ポーラ・オルビスとANAによるCosmoSkinプロジェクトが開発中のスキンケア化粧品、JAXAの生活用品アイデア募集に選定

ポーラ・オルビスとANAによるCosmoSkinプロジェクトが開発中のスキンケア化粧品、JAXAの生活用品アイデア募集に選定

ポーラ・オルビスホールディングスANAホールディングスは3月22日、JAXAの「第2回宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集」において、両社が「CosmoSkin」(コスモスキン)プロジェクトとして開発している宇宙で使えるスキンケア化粧品が選定されたと発表した。国際宇宙ステーション(ISS)の搭載を目指し、開発を進めるとのこと。

CosmoSkinで開発されているのは、宇宙船内の特殊な環境を想定したスキンケア製品。極度に乾燥していること、水が貴重であること、微小重量といった環境に対応するために、スキンケア製品にはこれまでにない機能性や使用法が求められるという。宇宙の生活では、全身にさまざまな変化が起き、精神的な健康の維持も重要になる。そのため、肌を美しく保つ機能だけでなく、「スキンケア行為を通して心も健やかに保つ体験価値」の追究を目指す。

また、資源が極端に限られ、ゴミを最小限にしなければならないといった制約に合わせて技術開発を行えば、それがそのまま地上でのサステナビリティー向上にもつながるとポーラ・オルビスホールディングスは話す。

両社は、それぞれ宇宙に目を向けている。ポーラ・オルビスホールディングスは、2018年に化粧品の枠を超えた新価値創出のための「マルチプルインテリジェンスリサーチセンター」(MIRC)を発足し、宇宙への取り組みを開始した。2020年からは、JAXAが推進する宇宙生活の課題から宇宙と地上双方の暮らしをより良くするビジネス創出プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」での活動を開始している。

ANAホールディングスは、2018年に宇宙事業化プロジェクトを発足し、衛星データ活用事業、宇宙物資輸送事業、宇宙旅行事業といった宇宙事業の検討を開始している。

CosmoSkinでは、ポーラ・オルビスホールディングスが「肌の知見や製剤技術を活かし宇宙ライフに適した化粧品の研究開発」と、ANAホールディングスが「地上よりも宇宙環境に近いとされる航空機内を実証実験の場として提供」することになっている。

ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

フィットネスクラブや公共運動施設などに向けた会員管理・予約・決済システム「hacomono」を運営するhacomonoは3月2日、シリーズBラウンドにおいて、三者割当増資による総額20億円の資金調達を行なったことを発表した。引受先は、新規リード投資家のTHE FUND(シニフィアン、みずほキャピタル)、既存投資家のCoral Capital、ALL STAR SAAS FUND。

調達した資金は、プロダクト強化のためのエンジニアとUI/UXデザイナーチームの増強、提案力・サポート力強化のためセールス・カスタマーサクセス・サポートチームの増強、日本全国への拠点作りなどに充当する予定。ウェルネス産業を中心にさらなる業務のデジタル化を後押しし、経営力と収益力を強化できるプラットフォームを目指し、今後は他業種に対してもリアル店舗・サービス業における「リアル店舗のOS」となることを視野に入れているという。ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

hacomonoは、リアル店舗における予約・決済や入会手続きについて、顧客が自分のPCやスマホからオンラインで完結させることができ、店舗での事務手続きや支払い手続きを削減可能というクラウドサービス。店舗側にとっては、月謝の引き落としや未払い徴収に関するオペレーションなどを自動化できるため、店舗・施設スタッフの業務の省力化も行える。2019年3月のリリース以来、導入店舗・施設数は1000を超え、導入件数は前年比10倍以上のペースで増加。ウェルネス産業におけるオンライン化(非対面・非接触・脱労働集約)、キャッシュレス化・DX化、アフターデジタル(OMO化)を推し進めているという。ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

ウェルネスとデジタルサイケデリックのXRプラットフォームTrippが世界最大のVR瞑想コミュニティEvolVRを買収

カリフォルニアに拠点を置く「ウェルネスとデジタルサイケデリックのXRプラットフォーム」、Tripp(トリップ)は買収による成長路線を継続し、世界最大のVR瞑想コミュニティであるEvolVR(エボルVR)を買収した。これは2021年のPsyAssist(サイアシスト)の獲得に続くものだ。PsyAssistは、サイケデリック体験を続けるために使うモバイルアプリである。今回の買収によって同社は、ポケモンGOメーカー、Niantic(ナイアンティック)の新しいツールキットであるNiantic Lightship(ナイアンティックライトシップ)の立ち上げパートナーの一員として、拡張現実(AR)体験に取り組んでいることが明らかになった。

EvolVR(創設者はユニテリアンユニバーサリストの牧師および瞑想インストラクター)は、VRで活動する世界初・世界最大の瞑想コミュニティであると主張しており、4万人を超える人がVRマスクを着けて瞑想に入っているとのことだ。Trippも負けてはいない。同社は、350万を超えるウェルネスセッションを行ってきたと主張している。「瞑想術、フロー誘発ゲーム、バイノーラル音声と呼吸のエクササイズ」を組み合わせて、不可思議な感覚を吹き込み、ユーザーの感じ方を変えるのだ。こうしたセッションは、リラックスと調和に役立つように考案されているが、サイケデリック体験の促進に使用することもできる。

コミュニティを重視する組織を買収して支持者の規模を拡大すれば成長を大きく促進できるが、当然ながら、すべてのコミュニティが「買われる」ことに賛成であるとは限らない。特に、買い手が移行期間に荒っぽいことをすればそうである。TrippのCEO兼創業者であるNanea Reeves(ナネア・リーブス)氏と話して、買収の背景が少しわかった。また、高揚感を得られるVR・瞑想・スピリチュアリティ・サイケデリックのマッシュアップとして次に来るものを知ることもできた。

Trippという名前について尋ねないわけには行かなかった。名前の由来は?サイケデリックとの関係は?

「体験としては、サイケデリックというよりVRです。Oculusの開発キットが初期段階の頃、誰もが四六時中VR体験をしていました。ヘッドセットを外して、『すごい、まさにTrippだ!』と言ってました。ある現実があってそれに気づくという体験をして、それから別の現実も体験することには、何かがあります。もちろん、薬物を使ってもそういう体験はできますが、VRにはそれ自体にそういうメカニズムがあります。そこから名前がひらめきました」とリーブス氏は説明している。

TrippのCEO兼創業者ナネア・リーブス氏(画像クレジット:Tripp)

「先方が当社のサイケデリックな面について知ったのは、当社が消費者向け製品を発売した後でした。私たちがしていることにサイケデリックコミュニティから大きな関心が寄せられ、ケタミンを使うクリニックなどでは当社の消費者向け製品がオーガニックな方法で採用されていることがわかりました。私たちは、それを臨床分野への進出の機会と見ることにしました。(苦痛緩和ケアやサイケデリック療法において)臨床展開に取り組む方法はいくつかあると思います。不安を和らげる治療に備える方法や治療後のサポート方法に大いに力を入れていきたいと思います」。

「当社には、別の取り組みと、サイケデリックなメンタルヘルスの手順を対象としたPsyAssistというアプリケーションバンドルがあります。当社はこれらの分野で支援を行うことができます。2022年の前半に、現時点ではケタミン限定のパイロット試験をいくつか行う予定です」。

「私たちと消費者の最も意味深い関わり合いのいくつかは、人生の終わりに臨んで当社の製品を使用する人との関わり合いであることがわかりました。そうした人にメリットがあった、つまり自分が身体的に経験していることから気持ちを紛らすことができたというだけではありません。家族や世話をする人も、Trippの体験を通してストレスを解消できました。当社のツールキットやアプリがさまざまな点でどのように役立ったか報告してくれるユーザーのフィードバックを見ると、起業家としてそれ以上求めるものはありません。努力によって実際に人々の状況が良くなっていることがわかるからです」。

EvolVRの買収

同社はMayfield(メイフィールド)が取りまとめたラウンドで400万ドル(約4億6200万円)を調達し、その後2021年6月にサイケデリックライフサイエンスを重視する投資会社Vine Ventures(バインベンチャーズ)とMayfieldが取りまとめたラウンドで1100万ドル(約12億7000万円)を調達した。同社は、変革的な体験を実現するために臨床分野とコミュニティ構築を並行して追求することを計画している。EvolVRの買収は明らかに、その課題の中のコミュニティ分野である。

Trippは、2022年の終わり頃にAR製品を発売するために、ナイアンティックライトシップのプラットフォームに取り組んでいる(画像クレジット:Tripp)

「私は、EvolVRのコミュニティについていくつか気づいたことがあります。私はよくVRで人に会っていましたが、彼らはJeremy(ジェレミー)[Nickel(ニッケル)氏、EvolVRの創設者]の話をずっとしていることがよくありました。それがアバターのグループでの瞑想を強制することになるとは思いませんでしたが、私は続けて、特にパンデミックの時期に彼らの瞑想をいくつか試してみました。彼らが案内付きの瞑想体験をしているのが気に入りました。私と一緒に瞑想体験をしている別の人がいるのを感じました」とリーブス氏は説明している。「Electronic Arts(エレクトロニックアーツ)にいたとき、私はゲーム中毒のコミュニティの状況や、彼らが女性に優しくないことがわかりました。EvolVRでは、瞑想グループのリーダーが安心できる場を作っているのがわかりました。彼らは、私が良い印象を受けるようにグループをリードする方法を心得ていました。誰かが煽っても、効果はありませんでした。メタバースが拡大するときも、嫌がらせを無視できる場があることは大切です。私たちは、そうした配慮の行き届いた落ち着ける場を作って、自分自身と他の人とのつながりを深めるお手伝いができます」。

「ジェレミーと私は(買収を)内密にしてきました。彼は、コミュニティの人たちは買収を喜ぶだろうと思っています。私たちは、ジェレミーの14人の瞑想リーダーと意思の疎通を図る必要があります。彼らも私たちの傘下に入るからです。私たちは、配慮の行き届いたメタバースとはどのようなものか、考える努力をしています」。

買収の結果、EvolVRはどう変わるか?

