「TikTokの可能性を信じて全張りする」TikTok特化のMCN、Nateeがアカツキなどから資金調達

左からアカツキ「Heart Driven Fund 」パートナーの石倉壱彦氏、Natee取締役COOの朝戸太將氏、同代表取締役の小島領剣氏、「Heart Driven Fund」ヴァイスプレジデントの熊谷祐二氏

スマートフォンやSNSを含むインターネットの普及によって「個人が作成したコンテンツ」の存在感が増してきた。ユーチューバーを筆頭に影響力を持つ個人が次々と台頭してくるのに伴い、彼ら彼女らの活躍を支えるMCN(マルチチャンネルネットワーク)も複数のプレイヤーが登場し、しのぎを削っている。

国内のMCNと言えば2017年に東証マザーズへ上場したUUUMがその代表格だけれど、今回紹介するNateeは「TikTok」に特化したMCN。つまりTikTokの領域においてUUUMのようなポジションを確立しようとしている。

そのNateeは2月5日、アカツキをはじめとする複数の投資家より資金調達を実施したことを明らかにした。同社では2019年5月にシードラウンドで複数の投資家より約1800万円、同年10月にプレシリーズAラウンドでアカツキより約5000万円を調達済み。デットも含めると累計で約7500万円を調達している。

同社に出資している投資家リストは以下の通りだ。

  • アカツキ(同社の投資プロジェクトであるHeart Driven Fundから)
  • East Ventures
  • 野口圭登氏
  • 森本千賀子氏
  • JJコンビ
  • 匿名の投資家複数人

中国版のTikTokから刺激を受けてTikTok特化のMCNに

NateeはビズリーチでエンジニアとしてスタンバイやHRMOSに携わっていた小島領剣氏(代表取締役)とリクルートキャリア出身の朝戸太將氏(取締役COO)が2018年11月に創業したスタートアップだ。

ファウンダーの経歴だけ見るとHRTechの事業をやっていそうな気もしてくるけれど、彼らが選んだのはグローバルで急速に成長を遂げているショートムービーアプリのTikTokだった。

「中国版のTikTok(Douyin)を見た時にこれはやばいなと。検索による能動的なインターネットが終わって、レコメンドによる自動的なインターネットの時代が来た。まさにテレビの世界がモバイルでもようやく実現されたんだなと感じた。レコメンドエンジンの優秀さや(開発元の)ByteDanceの技術力も含めて、YouTubeやInstagramに並ぶようなサービスになると大きな可能性を感じた」(小島氏)

Nateeのミッションは「人類をタレントに!」。「自己表現をしながらありのまま生きる人たちを増やしたい。その人たちがもっと稼げるような環境を作りたい」(小島氏)という思いから、TikTokにフォーカスしたMCNという道を選択した。

ちなみに小島氏は学生時代に教育領域で一度起業を経験。当時から同じようなテーマを掲げていたため、ドメインや手段こそ大きく異なるものの、やりたいこと自体は以前から変わっていないそうだ。

現在Nateeでは数十万人のフォロワーを抱える人気TikTokerを含め、約120名のタレントを抱えている。年齢層は10代から30代まで幅広く、ジャンルも美容やスポーツ、お笑いなど様々。中にはトイプードルもいて、所属タレントのフォロワー総数は1500万人近くに上る。

特にNateeが重視してきたのが「しっかりと売れる人を育てること」(小島氏)。知っている人も多いとは思うけれど、現在日本で提供されているTikTokと中国のDouyinでは機能が異なり、中国版でのみ搭載されているものがいくつかある。たとえばECやライブ配信の仕組みがそうだ。

小島氏が重要視するのがTikTok上でモノを売れるEC機能。現在TikTokのMCNではフォロワー数を基にした純広告が主なマネタイズ方法になっているが、今後クライアントが「それが本当に効果に結びついているのか」をよりシビアに追求するようになれば、純広告だけでは思うような収益をあげられない可能性もある。

それもあって、ゆくゆくはTikTokにEC機能などが入ってくることも見越して、しっかりと活用できるようなタレントを今の段階から育てているのだという。

創業から1年ほどが経過し徐々に基盤が整ってきたため、昨年の秋頃からは広告営業もスタート。まだまだ規模は大きくないものの、すでに複数のナショナルクライアントとも取引がある。また1月にはTikTokの公認MCNとして契約を締結した。

徹底的なテックドリブン武器に成長

Nateeの特徴の1つは「徹底的なテックドリブン」であることだ。小島氏がエンジニアということもあり、初期から自社でタレントのアサインツールや動画アクセス解析ツールなどを内製。これを用いて有望なタレントをいち早くスカウトしたり、制作したコンテンツの分析やチューニングに力を入れたりしながら着実に事業を伸ばしてきた。

TikTokのMCN自体は国内でも複数のプレイヤーが存在するが、エンタメ業界がアナログな要素が多い業界でもあるため、テクノロジーに秀でた企業は少ない。企画やキャスティングに強みを持つMCN(事務所)が多い中で、クリエイティブ制作や広告・アカウント運用、効果測定までをワンストップでできるのがNateeの強みになっている。

「インフルエンサーをキャスティングして何らかの投稿をした場合、『再生回数はこのぐらいでした』で終わってしまいがち。自分たちはたとえば背景の色やテロップの色を変えたらどうなるのか、といったように細かい改善と分析を繰り返しながら、データを基にクリエイティブの勝ちパターンを探っていくような取り組みを続けている」(小島氏)

現在は案件管理などのオペレーションを効率化・自動化する社内ツールも開発中だ。MCNは案件やタレントの数が増えるに伴ってオペレーションコストも増加しやすい構造だが、Nateeではそこにテクノロジーを取り入れることで、より効率的に運営できる体制を作ろうとしている。

外からは見えづらいが、中ではゴリゴリとテックを活用している点が同社の面白いポイントの1つかもしれない。

TikTok×MCNで確固たるポジションの確立目指す

2018年11月の創業から1年強、TikTokに特化したMCNとして事業を拡大してきたNatee。2020年1月にはTikTokの公認MCNになった

今回実施した資金調達は主に組織体制の強化が目的。広告営業やタレントマネージャーを中心にメンバーを増員しながらクライアントとのタイアップに力を入れるほか、上述した社内ツールの開発などを進める。規模が大きくなってきたこともあり、コンプライアンス面の教育も含めて良質なタレントの育成にも一層力を入れる方針だ。

中長期的には日本のタレントやIPがグローバルでも活躍できるようにするのが1つの目標。すでに半年ほど実験的に中国チームを動かしているそうで、一部のコンテンツを中国語に翻訳してDouyin上で配信する試みも始めた。数年後には海外の売り上げ比率を全体の50%ほどまで高めたいという。

MCNは一定のブランドを築ければネットワーク効果が働き、有望な人材が次々と集まってくる可能性も高い。そういう意味では1社だけが勝ち残る訳ではないものの「Winner takes allになりやすい市場」(小島氏)であり、NateeとしてはしばらくTikTok1本に絞って勝負をしていくつもりだ。

「現状ではTikTokはマネタイズが難しいプラットフォームであり、YouTubeなどと繋げて運用している企業も多い。ただ自分たちはその可能性を信じて、TikTokに全張りする。MCNは人が人を呼ぶモデルであり、『あの人がNateeに所属しているから』という理由でタレントが集まる事例が徐々に生まれてきた。市場を取り切るなら今年が勝負だと思っているので、TikTokと心中する気持ちでチャレンジしていきたい」(小島氏)

サウジアラビア主催フェスに招待されたインフルエンサーと人権問題

ソーシャルメディアのインフルエンサーは、世界のイベントを適正な価格で宣伝してくれることで知られている。だが、ときどき判断が誤りでだったと判明することもある。米国人モデルでタレントのIsabella Khair Hadid(イザベラ・ヘアー・ハディド)は、あの悲惨な結果に終わったFyre Festival(ファイア・フェスティバル)の宣伝のために、他のモデルたちとバハマで休暇を過ごす様子を描いたチケット販促用の動画を撮影した。そして後に、彼女はそのイベントへの関与を謝罪することになった。

だが、インフルエンサー市場で新たな大失敗と広く認識されるようになったある問題では、謝罪しないインフルエンサーもいる。サウジアラビアのリアドで12月19日から3日間開催されたMDL Beast Festival(MDLビースト・フェスティバル)に、ギャラをもらって参加したセレブやソーシャルメディアのスターたちだ。

サウジアラビア政府が主催する、アートとカルチャーと音楽の大規模なフェスティバルという触れ込みのこのイベントには、モデルのAlessandra Ambrosio(アレッサンドラ・アンブロジオ)、Romee Strijd(ロミー・ストリド)、俳優のRyan Phillippe(ライアン・フィリップ)、Wilmer Valderrama(ウィルマー・バルデラマ)、Armie Hammer(アーミー・ハマー)、DJのSteve Aoki(スティーブ・アオキ)、ソーシャルメディアのスター、Sofia Richie(ソフィア・リッチー)とScott Disic(スコット・ディシック)らが参加した。彼らはみなイベント中に写真を撮られていた。なかには、ハッシュタグ#mdlbeastとともにInstagramなどのソーシャルメディアに写真を投稿し、その国を称賛する者もいた。

MDL Beast Festivalに参加した俳優のRyan Phillippe(画像クレジット: Daniele Venturelli / Getty Images)

このイベントはすべて、サウジアラビアの事実上の支配者であるMohammed bin Salman(ムハンマド・ビン・サルマーン)皇太子の改革努力を宣伝するためのものだ。この保守的な王国は、女性の権利、倫理、少数民族の人権の弾圧で悪名高く、大勢が飢えに苦しみ10万人以上が死亡するに至った長期化するイエメンでのサウジアラビア主導の内戦、ワシントンポスト紙のコラムニストでサウジアラビア人反体制派ジャーナーリストだったJamal Khashoggi(ジャマル・カショギ)氏を国家の命令で暗殺し遺体をノコギリで切断して捨てたとされるおぞましい疑惑、その他、体制に逆らう者を黙らせるための数々の国家的弾圧などといった悪いイメージの払拭に必死になっている。

王国がどこまで改革を進める気かを示すひとつの例として、ハロウィンにリアドで開かれたWWE女子プロレスの試合が挙げられる。アムネスティー・インターナショナル中東および北アフリカ権利擁護ディレクターはこれを「スポーツウォシュ」(スポーツによるごまかし)と呼んでいる。MDL Beast Festivalではさらに、サウジアラビアが建前ながらどれほど進歩的になったかを強調しようとしている。

王国の甘い誘いをはね除けた者もいる。ヒップポップのスターのNicki Minaj(ニキー・ミナージュ)は、7月にサウジアラビアで開かれた別の音楽祭の出演予定をキャンセルした。非営利団体Human Rights Foundation(ヒューマン・ライツ・ファンデーション)からの出演辞退の要請を受けてのことだ。そのときミナージュは、次のような声明を発表している。「私はただ、サウジアラビアのファンにショーを見てもらいたかった。(しかし)問題について勉強するうちに、私は女性の人権、LGBTコミュニティー、そして表現の自由を守る立場を明確にすることが大切だと思ったのです」。

モデルのEmily Ratajkowski(エミリー・ラタコウスキー)も、サウジアラビアの人権問題の記録を見て、MDL Beast Festivalの有償の招待を断っている。「女性の権利、LGBTQコミュニティー、言論の自由、そして報道の自由を擁護する姿勢を明らかにすることは、私にとって大変に重要です。今回のことで、あの国の権利侵害への関心が高まることを期待しています」。

ところがライアン・フィリップは、あの週末の豪華なショーへの招待を受け入れた決断について、Instagramで弁明している。彼は「素晴らしい人たちと、魔法のような日々を過ごした。旅行は大好きだ。異文化も大好きだ。ボクたち人類の調和を通じてつながる方法を探せることは素晴らしい。世界のどこであろうと、こうしたつながりによって、もっとポジティブな変化と進歩がもたらされると期待してる」と書いている。

