さらばIE、25年以上にわたるセキュリティバグの思い出

そのスピード、信頼性、そしておそらく最も有名なのはセキュリティについて数え切れないほどのジョークのネタにされてきた長命インターネットブラウザー「Internet Explorer(IE)」が、25年以上の歴史を経て2022年に引退することになった。敬意を表して一杯捧げよう。

Microsoft(マイクロソフト)によると、2022年6月に同ブラウザーの生命維持装置のプラグを引き抜くとのことで、最後に残った5〜6人のユーザーには、ChromeやFirefoxに移行するための猶予期間がまるまる1年与えられる(正直な話、他にも優れたブラウザーは存在するが)。このブラウザーが動作に必要な産業用機械など、サポート終了計画には一部例外もある。

Microsoftは長年にわたりInternet Explorerのユーザーに対して、より信頼性と安全性の高い新しいブラウザーであるEdgeへの移行を促してきたが、ライバルのブラウザーを使おうとした瞬間に画面上に広告を表示するなど、可能な限り不愉快な方法をとってきた。ウェブ上でのIEの支持率が低下していく中、多くの企業も同ブラウザーのサポートを終了し始めている。

Microsoftは、IEのサポートを終了することで、同社の歴史の中で最も問題が多かったセキュリティの頭痛の種と決別することになる。

事実上、Internet Explorerほど多くのセキュリティバグに悩まされてきたソフトウェアは他にない。Microsoftは過去20年間、ほぼ毎月IEにパッチを当ててきた。これは、ブラウザーの脆弱性を見つけて悪用し、被害者のコンピュータにマルウェアをドロップするハッカーの一歩先を行くためだ。IEは長年にわたって強化されてきたが、ほとんど目に見えないほど頻繁に行われるセキュリティアップデートや、ユーザーのコンピュータ上でマルウェアが実行されるのを防ぐためのより厳しいサンドボックス化などで先行する競合他社に比べて遅れをとっていた。

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Internet Explorerの悪口をいうのは簡単だが、Windows 95に搭載されて以来、30年近くも我々の生活に溶け込み貢献してくれた。10代から20代にかけてインターネットで育った我々の世代のユーザーの多くは、Internet Explorerを最初に、そして唯一のブラウザーとして使ってきた。我々のほとんどが、最初にHotmailのメールアドレスを登録したのもInternet Explorerだった。そのブラウザーを使ってMyspaceページをコーディングする方法を学び、怪しげなマルウェア入りの「ゲーム」を大量(実に大量)にダウンロードしてコンピュータの動作をナメクジ並みに遅くしても、何とも思わなかった。

昔、10歳くらいの子どもだった頃、実家の寒い屋根裏部屋にあった明るいティール色の壁紙のCRTモニタに、ピクセル化されたInternet Explorerのアイコンを初めて見た時のことを私はよく覚えている。なぜ記憶に残っているかというと、インターネットが何かよく知らなかった私は、父にこう文句をいったから。「ただインターネットだけを探検(Explore)したいんじゃない。僕は全部を見たいんだ」。

Internet Explorerのおかげで、私はその大部分を見ることができた。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftInternet Explorerバグマルウェアウェブブラウザー

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

Internet Explorerが2022年6月15日にサポート終了、ただしEdgeのIEモードは2029年までを予定

Internet Explorerが2022年6月15日にサポート終了、ただしEdgeのIEモードは2029年までを予定

Fairfax Media via Getty Images

米国Microsoftは5月19日(現地時間)、Windows 10におけるInternet Explorer 11のサポートを2022年6月15日に終了すると発表しました。ただし、Windows 10 LTSC(Long-Term Servicing Chanel)とWindows 10 ServerのIE11は対象外です。

これにより、上述したOS上を除けば、IEのサポートがついに終了となります。

長らくWindowsの標準ブラウザとして利用されてきたInternet Explorer(IE)。すでにEdgeへの移行も進んでおり、個人利用でIEを使い続けているユーザーはごく少数と考えられますが、業務システムなどで利用しているなどの都合で、まだIEを継続している企業もあります。

Microsoftは、数年前からIEを使い続けるのは技術的な負債だとして、Edgeへの移行を推進していましたが、ようやくサポート終了にこぎつけたという印象です。

詳細な予定としては、2021年8月17日にMicrosoft 365および他アプリでのIEサポートを終了し、デスクトップアプリは2022年6月15日に終了します。それでもIEを使い続ける必要がある企業向けに対しては、EdgeのIEモードを少なくとも2029年までは継続するとしています。

最近は日本の行政サービスでもEdgeやChromeをサポートするようになっており、IEを使うシーンはかなり少なくなってきています。とはいえ、オンライン統計ツールのStatcounterによると、2021年4月時点でのIEのシェアは、日本ではまだ3.05%あるようです(グローバルでは0.71%)。

工場や基幹システムなど特殊な環境で利用しているのであれば、あきらめてIE脱却に本腰を入れるか、今回は影響を受けないLTSCライセンスへの移行を検討するのが良さそうです。

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(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

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タグ:Windows 10(製品・サービス)ウェブブラウザー(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)Microsoft Edge(製品・サービス)

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

Ben Gabbe via Getty Images

GoogleはChromeブラウザにおけるサードパーティCookieを段階的に廃止していく一方で、新たな広告技術「FloC(Federated Learning of Cohorts)」の導入を計画しています。これは似たブラウジング行動をした人々をグループにまとめることで(個々人のブラウジング履歴はGoogleと共有しない)関連広告を表示する技術とされています。

これはGoogleのブラウザChromeにも実装される技術であり、同じくGoogleが管理するオープンソースのエンジン「Chromium」を使う他社のブラウザにも導入される可能性があります。その1つであるマイクロソフトのEdgeがFloCを無効化しており、事実上GoogleにNOと表明していることが明らかとなりました。

Chromiumのソースコードを確認すると、FloCはデフォルトでは有効とされています。つまりMicrosoft EdgeなどChromiumベースの他社ブラウザにも、コンポーネントを明示的に無効としない限り自動的にインストールされることになります。

しかし大手コンピュータヘルプサイトBleepingComputerによると、Edgeではコマンドライン引数を使ってFloCを有効にしてもブラウザ上で使用できないとのこと。つまりMSが意図的にFloCを無効にしていると解釈できるわけです。

