ツタンカーメンの鉄剣は隕石で作られていた―千葉工業大学がその製造法と起源を解析

ツタンカーメンの鉄剣は隕石で作られていた―千葉工業大学と惑星探査研究センターがその製造法と起源を解析

ツタンカーメンの鉄剣。(a)(b)2020年2月に研究チームが鉄剣の両面を撮像したもの。(c)1925年発掘時に鉄剣の片面(a)を Harry Burton氏が撮影したもの。オックスフォード大学グリフィス研究所の許可を得て複製した画像。(d)鉄剣の面(a)の拡大写真。中央を横切るひび割れと鉄剣の長手方向に平行に走る細かい擦り傷。(e)鉄剣の面(a)の拡大写真。斑点状に分布する黒い部分は硫化鉄

千葉工業大学は2月14日、エジプト考古学博物館においてツタンカーメン(紀元前1361年~1352年)の鉄剣の非破壊・非接触化学分析を行ったことを発表した。その結果、鉄剣の原料は隕石であり、低温鋳造で作られ、エジプト国外からもたらされたことが判明した

千葉工業大学学長であり、千葉工業大学地球学研究センターおよび惑星探査研究センター所長の松井孝典氏率いる研究チームは、エジプト考古学博物館において、ポータブル蛍光X線分析装置を用いた鉄剣の元素分布分析を行ったところ、その製造法と起源が明らかになった。

鉄剣には10〜12%のニッケルが含まれており、その二次元元素分析から鉄剣の表面にはウィドマンシュテッテン構造が認められた。これは、鉄とニッケルを含むオクタヘドライト型隕石にみられる特有の構造のこと。さらに、黒い斑点として見られる部分は、これもオクタヘドライト型隕石に含まれる硫化鉄だと認められることから、原料は隕石由来と考えられた。また、ウィドマンシュテッテン構造と硫化鉄包有物が残されていることから、950度以下の低温で製造されたこともわかった。

ニッケル(Ni)、硫黄(S)、塩素(Cl)の元素分布

この剣が作られた紀元前14世紀ごろは、現在のトルコ周辺を支配していたヒッタイト帝国(紀元前1200~1400年)が鉄の製造技術を独占していた。当時のエジプトには製鉄技術はなく、鉄隕石を加工していたと考えられる。また、古文書によると、ヒッタイト帝国の隣国であるミタンニ王国からツタンカーメンの祖父であるアメンホテップ三世に鉄剣が送られたと記されていることから、この剣はミタンニ王国から持ち込まれたものと推測できる。

もう1つ、金の柄からは少量のカルシウムが検出されており、これは装飾物の接着に使われた漆喰の成分だと考えられるという。ただ漆喰は、エジプトではツタンカーメン王の時代から1000年以上後にならないと使われていない。それらを総合すると、この鉄剣は、アメンホテップ三世への贈答品としてミタンニ王国から持ち込まれたものと考えられるということだ。

日本のVC「サムライインキュベート」がアフリカのスタートアップ向けに20億円超のファンドを組成完了

東京拠点のベンチャーキャピタルであるSamurai Incubate(サムライインキュベート)が「Samurai Africa Fund 2号」の組成を完了し、総額20億2600万円を集めたことを4月15日に発表した。

同社によると、目標額20億円のファンドには募集枠以上の応募があり、総勢54名の投資家がLP(有限責任組合員)として出資した。注目すべきLPの1つが豊田通商株式会社で、アフリカ大陸全体に多様なネットワークを持っている。同社はコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のMobility 54を設立し、アフリカの輸送、物流、フィンテックのスタートアップへの投資を計画している。

榊原健太郎氏は2018年にSamurai Incubateを設立し、子会社のLeapfrog Venturesを立ち上げてアフリカへの投資を開始した。Samurai Incubateは新たな子会社を通じて2018年8月以来、アフリカのスタートアップ20社に250万ドル(約2億7000万円)出資した。そして2019年6月、Leapfrogの社名をSamurai Incubate Africaに変更した。

「当社は一貫してファウンダーへの価値提案を最大化するという経営方針の改善と最適化に注力してきました。しかし、いつも完璧だったわけではありません。私たちがもたらす価値は、資金や日本の投資家や企業へのアクセス以上のものであるべきだと信じています」と同社は声明で語った。

セクター無依存のファンドを提供するSamurai Incubate Africaはすでに26社に投資している。今回の第2号ファンドの投資先には、テック利用ホームサービスのスタートアップであるEden Life、オンライン融資マーケットプレイスのEvolve Credit、エネルギー・スタートアップのShyft Power Solutions、自動車レンタル向け少額融資サービスのFMG、貨物輸送会社のOneport、およびオンライン食料品プラットフォームのPricepallyら6社が含まれている。

Samuraiの会社の多くはアフリカの3つの国、ケニア、ナイジェリア、南アフリカにある。しかし、今後はそれが変わる。マネージングパートナーの米山怜奈氏によると、Samurai Incubate Africaは対象国にエジプトを加える予定だ。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

2018年以来、エジプトにおけるエコシステムの成長は目覚ましく、人材、スタートアップ、および地元投資家を猛烈なスピードで生み出している。Samurai Incubate Africaにとって、この成長に目をつけるのは当然であり、エジプトが加わることで、同社はアフリカ大陸のトップスタートアップエコシステムであるBig Fourすべてでスタートアップを持つことになる。

「エジプトのスタートアップエコシステムと経済は急速に拡大しており、この国には数多くの才能あるファウンダーと偉大な投資家がいることを知っています」と米山氏がTechCrunchに話した。「すでにエジプトのスタートアップ1社への投資を決めており、絶対に後悔しないことがわかっています」。

2020年にSamuraiが最初にこのファンドを発表した時、出資規模は5万ドル(約540万円)から50万ドル(約5400万円)だった。プレシードからシードラウンドまで、スタートアップは20万ドル(約2200万円)以下を獲得する。プレシリーズAとシリーズAラウンドでも50万ドル以下だった。しかしファンドの組成完了後は、投資金額を80万ドル(約8700万円)へと拡大する。

「投資先企業のプレシリーズAとシリーズAを既存出資者として支援するつもりです。そのために、投資額を企業の最近ラウンド規模と評価額に応じて増やすほうがいいと考えました」と米山氏は説明した。

セクター無依存ではあるが、同社が特に力を入れているのはフィンテック、インシュアテック、流通、医療健康、消費者、コマース、エネルギー、アグリテック、モビリティー、エンターテインメントだ。

日本のVCは、プレシードとシードステージの新規企業30~40社に加えて、投資先企業7~10社のプレシリーズAとシリーズAラウンドにも参加する計画だ。Samurai Incubateは、Kepple AfricaやUncovered Fundなどと並ぶ、日本で増えつつあるアフリカのスタートアップを対象としたVCの1つだ。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Samurai Incubate日本東京アフリカエジプト

画像クレジット:Samurai Incubate

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook