セキュリティが強化されたエンタープライズ向けブラウザのIslandが約140億円調達

ダラスのIslandは、エンタープライズのための安全なブラウザを開発している。同社はこのほどシリーズBで1億1500万ドル(約140億円)を調達した。それは同社が最初の資金調達として1億ドル(約121億円)を獲得して、ステルスを脱してからわずか数週間後のことだが、同社の評価額は13億ドル(約1579億円)に達していた。

この驚くべきスピードの資金調達は、これまでのリード投資家であるInsight Partnersが主導し、ニューヨークに拠点を置くベンチャーキャピタルが12番目の旗艦ファンドとして200億ドル(約2兆4287億円)以上を調達したわずか数週間後に行われたものだ

2020年に創業されたIslandは、Chromiumをベースとして、エンタープライズ向けにセキュリティを強化したブラウザを作っている。そのエンタープライズブラウザはコピー&ペーストやスクリーンショットなどの機能を無効にして、重要なデータが企業の外へ出ないようにし、契約社員や自機持ち込み労働者にも安全なアクセスを提供する。さらにそのブラウザは、ウェブのフィルタリングや隔離、エクスプロイト防止、スマートネットワークルーティング、ゼロトラストアクセスなど独自のセキュリティ機能を揃えている。

IslandのCEOであるMichael Fey(マイケル・フェイ)氏はTechCrunchに「今回の投資は2月にローンチして以降の『極めて幸運な』需要の結果だ」と語っている。

「私たちのチームは、いろいろな分野と規模の企業や組織のセキュリティに貢献できました。それは、市場のニーズとプロダクトのスケーラビリティ、それら両方のおかげでありとても感謝している。今度の調達に最初の投資家たちが参加していることは、顧客の間での評判がとても良いことを彼らが実際に見聞きしていることを物語っている。このような活気ある投資は、私たちにスケールとイノベーションを可能にし、もっと多くの顧客の問題を解決して、私たちをこの分野のトップに押し上げるだろう」とフェイ氏はいう。

「エンタープライズブラウザを立ち上げるという私たちのミッションは、ステルスを脱したときから、セキュリティのプロフェッショナルたちに価値をご提供することだった。その目標を、こんなに短い時間で達成できたことは、とてもエキサイティングです」。

この巨額な調達はStripesやSequoia Capitalなど既存の投資家も支えており、またサイバーセキュリティへのVCの投資が記録的だった年の続きでもある。Momentum Cyberの最近のデータによると、サイバーセキュリティのスタートアップは2021年に295億ドル(約3兆5841億円)という「記録破りの」額のベンチャー資本を調達し、2020年の120億ドル(約1兆4579億円)の倍を超え、2年分を合わせた額よりも大きくなった。

関連記事:元Symantec・McAfee幹部によるIsland、セキュリティ重視のエンタープライズ向けブラウザで脱ステルス

画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

MozillaがAndroid版Firefox FocusとiOS版Firefoxに新機能を導入、ピクサー映画の壁紙も

Mozilla(モジラ)は米国時間3月8日、Android版「Firefox Focus」とiOS版「Firefox」に新機能を導入すると発表した。Android向けのプライバシーを重視したモバイルブラウザであるFirefox Focusには「HTTPSオンリーモード」が追加される。このモードでは、訪問するすべてのウェブサイトで、アプリが自動的にHTTPSによる安全で暗号化された接続を確立するようになる。

「シンプルでプライバシーをデフォルトで重視するコンパニオンアプリとして、私たちはFirefox Focusをユーザーにとってより安全にするためにもっとできることはないかと考え、HTTPS専用モードを思いつきました」と、Mozillaはこの発表についてのブログ記事で述べている。「これは、Firefox Focusに自然にフィットするように感じられました。Android版Firefox Focusは現在、利用できる最高のセキュリティとプライバシーのために、自動的にHTTPSを選んで接続し、気が散ったり心配したりすることなく、あなたが迅速な検索を行いたいと思う瞬間をサポートします」。

今回の発表から2カ月ほど前、MozillaはAndroid版Firefox Focusに「Total Cookie Protection(トータル・クッキー・プロテクション)」と呼ばれるプライバシー保護機能も導入している。その目的は、毎日訪れるサイトや検索している製品など、複数のサイトでクッキーを共有して企業がユーザーに関する情報を収集するクロスサイトトラッキングを制限することだ。

iOS版Firefoxアプリの方は、画面の上部だけでなく下部にも配置できる新しい調整可能な検索バーが追加された。このわずかな変更により、ユーザーがオンラインで訪問したい場所にすばやくアクセスできるようになると、Mozillaでは述べている。この新しいオプションは、Apple(アップル)が「Safari(サファリ)」ブラウザに採用した調整可能な検索バーと似ている。

なお、Mozillaは今回の発表に合わせて、Disney(ディズニー)とPixar(ピクサー)の映画「私ときどきレッサーパンダ(原題:Turning Red)」にちなんだモバイル壁紙を、米国内の全ユーザーに展開することも発表した。この壁紙は、Firefoxモバイルアプリを開き、ホームページのFirefoxロゴをダブルクリックするか「ホームページをカスタマイズ」から見つけることができ、さまざまな壁紙の中から好きなものを選んで設定できる。Mozillaによると、今後数カ月のうちには新しい壁紙も用意され、グローバルにも展開する予定だという。

画像クレジット:Mozilla

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

macOSのChromeがSafariより高速に、グーグルが発表

Google Chrome(グーグル・クローム)のバージョン100が数週間以内にローンチされるが、いまだにブラウザを高速化する余地はまだ残されている。Google(グーグル)が米国時間3月7日に発表したように、macOS上のChromeのバージョン99は、Apple(アップル)のWebKitチームが独自に開発したSpeedometerベンチマークで300点を獲得することに成功した。これは、これまでのブラウザの中で最速のパフォーマンスだと、Googleは指摘している。

Speedometer 2.0は応答性をテストするため、ユーザーエクスペリエンスの良い尺度となる。Mozilla(モジラ)のFirefox(ファイヤーフォックス)とAppleのWebKitベースのSafari(サファリ)を例外として、ほとんどのベンダーが同じChromiumコードベースでブラウザを構築している現在、ブラウザ市場の競争が速度に焦点を当ててからしばらく経つ。しかし、だからといって、さまざまな開発チームがユーザーエクスペリエンスを高速化する方法を考えるのをやめたわけではない。多くの成熟したテクノロジーと同様に、最近は大きなブレークスルーが見られないだけだ。Interop 2022の一環として、各社のブラウザをウェブ標準により適合させるために集まっていても、各ベンダーの競争がなくなったわけではない。

新しいチップが登場すれば、常に最適化の余地がある。元々、AppleのM1チップ上のChromeのパフォーマンスは合格点だったが、このArmベースのチップの発売から15カ月後、Chromeはこのチップ上で43%速く動作するようになったとGoogleは指摘し、さらにこの分野でのいくつかの新しい技術のおかげで、ブラウザのグラフィックパフォーマンスがSafariを15%上回ったと強調している。これは、Googleが2021年すでに発表した数多くの一般的なJavaScriptの最適化に加えて行われたものだ。

Windowsユーザーのためのニュースはないが、GoogleはAndroid上のChromeもまた、いくつかの改善がみられると述べている。同社は「ブラウザのユーザーインターフェイスのスレッドで重要なナビゲーションの瞬間」を優先するいくつかのナビゲーション最適化のおかげで、ページの読み込みが15%速くなるはずだと述べている。

このような変化に気づくだろうか?高速接続の最新ブラウザは、事実上どんなページでも瞬きする間にレンダリングする。しかし、ソフトウェアの応答性を感じるには、それほど多くの時間は必要ない。M1 Macの43%は、TikTok(ティックトック)の閲覧(あるいはJiraチケットの管理など、さまざまな場面)において、より生産的な感覚を覚えるだろう。

画像クレジット:Halil Sagirkaya / Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Yuta Kaminishi)

Operaが絵文字ベースのウェブアドレスを実現、絵文字入りURLを販売するYatと提携

ウェブブラウザのOpera(オペラ)は、絵文字だけのウェブアドレスを可能にすると、米国時間2月14日に発表した。Operaはこの新しいコラボレーションにより、インターネットに新しいレベルの創造性をもたらすとしている。この新機能は、絵文字入りのURLを販売し、Y.atドメインを所有するスタートアップYat(ヤット)との提携によって可能となった。Yatを通じて、1回購入すれば、同社があなた専用のY.atリンクを提供してくれる。

