核融合技術で新エネルギー開発に取り組む「京都フュージョニアリング」が約1.2億円調達

核融合技術で新エネルギー開発に取り組む「京都フュージョニアリング」が約1.2億円調達

京都フュージョニアリング(KF)は1月20日、第三者割当増資による総額1億1600万円の資金調達を発表した。引受先は、Coral Capitalおよび個人投資家、創業メンバーなど。累計調達額は総額3億4400万円となった。

調達した資金は、市場展開力の強化と、人材の追加採用を中心に使用。先進的な研究成果の実用化と事業化を通じ、社会への貢献を進めていく。

2019年10月設立のKFは、京都大学エネルギー理工学研究所の小西哲之教授が中心となって開発した、核融合装置とエネルギー利用に関する事業を手掛けるエンジニアリング企業。日本発の核融合テクノロジーで新しいエネルギー産業を切り拓くことを目的としているという。

クリーンで持続的なエネルギーを生み出す核融合炉は、「地上の太陽」とも呼ばれ、世界をリードする研究開発が本邦で進められてきた。現在、2025年稼働を目指し、日本も参加する7極の国際共同プロジェクトにおいて「熱核融合実験炉」(ITER)の建設が進められ、核融合炉からのエネルギーの取り出しが現実味を帯びてきているという。

同時に、米・英・加などでは、より早期の核融合炉の実現を目的として、すでに複数のベンチャー企業が設立されており、2020年代の実証炉実現に向けた装置の開発・建設が加速しているとした。

KFでは、これら欧米の大学関連企業や国際共同で建設が進められている複数の核融合炉プロジェクトに対して、主要機器であるブランケットやダイバータ、ジャイロトロンなどを提供したり、プラントの設計を支援したりすることで、世界のエネルギー環境問題の根本的な解決に貢献する。

ブランケットは、核融合で生じた熱を炉外に取り出し、燃料となる三重水素を生産する装置。ダイバータは、核融合で生じたヘリウムなどの不純物を炉内から取り出す装置のこと。またジャイロトロンは、核融合炉の起動時にプラズマを発生させ、加熱し、電流を駆動する電磁波発生装置という。

核融合エネルギーは、今後爆発的に増加する途上国のエネルギー需要に応えつつ、高レベル放射性廃棄物が発生しないため、パリ協定の求める温室効果ガス削減に対応し得る技術として、近い将来大きく成長する可能性を持つ市場としている。

調達した資金は、これらの先進機器への研究開発を通じた市場展開力の強化と、海外営業人材およびエンジニア人材の追加採用を中心に使用する。さらに、これらの先進的な研究成果の実用化と事業化を通じて、社会への貢献を進めていく。

関連記事
核融合技術開発企業General Fusionの支援にShopifyとアマゾンの創設者が参加
90億円の新規投資でCommonwealth Fusionの2025年核融合実証炉稼働に道筋
小型商用核融合炉を開発するボストンのスタートアップが約54億円を調達

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:エネルギー核融合(用語)環境問題(用語)京都フュージョニアリング資金調達(用語)日本(国・地域)

ディーゼルエンジンをクリーンにしたClearFlame EngineはVCのほか政府省庁も支援

ディーゼルエンジンは貨物輸送や農業の働き者であり、経済とそのサプライチェーンを支えている。しかし、環境に対しては汚れ役でもある。イリノイ州ジニーバで4年前に創業したClearFlame Engine Technologiesによると、同社はディーゼルエンジンをクリーンに利用する方法を発見した。

TechCrunch Disrupt 2020のStartup Battlefieldに出場した同社は、ディーゼル形式のエンジンをエタノールのような再生可能な燃料で運用する新しい方法を開発した。共同創業者でCEOのBJ Johnson(BJ・ジョンソン)氏は最近のTechCrunchのインタビューで「その技術は、ディーゼルエンジンの性能上の利点に、これら代替燃料のローコストと低排気を結び付ける」と語っていた。