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

そこでMSに意図を問い合わせたところ、明確な回答は得られず、代わりに自社の広告提案PARAKEETが紹介されるに留まっています。

GoogleのFLoCに関しては「正しく実装される保証がない」として、ユーザーのプライバシーにとって重大な脅威になるとの批判が相次いでいます。Chromiumベースのブラウザ「Brave」は、「Why Brave Disables FLoC | Brave Browser」にてFloCがプライバシー保護を装いつつ、プライバシーに重大な損害を与えると指摘。また同じくChromiumベースの「Vivaldi」も「No, Google! Vivaldi users will not get FloC’ed. | Vivaldi Browser」を表明し、今まで以上にプライバシーを損なう危険なステップだと痛烈に批判しており、両社ともFloCは採用しないと明言しています。

Googleは現在、何千万人ものChromeユーザーを対象にFloCをテストしており、最終的には数十億人のChromeユーザーに展開する予定です。それに対して、Chromeには及ばないものの大きなシェアを持つMSのEdgeが実質的にNoを突きつけたことで、今後の動向に影響が及ぶのかもしれません。

(Source:BleepingComputer、Via:MSPoweruserEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
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生産性に磨きをかけて「仕事用OS」になったウェブブラウザー「Sidekick Browser」

コネクテッドコンピューティングのパラドックスは、わずか数回のクリックやタップだけでいかに多くの情報が利用可能になるかということだ。しかし同時に、利用可能なデータの海に圧倒され、その情報量の多さに探したい情報が見つからないということもしばしある。

知識労働の世界において、ウェブブラウザがいかにすばらしいものであるかということは否定しようがない。しかし、複数のブラウザタブやウィンドウをまたいでの作業は、面倒でイライラする最悪の状況のように感じることもある。

これがSidekick BrowserがChromiumの上に生産性重視のレイヤーを追加することで解決しようとしている問題だ。同社はこれを「仕事用OS」と呼んでいる。

複数のタブが不快なら、複数のウィンドウやタブにまたがるのではなく、ブラウザ内にあるアプリ内から作業できるようにしようというのがSidekickの答えである。

SlackやSkype、WhatsAppのようなアプリは、サイドバーにピン留めして縦に並べることができ、簡単に探したり切り替えたりできる。また、複数のログイン、きめ細かな通知コントロールに対応する他、これらのサードパーティ製アプリをブラウザーから直接検索することも可能である(現在は「数百種類」提供されているが「ブックマークのように機能する」カスタム追加が可能だ)。

そして、インターネット閲覧時に毎回開くタブには、簡単に整理できるようにまとめて保存できる「セッション」機能が用意されており、後にクリックするだけで再訪問することもできる。

ビルトイン検索はこれらのセッションにも適用されるので、ブラウザの検索履歴をいちいち手動でスクロールして、以前に偶然目にした関連情報をどこで見たのかを探し出す必要がなくなるというわけだ。

「すべてのアプリ、タブ、ワークスペースを数秒で検索」というのがSidekickの解決策だ。

技術面でも生産性向上に取り組んでおり、ブラウザベースのラグを念頭に「AIベースのタブ停止」機能を設けている。この機能は、ユーザーが使用しないタブを予測してメモリから削除することで、GoogleのChromeブラウザがRAMを消費するメカニズムを改善するように設計されている。

「Sidekickは、仕事用に作られた最速のブラウザです」というのが同社の売り文句である。

コラボレーションにも力を入れており、知識労働チームの生産性を高めるための機能も備えている。プロジェクトやクライアント向けにさまざまなセッションやアプリのサイドバー、タブ設定をサポートするためのカスタムワークスペースや、チームロールの設定機能などが含まれる。

また、デバイスのセキュリティ用のリモート設定ツールも完備。パスワードを共有する必要のあるチームの利便性を高める内蔵型パスワードマネージャーの他、ブラウザベースのワークスペースでチームチャットを行うことができる内蔵型ビデオチャットプラットフォームも用意されている。

Sidekickには独自の広告ブロッカーとフィンガープリント防止技術が搭載されており、プライバシー保護だけでなく、処理速度の向上(ページ読み込み時間の改善)も図られている。

またプライバシーに関しても、同スタートアップは「ユーザーのデータを決して販売しない」と公言している(これには「検索、閲覧履歴、その他の個人情報」も含まれると明記されている)。

ビジネスモデルは今のところSaaSとB2Cだが、SidekickはB2Bにも力を入れており、将来的にはビジネスに適した機能も展開する予定だという。

また、当然のことながら、Chromeの拡張機能もサポートされている。

Sidekickは、KPCBが主導し、Remote First Capitalや他のエンジェル投資家が参加したシードラウンドで200万ドル(約2億1800万円)を調達したことを発表した。

創設者のDmitry Pushkarev(ドミトリー・プシュカレフ)氏は、これまでいくつかの分野でスタートアップゲームに参加し、勝利を収めてきた。2011年にDNAシークエンシング会社Moleculoを設立後、まもなくIlluminaに買収されている。

その後、2013年に別の事業としてClusterKを立ち上げ、複数のクラウドプロバイダーにまたがるクラウドコンピューティングリソースの最適化に注力していた。これは2016年にAmazonに買収され、プシュカレフ氏は数年間そこにとどまった後、再び創業者としての地位を確立している。

Kleiner Perkinsで客員起業家(EIR)として将来の仕事を模索していたときに、Sidekickのアイデアの萌芽が生まれた。

このツールは数カ月前、Product Huntで注目を集めている。Chris Messina(クリス・メッシーナ) 氏もそのときからのファンの一人で「現代の知識労働者として生産性を高めるのに不可欠な、極めて多くの要素」を組み合わせ、ブラウザの世界を揺るがしたとしてチームを称賛している。

プシュカレフ氏はメッシーナ氏の言葉に対し、Chrome自体(あるいは他のインターネットブラウザ)に対抗するためのフル装備のブラウザを開発しているわけではないと慎重に説明している。

「私たちはブラウザと競合するつもりはなく、ブラウジングのための選択肢として考えています。弊社の目標は、仕事や生産性のためにブラウジング体験を向上させることです。これは残念ながらブラウザにはできないことなのです」と同氏はいう。

サンフランシスコを拠点とする同スタートアップによると、同社のサービスは現在Microsoft、Dropbox、Slack、Lyftなどのチームに利用されているという。プシュカレフ氏によると、2020年11月のローンチから数カ月後の現時点で約3万人のユーザーを有しており、チームはこの初期段階では主に製品(「アクティベーション、リテンション、バイラリティ」)に注力しているという。

「一般的なユーザーは知識労働者で、プロダクトマネージャー、エンジニア、マーケター、そしてかなりの数の学生が利用しています。基本的に、単にオンラインを閲覧するだけでなく、生産的な仕事をし、コミュニケーションツールを利用するプロシューマーです」と同氏はTechCrunchに語っている。