Operaは、絵文字を中心とした統合により、パーソナライズされた絵文字の文字列からYatが作成される際に生成される独自のドメインであるYatページの検索と誘導が容易になるとしている。この統合により、Opera上のYat絵文字のウェブアドレスは、従来のように「.y.at」をつける必要がなくなった。また、ウェブページに埋め込まれた絵文字は、対応するYatのページに自動的にリンクされるようになる。

「この提携は、インターネットの仕組みに大きなパラダイムシフトをもたらすものです」と、Operaのモバイル担当上級副社長であるJorgen Arnesen(ヨルゲン・アーネセン)氏は声明の中で述べた。「www(ワールドワイドウェブ)が一般に公開されてから約30年が経ちますが、ウェブリンクの分野ではそれほど大きな革新はなく、人々はいまだにURLに.comを含めています。Yatとの統合により、Operaのユーザーは、リンクに.comや単語を使わず、絵文字だけでウェブサイトを表示できるようになりました。これは、新しくて、簡単で、より楽しいことです」。

ユーザーは、Yatのページをカスタマイズしたり、ウェブ上の他の場所にリダイレクトすることができる。何人かの有名人は、Yatページを早くから採用している。例えば米国のDJであるSteve Aoki(スティーブ・アオキ)はYatページを使って自分のウェブサイトに人々を誘導し、ラッパーのLil Wayne(リル・ウェイン)のYatページは彼のレコードレーベルに案内している。Kesha(ケシャ)は、Twitter(ツイッター)のbioにYatのリンクを貼っている。

画像クレジット:Opera

もちろん、ユーザーは絵文字に対応した独自のドメイン名を購入し、Yatのリンクの代わりに使用することもできるが、Yatはこのプロセスを、時間やリソース、技術的な専門知識のない人たちにも迅速かつシンプルに行えるようにした。しかし、この便利さには代償がある。Yatの絵文字の文字数が少なければ少ないほど、高価になる。

Operaは、世界中の46億人のユーザーのうち90%以上が絵文字を使って自分を表現しており、Yatとの新しいパートナーシップは、人々にオンライン上での新しい存在感を示す方法を提供すると指摘している。また、この新しいパートナーシップにより、ユーザーはURLに英数字を入力する必要がなくなり、より充実した機能を利用できるようになると説明している。

「アーティスト、ミュージシャン、クリエイター、ビジネスオーナーあるいはフォロワーを増やしたい人など、Yatの絵文字を使って簡単にコミュニティとつながり、コンテンツを共有できるこの統合は非常に重要です」と、Yatの共同設立者兼CEOであるNaveen Jain(ナヴィーン・ジェイン)氏は述べた。

今回の発表は、Operaが先にWeb3「Crypto Browser」のベータ版を発表したことを受けてのものだ。それには、暗号資産ウォレットの内蔵、暗号資産/NFT取引所への容易なアクセス、分散型アプリ(dApps)のサポートなどの機能が含まれている。このブラウザの目標は、Web3のユーザー体験を簡素化することだ。

関連記事:Operaが暗号資産ウォレットやdAppsサポートを搭載したWeb3「クリプトブラウザ」ベータ版で提供開始

画像クレジット:Opera

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

グーグル、Chromeに過去の検索をスマートにグループ化する検索履歴ページを導入

Google(グーグル)は米国時間2月8日、Chromeのいくつかのアップデートを発表し、特に、ブラウザ上で過去の検索を再開する新しい方法を導入すると述べた。

「Journeys(ジャーニー)」と名づけられたこの新機能は、現在デスクトップ版のChromeで展開されており、過去の検索をトピックごとにスマートにグループ化することができる。この新機能は、関連する用語の検索を開始すると、ブラウザが自動的にハイライト表示する。また、ブラウザで有効にすると、新しいChrome History Journeyページに直接移動できる。

画像クレジット:Google

「Journeysは、あなたがどれだけサイトにアクセスしたかを考慮して、最も関連性の高い情報を前面に押し出し、次に試したい関連検索の有益な提案もします」と、ChromeチームのプロダクトマネージャーであるYana Yushkina(ヤナ・ユシュキナ)氏は発表で説明した。

何かを調べ始めてから、別のプロジェクトのために中断したことがある人は、以前に訪れたサイトに戻る方法を見つけるのがいかに難しいか知っている。どのブラウザの履歴リストも、しばらくするとすぐに扱いにくくなるが、これまでどのブラウザベンダーも、履歴リストにあまり注意を払っていなかった。競争が激化するブラウザ市場において、長い間手つかずだったこの領域に、各ベンダーの革新が続くと思われる。

画像クレジット:Google

Googleは、ブラウザが自分のためにこれらのクラスタを構築することに抵抗がある場合、ユーザーはこの機能を完全にオフにすることができると強調している。Googleは、Journeysはデバイス上でのみ履歴をグループ化し、クラスタはデバイス上で生成されるだけだと述べている。Googleアカウントには何も保存されない。

ところで、これらのトピックは、広告目的のクッキーを置き換えるGoogleの最新の提案であるTopics(トピック)とはまったく関係がない。これらのTopicsは、訪問したサイトを、あらかじめ設定された約300のトピックを中心にクラスタ化するもので、明らかに基本的な機能の重複が見られるが、Googleの広報担当者は、両者はまったく関係がないとのことだった。

関連記事:グーグルが脱クッキー技術「FLoC」を廃止、代わる新機能「Topics」を公表

この新機能は現在、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語、トルコ語のOSで展開されている。

Journeysに加え、Googleはさらに多くのChrome Actionsをブラウザに導入している。これは、アドレスバーで適切な種類のトリガーワードを使用することでアクセスできる機能だ。新しいアクションには「Manage settings」「Customize Chrome」「View your Chrome history」「Manage accessibility settings」「Share this tab」そして最も重要かもしれない「Play Chrome Dino game」などがある。楽しいが、数回クリックすれば同じ目的地に早くたどり着けるのに、本当にこれだけの文字を入力したい人がどれだけいるかはわからない。

モバイルユーザーのために、Googleは、Androidでいくつかの新しいChrome関連のウィジェットを導入している。例えば、恐竜ゲームにアクセスするためのものがあり(ここにテーマを感じる)、他のものはテキスト、音声検索、ビジュアルレンズ検索機能など、ホーム画面からの検索を開始することに重点を置いている。

画像クレジット:Jaap Arriens / NurPhoto / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Yuta Kaminishi)

リモートでカットの指示が出せる撮影プラットフォームのSoona、シリーズBで約40.1億円調達

eコマースの劇的な成長と並んで、一部ではパンデミックが追い風となり、販売業者がオンラインビジネスに参入することを容易にするサービスの需要も増加した。Soona(スーナ)というスタートアップは、シリーズBで追加調達した3500万ドル(約40億1000万円)の資金をバックに、このマーケットに参入している。Soonaのプラットフォームでは、写真や動画の「仮想」撮影によって、ブランドのeコマース用ウェブサイトやマーケティングのコンテンツを作成できる。つまり、Soonaのテクノロジーを使えば、販売業者は別の場所で写真撮影を行うためにアイテムを送付してその結果を待つ代わりに、リモートかつリアルタイムでブランドの写真撮影プロセスに参加することができるのだ。

「私たちはブラウザで写真撮影に招待します。Zoom(ズーム)の会議に参加するのとそれほど変わりません」と、Soonaの共同創業者兼CEOであるLiz Giorgi(リズ・ジオルジ)氏は説明する。「カレンダーの招待をクリックすると、写真撮影の様子がブラウザに表示され、リアルタイムでキャプチャされる写真やビデオクリップをすべて確認できます。それらのアセットは操作できるので、お客様やチームはアセットのフィードバックをカメラマンに提供することができます」。

画像クレジット:Soona

Soonaの顧客は、構図の変更や、シーンの小道具の追加・削除、写真撮影のその他調整など、要望に応じてカメラマンとやり取りができる。その上、販売業者にとってサービスの前払いをしなくていいのはありがたい。写真1枚につき39ドル(約4470円)、ビデオクリップ1つにつき93ドル(約1万700円)を支払って、実際に必要なアセットだけ購入すればいいのだ。選び終えると、写真や動画は24時間以内に納品され、ウェブサイトやマーケティングチャネルにアップロードする準備ができる。また、いつでも過去の撮影記録にアクセスして追加のオーダーをすることもできる。

