ファーウェイ社員がウガンダ、ザンビア政府のためにスパイ活動か

中国の有力テクノロジー企業であるファーウェイは、すでに世界的に厳しい視線にさらされているが、さらに打撃となる可能性がある報道が出ている。Wall Street Journal(WSJ)によれば、ファーウェイで働く技術者たちがウガンダとザンビアで政府高官が政敵をスパイすることを手助けしていたという。

記事には匿名の監視組織幹部の証言を伝えている。WSJは「調査では中国政府ないしファーウェイ幹部との直接の結びつきの証拠は得られなかった」としている。しかしファーウェイ職員が通信の盗聴で役割を果たしたことは確認しているようだ。

ファーウェイ社員が関わったとされるデータのリストには暗号化メッセージ、 WhatsAppやSkypeアプリの利用履歴、携帯電話利用記録などがある。

ザンビア与党の代表は反政府的見解を流すニュースサイトと戦ううえでファーウェイの技術者の手助けを得たことをWSJに認め、「我々はフェイクニュースを追跡する場合、ZICTA(ザンビア情報通信技術庁)が実行する。この組織はファーウェイと協力してわれわれのテレコミュニティー・インフラがフェイクニュースを拡散するために使われないよう手を打っている」と述べた。

当然だが、ファーウェイ自身は全面的に関与を否定し、「我々はいかなる『ハッキング』も行っていない。われわれのビジネスを攻撃する根拠なく不正確な報道を断固として否定する。我々の内部調査はファーウェイ社員は報道で主張されているような活動に関与したことは一切ないと結論した。我々はいかなる(情報機関と)契約も結んでおらず、また(スパイ活動の)能力もない」とコメントしている。

この間、ファーウェイは米国、英国、ヨーロッパを含む各国で調査の対象となっており、同社のコミュニティー機器は中国政府によるスパイ活動のために用いられるのではないかという安全保障上の疑いが持たれている。これについてもファーウェイは強く否定、反論している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ウガンダの王子と仮想通貨スタートアップが起こすアフリカの金融革命

仮想通貨とブロックチェーンの愛好家は、何年もの間、銀行の中央集権的な世界を批判してきたが、発展途上国の銀行の多くは、その特権的な場所に立ち、それを続けている。しかし、ブロックチェーン技術が発展途上の経済にとって、もっとも画期的であると判明したら、どうなるだろう。

たとえばアフリカだ。アフリカ諸国の消費者たちは、プリペイド式携帯電話の料金をチャージするための銀行取り引きだけでも、いちいち手数料を取られることに不満を募らせている。通信時間が、事実上、お金として扱われている。すでに経済発展をした国々で生まれた、そうした銀行のやり方は、銀行手数料が携帯電話のチャージ料金を上回るような発展途上国ではうまく機能しない。

南アフリカに拠点を置くスタートアップWalaは、それを早期に実現している。既存の銀行インフラを利用して顧客取引を促進しようと、ウォレットのように機能するスマートフォンアプリを開発した。しかし、ほぼすべての取り引きに高額な銀行手数料がかかるため、Walaの顧客基盤も、スマートフォン世代にモバイルウォレットを提供するというWalaの初期のビジネスモデルも、痛手を被った。

料金のかからないソリューションが必要だったが、既存の金融システムでは難しい。そのとき、彼らは仮想通貨に切り替えることができると気がついた。そうすれば、業者同士のピアツーピア・ネットワークでの支払いが可能になり、通信料金、データ料金、電気料金、さらには学校の学費までこれで支払うことができる。

昨年の12月、イーサリアム・ベースの$DALAトークンを新規仮想通貨公開(ICO)で売却して120万ドル(約13億7000万円)を調達したWalaは、現在、ウガンダ、ザンビア、南アフリカで数千件の取り引きを助けている。そのほとんどは、1ドル以下のマイクロペイメントだ。

2018年5月に彼らの通貨$DALAをローンチしてから(現在はWalaのモバイルアプリからアクセス可能)、10万を超える$DALAウォレットが利用され、同社によれば、250万$DALAを超える取り引きが行われているという。この(少なくとも今のところは)マルチチェーンの暗号資産は、ウォレットにEther、取り引きにはStellarを使用している。しかし、ひとつのプラットフォームに固定されているわけではない。

$DALAのプロトコル(Kopa、Soko、Kazi)を通して、消費者は、国境を超えた、低コストの、高効率な独自の金融サービスにアクセスできるようになり、新しい非中央集権型の金融システムでの利益の獲得、貯蓄、貸し借り、鳥時期が可能になる。

