2019年のWebはモバイル化がさらに進展、トップ100サイトの月間訪問は2230億回

モバイル化の進展が、世界のWebトラフィックに大きな影響を与えていることが統計で裏付けられた。2月11日にWebマーケティングのコンサルティング会社であるSimilarWebが発表したレポートによると、2019年のモバイルのWebトラフィックは2017年以降30.6%増加したのに対し、同期間のデスクトップのWebトラフィックは3.3%下落していた。

変化はこうした数字だけではなかったようだ。モバイルユーザーの行動はデスクトップとはかなり違うことがわかった。モバイルユーザーのページ滞在時間はデスクトップよりかなり短い。これはWebサイト運営者が参考にする統計数字の意味に影響を与える。

レポートによると、2019年のWebのトラフィックは2018年から8%アップ、2017年から18.8%アップ、月平均2230億回のトラフィックがあった。2019年のWebトラフィックで最大のアップは4月と6月で、トラフィックは2018年と比較してそれぞれ10%以上アップした。

ただしレポートによると、モバイル化は訪問回数の増大の主因であるものの、モバイルユーザーがサイトに滞在する時間は短いため、プラットフォームを通算してWebサイトにおける滞在時間は2017年から2019年にかけて49秒ダウンしている。

またあるカテゴリーでは、モバイルがデスクトップを抑えて主要なアクセス経路となっている。デスクトップに比べてモバイルが圧倒的に好まれているカテゴリーはアダルト、ギャンブル、料理と飲み物、ペットと動物、ヘルス、コミュニティとソーシャル、スポーツ、ライフスタイルだ。さらにこの数年、ニュース、自動車、トラベル、調べ物、ファイナンスなど他のカテゴリーでもデスクトップからモバイルへのシフトが顕著だ。

しかしながら、こうしたモバイル化によってすべてのサイトがメリットを得ているわけではない。

例えばニュースサイトのトラフィックは減っている。レポートによれば、メディアサイトのトップ100は2018年から2019年にかけて5.3%のトラフィックを失っている。訪問者数にすれば40億回だ2017年からの減少は7%にのぼる。

こうしたトラフィックの減少はすべてのニュースカテゴリーに及んでいる。特にエンターテインメント関連、地域関連などのニュースは25%以上減少している。ビジネスとファイナンス、女性の権利に関するニュースだけがトラフィックが増加した。

モバイルへのトラフィックのシフトはまた大手パブリッシャーに有利に働いており、巨大サイトはさらに地位を固めた。トップ10サイトの月間訪問回数はトータルは1675億回で、2018年から2019年にかけて10.7%アップしている。これに対し、11位から100位までの90サイトでは同一期間で2.3%の増加にとどまっている。

GoogleはトラフィックをメインのサイトであるGoogle.comに集めようと努力し、効果を上げている。同時にYouTubeも成長もしている。一方、トラブルが続くFacebookでは、トラフィックの数字にもそれが現れており、2019年だけでトラフィックを8.6%失った。レポートはFacebookが失ったトラフィックの多くがYouTubeに流れたとみており、Facebookが最近ビデオに力を入れているのはこれが原因だろう。とはいえ、Facebookがモバイルに力を入れていることはビデオ以外では効果を上げており、例えばInstagram、WhatsAppへのトラフィックは対前年比で74%もアップしている。

Facebookと並ぶ減少組の代表はアメリカのYahooで、2017年以来トラフィックは33.6%ダウンした。Tumblrは2018年にアダルトコンテンツを禁止したことにより1年で33%のトラフィックを失った。

FacebookはWebトラフィックの減少を補おうとして2019年にアプリの再構築行った。これは効果を上げており、アプリのセッション数は増加した。Facebook同様、YouTubeもユーザーを惹きつけるためにデザイン変更を行っており、両者はビデオ視聴回数でほとんどタイとなった。

このレポートが扱っているデータは2017年1月から2019年12月までのもので、デスクトップとモバイルのWebトラフィックに加えてAndroidアプリの利用状況を調査している。

レポートの全文はこちらで読める。レポートはショッピング、トラベル、ファイナンス、メッセージなど重要なカテゴリーについて掘り下げた分析も行っている。

画像:Towfiqu Photography / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

GIF30年の歴史を振り返る――圧縮フォーマットからコミュニケーションツールへの変遷

【編集部注】執筆者のDavid McIntoshはTenorの共同ファウンダーでCEO.