「私はこの買収を記念したいと思っています。2つのコミュニティが一緒になって、アンビエント音楽のDJイベントとローンチパーティーを開くことを考えていました。私たちは、本当にクールなことをしようと思ってわくわくしています」とリーブス氏は語る。「プログラミングの観点からは、単なるグループ瞑想の枠を超えたいと思っています。サウンド入浴を手がけたいと考えています。呼吸法も手がける予定です。アンビエント音楽の『エクスタティックダンス』で体を動かすイベントを行う方法についてアイデアがいくつかあります。VRの抽象的な概念を使ってコミュニティとの調和をサポートするすばらしい機会があります。VRの申し分のない使用事例です。不名誉なことは避けて、自分の家でこっそりできます。きまりの悪い思いをすることはあまりなく、それでいてメリットがあります」。

Trippのプラットフォームを試してみた。慣れるのに少しかかりますが、とてもリラックスできる。写真は私ではない(画像クレジット:Tripp)

「(Trippの)支持者の幅広さにとても満足しています。私たちの支持者の大多数はミレニアル世代で、X世代がとても大きな2番目の世代です。支持者の約8パーセントは65歳以上です。VRはまだ共有のデバイスで、家族全体で使われています。例えば宿題をする前に集中力を高めるのに役立つよう子どもにTrippを使わせているという声もあります。ゆくゆくは、ほとんどの人がデータに対応したヘッドマウントディスプレイを使うようになることを期待しています。理想では、感情的な健全性を管理するお手伝いをしたいと思っています。そこから、依存症ケアや苦痛緩和ケアのような使用事例を対象にすることができます。実際のところ、主なメリットは、その時その時の感じ方に力を作用させるのに役立つということです」。

「音声だけの現行世代の瞑想アプリで、人々はますます快適に解決策を探していると思います。それを次のレベルに持っていくお手伝いができると思います。そうすれば、そのレベルのあり方を体験できます。私の目標を挙げるとすれば、必要な時に利用できるセルフケアの決まったツールキットを継続的に提供することです」。

今回の買収は現金と株式の組み合わせだったが、Trippは取引の詳細を開示していない。

画像クレジット:Tripp

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

アジア太平洋地域のさまざまな文化に配慮したメンタルウェルネスプログラム「MindFi」

メンタルヘルスのスタートアップMindFiはアジア太平洋地域(APAC)全体で事業を展開しているが、それぞれの市場で「文化の違いに配慮した」ケアを提供したいと考えている。そのために、従業員の福利厚生として提供しているアプリのプログラムを、宗教、ジェンダーのステレオタイプ、人種、コミュニケーションスタイル、価値観などを考慮して現地プロバイダーと共同開発していると、共同設立者兼CEOのBjorn Lee(ビョルン・リー)氏はTechCrunchに語った。

現地時間2月14日、シンガポールを拠点とする同社は、200万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドを調達したと発表した。このラウンドには、既存投資家のM Venture PartnersとGlobal Founders Capitalが参加した。エンジェル投資家には、Carousell(カルーセル)の共同創業者であるMarcus Tan(マーカス・タン)氏、CarroのCSOであるKenji Narushima(ケンジ・ナルシマ)氏、Spinの共同創業者であるDerrick Ko(デリック・コー)氏が含まれている。

MindFi(Mind Fitnessの略)は、Y Combinator(YC、Yコンビネータ)の2021年夏コホートに参加した。現在、シンガポール、香港、オーストラリアを含むアジア太平洋地域で事業を展開し、16言語でサービスを提供している。同社の法人顧客には、Visa、Willis Towers Watson、Patsnapなどがある。MindFiの製品は、15の市場で35社の雇用主のもと、合計10万人の従業員にサービスを提供している。

メンタルヘルス関連のスタートアップは、米国では特にパンデミックの間に多くの資金を獲得したが、アジアの多くの地域ではまだ初期段階にある。MindFiは、この状況を変えようとしているスタートアップ企業群の1つだ。最近資金調達に成功した企業には、Intellect(同じくY Combinatorの卒業生)やThoughtfullなどがある。

MindFiアプリには、自己管理型のメンタルウェルネスプログラム、コミュニティフォーラム、グループセラピー、AIによるコーチやセラピストとのマッチングシステムが含まれている。ユーザーのプロファイルには、MindFiのデータと、睡眠、心拍数、日々の活動などのフィットネスウェアラブルの情報が集約される。

リー氏はTechCrunchに対し、今回のシード資金は、AIエンジンの開発を加速し、ウェアラブルからの生理データとMindFiのメンタルヘルスデータの統合を進め、現地の専門家と協力して主要なAPAC市場でアプリ内プログラムを作成するために使用されると述べている。同氏は、APACでは米国や欧州に比べてライセンスを持ったメンタルヘルス専門家の数が比較的少ないとしながらも、ユーザーが安心してサポートを受けられるように、同社のプログラムが多様な文化的コンテクストに適合するようにすることが重要だと語る。

M VenturesのパートナーであるMayank Parekh(マヤンク・パレック)氏は声明の中で、次のように述べている。「メンタルヘルスは、ほとんどの国で伝統的に見過ごされてきましたが、成長著しいアジア地域ではなおさらです。私たちは、現在の市場には十分なサービスが提供されていないと感じており、創業者を第一に考える投資家として、重要な問題を解決するために相互に補完し合うスキルと洞察力を持つMindFiチームと協力できることをうれしく思っています」。

画像クレジット:MindFi

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

韓国のスタートアップAtommerce、約19.4億円の資金調達でメンタルヘルスサービスを拡大させる

モバイルアプリ「MiNDCAFE」を通じてユーザーがメンタルヘルス専門家とつながることを支援する韓国のスタートアップ、Atommerce(アトマース)は、2カ月で3倍の応募超過となった1670万ドル(約19億3600万円)のシリーズBで、メンタルヘルスのサービスを拡大する計画だ。

今回の資金調達で、Atommerceはプラットフォームの人工知能と機械学習技術を強化し、精神疾患に特化したデジタル治療に投資する予定だ。また、調達資金は人員増強にも充てられる。

ソウルを拠点とするこのスタートアップは、バーチャル・セラピー・プログラムと雇用者向けメンタルヘルス・ベネフィット・ソリューションを提供している。AtommerceのCEOであるKyu-Tae Kim(ギュテ・キム)氏はTechCrunchに対し、Atommerceは人間の専門家と同じようにセラピーができるAIチャットボットサービスを加えることで、患者、人間の専門家、精神疾患に対応するために人工知能が相互に作用するエコシステムを構築したいと考えていると語った。12月に発売された同社のAIチャットボット「RONI」は、推奨される回答を提供することで人間の専門家をサポートすると、キム氏は述べた。

Atommerceは、韓国で100万人以上のアプリユーザーと、Naver(ネイバー)、NHN、新韓インベストメント、Neowiz(ネオウィズ)、ソウル市役所など100社の企業を顧客として主張している。現在、MiNDCAFEの従業員支援プログラム(EAP)を通じて、B2Bクライアントの約20万人の従業員がアプリを利用している。同社は、250人以上のメンタルヘルス専門家を抱えているという。

新型コロナウイルスのパンデミックは、同社の成長を加速させた。例えば、2021年第1四半期の同社の売上高は、2020年第1四半期と比較して約1200%伸びた。また、過去2年間は年平均400%増の売上を記録しているという。

このスタートアップは、米国留学中にセラピーを受けてうつ病を克服したキム氏が、2015年に創業した。韓国に帰国したキム氏は、米国とは異なり、社会的なスティグマからメンタルヘルスの専門家の助けを得ることが難しいことを実感し、MiNDCAFEを立ち上げることを決意した。

韓国は、精神衛生問題を含むさまざまな要因でOECD諸国の中で最も自殺率の高い国となっているが、精神的な問題に対するスティグマから、人々は専門家に相談することをためらっていたと、キム氏はいう。しかし、ここ数年で変わってきた。現在、そのユーザーのほとんどは、国内のミレニアル世代とZ世代の成人女性であるとキム氏は付け加えた。

Atommerceは2022年前半に日本への進出を予定しており、早ければ年末に北米への浸透を目指す。同社のサービスは、言語やUX・UIなどのユーザーインターフェースデザインを完全にローカライズする予定だと、キム氏はTechCrunchに語った。また、次の資金調達計画について尋ねたところ、2023年第1四半期にシリーズCの調達を検討しているとのことだ。

画像クレジット:MiNDCAFE app

今回のラウンドで、同社の資金調達総額は約2600万ドル(約30億1400万円)に達した。シリーズBは、Hashed(ハッシュド)が主導し、E&Investment(E&Iインベストメンと)、K2 Investment(K2インベストメント)、Samsung Next(サムスンネクスト)が参加した。既存の出資者であるInsight Equity Partners(インサイト・エクイティ・パートナーズ)と韓国の製薬会社GC Green Cross Holdings(GCグリーンクロスホールディングス)もこのラウンドに参加した。

キム氏は声明の中で、今回の投資により、テクノロジーによって人々のメンタルヘルスを支援するという使命を持つMiNDCAFEが成長を加速させることができると述べている。さらに、Atommerceはメンタルケアエコシステムへのアクセスを向上させる。

画像クレジット:Carol Yepes / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Yuta Kaminishi)

瞑想アプリCalmが高齢者介護の負担軽減を目指すヘルスケアテック企業Ripple Health Groupを買収

瞑想アプリ「Calm(カーム)」は、サンフランシスコに拠点を置くヘルスケアテクノロジー企業「Ripple Health Group」を買収することを発表した。買収の条件は公表されていない。Calmはこの買収により、メンタルヘルスケアでの野望を加速させるとしている。買収後、Ripple Health GroupのCEOであるDavid Ko(デビッド・コー)氏は、Michael Acton Smith(マイケル・アクトン・スミス)氏とともにCalmの共同CEOを務める。Calmの共同創業者であるAlex Tew(アレックス・テュー)氏は、共同CEOを退任しエグゼクティブチェアマンとなる。