ビジネスの成功によって今回新たな資金の調達にこぎつけたSoonaは米国時間1月24日、Bain Capital Ventures(ベインキャピタルベンチャーズ)の取りまとめによって3500万ドル(約40億1000万円)の資金を新たに調達したとアナウンスしている。前の投資者であるUnion Square Ventures(ユニオンスクウェアベンチャーズ)、Matchstick Ventures(マチスティックベンチャーズ)、Starting Line Ventures(スターティングラインベンチャーズ)、2048 Ventures(2048ベンチャーズ)、Range Ventures(レンジベンチャーズ)もラウンドに参加し、Soonaの合計調達額はこれまでに5100万ドル(約58億5000万円)に達した。

ジオルジ氏のバックグラウンドは専門的なメディア制作だ。Soonaを始める前は、インターネットビデオ制作のMighteor(マイテアー)という自分の会社を経営し、その前はメディアおよびテレビの制作会社で働いていた。そうした経験を通して、コンテンツの作り方、特に美しいコンテンツの作り方を見定める目が養われた、と氏は述べている。一方、氏の共同創業者、Hayley Anderson(ヘイリー・アンダーソン)氏のバックグラウンドはアニメーションにあり、マイテアーのクリエイティブディレクターだった。マイテアーは後に、クリエイターネットワークのStandard(スタンダード)に買収された

ヘイリー・アンダーソン氏とリズ・ジョルジ氏(画像クレジット:Soona)

2人は2019年にSoonaを設立し、その年に最初の商品を発売した。最初の頃、Soonaの業務では、顧客に写真や動画の撮影のために実際のスタジオに来てもらい、ソフトウェアを使用して映像をすぐにアップロードして、顧客がすぐに購入できるようにしていた。しかしパンデミックのために、Soonaは再調整して仮想モデルに切り替えることを余儀なくされた。結果的には、このモデルを採用したことがビジネスの成長に役立った。パンデミックの最中に直接接触をともなう活動ができなかったときだけでなく、リモートワークが普通のビジネス環境になってからもそうだ。Soonaの収益は、2020年から2021年にかけて400%増加し、2021年から2022年にかけてさらに300%増加した。Soonaは年間収益の数字を公開しないが、ビジネス上の評価基準は非公開ながらも競争上の優位性に言及している。(参考までに)。

Soonaは現在、約1万の販売業者にサービスを提供しており、Wild Earth(ワイルドアース)、Lola Tampons(ロラタンポン)、The Sill(ザシル)、SNOW(スノー)、Birchbox(バーチボックス)などの顧客がいるが、サブスクリプションモデルではなく、取引ベースのビジネスをしている。ジオルジ氏は、これが商品市場に適していることが明らかになったと考えている。2021年は月ベースで、収益の63%はリピート客から得た。顧客の約60%は100万ドル(約1億1500万円)から500万ドル(約5億7300万円)のeコマースストアであり、その多くはShopify(ショッピファイ)を利用している。ショッピファイは化粧品、美容、健康、ファッション、履き物に強く、現在は消費者向けパッケージ商品や栄養商品の分野の成長が大きい。

「私たちのビジネスモデルは繰り返し型ではないかもしれませんが、ブランドでこうしたアセットが必要とされる頻度は高いレベルにあります。それで、こうした視覚的なアセットにいつどのようにお金を使い、投資するか、選択できるようにすることで、本当に簡単にSoonaを使い続けることができるようにしました」と、ジオルジ氏は述べている。「しかし、サブスクリプションを検討の対象から外しているわけではありません」。

現在、リモートでの写真撮影のために販売業者が商品を送付できるようにしている企業は、Pow Photography(パウフォトグラフィ)など他にもあるが、Soonaのようにリアルタイムではない。従来のeコマースサイト向けに「白地に商品」の写真、つまり白い背景の商品画像に主に重点を置いているライバルもいる。これは、たとえばリビングルームやキッチンセットの写真ショットで商品とモデルを組み合わせて作るリッチコンテンツなどとは逆である。一方、どちらかといえば市場方式で業者とカメラマンを直接結びつけようとする競合他社もある。

画像クレジット:Soona

しかし、Soonaの独自テクノロジーでは、オンラインでの写真撮影を計画するために必要なものをすべて顧客に提供する。人とペット両方のモデルやスタイリストを使用することもできる。モデルは、他のギグエコノミーの仕事と同様、契約ベースで働く。しかし、Soonaのカメラマンは、ギグワークとして仕事を請け負うか、フルタイムの従業員に移行することができる。現在、カメラマンは、フルタイムのスタッフとして約35人、請け負いで100人ほどいる。

Soonaは追加の資金を得て、モデルのサービスの市場を拡大することを目指している。この市場は現在、Soonaのビジネスで最も成長の速いセグメントの1つであり、実際、2021年のビジネス全体の20%を占めた。Soonaは、2022年にこのプラットフォームの規模を3倍にして、さまざまな人材のタイプを増やし、販売業者の顧客のために商品の見栄えをよくする新しい方法を取り入れることを計画している。また、精選したビジネスデータと販売業者の目標について尋ねることで、ブランドのためにどんなタイプの写真撮影をすればよいかに関する提案を増やすのに役立つテクノロジーにも投資する。Soonaはすでに、Amazon(アマゾン)およびInstagram(インスタグラム)推奨の撮影を始めており、類似のことをTikTok(ティックトック)で始める計画を立てている。

また、この会社は、APIプラットフォームを拡張して、ショッピファイ以外にも統合を拡大することも計画している。ショッピファイは現在、顧客ベースで55%を占めている。計画を進めるにあたり、Soonaは、たとえばKlayvio(クラビヨ)やBigCommerce(ビッグコマース)など、他のeコマーステクノロジー企業との統合に狙いを定めている。

この会社は、デンバー、オースティン、ツインシティーズに拠点を持っており、ミネアポリスの現在のチーム以外のエンジニアを増やすことで、エンジニアリングチームも3倍にする。商品チームも拡大する。

ジオルジ氏はSoonaの現在の評価額について話すことを避けたが、Soonaは女性が創業した次のユニコーンになる「道を歩んでいる」と考えている。「私たちは間もなくそこに到達します」と氏は断言した。

画像クレジット:Soona

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

MozillaがVRウェブブラウザ「Firefox Reality」の公開終了を発表

人気のVRウェブブラウザが終了する。米国時間2月3日、MozillaはVR環境で使用するために開発し、4年にわたって公開していたFirefox Realityブラウザを終了すると発表した。このブラウザを利用するとVRヘッドセットでウェブにアクセスし、マウスではなくVR用ハンドコントローラを操作して、URLへのジャンプ、検索、2Dと3Dのインターネットのブラウズなどができる。

関連記事:MozillaのVR用ブラウザーFirefox Realityが完成、VRがWebのふつうのコンテンツになる日も近い?

Firefox Realityは2018年秋に初めて公開され、Viveport、Oculus、Pico、Hololensのプラットフォームでアプリストアから入手することができた。2Dのウェブを閲覧できる一方、この新しいテクノロジーを使ってウェブの3Dコンテンツ、例えば360度パノラマ画像やビデオ、3Dモデル、WebVRゲームなどのブラウズや操作ができると期待された。しかし米国時間2月3日の発表で、Mozillaはこれまでダウンロード可能だったアプリストアから「数週間」以内にブラウザが削除されると述べた。

Mozillaはその代わりとして、今後もVRでウェブブラウザを利用したいユーザーは、Firefox Realityのソースコードに基づいてIgaliaが公開するオープンソースのブラウザ「Wolvic」を使うように案内している。Wolvicは2月7日の週にダウンロードできるようになるので、ユーザーにとってはブラウザがなくなってしまうわけではないが、乗り換えが必要となる。

IgaliaはXR分野への取り組みを全面に押し出している。XRとは、VRやAR、そしてこれに類するテクノロジーの総称として使われる言葉だ。Igaliaは同社の発表の中で、この分野に対するMozillaの取り組みが行き詰まっていると感じていたことを示唆し、実験を引き継いで「この取り組みを継続してプロジェクトを完成させる」ことに意欲を示している。

Igaliaのウェブサイトに掲載された発表には、以下のように書かれている。「Igaliaは、XR分野にとってウェブは多くの点で重要であると確信しています。没入型OSを提供するXRシステムには、その一部としてウェブブラウザが必要です。ウェブ上にすでに存在するものに一切アクセスせずに『リアリティ』に入っていくことは、かなり難しいでしょう。そしてWebXRはブラウザ自体から得られる情報をたどり、共有し、体験するための新しい手段となります。没入型OS向けブラウザの再考は新しい領域であり、なぜ新しいかといえばブラウザの選択が現在は限られているからです」。

公開時点では、WolvicブラウザはOculus、HTC Vive Focus、Pico Interactive、Daydream、HuaweiのARメガネ、オープンソースのLynxデバイスで動作する。ただし2月7日の週に公開されるブラウザはMozillaがこれまでのブラウザで提供していた機能の一部を移行中であるため、まだベータ版だ。

