換させるために、市場の圧力だけでは十分ではない。株主の要求による実質ゼロ誓約と結果に対する説明責任改善の約束にも関わらず、政府の命令はこのプロセスのスピードアップを要求し続ける可能性が高い。

最後に、慈善活動が重要な役割を担う。私は、非営利団体のMethaneSAT(メタンサット)設立に協力したことが大きな誇りだ。世界の石油、ガス利用から排出されるメタンを衛星画像で監視する組織だ。その影響が明らかであるにもかかわらず、オープンで客観的なポリシー執行という同組織の役割は、営利活動とは合致しにくい。他にも資金を提供し、追求すべき重要な非営利介入が数多くある。

クリーンテックで最も象徴的で需要な企業やテクノロジーのいくつかを初期段階から支援してきたことは大変光栄だ。しかし、これらのテクノロジーとその周辺のスタートアップを活用することは、気候変動に対する我々の戦いの一材料にすぎない。新技術に関する熱狂が、近い将来必要となる歴史的インフラストラクチャー事業から、我々の注意をそらすことがあってはならない。世界の金融資本のかなりの部分がこの分野に注意を向ける必要がある。そして資産、社会、政治、慈善事業といった別の形の資産もまた、今後の世代のより安定した未来を確保するためには供出される必要がある。

編集部注:本稿の著者、Ion Yadigaroglu(アイオン・ヤディガログル)氏は,Capricorn Investment Groupのパートナー兼CapricornのTechnology Impact Fundのゼネラルパートナー。同氏はTesla、SpaceX、Planet、Saildrone、QuantumScape、Joby Aviation、Hellon Energy、Twelve、electric Hydrogen、Redwood Materials、他著名なディープテック企業の早期出資者である。現在非営利団体、Ceresの役員およびMethanSATの技術顧問を務めている。

画像クレジット:Iván Jesús Cruz Civieta / Getty Images

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(文:Ion Yadigaroglu、翻訳:Nob Takahashi / facebook