その決断は、数日後にはフィリップ(やその他の有名人)の評判を貶める結果になってしまった。カショギ氏の事件に関する新たな発見に世界の注目が集まったからだ。

1年以上前に、CIA(米国中央情報局)はサルマン皇太子が暗殺を指示したと結論付けたが、王国は殺人へのあらゆる関与を否定し続け、サウジの工作員が土壇場の判断で行ったことだと主張してきた。なお、その言い分は「工作員は殺害を目的とし、そのための道具も持って訪れている」ことを示す十分な証拠と矛盾するとニューヨーク・タイムズは指摘している。

現在、サウジアラビアの法廷では、秘密のベールに包まれた裁判が行われ、カショギ氏殺害の罪で5人の男性に死刑が、3人に合計24年の懲役刑が言い渡された。サルマン皇太子の元顧問のトップと諜報部元副長官は、どちらも容疑者から除外されている。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、この判決には不服申し立てができるという。ただしサウジアラビアでは死刑は公開斬首になることもあると書かれている。いずれにせよこの判決は、これからの西側諸国の王国との関わり方をさらに複雑にするだろう。インフルエンサーをはじめとする、この国から金を受け取るか否かを判断しなければならない人たちにはなおさらだ。この判決は「ホワイトウォッシュ」(隠蔽工作)だと、アムネスティー・インターナショナルの中東調査ディレクターLynn Maalouf(リン・マルーフ)氏は、多くの人権擁護団体の懸念に応え、23日早朝に声明の中で述べた。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

インフルエンサーの“個人ブランド”が主流の時代へ 、D2C基盤「picki」が5つのファッションブランドを公開

「これからは個人が立ち上げたパーソナルブランドが主流になる」

そう話すのはインフルエンサーのファッションブランド作りを支援するD2Cプラットフォーム「picki」を手がけるpicki代表取締役の鈴木昭広氏だ。

同社では服作りやブランド作りのノウハウを持っていない個人でも自身のブランドを作れるように、企画から生産、物流までの工程を全面的に支援するサービスを手がける。鈴木氏の表現を借りれば「出版社が企画段階から入って作家をプロデュースするように、ブランドの企画段階から入ってインフルエンサーをプロデュースする」のがpickiの役割だ。

そのpickiは10月15日より、人気インフルエンサーが手がける5つのファッションブランドを順次リリースする。

インフルエンサーの個人ブランド作りを全面バックアップ

今回pickiが発表したのは2019年秋冬物シーズンにリリースする5ブランド。バチュラーのシーズン3に出演する中川ゆり氏を始め、田島ひかる氏、佐々木ののか氏、Rinkarin氏、anna氏の5名が各々のファッションブランドを開設する。pickiにとっても本格的なブランドのリリースは今回が初めてだ。

pickiは冒頭でも触れた通り、インフルエンサーのもの作りに伴走するプラットフォーム。社内にデザイナーを始めとしたプロフェッショナルを抱えるとともに、パートナー工場や生地店とのネットワークを活用することで商品の「企画、生産、販売、発送」をトータルでプロデュースする。

従来のアパレル産業では分業体制が進んでいたため、消費者の手に商品が届くまでの工程を複数のプレイヤーが分担していた。一方「D2Cプラットフォーム」を謳うpickiではその中間に位置していた商社やメーカー、卸売、小売店の業務をまるっと担い、消費者に直接商品を届ける。中間業者が減ればマージンも減るため、その分だけ利益率も高くなりインフルエンサーの取り分も増える構造だ。

創業者の鈴木氏は、pickiを始める前に韓国や日本でアパレルOEM会社を経営していた人物。その後「世界に挑戦できるような事業をやりたい」という思いから、約1年半の間に世界50ヶ国以上を回ったそうだ。

「海外では日本のものづくりに対する評価が高かったことに加え、ちょうどアメリカでD2Cモデルのブランドが勢いを増していた。この領域なら自分でも挑戦できると考え、2017年に日本で再び会社を立ち上げた」(鈴木氏)

最初はアパレルOEMの経験も生かしD2Cブランドの立ち上げを下請けすることからスタート。いくつかの案件に携わる中で、特に伸びていたのがインフルエンサーが立ち上げた個人ブランドだ。

わずか1週間で1000万円規模の売上を記録するブランドがいくつか生まれたほか、世の中には年商で二桁億円規模に達するようなものも登場。そういった影響から最近ではインフルエンサーによるブランド立ち上げ事例がどんどん増加していっているという。

「これまでECで売れていたのはマス向けのものが中心だったが、近年はロングテールのエッジが効いたブランドがより売れるようになってきている。その中でアパレル企業のデザイナーが1人で何十ものデザインを考えてPDCAを回していくやり方よりも、コミュニティの中心にいる人が、熱狂的なファンに対して自らデザインした商品を届けていくスタイルが広がっていくのではないかと考えるようになった」(鈴木氏)

それならばインフルエンサーが自身でブランドを作ってしまえば良いと思う人もいるだろうけど、多くのインフルエンサーは服作りやブランド立ち上げのプロではない。そこでpickiのように全体をプロデュースできるプレイヤーが求められるわけだ。

国内でもインフルエンサーのブランド立ち上げをサポートする会社はいくつかあるものの、鈴木氏によると「実は韓国から買い付けてきた商品のタグを変えて販売しているケースも多い」そう。完全にオリジナルでこだわりのブランドを作れることはpickiのウリとなっている。

ブランド作りの過程をエンタメ化しファンを巻き込む

pickiで展開するような個人ブランドにおいては、いかにファンを巻き込み熱量の高いコミュニティを築けるかが1つのポイントになる。その上で鈴木氏が重要視しているのが「ブランドを作る一連の過程自体をエンタメ化すること」だ。

ブランド作りにかける思いをまとめた記事や制作過程を追った映像をInstagramを中心としたSNSやECサイトを通じて発信したり、生地や服の型、袖の色などに対するファンの意見を各工程ごとに募ったり。服作りのストーリーをファンと一緒に作っていくことで強固なコミュニティができるという。

「よく話しているのが『7割のサンプル』を作るということ。あえて3割の余白を残すことで、ファンの人たちが一緒にものづくりに参加できる隙間を設ける。たとえばサンプルの段階で試着会を開き、着心地やボタンの色や形のような細かいデザインに対してフィードバックをもらう。そうするとファンの人たちは『この服は自分が一緒にデザインした』と感じることができ、コミュニティに対して一層愛着がわく」(鈴木氏)

鈴木氏はこの仕組みがうまく機能することで「実際に売る前から商品が売れるモデル」が成立すると話していた。

もちろん個人を軸としたコミュニティから生まれたブランドには課題もある。そのコミュニティがよっぽどの影響力を持たない限り、そこまで大きな規模には育たないという点だ。

鈴木氏もそれが1つの欠点であるとした上で「30億円などの大規模なブランドではなく、年間で1億円〜数億円売れるブランドが作れればいい」と話す。

「季節ごとに複数の型数の商品を作れば、数百〜数千人のコミュニティでも年間1億円規模は十分に目指せる。自分たちの目標はそういったニッチなブランドを100個生み出すこと。どんどんブランドを作っていけばデータが蓄積され、この領域で日本で1番データを持っている会社になる。そうすればブランド間でナレッジを横展開したり、データに基づいてコミュニティを育てていくこともできる」

「ニッチでも尖っているブランドは海外にも需要があると考えている。売れてるものをコピーして同じような商品を作ったり、他国から仕入れてきたものを自社ブランドとして海外に展開していくのは難しい。自分たちがやらなきゃいけないのは日本発の尖ったブランドを立ち上げ続けることだ」(鈴木氏)

「ブランドメイクカンパニー」としてブランド開発を加速

左からGOコピーライター 飯塚政博氏、picki代表取締役 鈴木昭広氏、GO代表取締役 三浦崇宏氏

pickiでは今年5月にサイバーエージェント・キャピタル、Coral Capital 、VOYAGE VENTURES、コルクらから6000万円の資金調達を実施したことを発表していたが、今回新たにクリエイティブカンパニーのThe Breakthrough Company GOと資本業務提携を締結したことも明かしている。

株主との連携については、たとえばpickiで最初にインフルエンサーの原体験を聞き出す際に、コルク代表取締役会長の佐渡島庸平氏直伝の質問集が使われているそう。今後はそこにGOのナレッジもプラスしながら、ファッションブランドを立ち上げたいインフルエンサーを支援する「ブランドメイクカンパニー」としてブランド作りを加速させていく計画だ。

「当初から思い描いているのは『日本のものづくりをエンタメ化して、誰もがクリエイターになれる世界』を実現すること。YouTuberが動画を作って稼げるように、個人がファッションクリエイターとしてブランドを立ち上げ稼げるような世界を作っていきたい」(鈴木氏)

プロバスケチーム・千葉ジェッツふなばしがTHECOOと提携、ファン交流が可能な会員制コミュニティ開設

THECOOは9月27日、運営する会員制ファンコミュニティ運営アプリ「fanicon」(ファニコン)にて、プロバスケットチームの千葉ジェッツふなばしファンクラブ会員向けにファンコミュニティサービスを開始することを発表した。

写真に向かって左から、千葉ジェッツふなばしの米盛勇哉代表取締役社長、THECOOの代表取締役CEOの平良真人氏

THECOOは、前述のfaniconの運営のほか、インフルエンサーの養成やマーケティングなどの事業を展開している2014年1月設立のスタートアップ。faniconは、誰もが手軽に会員制ファンコミュニティが運営できるのが特徴のサービスで、最近では著名インフルエンサーのゆうこす(菅本裕子)が「#ゆうこすのうらがわ」を開設し、ファン限定イベントなどを開催している。faniconでは、インフルエンサー(アイコン)からのメッセージやライブ配信を含む映像を会員向けに公開できるほか、ファン同士の交流、スクラッチ、グッズやチケットの販売などの機能を備える。有料会員限定としているため、アンチや荒らしが混入せず、ファンの熱量をより高められるのが特徴だ。

ファンコミュニティ運営アプリ「fanicon」

関連記事:ファンクラブ誰でも運営アプリ「fanicon」にチケット・グッズ販売機能が加わる

千葉ジェッツふなばしは、プロバスケットボールリーグであるB.LEAGUEに所属する千葉県船橋市を拠点とするチーム。ホームの試合場(ホームアリーナ)は船橋アリーナ(船橋市総合体育館)で、2018年度はホーム30試合で累計15万人超、1試合平均5000人以上集客を誇る。日本のプロバスケット選手の平均年俸が1000〜2000万円程度の中、日本人初となる1億円プレーヤーである富樫勇樹選手が所属するチームとしても有名だ。直近では3年連続の天皇杯(全日本バスケットボール選手権大会)優勝、2年連続の地区優勝を果たし、2011年に当時のbjリーグに加盟してから8年連続黒字経営が続けている人気チームだ。

10月からB.LEAGUEの2019-2020シーズンが始まる。千葉ジェッツふなばしは、10月5日に東京・青山学院記念館にてアウェーでの開幕戦を控えている。対戦相手は千葉ジェッツふなばしと同様にB1リーグ東地区に属するサンロッカーズ渋谷

同チームは、2019年4月にミクシィと戦略的資本業務提携も発表。ミクシィは2017年7月から同社のエンターティンメントブランドであるXFLAGを通して千葉ジェッツふなばしを支援してきたが、この提携により、千葉ジェッツふなばしの株式も取得したことで、船橋整形外科からオーナーを継承。現在、1万人収容のアリーナ建設を目指すとともに、フロントの人材強化を進めている最中だ。

今回のTHECOOとの提携について千葉ジェッツふなばしの米盛勇哉社長は「ファンクラブには5000人ほどの有料会員がいますが、ブースター(ファン)が増え、いろいろな問題も出てきた」と語る。「まず、チームが有名になったことでファンとの距離感が出ていました」とのこと。