ClearFlameによると、石油燃料100%をエタノールのような炭素を除いた燃料で置換すると同社の技術では正味の温室効果ガスの排出を少なくとも40%は削減し、特定の物質およびスモッグ(NOx)をゼロ近くに抑える。

同社は、ディーゼルエンジンの設計を変えない。むしろジョンソン氏と共同創業者でCTOのJulie Blumreiter(ジュリー・ブルムライター)氏が開発したのは、エンジンの内部の部品を変えてその熱力学を変換し、脱炭素燃料を早く点火・燃焼する方法だ。「この技術を使えば、ディーゼルエンジンの設計の80%から90%は変わらない」とジョンソン氏は説明する。

同氏によると、最終的に得られるのは炭素排出量を迅速で安価に減らす技術だ。それは、地方自治体、州、国も排気ガスに関する規制を強化しようとしているいま、企業が求めているソリューションだ。

この技術は既存の古いディーゼルエンジンに後付けできるし、トラックや工場設備などにまだ据え付けられていない新しいエンジンにも適用できる。ClearFlameはエンジンのメーカーと協働することを望んでおり、それと並行して修理や保守などアフターマーケットへのアクセスも狙っている。

ジョンソン氏は「エンジンメーカーのサプライチェーンを活用したいと考えています。メーカー各社のスケール能力とマーケットへのリーチ、そして信頼されているブランドの力も借りたいです」と語る。それが、エンジンメーカーをOEM相手にしたい理由だ。

この技術は最初、スタンフォード大学の研究室で生まれ、ブルムライター氏とジョンソン氏はこれでPh.D.の学位を取った。スタンフォードでは主に、単純な液状アルコールであるエタノールとメタノールにフォーカスした。ジョンソン氏によると、その後の研究で同じコンセプトが天然ガスやアンモニアでも等しく有効とわかったそうだ。

ジョンソン氏は「大きな違いは、これまでの技術で通常環境の液体燃料と決別するにはエンジンの噴射系の手直しが必要でした」と説明する。「アルコールのように周囲の環境に置かれたガラスの中の燃料でエンジンを効率的かつクリーンに運転できることは、ビジネス価値が非常に高いのです」と続ける、

ClearFlameは自社技術ですでに事業を進めており、初期のパートナーや資金を獲得している。同社は米エネルギー省傘下のアルゴンヌ国立研究所でキャタピラーのエンジンを用いて概念実証のデモも終えている。また、エネルギー省の助成金により、ディーゼルエンジンメーカーのCummins(カミンズ)のエンジンでのデモを実施済みだ。

4月にClearFlameは、CleanEnergy Venturesがリードするラウンドで300万ドル(約3億1400万円)を調達した。また政府助成金で数百万ドルを獲得しており、その中にはNSFとエネルギー省および農業省のSmall Business Innovation Research(小企業イノベーション研究)賞が含まれる。

画像クレジット: ClearFlame Engine Technologies

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

エネチェンジがLooopと共同で海外特化の脱炭素エネルギーファンド設立、1000億規模の投資目指す

テクノロジーを活用したエネルギー関連の事業を手がけるENECHANGE(エネチェンジ)は4月21日、太陽光発電システムや電力小売り事業を展開するLooopと共同で海外特化の海外特化型の脱炭素エネルギーファンド「JAPAN ENERGY ファンド」を設立したことを明らかにした。

同ファンドは脱炭素・ESG投資を実施する国内外の投資家の協力を受けながら、投資総額1000億円規模を目指す計画。2019年12月に組成した第1号ファンドでは1億米ドル(110億円規模)での展開を予定していて、運営はENECHANGEとLooopがJapan Energy Capitalを介して共同で行う。LPには2社に加えて大和エナジー・インフラ、北陸電力が参画を決めた。

ENECHANGEとしてはデータ解析技術を持つエネルギーテック企業として、海外の再生可能エネルギー領域により深く進出していく計画だ。

ENECHANGE代表取締役会長兼CEOの城口洋平氏によると、今回のファンドは「日本企業による海外への脱炭素エネルギー投資促進」を通じて、持続可能な社会の実現へ向けた取り組みを推進するのが目的だ。