「KPCBでのEIRの間、私たちは仕事の将来について多くのことを考えていました。その中で印象的だったのは、今日の知識労働者はほとんどの時間をブラウザ、つまりブラウジング用に設計されたツールで仕事をしているということでした」とSidekickのアイデアの発端を振り返る。

「ブラウジングの場合と仕事の場合には、特に重要な違いがあります。知識労働者はウェブアプリケーションでの作業、ドキュメントの使用、コミュニケーションツールの使用、複数のアカウントへのアクセス、膨大な数のドキュメントやプロジェクトの操作などに多くの時間を費やしています。ほとんどが検索ベースの情報消費であるブラウジングとは大きく異なります」。

「これらは明らかに異なるユースケースですが、今日ブラウザを作っている企業は、そのビジネスモデル上、ブラウザを仕事に適したものにするために投資することができません。彼らは検索に対してGoogleやMicrosoftから支払いを受けていますし、UXが複雑化すれば、何百万人ものユーザーがよりシンプルなブラウザを使うようになり、検索収益を失うことになります」。

「2億人のプロフェッショナルが専門的なツールを利用できないという前例のない状況にあり、また業界はそのようなツールを作ることに極めて消極的なため、我々がその流れを変え、新しいカテゴリーのソフトウェアとしてBrowser for Workを開発することを決意しました。社内ではこれをWork OS(仕事用のOS)と呼んでいます」。

では、Sidekickはどのような種類の仕事 / 労働者のために作られているのだろうか。「オンライン作業では、ウェブアプリケーション、多数のドキュメント、通信アプリケーション、複数のアカウント、さまざまなワークストリームを扱うことができます。プロシューマー向けの設計であり、単にブラウジングするためだけなら、最適な選択肢ではありません。他のブラウザの方が適しています」と同氏。

仕事と生産性に焦点を当てているものの、Sidekickのユーザーはソフトウェア内に複数の環境を作ることができるため、仕事以外の時間にも使えるような、オフタイムに合わせたスペースを作ることも可能である。

ブラウザにもショートカットや利便性を高めるためのさまざまな機能があるが、プシュカレフ氏によると、一般的なブラウザのビジネスモデルは検索広告(Google Chromeの場合)に重点を置きすぎているため、あるいは単にウェブブラウジングのための総合的なツールである必要があるため、Sidekickのように優れた作業環境を実現することはできないという。プシュカレフ氏の見解では、Sidekickは既存のブラウザでも実現可能な単なる強化機能とは違い「スタンドアロンのビジネス」を実現しているという。

「残念ながら、他のブラウザを拡張することは、今のところ現実的な道ではありません。包括的なソリューションを構築するには、Chromeのコードベースの奥深くに入り込み、パフォーマンス、メモリ最適化、セキュリティ、複数アカウントのサポート、プライバシーについて再考する必要があります」と同氏は指摘する。

同社のサービスで、おそらくブラウザにはできない、またはしないことの例の1つとして「何百もの」サードパーティーアプリのために構築されたサポートが挙げられる。「このサポートを構築した理由は、バッジや通知の表示と制御、検索との統合、複数アカウントのサポート、便利な拡張機能の追加など、より優れた統合を実現するためです」と同氏は説明している。

プシュカレフ氏はまた「New Tab Page」(この記事の上部にある画像を参照)についても言及している。これは2021年3月末までにすべてのユーザーに公開される予定で「タイプ別に分類された、判読しやすいタイトル付きで、瞬時に検索できるすべてのドキュメント」が表示されるという。

「こういったアプリとの深い統合がなければ、この体験を提供することはできておらず、ほとんど使えないブラウザ履歴しか表示できなかったことでしょう」と同氏は述べている。

プシュカレフ氏は、ビジネスモデルの面ではSaaSがうまくいくと確信しており、Sidekickは他のブラウザのように収益化する(つまり「データと検索を通じて」)必要はないと主張している。「私たちは潜在的に何百万人もの知識労働者の時間を節約できるツールを作っているのですから」。

「もう1つ重要視しているのは、先ほどお伝えした、当社が現在構築中のB2Bビジネスです。まだ初期ベータ段階ですが、B2Bでは製品のブラウザは会社が用意したリモートワークステーションのようなものになり、役割に応じてリモートで設定したりセキュリティを確保したりできます」と同氏は付け加えている。

「現時点では収益の大部分はここから来ていますが、3月にはサブスクリプションを提供することで、B2Cの収益化を初めて試みます」。

関連記事:約2.8兆円でのSalesforceのSlack買収をめぐる投資家や専門家の見解

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Sidekick Browserウェブブラウザー

画像クレジット:Sidekick Browser

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

プライバシー重視のブラウザ開発Braveが独自の検索エンジンを発表、欧州版Firefoxの元開発者と技術の協力で

Mozillaの元CEOであるBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏によって共同設立されたプライバシー重視のブラウザ開発企業Braveは、デスクトップとモバイル向けに独自ブランドの検索エンジンをローンチする準備を進めている。

Braveは米国時間3月3日、Cliqzアンチトラッキング検索ブラウザコンボ(現在は廃止されている)の開発チームが開発したオープンソース検索エンジンの買収を発表した。このテクノロジーは来るべきBrave Searchエンジンを支えることになるだろう。同社は「Big Tech(ビッグテック)」によるものではない検索とブラウジング体験を何百万ものユーザーに提供していく予定だ。

「今日の検索エンジンのほとんどは、ビッグテック企業の検索結果に基づいて作られています。対照的に、Tailcatの検索エンジンは完全に独立したインデックスの上に構築されており、プライバシーを犠牲にすることなく、人々が期待する品質を提供することができます」とBraveは買収発表のプレスリリースに記している。

「Tailcatは、検索結果を向上させるためにIPアドレスを収集したり、個人を特定できる情報を使用することはありません」。

Cliqzはプライバシーに重点を置いたMozillaのFirefoxブラウザのヨーロッパ版であり、同社の主要株主であるHubert Burda MediaはGoogleに代わるブラウザを開発しようと複数年にわたる取り組みを続けていたが、パンデミックで厳しい取引環境が続いたことを受け、早期撤退を余儀なくされ、2020年5月に閉鎖された。

以前のCliqz開発チームはその後Tailcatで働いていたが、買収の一環としてBraveに移った。エンジニアリングチームを率いるのはJosep M Pujol(ジョセップ・M・プジョル)博士で、同氏はBraveのPRで「ビッグテックに代わる唯一の本格的なプライベート検索 / ブラウザを開発していることに大きな興奮を感じています」 と語っている。