Igaliaは今後2年間ブラウザのプロジェクトに取り組む資金の一部を確保したが、健全なエコシステムを構築するにはさらにパートナーを見つける必要があると述べ、関心のある人はメールで連絡して欲しいと呼びかけている。

Firefox Realityの終了を決めた理由について、MozillaはWebVRやWebARといった新しいテクノロジーの開発は支援するが、そうしたテクノロジーのホストやインキュベートを長期にわたって継続するとは限らないと説明している。WebAssembly、Rust、Servoのように、プロジェクトを継続できる他の組織を見つける場合もある。もちろん、かつてたいへんな人気を誇ったウェブブラウザのFirefoxで一般ユーザーに今でもよく知られている組織として、最新のブラウザ技術の将来は別の組織に引き継いでいる。

画像クレジット:Mozilla

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

元Symantec・McAfee幹部によるIsland、セキュリティ重視のエンタープライズ向けブラウザで脱ステルス

ダラスを拠点とし、Chromium(クロミウム)ベースのエンタープライズ向けブラウザを開発しているスタートアップ「Island(アイランド)」が、約1億ドル(約114億7000万円)の資金を得てステルス状態から脱却した。

Islandによると、同社が約2年前から開発を進めてきた、わかりやすい名前の「Enterprise Browser」は、既存のコンシューマー向けブラウザと、ますます複雑化するエンタープライズのIT・セキュリティ要件との間にあるギャップを解消することを目的としているという。

Symantec(シマンテック)で社長兼COO、McAfee(マカフィー)でGM兼CTOを歴任したIslandのMike Fey(マイク・フェイ)CEOは、TechCrunchの取材に対しこう語った。「企業内で最も広く導入されているアプリケーションはブラウザですが、それはコンシューマー向けに設計されたものです。一般の消費者は、無限の自由を求めています。好きなものをインストールし、好きな場所に行き、問題なくブラウザを使って何でもできることを望んでいます。ですがエンタープライズの場合は、顧客データが安全であること、重要な情報が保護されていること、そして顧客が良い体験をしていることを確かめる必要があります」。

Islandのブラウザは、Google ChromeやMicrosoft Edge、BraveやVivaldiなど、多くの主要なブラウザを支えているオープンソースプロジェクトであるChromiumをベースにしている。これにより、企業のアプリケーションやデータに対する重要なセキュリティコントロールとガバナンスを組み込むことが可能になり、ブラウザを親しみやすいものにできるという。

このブラウザは、重要なSaaSや社内ウェブアプリケーションをデータ漏洩から守り、契約社員やBYODワーカーに安全なアクセスを提供し、セキュリティチームがコピー、ペースト、ダウンロード、アップロード、スクリーンショットなど、重要なデータを漏洩させる可能性のあるラストマイル操作を制御することを可能にする。また、セーフブラウジング、Webフィルタリング、Webアイソレーション、エクスプロイト防止、スマートネットワークルーティング、ゼロトラストアクセスなどのセキュリティ機能を内蔵している。

フェイ氏はこう語る。「この製品は、エンタープライズ向けの無限のラストマイル・コントロールを備えたブラウザと考えてください。私たちは、環境を強化し、アイテムを暗号化し、より多くのコントロールを提供しています。必ずしもハッカーを排除するわけではありませんが、(彼らの)勝利を排除しているのです。実際には、ハッカーがアクセスしたいデータが、彼らが盗めるようなエンドポイントに置かれていないということです」。

100人以上の従業員を擁するIslandは、Insight Partners、Sequoia Capital、Cyberstarts、Stripesなど、アーリーステージの有力投資家から1億ドル(約114億7000万円)近い資金を獲得した。同社はTechCrunchに対し、今回の投資をスタッフの増強と市場投入戦略の拡大に活用すると述べている。

「才能の点で妥協することなく、できるだけ早く200人のエンジニアを確保したいと考えています」とフェイ氏はいう。「それだけの素晴らしいエンジニアを見つけるのに可能な限りのスピードで、増員していきます」。

同社は、すでに次の資金調達も視野に入れているという。「シリーズAやシリーズBは当然あるでしょうし、私たちの夢や希望を実現するためには、近く資金を調達しなければなりません」とフェイ氏は語った。

画像クレジット:Island / YouTube(video)

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

Mozilla、モバイルおよびデスクトップのVPNに新プライバシー機能を展開

Mozilla(モジラ)は、モバイルとデスクトップVPNサービスの新しいアップデートを展開すると、米国時間2月1日に発表した。Mozilla VPN 2.7では、Firefoxの人気アドオンの1つであるマルチアカウントコンテナーをデスクトッププラットフォームに導入し、AndroidとiOS版のVPNサービスにもマルチホップ機能を導入している。

Firefoxのマルチアカウントコンテナーにより、ユーザーは仕事、ショッピング、バンキングなど、オンライン活動の異なる部分を分離することができる。仕事のメールをチェックするために新しいウィンドウや別のブラウザを開く必要がなく、その活動をコンテナータブに分離することができ、他のサイトがウェブ上の活動を追跡するのを防ぐことができる。同社は、このアドオンとMozillaのVPNを組み合わせることで、ユーザーの区分されたブラウジング活動にさらなる保護層を追加し、ユーザーの位置情報にもさらなる保護を追加することができると述べている。

「例えば、仕事で出張中、フランスのパリで仕事のメールをチェックするためにコンピュータを使用しているが、ニューヨークの個人の銀行口座もチェックしたいとします。そこで、マルチアカウントコンテナーに加え、Mozilla VPNの追加プライバシーと30カ国の400以上のサーバーから選択することで、仕事と個人の財務のオンライン活動を分離することができます」と、Mozillaは新しい発表についてブログ投稿に書いた。

2021年、Mozillaは、1つのVPNサービスではなく、2つのVPNサーバを使用することができるマルチホップ機能をデスクトップで発表したが、今回、それがモバイル上でも展開されることになった。この機能は、最初にエントリのVPNサーバー、そして出口のVPNサーバーを介してあなたのオンラインアクティビティをルーティングすることによって動作する。Mozillaは、VPNサービスのAndroidとiOSバージョンにこの機能をもたらすことは、ブラウジング時にユーザーにさらなるプライバシーを与えると言っている。同社は、この機能は、プライバシーについて特に注意したい人々に有用であり、政治活動家や敏感なトピックについて書いているジャーナリストにも有用であることを指摘している。

これらの新しいアップデートは、Mozilla が最近、Android 版 Firefox Focus にクロスサイトトラッキングに対抗するために使用する Total Cooke Protection (トータルクッキープロテクション)の提供を開始したことに続くものだ。Total Cookie Protection の目的は、毎日訪れるサイトや検索している製品などの情報を企業が収集するクロスサイト・トラッキングを緩和することだ。Mozillaは2021年、Firefox Relayを発表した。これは、ユーザーのアイデンティティを保護するために、ユーザーの実際の電子メールアドレスを隠すための製品だ。

画像クレジット:David Tran / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

アップルがiOS 15.3をリリース「活発に悪用された可能性がある」iPhoneの脆弱性を修正

Apple(アップル)は米国時間1月26日、iOS 15.3とmacOS Monterey 12.2のリリースにより、数十件のセキュリティ問題を修正した。

iOS 15.3では、同社が活発に悪用された恐れがあるとしている不具合を含む、合計10件のセキュリティバグが修正されている。CVE-2022-22587として追跡されているこの脆弱性は、IOMobileFrameBuffer(デバイスのメモリが画面表示を処理する方法を開発者が制御できるようにするカーネル拡張)のメモリ破壊バグで、悪意のあるアプリによるカーネルコードの実行につながる可能性がある。

また、AppleはmacOS Monterey 12.2をリリースした。ユーザーの最近のブラウジング履歴やGoogleアカウント情報が、Safari 15やサードパーティ製のウェブブラウザから流出する可能性があるというWebKitの不具合を研究者が発見し公表していたが、macOS 12.2ではそのバグに対する修正が含まれている。

この脆弱性は、ブラウザのフィンガープリンティングと不正行為の検出サービスを提供するFingerprintJSによって最初に発見されたもので、ブラウザにデータを保存するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)であるIndexedDBのAppleによる実装に不具合があったという。