2019年に設立されたRippleは、ユーザーと適切なヘルスケアの選択肢を結びつけ、差し迫った健康上の問題を解決するソリューションを構築している。1月に登場されたRippleの最初の製品2つは、社会の高齢化に焦点を当て、プロおよび家族内の介護者による介護の負担を軽減することを目指している。

Rippleのチームは今後Calmに加わり、Calmの既存の雇用者向け製品であるCalm for Businessに代わるCalm Healthの構築に注力する。Calm Healthは、ケアの範囲を超えてメンタルヘルスをサポートすることを目的としており、近日中にリリースされる予定だ。Rippleのチームは、現在のヘルスケア技術と統合し、安全かつ簡単に使用できるCalm Healthのソリューションを構築することを目指す。Calmは、介護の負担軽減を目的とした製品の開発も進めていくという。

Calmの新共同CEOとなるデビッド・コー氏は声明でこう述べている。「2019年からCalmのアドバイザーとして、カテゴリーと流通チャネルの両方を再定義し、メンタルヘルスの未来を開拓するチームの能力を目の当たりにしてきました。Calmは、世界をより幸せに、より健康にすることをミッションとしています。Rippleのチームとテクノロジーにこれ以上ぴったりな会社はありません。同社に参加できることを信じられないほど光栄に思います。マイケル(・アクトン・スミス)と一緒にCalmをヘルスケアに導入することを楽しみにしています」。

Rippleに入社する前、コー氏はデジタルヘルス企業であるRally Healthの社長、COO、取締役を務め、消費者のケアへのアクセスを容易にすることを目的としたモバイルソリューションを開発した。

Calmの共同創業者で共同CEOであるマイケル・アクトン・スミス氏は、声明でこう述べた。「デイビッド(・コー)のビジネス感覚、卓越した運営能力、ヘルスケア企業のスケールアップの実績は、Calmが新たな事業に参入し、カテゴリーの未来を形成していく上で、非常に貴重なものとなるでしょう」。

Calmによる買収は、同社が新機能「Daily Move」を発表し、身体活動とビデオコンテンツに初めて進出してから数週間後に行われた。この機能は、ユーザーが体を動かすための簡単なエクササイズをガイドするものだ。Calmはこの新機能が、従来の瞑想を始めるのが難しいと感じている人々にとって、マインドフルコンテンツへのエントリポイントになると考えている。また、Calmは最近、最大6つのアカウントを含む「プレミアムファミリー」サブスクリプションプランを新たに導入した。この新しいサービスは全世界で年間99.99ドル(約1万1500)円で提供されており、個人向けのプレミアムプランは年間69.99ドル(国内価格6500円)だ。

Calmは、他の瞑想アプリとともに進行中のパンデミックの中で健闘し、ユーザー数が急増している。同社はこれまでに1億件以上のダウンロードを誇り、毎日平均10万人の新規ユーザーを獲得しているという。2020年12月、CalmはシリーズCラウンドで7500万ドル(約86億4000万円)を調達し、同社の評価額を20億ドル(約2304億円)に押し上げた。既存投資家のLightspeed Venture Partnersが同ラウンドをリードした。

画像クレジット:Calm

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

スムージーやスティックで野菜や果物が摂れるKenckoが約11.4億円調達

植物由来でミキサーを使わないスムージーを提供するKencko(ケンコー)が、新しいカテゴリーに進出するために1000万ドル(約11億4000万円)の資金をシリーズAで調達した。

今回のラウンドは、既存の投資家であるSiddhi Capitalが主導し、Next View Ventures、Riverside Ventures、Silas Capital、Cheyenne Ventures、Shilling Capital、Indico Capital、Mission Point、Gather Ventures、Nextblue Venturesなど、既存および新規の投資家が参加した。今回の投資により、Kenckoの資金調達総額は1350万ドル(約15億4000万円)を超えた。

TechCrunchがKencko(日本語で「健康」を意味する)を最後に取り上げたのは、同社が340万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施した2019年のことだった。当時、同社は6種類のフレーバーのフルーツドリンクを販売しており、さらに2つの新商品を発売する準備をしていた。

現在は、オーガニックスムージーには10数種類のフレーバー、ガムドロップには4種類のフレーバーを用意している。フリーズドライ技術により、1食分のグミキャンディのようなスティックで2.5食分の野菜と果物を摂取することができる。精製された砂糖や甘味料、人工的な素材は一切使用していない。

Kenckoは、2030年までには70億ドル(約7971億6000万円)の規模になるといわれる競争の激しい世界の健康 / ウェルネス市場の中で、独自のニッチな位置を占めている。他の企業もベンチャーキャピタルを引きつけているが、例えば毎日の栄養補給を目的とした粉末飲料AG1を開発したAthletic Greens(アスレチック・グリーンズ)は、米国時間1月25日に1億1500万ドル(約131億円)の新たな資金調達を発表し、プレマネー評価額を12億ドル(約1366億6000万円)に引き上げた。

今回の投資のニュースとともに、Kenckoは2月下旬に発売される最新のボウル型加熱式製品を発表した。

共同創業者でCEOのトマス・フローズ氏(画像クレジット:Kencko)

Kenckoは、そのままでは廃棄されてしまう野菜や果物を転用することにも力を入れており、2021年1年間で1000万本以上のフリーズドライのスムージーを出荷することができたが、同社によればこれは約660トンの生鮮食品に相当するそうだ。また、2022年には完全なカーボンニュートラルを目指している。

共同創業者でCEOのTomás Froes(トマス・フローズ)氏は、TechCrunchにメールで、創業からわずか3年で年平均500%以上の成長を遂げていると語った。2021年末のKenckoの会員数は約36万人で、2020年比で173%の伸びを示している。

フローズ氏は、新たな資金を、Kenckoのサプライチェーンおよび自社製造の拡大・最適化に投入したいと考えている。社員数はちょうど100名を超えたところで、今後12カ月間でチームを倍にする予定だ。

フローズ氏は「今回の増資によって、会員の方々にとって手間のかからない栄養補給の機会である『Kencko moments』を増やすことができるでしょう」と付け加えた。「私たちは、より多くの人々が日々の果物や野菜の摂取量を増やすことで、より健康的な生活へと移行できるよう、今後も努力していきます。私たちはエキサイティングな新製品を数多く開発しており、2022年中には実店舗での販売を開始できたらと思っています」。

画像クレジット:Kencko

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Headspace HealthがAIを活用したメンタルヘルス・ウェルネス企業Sayanaを買収

Headspace Health(ヘッドスペース・ヘルス)は、AIを活用したメンタルヘルスとウェルネスの企業であるSayana(サヤナ)を非公開の金額で買収した。Headspace Healthは、サンフランシスコに拠点を置く同社を買収することで、ユーザーにパーソナライズされたセルフケアを提供する能力を拡大するとしている。今回の買収は、HeadspaceとGinger(ジンジャー)が2021年合併し、評価額30億ドル(約3440億円)のHeadspace Healthが設立されたことによるものだ。この合併により、Gingerのセラピーとコーチングサービス、Headspaceのマインドフルネスと瞑想のサービスが一緒になった。

2018年に設立され、2020年にY Combinator(Yコンビネーター)の支援を受けたSayanaは、ユーザーに自分の気分を追跡するよう促すAIによるチャットベースのセッションを活用している。このアプリは、気分の傾向に基づいてユーザーの体験をパーソナライズし、セルフケアや呼吸法を提案してくれる。同社の睡眠アプリは、ユーザーの気分と睡眠パターンに基づいて安眠セッションを支援する。

Headspace HealthのRussel Glass(ラッセル・グラス)CEOはTechCrunchの取材に対し、Headspace Healthがその中核機能をHeadspaceとGingerの体験に統合する間、Sayanaのアプリは一定期間稼働し続けることになると語った。統合が完了したら、同社はSayanaを別の体験として切り離し、ユーザーをHeadspace Healthに移行させる予定だ。

「Sayanaはユニークで、メンバー主導の体験を作り出しました。私たちがやろうとしていることの将来を考えると、それは、人がメンタルヘルスのどの状態にあるかにかかわらず、連続するケア全体を完全にサポートできる世界というHeadspace Healthのビジョンに最高にフィットします」と、グラス氏は述べた。「私たちがパンデミックの間に見たことの1つは、いかに多くの人々がサポートを必要とし続けているかということです。私たちは、メンタルヘルスの連続体の一部を自動化し、ニーズを持つ人々にパーソナライズされたセルフケアコンテンツを提供できるようにする必要があり、この買収は非常にエキサイティングです」。

Headspace Healthは、AIとデータサイエンスに裏打ちされた1つのプラットフォームから、予防から臨床ケアに至るまで、メンタルヘルスの手助けを提供する統合的な体験の創造に注力している。同社は、Sayanaを加えることで、ユーザーのチェックインベースのヘルプやサービスを提供し、体験をパーソナライズする機能を進化させる予定だ。

画像クレジット:Headspace Health

グラス氏は、HeadspaceとGingerはすでにAIを活用して、行動医学コーチ、セラピスト、精神科医のチームをサポートし、ユーザーとの質の高い対話、サービスの包括的な追跡、ケアプロバイダー間の緊密な連携を実現していると述べている。また、堅牢なチャットボット体験を通じて、完全に自動化された方法でユーザーのニーズを理解するSayanaの機能を追加することで、体験を進化させ、よりパーソナライズされた効果的なケアを提供できると説明している。

買収の一環として、Sayanaの創業者兼CEOのSergey Fayfer(セルゲイ・フェイファー)氏はHeadspace Healthに入社し、社内でプロダクトリーダーとしての役割を担っている。

フェイファー氏は「創業以来、Sayanaは、ポケットに入る、誰もが利用しやすいセルフケアを提供することを使命としてきました。私たちの技術、エンジニアリング、デザインの専門知識を結集し、高品質で安価なメンタルヘルスケアを世界中に普及させるというHeadspace Healthの取り組みを支援できることをうれしく思っています」と声明で語った。