「Tailcatは完全に独立した検索エンジンで、独自の検索インデックスをゼロから構築します」とアイク氏はTechCrunchに語った。「Tailcat as Brave Searchは、Braveがブラウザで提供しているものと同じプライバシー保証を備えています」。

「Braveは、ビッグテックのプラットフォームに代わる初めてのプライベートブラウザ+検索機能を提供することになります。ユーザーはプライバシーを保証された閲覧と検索をシームレスに行うことができます。またBrave Searchは、その透明性により、アルゴリズムのバイアスに対処するとともに直接的な検閲を防ぎます」。

アイク氏によると、Braveが検索事業に参入したことにはプライバシーが主流になりつつあるという同社の自信を投影しているという。同氏は、過去1年間で同社のブラウザの利用が「前例のないほど」増加しており、月間アクティブユーザーは1100万人から2600万人以上に増加していることを指摘し、それは非営利のe2e暗号化メッセージングアプリSignal(Facebook傘下のWhatsAppがプライバシーポリシーの変更を発表した後、WhatsAppのビジネスアカウントを通じてFacebookとデータを共有できるようになった)の利用が2021年初めに急増したこのと似通った現象だと語った。

同氏は声明で「2021年にはビッグテックの侵入的慣行から逃れるための真のプライバシーソリューションを必要とするユーザーが増え、Braveに対する需要はさらに高まると見込んでいます」と付け加えた。「Braveのミッションはユーザーを第一にすることであり、プライバシー保護検索を当社のプラットフォームに統合することは、監視経済を促進する目的でユーザーのプライバシーが奪われることがないようにする上で必要なステップです」。

関連記事:ウェブブラウザーBraveがピア・トゥ・ピアプロトコルIPFSのネイティブサポートを追加

Brave Searchは、ユーザーがブラウザのデフォルト設定として選択できるかたちで、既存のサードパーティー(Google、Bing、Qwant、Ecosiaなど)と並んで提供される。

アイク氏はまた、将来的にはこれがデフォルトになる(ユーザーが自ら選ぶことのない)可能性もあると述べている。

「当社は引き続き、複数の代替エンジンで『オープン検索』をサポートしていきます」と同氏は述べた。「ユーザーの自由な選択は、Braveの絶対的原則ですから、Braveはユーザーのデフォルトの検索エンジンに複数の選択肢を提供し続けます。しかし当社のユーザーはBrave Searchの比類ないプライバシーを選択すると考えています。準備が整い次第、Brave SearchをBraveのデフォルトエンジンにしたいと考えています」。

Tailcatによる検索結果の品質とGoogleとの比較について尋ねたところ、アイク氏は「かなり良好です」と述べ「普及することでさらに向上していくでしょう」と付け加えた。

「Googleの『ロングテール』はどんなエンジンにとっても打ち負かすのは容易ではありませんが、一度Braveブラウザーに統合されれば、その面でも競合する計画が私たちにはあります」と彼はメールインタビューの中で語り、Googleの巨大な規模は検索のライバルにある程度の競合の機会を提供していると論じた。「Googleが後れをとっている面もあります。検索が彼らの収益の主な源であるとき、彼らが検索の革新を進めることは難しいでしょう。

「彼らは新しい技術や透明性を試す対してリスクを回避しがちですし、株主から希少な検索エンジンの検索結果ページ(SERP)領域に彼らの事業を結びつけるよう求められたり、検索エンジン最適化(SEO)を迫られたりしています」。

「検閲、コミュニティからのフィードバック、アルゴリズムの透明性などの問題については、初期段階から改善が可能であると私たちは考えています。他の検索エンジンとは異なり、大きな改善を行う唯一の方法は新たなものを構築することであり、構築から得られるノウハウを活用することであると確信しています」と同氏は続けた。「インデックスを生成する代わりにBingを使うオプションもありますが(他の検索サービスと同様に)、そうすると品質の面ではBing止まりとなります(そうした場合ユーザーは完全にBingに依存することになるでしょう)」。

Braveは晩春ないし夏までにBrave Searchの一般公開を目指しているとアイク氏は語った。早期イテレーションのテストに興味のあるユーザーは、ウェイトリストにここから登録することができる。(テスト版は「今後数週間」のうちに登場する予定である。)

Tailcatという名称は、Cliqzが閉鎖される前にブラウザに実装されていない内部プロジェクトであったため、一般にはあまり知られていないようだ。

アイク氏によると「本格的な検索エンジンの開発に向けて」Burdaで開発が続けられていたという。(2020年4月に同社がCliqzの閉鎖を発表した際、同社はCliqzのブラウザーと検索技術を閉鎖すると述べたが、同時にAIや検索のような分野の技術的な問題に取り組むために専門家チームを招集するとも表明していた)。

「CliqzはSERPベースの検索エンジンを提供していましたが、ブラウザにはまだTailcatを実装していませんでした」とアイク氏はいう。「2020年4月にCliqzが閉鎖された後も、Burdaの開発チームは、本格的な検索エンジンを開発するために、新しいプロジェクト名をTailcatとして検索技術の開発を続けていました。チームはそのミッションを継続するための長期的な拠点を求めていましたので、Braveの一員になることに大きな喜びを感じています」。

買収の金額的条件は明らかにされていないが、我々はBurdaが買収契約の一環としてBraveの株主になっていることを確認した。

「当社の技術がBraveで使用され、その結果、ブラウジングと検索の中核的なウェブ機能において、Googleに代わる真の、プライバシーに配慮した代替手段が生み出されたことを大変喜ばしく思っています」とHubert Burda MediaのCEOであるPaul-Bernhard Kallen(ポール=ベルンハルト・カレン)氏は支持声明で述べている。「Braveの株主として、私たちは今後もこのエキサイティングなプロジェクトに関わっていきます」

Braveが代替ブラウザの開発に注力し始めたのは、主に広告資金によるインターネットビジネスモデルを再考し、暗号化通貨による報酬システムを利用してコンテンツクリエーターへの支払いを行う(およびユーザーの閲覧に対しても支払いを行う)ことを意識してのことであったが、今ではプライバシー重視の「スーパーアプリ」と自らを評している。

現在、Brave Browserはプライバシー保護広告プラットフォーム(Brave Ads)とニュースリーダー(Brave Today)をバンドルしている。今後リリース予定の検索エンジン(Brave Search)、プライバシー保護ビデオ会議サービス(Brave Together)に加えて、Firewall+VPNサービスも準備中だ。