CVE-2022-22594として追跡されているこの不具合は、IndexedDBを使用しているウェブサイトが自分のドメインのみならず、ユーザーのブラウジングセッション中に他のウェブサイトが生成したIndexedDBデータベース名にアクセスすることを可能にし、ひいては、ユーザーが別のタブやウィンドウで訪れた他のウェブサイトを追跡することも可能にする。また、IndexedDBのデータベース名にユーザー固有の識別子を使っているGoogleなどのウェブサイトでは、攻撃者がユーザーのGoogleアカウント情報にアクセスできる可能性があるとFingerprintJSは警告している。

また、iOS 15.3には、アプリがルート権限を取得する可能性があるセキュリティ問題、カーネル権限で任意のコードを実行する問題、およびアプリがiCloudを通じてユーザーのファイルにアクセスできる問題の修正が含まれている。

一方、macOS Monterey 12.2では、合計13件の脆弱性が修正されている。後者は、以前に報告されたSafariでのスクロールの問題を修正し、MacBookにスムーズなスクロールをもたらすことも約束している。

また、レガシーバージョンのmacOS Big SurおよびCatalinaのセキュリティ修正プログラムもリリースされた。

今回の最新セキュリティアップデートの公開は、HomeKitを介して悪用され、持続的なサービス拒否(DoS)攻撃の標的となる可能性があるiOSおよびiPadOSの脆弱性が確認されたのを受けて、それを修正するためにAppleがiOS 15.2.2をリリースしてからわずか2週間後に行われた。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがiOS 15.3をリリース「活発に悪用された可能性がある」iPhoneの脆弱性を修正

Apple(アップル)は米国時間1月26日、iOS 15.3とmacOS Monterey 12.2のリリースにより、数十件のセキュリティ問題を修正した。

iOS 15.3では、同社が活発に悪用された恐れがあるとしている不具合を含む、合計10件のセキュリティバグが修正されている。CVE-2022-22587として追跡されているこの脆弱性は、IOMobileFrameBuffer(デバイスのメモリが画面表示を処理する方法を開発者が制御できるようにするカーネル拡張)のメモリ破壊バグで、悪意のあるアプリによるカーネルコードの実行につながる可能性がある。

また、AppleはmacOS Monterey 12.2をリリースした。ユーザーの最近のブラウジング履歴やGoogleアカウント情報が、Safari 15やサードパーティ製のウェブブラウザから流出する可能性があるというWebKitの不具合を研究者が発見し公表していたが、macOS 12.2ではそのバグに対する修正が含まれている。

この脆弱性は、ブラウザのフィンガープリンティングと不正行為の検出サービスを提供するFingerprintJSによって最初に発見されたもので、ブラウザにデータを保存するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)であるIndexedDBのAppleによる実装に不具合があったという。

CVE-2022-22594として追跡されているこの不具合は、IndexedDBを使用しているウェブサイトが自分のドメインのみならず、ユーザーのブラウジングセッション中に他のウェブサイトが生成したIndexedDBデータベース名にアクセスすることを可能にし、ひいては、ユーザーが別のタブやウィンドウで訪れた他のウェブサイトを追跡することも可能にする。また、IndexedDBのデータベース名にユーザー固有の識別子を使っているGoogleなどのウェブサイトでは、攻撃者がユーザーのGoogleアカウント情報にアクセスできる可能性があるとFingerprintJSは警告している。

また、iOS 15.3には、アプリがルート権限を取得する可能性があるセキュリティ問題、カーネル権限で任意のコードを実行する問題、およびアプリがiCloudを通じてユーザーのファイルにアクセスできる問題の修正が含まれている。

一方、macOS Monterey 12.2では、合計13件の脆弱性が修正されている。後者は、以前に報告されたSafariでのスクロールの問題を修正し、MacBookにスムーズなスクロールをもたらすことも約束している。

また、レガシーバージョンのmacOS Big SurおよびCatalinaのセキュリティ修正プログラムもリリースされた。

今回の最新セキュリティアップデートの公開は、HomeKitを介して悪用され、持続的なサービス拒否(DoS)攻撃の標的となる可能性があるiOSおよびiPadOSの脆弱性が確認されたのを受けて、それを修正するためにAppleがiOS 15.2.2をリリースしてからわずか2週間後に行われた。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルが脱クッキー技術「FLoC」を廃止、代わる新機能「Topics」を公表

(訳註:英語で「flock」は羊など動物の群れ=刈り上げられ毛がなくなった「FLoC」)

Google(グーグル)のプロジェクトであるFLoC(Federated Learning of Cohorts)は、インタレストベース広告のため利用されていたサードパーティークッキーの代わりに、ユーザーを同じような興味を持つ人々のグループに分類するというもので、物議を醸した。Googleは米国時間1月25日、それに代わる新しい提案を発表した。「Topics」である。

これは、ユーザーがウェブ上を移動する際に、ブラウザがユーザーの関心事について学習するというものだ。現時点では過去3週間分の閲覧履歴データが保存され、トピック数は300に限定されているが、順次拡大していく予定だという。Googleは、これらのトピックには、性別や人種などのセンシティブなカテゴリーは含まれないとしている。

Googleはユーザーの関心事を把握するために、ユーザーが訪れたサイトをこれら300のトピックのいずれかに基づいて分類する。これまで分類されていなかったサイトについては、ブラウザに搭載された軽量の機械学習(ML)アルゴリズムが、ドメイン名に基づいてトピックを推定する。

画像クレジット:Google

広告目的でTopics APIをサポートしているサイトにアクセスすると、ユーザーが興味を持っている3つのトピックがブラウザによって共有される。これらのトピックは、過去3週間のそれぞれの週につき1つずつ、各週の上位5つのトピックからランダムに選択される。そして、サイトはこの情報を広告パートナーと共有し、どの広告を表示するかを決めることができる。理想的には、どの広告を表示するか決定するためのよりプライベートな方法となるが、Googleは、現在の標準的な方法よりもはるかに優れたコントロールと透明性をユーザーに提供することになると述べている。ユーザーは、自分のリストにあるトピックを確認したり、削除したりすることができ、Topics API全体をオフにすることもできる。

GoogleのPrivacy Sandboxプロジェクト代表であるBen Galbraith(ベン・ガルブレイス)氏は、25日の発表に先立って行われたプレスブリーフィングでこう述べた。「Topicsの設計は、以前のFLoCトライアルから得た知見に基づいて行われました。その結果、コミュニティから多くのすばらしいフィードバックが寄せられたことはご存じの通りです。私が強調したいのは、提案を共有し、トライアルを行い、フィードバックを集め、設計を繰り返していくという一連のプロセスは、我々がサンドボックスに求めていたオープンな開発プロセスそのものであり、このプロセスが意図したとおりに機能していることを示しているということです」。

画像クレジット:Google

ガルブレイス氏は、Googleはこの新しい提案に対するフィードバックを集めるために多くの関係者と話をしてきたが、今日がエコシステムと協力するプロセスの始まりであると述べている。他のブラウザベンダーがTopics APIの追加に興味を持つかどうかは、今後の課題だ。他社はみなすぐにFLoCに冷ややかな対応を示したので、Topics APIを採用したいと思うかどうかはやや疑問だが、エコシステムがどのように反応するかは興味深いところだ。

また、広告主にとっては、Topicsは特定のユーザーにどの広告を表示するかを決定するための潜在的なシグナルの1つに過ぎないということも言及するに値する。例えば、ユーザーが現在読んでいる記事に関するデータや、ユーザーに関するその他のコンテクストデータなどで補強することができるが、ある意味、単なるもう1つのシグナルとなる。

Topics APIのトライアルは今期末に開始される予定だが、それに向けてGoogleは25日、提案の詳細を少し掘り下げた技術的な解説も公開した。

画像クレジット:Images by Christina Kilgour / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

Operaが暗号資産ウォレットやdAppsサポートを搭載したWeb3「クリプトブラウザ」ベータ版で提供開始

Opera(オペラ)は、ビルトイン暗号資産ウォレット、暗号資産 / NFT取引所への容易なアクセス、分散型アプリ(dApps)サポートなどの機能を搭載したWeb3「Crypto Browser」ベータ版の提供を開始した。OperaのEVPであるJorgen Arnensen(ヨルゲン・アーネンセン)氏は「メインストリームユーザーが戸惑うことの多いWeb3のユーザー体験をシンプルにする」ことを目指していると声明で述べている。

主な特徴は、イーサリアム、ビットコイン、セロ、ネルボスなどのブロックチェーンに対応するノンカストディアル(自己管理型)ウォレットを最初から内蔵していることだ。また同社は、Polygon(ポリゴン)などとのパートナーシップも発表した。これは、拡張機能を必要とせずにユーザーが自分の暗号資産にアクセスできるようにするという考えによるもので、サードパーティのウォレットも使用できるようになっている。フィアットからクリプトへの交換により暗号資産を購入したり、直接ウォレット内で暗号資産を交換したり、それらを送受信したり、ウォレットの残高を確認したりすることが可能だ。また、コピー / ペーストの際に他のアプリがデータを取得できないようにするセキュアクリップボードも搭載している。