特にエマージング諸国(新興国)は先進国と比べてプレイヤーが少なく、テクノロジーの活用によって発電量や収益性向上を見込める余地も大きい。そのような背景からトルコやヨルダンなど新興国での展開を中心としたファンドの立ち上げを決めたようだ。

本ファンドは具体的に2つのプロジェクトで構成される。1つが新興国の再生可能エネルギー事業へ投資をする「JEF Renewables」。もう1つが電力ビジネスの先進国である欧米諸国などに拠点を置くエネルギー系スタートアップへ投資する「JEF Ventures」だ。

メインとなるのは前者。エネルギー自給率が低く再生可能エネルギーによるインフラ開発の必要性が高い新興国で稼働中の再生可能エネルギー発電所(太陽光発電所など)に対し、日本政府や現地政府、地元事業者と連携して投資をする。

城口氏によると新興国の発電所に関しては運営や管理が不十分なことから、発電量や収益性などの観点で本来のポテンシャルを発揮できていないところも多いそう。そこにENECHANGEグループが培ってきたデータ解析技術や設備保守点検ノウハウを取り入れバリューアップを行い、売電や再販売によって収益をあげる。

イメージとしては不動産の二次流通に考え方が近く、仕入れてきた中古不動産をリノベーションしてより高い価格で販売するようなものだという。

「センサーを設置してパネルやインバーターなどのデータをリアルタイムで取得し、発電量や日射量、パネル温度などを緻密に解析すると、本来はもっと効率的に運用できる可能性を秘めた発電所がわかる。イギリスやドイツなど一部の先進国ではこのような取り組みが進んでいるが、新興国はまだまだ水準が低い。AIやデータ解析技術を使うことで改善できる余地が大きい」(城口氏)

1号投資案件としてはトルコの太陽光発電所に対して約1000万米ドル(約11億円)を出資し、共同運営権を取得する。この発電所も東京ドーム数個分の大きさのため、人力でくまなく状況をチェックするのは極めて難しく、そこにテクノロジーを活かせるという。

これまでENECHANGEではグループ会社であるSMAP ENERGYの技術を用いてスマートメーターの解析に力を入れてきたが、電力分野においては電力の消費側だけでなく、発電側にもデータを活用できるチャンスがあり市場も大きい。同社としてはその市場に進出していきたいという考えもあるようだ。

「再生可能エネルギー領域ではもともと二次流通市場が存在していなかったところから、徐々にグローバルで市場ができ始めている状況。日本では固定価格買取制度(FIT)があるため現時点で大きな市場ではないものの、2030年代から広がっていくと考えられる。ゆくゆくは日本での事業展開も視野に入れながら事業を作っていきたい」(城口氏)

上述した通りJAPAN ENERGYファンドでは先端技術を有する海外スタートアップへの投資も並行して実施して行く計画。こちらではENECHANGEが運営する欧州エネルギーベンチャー開拓プログラム「Japan Energy Challenge」と連携し、脱炭素技術に関して先行する有望なスタートアップへの投資を通じて、日本国内での脱炭素化に繋がるオープンイノベーションの実現を目指すという。

今年のCO2排出量は過去最高に、まだ望みはある?

画像クレジット:Vibro1/Getty Images

異常気象や海面の上昇、さらには数百人の米国人を殺し、数十億ドルの損害をもたらした気候変動の主要な要因、二酸化炭素の排出量は、2019年に過去最高を記録することになる。

これは、グローバルカーボンプロジェクト(Global Carbon Project)のデータによる。同プロジェクトは、世界中の研究者のイニシアチブとして、スタンフォード大学の科学者であRob Jackson(ロブ・ジャクソン)教授が率いている。

グローバルカーボンプロジェクトによる予測は、「地球システム科学的データ」(Earth System Science Data)、「環境研究論文集」(Environmental Research Letters)、「自然の気候変動」(Nature Climate Change)と題された3つの論文や記事として発行されている。