「スーパーアプリ」による統一的なブランド提案は、主流のツールとは対照的に、ユーザーにオンライン体験の真のコントロールを提供するという誓約であるといえるだろう。

関連記事:ブレンダン・アイク氏の画期的なブラウザーBraveの1.0版が登場

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Braveウェブブラウザー検索エンジンプライバシー

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

マイクロソフトがXbox向けChromiumベースEdgeブラウザーのオープンテストを開始

マイクロソフトがXbox向けChromiumベースEdgeブラウザーのオープンテストを開始

Aaron Souppouris/Engadget

マイクロソフトは、最新ゲーム機Xbox向けのChromiumベースのウェブブラウザーEdgeを開発し、オープンテストを始めました。Xbox Inider Program内のAlpha / Skip Ahead Ringに属するXboxのテスターは、Xbox Series XおよびS、Xbox Oneで新しいEdgeブラウザーを試すことができます。

Xbox版Edgeは、まだマウス/キーボードが完全にはサポートされておらず、バグもまだ残されているものの、Xboxコントローラーでは十分に機能するとのこと。

Xbox版EdgeではそのベースであるChromiumブラウザーとの互換性によって、理屈上はGoogleのストリーミングゲームサービスStadiaの利用も可能になるはずです。また、ブラウザーゲームやSkypeその他のサービスの互換性も向上します。他のプラットフォームのEdgeと同じ同期エンジンを使用しているため、プラットフォーム間のデータ同期など、いまどきのインターネットの便利機能を享受できるようになるでしょう。

まだXbox版Edgeは完成には遠い位置にあるようですが、4K以上の解像度を持つ大画面テレビで使われることも多くなるであろうことを考えると、今後の使い勝手の向上如何ではゲーム機が家庭におけるウェブブラウジングの中心になる可能性も、もしかしたら高まるかもしれません。

なお、Xboxのライバル機PlaySation 5では、いまのところ簡単に利用できるウェブブラウザーは用意されていません。アプリの画面上にウェブページを表示する機能はあるので、将来的にPS5用の単体ウェブブラウザーが用意される可能性はありますが、少なくともこの記事執筆の時点においては、ブラウザー市場の大半を占めるChromiumベースという点も含め、Xboxのほうが優位な状況と言えるでしょう。もちろん、わざわざゲーム機でウェブサイトを見たりしないよという方には大した話ではないかもしれませんが。

(Source:The VergeEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Xbox / エックスボックス(製品・サービス)ウェブブラウザー(用語)Microsoft Edge(製品・サービス)

Microsoft Edgeの起動が高速に、バーティカルタブが利用可能に

Microsoftは1年前に、同社のEdgeブラウザーにバーティカルタブ(垂直タブ)を実装すると発表したが、ついに米国時間3月4日、Edgeのバーティカルタブの一般公開を発表した

さらにEdgeチームは、ブラウザーの起動を大幅に高速化する内部変更も発表している(Microsoftの予備テストによれば、正確には最大41%高速化)。Microsoftはハードドライブの速度を上げたり、Edgeを大幅に縮小したりすることはできないため、チームは実現のために、サインイン時にブラウザーをバックグラウンドでロードし、すべてのブラウザーのウィンドウを閉じても実行を継続している。これが気に入らない場合は、いつでもこの機能をオフもできる。

バーティカルタブはすぐ利用できるが、ブラウザーの起動に関する改良は2021年3月中に展開される予定だ。

画像クレジット:Microsoft

バーティカルタブは、もちろん新しいものではない。他のブラウザーでは、デフォルト機能やエクステンション(拡張機能)として以前からサポートしている。それでも、ついにEdgeで利用できるようになったのはうれしい。

本日の発表声明でMicrosoftのMichele McDanel(ミケーレ・マクダネル)氏は次のように述べている。「多くのウェブサイトは慣習的な格子形状で、ページの両端に空白が多くの残っている。私たちがユーザーとの協力の中で見つけたのは、この垂直の空白をタブのスペースとして使うということだ。タブのリストは必ずしも、従来のように上部に横に並ばなくてもよい。バーティカルタブは新しいコンセプトではないが、ブラウザー体験をより良いものにする機会として、いくつかのプロトタイプをユーザーとテストしてきた」。

画像クレジット:Microsoft

その結果わかったのは、バーティカルタブを好むユーザーは、通常の水平タブと切り換えながら使うのが好きだということだった。そこで、希望者はどちらのタブも常時見られるようにした。また、画面を広く使いたいユーザーもいるため、サイドバーをたたむ機能も搭載している。

他にもMicrosoftは、同社の検索エンジンであるBingにいくつかの新しい機能を追加した。例えば新設のレシピービューは、いつものように夕飯の献立が思いつかないとき利用する。また、画像検索の結果表示もきれいになり、サイドバーの情報ボックスを改善してインフォグラフィック的になっている。しかしながら、残念なことにあなたはおそらくBingを使っていない。もし使っているのならば、ここでアップデートの詳細を確認しよう。

関連記事:Microsoft Edgeにスマートコピー、バーティカルタブなどの新機能が追加

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft Edgeウェブブラウザー

画像クレジット:Microsoft

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

拡張機能でカスタマイズ可能なiOSブラウザをInsightがリリース

Insight(インサイト)という新しいスタートアップが、広告やトラッカーをブロックし、Amazon上のフェイクレビューにフラッグを立て、SEOフリーの検索エクスペリエンスを提供し、メディアバイアス(偏向報道)や誤情報を指摘することで、ウェブブラウジング体験をより良いものにすることを目的としたiPhone用のウェブブラウザー機能拡張をリリースした

これらの機能はInsightのエクステンションという方法で利用でき、最初にアプリを立ち上げる時に提示される。一方、他のものはアプリ内でブラウズでき、検索、ショッピング、料理&外食、ニュース、健康、読書といったカテゴリーに分類整頓される。Insightはまた、ユーザーがそうしたエクスペリエンスをオプトインすれば、ユーザーのブラウジングに基づいてエクステンションの試行を提案する。

たとえば1つのエクステンションでGoogle、Amazon、ユーザーのTwitterやFacebook、Redditといったソーシャルメディアフィード上の広告をブロックできる。別のエクステンションはAmazon.com上のフェイクレビューを検知するためにReviewMetaと連携し、CamelCamelCamelの価格トラッカーの助けを借りて価格アラートを設定できる。また別のエクステンションでは、ダークモードエクスペリエンスの機能を提供していないサイトでその機能を可能にし、Media Bias Fact Checkでニュースの偏見をチェックし、YouTubeや他のビデオサイトでピクチャー・イン・ピクチャーのモードでビデオを閲覧するといったこともできる。