将来について、グラス氏は、Headspace Healthは、メンタルヘルスのケアのニーズの高まりに対応するために、拡大を続ける計画であると述べている。同社の目標は、ケアにかかるコストを可能な限り削減することで、最もアクセスしやすく、包括的なプラットフォームにすることだ。Headspace Healthは、ケアの質をできるだけ高く保ちつつ、ケアにかかるコストを確実に削減できるよう、イノベーションを続けていくと説明した。同氏は、そのためには、非有機的な成長戦略と有機的な成長戦略の両方を考えるという点で、同社は積極的であることが必要だと指摘した。

「私たちは、今後も雇用者の動向を注視していくつもりです。新しい医療保険制度やプロバイダーとの提携を発表し続け、今後数カ月のうちにいくつも発表する予定です」とグラス氏は述べている。「私たちは、拡大する分野として、引き続き青少年に焦点を当てます。これからも革新的な取り組みを続けていきます。研究開発に多くの費用を費やしていますし、Sayanaのようなプラットフォームを追加する機会を見て、買収を続けていくつもりです」。

画像クレジット:Headspace Health

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

リラックス効果を3倍にしてくれるガジェットMorphéeの「Zen」、約9250円

ジャーナリストであり投資家でもある筆者は、単一製品のみの超ニッチな企業には常に少々疑問を感じている。うまくいかないことがたくさんあるし、消費者直接取引ブランドがうまくいく方法の1つは、顧客にクロスセルする(関連製品を売り込める)力を持つことだからだ。

Morphée(モーフィー)はそんなブランドの1つだった。同社がはじめて発売したのは、率直にいって滑稽なほど過剰なデザインの(しかし驚くほど美しい)99ドル(約1万1500円)の非デジタルの睡眠・瞑想用製品だった。その後、子ども向けの製品を追加した同社は、さらに今回のCESで「Morphée Zen(モーフィー・ゼン)」と呼ばれる新製品を発表した。これは、小さな丸い石のような旅行向けのリラクゼーション機器だ。

同社が「リラクゼーション・ペブル」と表現するMorphée Zenは、まさに小石のように見える超ポータブルなデバイスで、心を落ち着かせる音や音楽、音声によるセラピーなど、メンタルウェルネスのトレーニングや睡眠のために特化したリラクゼーションセッションを受ける(聴く)ことができる。ダイナミックリラクゼーション、ディープリラクゼーションなど、6つのテーマに基づく72の音声セッションの中には、自然音やリラックスできる音楽の他、心拍数をより管理しやすい状態にするための2分間の「インスタント・リリーフ」セッションも用意されている。

もちろん、ここでの本当の問題は、Morphéeがブランドをほんの少しだけ拡大し過ぎているのではないかということだ。確かに「My Little Morphée(マイ・リトル・モーフィー)」を与えて子どもたちからスマートフォンを遠ざけることには意味があるかもしれないし、オリジナルのMorphéeは、瞑想装置であると同時に芸術品でもある。

しかし、年間69.99ドル(約8090円)で「Calm(カーム)」のような瞑想アプリを利用でき、Spotify(スポティファイ)やYouTube(ユーチューブ)など、想像できる限りのあらゆる場所で瞑想や睡眠導入音、集中力を高めるための音楽などが、ほぼ無限に提供されているこの世界では、Morphée Zenはあまり意味をなさないのではないかと私には思える。純粋なソフトウェアソリューションで基本的には同じことができるのに、遅かれ早かれどこかの埋め立て地に行き着くであろう製品を、我々は本当に必要としているだろうか?

この製品は2022年第3四半期に発売予定で、価格は79.99ドル(約9250円)となっている。


画像クレジット:Morphée

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【TC Tokyo 2021レポート】自分をさらけ出す起業なので、肝はすわっている―ILLUMINATEハヤカワ五味氏・mederi坂梨氏にフェムテックを聞く

【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテック

TechCrunch Japanは、12月2、3日に日本最大級のスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2021」をオンラインで開催した。その1日目にあたる12月2日では「フェムテック」(FemTech)セッションを設け、ILLUMINATE(イルミネート)のハヤカワ五味氏、mederi(メデリ)の坂梨亜里咲氏登壇のもと、フェムテックとはどういったものなのか、また各社のサービスについて紹介した。モデレーターは、TechCrunch Japanのライター・イベント担当およびN.FIELD代表の野中瑛里子氏。

ハヤカワ五味氏(ILLUMINATE代表取締役社長)

【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテックILLUMINATE代表取締役社長のハヤカワ五味氏は、多摩美術大学在学中にランジェリーブランド「feast」やワンピースブランド「ダブルチャカ」などを立ち上げ、Eコマースを主に販売。2019年には、生理から選択を考えるプロジェクト「ILLUMINATE」を立ち上げ、活動を続けている。

ILLUMINATEでは、女性向けヘルスケアブランドの企画・販売を手がけている。「女性の身体」や「女性のライフスタイル」に徹底的に向き合ったサプリメント「チケットサプリ」を展開しており、鉄分など女性が多く摂取する必要がある栄養素、あるいは不足しがちな栄養素をとれるという。また、デリケートゾーンソープ「NODOKA」を展開している。

ハヤカワ五味氏によると、ILLUMINATEが意識しているのは「どれだけ意義がある商品であっても、おしゃれだったりかわいかったりなど、普段から家・部屋に置きやすいデザインでないと使ってもらえないこと」という。特にサプリメントは継続して使ってもらうのが難しい商品であるため、その点を大事にしているそうだ。NODOKAについては、女性自身にまず自分の体のことを知ってもらい、自分の体を大切にしてもらうことを目的とした製品としている。

坂梨亜里咲氏(mederi代表取締役)

【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテックmederi代表取締役の坂梨亜里咲氏は、明治大学卒業後、ECコンサルティング会社にてマーケティングおよびECオペレーションを担当。女性向けウェブメディアのディレクター、COO、代表取締役を経験した後に、自らの4年に渡る不妊治療経験からMEDERIを設立した。「生みたいときに生める社会にしたい」との考えから、起業を決意した。

mederiは、自宅でできるもっとも身近な妊娠準備をコンセプトにプロダクトを展開。その1つ目が、妊娠・出産を望む女性向けのウーマンウェルネスブランド「Ubu」における、膣内フローラチェックキット「Ubu Check Kit」やサプリメント「Ubu Supplement」などだ。Ubuは、坂梨氏の不妊治療経験から生まれたブランドで、「普段利用していたサプリメントやこんなチェックキットがあったらいいな」と考えたものを手がけている。2つ目は、ピルについてオンライン上で産婦人科医の診療を受けられるというマッチングサービス「mederi Pill」だ。

坂梨氏も、デザインに関して海外のプロダクトを参考にしており、妊活というカテゴリーの中でもできるだけ重々しくならないように、また女性が少しでもハッピーな気持ちになれるようにこだっているという。「ユーザーの利用シーンに自然に溶け込めるプロダクト作りを心がけている」としていた。

mederi Pillは、オンラインで相談できることから、仕事で忙しく病院に行くなどなかなか相談できる時間をとれない、緊張してしまい病院に行くモチベーションがわかないという女性に評価されているそうだ。また地方では、産婦人科に行くだけで噂の元となるといったペイン(課題)がいまだにあり、それが産婦人科医のオンライン相談により解消されるという側面もある。

安定期に入ってしっかり定着してきた

昨今は「フェムテック」という言葉について聞くようになったものの、改めてここで、どういった広がり方をしているのか、どのようなソリューションが展開されているのか尋ねてみた。

「個人には、1~2年くらい前に特に盛り上がっていて、今は安定期に入ってしっかり定着してきた印象がある。海外では5年程度前には一般的に聞くようになったので、その辺りはギャップがある」(ハヤカワ五味氏)。

低用量ピルなどでも、例えばアメリカでは水泳など女性アスリートが利用するなど普及が進んでいる。

「そもそも低容量ピルでいうと、日本ではようやく1990年代終わり頃に認可された(アメリカは1960年代)。日本ではピル自体が約20年の歴史しかなく、親の世代からは大丈夫なの?と心配される。その意味では、フェムテックも歴史が浅くなりやすい」(ハヤカワ五味氏)

フェムテックの勃興が早かった国については、同氏は性教育との関連を挙げた。「性教育が早い国・しっかりしている国は、ニアリーイコールでフェムテックが盛り上がりやすいかなという側面がある。アメリカ、北欧、ニュージーランドなどは性教育が充実していて、結果的にフェムテックへのなじみがあるようだ」(ハヤカワ五味氏)。

自分自身の原体験から起業した、20~30代の女性起業家が多い

また坂梨氏は、フェムテックについて知ったのは2019年という。「不妊治療の経験をきっかけに、どんなジャンルがあるのかと調べていたら、フェムテックや様々な企業が存在することを知ってワクワクした」(坂梨氏)。国内についての盛り上がりについては、ハヤカワ五味氏同様2019年、2020年と指摘した。

国内については、「ウェルネスや月経に関するプロダクトが多い」(坂梨氏)という。この辺りは、国外との違いとして挙げられるようだ。生理が重い、不妊治療や更年期に向き合っているなどの経験があるなど「起業家も、20~40代の原体験がある女性が多い」(坂梨氏)としていた。

「更年期系に関していうと層が薄めで、起業家の人数がまだまだ少ない。起業家自身の原体験からの起業なので、ボリュームとしては20~30代の起業家が多くなっている。結果的に生理系が多くなりやすく、妊活系などもそこまで起業家はいない」(ハヤカワ五味氏)。ユーザーとしては妊娠や更年期を経験している人口が多く、ビジネスとしてはこの層を対象とした方がいいのだが、起業の原体験に基づく場合が多いので、現状では生理系のプロダクトやサービスが増えているそうだ。また早い段階で女性の課題に向き合うスタートアップが増えていくことで、「おそらく今後は、様々なプレイヤーが出てくる」(ハヤカワ五味氏)と見ているという。

一方坂梨氏は、「私自身は、早発閉経という症状で不妊になっていて、ホルモン治療を行っている。他の人よりも早く更年期を迎えると言われていて、最近は、30代で更年期に関するサービスやプロダクトを構築できるかなと考えている」としていた。