これは良くない知らせだ。しかし、楽観的な見方を好む人に対しては、良い知らせもある。二酸化炭素の増加率は、過去2年に比べれば劇的に下がっているのだ。とはいえ、ジャクソン教授の声明によれば、地球上の国々が、エネルギー、輸送、産業に対するアプローチを変えるために大胆な行動を起こさない限り、排出量は今後の10年も増加し続ける可能性がある、と研究者たちが警告しているという。

「昨年よりも排出量の増加が鈍ったというのは確かに良い知らせですが、それで気を抜くわけにはいきません」と、スタンフォード大学の地球、エネルギーおよび環境科学研究所(Stanford Earth)の地球システム科学のジャクソン教授は声明の中で述べている。「排出量は、いつになったら減少し始めるのでしょうか?」とも。

世界的には、化石燃料からの二酸化炭素排出量(これが全排出量の90%以上を占める)については、今年は2018年の排出量より0.6%増加すると予想されている。2018年は、2017年から2.1%も増加していた。また2017は、2016年の排出量と比べて1.5%の増加だった。

研究者によると、石炭の使用量は世界中で劇的に減少しているのに対し、天然ガスと石油の使用は増加している。また豊かな国々での一人当たりの排出量が依然として高いことは、開発途上国からの排出量を相殺するのに十分な削減はできていないのを意味している。途上国では、エネルギーと輸送手段を、天然ガスとガソリンに頼っているのだ。

「豊かな国における排出量の削減幅は、依然としてエネルギーへの依存度が高い貧しい国における増加幅を上回らなければなりません」と、エクセター(Exeter)大学の数学教授であり、グローバルカーボンバジェット(Global Carbon Budget)の論文「地球システム科学的データ」の主筆、ピエール・フリードリンシュタイン(Pierre Friedlingstein)教授も声明で述べている。

進展が見られる国もある。英国とデンマークでは、ともに二酸化炭素排出量を削減しながら、経済成長を達成することができた。The Economistが引用した報告書によると、英国では史上初めて、今年の第3四半期に、国内の家庭や企業に供給された電力量で、再生可能エネルギーによるものが、化石燃料によるものを上回った。

データと画像はThe Economistによる

今年初めの国際通貨基金(IMF)の調査によると、風力と太陽光発電のコストが劇的に低下しているため、豊かな国でも天然ガスに対してコストで競合できるようになり、もはや石炭より安価になったという。

それでも、米国、EU諸国、および中国の合計で、二酸化炭素の全排出量の半分以上を占めている。米国における排出量は、前年比で減少し、1.7%減少すると予測されている。ただしそれだけでは、中国などの国々からの需要の増加を埋め合わせるには十分ではない。中国における排出量は、2.6%増加すると予想されているのだ。

そして米国は、安いガソリンや大型車への依存症を断ち切る方法をまだ見つけていない。米国が、気候変動の拡大を緩和できるはずの乗用車による排出規制を放棄したことも、悪い方に働いている。それはそうとして、米国の現在の自家用車の所有率が世界に与える影響を考えれば、交通手段を根本的に改革する必要に迫られている。

前出の報告によれば、米国の一人当たりの石油消費量はインドの16倍、中国の6倍となっている。また米国には、ほぼ一人あたり1台の車があるが、その数字はインドでは40人に1台、中国では6台に1台だ。どちらの国でも、もし所有率が米国と同様のレベルに上昇すると、いずれも10億台の車が走り回ることになる。

グローバルカーボンプロジェクトが報告したスタンフォード大学の声明によれば、世界の二酸化炭素排出量の約40%は石炭、34%が石油、20%が天然ガスによるもので、残りの6%はセメントの製造など、他の発生源に起因するものだという。

「米国やヨーロッパで、石炭の使用量を削減すれば、二酸化炭素の排出量を減らし、雇用を創出し、空気をきれいにすることで人命を救うことにもつながります」と、スタンフォード・ウッズ環境研究所(Stanford Woods Institute for the Environment)、およびプリコート・エネルギー研究所(Precourt Institute for Energy)の上級研究員でもあるジャクソン教授は、声明の中で述べている。「より多くの消費者が、太陽光や風力など、より安価な代替エネルギーを求めているのです」。