続けて米盛氏は「プレイ以外に選手の魅力をアピールする仕組みがなかった」とも語る。一部のブースターを中心にこれまでも小さなコミュニティは形成されていたほか、個人のアカウントで情報発信する選手もいたが、人気チームとなったいま、そういった情報が集約できる場所の必要性を感じていたそうだ。「ブースター同士の交流、一体感によって熱量がさらに高まる」とfaniconを活用する理由を教えてくれた。「将来的にはこういった施策が他のチームにも波及して、リーグ全体がさらに盛り上がることを期待している」とのこと。

選手の側の反応については米盛氏は「私は、昭和は野球、平成はサッカーとプロスポーツが注目されてきましが、令和はバスケットボールといえるようにリーグ全体を盛り上げたいと考えています。選手は、プレイはもちろんですがファンサービスの重要性を理解してくれています」とのこと。

「千葉ジェッツのブースターの過半数は女性で、他のプロスポーツのファンクラブに比べて女性比率が高いのが特徴です。船橋市はバスケットボールが盛んな地域でファミリーブースターも多い」と米盛氏。プロスポーツチームにとって、チケットはもちろん、選手のグッズ販売も重要な売上の一部。しかも千葉ジェッツは、1万人規模の新アリーナの建設も控えている。faniconを活用してブースターの数と熱量をさらに高め、ブースターと一緒にリーグ全体を盛り上げていく狙いだ。

誰もがインフルエンサーになりたい!Z世代のイベントVidConで感じたソーシャルメディアの未来

毎年ロサンゼルスのアナハイムで開かれるデジタルコンテンツのカンファレンスVidConが、今月の開催で10周年を迎えた。VidConは、影響力を高めたいと願っているオンラインクリエイター、そのファンやブランドマーケター、娯楽企業のためのイベントだ。

昨年は7万5000人以上の参加者があり(今年はそれを上回っている感じ)、ティーンエイジやトウィーンエイジ(9歳から14歳ぐらいの女の子)の若者たちも、大好きなインターネットのスターに会いに世界中から集まって来る。

VidCon2019に登場した虹の滑り台、かき氷とアイスクリームと綿飴を合体させたビックリもののユニコーン、巨大なInvisalignブランドのキャンディーマシン

今回は、私たちにとって2回目のVidConになる(2018年の取材記事はこちら)。ティーンエイジャーのカルチャー、インフルエンサーのマーケティング、ソーシャルプラットフォームの未来を知りたい人間にとって、ここは最高の場所だと私たちは感じた。そこで、私たちがこのイベントで学んだ5つのことを、興奮を交えてお伝えしたいと思う。私たちが見逃したものがあれば、どうか教えていただきたい。ミレニアル世代、Z世代についてもっと詳しく知りたい方は、私たちの週刊ニュースレターを購読していただきたい。

要約:私たちが持ち帰った5つのお土産

  1. TikTokはZ世代の間で爆発的な人気を呼んでいて、多様で「リアル」なクリエイターが他のプラットフォームよりもずっと多く生まれている。ブランドマーケターは、今でもTikTokのエコシステムが自分たちの居場所だと考えているが、一部のアーリーアダプター(メキシカンファストフードチェーンのChipotleなど)は大変に大きな結果を得た。
  2. トップクリエイターたちはメンタルヘルスについて、またユニークで高品質なコンテンツを継続的に生み出し続けることの大変さについてオープンに話し合うようになっている。彼らは新しいクリエイターたちに、もっと「安定した」プラットフォーム(アルゴリズムの依存度が低いもの)を探すこと、そして自分自身の価値を数値で測るのを止めようと訴えている。
  3. クリエイターたちは、ブランドとのスポンサー契約に慎重になりつつあり、自身のプロダクションを立ち上げる人たちが増えている。多くのクリエイターは、制作の管理のためのビジネスマネージャーを雇っている。また、インターネットを使って比較的簡単にそれが行えるようになっている。適切に行えば、増収と、ファンからの暖かい反応が得られる。
  4. 5年前は、デジタル・クリエイターはセレブになりたがっていた。今はセレブがデジタル・クリエイターになりたがっている。俳優やスポーツ選手は、今に彼らの「本来の仕事」よりもデジタル作品を通してZ世代の間で有名になるだろう。
  5. コンテンツ制作技術が民主化され、誰もがインフルエンサーを目指すようになった。VidConは、純粋なファンのためのイベントから、インフルエンサーが戦術的なヒントやキャリアアップのためのつながりを求める戦略的なビジネス・カンファレンスに移行しつつある。

TikTokとニューウェーブの本物のクリエイター

15秒という短い動画を配信するアプリであるTikTokは、間違いなくVidConのスターだった。TikTok関連の討論会は、ほぼすべてが立ち見のみだった。2016年にローンチされたこのアプリは、現在、世界中で月間5億人のアクティブユーザーを誇るまでに成長した。前進であるMusical.ly(最大で1億人)をはるかにしのぐ。

完璧にキュレートされているInstagramのフィードとは対照的に、TikTokに最もふさわしい表現は「奇抜」だろう。動画は、コメディー番組の一場面や、ダンスや、TikTokのチャレンジで人気を呼ぶ奇妙な技などにより、瞬間的な笑いや幸福感を引き出すように作られる。VidConのようなイベントでは、ユーチューバーは警備員に囲まれて有料の懇談会でファンと接触しているのに対して、ティックトッカーはもっと身近だ。外見にも多様性がある。ティックトッカーの多くは、Instagramのモデルというよりは、ビリー・アイリッシュに近い。

TikTokのスター座談会。髪の毛が青でもピンクでもないクリエイターは6人のうち1人だけ。

TikTokは、本物を重視することで差別化を図っている。同社のプロモーション動画では、インフルエンサーではなく行動する人を求めると公言されている。撮影と編集に何十時間も費やすユーチューバーと違い、ティックトッカーは、自らの作品を自然発生的なものと言っている。ダンサーデュオのOurFireのChris Kerr(クリス・カー)は、「TikTokとは瞬間に生きること。15秒しかないから、瞬間的にやって上げるだけだよ」と話している。ティックトッカーのAndrea Okete(アンドレア・オキート)(dreaknowsbest)は、「他のプラットフォームみたいにボックスの中に自分をはめ込む必要を感じさせないからTikTokが好き。私はただのドレアになって、みんなも私がそうすることを喜んでくれる」と話していた。彼女は、TikTokの動画に映ったミスをわざと残して、ファンがそれを見つけてシェアできるようにしている。

このプラットフォームの驚くべき多様性に、人々は気付いていません。あらゆる人種、年齢、職業。消防士、おばあちゃん、看護師、12歳児。他のプラットフォームでは声を上げられない人がたくさんいます(TikTokジェネラルマネージャー、Vanessa Pappas(バネッサ・パーパス))。

TikTokの本物志向は、Z世代を採り入れようとする多くのブランドにもアピールするものだ。Chipotleの上級デジタルマネージャー、Candice Beck(キャンディス・ベック)は、同社がもっと信頼性のあるコンテンツをマーケティング戦略に採り入れようと決めたとき、TikTokで2億人以上もの視聴者を集めていた#LidFlipChallengeのインフルエンサー、David Dobrik(デイビッド・ドブリック)と手を組んだと話している。Chipotleは、ドブリックブリトーを発売した後、1日のデジタルセールスの最高額を記録した。その他、TikTokと手を組んだブランドには、ジミー・ファロンNBAワシントンポストがある。

メンタルヘルスの限界点に到達

クリエイターたちは、燃え尽き症候群やメンタルヘルスとの戦いについて、堰を切ったように話し始めている。この問題をテーマにした討論会では、5人のクリエイターが、YouTubeで成功した後に神経衰弱を患った体験談を交換した。ギャビー・ハンナ(Gabbie Hanna)は、動画撮影の合間にパニック障害に陥り、毎週水曜日公開のスケジュールに間に合わないと泣き伏した話していた。Elle Mills(エリー・ミルズ)は、絶え間ないツアーと撮影の異常なスケジュールにより、スターダムにのし上がって1年も経たないうちに「大っぴらに精神疾患を発症」したと話していた。

誰も見てくれてないと感じて、とても辛かった。私が頑張ってきたすべてのものが、私から持ち去られてしまうって。だから多くのユーチューバーは精神をやられる。そんな心理状態なの(エリー・ミルズ)

ユーチューバーは簡単で楽しい仕事のように思われるかも知れないが、トップのクリエイターたちは過酷なスケジュールに苦しんでいる。自身のチャンネルNatalies Outletに800万人近い購読者を持つナタリー・アルゼータ(Matalie Alzate)は、毎週2本の動画を制作するために1日18時間働いている。クリエイターを目指す人たちに、彼女は「本当に体にこたえる」と警告している。そして、いずれはYouTubeをフルタイムの仕事ではなく、趣味にしたいとも話している。11歳でユーチューバーになったMikey Murphy(マイキー・マーフィー)は、21歳になった今は「アイデアが枯渇した」と話している。毎週定期的に動画を公開するYouTubeの基準は「病的だ」と断定し、若いクリエイターたちには「自分を潰してしまう」ので、アナリティクスは無視するよう助言している。

よくある悪意のコメントによるプレッシャーだけでなく、メタルヘルスに関してオープンに発言するクリエイターたちには、同じ悩みを抱えるファンたちのコミュニティの代表としてのプレッシャーもある。ユーチューバー(ContraPoints)のナタリー・ウィン(Natalie Wynn)は、ジェンダー、人種、政治を題材にした動画を制作しているが、もっとも怒りに満ちたコメントは、同じトランスジェンダーの人たちから来るという。その対処は「本当に大変」だ。YouTubeのアルゴリズムは、彼女のファン以外にも動画を広く配信してしまうため、トランスジェンダーに反感を持つ人たちにもアピールする内容にしなければと、彼女は責任を感じている。そのため彼女は、深刻な問題について語るときでも、楽しく「押しつけがましくない」口調を心がけている。

クリエイターは#SponConから独自ブランド設立に動いている

クリエイターにとって、スポンサー付きのコンテンツは、長い間厄介な問題だった。有名になって、ひとつのブランドと契約を交わすと、「身売りした」とか「信用できない」といった批判を数多く受けるようになる。ブランドから報酬を受け取れば、ファンは、そのブランドの製品のお勧めや使用レポートを信頼しなくなる。そのため、スポンサーが付いている事実を隠してコンテンツを流すクリエイターも一部に現れる(それは違法だ)。

今回、私たちは、クリエイターのスポンサー契約に対する考え方の変化に気がついた。クリエイターの多くは、ブランドからの申し出は、自分自身がそのブランドを本気で愛していて、ファンもそのことをよく知っている場合を除いては、もう検討しないと話していた。58万人の購読者を誇るファッション系ユーチューバーのSierra Schultzzie(シエラ・シュルツィー)は、アメリカンイーグルのジーンズの話をよくするので、彼女の動画にアメリカンイーグルをタグ付けするファンが多いと話していた。彼女がそのブランドと契約を交わしたとき、「やっと」彼女のスポンサーになってくれたと、ファンたちは歓迎した。

シエラ・シュルツィーのファンは、彼女がアメリカンイーグルとスポンサー契約を交わしたとき、それ以前から彼女がこのブランドを大好きだったことを知っていたファンは、これを受け入れた(このブランドの製品を勧める彼女へのファンの信頼が厚かったこともある)

マーケターも、創造性に関する自社の支配権を譲ることに同意している。クリエイターは、どんな内容が共感を呼ぶかを知っている。企業から渡された宣伝文句を読み上げることなどしたくない。WeRateDogsを運営するMatt Nelson(マット・ネルソン)は、新作映画「ダンボ」のためのTwitterキャンペーンをディズニーとともに行った。キャンペーンの成功の勝因を彼は、「ディズニーが僕をクリエイターとして尊重して、人々が何を求めているかを知るボクに、自由にやらせてくれたこと」だと話している。彼はアナリティクスにこだわりを持つことで、どうすればうまくいくかを把握している。結果とて彼は2万2000件のコメントを受け取り、ダンボのような耳の犬の写真を募集する投稿で7万件の高評価を獲得した。

金曜日に『ダンボ』が公開されるのを記念して、ダンボみたいな耳の犬の写真を募集します。勝者の発表は木曜日!