不妊治療経験から起業、自分をさらけ出す形なので肝はすわっている

原体験という話題が出たところで尋ねていたのが、坂梨氏とハヤカワ五味氏の起業のきっかけや苦労した点だ。

坂梨氏は、すでに触れたように自身の不妊治療経験から起業している。また、「女性だからということで、起業の点で苦労したことはあまりない」(坂梨氏)という。「自分のウィークポイントをさらけ出す形での起業なので、肝がすわっている方なのだと思う。ただ、BtoCのプロダクトを作っていて、どうしても投資フェーズが長くなるビジネスモデルなので、資金調達をずっと行っている初年度となり肉体的には疲れた」(坂梨氏)。

フェムテックというと、プロダクトのピッチを行う際に、女性ならではの課題(ペイン)を男性の投資家に理解してもらうのは難しそうだが、そうとも限らないという。「妊活領域では、男性の投資家でも、友人や家族などの声や男性としての経験があって、わかりやすかったようだ。不妊の原因が男性に由来することがあり、男性の投資家に共感してもらうことも多かった」(坂梨氏)。さらに「その点では、妊活領域については、女性向けだけでなく男性向け商材のアプローチも考えている」(坂梨氏)と明かしたていた。【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテック

女性には自分自身をもっと知ってもらいたい、知ることが力になる

ハヤカワ五味氏は、周囲の女性の苦労に気が付いたことがきっかけという。「私は当事者ではなく、2004年から経営している会社(ランジェリーブランドのfeast)で課題があって、それが原体験になっている。女性向け下着をプロダクトとして扱っているので、ほとんどのスタッフが女性という状態だった。そんな中で、毎月同じタイミングで休む方がいる場合に、もしかして生理が重いのかなと思って尋ねてしまうとセクハラになってしまう。スタッフ側としても、同じ女性であっても上司には話しにくい。そこに課題、問題を感じた」(ハヤカワ五味氏)。

そこからさらに、「生理用品を紙袋に入れないといけないよねという風潮や、生理痛が重いけれど産婦人科に行っていない子がいるなど、いろんな課題を見つけるようになった。それが自分にとって糧や力になって、起業してやっていこう」(ハヤカワ五味氏)と思ったという。

「私自身は、生理や女性ホルモンなどで悩んだ経験があるわけではない。多少話題からずれるが、子宮頸がんの検査で引っかかったことがあって、これは病院に検査に行ったからこそ気付けたと考えている。そういった意味で、女性には、自分自身のことをもっと知ってもらいたい、知ることが力になると思う。そこが原体験としてある」(ハヤカワ五味氏)。

女性向けの検査が、「ブライダルチェック」など結婚後を前提にしたイメージに偏ってしまっている

フェムテックという話題からやや離れてしまうが、子宮頸がんワクチンについても触れていた。子宮頸がんワクチンは十分な周知がなされなかったため、接種している女性は少ない。「私くらいの世代で子宮頸がんワクチンを無料接種できるようになったものの、副作用の話がすごくフォーカスされてしまい、現在に至るまでほとんど接種されていないという状況が続いていた。しかし最近、周知に関する状況は変わってきた。子宮頸がんは20代でもかかってしまう身近ながんなので、女性はもっと恐れた方がいい」(ハヤカワ五味氏)。

一般に、がんは「がん化」してから発覚するのだが、子宮頸がんの場合は「がん化」する前に発見できる例は少なくない(子宮頸がんは、「がん化」前の状態を経過してからがんになる)。「現在であれば、子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染をチェックできるキットもある」(ハヤカワ五味氏)。そういったキットの広まりも含め、「一般的な健康診断にも女性特有の検査をオプションとせずにまとめて扱うようにしてほしい。卵巣や不妊治療に関する検査なども行って、早い段階で知ることができるようにしてほしい」(ハヤカワ五味氏)。

「現在では、女性対象の様々な検査が『ブライダルチェック』など結婚後のものとイメージさせてしまう言葉の形で、浸透してしまっている。言葉を換えて、妊娠や不妊の可能性を含めて、早い段階で女性が自分自身のポテンシャルを把握できるようにすることが重要だと思う」(坂梨氏)。

「事業をやっていて感じるのは、我慢しなければならないという風潮が強いこと。例えば、小中学生の際に生理でもプールに入るように言われたり、自分だけが痛がっているだけかもしれないと思って我慢したりなどがある。フェムテックは、実はそんな我慢は必要ないものと知らせる、『実は、あなたは大変なことになっているよ』と女性自身に気づいてもらうきっかけになるプロダクトが多いと思う」(ハヤカワ五味氏)。【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテック

また現在20~30代女性の場合、母親世代などからそんなことは言わないもの、男性に生理などについて相談しないものという価値観を示されやすく、相談相手がなかなかいない。「産婦人科にかかるタイミングや重要性なども自分では気づけない、家族にそんな女性がいても気づけないことはあるので、もう少しオープンに話せる場があるといい」(坂梨氏)。

「海外の事例では、D2Cブランドがクリニックを展開する、クリニックがアプリと連動するなど、オンラインとオフラインをシームレスに展開している事業もある。例えば、気楽にオンラインで相談できて、実際の検査は現場に行くなど、いろいろな選択肢がで出てきている」(ハヤカワ五味氏)。

「私が感銘を受けた海外企業に、テレヘルス(Telehealth。非臨床的なサービスを含む遠隔医療)を手がけるHims & Hers Health(ヒムズ・アンド・ハーズ・ヘルス)がある(男性向けのHimsと女性向けのHersを展開)。男性のAGA(男性型脱毛症)やED、女性のピルを含めて、おしゃれなパッケージと世界観を展開している。自分の体やヘルスケアについて気遣うことがおしゃれなこと、ライフスタイルの一部になるようなブランド作りをしていきたい」(坂梨氏)。

フェムテックは女性だけのものではなく、もっと色々な方が関わってくれる業界になってほしい

最後にハヤカワ五味氏と坂梨氏にそれぞれ尋ねていたのが、事業を通じて作っていきたい世界像、理想だ。

ハヤカワ五味氏は、「ブランド名としている『ILLUMINATE』には、『照らす』『明示する』といった意味がある。弊社としては、女性の選択肢、ひいては男性も含めすべての人の選択肢が照らされているような状態を作りたい。知識があるから気付けるし、その気付いたものを得られる商品・状態を作りたい。広く女性自身が障壁を感じずにすむ世界になっていくといいと思う。その先に、男性やほかのジェンダーの方の幸せも待っているのかなと思う」という。

ILLUMINATEのスタッフの半分程度は男性で、「自分自身に体験がないからこそ、周囲の女性の体験を聞くなどヒヤリングを基に意見を出している」(ハヤカワ五味氏)という。それら意見も製品に反映しており、「フェムテックは、女性だけのビジネスではないことが伝わったらいい」としていた。「商品自体の『ゼロイチ』の部分は私が責任を持つにしても、「この商品の設計は、僕でも続けない」などの意見があったりするなど、男性スタッフにも体験・UXを自分事として考えてもらっている」(ハヤカワ五味氏)。フェムテックがより魅力のある市場になることで、男女問わず様々な人がそれぞれの事業を志望するようになると見ているという。

「フェムテックというと敷居が高い、女性だけのものというイメージがあるものの、(この領域の企業では)実際には男性やそれ以外のジェンダーも働いている。フェムテックは女性だけのものではなく、もっと色々な方が関わってくれる業界になってほしいと考えている。興味がある方は、ぜひ様々な事業をチェックしてもらえるとうれしい」(ハヤカワ五味氏)。

男女ともに支え合っていける、ユニセックスで使えるプロダクトも作りたい

坂梨氏は、「『mederi』という社名は『愛でる』という言葉が由来で、もっと「愛でり合う(愛で合う)」社会にしていきたい」という。「男女で性差はあるものの、お互いの良さや足りない部分を受け入れて補い合っていくといい」としていた。「今はフェムテックという領域で展開しているが、mederiとしては、男性も視野に入れた商品展開も行っていきたい。男女ともに支え合っていける、ユニセックスで使えるプロダクトも作りたいと考えている」(坂梨氏)。ジェンダーを問わず対象とする方向性から、「ヒューマンテック」(坂梨氏)ととらえているそうだ。「女性を軸に、男性もお子さんも関わりがあることなので、様々なコミュニティに浸透するようなサービスを展開していけるといいなと思う」(坂梨氏)。

「女性が幸せなら男性も幸せだし、男性が幸せなら女性も幸せという思いから、フェムテック領域でサービスを展開している。今後は、toCだけではなく、toBの福利厚生として、男女とも等しく展開できるようなオンライン診療を用いたパッケージなども展開したい。多くの人が自分事にできるようなサービスにしたいので、注目してほしい」(坂梨氏)。

TikTokは「レコメンド」フィード多様化のため避けたいトピックを選択可能にする予定

TikTok(ティックトック)は米国時間12月6日、アルゴリズムによるオススメを活用した短編動画アプリのメインフィードである「For You」フィードに、新しいアプローチをとることを発表した。同社はすでに、アプリ内でのユーザーのエンゲージメントパターンに基づいて動画を提案するアルゴリズムの仕組みを詳しく説明しているが、特定のコンテンツカテゴリーがたくさん提案されることが「問題」になる可能性を認めている。同社は現在、アプリ上の「繰り返しパターン」を中断させるための新技術の実装に取り組んでおり、また、避けたいトピックを選ばせることで、その問題についてユーザーが発言できるようなツールの開発も進めているという。

関連記事:TikTokが「レコメンド」フィードの仕組みを公開、イメージアップ作戦か

同社は発表の中で「動物であれ、フィットネスのヒントであれ、個人のウェルビーングの旅であれ、何かが多すぎるのは、我々が目指す多様な発見体験にそぐいません」と、説明している。しかし、TikTokがアルゴリズムを多様化するのは、人々があまりにも多くのかわいい子犬の動画を見ることに不満を抱いているからではなく、規制当局がテックを取り締まり、特に10代のメンタルヘルスに関して、チェックされていない推薦アルゴリズムが及ぼす有害な影響に疑問を抱いているからである。

Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)の幹部は、他のソーシャルプラットフォームの幹部とともに、議会に呼び出され、どのように彼らのアプリが、例えば拒食症よりなものや摂食障害に関するものなどの危険なコンテンツにユーザーを誘導してきたことについて質問された。

TikTokは、発表の中で「極端なダイエットやフィットネス」「悲しみ」「別れ」をテーマにしたものなど、過度に視聴すると有害となりうる動画の種類に触れている。このような動画に興味を示すユーザーは、おもしろいと感じるかもしれないが、同じような動画をユーザーに繰り返し見せることで、害を及ぼす可能性があることを理解するほどアルゴリズムはまだ賢くはない。もちろん、この問題はTikTokに限ったことではない。自動化された手段によってユーザーのエンゲージメントを高めることだけを目的としたシステムが、ユーザーのメンタルヘルスを犠牲にしていることは、あらゆる面で明らかになりつつある。議会は現在、こうしたシステムが若者にどのような影響を与えるかに最も関心を寄せているが、議論の余地はあるものの、いくつかの研究では、チェックされていない推薦アルゴリズムが、過激な意見に引き込まれかねないユーザーの過激化に一役買う可能性も指摘されている。

TikTokは、ユーザーがこうした有害となりうる種類の動画を視聴し、反応した際に、一連の類似コンテンツを推薦しないための新しい方法もテストするとしている。しかし、制限する動画の種類の例を示しただけで、完全なリストではない。

さらに同社は、ユーザーの「レコメンド」ページがあまり多様でない場合に、それを認識できるようにする技術を開発中であると述べている。ユーザーは実際にTikTokのポリシーに違反する動画を見ていないかもしれないが、同社は「孤独や減量に関するコンテンツなど、非常に限られた種類のコンテンツを見ることは、それがそのユーザーの見るものの大半であれば、マイナスの影響を与える可能性がある」と、述べている。

TikTokが展開する予定のもう1つの戦略には、人々が自らアルゴリズムを指示できるようにする新機能が含まれている。この機能を使えば「レコメンド」フィードで見たくないコンテンツに関連する単語やハッシュタグを選ぶことができるようになる。これは、例えば「Not Interested(興味ありません)」をタップして、気に入らないビデオにフラグを立てることができるTikTokの既存のツールへの追加となる。

はっきりいうと、本日のTikTokの発表は、あくまで計画のロードマップを示すものであり、実際にそのような変更や機能を開始するものではない。その代わりに、同社のアプリとその潜在的な有害作用に関する規制当局のさらなる調査を食い止めようとするものだ。この戦略は、同社自身の議会公聴会とライバルの公聴会の両方で問われた質問によって影響されたと思われる。

TikTokは、実際の導入には時間がかかり、物事がうまくいくまでに繰り返しが必要になると指摘している。

「私たちのシステムが多様な推薦を行うことができるよう、今後も検討を続けていきます」と、同社は述べている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

難聴ケアを身近なヘッドフォンやテレビで、Mimiが聴覚ウェルネスプラットフォームのボリュームを上げる

TechCrunch Battlefield NY 2014の最終選考に残ったMimi Hearing Technologiesは、シリーズBラウンドで2500万ドル(約28億5000万円)を調達し、聴覚の健康というミッションを世界中の耳に囁き続けている。同社は最近、Skullcandy(スカルキャンディー)、Cleer(クレール)、Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)との一連の注目すべきパートナーシップを発表し、MIG CapitalATHOSからの新たな資金注入により、さらに前進しようとしている。

関連記事:オーディオを「パーソナライズ」するMimi、Skullcandyなどの本技術搭載ヘッドフォンを徹底検証

Mimiの創業者の1人で、同社の研究開発を率いるNick Clark(ニック・クラーク)氏は、しばらく前に私にこう語った。「聴覚障害だけでなく、より幅広いことに対応できるソフトウェアベースのソリューションの可能性は大いにあります。ユーザーの聴力の違いによって、より多くの人々に役立つ微妙なことを始められます」。

Mimiは、毎月約5万人が聴力検査をするのに使う、最も人気のある家庭用聴力検査アプリの1つだ。同社は、同じ技術をSDKとしてヘッドフォンメーカーに提供した。それにより、同アプリはユーザーの聴覚プロファイルを利用して、聴力に合わせてカスタマイズされた音声出力を実現できる。つまり、難聴と思われる部分を補うため、音量を上げなくてもよく聞こえるようにすることが可能なのだ。これにより、さらなる難聴を防ぐことができるという理論だ。

「例えばSkullcandyのヘッドフォンを購入し、アプリをダウンロードすると、そこで自分のプロフィールを作成することができます」と、Mimiの創設者兼CEOであるPhilipp Skribanowitz(フィリップ・スクリバノヴィッツ)氏は説明する。「このプロフィールは、他のパートナーとも互換性があり、他でも使うことができます。Philips(フィリップス)のテレビでのテストも開発しましたので、その場合ソファーに座ってテレビでテストできます」。

今回の資金は、同社の技術へのさらなる投資、特にヘッドフォンやテレビとの統合を通じた提供の拡大に充てられる。また、米国とアジアでの販売・マーケティング業務の拡大も強化する予定だ。

「シリーズBコンソーシアムの主要投資家であるMIG、ATHOS、Salviaは、2020年、NASDAQに上場しているドイツのバイオテック企業であり、Pfizer(ファイザー)と共同で最初の新型コロナウイルスワクチンを開発し、現在約700億ドル(約7兆9840億円)の評価を受けているBioNTech(バイオンテック)の設立投資家として国際的に注目されました」と、MimiのMoritz Bratzke(モーリッツ・ブラッツケ)CFOは指摘する。「彼らのMimiへの投資は、ドイツのベンチャーキャピタル環境の深さと幅だけでなく、Mimiのビジョンの重要性と多大な商業的可能性を示すもう1つの証といえます」。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

現実世界への影響とポジティブな変化に焦点を当てたソーシャルアプリ「Alms」

多くのスタートアップが、より良いソーシャルアプリとはどのようなものかを試行錯誤している。Alms(アルムス)というスタートアップの場合、その答えは、個人の成長や持続可能性など、ポジティブな影響を与えるクリエイター主導のチャレンジに参加することで、ユーザーのウェルビーイングに焦点を当てるソーシャルネットワークだ。他のソーシャルアプリのように「いいね!」を集めるのではなく、Almsはチャレンジと、それにともなう具体的なステップや行動を通じて、現実世界での活動を促すことを目指している。

Almsの創業者、Alexander Nevedovsky(アレクサンダー・ネヴェドフスキー)氏は、アプリを利用するとき、ユーザーがより幸せで有意義な人生を送れるようなものにすることを目指している。それは、現代のソーシャルプラットフォームでは約束できないことだ。

このプロジェクトは、2020年のパンデミック初期に始まったとネヴェドフスキー氏は話す。

「私たちの多くは、友人や家族にあまり会えず、家で落ち込んだり悲しんだりしていました。世界は、単なる瞑想や日記、気分のトラッキングを超えた何かを本当に必要としていると感じました。そうしたアプリやテクニックはどれもすばらしいものですが、現実の世界でやり取りしながら日々の生活を改善するためのものではありません」。

しかし、2020年リリースされたAlmsのオリジナルバージョンには、アプリを「粘着質なもの」にするための何かが欠けていた。ユーザーは、コンセプトが気に入って登録しても、ある時点で脱落し、アクティビティに参加しなくなってしまう。Almsは、ユーザーを自分の旅に結びつけるための何かが必要だと考え、現在ではよりソーシャルなコミュニティへと移行している。

画像クレジット Alms

まず、新デザインのAlmsアプリを起動すると、簡単なオンボーディングプロセスを経て「個人の成長」「持続可能性」「インパクト」という3つの主要なトピックエリアから興味のあるものを選択する。例えば「個人の成長」には、メンタルヘルス、ウェルネス、スピリチュアリティ、人間関係などが含まれている。「持続可能性」では、環境や自然に関連した関心事を取り上げる。そして「インパクト」には、アクティビズム、ボランティア活動、地域コミュニティなどが含まれる。

設定が完了したら、チャレンジを投稿しているクリエイターをフォローしたり、個々のチャレンジに参加することができる。それぞれのチャレンジには、完全にクリアするために必要な一連のステップが設定されている。例えば、在宅ワークのライフスタイルを改善するためのチャレンジでは、ワークスペースやワークライフバランスを改善するためのステップ(休憩時間を設けたり、休みを挟んだりするなど)や、日常のルーティーンに身体活動を取り入れることなど、具体的な行動が示される。

チャレンジに参加して各ステップをクリアしてチェックを入れると、そのステップに関するストーリーをそのチャレンジのフィードに投稿するよう促される。他の人に刺激を与えることができ、励ましのコメントが付けられることもある。しかし「いいね!」やコメントを集めることがAlmsの目的ではないとネヴェドフスキー氏はいう。

「私たちは、個人の成長、持続可能性、さまざまな種類のインパクトなど、これらのテーマに精通した多くの人々が、基本的に私たちと一緒にそのインパクトを拡大しようとすることに大きな可能性を感じています。私たちは、彼らの知識やコンテンツをすべて拡張可能な方法で提供し、人々がそれを気に入ったり、コメントしたりするのではなく、実際にそれを繰り返してみることができるようにしています」。

Almsでは現在、約30人のクリエイターがアプリ上でチャレンジ形式でコンテンツを共有しており、さらに15人のクリエイターが参加を予定している。今後数カ月のうちに数百人に拡大したいと同社は考えている。これまでのところ、アプリの新バージョンは数千人のユーザーを引きつけている。

画像クレジット:Alms

このアプリでの多くのチャレンジには数百人のユーザーが参加し、クリックして参加すると、より大きなイベントに参加しているという感覚がある。ただし、筆者は個人的には、ストーリーの投稿とフィードへの共有が任意であることが望ましいと考える。すべてのステップが独自の投稿に値するわけではないと感じているからだ(また、完了した些細なステップについて何もいうことがない場合もあり、あまり役に立たない投稿でフィードを混乱させてしまったように感じることもある)。