大きな変化を遂げずに5年以上――ましてや30年も――生き残れるテクノロジーはそう存在しない。過去10年間を振り返ってみても、携帯電話の情報処理能力は20倍近く向上し、マルチタスキングや視覚的なメッセージといった機能が追加された。HTMLの規格は5代目に突入し、ウェブ上の動画ストリーミングに使われるフォーマットはFLVからMP4へと移り変わった。IntelのファウンダーのひとりであるAndy Groveがかつて言ったように、「極度な心配性の人だけが生き残れる」のだ。そして進化しないテクノロジーは、いずれ時代遅れになっていく。

今年の夏で30周年を迎えたGIFは、変化の激しいテクノロジー界で長年生き残る、数少ないファイル形式のひとつだ。誕生時から技術的な変化はないGIFだが、これまでに3つの”人生”を経験し、今では過去にないほどの人気を誇っている。

第一の人生:画像ホスティングテクノロジー

GIFは、BMPをはじめとするファイル形式よりもサイズが小さい可逆圧縮フォーマットとして1987年に誕生し、それからすぐにウェブブラウザーを中心にサポートされていった。1989年にはGIFアニメも誕生したが、当時は単に効率的なファイルフォーマットして、静止画を中心に利用されていた。

 

第二の人生:ライトなエンタメ動画

初期のGIFアニメの多くは、Microsoftのクリップアートのような見た目で、ウェブサイトのナビゲーション要素として使われることもあった。ジオシティーズの登場で何百万人という人が自分のウェブサイトを作れるようになると、彼らは訪問者を楽しませようと、回転するメニューや燃えるビュレット、3DアニメーションなどのGIFアニメを使ってウェブサイトを自分流にアレンジしていった。この傾向はMyspace人気が高まるにつれてさらに加速していく。

Myspaceユーザーが自分のページを飾る”アクセサリー”を見つけるためのウェブサイトも、この頃大量に生まれた。しかし、YouTubeをはじめとする動画サイトの台頭とともにMyspace人気に陰りが見え始めると、GIF人気も落ち込み、そのうちGIFはニッチなネット掲示板でだけ使われるようになっていった。しかし、2009年頃からTumblrのユーザー数が増えるにつれて、GIFは復活を果たす。

Myspace同様、Tumblr上でGIFを使って自己表現を試みる人たちも出始めたが、彼らは点滅する文字の代わりに、お気に入りの映画やテレビ番組、オンライン動画のワンシーンを切り取ったものを共有した。これがBuzzFeedやImgur、GiphyといったGIFホスティングサービスへと繋がっていく。

第三の人生:コミュニケーションツール・ビジュアルランゲージ

モバイルメッセージが急速に普及する中、消費者のアテンションスパンとともに彼らが交わす言葉自体も短くなり、「lol(laughing out loud=爆笑)」や「jk(just kidding=冗談だよ)」といった略語が使われるようになる。こうして、かつては3〜5分かかっていたことも、3〜5秒間で行われることに。

今やGIFは文化的な文脈を使い、たった数秒間で感情をフルに表現できる、視覚的な略語のような存在になった。従来の略語よりも表現力が豊かで、広がりのある言葉だ。

例えば昨年だけでも、40億種類以上もの思いや感情、感覚がTenor(GIFホスティングサイト)の検索欄に入力され、検索ワード数は新たなニュースや文化、ミームの誕生に応じて日を追うごとに増えている。

モバイル界におけるGIFの転換期は、iOS8でカスタムキーボードがサポートされるようになった2014年秋までさかのぼることができる。コミュニケーションツールとしてのGIF第三の人生は、モバイルという史上最大のデジタルプラットフォーム、そしてその活動の中心がコミュニケーションであることを背景に、これまでの人生を大きく上回った。

誕生から30年が経ち、今やGIFはコミュニケーションとは切っても切れない関係性を構築し、モバイル界のビジュアルメッセージの新たなプロトコルへと進化したのだ。これ自体も素晴らしいことだが、GIFの人生はまだこれからだ。将来的には30億人ものモバイルユーザーが、1日に感じる何十種類という感情をGIFを使って表現するようになるだろう。