画像クレジット:Insight

Insightは合計で100近くのエクステンションをすでに構築しているが、デベロッパーでなくても自分でエクステンションを作ることができるツールも提供している。

iOS Shortcutsアプリのようなものに似ているシンプルなインターフェイスを使って、ユーザーは基本の「if」と「then」を使ってエクステンションの条件を決められる。たとえば「もしこのURLにマッチするページを開いているなら」あるいは「ドメインのこのリストにあるなら」「この他のページも表示する」といった具合だ。

これらの機能をモバイルで動かすようにするためには、ちょっとしたクリエイティビティが必要となる。AppleはデベロッパーがWKWebViewでできることを制限している。つまり、モバイルブラウザーは、デスクトップウェブで利用できるものと同じようなエクステンションを提供できない。

この問題を解決するためにInsightはスワイプジェスチャーを使ってナビゲートする一種の「サブタブ」ワークフローを作った。たとえばオンラインショッピングのとき、あなたは興味のあるプロダクトを閲覧すると、利用できるクーポンや信用できるプロダクトレビューをチェックしたり、他のサイトのショップと比較したりといったことができる。

レシピを探しているときは、検索をお気に入りの食べ物ブログのリストのみに制限できる。エクステンションを一緒に使うことができるので、食べ物ブログにある広告をブロックし、「リーダーモード」でサイトを閲覧するためにスワイプできる。

画像クレジット:Insight

これらをどう使うかはあなた次第だ。どのエクステンションをインストールして利用できるようにするか、それらをどう設定するかによる。

Insightのアイデアは、実際には医師向けのカスタム検索エンジン構築にフォーカスしていた初期の取り組みからきている。Insightのチームは2019年のY Combinator冬季セッションに参加し、信頼できるソースに医師を誘導するためにジャンクの医療コンテンツや消費者を目的とした他のページをウェブから取り除く検索エンジンを開発した。

しかし新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、状況は一変した。

「その時点まで、一緒に取り組んでいたユーザーの多くは医学生でした。パンデミックが米国に到達したとき、医学校は閉鎖され、医学生の多くが自宅に戻りました」とInsightの共同創業者でCEOのArcha Jain(アーチャ・ジェイン)氏は説明する。「我々のユーザーベースはひと晩で消えました」。

チームは内部でしばらく検討していた他のアイデアに取り組むことを決めた。

「我々が取り組んでいた問題は、医療特有のものではないと気づきました。根本的な問題は、インターネットは万能の解決法ではないということです。我々は、もしみんなが自分のブラウザーエクスペリエンスを我々が特定の人のためにしている方法でカスタマイズできるようになったらどうなるか、と考えました」とジェイン氏は話した。

そうしてInsightが生まれた。

InsightはGoogle、Uber、Calicoなどでエンジニアリングの経験があるジェイン氏、Quora、Mozilla Labs、Facebookで働いた経験がある共同創業者のAbhinav Sharma(アブヒナブ・シャーマ)氏、Newgen Softwareの元プロジェクトマネジャーShubhi Nigam氏(シュブヒ・ニガム)氏を含む小さなチームによって構築された。

InsightはY Combinator、Heartcore Capital、Altair Capitalから150万ドル(約1億6000万円)のシード資金を得ている。

長期的にはInsightは提供が始まったサービスにプロバージョンを設けるつもりだ。また、ブラウザをデスクトップにも拡大することを目指していて、デスクトップではエクステンションそのものとして機能する。

2020年12月にベータ版のテストを立ち上げて以来、アプリのアクティブユーザーで最も利用の多い上位10%のユーザーはInsightで1日あたり1000のページビューがあり、これはおそらくロイヤルカスタマーが好みのモバイルブラウザとしてInsightへシフトしたことを示している。立ち上げ前、Insightはベータ版のプロダクトのアプリストアAirportでしばらくの間ダウンロード数が1位だった。

InsightはApp Storeで無料でダウンロードできる

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タグ:InsightウェブブラウザーiOS

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

検索する度にアイデアを集めるウェブブラウザーを開発するBeamが約10億円調達

BeamがシリーズAで950万ドル(約9億9800万円)を調達した。同社はユーザーがウェブのセッションを開始してからブラウズした軌跡を完全にたどることができる新しいウェブブラウザーを開発している。Dom Leca(ドム・レカ)氏とSébastien Métrot(セバスチャン・メトロ)氏がBeamを創業した。レカ氏は以前、独創的な設計のメールアプリのSparrowを開発していた。

今回の資金調達ラウンドはPace Capitalが主導した。Christan Reber(クリスチャン・リーバー)氏、Harry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏などのビジネスエンジェルも参加した。これまでに投資していたSpark、Amaranthine、C4V、Alven も再び投資した。

BeamはSafari向け広告ブロッカーのRadBlockを買収することも発表した。

Beamをご存じない方は、以前に筆者が同社について投稿した記事をお読みいただきたい。この記事でプロダクトの動作やその背後にある考え方を紹介した。

要約すると、Beamはナレッジに着目したウェブブラウザーだ。多くの人が漫然とウェブをブラウズして長時間すごしている。最後のタブを閉じたときに、自分は大して学んでもいないしメモも取っていなかったことに気づく。

ブックマークすることもできるが、ブックマークは使わないし、まったくチェックしないかもしれない。何かをもう一度見つけたいと思っても、結局はGoogleに検索語句を入力して最初から探すことになる。

Beamはユーザーが何かを検索するたびに新しいセッションを作成する。各セッションはメモのカードとして表わされる。ブラウズを終えると、見たものがメモのカードにまとめられている。検索語句がカードのタイトルになり、最も重要なサイトがメモの上部に表示される。関係性の低いコンテンツはメモの最後に記録されている。

そのカードに対してテキストの追加、リンクの削除、内容の整理、きちんとしたメモの記入をすることができる。基本的には自分で意識しなくても網羅的なメモが作成される。

Beamは野心的なプロジェクトで、同社はこの当初のアイデアを繰り返さなければならないだろう。しかし子供の頃にウェブを使い始めるには良い方法であるように思われる。ウェブでの自分の行動によって、自分が夢中になっていることに気づくようになる。