多くのクリエイターが、独自ブランドの創設へ一歩踏み出している。彼らは、誰でも製品ラインを立ち上げることができる新サービスを利用している。これはもはや、YouTubeのメガスターだけのオプションではない。事実、80万人の購読者数を誇る15歳のFiona Frills(フィオナ・フリルズ)は、セフォラやアルタといったショップではニキビ用のスキンケア商品が見つけられず、独自の商品をローンチしたのだが、それは簡単だったと話している。妻がCute Girls HairstyleというYouTubeチャンネル(購読者数560万人)を運営しているShaun McKnight(ショーン・マクナイト)は、条件のいいヘアーブランドからの申し出を10年間断り続けていると話していた。自分たちの独自ブランドを立ち上げる計画があるからだ。

マクナイトの双子の娘、ブルックリンとベイリー(購読者数620万人)も、独自のマスカラのブランドを立ち上げた。自宅で開発し、一部の資金をIndiegogoで調達した。その後、彼女たちは、このブランドを、その他の美容製品やアクセサリーにまで広げ、25万セットものシュシュを売りさばいた。インフルエンサーが独自ブランドを立ち上げることができるのなら、収益のほんの一部しかもらえない、好きにコンテンツを作らせてくれない、その上ファンから「身売りした」と責められる企業とのスポンサー契約など交わす必要があろうか。

セレブがクリエイターになりたがる時代

この5年間、私たちはZ世代の“伝統的”なセレブがインフルエンサーに置き換わってゆくのを見てきた。この世代は、従来型のテレビ放送を見る時間がきわめて短く、スマホを見て過ごす時間が長い。平均的Z世代はインターネットの動画を1日に3.4時間視聴している。Z世代の最大のスターが、ディズニーやニコロデオンなどではなく、YouTubeやInstagramやTikTokから現れるのもうなづける。そして今、主流のセレブも、デジタル・クリエイターになってZ世代に近づきたいと考えている。

その最たる例がウィル・スミスだ。彼は2017年末にInstagramアカウントを開設し、昨年、YouTubeチャンネルを開設した。今では大量のコンテンツをアップし、十代の若者の間で人気のチャレンジに参加し、キング・オブ・インスタグラムの称号を獲得している。プロスポーツ選手も、若いファンを獲得しようとソーシャルメディアを活用し始めている。プロバスケ選手カメーロ・アンソニーのビジネス戦略チームを率いAsani Swann(アサニ・スワン)は、アンソニーが「子どもが視ているものをたくさん視てる」と話している。彼は常に、こう自問しているという。「子どもたちは、どんなふうにコンテンツを取り込んでいるのか、次の流行は何なのか?」。

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10 Million – THANK YOUS to my New Instagram Fam! . Obrigado | Gracias | धन्यवाद् | Grazie | شكرا | Merci | Danke Sehr | 谢谢 | Спасибо | ありがとうございました | ‎תודה | Ευχαριστώ | Mahalo | Gràcies | 감사합니다 | ขอบคุณครับ | Tak | Hvala | Děkuji | շնորհակալություն | Dankie | Faleminderit | Takk | Dank je | Tänan | Kiitos | Köszönöm | Ngiyabonga | Terima Kasih | Paldies | Ačiū | Благодарам | Grazzi | Баярлалаа | Dziękuję | Mulţumesc | Ďakujem | Tack | நன்றி | teşekkür ederim | Дякую | Diolch | Murakoze | ممنون | გმადლობ | Asante | Sag boluň . (Extra special thanx to you @roger.avary)

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ウィル・スミスの1000万フォロワーを祝うInstagramの投稿。「昔は、映画スターになるには、謎めいていて別世界の存在になる必要があった」ため、これまでソーシャルメディアは避けてきたと彼は話している。

2つのアカウントで300万フォロワーを持つユーチューバーのKristopher London(クリストファー・ロンドン)は、バスケットボールのコンテンツで、YouTubeの有名人になった。プロとしてプレイしたことはないが、NBAサマー・リーグなどのイベントでは、NBAの選手よりも人気が高い。彼は「子どもたちがボクと写真を撮りに来るとき、NBA選手には目もくれない」という状況を奇妙に感じると話している。彼の元には、NBAのビッグスターたちから動画に出演したいとの申し出が寄せられる。

オリンピック体操選手のShawn Johnson(ショーン・ジョンソン)は、現在、週2回、YouTubeで動画を公開している。彼女は常にチャレンジに参加し、ストーリーをアップし、十代のインフルエンサーたちとコラボしている。クリックベイトも気にせず使う。ショーン・ジョンソンのことを体操選手ではなくユーチューバーとして知れ渡る世界を想像するのは難しくない。

クリエイターの偶像化から新世代のエンパワーメントへ

数年前、VidConはほぼファンの集いだった。ファンが大好きなクリエイターと増え合える場だった。今でも、そうした企画は数多く行われてはいるものの、自分もクリエイターになりたいと願うファンも増えてきた。VidConに参加する若い人たちは、次第に、インターネットで実績を積む方法を学びに来るようになっている。最近の調査によれば、英国の11歳〜16歳の若者の、憧れの職業の第2位がインフルエンサーだ。

大きくなったら何になりたいか?英国の11歳〜16歳の子どもを持つ親2000人を対象とした調査

この変化は、VidConの内容にも影響を与えている。コンテンツの作り方とオーディエンスの集め方に重点を置いたクリエイターセッションが、今では目玉の出し物になっている。モデルでイン・リアル・ライフのストリーマー、Bri Teresi(ブリー・テレシ)を招いて行われたライブストリーミングのためのクリエイターセッションでは、参加者はお決まりのファンの質問コーナーを飛ばして、ストリームのオーバーレイにはどんな技術を使っているのか、新しいストリーマーにはどんなプラットフォームがもっとも使いやすいか、ドキシングをどのように避けるかといった質問がブリーに向けられた。

ブランドは、意欲のあるクリエイターを引き立てることで、自社のコンテンツへのエンゲージメントが増やせることに気がついた。eスポーツのメディア・プラットフォームであるSuper League Gamingの上級マネージャーであるMichelle D’Antonio(ミシェル・ダントニオ)は、若いゲーマーを盛り立てることが、ブランドの成長の鍵だったと話している。Super Leagueは、現在、「Spawn Point」という番組を毎日配信し、ユーザーの投票で選ばれたプレイヤーを紹介している。「(今の若者たちは)こんな感じ。『Ninjaもすごいけど、自分がそうなりたい』」のだという。

この変化は、VidConの巨大な展示ホールにも現れている。若い消費者を惹きつけようと、ブランドがブースを並べていた。インフルエンサーの物品販売ブースは、インフルエンサー本人がたまたま居あわせたとき以外は、驚くほど閑散としていた。人気のブースでは、来客自身のコンテンツ制作を行わせて、潜在オーディエンスの獲得を狙っていた。バービーやベストバイといったブランドは、ブースに簡易スタジオを設け、客をクリエイター席に座らせていた。こうしたブースには、スポットライトを浴びたい人たちの数十人から、ときには数百人の列ができていた。私たちは、こうした流れは加速すると見込んでいる。そのため、消費者がコンテンツを作り、そこからビジネスを発展させられる新しい技術が登場することを、大いに期待している(私たちはこれをクリエイターインフラストラクチャーと呼んでいる)。

生の観客の前で、eスポーツのステージに上がりビデオゲームをプレイしようと列を作る若者たち。プロの大会と同じように、彼らのプレイは大きなスクリーンに映し出される

最後に、VidConの展示ホールとコミュニティセッションで見つけた表面的なトレンドをいくつか紹介しておこう。

  • Twins  :特にTikTok上で。そっくりな2人の人が、まったく同じダンスの動きを見せる。
  • ASMR  :ASMR作家を招いた座談会はひとつだけだったが、来場者は2018年の4倍だったとパネリストの一人は話していた。すべてのクリエイターが、ASMRは、去年からずいぶん主流になってきたと認めている。
  • Glitter ✨:去年のVidConではタトゥーが大人気だったが、今年はグリッターや、その他のキラキラ光るものやホログラム物が流行っていた。とくに人気を集めていたのが、BlingerHolo TacoLemonhead LA
  • Facebook Watch/IGTV  :どちらのプラットフォームも、年齢層の低い若者たちの利用を目指しているが、Z世代の目は、IG、Snap、TikTokに向いている。Facebook WatchもIGTVも、クリエイターはもっと高い年齢層を対象にしていた。または、そのようなコンテンツの制作を奨励されていた(ただし、それでとくに満足していたとは限らない)。

【編集部注】著者のOlivia Moore(オリビア・ムーア)はと、姉妹のJustine Moore(ジャスティン・ムーア)は、ともにCRVのベンチャー投資家。Cardinal Venturesを設立。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

「古着女子」のyutoriが仮想モデルエージェント「VIM」設立

インスタメディア/コミュニティの「古着女子」や古着ECショップ連動型のインスタグラムアカウント「9090」などを運営するyutori。同社が6月、追加資金調達を発表した際に、「インスタグラムを軸にしたIP創出」に関するものと言及していた新規事業の詳細が7月5日、明らかになった。

yutoriが展開するのは、バーチャルインフルエンサーのみが所属するモデルエージェント「VIM(ヴィム)」。VIMでは、バーチャルインフルエンサーのプロデュース、マネジメントのほか、企業やブランドとのコラボレーションなどのサポートを行っていく。

米国では開発・投資が続くバーチャルインフルエンサー

「バーチャルインフルエンサー」の概念誕生は、インスタグラムに仮想セレブアカウントのLil Miquelaが登場した時点にさかのぼる。2016年4月に投稿が始まったMiquelaのインスタグラムアカウントは現在フォロワー数160万。“彼女”はPRADAやMONCLERなど有名ブランドとのコラボレーションに加え、自身のブランドやミュージシャンとしての活動も行っている。

「Miquelaプロジェクト」を動かすスタートアップ、Brudの企業価値は、最新の調達ラウンドで少なくとも1億2500万ドルと見積もられている。ほかにも“よりリアルな”バーチャルアバターの開発と投資が、米国では盛んに行われている(参考記事〈英文〉)。

日本人により親しみやすいキャラクターでは「バーチャルガール」immaが挙げられる。ピンクのボブスタイルのimmaの写真を見たことがある、という人も多いのではないだろうか。

今回VIMに所属が決まったのは、葵プリズムuca(ウカ)の2名のバーチャルインフルエンサーだ。“彼女”たちに共通するのは「世界観」や「キャラ」の濃さ、精密さ。葵プリズムは「バーチャルギャル」、ucaは「バーチャルドール」と銘打っており、投稿で身に付けるファッションアイテムや撮影場所、コメントなどに“彼女”たちの好みや性格が反映されている。VOCALOIDの初音ミクが「何でも歌えるし何でも歌う」のと比較すると、一口にバーチャルなキャラクターと言っても対照的に感じられる。

「バーチャルギャル」葵プリズム

「バーチャルドール」uca

「インスタハックで服を売る」腹を決めた片石氏

「腹決めができた」。yutori代表取締役CEOの片石貴展氏は、古着女子アカウント開設から約1年半、会社設立から約1年を経た現在の心境について、そう語る。

2018年5月に元エウレカの赤坂優氏らから、同年10月には家入一真氏らが率いるNOWから資金調達を行ったyutoriは、今年に入ってさらにNOW、アカツキ、KVP、野口圭登氏、中川綾太郎氏を引受先とする第三者割当増資を実施した。