だが、それはWalaの最終目標ではない。

10月2日、Walaは、ウガンダのギガワット規模の太陽光発電計画と手を組み、ブロックチェーンによるクリーンエネルギー経済を構築すると発表した。

仕組はこうだ。

エネルギーの老舗企業であるCleanPath Emerging Markets Uganda(CPEM)は、ウガンダ政府、ウガンダ・エネルギー鉱物開発省と共同でこのプロジェクトを進めている。つまりウガンダ人は、この巨大な新規インフラ建設プロジェクトから生み出される太陽光エネルギーを、$DALAで使えるようになるということだ。

CPEMは、DALAブロックチェーンのプラットフォームを使って、台帳、業務委託契約、パートナー契約を管理する。同社はすでに、1万1000メガワット以上の再生可能エネルギーを作り出した経験を持っている。

ウガンダに新しいクリーンエネルギー経済を創出することを目的としたこの15億ドル(約1710億円)規模の計画は、新たな雇用を生み、クリーンエネルギー経済を立ち上げるだけでなく、ウガンダに新しい経済発展をもたらす。ウガンダの消費者は$DALAで太陽光発電された電気を購入でき、労働者は$DALAで賃金を受け取り、この計画自体が$DALAで推進されるのだ。

Walaの共同創設者でCEOのTricia Martinezは、オスロで開かれたPathfounderの会場で、私にこう話してくれた。「$DALAをローンチして以来、私たちが見てきた数字は驚異的なものです。現在の利用者は大半がウガンダ人なので、今回の提携関係は、$DALAを使うことで、さらに利益が増すようになるという自然な流れでした。利用者間には大量のトラフィックがあり、それはウガンダ人が、日常の取り引きに暗号資産を使う準備ができていることを示しています。

しかしこの物語は、映画『ブラックパンサー』の幻の王国ワカンダから歩み出てきたような、聡明なアフリカの王子の存在なくしては実現しなかった。

なぜなら、CPEMの創設者はブガンダ王国(ウガンダの王族のひとつが治める地域)の王子、Kudra Kalemaだからだ。その家系の歴史は、少なくとも14世紀にさかのぼる。現在、ブガンダは、ウガンダから大幅な自治権を与えられた君主制の王国となっている。

「この計画とDalaとの提携に、私たちは大変に興奮しています」とブガンダ王国のKudra Kalema王子は話す。彼はCPEMの経営パートナーであり共同創設者でもある。「$DALAでウガンダ人にクリーンエネルギーを提供できるようになることで、私たちはより開放的な非中央集権型の金融システムを育てることができます。それは古い技術では不可能なことでした」

TechCrunchの独占インタビューで、Kalema王子は私にこう話している。「私たち一族は、自分たちがこの土地の管理人だと考えています。そこで私は、ほぼ10年をかけて、この国を良くする方法を探ってきました。しかし、人々がスイッチをひねって明かりを点けることすらできないような状態で、何ができるでしょうか」

最大の課題は、安価な電力の供給だと彼は悟った。それを再生可能な形で実現する。それは太陽光発電でなければいけない。マイクログリッドでは解決できないことがわかった。もっと大規模にする必要がある。

しかし、なぜ彼は仮想通貨の導入を思いついたのだろう。

「ウガンダの財政構造には十分な力がないことが明確になったので、$DALAを使い始めました。何かが必要であることは明らかでした。私たちが行おうとしていた計画に役立つまでに、ウガンダ・シリングを安定させる道はありせんでした。Walaは、すでにウガンダに投資し、発展途上の市場に仮想通貨を持ち込もうと考えていただけでなく、この国にとって最良の金融機関の形を作ろうとしていました。それは、私たちがやろうとしていたことと一致します。ごく自然な成り行きです」

「今あるものは使い物にならないと、
ウガンダの人たちは言っています」
—Kudra Kalema王子

$DALAと太陽光発電計画を組み合わせるのは、アメリカなどの国よりも、ウガンダのほうがやりやすいと彼は言う。「ウガンダ人の80パーセント以上が35歳以下の若者で、高い教育を受けています。リープ・フロッギングという言葉は好きではありませんが、まさにそれが起きています。彼らは、昔に習ったことを捨て去る必要がないのです。彼らは、自分たちのためになる解決策を学ぼうと、必死になっています。ウガンダで、いかに早くモバイル・マネーが浸透したかを見ればわかります。外から押し付けられたからではなく、人々が自ら欲していたから、それだけの力を持てたのです。今あるものは使い物にならないと、ウガンダの人たちは言っています。銀行の手数料や送金のコストなどです。もう使えないとわかっているものに力を入れるこどなど、ウガンダ人はしません」