現在、Beamでは7人が働いている。同社は機械学習と自然言語処理の専門家や開発者を雇用する予定だ。

関連記事:Beamはメモを取らないあなたのウェブ検索や閲覧からナレッジを集めるブラウザーを開発している

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タグ:Beamウェブブラウザー資金調達買収

画像クレジット:Luca Bravo / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

あなたのプライバシーを守ってくれるウェブブラウザー拡張機能6選

インターネットはプライベートな場所ではない。広告は一番高く買ってくれる客にあなたの情報を売るために、できるだけ多くのユーザー情報を集めようとする。メールはいつあなたがそれを開封し、どのリンクをクリックしたかを知っている。そして、インターネット最大の詮索好き、つまりFacebook(フェイスブック)やAmazon(アマゾン)は、あなたがウェブで閲覧するサイトからサイトへと追いかけ続ける。

しかし、そうさせない方法はある。TechCrunchは、見えない広告やトラッキングのほとんどをブロックしてユーザーのオンラインプライバシーを向上させるウェブブラウザー拡張機能6種類をテストした。

これらの拡張機能は、すべての詮索行為をブロックするわけではないが、あなたのインターネットでの動きを追跡しようとする仕かけへの露出を劇的に減らしてくれる。広告主がターゲット広告を打つためにユーザーの好みや関心を知ろうとデータ収集することを、あなたはあまり気にしていないかもしれない。しかし、あなたが調べた病気の情報や個人的な購入の内容を広告の巨人たち(未訳記事)が見ているとしたら少し心配になるかもしれない。

隠された広告トラッカーが読み込まれるのをブロックすることで、ウェブサイトはあなたの情報を収集しにくくなる。必要のないデータを捨てることで、ウェブサイトの読み込みが早くなることもある。ただしウェブサイトによっては、追跡を許可しないと画面が正しく表示されなかったりサイトにアクセスできななくなるという代償もある。拡張機能は必要に応じてオンオフを切り替えることができる。あるいは、そもそもそのウェブサイトに価値があるかどうか、自分の探しているものはほかにないのかを考え直すこともできる。

HTTPS Everywhere

私たちは、ウェブサイトとHTTPS暗号化で繫がっていることを示すブラウザーの小さな南京錠アイコンを確認することに、すっかり慣れてしまった。これは開いたウェブサイトがアタッカーに乗っ取られたり改変されたりしていないこと、送信したデータがそのウェブサイト以外の誰にも見られないことを意味している。HTTPS Everywhere(HTTPSエブリウェア)は、非営利インターネット団体のElectronic Frontier Foundataion(EFF、電子フロンティア財団)が作ったブラウザー拡張機能で、HTTPSが提供されているウェブサイトでは自動的にそれを使って読み込み、HTTPSに対応していない少数派のウェブサイトをブロックすることができる。この拡張機能はChrome、Firefox、Edge、Operaなどほとんどのブラウザーで利用できる。

Privacy Badger

これもEFFが作った拡張機能のPrivacy Badger(プライバシー・バジャー)は、ウェブサイト上の見えないサードパーティー製トラッカーをブロックする有数のオールインワン拡張機能だ。この拡張機能はウェブページの要素をすべて調べ、ウェブサイトを横断してあなたを追跡するものを見つけて、ブラウザーが読み込むのを防ぐ。Privacy Badgerはユーザーがウェブを閲覧するにつれて学習するため、使うほど賢くなる。しかも設定は簡単で、インストールするだけだ。この拡張機能はほとんどの主要ブラウザー向けに提供されている。

uBlock Origin

インターネットを無料で使えるのは広告のおかげだが、ときとしてそのためにあなたの個人情報が犠牲になっている。広告はユーザーのことをできるだけ多く学習し(そのために閲覧行動を監視し、ウェブを横断して追跡する)、あなたがクリックする可能性の高い広告を表示するためのターゲティンクができるようにする。広告ブロッカーは、広告の読み込みを防ぐことで追跡を止めさせるとともに、追いかけてくるトラッキングコードもブロックする。

uBlock Origin(ユーブロック・オリジン)は軽量でシンプルながら効果的で多くの人々が使う信頼ある広告ブロッカーだ。上級ユーザー向けに山ほどの詳細な機能を備えカスタマイズもできる(なりすまし商品に注意。似たような名前で信用のおけない広告ブロッカーがたくさんある)。そして、もしあなたが広告収入を当てにしているサイト(本誌もそうだ!)を不快に感じるなら、そのサイトを有料購読することを考えることだ。つまるところ、広告トラッキングに依存して金を稼いでいる無料ウェブこそが、我々をプライバシーの悪夢に陥れている張本人なのだから。

uBlock OriginはChromeFirefoxおよびEdgeで動作するほか、オープンソースで公開されているので、どんな仕組みで動いているかを誰でも見ることができる。

PixelBlockおよびClearURLs

もしあなたが、ウェブサイトの隠されたトラッカーを悪だと思うなら、まずあなたのメールに何が潜んでいるかを知るべきだ。有名ブランドから送られてくるメールのほとんどには、ごく小さな、ときには見えないピクセルが潜んでいて、メールを開くと送り主に通知が送られる。PixelBlock(ピクセルブロック)はChromeブラウザー用の単純な拡張機能で、隠されたメール開封トラッカーが読み込まれて動作するのを防ぐ。トラッカーを見つけるたびに、小さな赤い目を受信箱に表示して知らせる。

その類いのメールのほとんどには、あなたがどのリンクをクリックしたかを送り主に知らせるトラッキングリンクも付いてくる。ClearURLs(クリアーURLズ)はChromeFirefoxおよびEdgeで利用できる拡張機能で、ブラウザーや受信箱の中のトラッキングリンクを静かに抹消する。そのためにClearURLsは、この種のどの拡張機能よりもブラウザーのデータをアクセスする必要があるが、メーカーはドキュメントでその理由を説明している。

Firefox Multi-Account Containers

Firefoxユーザー向けの特別賞は、ユーザーのブラウジング行動を分離できるMulti-Account Containers(マルチアカウント・コンテナ)に贈る。ブラウザーメーカー自身の作った拡張機能だ。たとえば1つのコンテナには仕事用のタブを、別のコンテナには個人用のタブを入れておくことで、複数のブラウザーを使う必要がなくなる。コンテナを使えばプライベートな閲覧を仕事の閲覧と区別できる。これは、FacebookやGoogleを1つのコンテナに入れておくことで、あなたが訪問したウェブサイトから好みや興味を推測することをずっと難しくすることができる、という意味でもある。コンテナの使い方は簡単でカスタマイズもできる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ウェブブラウザープライバシー

画像クレジット:Warmworld/others / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Beamはメモを取らないあなたのウェブ検索や閲覧からナレッジを集めるブラウザーを開発している