昨年10月の資金調達を機に「広く浅く、いろいろやってみた」という片石氏。だが「非IT出身で『インスタ起業』をきっかけにして、カルチャーやファッション、コミュニティをベースに事業を進めてきたところを、ITスタートアップの動向など情報量の多い中に入ることになり、自信が持ちきれずにいた」という。

その後「やはり、インスタグラムハックによって洋服を売る、というところが軸になる」と確信した片石氏。「インスタグラムによるファッションのコミュニティという基盤もあり、人材もいて、ECなども含めたノウハウもある。“古着”という世界観を踏まえながら、新品の洋服も売れると考えている。ファッションレーベルを生産基盤を持ってプロデュースし、他社とも協業していきたい」と、今後の古着事業の展開について述べている。

現在、古着女子をはじめ、同社が運営するインスタグラムアカウントの総フォロワー数は35万を超え、古着女子のフォロワーは現在でも毎日300〜500アカウントほど増えているという。2つあるECストアも毎月売上がアップして順調に推移し、いずれも継続的に数字を伸ばしているとのことだ。

「Tシャツなど型のあるアイテムについては、工場と提携して(新アイテムを)5日で発送できる体制も整備した。古着事業については数字はまだまだ伸びるので、ブレずにやっていこう、と話している」(片石氏)

yutoriでは「コンプレックスをベースにポップなプロダクトをつくる」ところに核があると片石氏はいう。以前から古着を通じて「好きなことを好きと言う」「誰も恐れずに好きを体現できる」ことを目指してきた、片石氏らしい言葉だ。「(小柄な女性のためのブランド)COHINAとちょっと似ているかもしれない。メディアっぽいブランド展開は、ストリートブランドより再現性がある」(片石氏)

バーチャルだからできる日本発インフルエンサー

モデルエージェントのVIM立ち上げのきっかけは、2018年秋のことだと片石氏はいう。古着女子などの運営を通して「モデルとして服を着せたり、インフルエンサーのマネジメントをしたり、人のプロデュースもしたい」と考えていた片石氏だが「インスタグラマーでは、せっかく育ててきた人がより大きな事務所へ移るといったことも起こり得るので、よりウェットに攻めなければならない」と人主軸のプロデュースに難しさを感じていた。そんなとき、友人から前述したMiquelaについて書かれた記事を紹介してもらい、求めていたものだと考えたそうだ。

「バーチャルインフルエンサーなら、今までになかったアプローチでグローバルに展開でき、日本をいろんなアングルからシームレスに世界に打ち出して、認知を取ることができる」(片石氏)

片石氏は「CGのテッキーな部分とファッション性、キャラクターによるマーケティングの3つをすべて備えてバーチャルインフルエンサーを提供できる人は、まだ日本ではいないのではないか」と話している。「VTuber(のアバター)と違い、クオリティがすごく求められる」というCG制作については、業務委託によりプロの技を借りる。

「周りにどれだけ頼れるかがカギだ」と語る片石氏。2月に葵プリズムのアカウントが開設されてから5カ月が経ち、「ファッションもCGも含めて、周りの人を巻き込んで風を渦巻きのように起こすゲーム」と新事業についての感想を述べる。

既にいくつかの企業と協業でうごいており、グローバルに向けて強いメディアを持つ企業との提携も進んでいるというVIM事業。今後グローバルで100万フォロワーを獲得するため、認知拡大をさらに進めていくという。

「今後は所属するキャラクターを育てつつ、実在する売れっ子モデルをアバター化して登場機会を増やすことや、亡くなった著名人に現代なりの解釈を付加して教育に役立てることも可能性として検討している。あるいは、葵プリズムのように全く新しい人を生み出し、世界をつくることも考えている。アバターを取り巻く人やメディアも含めて、色を付け、ぬり続けることになるので、こちらは総力戦で取りかかることになるだろう。動画作成や生配信にもチャレンジしたい」(片石氏)

yutori代表取締役CEO 片石貴展氏

インフルエンサーがショッピング中にライブ配信、ファンと交流する「Shopping Party」

モバイルショッピング領域のスタートアップDoteは、「Shopping Party」という新機能に加え、1200万ドルの資金調達を発表した。

創設者でCEOのLauren Farleighは、Doteの当初の目標は「『真にネイティブ』なモバイルエクスペリエンス」を生み出すことで、「さまざまな店舗で簡単に商品を回覧できるようにする」ことだったと振り返る。

DoteのCEO、Lauren Farleigh

だが、時間が経つにつれ、ソーシャルメディアで影響力のあるのインフルエンサーたちが、同アプリにとって大きな存在となってきた。そこで行き着いたのがShopping Partyだ。

この新機能のコアとなるのはインフルエンサーたちだ。インフルエンサーたちは、Dote上で、ライブ配信をしながら、さまざまな商品を閲覧したり、ファンとチャットしたりできる。

Farleighいわく、昨年の秋、Dote所属のインフルエンサーたちと一緒にフィジーへ旅行に行った際に、このアイディアが生まれたのだと説明した。

インフルエンサーたちが空港で買い物をしたり話をしていたりするのを見て「これだ!」と思ったのだという。そのような経験は「友人たちと一緒にショッピングモールに行く習慣がなくなり、消滅した」のだと彼女は言う。

このアイディアはインフルエンサーの間では好評で、このように話しているそうだ。

「Instagramでライブ配信をするのは大好きだが、あまり『意味のある』やりとりをした経験がないので、(Shopping Partyは)良い挑戦になる。普段は、いつも通りのマンネリなQ&Aセッションになってしまうから」

(本稿は米国版TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

[US版TechCrunchの記事はこちら]

グリーがファンコミュニティサービスの「Fanbeats」発表、すでに大手含む30社以上の参画決定

YouTuberやクリエイターといった人たちの商業活動が活発化するなか、クリエイターとファン、そしてファン同士をつなぐ場であるファンコミュニティサービスの数も増えつつある。TechCrunch Japanで紹介してきたところで言えば、ファンクラブアプリの「CHIP」、YouTuberのマネジメントも手がけるTHECOOが手がける「fanicon」などがその例だ。

クリエイターが利用するサービスや彼らのサポートを手がける領域には、スタートアップだけではなく既存のインターネット企業からの参入も多い。2018年8月にVtuber専用ライブ配信サービスの「REALITY」をリリースしたグリーもその1つだ。そのグリーは1月23日、これまでSNSやゲーム事業で培ったプラットフォームの運営やマーケティングのノウハウを活用して新たなファンコミュニティ・プラットフォーム「Fanbeats」を開設したと発表した。

Fanbeatsが注力するのは、個人としてではなく、企業や団体としてエンターテイメント・コンテンツを生み出すクリエイター集団のファンコミュニティ醸成だ。同サービスでは、ユーザーはアニメやマンガ、ゲームなど16のカテゴリーの中から好みのクリエイターをフォローすることができる。クリエイターは無料のニュースレターなどを配信できるほか、SNSのように活動状況をタイムライン上で共有するなどの機能がある。もちろん、クリエイターとファンとの交流だけでなく、ファン同士がフォローしあってコミュニティを活性化することもできる。

そのほか、クリエイターが手がける新商品・イベントの事前予約をプラットフォーム上で行える「プロジェクト機能」を開始する。これは言わばコアファン限定のクラウドファンディングのような仕組みで、プロダクトに特に感心の高い層へのマーケティング施策としても機能する。

また、BASEやオープンロジなど7社の外部企業との提携により、ネットショップの開設やプロジェクト特典の配送代行などの各種サービスを利用できることも特徴だ。

現時点では、DMM GAMES、モブキャストゲームス、講談社など30社以上の企業・団体がクリエイターとしてFanbeatsに参加することが決定している。これらの企業が運営する40以上のアカウントが本日より公開され、2月中旬より、上述のプロジェクト機能を利用した各クリエイターによるプロジェクトが順次開始する予定だ。

創業三年で急成長、インフルエンサーマーケティングのMavrckが$5.8Mを追加調達

Mavrckが、新たに580万ドルを調達して、総調達額が1380万ドルになった。

2015年にシリーズAを調達したときは、クライアントの製品をすでに使っている“マイクロインフルエンサー”たちにフォーカスしていた。しかし今は、同社は“オールインワン”のインフルエンサーマーケティングプラットホームを自称し、マーケティング活動を自動化し効果を測定するためのさまざまなツールを提供している。

同社はPinterestとマーケティングで公式にパートナーしているが、先月はPinterestのための新しい機能を発表した。同社によると、これまでは効果測定と詐欺の検出の改良に力を入れてきた。またInstagramのフォロワーに関しては“統計的に有意な標本分析”を掲げ、彼らのコンテンツにエンゲージしているアカウントがボットか否かを判定する。〔ボットは統計的に有意な標本ではない。〕

顧客にはP&G, Godiva, PepsiCoなどがいて、経常収益は年率400%で伸びている。

今回の資金調達の発表声明でCEOのLyle Stevensはこう語っている: “今年Mavrckがやってきたことにはどれも、インフルエンサー産業を前進させる意図が込められていた。導入した機能や、締結したパートナーシップ、追跡してきたインフルエンサーのビヘイビアなどなどはどれも、マーケターが人びとが信頼するコンテンツのパワーを装備して、彼らのブランドのための具体的な事業価値を育てるようにする、という、弊社のミッションの一環である”。

新たな資金の投資家は、GrandBanks CapitalとKepha Partnersだ。シリーズBではなくて、需要増に対応しチャネルとのパートナーシップをサポートするための追加資本だ、という。

画像クレジット: Mavrck

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SnapchatのPRを担当した企業がInstagram上のSpectaclesの宣伝をサボったインフルエンサーを告訴

【抄訳】
もしもSnapchatのPR企業がこの訴訟で勝ったら、インフルエンサーを利用するマーケティングは今後責任が重くなるだろう。Snapchatは、ソーシャルメディアのスターたちが同社のカメラサングラスSpectaclesのv2を、同社の最大のコンペティター(Instagram)の上で宣伝し、人気を盛り上げてくれることを期待していた。なにしろv1は22万台しか売れず、4000万ドルを償却せざるをえなかった。しかしところがSnapは、一般消費者にSpectaclesをクールと思わせたいあまり、やり方がややずさんだったようだ。

Snap Inc.は。同社のPRを担当しているPR Consulting(なんと想像力豊かな社名だろう!)に、Instagramを利用するインフルエンサーマーケティングキャンペーンを委嘱した。PRC社は、テレビの人気コメディGrown-ishに出ているLuka SabbatがKourtney Kardashianと共演しているのを見て、彼を起用した。Sabbatは前金45000ドルをもらい、Spectaclesを着けている写真をInstagramにポストしたらさらに15000ドルもらえることになった。

契約ではSpectaclesを着けた状態でInstagramのフィードへのポスト1回、Storyへのポスト3回、そしてパリとミラノのFashion Weeksへ行ったときも、Spectaclesを着けた状態で写真に撮られること、となっていた。Storyのポストのうち2回は、スワイプするとSpectaclesを買えるリンクがあること。ポストはすべてPRCの事前承認を要すること。それらの効果に関するアナリティクスの数値を送ること。といった契約だった。

しかしSabbatは、Storyは契約3に対し実行1、スワイプ購入リンクは契約2に対し1、事前承認とアナリティクスはゼロ、という実行内容だった。このことを最初に報じたVariety誌のGene Maddausの記事によると、PRCはSabbatに、すでに支払った45000ドルの返金と被害補償45000ドルの支払いを求めて、訴訟を興した。Snap自身は、訴訟に参加していない。

訴状の原文を、この記事の下に埋め込んだ〔この記事の原文で埋め込みを見られます〕。それによると、“Sabbatは不正に金銭を受け取り、PRCに賠償請求の権利が生じた”、とある。Snapは、PRCにキャンペーンを委嘱したことを認め、ファッションブログMan RepellerのファウンダーLeandra Medine Cohenともキャンペーンを契約したことも認めた。そしてこのぼくは、一応礼儀として、Spectaclesを着けたSabbatの顔写真(この記事冒頭)をちょっとPhotoshopした。

