マレーシアのAerodyneグループがDrone Fundと提携、2号ファンドの最大出資先に

マレーシアを拠点とするAerodyne(エアロダイン)グループは3月11日、投資家の千葉功太郎氏が設立したDrone Fund(千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)からの出資を受け入れ、資本提携を結んだことを発表した。これにより同社は、Drone Fundの2号ファンドとしては最大級の出資先となる。今回の提携にいって、2号ファンドの出資先企業のハードウェア、ソフトウェア、サービスなど、幅広い分野で連携していくとのこと。

写真右上が千葉功太郎氏、その左がKamarul A. Muhamed氏

Aerodyneグループは、ドローンを活用してさまざな点検やモニタリングのサービスを提供している企業。具体的には、広域にまたがって設置される電線網や通信鉄塔などのインフラ設備をはじめ、火力・風力発電施設やプランテーション、工事現場などで利用されている。ドローンが集めたデータは、解析してクラウドに集約される。点検対象設備は25万点超、年間を通して4万回以上の飛行実績がある。

現在23カ国で事業を展開しており、日本では2018年よりエアロダインジャパンを設立している。

2号ファンドの出資先としてはAerodyneグループのほか、急速充電とエネルギー密度を両立させたキャパシタ(蓄電池)を開発中のスペースリンク、大気計測装置の開発・製作・販売などを手がけるメトロウェザー、空飛ぶクルマ(エアーモビリティ)の開発・製造・販売を手がけるSkyDriveなどがある。また2号ファンドのLPには、プロサッカー選手の本田圭佑氏が率いるKSK ANGEL FUNDのほか、みずほ銀行、KDDI、セガサミーグループ、マブチモーター創業家一家などが名を連ねている。

マレーシア発のドローンスタートアップ、エアロダインが日本進出

マレーシアを拠点とし、ドローンを利用したインフラ点検サービスなどを提供するエアロダインは12月21日、北海道伊達市にある風力発電機の保守点検を実施した。これが同社にとって日本における初オペレーションとなり、この市場における日本進出を果たした。

従来、風力発電機の点検は人間の作業員が行っており、作業時間と人件費の削減が大きな課題となっていたという。また、背の高い風力発電機の保守点検は危険を伴う。そんななか注目されているのがドローンによるインフラ点検サービスだ。

エアロダインは2014年にマレーシアで設立されたスタートアップで、ドローンによるインフラ点検を行うほか、インフラ設備点検と建築現場のモニタリングに特化したクラウドプラットフォームをSaaSとして提供している。ドローンで撮影した風力発電機の表面の画像を取り込むことで、AIが欠陥を自動で判定したり、通信タワーの点検では3Dモデリングを作成して細かな欠陥箇所を検出したりすることが可能だ。

そのエアロダインは2018年7月に日本法人であるエアロダインジャパンを設立。今回の風力発電機の点検オペレーションで本格的なジャパンエントリーへと舵を切った。エアロダインにとって、日本が16番目の海外拠点になる。

海外を含むエアロダイングループ全体では、現在までに世界7ヶ国で2000基以上の点検作業を受注しているものの、日本におけるドローンを活用した風力発電機の点検はまだ欧米や中国に比べて進んでいないとエアロダインジャパン代表取締役の伊藤英氏は語る。「現在日本には2253基の風力発電基が設置されているが、この数字は欧米や中国などの風力発電先進国からすると、大手の風力発電事業者1社がもっている規模感以下になる」と語り、そのことから、この市場に参入しようとするドローン事業者が少ないことを理由にあげた。

このような背景や、日本におけるドローン関連の法規制の問題から、エアロダインジャパンは当面のあいだ海外にアセットをもつ日本企業向けの営業を中心にビジネスを展開していくという。すでに、日本の大手ゼネコンが海外で進める建築プロジェクトのモニタリングを、3年契約で受注予定だという。