ウガンダは、今後も新しい技術を貪欲に求める市場でいるだろう。先日、Binanceが法定通貨と仮想通貨の取引所をウガンダに開設すると発表したが、それもそのひとつだ。

彼はこうも言っている。「ウガンダは、常にこうしたものの先頭にいました。大英帝国の保護領になる前から、ウガンダは、アフリカで新しい商売を始める道を探しに人々が集まる場所でした。私たちには複雑な部族制度がありました。そのために、イギリスはウガンダを侵略するのではなく、保護領としたのです」

この計画の詳細は野心的だ。Kalema王子のCPEMは、ギガワット規模の太陽光発電所建設計画により、人口の25パーセントにクリーンエネルギーを届け、20万人分の雇用をクリーンエネルギー経済の中に生み出すことを目指している。

この発電所で作られる電気は、現在のウガンダの総発電量の2倍に相当する(平均的なアメリカの石炭火力発電所のおよそ2基分だ)。現在は、国民の75パーセントが電気を使えない状態にある。

$DALAを使えば、ウガンダ人は手数料なしに電気が使えるようになる。毎日の買い物にも使え、政府機関、業者、仮想通貨取引所などでウガンダの法定通貨に交換することもできる。

さらに、CPEMとウガンダ政府は、貧しい人たちに電気を無料で与える助成制度を作ることができる。しかも、そうした助成の記録は、完全な監査が可能で、改ざんの心配もない。

アフリカの市場に嵐を起こそうとに、小さなスタートアップがやって来た話は2014年に始まる。

そもそも、アメリカのエンジェル投資家とソーシャルインパクト・ベンチャー投資企業(Impact Engine)に支援されていたTricia Martinez(上の写真)のWalaだが、2016年、ロンドンのアクセラレーターBarclays Techstars Acceleratorに加わった。その後、南アフリカのケープタウンに事務所を開設し、社員を増やしていった(現在は12名)。

間もなく、南アフリカのベンチャー投資企業Newtown Partnersから投資を受け、Walaは$DALA暗号資産を発行し、Dala財団を設立した。Newtown Partnersのトップに、Civicとイーサリアム・ベースのプロジェクトで知られるVinny Linghamがいるのは、おそらく偶然ではない。

Martinezは、仮想通貨が、アフリカのような新興市場が長年欲していた解決策になると情熱を燃やしている。「この計画の価値尺度と価値貯蔵が$DALAであることが、その実用性を証明していて、新興市場での望ましい金融システムになる可能性を示しています。立ち上げの時期から関ることができて、とても嬉しく思うと同時に、消費者のための的確で使いやすい金融システムの構築を手伝えることを、とても楽しみにしています」

彼女はこうも話している。王子もウガンダ政府も「金融包摂を促進して、人々にとって、金融をより効率的なデジタルシステムにするためのパートナーを探していました。そのとき、私たちのことを聞いたのです。話をしてみると、私たちは互いに、暗号資産の上にエコシステム全体を構築できると感じました」

「消費者が単にエネルギーを仮想通貨で購入するというだけでなく、エネルギーグリッドを建設する人たちの賃金も仮想通貨で支払われるということなのです。そのため、とくにエネルギーの観点から、みんなはブロックチェーンで透明化を果たそうと、大変な関心を持つようになりました。政府と一緒に、より信頼性の高い記録を付けることで、汚職の可能性も低減できます」

Martinezはこう指摘する。「ウガンダの10万人以上の利用者が見守る中で、人々はすでに電気や製品やサービスを買っています。この計画の目標は、電気を買う人々が、私たちが提供する他のすべてのサービスも利用してくれるようになることです。私たちは、現金の交換所の開設も予定しています。人々が、街でモバイル・マネーを現金に、また現金をモバイル・マネーに交換できるようにするのです」

これは本当に大きな計画だ。「ウガンダ」と「仮想通貨」という言葉が同じ文章の中に登場するのを見て、陳腐で否定的な評価を下す人もきっといるだろう。

しかし、新興国の渇望、熱心な王子、住民の団結と結びついたWalaの現地での活動は(西欧諸国でのブロックチェーンの会議によくいる肘掛け椅子にふんぞり返った評論家と異なり、その重要さはどんなに誇張しても物足りないほどだが)、決して見くびってはいけない。

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(翻訳:金井哲夫)