Almsは、Flo.Health、Simple Fasting、Zing Fitness Coachなどのアプリを提供するスタートアップスタジオPaltaと共同で設立された。PaltaはAlmsの株式の過半数を所有しており、その他外部からの投資はない。14人のチームが遠隔地に分散してAlmsのアプリを開発しているが、現在は収益をあげていない。

ネヴェドフスキー氏によると、チームは何らかのトークンベースの経済や、現実世界の報酬を伝えるDAOを追加することを検討しているという。例えば、Almsのガバナンスに参加できたり、クリエイターファンドに参加できたりといったものだ。このトークンは、少なくとも短期的には取引できない。同社は、アプリ内チップのような、よりシンプルなアイデアも検討するかもしれない。しかし、Almsは現時点では製品と市場の適合性や、ユーザーベースの拡大に取り組んでいるため、まだ何も決まっていない。

全体的に、Almsはソーシャルアプリでの時間の使い方にもっと気を配り、影響を与えたいと思っている人や、より具体的な方向性を持ったインスピレーションを求めている人にアピールできそうだ。

「人は多くの場合、実際に影響を与えることなく、将来起こることに期待を寄せていると思います。ですので、自分が何を共有し、何を推奨しているかを知っている人たちから、アイデアやインスピレーションを得られるアプリがあると、とても助かると思います。特にサポートに関してはそうです」とネヴェドフスキー氏は指摘する。「(Almsの人々は)実際に気にかけてくれています」。

このアプリはよくできており、魅力的なデザインだ。しかし、今日のモバイルデバイスにおけるスクリーンタイムの競争を考えると、新しいソーシャル要素にもかかわらず、ユーザーが脱落してしまうという当初の問題に直面する可能性がある。

Almsは当面、iOS版のみの展開で、無料でダウンロードできる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

メンタルヘルス分野のビジネスに科学と健全さをもたらすWave

子どもたちは大丈夫ではない。Wave(ウェーブ)の創設者によると、Z世代の75%が心の健康に悩んでいるそうだ。はっきり言って、彼らのすべてが診断可能な精神疾患の基準を満たしているわけではないのだが、彼らは固い握手と「がんばれ、息子よ」という言葉以上のものを必要としているのだ。若年層が利用できるツールやテクニックを提供するために、包括性を第一に考えたアプローチをとるデジタルプラットフォームで、Waveが主に狙っているのはこの市場だ。

このアプリは、2022年初めに一般ユーザー向けのテスト版をリリースし、年内にはより多くの消費者に向けて幅広く展開していく予定だ。同社の創業者は、スタンフォード大学の精神医学教授であり、臨床心理士でもあるSarah Adler(サラ・アドラー)博士だ。彼女は、このアプリが何をするかを世界に向けて発信したいと考えているが、アプリが広く一般に公開されるまでは、少し慎重に行動している。アドラー博士は、ユーザー中心のデザインによってケアへのアクセスを向上させる革新的なデリバリーモデルの構築にキャリアを費やしてきた。彼女は、データに基づいたデジタルソリューションと、ヘルスコーチのような訓練された低コストの人的資源を組み合わせることが、特に、従来は話題に上らず見落とされていた人々(GSRMやBIPOCなど)に対して、質の高いケアを大規模に提供するための最良の方法であると考えている。

アドラー博士に、このアプリで提供できるエクササイズの例を聞いてみた。

「私たちが基本的に信じていることの1つは、不安やうつに対するエビデンスに基づいた治療法であるアクセプタンス・アンド・コミットメント・セラピー(ACT)に由来するものです。私たちは、人生において誤った決断をしたり、気分が良くない決断をしたりするのは、自分にとって何が大切なのかがはっきりしていないからだと考えています。価値観を明確にするエクササイズは、もしあなたにセラピストがいて、そのセラピストに1時間250ドル(約2万8000円)払う余裕があるなら、セラピストと一緒に行うことができるエクササイズです。しかし私たちは、もっと魅力的なエクササイズを考案しました。それは、ビデオゲームのような経験で、価値観を明確にするエクササイズを行い、最後には、私と一緒にセラピーを受けるのと同じように、脳内で神経化学的に喚起したい感情を呼び起こします」とアドラー博士は説明した。アドラー博士は「自分の価値観が明確になれば、どのように意思決定をすればよいかが見えてきます。自分の重要な価値観に沿った私がとりたい行動とは何か? 今夜は友達と飲み明かしたいか? 自分の長期的な目標や価値観を知ることで、自分の行動を調和させることができます。それが意思決定の助けになるのです」。

同社は、2021年の夏の終わりに200万ドル(約2億2975万円)のプレシードラウンドをクローズしたことを発表したばかりだ。このラウンドは、Hannah Grey VC(ハンナ・グレイVC)がリードし、K50 Ventures(K50ベンチャーズ)、Tribe Capital(トライブキャピタル)、Alumni Venture Group(アラムナイベンチャーグループ)、Verissimo Ventures(ベリッシモ・ベンチャーズ)、Conscience VC(コンサイスVC)、および厳選された戦略的エンジェルが参加した。

「科学的な裏づけがなく、包括的なユーザーエクスペリエンスに深く関わっておらず、再現性のある成果を示していないプロダクトを構築し、拡張するために、メンタルヘルス分野には、2020年だけで25億ドル(約2871億円)を超える莫大な資金が投入されています」アドラー博士は言った。「Waveでは、ダウンロード、サインアップ、パイロットなどのビジネス指標にただ関心があるだけではなく、従来はケアを受けることができなかった人々に測定可能な成果をもたらす、具体的な結果を目指しています」。

「私たちはソーシャルメディアと戦っているわけではありません。ソーシャルメディアと統合しようとしているのです。私たちは、ユーザーに対応し、関心を持ってもらうためには、ユーザーがいる場所で出会う必要があると考えています。これは特に携帯電話と完全に結びついているジェネレーションだとより重要です。私たちはこれをデジタルエコシステムと呼んでおり、このエコシステムでは、エビデンスに基づく最高のコンテンツと、最高のビデオゲーム技術を用いた没入型の体験を統合しています。ただ、私はトークンエコノミーの話をしているのではなくて、ビデオゲーム業界が学んだ、人々が学ばなければならないことに興味を持たせ続けるための方法を意味しています」とアドラー博士は説明した。「私たちは、没入感のある体験を作り、人々が何度も利用するように提供します。それが、最終的には、人々がよくなることにつながるのです」。

画像クレジット:Wave

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Yuta Kaminishi)

良いことも悪いことも人のリアルな経験が反映されるソーシャルネットワークを目指すInpathy

ソーシャルメディアがメンタルヘルス、特に10代の若者のメンタルヘルスに与える悪影響については、数え切れないほどの研究がなされている。

しかし、私たちの多くはSNSをやめることができない。たとえそれが自分自身に悪影響であっても。

Facebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)に投稿されるハイライト映像と自分の人生を常に比較することは、ばかばかしいほどに偏っている。というのも、これらのプラットフォームのユーザーの大半は、自分のありのままの写真を投稿したり、悲しいニュースや悪いニュースを他人と共有したりしないからだ。

そこに、新しい「健康な」タイプのソーシャルネットワークInpathy(インパシー)が登場した。Ziarekenya Smith(ジアレケンヤ・スミス)氏は「ソーシャルメディアを透明化し、気分を正常化し、人間の経験を再現する」ことで、人々のソーシャルメディアの利用方法に革命を起こすというミッションを掲げ、2015年に同社を設立した。最終的な目標は、ソーシャルネットワークの世界により多くのウェルネスをもたらすことだ。

スミス氏は、デジタルアートとデザインの分野でキャリアをスタートさせた。初期の成功にもかかわらず、彼はその仕事が期待していたほど個人的に充実しているとは感じなかった。不安や抑うつの症状を感じるようになり、その気持ちをソーシャルメディアで表現したいと思うようになった。しかし、彼はそれを止めた。

「社会の不文律では、完璧でなければ、人生について話してはいけないことになっています」。とスミス氏は振り返る。「だから、私は自分の気持ちを胸にしまっておいたのです。しかし、私は自分自身に問いかけました。なぜそうなのか?」。

デトロイトを拠点とするInpathyのコンセプトは、彼が感じた痛みと葛藤、そして、現在のソーシャルメディアの構造は、長期的には持続可能ではないというスミス氏の信念から生まれた。

「お金を稼ぐにはいいけれど、本当の意味での人間の幸福には向いていません」スミス氏はTechCrunchの取材に対し語った。「私の目には、その核となっている部分を修正しなければならないと思えたのです」。

Inpathyは、完璧さだけではなく、よりバランスのとれた人生経験を提供することを目指している。良いことも、そうでないことも、悪いことも、自分の生の感情を共有する場を提供することを目指している。

「誰にでも浮き沈みはあります。その浮き沈みのタイムラインを見れば、その人の成長をより感謝することができます」とスミス氏はいう。「私たちはみんな、負け犬の物語が好きなのです」。

Inpathyのユーザーは、自分のストーリーやコンテンツを写真や文字ではなく、音声や動画で共有し、スミス氏が望む没入感のある体験を提供する。

Inpathyは、ユーザーに気分を尋ね、その気分の尺度が「怒り」「悲しみ」「喜び」といった気分でフィルターをかけられる他のユーザーにも見えるようになっている。

「私たちは感情を正常化し、透明なシステムを作りたいのです」とスミス氏はいう。「私たちが同じ土俵に立つためには、透明でなければなりません。そうすると、人々は『これは私だけのことではない。これが普通なんだ』と気づくことができます」。

フォローボタンや追加ボタンはない。Inpathyでは双方向のコミュニケーションが可能で、ユーザーは「友達」になることができる。

「私たちはロボットではありません。お金持ちだろうが、貧乏だろうが、地位に関係なく喜びや苦しみを感じるものです」とスミス氏は語る。「これが人間というものです。Inpathyは、人間であることがOKだと示すのです」。