【後略】

〔参考記事: Influencer marketing startup Mavrck raises another $5.8M(未訳)〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

インスタ参入のUUUM代表インタビュー:創業2期目に踏んだアクセルと、時代に合わせた変化の重要性

YouTuberを中心にクリエイターのサポート事業を行うUUUM。彼らがインスタグラム・マーケティングのレモネードを買収し、これまでの主戦場であったYouTubeを超え、Instagramの領域にも参入したというニュースは先日お伝えした通りだ。

TechCrunch JapanではUUUM代表取締役社長の鎌田和樹氏にインタビューを実施し、2017年8月の上場から約1年というタイミングでの振り返りと、今回の買収の背景を聞いた。

創業2期目に踏んだアクセル

僕が子どもだった頃と比べると、若者のコンテンツ消費のあり方は大きく変わった。昔は、テレビという画面の中には“芸能人”と呼ばれるヒーローたちがいて、テレビ局が決めた放送時間に合わせてテレビの前に座ったものだ。でも今の若者たちにとってのヒーローはYouTuberに、テレビはスマホに移り変わりつつある。そして、視聴する時間とその内容も、彼らの思い通りに選択できるようになった。

そんな時代背景を追い風に、UUUMの数字は好調だ。2015年4Q時点での所属チャンネル数は1141チャンネル。それが、2018年4Qには5877チャンネルと3年で約5倍に増えた。3ヶ月間の合計再生回数も同期間で約20億回から約95億回へと、こちらも5倍近く増えている。決算数字も順調に推移し、直近の決算期である2018年5月期の売上高は117億円、営業損益も7億1000万円の黒字となった。

UUUM代表取締役の鎌田氏はこれまでの経営を振り返り、UUUMがこの成長曲線を描けた理由として、動画という“情報量が多いフォーマット”が時代の要請とともに定着し、2015年のいわゆる“動画元年”から市場自体が急速に成長したこと、そして、有名になるための手段としてメディアに載るのではなく、自分という存在をみずからの手で発信できる環境が整ったことをあげた。

でも、いま鎌田氏が言ったのはすべて外部環境の話だ。どれだけ鎌田氏が謙虚になろうとも、スタートアップを日々取材するTechCrunch Japanは、UUUMと同じように動画という領域に着目をし、そこでビジネスを成り立たせようとした人が沢山いたこと、そしてそれに失敗した人が沢山いたことも知っている。

個人が動画をアップロードするという、ある種クリエイターの“頑張り”に大きく依存するものを、UUUMがビジネスとして成り立たせることができた理由はなんだろうか。

鎌田氏はそれについて、「UUUMがこの領域をビジネスとして成り立たせることができたのは、早い時期からYouTubeからの広告収入や企業とのタイアップなどで“動画だけによる収益基盤”を築くことができたからです。他社では、動画は作ってもその制作費とインカムがずれてしまい、結果的にオプション的なビジネスとしてコマースなどを始める例が多い。また、各事務所それぞれに1〜2人ほどはいる有名なクリエイターを、先を見越して100人、1000人という単位で増やす努力をしてきたことも要因の1つ」と語った。

動画というフォーマットが求められる時代に合わせ、その動画で稼ぐ方法を模索し、収益基盤を作る。そして、すぐに次のサイクルを見越して有力なクリエイターを戦略的に獲得する。その投資を早い時期から行ってきたことが成長の要因だと鎌田氏は言う。

UUUMが成長のために大きくアクセルを踏み込んだのは、創業から第2期目にあたる2015年5月期のことだ。この年、UUUMは売上高こそ前期の約1億6000万円から約13億円へと急速に伸ばしている。しかしその一方で当期純損益を見ると、約1800万円から約2億7000万円へと赤字幅も大きく拡大していることが分かる。

「この領域は参入障壁が低いと言われてきたが、第2期目の段階で人材獲得などに大きく投資を行い、新規参入がしにくくなる状況を作った。取引先各社との連携を重視し、今の六本木にオフィスを移したのもこの頃だ。クリエイターがUUUMで最大限活躍するためには、彼らとの関係構築も必要。そこにも時間とお金を大きく投資した。クリエイターの成長に僕らが負けていてはダメだったんです」(鎌田氏)

先を見越し、時代に合わせて変化する

これまで、メディアや登壇の場で鎌田氏が繰り返し強調してきたのは、コンテンツとそれを作るクリエイターがもっとも重要だということだ。それを考えれば、彼が早い時期から有力なクリエイターを100人、1000人単位で獲得しようとしてきたのにも納得がいく。

9月14日、これまでYouTubeを主戦場として闘ってきたUUUMがインスタグラムマーケティングのレモネードを買収し、Instagram領域にも参入すると発表したのは冒頭でもお伝えした通りだ。これまでの鎌田氏の話を聞くと、これもUUUMが時代の移り変わりに合わせて変化し、次の世代のクリエイターを惹きつけるための一手であると思えてくる。

「YouTuber」という言葉が一般化するよりずっと昔、YouTubeに動画を投稿する人たちが活動する場所は、YouTubeでしかなかった。でも、ここ最近「YouTuber」という言葉よりも「インフルエンサー」という言葉の方をよく耳にするようになったことからも分かるように、彼らが活動する領域の境界線が消えつつある。

「動画を投稿するクリエイターをメインにサポートしてきたUUUMが、静止画のInstagramをメインに活動するレモネードを買収すると聞くと、『ちょっとズレてるのでは』と思う人もいるでしょう。でも、プラットフォーム間の垣根は無くなってきている。例えば、(UUUMに所属するYouTuberの)はじめしゃちょーのTwitterアカウントのフォロワー数は日本で7位(記事執筆現在)。タイアップを検討するクライアントからの要望も、YouTubeと他のSNSを組み合わせた“立体的な“ものに変わった」(鎌田氏)

これまではYouTube内でのタイアップ案をメインに提案していたUUUMにとって、Instagramも交えた提案も可能になったことは、彼らのタイアップビジネスにとって大きなメリットなる。しかし、他社より早い段階で、そして大規模に他のプラットフォーム(SNS)へと活動領域を拡大することは、次の世代の優秀なクリエイターを累乗的に増やすことにもつながる。

レモネードがサポートするインスタグラマーは現時点で約3000人。これはUUUMがサポートするYouTubeチャンネル数である約6500チャンネルのおよそ半数にあたる数字だ。UUUMは今回の吸収合併により、その3000人のクリエイターたちと新たに関係値を築けることになる。

さらに、UUUMのクリエイターの活動領域をInstagramに、そしてその他のプラットフォームへといち早く広げることができれば、それはすなわちクリエイターにとっての“安心感”につながり、これから芽が出る新しい世代のクリエイターを惹きつける要因にもなる。

「クリエイターとして成功するまでの障壁の一つに、マネタイズできるまでの期間が長すぎて、途中で諦めてしまうというものがある。今回の買収により、UUUMのサポートがより立体的なものになることで、そのマネタイズまでのポイントをさらに短くできるかもしれない。そうすれば、個人が発信するという文化をさらに加速できる」(鎌田氏)

レモネードの買収は、UUUMにとって初めての買収だ。鎌田氏はインタビューの中で、他のプラットフォームへの拡大はInstagramに留まることはないと話した。これまでの活動から「YouTubeのUUUM」と呼ばれてきた彼らの変化が始まろうとしている。

「YouTubeのUUUM」がInstagramにも参入、インスタ・マーケティングのレモネードを5億円で買収

UUUMは9月14日、Instagram上でコンテンツを発信するインスタグラマーと、彼らとのタイアップを行いたい企業とをマッチングする「influencer One」を提供するレモネードの全株式を取得して吸収合併すると発表した。買収総額は約5億円だ。レモネード代表取締役の石橋尚也氏は合併後、UUUMの執行役員に就任する。

HIKAKINやはじめしゃちょーなど、有名YouTuberが多く所属するUUUM。同社がサポートするYouTubeチャンネル数は最新の数字で6570チャネル。うち専属契約を結ぶクリエイターは270名にのぼる。また、所属チャネルの月間再生回数は40億回(2018年8月)を突破するなど、YouTuberマネジメントの領域では圧倒的な強さを誇る。

これらの事実から「YouTubeのUUUM」とも比喩されることもある同社だが、これからはそうとも呼べなくなるかもしれない。レモネードの買収は、UUUMがYouTuberに加えてインスタグラマーのサポートに乗り出すことも意味するからだ。

現在、influencer Oneに登録するインスタグラマーの数は2800人。そこにUUUMが現在サポートを行うYouTubeチャンネル数を加えると、UUUMはこれからのべ1万人近くのクリエイターのサポートを行うことになる。

UUUM発表資料より

また、今回の買収によりUUUMがサポートするクリエイターが活躍できる場が増えることも大きなメリットの1つだ。今や、YouTuberとして成功するためにはInstagramをはじめとするSNSの活用が必須の時代。UUUMからYouTubeチャンネルの運用だけでなく、Instagramの運用についてもサポートも受けられるとなれば、さらに多くの有力クリエイターがUUUMに集まってくる。UUUMとしても、YouTube内での広告・タイアップ企画だけでなく、Instagramも絡めた提案が可能になることは大きなビジネスチャンスにつながる。

TechCrunch Japanでは、UUUM代表取締役の鎌田和樹氏に買収の背景と今後の戦略について聞き、近日中にはインタビュー記事を公開する予定だ。

Captiv8が、インフルエンサーデータベースを無料で公開

おそらく読者は、Captiv8のようなインフルエンサーマーケティングスタートアップの主なセールスポイントは、マーケティング担当者たちが一緒に仕事をするインフルエンサーとクリエイターを探す手伝いをすることだ、と想像しているだろう。おそらくそれは正しい想像だが、Captiv8はそのクリエイター検索プロダクトを思い切って無償化することにした。

「私たちは本当にエコシステムをオープンなものにしたいと感じたのです、このことでブランドは、無償でインフルエンサーたちを検索し調査することが可能になります」、と私に語ったのは共同創業者のKrishna Subramanianだ。

無料プロダクトを通して、マーケティング担当者たちはプラットフォーム上でインデックスされた100万人以上のインフルエンサーたちを、見て回ることができる。そうしたプロフィールは完全に公開データだけで構成されている場合もあるが、インフルエンサーたちはその内容に注文を付けたり、データを追加したりすることもできる。

そしてマーケティング担当者たちは、パーソナリティ、コンテンツタイプ、作業場所、表現などのフィルタを使って検索を行うことができる。これに加えてCaptiv8は、各インフルエンサーのフォロワーたちの、集団属性(デモグラフィック)とブランドに対する嗜好データも提供する。

これまでは、Captive8のようなサービスを有償で利用しない限り、インフルエンサーを見つけるためには、様々なカテゴリーにおけるトップインフルエンサーたちに関する記事を読むといった、散発的でその場しのぎの手段をとるしかなかった、とSubramanianは語る。

Captiv8 Creator Discovery

これに対して、Captiv8上では、マーケティング担当者たちは、クリエイターを発見するために、おそらく1日あたり2時間ほどを費やすだけで良い。これはこれまで必要だった時間の60%ほどが節約できていることになる。

ではなぜ無料で利用できるのだろうか?Dr Pepper、Snapple、StubHub、そしてHondaなどのブランドが、既にCaptiv8を使用しているが、Subrapananianはその目的は「間口を広げる」ことにあるという、このことによって、世のマーケティング担当者たちがまずインフルエンサーについて調べに行く場所になりたいということだ。

そしてもちろん、同社はこのことでCaptiv8の提供する「エンドツーエンドのSaaSプラットフォーム」の売り込みへと顧客を誘導することができる。このプラットフォームは、追加のオーディエンスデータだけでなく、キャンペーンマネジメント、効果測定、そしてソーシャルモニタリングなどのツールを有償で提供するものだ。