もう1つの主な機能はWeb3、つまりブロックチェーンベースの分散型インターネットへの対応だ。これは、暗号愛好家(および懐疑派)の間でバズワードとなっている。ブロックチェーン暗号化によるセキュリティ強化に加え、ユーザーはGameFiなどにアクセスすることで「あらゆる種類のメタバースをプレイして収入を得られる」とOperaは述べている。また、最新のブロックチェーンニュースを掲載した「Crypto Corner」も用意されており「Web3のスキルを向上させることができる」としている。

OperaのライバルであるMozilla(モジラ)は最近、暗号資産による寄付を受け付けることを発表したが、ブロックチェーンの環境への影響をめぐり、共同創業者のJamie Zawinski(ジェイミー・ザウィンスキー)氏を含むユーザーから強い反発を受けた。同様の反応を予想してか、Operaは、よりエネルギー効率の高いEthereumレイヤー2規格を「可能な限り早く」実装することを目指していると述べている。

Ubisoft(ユービーアイソフト)のようにNFTなどでブロックチェーンの時流に飛び乗った企業も、同様の批判にさらされている。しかし、Operaは少なくとも、通常のOperaブラウザゲーマー専用のブラウザも提供しており、複数のブラウザオプションでユーザーに選択肢を与えている。Crypto Browserは現在、AndroidWindowsMacに対応しており、iOS版も近日中にリリースされる予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Opera

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

ブラウザベースの契約書プラットフォームを提供するJuroが約26.4億円を調達

ロンドンを拠点とするリーガルテックのスタートアップ「Juro」が、ブラウザベースの契約書自動化プラットフォームのためにシリーズBで2300万ドル(約26億4000万円)を調達した。2016年の創業以来、同社の調達金額は合計で3150万ドル(約36億1600万円)となった。

シリーズBを主導したのはEight Roadsで、これまでに投資していたUnion Square Ventures、Point Nine Capital、Seedcamp、Wise(旧TransferWise)共同創業者のTaavet Hinrikus(ターベット・ヒンリクス)氏も参加した。

Eight RoadsのパートナーであるAlston Zecha(アルストン・ゼシャ)氏がJuroの経営陣に加わる。

Juroによれば、同社の年間経常収益は対前年比で3倍になった。今回のラウンドでの評価額は発表していないが、同社は5倍以上になったとしている。

顧客の数はついに明らかにした。Deliveroo、Cazoo、Trustpilot、TheRealRealなど約6000社がJuroのプラットフォームを利用し、顧客は85カ国以上にわたっているという。

Juroの共同創業者でCEOのRichard Mabey(リチャード・メイビー)氏は「現在、我々はユニコーンの評価額となっている20社以上のスケールアップ企業と取引をしています。こうした企業は膨大な量の契約を扱うことが多く、その状況を我々はしっかりと支援しています。しかしReach plcのような歴史のあるエンタープライズもJuroを全面的に採用することが増えているので、我々は2022年にエンタープライズの需要にさらに応えていきます」と述べた。

Juroは契約におけるWordやPDFのようなレガシーなツールの使用を破壊しようとしている。単にファイルがあちこち動き回るクラウドベースのワークフローを構築するのではなく、専用のブラウザベースの契約締結プラットフォームを提供している。

メイビー氏はTechCrunchに対し「我々は、契約には静的なファイルが必要だという考え方に挑戦しています。契約書をWordではなく専用に構築したブラウザネイティブのエディタで扱うことにより、これを実現しています」と語った。

同氏はさらに「このエディタは高度にモジュール化され、企業の技術スタックにシームレスに統合されます。2021年は25万件の契約が処理され、場合によっては魔法のようにすばらしいものです(当社のNPSは72です)」と述べた。

「開発者がGitHubを使ったりデザイナーがFigmaを使ったりして共同作業をするのと同様に、Juroでは契約書の作成から署名までブラウザで処理できます。こうした意味で、我々の主なライバルはMicrosoft Wordであると考えています」とメイビー氏はいう。

同社は今回調達した資金で米国とヨーロッパの市場を拡大し、プロダクトに投資し、今後の拡大を支える役員を迎える予定だ。

Juroのオフィスはロンドンとラトビアのリガにあり「リモートハブ」も増えていることから、すべての拠点で増員しているところだという。

メイビー氏は、マーケティング担当VPとエンジニアリング担当VPを優先的に雇用したいと述べた。

同氏は「Juroの中心である強みは契約書の作成であり、ここにさらに力を入れていきます。我々は契約専用に設計されたブラウザネイティブのエディタを備える唯一のプラットフォームです。この部分を進化させ、エディタとの統合も開発していきます(例えばCRMシステムなど)。このようにして、お客様にとっては契約書の作成、承認、検討、署名、管理が1つに統一されたエクスペリエンスとなります」。

JuroのシリーズBに関する発表の中でEight Roadsのゼシャ氏は次のようにコメントした。「Juro以前には、契約を自動化し、クライアントのワークフローとフリクションなく統合できるオールインワンのプラットフォームは存在しませんでした。Juroはヨーロッパで顕著に成長している企業の法務、営業、人事などの部門で使われており、その中にはEight Roadsのポートフォリオに含まれる企業も多くあります。顧客満足度で市場をリードし、スケールアップ企業の従業員満足度も最高レベルです。我々はリチャード、Pavel(訳注:共同創業者のPavel Kovalevich[パベル・コバレビッチ]氏)、Juroのチームと連携できることをうれしく思います」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Kaori Koyama)

ブラウザ拡張機能としてサイバーセキュリティを提供するGuardioが初の外部資金調達で約53億円獲得

クラウドでの次世代コンピューティングに関しては、PCにインストールするウイルス対策ソフトはもう限界かもしれない、ともいわれている。その次に来るものと信じられているプロダクトを構築したスタートアップが米国時間12月14日、初の外部資金調達となる大規模なラウンドを実施し、ニュースになっている。

Guardio(ガーディオ)は、ウェブ利用時や、インターネットを利用して相互接続するデジタルサービス(メッセージングサービス、買い物、銀行サービスなどを想定しているが、今のところモバイルサービスはない)利用時に、疑わしい活動や悪意のある活動を監視するブラウザ拡張機能を構築した。同社はTiger Globaがリードし、Emerge、Vintage、Cerca Partners、UnionそしてSamsung Nextが参加したラウンドで4700万ドル(約53億円)を獲得した。ブラウザ拡張機能は、コンピューターやインターネット接続の遅延に影響を与えず「ただバックグラウンドで座っているだけ」だとCEOのAmos Peled(アモス・ペレド)氏はインタビューで語った。「当社は、ユーザーにアドバイスしたり手助けしたりしたいのです。ポジティブな摩擦を信じています」。

2018年に自己資金で設立されたテルアビブ拠点のGuardioは、すでに100万もの拡張機能ユーザーを集めている。それが早い段階でこれだけの資金調達ができた理由の1つでもある。Daniel Sirota(ダニエル・シロタ)氏、Michael Vainshtein(マイケル・ベインシュテイン)氏と共同で創業したペレド氏によると、通常、平均的なユーザーに対するGuardioの検出率は最初の1週間で73%だ。そこでデータ漏洩や悪意のある拡張機能、その他の悪意のある活動の可能性があるアクティビティを特定することができているという(時間の経過とともに、この数字はシステムがより多くを学習するにつれて大きくなるようだ)。

現在、フリーミアム製品のアクティブユーザーは100万人だが、そのうち10万人は有料ユーザーで、消費者と「マイクロ」(つまり零細)企業が混在しているとペレド氏は話す。今後は、この2つの路線で成長を続け、さらに幅広い製品群へと拡大していく予定だ。地域的には、ペレド氏が指摘するように、約1700万の零細企業が存在する米国市場での継続的な成長に重点を置くことになる。このような零細企業は、専属のセキュリティ専門家を置いておらず、セキュリティ関連に費やすリソースも必ずしも多くはないが攻撃の影響を受けやすく、その規模ゆえに攻撃が原因で倒れる危険性も高い。

会社設立のきっかけについてペレド氏は、そのような規模の組織の多くが、すでにセキュリティ保護にある程度の費用を支払っているが、そのほとんどが古いウイルス対策ソフトであり、目的にかなっていないという認識からだったと話す。