このサイトでは、荒らしやいじめに対しては厳しく、それらを生涯にわたって禁止している。誰かがInpathyで何かを共有する勇気を出した後に、荒らしにあって、再び心を開くのが怖くなるということを考えて、この方針が決まった。

画像クレジット:Inpathy

今のところ、スミス氏はクラウドファンディングで資金を調達し、適切な投資家を見つけるまでは、基本的に自力で運営しています。

「私たちは、投資家に好印象を与えるためだけに機能を追加しなければならないような立場にはなりたくありません」と彼はいう。「ビジョンは非常に重要です」。

「今、ソーシャルメディアの状況を見てみると、テレビはYouTube(ユーチューブ)、短編動画はTikTok(ティックトック)、写真はInstagram(インスタグラム)、ニュースやトレンドはTwitter(ツイッター)、エンターテインメントはFacebook(フェイスブック)、ビジネスはLinkedIn(リンクドイン)、瞑想はHeadspace(ヘッドスペース)、デートはTinder(ティンダー)を使っています」とスミス氏は付け加える。「しかし、生の体験やただ自分自身でいるために、どこに行きますか?」。

スミス氏が思うようにいけば、Inpathyに。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

画像クレジット:Founder Ziarekenya Smith / Inpathy

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Yuta Kaminishi)

生理用品自販機を革新する「SOS」が約3.9億円調達

SOS(エスオーエス)はすでに数多くの自販機を設置済みで、拠点であるボストンの各地に点在している。最近同社は340万ドル(約3億9000万円)の調達ラウンドを終え、トイレ内の健康・ウェルネス製品自動販売機の設置拡大を目指す。自動販売機のタッチスクリーンは、万が一身の回りの深刻な広告不足を心配している人たちのために「ビジュアルに富んだ広告マーケティングプラットフォーム」としても機能する。

最新ラウンドをリードしたのは、For Laterで、ボストン拠点の小売業インキュベーター、For Nowの投資部門(うまく名付けたものだ)。他にもShahid Khan(シャヒド・カーン)氏ファミリー、Zoe Cruz(ゾーイ・クルーズ)氏、NFLニューイングランド・ペイトリオッツの元プレイヤーでありJerod Mayo(ジェロッド・)メイヨ氏、Hero Cosmetics(ヒーロー・コスメティクス)のJu Rhyu(ジュ・リュー)氏ら、著名なエンジェル投資家が名を連ねる。

SOSの自販機は、フェンウェイ・パーク、プルデンシャル・センター、ボストン小児病院、State Street Corporation(ステート・ストリート信託銀行)本社、などボストン周辺の数多くの施設に設置されている他、フロリダ州サンライズのFLAライブ・アリーナにもある。

「当社の販売機は、パニックの瞬間を自信とチャンスの瞬間に変えます」とSOSのファウンダーで共同CEOのRobina Verbeek(ロビーナ・バービーク)氏はいう。「利便性には、並外れた製品と高水準の購買体験がともなうべきだと私たちは信じています。『早くて簡単』は『手抜きの安物』であってはありません。女性の健康に関しては特に。誰もがもっと良い生活を享受すべきです」。

創業チームで会社の共同CEOを務めるのは、Susanna Twarog(スザンナ・トゥワログ)氏とRobin Verbeek(ロビーナ・バービーク)氏の女性2人。金融サービス会社のState Streetで出会い、故障と品切れというタンポン販売機の長期的問題を力を合わせて解決に乗り出した。

SOSの自動販売機(画像クレジット:SOS)

最初のバージョンのマシンを作ったのは2017年で、2020年に初めて現場に自販機を設置した。会社のミッションは、頼りにならない醜くて古い金属の箱を「パーソナルケアと美容に不可欠な一流ブランドの製品を届ける」機械とサービスで置き換えることだ。同社は、市場に足場を固めるまでの間、保有する5つのデザイン特許がライバルの追随を許さないことを願っている。

「SOSと協力して、当社のスタッフとファン、そして南フロリダ住民のウェルネスとパーソナルケアに貢献できることをうれしく思います」と、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)フロリダ・パンサーズの最高商務責任者(CCO)、Shawn Thornton(ショーン・ソーントン)氏は言った。「SOSの高度な自動販売機が、FLAライブ・アリーナでコンサートや試合やイベントを楽しみながら、ウェルネス製品をいつでも手に入れられる安心感をお客様に与えることを願っています」。

次の搬入では、フロリダ・パンサーズの本拠地、サンライズのFLAライブ・アリーナに35台、コーラルスプリングスのアイススケートリンク、パンサーズ・アイスデンに5台のSOSマシンを設置する。今後は、ニューヨーク、フロリダ、カリフォルニアをはじめとする全米各都市への拡大を目指している。

画像クレジット:SOS

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルの取締役会にジョンソン・エンド・ジョンソンのCEOが参加

Apple(アップル)は、Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の会長兼CEOであるAlex Gorsky(アレックス・ゴルスキー)氏が同社の取締役会に加わったことを発表した。ゴルスキー氏は、2022年1月に予定されているJohnson & JohnsonのCEOとしての退任に先立ち、Appleの取締役に就任した。また、Appleがヘルステックにより注力している時期とも一致する。

Appleは、何年もの間iOSやWatchOSに健康に特化した機能を数多く投入するなど、健康とウェルネス分野への野望を公にしてきた。ゴルスキー氏をガバナンスチームの一員として起用したことは驚くべきことではない。

AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOは、プレスリリースの中でこう述べた。「アレックス(・ゴルスキー)は、長年にわたりヘルスケア分野で先見性を発揮し、その卓越した洞察力、経験、テクノロジーへの情熱を、人々の生活を改善し、より健康的なコミュニティを構築するために注いできました。彼のリーダーシップと専門知識から、私たち全員が恩恵を受けることになるでしょう」。

ゴルスキー氏は、1988年にJohnson & Johnsonに入社し、2012年にCEOに就任した。Appleは、同氏は在任中イノベーションとテクノロジーを重要な優先事項とし、医薬品、医療機器、コンシューマーヘルス分野の未来を形作るための投資を行ってきたと述べている。

ゴルスキー氏はプレスリリースで、次のように述べている。「テクノロジーには人々の生活を向上させ、より健康的なコミュニティを生み出す可能性があるというAppleの信念を、ずっと共有してきました。Appleの取締役会に加わり、私たちの生活を助け、向上させるために絶えず革新を続けている価値主導の企業の一員となることを光栄に思います」。

画像クレジット:Steven Ferdman / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTC

HTCがVRヘッドセットの新製品「VIVE Flow」を正式発表しました。重さ189gの軽量さでメガネのように装着でき、スマートフォンとの併用でVRコンテンツやテレビを視聴できる一方、ユーザーのメンタル面のウェルネスを向上させるデバイスとしての利用を想定しています。

HTCはVIVE Flowについて、これまでのVRヘッドセットとは異なる用途の面を強調しているため、そのスペック面の情報は積極的に紹介してはいませんが、わかるものを紹介すれば、ディスプレイは2つの”1.6K”解像度のものたリフレッシュレート75Hzで駆動し、100°の視界をユーザーに提供します。電源はバッテリーを搭載せず、USB-C経由での供給となり、もし不用意に動いてしまってケーブルが抜けてしまっても、自動的に安全にシャットダウンするための補助電源が搭載されているとのこと。

VRヘッドセットと言えば、ゲームのようなインタラクティブなコンテンツも魅力のひとつですが、VIVE Flowはゲームよりもパーソナルシネマとして最適化されているようで、たとえば近視の人手もメガネなしでヘッドセットを利用できるよう、視力に応じてレンズを調整できるようになっています。

また、バッテリーは非搭載としたものの、その電源仕様はUSB3の上限である7.5W給電に対応しており、これと互換性あるバッテリーパックを接続して利用することも可能とのこと。ヘッドセット内には換気用のファンが搭載され、こもった熱を逃がします。

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTC

装着のしやすさもVIVE Flowの特徴のひとつと言えるでしょう。リーク画像からも確認されていましたが、発表とともに公開されている紹介動画でも、デュアルヒンジシステムによってメガネ型のフレームがどのようにあらゆる人の頭部にフィットするかを詳しく説明しています。メガネの”つる”の部分に内蔵されるスピーカーも説明では「驚くほど高品質」とされます。またメガネ型であるため、仰向けに寝ても普通に利用できるのも利点でしょう。

スマートフォンとの接続はBluetoothもしくはMiracastを使用し、VRコンテンツの視聴ではスマートフォンをポインティングデバイスとして利用できます。既存のVRヘッドセットが備えるような、両手に持つタイプのコントローラーはないため、FPSシューターやBeat Saver的な激しいアクションのゲームをプレイすることはできないと思って良いでしょう。ただ、ヘッドセット前方を向く2つのカメラが搭載されており、将来的にこれが利用可能になれば、ユーザーの手の動きをトラッキングしてより没入感あるVRコンテンツを楽しむこともできるかもしれません。

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTC

なお、あくまでVIVE FlowはVRヘッドセットとして設計されているため、この前方カメラもARヘッドセットのように前方映像を見せるための性能は備えていない模様です。HTCはこのヘッドセットを「ウェルビーイングや脳トレ、生産性アプリケーション」と「ライトなゲーム」のためのものだとしています。

アプリケーションはVIVE Flow向けのアプリストア「VIVEPORT Infinity」を通じて提供され、月額5.99ドルで数々のアプリを利用可能になるとのこと。

HTCは発表と同時にVIVE Flowの予約受付を開始しています。出荷は11月中の予定。価格は499ドルで、7つ尾VRコンテンツが無料で付属します。記事執筆時点では、HTC日本のウェブサイトに情報は掲載されていません。

多くの情報が事前にリークされた内容そのままではあったものの、VIVE Flowは厳密に言えば噂にあったスタンドアロン型ではなく、スマートフォンとの接続が実質的に必要です。そしてこのデバイスはゲームのためではなく、日々の生活にフィットした、ヘルス&ウェルネスを高めるためのデバイスを求める人たちに向けた製品に仕上がっています。

追記:日本では近日中にお知らせがある模様です。

(Source:HTCEngadget日本版より転載)