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(翻訳:sako)

企業のPR活動を評価するTrendKiteがソーシャルメディアとインフルエンサーに強い同業二社を買収

企業のPR活動の効果分析などを行うTrendKiteが、初めての買収を、しかも二件も行う。CEOのErik Huddlestonによれば、これによって、完全なPR分析プラットホームが必要とする最後の二つの部品が揃う。

これまで、TrendKiteの主な売りは、企業について書かれた記事を見て、その到達オーディエンスやブランド知名度への影響などを測る能力だった。

しかし、確かにそういうジャーナリスティックな視点は今後も重要だが、Huddlestonによると、“今の世界は前よりも複雑なので、誰が大衆に影響を与えているのか、簡単に判断できない”。そこで、Insightpoolと、その、ソーシャルメディアインフルエンサーたちのデータベースが役に立つことになり、企業のストーリーを広めることのできるインフルエンサーを見つけて売り込むことが、企業のPRの仕事になる。

一方Union Metricsは、ソーシャルメディアのアナリティクスを提供する。Huddlestonによると、“われわれがメディアのカバレッジを分析するように、彼らはストーリーをめぐる会話について分析をする”。

彼によると、両社を買収することによって、これまですでに利用していた彼らのプロダクトをより深くTrendKiteに統合できる。Union Metricsとはすでにパートナーシップがあり、Insightpoolについては、顧客がTrendKiteとInsightpoolを併用しているのを見て、統合すべきと考えた。

InsightpoolとUnion Metricsが加わったTrendKiteがどんな料金体系になるのか、それはまだ未定だ。それにまた、Huddlestonによると、今後も両者をスタンドアローンのプロダクトとしてもサポートしていく。

両社のチームと、InsightpoolのCEO Devon Wijesinghe、そしてUnion MetricsのCEO Hayes DavisはTrendKiteに加わり、InsightpoolはオースチンのTrendKiteにアトランタの拠点を与える。

買収の価額等は公表されていない。Crunchbaseによると、InsightpoolはTDF Venturesとシリコンバレーの銀行などから、750万ドルを調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookのストーリーズ機能が1億5000万DAUを突破ーー広告の試験運用をスタート

ローンチから14か月が経ち、FacebookはSnapchat Storiesに酷似した同社のストーリーズ機能のDAU(デイリーアクティブユーザー数)がようやく1億5000万人に達したと発表した。そしてストーリーズから収益を生み出すための次のステップとして、同社はアメリカ・メキシコ・ブラジルの3か国で、現地時間の5月17日からストーリーズへの広告掲載をスタートさせた。

ストーリーズ広告は5〜15秒程度の動画で、ユーザーはスキップすることもできる。クリックスルーやコールトゥアクションは今のところ備わっていないが、Facebookは向こう数か月のうちにこういった機能も盛り込む計画だという。広告主はInstagramストーリーズに展開している広告を簡単にFacebookへと移植できる上、ニュースフィードの広告にマッチした枠と文章を追加して自動的にストーリーズ広告化することもできる。さらにFacebookはストーリーズ広告の費用対効果を示すため、今後さらなる指標を追加していく予定とのこと。

広告主はInstagramストーリーズに展開する広告を簡単にFacebookへと移植できる(上図左)上、ニュースフィードの広告に枠線と文章を追加して自動的にストーリーズ広告化することもできる(上図右)。

先月、Facebook CPOのChris Coxが2019年中にはストーリーズがフィードを追い抜き、Facebookの情報発信チャンネルとしては最大になると語っていたことから、同社は生き残りのためにもストーリーズ広告の価値を今後高めていかなければならない。CEOのマーク・ザッカーバーグも「ストーリーズ広告をニュースフィード広告と同じレベルにまで引き上げていかなければならない。情報共有の場がストーリーズへと移行するなか、これが上手くいかなければ、ビジネスに大きな影響が出るだろう」と自分たちへの警告ともとれる発言を残している。Facebookのストーリーズ機能については、Instagramのストーリーズ機能とオーバーラップしていることや、やたらと目立つ見た目から批判もあるが、Facebookはこの短時間で消える動画フォーマットからの撤退は考えていないようだ。また同社は膨大なユーザー情報を保有していることから、現在Snapchatに注ぎ込まれている広告主の予算が、今後Facebookへと流れていく可能性もある。

ストーリーテラーをめぐる戦い

筆者が最初に疑問に感じたのは、Facebookがどのようにストーリーズ機能のDAUを割り出しているかという点だ。その答えは、Facebookのアプリかサイトでストーリー動画を見たユーザーの数だった。つまりInstagramやFacebook Messengerのストーリー動画をFacebook上にクロス投稿したユーザーの数は含まれていないため、これは良心的な算出方法だと言える。さらにこの数字は、InstagramにはじまりFacebookにも導入され、ニュースフィードのトップに固定されることになったストーリー動画の力を物語っている(大きなプレビュータイルのテストもすでに始まっている)。

背景知識として、主要サービスにおける類似機能のデイリーユーザー数および月間ユーザー数は以下の通りだ(ユーザー数の多いものから順に掲載)。

  1. WhatsApp Status:月間ユーザー数15億人、デイリーユーザー数4億5000万人(2018年5月時点)
  2. Instagram Stories:月間ユーザー数8億人、デイリーユーザー数3億人(2017年11月時点)
  3. Snapchat(アプリ全体):デイリーユーザー数1億9100万人(2018年5月時点)
  4. Facebook Stories:月間ユーザー数22億人、デイリーユーザー数1億5000万人(2018年5月時点)
  5. Messenger Day/Stories:月間ユーザー数13億人、デイリーユーザー数7000万人(2017年9月時点)

Instagramでもストーリーズ機能のDAUが1億5000万人に達した段階で広告掲載がスタートしたが、Instagramはストーリーズ機能のローンチから5か月でこれだけユーザー数を伸ばしたのに対し、Facebookは同じレベルに達するまでに14か月かかった。

今後Facebookがさらにエンゲージメントを高めるためのカギは、ストーリーズ機能の海外展開だ。Snapchatは4年ものあいだ海外市場をないがしろにし続け、最近になってようやく本格的にAndroidアプリのテコ入れを開始した。他方WhatsAppは、Snapがアメリカのティーン層に注力するスキを狙い、世界中の若者にアピールした結果、ストーリーズ機能のユーザー数でトップに躍り出た。そしてFacebookは、母国語以外のキーボードを使うユーザーのための音声投稿機能や、スマートフォンの容量に限りがあるユーザーでも写真や動画を保管できるクラウドストレージ機能など、インドをはじめとする新興市場を想定してストーリーズ機能の開発を進めている。

Facebookストーリーズには、360度カメラがなくても360度写真が撮れる「paint with the lens(レンズでペイント)」インターフェースが搭載されている。

2017年1月のテスト、そして2017年3月のローンチ以後も、Facebookはストーリーズ機能に次々と手を加えながら、他サービスとの差別化やユーザーの取り込みを図ってきた。その結果、現在ユーザーはFacebookが提供するアプリからのクロス投稿デスクトップ向けのインターフェースBoomerangのような動画フォーマット、さらに3次元空間に落書きできる機能や、特定の場所でARコンテンツを呼び出すためのQRコードや画像といったAR機能も利用できる。

ちなみに公式にはアナウンスされていない隠れ機能がひとつある。Facebookストーリーズのカメラを使うと、360度カメラがなくても360度画像が撮影できるのだ。周囲の環境をカメラのレンズで”描く”ようなクールなインターフェースで、一回ですべてを上手く撮影しなければいけないパノラマ写真とは違い、撮り逃がしたスペースがあれば後からそこを埋めることもできる。

打倒Snapの次はマネタイズ

上記のようなFacebookの取り組みがようやく実を結び始めたようだ。2018年第1四半期のSnapchatのDAU伸び率は過去最低の2.13%に落ち込んだ一方、Facebookは3.42%伸び率を記録。さらに3月にはSnapchatのアクティブユーザー数は純減していた。

これはFacebookがストーリーズ機能に広告を掲載すべきだというサインなのかもしれない。実質的にSnapchatを打ち破り、競合と呼べるようなサービスが存在しないため、Facebookは余裕を持ってストーリーズ広告をローンチできるだろう。そして皮肉なことに、Snapchatは第1四半期の収益目標を達成できず、3億8500万ドルの赤字を記録して以降、広告売上の拡大にやっきになっている。

「Instagramのストーリー広告は顧客に大きな価値を提供しており、Facebookでも同じことができると考えている。とは言っても、私たちの最優先事項はユーザーエクスペリエンスを損なわないことだ」とFacebookのプロダクト・マネージャーZoheb Hajiyaniは言う。ストーリーズ広告のテストには何社もの企業(企業名は非公開)が参加するようだが、Facebook自体もOculusの広告をストーリー動画として展開するとのこと。

すでにFacebookやInstagramの広告サービスを利用している企業であれば、簡単にFacebookのストーリーズ広告へ移行できる上、リーチできるユーザーの総数も増えるため、ティーン層を狙わない限りはわざわざSnapchatで広告を打つインセンティブは生まれないかもしれない。そう考えると、すでにニュースフィードはいっぱいで、サイドバーへの広告掲載もとりやめたFacebookにしてみれば、ストーリー広告こそが広告スペースの問題への解決策となり得る。つまりストーリーズ機能が広告在庫の増加につながり、Facebook上でのマーケティング活動が促進される可能性もあるということだ。

ストーリーズ機能は避けて通れない道だった。2013年10月にSnapchatが初めて導入して以降、Facebookが同機能の脅威に気づくまでには約3年を要した。しかしFacebookはプライドを捨て、Instagramに導入した類似機能でSnapchatの後を追うことで、この新しいビジュアル・コミュニケーションのスタイルに順応していったのだ。デスクトップからモバイルへの変化で遅れをとったFacebookは、失敗から学びソーシャルメディア界における支配的な地位を維持したと見ることもできる。

ストーリーズ機能の詳細については、以下の記事を参照してほしい。

Stories are about to surpass feed sharing. Now what?

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

Instagram上の仮想セレブ‘Lil Miquela’のアカウントが‘政敵’にハックされた

Instagram上の仮想セレブLil Miquelaアカウントが、ハックされた。

多民族混血のファッション仕掛け人で、つねに多文化主義を主張している‘彼女’のアカウントには100万近いフォロワーがいたが、そのアカウントが、同じくInstagram上の動画アカウント“Bermuda”によってハックされた。

さあ!、戦闘開始だ!