「攻撃者は適応しており、昔のようなエクスプロイトやOSに対する攻撃ではなく、ブラウザの仕組みを悪用するようになりました。数十年にわたって存在しているウイルス対策ソフトなどの保護レイヤーがうまく適応できなかったため、セキュリティ環境に隙が生じたのです。インターネットに接続するOSを更新しているユーザーの多くは、ウイルス対策ソフトを使用していました。そのため、多くのウイルスが侵入してきたのです」。

ここ数年、サイバーセキュリティのスタートアップが大量に市場に参入しているが、その多くは企業向けに展開し、大企業や消費者に特有のアーキテクチャのセキュリティに焦点をあてている。そこで、この2つの境界に位置するグループ向けの製品を開発し、そのための強力な牽引力を見出す能力が投資家の目にとまった。

Guardioは、3人の創業者が共同で立ち上げた2番目のスタートアップだ。最初のArpeelyは、機械学習と深層学習技術によるリアルタイムメディアオークションに特化しているとのことだ。

「このチームはサイバー、プロダクト、市場開拓の専門知識を結集し、この市場を破壊しイノベーションを起こすのに最適なポジションにいます。自己資金起業での牽引力はその証です」とTiger Globalのパートナー、John Curtius(ジョン・カーティス)氏は声明で述べた。

画像クレジット:JuSun / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

Mozillaの2021年売上は約567億円超の見込み、新たな取り組みや製品がゆっくりだが確実に軌道に乗る

Mozilla Foundation(モジラ・ファウンデーション)は米国時間12月13日、2020年の財務報告書を発表した。いつものように1年前からの同社の財務状況をよく知ることができるが、2021年初めて同社はより最近のデータも提供した。

最近のMozillaが、営利部門であるMozilla Corporation(モジラ・コーポレーション)の再編にともない、2020年に大規模解雇を実施するなど、数々の困難な状況に陥ったことは周知の事実だ。主力ブラウザFirefoxも、かなりの技術的進歩にもかかわらず、Chromiumベースのブラウザが主流となっている市場で苦戦を強いられている。それでも、2020年のMozilla Corporationの売上高は、検索パートナーシップ(主にGoogleとの検索契約が牽引)、サブスクリプション、広告収入で4億6600万ドル(約528億円)となった。これは、Mozilla Corporationがこれらのソースから4億6500万ドル(約527億円)を得た2019年と基本的に同じだ。

2021年については、5億ドル(約567億円)超の売上を見込んでいる。

しかし、おそらく最も重要なことは、Mozilla VPNサービス、Firefox Relay Premium、PocketなどのMozillaの新製品やその他の商業的な取り組みが、ゆっくりと、しかし確実に成果を上げ始めていることだ。MozillaのエグゼクティブVPであるAngela Plohman(アンジェラ・プローマン)氏とCFOのEric Muhlheim(エリック・ミュールハイム)氏が12月13日の発表で述べたように、新製品の提供による売上は2021年150%成長し、2021年には売上の14%を占める見込みだ。Mozilla VPNサービスは、2020年から2021年にかけて450%の売上増となった。

それでも、2020年でのMozilla売上の86%は、Googleとの検索契約によるものだ。2019年の88%からはいくぶん下がっているが、どう考えてもMozillaはここしばらくGoogleに完全に依存していることに変わりはない。

売上源を多様化することはMozillaにとって、圧倒的なシェアを誇るChromeブラウザを展開しているために競争相手でもあり、Mozillaの全体的な哲学とはますます一致しないようになっているGoogleとの検索契約への依存度を下げる唯一の方法だ。

Mozilla FoundationのCEO兼会長のMitchell Baker(ミッチェル・ベイカー)氏は、同日の発表で次のように述べている。「広告が変化し、ウェブのビジネスモデルの将来が危ぶまれる中、私たちの価値観に合致し、当社を際立たせることのできる、新しく責任ある収益化の方法を模索してきました。Cookieの廃止とオンライン広告のエコシステムの見直しが必要だと考えてきました。そして当社は、人々を尊重しながら企業に価値を提供する、責任ある広告の新しいモデルに向けて業界をナビゲートする立場にあります。未来のための製品を作ることで、私たちは将来のためのビジネスを作っているのです」。

しかし結局のところ、Mozillaが必要としているのは、ブラウザであれVPNであれMozillaのサービスをより多くのユーザーに採用してもらう(あるいは戻ってきてもらう)ことだ。Googleの動機にユーザーがますます懐疑的になっていることや、MicrosoftのEdge チームがここ数カ月でいくつかの過失を犯していることから、非Chromeブラウザにはチャンスがある。しかし同時に、MozillaはFirefoxにスポンサー付きの提案や広告を導入するための努力をしてきたが、必ずしもユーザーに好かれているわけでもなかった。

画像クレジット: David Tran / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

後払い決済「クラーナ」がブラウザー機能拡張を公開、支払いとクーポン利用が可能

フィンテックスタートアップKlarna(クラーナ)は、同社のモバイルアプリが提供するさまざまな機能をデスクトップPCでも使えるようにするブラウザー機能拡張を公開した。Klarnaの決済を管理する以外に、チェックアウトページに進むと自動的にクーポンコードを適用することができる。

Klarnaはこの自動クーポン機能のためにPiggy(ピギー)を買収した。Piggyが最初に作ったのは、何かを買った時にクーポンやキャッシュバックの存在を知らせるブラウザー機能拡張で、FinancerFWDが最初にこの買収を報じた。Klarnaは契約条件を公表していない。

Klaranaのこの動きは興味深い、なぜならつい最近PayPal(ペイパル)がHoney(ハニー)を買収したばかりだからだ。Honeyもチェックアウトページでクーポンコードを使うためのブラウザー機能拡張を作った会社だ。言い換えると、PalPalとKlarnaは、ショッピング用ブラウザー機能拡張を支配するための開発競争をしている。

既存のPiggyユーザーは新しいKlarna機能拡張に移行される。Klarnaのアカウントを新規作成する際、既存のPiggyのデータを移行するか、1から始めるかを選ぶことができる。現在Piggyでは70人の従業員が働いていて、買収前時点で120万人のユーザーがいた。チームはKlarnaに加わり、現在Piggyのクーポン機能を他のKlarna製品に統合する作業に取り組んでいる。

Klarnaではクーポン集約機能の他に、ユーザーはキャッシュバックやギフトカードを貯めることもできる。対象は国によって異なり、米国とドイツでは報酬をキャッシュバックの形で受け取り、英国とフランスではギフトカードを受け取る。

画像クレジット:Klarna

画像クレジット:Klarna

しかしKlarnaの新製品は、単なるHoneyライクな機能拡張ではない。Karnaの後払い決済(BNPL)を使うためにも使える(そもそもKlarnaは分割払いでよく知られている)。現在、高額の買い物の支払いを分割するためにKlarnaの機能を利用するにはいくつかの方法がある。

Klarnaボタンの付いているチェックアウトページにいる時は、Klarnaアカウントでログインして、後払いを選ぶことができる(Klarnaアカウントを使って今すぐ払うこともできる)。

Klarnaは、店舗内購入でもBNPLを使えるオプションも提供している。一部の地域では、最大30日後に支払えるカードも提供していて、オンラインでも店舗内でも使える。

しかし、元々Klarnaをサポートしていないオンラインストアで後払いしたいときはどうすればいいか?Klarnaのモバイルアプリを開いてチェックアウトページ内でワンタイムカードを作成することができる。カードは普通のVisaカードのように使えるが、分割払いでカードに請求される。

Klarnaの新しい機能拡張を使うと、ワンタイムカードをデスクトップブラウザーで作ることができる。支払いの段階でカード情報を決済画面にコピー&ペーストすればよい。

モバイルアプリとブラウザー機能拡張は同期されている。例えばデスクトップで保存した項目をモバイルアプリで追跡することができる。現在この機能拡張はGoogle ChromeとMicrosoft Edgeで利用できる。

同社はFirefoxとSafariでも機能拡張を提供する予定だ。米国、英国、ドイツ、およびフランスのユーザーが同機能拡張をダウンロードできる。他の国々にもいずれ展開する予定だ。

この新製品によって、KlarnaはB2B決済ビジネスだけでなく、消費者向け商品も作りたいことを改めて示した。PayPalはデジタルウォレット業界の明らかなリーダーだ。果たしてKlarnaがPayPalに挑んで、消費者がオンラインで支払うときの習慣になれるのだろうか、その成り行きは興味深い。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