Netscape NavigatorやInternet Explorerを覚えているだろうか?1990年代に登場したこれらのアプリの名前は、ウェブを「ブラウズする」という単純な作業を強調して例えたものだった。いまでは、Google Chromeがウェブの探検者(explorer)だとは誰もいわない。

ウェブのブラウズは簡単な作業で、頭を使っていないことも多い。スマートフォンかコンピュータに向かい、新しいタブを開いてアドレスバーに何文字か入力するだけだ。

BeamはDom Leca(ドム・レカ)氏とSébastien Métrot(セバスチャン・メトロ)氏が創業した新しいスタートアップで、ウェブブラウザーでもありメモでもあるまったく新しいアプリを開発している。レカ氏は以前にmacOSとiOS向けのメールアプリであるSparrowを作り、2012年にGoogle(グーグル)に買収された。メトロ氏は数年間Apple(アップル)で働いていた。

レカ氏は筆者に「InstagramやFacebook(フェイスブック)に夢中になりすぎて時間を無駄にしてしまうことを誰もが不満に思っています」と話した。それでも、ウェブブラウザーには無限の知識と無限の可能性が示される。

ニッチなトピックに熱心な人なら、何かを読みビデオを視聴しフォーラムで情報交換をするなどして、たくさんのことを学べる。しかしブラウザーのウインドウを閉じると、すべて消えてしまう。

履歴の機能は確かにある。しかしそれはつながりのない長いリストだ。ページをブックマークしたり別のアプリでメモを取ったりすることも確かにできる。しかしそれは面倒だ。

そしてもっと困るのは、何が重要で何が重要でないかがわからない場合があることだ。夢中になれることは、何気ない検索から始まる。

Beamの謎めいたロゴ(画像クレジット:Beam)

Beamは利用者のウェブの履歴に意味を持たせようとしている。何かを検索するたびに、新しいメモのカードが作られる。ユーザーがリンクをクリックし、新しいページを開き、その内容を時間をかけて見ると、Beamは控えめにそれを追跡する。

ユーザーがタブを閉じると新しいカードが作られている。検索語句がカードのタイトルになり、ノートにリンクがすべて記録されている。カードにテキストを追加したり、関係のないリンクを削除したりすることもできる。

タブを閉じたときに自動でメモが作成されて小さな通知が表示されるので、ウェブのアクティビティを振り返ることができる。こうして自分自身や自分の習慣が詳しくわかる。もちろん、膨大な時間を無駄にしていると自覚することになるかもしれない。しかし、料理やロシアのクラシック音楽について自分が思っていた以上に関心を持っていたのだと気づくこともあるだろう。

レカ氏は「ある意味、私はメモを取らない人々のためにこれを設計しています」という。

とはいえ、メモ用アプリを使っている人にとっても複数のアプリの切り替えは作業の中断になる。レカ氏はメモツールのRoam Researchに投資し、このツールをとても気に入っている。しかしウェブをブラウズしていると健忘症になってしまうかのような問題がこのツールで解決するとは思っていない。

Beamは、当初の単純なコンセプトからさらに拡張する方法をすでに考えている。メモから直接、コンテンツを扱えるようになるかもしれない。YouTubeのリンクをクリックしてカード内でビデオを見たり、ポッドキャストのリンクをクリックして自動の字幕を表示したりといったことだ。

最終的にはBeamでカードを他のユーザーと共有できるようになるかもしれない。自分と同じことに関心を持っているユーザーのプロフィールをブラウズできるようになるかもしれない。

現在、BeamはブラウザーのエンジンとしてWebKitを利用してMac版のアプリを開発している。公開は数カ月後になる見込みだが、今後注目すべき企業になるだろう。

BeamはSpark Capital、Alven、C4Ventures、Amaranthine、Andrew Wilkinson(アンドリュー・ウィルキンソン)氏のTiny Capital、Tiny vc、Secret Fund、Antoine Martin(アントワーヌ・マーティン)氏、Simon Dawlat(サイモン・ドーラット)氏、Nicolas Cohen(ニコラス・コーエン)氏、Spetsesから300万ドル(約3億1000万円)を調達した。Tweetie for Mac開発者であるLoren Brichter(ローレン・ブリヒター)氏とiA Writer開発者であるOliver Reichenstein(オリバー・ライヒェンシュタイン)氏がBeamの相談役になっている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Beamウェブブラウザー資金調達

画像クレジット:Luca Bravo / Unsplash

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(翻訳:Kaori Koyama)

グレートファイアーウォールを乗り越える中国製ブラウザTuber

中国では現在、ユーザーがYouTube、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram、Google(グーグル)および他のインターネットサービスにアクセスすることができるツールを持っているが、それ以外の方法では、国内で長い間禁止されている。

最近、Tuberと呼ばれるモバイルブラウザが中国のサードパーティ製Androidストアでデビューし、iOS版のリリースも予定されている。アプリのランディングページは、YouTubeの動画のスクロールフィードを備えているほか、ユーザーが欧米で主流のインターネットサービスをアクセスできるタブも備える。

このアプリを中国のインターネットにおける前例のない「解放」と称賛する人もいれば、ブラウザに検閲のベールがかかっていることにすぐに気づいた人もいる。TechCrunchが行ったテストによると、YouTubeは政治的にセンシティブなキーワード「天安門」「習近平」で検索したが、アプリ上では何の結果も返さなかった。

アプリの使用にも責任が伴う。登録には中国の電話番号が必要なので、個人情報と結びついている。アプリの利用規約によると、ユーザーが憲法違反、国家の安全と主権の危険、噂の流布、社会的秩序の破壊、その他の現地法違反などのコンテンツを「積極的に見る、または共有する」した場合、プラットフォームはユーザーのアカウントを停止し、データ「関係当局と」を共有することができるとある。

中国政府の管轄外にあるサイトをブロックしたり、VPNを使ってGreat Firewall(グレートファイアーウォール)を回避している個人を追跡するのではなく、中国政府は現在、西側諸国のインターネットを垣間見ることができるアプリを提供している。その履歴は当局によって厳重に監視されている可能性はあるが。

アプリについての多くは、起源や背後にある動機など不明のままだ。このアプリの公式ウェブサイト(上海丰炫信息技术有限公司)の運営者は、中国のサイバーセキュリティソフトウェア大手Qihoo 360の子会社が70%を所有している。このアプリが軌道に乗るかどうかはまだわからない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ウェブブラウザーTuber

画像クレジット:Tuber

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(翻訳:TechCrunch Japan)