@Lilmiquelaアカウントのハックは今朝(米国時間4/7)始まったが、しかしBermudaアバターは前からMiquelaを敵視していて、これまで、SpotifyなどMiquelaのそのほかのソーシャルアカウントをハックしてきた。

時はまさに21世紀、政治的風土が多極化している今では、文化の上でも、、そしてアバターたちのあいだでも、多元主義の支持者たちとMake America Great Again(アメリカを再び偉大に)の運動が戦いを繰り広げても意外ではない。

[画像だけを表示するとメッセージも読めます]

Lil Maquelaのアカウントの上でBermudaは、自分の人工的な人格を誇示し、トランプ派としての強力なメッセージを述べている。

Miquelaの場合は仮想アバターに対して本人がいる、という前提だが、Bermudaはきわめて露骨にシミュレーションだ。そしてその政治的見解は、Miquelaのそれと真っ向から対立している。そしてMiquelaのフォロワーたちと一連のファッション系カルチャー系マガジンは、そのオープン性と人種的平等性の訴えに賛同している。

カリフォルニア州ダウニーのブラジル系アメリカ人Miquela Sousaは彼女のInstagramアカウントを2016年に立ち上げ、それ以来、そのアカウントの外見であるMiquelaは、ネット上でもマスコミの上でもその本人性の推測(どこの誰だろう?)があちこちに登場してきた。

雑誌の表紙になったり、いろんなインタビューにも応じてきたMiquelaは、Facebookが買収した人気最大のソーシャルメディア(Instagram)の上で、セレブ、インフルエンサー、そしてカルチャーの新しい形を一貫して探求してきた。

Lil Miquelaのアカウントに近い人物によると、Instagramは正常に戻っており、コントロールも取り戻している、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

YouTuberプロダクションのVAZが21の投資家から総額約11.5億円を調達、就職支援サービスの拡大へ

インフルエンサーマーケティング事業や複数のメディア事業を展開するVAZは、2017年6月から2018年3月までの期間において、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額11億5200万円を調達したことを明らかにした。

同社にとってはシリーズCラウンドという位置付けで、合計21の投資家(事業会社、VC、個人)が参加している(投資家陣のリストは末尾に記載)。

VAZは2015年7月の創業。チャンネル登録者数が240万人を超えるヒカル氏、同じく190万人を超える禁断ボーイズなど人気YouTuberを中心に、約70人のインフルエンサーを抱えるプロダクションとなっている。昨年8月にはヒカル氏らのVALU騒動もあったが、自粛期間を経て11月に復帰した。

同社では所属するインフルエンサーのネットワークを活用したマーケティング事業やエンタメ事業を展開。並行して中卒、高卒、専門卒、大学中退などの非大卒を主な対象とした就職支援サービス「バズキャリア」(2017年6月公開)にも取り組む。

バズキャリアは各ユーザーに専属のキャリアカウンセラーが付き、チャットベースのやりとりを通じて就労支援を行うサービス。インフルエンサーの力も上手く活用して、ターゲット層へのリーチを拡大。今回調達資金を元に、事業のさらなる成長を目指すという。

以下、今回VAZのシリーズCラウンドに参加した21の投資家陣だ。

  • コロプラネクスト(既存投資家)
  • ホリプロ(既存投資家)
  • 読売テレビエンタープライズ(既存投資家)
  • 共同ピーアール
  • ドワンゴ
  • フリークアウト・ホールディングス
  • フロンティアエージェント
  • PERSOL INNOVATION FUND
  • オプトベンチャーズ
  • みずほキャピタル
  • Skyland Ventures
  • GCM
  • 恵島良太郎氏
  • 大湯俊介氏
  • 久保直之氏
  • 玄君先氏
  • 田口茂樹氏
  • 田中陽加満氏
  • 宮地俊充氏
  • 非公開の事業会社1社、個人投資家1名

企業のPR事業の分析プラットホームTrendKiteが新たに$11Mを調達、アーンドメディアの価値を強調

企業のPR業務を助けるTrendKiteが、新たに1100万ドルの資金を調達して、2017年を終えようとしている。

テキサス州オースチンに本社を置く同社によると、現在同社は毎日420万件の記事を分析して、企業や広告/マーケティング代理店が行っているPR努力の効果を測定している。たとえば、その会社名が登場する記事が何人の人の目にとまっているか、ブランド認知度のアップにいちばん貢献した記事はどれか、などなど。

TrendKiteの売上は前年比100%増以上の増加率で成長している。顧客には、Mondeléz International, Nike, Deltaなどが名を連ねる。同社によると、今回の資金は主に新たな製品開発に向けられる。同社の目標は、“CMOやCRM、およびマーケティング自動化ソフトウェアにとって必須のPRソフトウェアになること”だ。

しかし昨今のマーケティングの世界では、広告や自己メディアに比べて“アーンドメディア(earned media)”(得られたメディア==他のメディアに載ること)の効果がもてはやされるけれど、現アメリカ大統領による執拗なメディア攻撃や、各人が自分の殻や偏見の中に閉じこもる傾向の中では、その説も怪しくなっている。

こんな逆風の中でTrendKiteはどうやって生き延びていくのか。CEOのErik Huddlestonによると、上の二つの問題は、主に政治の領域に限られている。彼は曰く、“日頃から人気と信頼のあるライターや個人などによる、よく考えぬかれたレビューの方が、バナー広告やマーケティング的コピーよりもずっと強力だ”。

でも、偏見やいわれなき攻撃が、政治の世界以外にも広がったら、どうするのか?

Huddlestonの見解は: “もしそうなれば、TrendKiteのようなプラットホームの、より正しい記事やジャーナリストを見つけ出す能力が、ますます重要になる。メディアの世界は、何らかの偏向によって汚染されればされるほど、ターゲットにフォーカスした正しい清流の価値が目立ってくるんだ。これからのマーケティングは、そんなメディアを見つけ出し、味方につけていく努力がブランドイメージの向上のためにも重要だ。それは、企業のマーケティング部には手に負えない仕事だろう”。

今回のラウンドでTrendKiteの総調達額は4600万ドルあまりになる。ラウンドをリードした投資家Harmony Partnersは、ほかにもChartbeat, mParticle, Postmatesなどをそのポートフォリオに擁している。

Harmony Partnersのファウンダーで常勤役員パートナーのMark Lotkeは、声明文でこう述べている: “TrendKiteの高成長と優れた能力、そしてアーンドメディアが購買の意思決定者にとってますます重要になっている現在の市場機会を見れば、それ〔rendKiteへの投資〕はHarmony Venture Partnersにとって自明の選択である”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ファンと有名人のクローズドな双方向コミュニティ「fanicon」、課金機能で良質なコミュニティを形成

インフルエンサーマーケティングを手がけるTHECOOは12月7日、会員制のファンコミュニティアプリ「fanicon(ファニコン)」を正式ローンチすると発表した。

faniconはタレント、インスタグラマー、ユーチューバーなどのインフルエンサー(THECOOは彼らのことを「アイコン」と呼ぶ)が自身のファンと交流するためのコミュニティアプリだ。

有名人との接点がテレビしかなかった時代と比べ、最近ではInstagramやTwitterなどのSNSが浸透し、普段は観られない有名人の休日の過ごし方などを知ることができるようになった。友だちの写真に混じって有村架純氏の写真がInstagramに流れてくると、彼女と友だちになれたような気になってしまうのは絶対に僕だけじゃないはず。でも、そういった交流は有名人からの一方通行であることも多い。

一方のfaniconは、有料会員制を採用することで良質なコミュニティ形成を担保するとともに、ファンとアイコンとのあいだの双方向コミュニケーションを促進するために開発されたアプリだ。

faniconの使い方は次の通り。アイコンはまず、faniconをダウンロードして自身のコミュニティを作成する。このとき、コミュニティ参加にかかる月額会員料金の設定を行う。現在のところ、会員料金は500円くらいに設定されることが多いそうだ。

コミュニティを作成したあと、アイコンはアプリ内に用意された投稿機能やライブ配信機能、そしてファンとの直接メッセージ機能などを通してコミュニティを盛り上げていく。コミュニティにはファン同士が交流するグループチャット機能もあり、ファンが集まれば集まるほどコミュニティが活性化していく仕組みになっている。

THECOO代表取締役の平良真人氏によれば、faniconはこれまでに40人のアイコンと1万人の有料会員を獲得しているという。

インフルエンサーにとって新しい収入源に

アイコンは、会員料金からAppleとGoogleに支払う手数料の30%を引いた額をTHECOOと折半する。しかし、アイコンにとってのマネタイズ方法はこれだけではない。月額課金に加え、ポイント制の「スクラッチくじ」を企画することもできる。

アイコンはスクラッチくじの景品(例えば、サイン入りTシャツなど)を設定し、その排出量とスクラッチ1回ごとの必要ポイント数を設定する。そして、ファンたちはアプリ内で購入できるポイントを消費してくじに参加するという具合だ。ポイントの最低購入単位は5ポイント=120円からとなっている。

平良氏によれば、300人のファンがいるアイコンがこれを実施したところ、3日間で30万円分のスクラッチが行なわれたという事例もあるそうだ。

伝統的な芸能事務所に所属するテレビタレントなどがfaniconをどれだけ受け入れるのかはまだ分からないけれど、少なくとも、未来のはじめしゃちょーやヒカキンとなることを夢見る若者たちには新しいマネタイズ手段として受け入れられそうだ。

Amazonはそのインフルエンサープログラムを、YouTubeに加えてTwitterとInstagramにも拡大する

Amazonは先週の木曜日に、そのインフルエンサープログラムを、YouTube以外にTwitterやInstagramも含めるように拡大すると発表した。今春の初めにベータ版が開始されたこのプログラムは、当初人気YouTuberを対象にしていた。これはAmazonアフィリエイトのような関係を通じて、自分たちのビデオで宣伝した商品からお金を稼ぐ方法を提供するプログラムだ。

現在一般に見られるインフルエンサーたちの多くは、通常自分たちの投稿――それがYouTubeでも、Instagramでも、Facebookその他でも――の中で定期的に商品の売り込みをしている。

Amazonが提供するプログラムの背後にあるより大きな考えは、Spark(買い物のできるInstagramクローン)のような他の試みと同様に、ソーシャルメディアがセールスを伸ばすというものだ。Amazonもそうした動きに取り組む必要があった。

これまでのところ、このプログラムは、YouTubeインフルエンサーに対して、彼ら自身のカスタマイズ可能なAmazon店舗(そこでファンたちがお勧めの商品を購入することができる)用の、覚えやすい特別URLを提供してきた。店舗そのものは特にユニークなものではない。一番上にロゴがあり、その下に製品のリストが続いたものだ。しかし、アマゾンが提供する amazon.com/shop/username というURLフォーマットのおかげで、ショップに簡単にアクセスすることができる。

インフルエンサープログラム自体は、Amazonアソシエイトプログラムの延長であるため、必ずしもインフルエンサーたちに対して高い手数料率を提供しているわけではない。単にカスタムストアを作成して宣伝するのが簡単になったということだ。

私たちが 8月にレポートしていたように、 Amazonは既に他のソーシャルメディアサービス上にプログラムを展開することを企画していた。それが現実のものになったということだ。

Web Summitカンファレンスでの発表によれば、このプログラムは、TwitterとInstagramのインフルエンサーたちに開放されたということだ。


イベントでは、新しい活動を推進するためにAmazonが昨年雇用したNavid Hadzaadが、このプログラムによる早期の成功例の洞察を語った。

「私はこれまでに、何万人ものフォロワーを抱えているインフルエンサーたちが…やがて私たちが提供する収入だけに基づいて『やあ、仕事を辞めて、これをフルタイムでやることにしたよ』ということができるようになるところを見てきました」と彼は言った。

さらに、YouTubeクリエイターでインフルエンサーのDan Markhamも、Web Summitのパネルにおいて、Amazonインフルエンサーとして観察できたインパクトについて説明した。

たとえば、彼があるビデオの中でFidget Cubeを宣伝したところ、Amazonアフィリエイトのクリック数は66万8777回、注文数は1万6369件となり、売り上げは16万755.98ドルに達した。また別のビデオではYetiマグを宣伝し、13万1967クリックと3万6520.92ドル相当の製品が販売された。Markhamは、これらの売上からおよそ8%のアフィリエイト収入を得たと述べた。

Hadzaadは、自社の収益の観点を離れても、この生きたデータは、インフルエンサー自身が、ユーザーたちがどのプロダクトに反応しているかを知るために役立つと指摘し、またブランドと宣伝交渉を行なう際の材料としても使うことができると述べた。

また、同プログラムの透明性は更なる利点でもあると強調した。現在、多くの人気YouTuberたちは、彼らのビデオにおけるブランドとの関係を明らかにしていないと批判されているが、Amazonのインフルエンサープログラムは、ブランドと直接仕事をすること以外の手段を提供する。

「信頼性を高めることは私たちと私たちのプログラムにとって重要なことです」とHadzaadは語る。「製品を宣伝して収益を上げるために、ブランドと提携する必要はありません。本当にお気に入りの商品を紹介することができるのです」。

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(翻訳:Sako)