最後に先月の記念日を祝って、30年間の歴史の中でGIFの方向性を大きく変えた出来事を以下にリストアップした。

1987年:当時CompuServeのソフトウェアエンジニアだったSteve Wilhiteがグラフィックス・インターチェンジ・フォーマット(GIF)を開発
1989年:CompuServeがアニメーションをサポートしたGIFの改良版を発表
1993年:Mosaicブラウザのリリースにより、World Wide Webが一般公開される
1995年:NetscapeがNavigator 2.0にGIFアニメのループ機能を導入
2003年:Myspaceがローンチし、GIFを使ったウェブサイトの装飾が人気に
2007年6月:iPhone第一世代がリリースされ、iMessageをはじめとするメッセージングアプリが黎明期を迎える
2010年8月:新オックスフォード米語辞典第三版に「ギフ」と「ジフ」両方の発音が登録される
2014年10月:iPhone初となるGIFキーボードがローンチ
2015年6月:Facebook MessengerへのGIFボタン導入でトレンドに火がつき、その他の何百種類にもおよぶサービス(Twitter、Kik、WhatsApp、Discord等)にもGIFメッセージ機能が搭載される
2017年6月:世界中のモバイルユーザーがGIFの30周年を祝福

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(翻訳:Atsushi Yukutake

モバイル版ウェブからInstagramに写真を投稿できる―データ量節約で世界でユーザー拡大を狙う

Instagramはモバイル向けウェブサイトを大幅に強化した。世界中で写真共有のハブになることを目指しており、国際的な成長を実現するために行われたアップグレードだ。これによりネットワークが遅すぎたりデータプランが高価すぎたりして専用アプリを使いたくいユーザーでもInstagramを自由に利用できるようにするのが狙いだ。このアップグレードでInstagramは閲覧、投稿を含む専用アプリのコア機能を軽量化し、モバイル版ウェブ上で実現している。.

ユーザーはInstagramのモバイル・ウェブから写真投稿ができる。

これまでInstagramのウェブページはデスクトップ、モバイルとも軽量化されているものの閲覧、フォロー、検索、「いいね!」など最小限の機能が利用できるだけだった。デスクトップからの写真投稿は今でもできない。しかし3月からInstagramはモバイルウェブの共有機能の強化を開始し、最新のInstagramでは
Explore〔虫眼鏡アイコン〕タブも利用可能になった。ただしビデオのアップロード、フィルター、ストーリーズ、ディレクト・メッセージはモバイルウェブからは使えない。

Matt Navarraが発見した新バージョンについてわれわれは Instagramに取材してみた。「Instagram.comにモバイルからアクセスした場合、モバイル・デバイスでの利用に最適化されたバージョンが表示される。これは利用するデバイスやネットワーク環境によらず誰もが快適なInstagram体験を可能にすることを助けることを意図している」という。

このアップデートはInstagramのユーザーの80%がアメリカ以外の居住者だということを念頭においた成長戦略に基づくものだろう。この戦略に基づく最近のアップデートの例としては、ウェブからのログイン、特に低価格Androidデバイスでのログイン過程の改善、オフライン機能の追加などがある。これらはあらゆる環境でのInstagramをスピードアップし、 ユーザーを7億人の大台に乗せることを助けた。最後の1億人はわずか4ヶ月で追加された。それ以前の数年間、Instagramでは1億人を追加するのに平均9ヶ月かかっていた。

途上国のユーザーの多くはInstagramのアプリを即座にダウンロードできるほど高速のモバイル環境にない場合が多い。無線網が遅い場合もあるし、アプリやコンテンツ保存のために十分な記憶容量がモバイル・デバイスにない場合もある。またデータプランが禁止的に高価なことも多い。

モバイル・ウェブ版が強化されればユーザーはアプリをダウンロードしてインストールする手間をかける必要がない。これにより待ち時間、保存容量、データ転送コストを大幅に節約しながらInstagramの基本機能を利用できる。

ただしこうしたリリースはInstagram Liteのような軽量版のネイティブ・アプリが必要なのではないかという疑問を再燃させるかもしれない。同じFacebookグループではデータ転送量を最小化することを念頭においたFacebook Liteアプリが2億ユーザーを獲得しており、Messenger Liteアプリも成功を収めている。

Instagramのモバイル・ウェブでは写真の投稿とExploreタブの利用が可能になった

いずれにせよ、モバイル・ウェブの強化でInstagramの使い勝手は主要なライバル、Snapchatの先を行くことになった。 Snapchatはビデオ・ヘビーなサービスなので、運営するSnap
Incは途上国の接続環境に対応することに高い優先順位を与えていない。これは途上国市場がマネタイズの対象として価値が低いこととも関連しているだろう。このことは途上国の画像共有ではInstagramが事実上の標準となる道を開いたのと同じだ。InstagramはSnapchat Storiesのクローンをリリースして2億人のDAU(1日あたりアクティブ・ユーザー)を集めているが、これはSnapchatの全ユーザー以上の人数だ。