消えてしまうツイートにサヨナラ、Twitterがウェブ版で新しいツイートの自動読み込みを廃止

Twitter(ツイッター)はウェブ(ブラウザ)版プラットフォームを更新し、ユーザーが新しいツイートを見る方法を変更した。これにより、Twitterはウェブ上のタイムラインを自動的に更新しなくなり、ユーザーが新しいツイートを読み込むタイミングを決めることができる機能が搭載される。Twitterは、これまでユーザーのタイムラインが自動的に更新されると、読んでいたツイートが途中で消えてしまうことがよくあったと認めていた。今回の変更により、ユーザーは自分のタイムラインの上部にあるツイートカウンターバーをクリックすることで、好きな時に新しいツイートを読み込むことができるようになる。

Twitterは9月に、ユーザーがツイートを読んでいる間に消えてしまわないように、ツイートの表示方法を変更すると発表した。なお、TwitterのiOS / Androidアプリでは、ユーザーがアプリを開いたとき自動的にタイムラインは更新されない。その代わり、ユーザーはナビゲーションバーのハイライトされたホームボタンをクリックして、新しいツイートを読み込むことができる。

また、Twitterは最近、2021年初めにモバイルでフルサイズの画像プレビューを導入した後、ウェブでの画像プレビューも自動的にトリミングしないと発表した。ウェブ版のTwitterではこれから、画像はトリミングされることなくフルサイズで表示される。これによりタイムラインに表示される画像の大きさを心配する必要はなくなり、撮影時と同じように表示されることになる。

これらの微調整は、Twitterが自社のプラットフォームを強化し、サービスをより利用しやすくするために行っているものだ。最近では、ユーザーが自分のSpacesへのダイレクトリンクを共有することで、他のユーザーがTwitterにログインすることなく、ウェブ上でライブオーディオセッションを聴くことができる機能を提供している。また、今年初めにカナダとオーストラリアで開始したプレミアムサブスクリプションサービス「Twitter Blue」を、同社は米国時間11月9日に米国とニュージーランドでも提供開始した。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Dragonfly)

Firefoxモバイルブラウザーがアップデート、最近のタスクにすばやくアクセス可能に

モバイルブラウザーFirefox(ファイヤーフォックス)は現地時間11月2日、iOSおよびAndroid向けの最新版をリリースし、開いているタブの数が多すぎることによる煩雑さや、前回アプリを閉じたときに中断した場所に戻る必要があることなど、よくある問題への対応を目的としたアップデートを行った。今回の変更は、モバイルウェブへの再アクセスポイントとして機能するようになる新しいホームページを導入したFirefox Betaの一環として行われたものだと、ブラウザの製造元であるMozilla(モジラ)は述べた。

この変更により、Firefox は、Apple(アップル)のSafari(サファリ)や Google(グーグル)のChrome(クローム)のようなモバイルデバイスのデフォルトオプションとの競争力を高めることができる。他のApple アプリから送られてきたものを共有するSafariの新しい「あなたと共有」や、Chrome の最近のタブや検索履歴に簡単にアクセスできるボタンのように、Firefoxの「新しいタブ」ページは、ブックマークやリーディングリストなどのアイテムをユーザーに提供している。

しかし、Firefoxの場合は、単なるボタンではなく、ホームページ上で直接スクロールできるリストとして表示されるので、読んでいた記事や最近の検索結果などの項目により簡単に戻ることができる。

例えば「Jump back in(ジャンプバックイン)」セクションでは、タブの混乱の原因になりがちなユーザーが読みかけの記事をすぐに見つけることができるようになる。これらは、ホームページに直接表示される最新のヘッドラインの隣に「すべて表示」リンクをクリックするとリストで表示される。

最近保存したブックマークは、デスクトップのFirefoxから同期したものも含めて、ホームページ上に表示されるようになった。また、最近の検索結果は、トピックごとにグループ化されてホームページに表示される。Mozillaによると、これらの検索結果は最大14日間保存されるので、検索履歴を調べなくても、オンラインリサーチに簡単に戻ることができる。

大きな変更点の1つは、モバイルブラウザを使用する際の最も一般的な問題の1つであるタブの乱立に対処することだ。ユーザーは、参照する必要のあるタブや読み終える必要のあるタブを閉じずに開いたままにすることがよくある。しかし、これでは多くのタブが開いたままになり、実際に開いているタブを移動させる必要が生じたときに、混乱することになる。

Firefoxはこの問題に対処するため、14日間再訪していない非アクティブなタブを保存し、開いているタブが多すぎることによる視覚的な混乱やストレスを軽減するために、これらのタブを表示から削除する新機能を導入した。残念ながら、この機能は発売時にはAndroidベータ版でしか利用できない。

また、同社は「あとで読む」のためのアプリPocket(ポケット)との提携を拡大し、ユーザーが自分の興味に合ったストーリーでホームページをカスタマイズできるようにする。これまでもFirefoxでは、新着記事をPocketからAndroidユーザーに提供していたが、ユーザーからのどのような記事を表示するか、もっとカスタマイズしたいという声が寄せられていた。この機能も当面はAndroidのみの提供となる。

その他の変更点としては、新たに18種類以上のテーマを選択できるようになったこと、Site Isolation(サイトアイソレーション)と呼ばれるセキュリティアーキテクチャの導入によりサイドチャネル攻撃への対応が強化されたことなどが挙げられる。

今回の変更は、5月に導入された大規模なデザイン変更にさらに磨きをかけたものだ。このデザイン変更は、ごちゃごちゃしたメニューをなくし、ナビゲーションを簡素化し、新しいタブデザイン、iOSアプリの更新、プライバシー機能の強化など、ブラウジング体験をシンプルにすることを目的としている。その際、Mozillaは、年内にさらなるアップデートを行うことを約束した。

また、Mozillaは2021年10月、プライバシーを重視したブラウザFirefox Focus(ファイヤーフォックスフォーカス)を刷新し、ユーザーが頻繁にアクセスするサイトにすばやくアクセスできる方法を盛り込んだ。

新しいブラウザのアップデート版であるFirefox 94は、現在、Google Playストアで「Firefox Beta」と検索することで入手でき、Android 5.0以上で動作する。iOSでは、ユーザーはTestFlightを通じてベータ版をダウンロードする必要があり、iOS 13以上に対応している。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

グーグルの3D美術館「Pocket Gallery」がウェブからも楽しめる

GoogleのArts & Cultureチームは、2018年に「Pocket Gallery(ポケットギャラリー)」を提供開始し、史上初めてヨハネス・フェルメールなどの芸術家の作品、通常は公開されていなかった作品もAR対応のスマートフォンユーザーで鑑賞できるようにした。米国時間10月14位、同チームは、「ポケットギャラリーPocket Gallery

関連記事:Google、デジタルアート・ギャラリーにARを導入

Pocket Galleryの当初の目標は、これまで見たことのない展覧会をデジタル3D形式で提供することだった。そしてこの度のウェブ化によって、ギャラリーはデスクトップや、AR非対応のスマートフォンでも鑑賞できるようになり、デジタル展覧会はより観やすくなった。

「お気に入りのブラウザを開くだけで、Pocket Galleryのすべてを3Dで観ることができます。世界のアートツアーを音声付きで楽しみ、ショーヴェ洞窟で人類最古の絵画を鑑賞し、古代インドの細密画に驚嘆したり、Klimt vs. Klimtで矛盾を抱えた人間を発見したりすることができます」とGoogle Arts & CultureのアソシエイトプロダクトマネージャーであるJoe Shepherd(ジョー・シェパード)氏はブログで述べている。

一部の作品には歴史の解説があり、またいくつかの作品は近寄って細部を観ることができる。また一部のギャラリーでは、音声付きのツアーでこの展覧会の見どころを解説し、作品の歴史的な由来の解説などもある。

画像クレジット:Google

また、フランスのRéunion des musées nationauxの協力による特別展示もある。ユーザーはバーチャルガイド付きのツアーに参加して「maritime tales, stormy landscapes, and shores swathed in light(海の物語、嵐の風景、光に包まれた海岸)」の美術作品を鑑賞できる。この特別展示にはベルサイユ宮殿やルーブル美術館などヨーロッパ屈指の美術館が提供した、海の絵画の傑作40点がある。

「私たちの最新のギャラリーで、海の神秘を解き明かすことをお楽しみください。ウェブからご覧いただけるPocket Galleryで、新しい角度から集めた文化的名品の、充実したコレクションをご経験ください」とシェパード氏はいう。

Pocket Galleryの展覧会は、Google Arts & Cultureのウェブサイトや、AndroidiOSでダウンロードしたGoogle Arts & Cultureアプリで見学できる。

画像クレジット:Mitch Barrie/Flickr CC BY-SA 2.0のライセンスによる。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)