途上国のネットワークも安価なAndroidスマートフォンの能力も今後次第に改善されるだろう。そうなればInstagramは途上国市場でも十分な収益を確保できるようになるだろう。グローバル市場での現在の急速な成長はInstagramに強力なネットワーク効果をもたらし、ユーザーを予めInstagramにロックインすることを可能にするはずだ。

ソーシャル・ネットワークは先進国市場ではほぼ飽和状態だ。SNSはそれ以外の市場での成長戦略を考える必要に迫られている。遠く離れた場所のわれわれとは環境の異なる市場のユーザーでも決して無視するわけにはいかない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

若い世代ほどニュースを視ることよりも読むことが好き?

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さて、若い人たちに届くことを期待してビデオに投資を行っている全てのメディアパブリッシャーに素晴らしいニュースだ:Pew Research Centerが今週リリースした調査結果によれば、より若い人たちほど、ニュースを視ることよりも読むことに関心があるということがわかったのだ。Pewが明らかにしたのは、ニュースを読むよりも視ることを好むのは、まさしくより高齢の世代だということだ。

この結果は、若い世代に届けるためには、メディアパブリッシャーはFacebookやSnapchatのようなソーシャルメディアに投稿することのできる、活気のある短いビデオに投資しなければならないという、一般に言われている説とは少し矛盾する内容である。それはまだ各社のより大きなソーシャル戦略の有効な部分なのだが、若者がその日のニュースを取り込む際に好む方法には合わないのかもしれない。

Pewが米国の18から29歳の消費者たちに、ニュースを視る、聴く、そして読むのどの手段を好むのかを尋ねたところ、42パーセントが「読む」と答え、38パーセントが「視る」と答えた。そして19パーセントの若者だけが「聴く」と回答している。

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もちろん、視ることを好む人の数と、読むことを好む人の数の間には大きな隔たりがあるわけではない、またニュースの読み手が安定多数を占めているわけでもない。しかし、他の年代グループと比べてみると、より若いニュース消費者たちは高齢の人びとに比べて、より読むことに関心があることが明らかになった。

例えば、30から49歳の世代では40パーセントの人だけが読むことを好むと答えている一方、50から64歳の世代では29パーセントだけが読みたいと答えている。それよりもさらに少なく、65歳以上の世代では27パーセントの人が、ニュースは読むことが好きだと答えている。

一方、50から64歳の人の約半分(52パーセント)、及び65歳以上の人の58パーセントが、ニュースは視ることを好むと答えている、とPewは書いている。

ある程度、これは高齢の世代はニュースをテレビで視ることを好んでいることに関係付けられるだろう、一方より若い世代はニュースを読む手段を素早くデジタルプラットフォームやウェブに切り替えている。

言い換えれば、本当の意味で急速に消えつつあるのは新聞なのだ。

ft_16_09_30_newsreaders実際、人びとにどこで読むことを好むかとPewが問いかけた結果によって、この事実が裏付けられている。ニュースは「読みたい」と言った18から29歳の世代のうちおよそ10人中8人(81パーセント)が、ニュースはオンラインで読むのがベストだと答えている。一方新聞を好むと答えたのは10%だけだ。30から49歳の年齢層でも、同様の結果が示されている。

高齢の読み手たち(50から64歳)では、オンラインで読みたい人と新聞で読みたい人の割合はほぼ同じであった。41パーセントがウェブを好み、40パーセントが新聞を好むと答えている。

おそらくより多くの若い大人たちがニュースを視るよりも読むようになっている一方で、視る人たちも行動を変えつつあるということをこの調査は示している。

若い世代(18から29)の世代は、他のどの年齢層よりも多く – 30から49歳のパーセンテージに比べても倍だ ‐ ニュースビデオをテレビではなくウェブで視るようになっていることが分かった(テレビでニュースを視る57パーセントに比べて、37パーセントがウェブでニュースを視ている)。

また興味深いのは:デジタルニュースコンテンツを読んだり視たりする彼らの嗜好のせいで、Pewの調査が明らかにしたことは、若い世代は一般的にニュースに寄せる関心は薄いものの、デジタルメディアの領域では、このグループは他のより高齢なグループに比べて同じか、より高い関心をニュースの取得に対して示すということである。意図的ではないとしても。

その通り。若い世代はほとんど偶然ではあるものの、より情報通になりつつあるのだ、単により多くの時間をオンラインで過ごしているという理由によって。さて、彼らが皆、投票にも行ってくれることを願おう。

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(翻訳:Sako)