政策、技術、社会的習慣の変化などの組み合わせによって、まだ行程を逆戻りさせることができるという希望はある。新しい低排出車の導入、新たなエネルギー貯蔵技術の開発、新しい応用分野におけるエネルギー効率と再生可能電力の継続的な進歩には、それなりの明るい希望もある。そして、排出量の多い牧畜や作物栽培に対する代替手段への社会的な取り組みも有望だ。

「気候変動に対して、あらゆる対策を講じることが必要です」と、ジャクソン教授は声明で述べている。「そこには、より厳しい燃料効率基準、再生可能エネルギーに対するより強力な政策的インセンティブ、さらには食事の変革、炭素の回収と貯蔵技術、などが含まれます」。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

「月のレンガ」が月面コロニーに熱と照明を供給する?

月に「ダークサイド」はないかも知れないが、ある場所が暗くなったときには、それは本当に暗くなる。そしてその状態が2週間は続くことになる。もし私たちがそこにコロニーを建設することになったら、長い月の夜に備えて、暖かさと何よりも照明を維持しなければならないだろう。このたび、月の砂から作られたレンガが、その解決の一部になることが判明した。

もちろん、月の昼間の間はすぐに利用可能な太陽光が使われることになるし、ご想像のように夜に利用するためのバッテリーを充電することもできるだろう。しかし、バッテリーは大きくて重い代物だ。月旅行の手荷物として携行したいものでは決してない。

では、月のコロニーがエネルギーを蓄える手段は、それ以外には何があるだろう?欧州宇宙機関(ESA、European Space Agency )はAzimut Spaceと提携して、月面に蓄熱されたエネルギーが手軽に利用可能かどうかを調査した。

月面上に豊富にあるものは砂、正確に言うなら月のレゴリス(堆積層)だ。そして、アポロ計画によって持ち帰られたサンプルのおかげで、私たちはそれらの性質をよく知っている。そこで研究チームが、地球上の材料を使いながら月のレゴリスで何ができるかをシミュレートしてみた。

「この研究では、月の岩石と同等の性質を持つ地球の岩石を、月面レゴリスの粒子のサイズと一致する大きさになるまで粉砕して利用しました」と述べるのはプロジェクトの総監督であるESAのAidan Cowley(エイダン・カウリー)氏だ。

この人造レゴリスはレンガとして圧縮されて、電線をつないだあと、月の表面で太陽電池から取り込める量の電流が流されて加熱された。そのあと、そのレンガは月面を模した環境(ほぼ真空で摂氏約マイナス150度)に置かれたが、その際同時にレンガから熱を取り出しそれを電気に変換できるシステムに接続された。

真空チャンバー内の人工レゴリスれんがAzimut SpaceのLuca Celotti(ルカ・セロッティ)氏は「月面の熱を蓄熱するために月のレゴリスを使うことで、すぐに使える材料が豊富に手に入ることになります。つまり宇宙旅行者が材料を大量に地球から持っていく必要がないのです」と語った。

ESAの発表した記事によれば、このプロセスは「うまくいった」とだけ書かれているだけで、特に説明的なものは書かれていない。詳しい情報を求めて私はAzimutに連絡している最中だ。とはいえ、もしこの方法が動くには動くが箸にも棒にもかからない程度のものであったとしたら、おそらく私たちの耳に入ることもなかっただろうと思われる。

月の砂から、巨大で荒削りなバッテリーを作り出すためには、まだまだ沢山の基本的な挑戦を乗り越えなければならない。しかしもしそれが、たとえわずかばかりでも上手く行くようならば、すべての月面コロニーが採用すべきエネルギーと熱の貯蔵手段となるかもしれない。

画像クレジット: ESA / Azimut

[原文へ]

(翻訳:sako)

小型商用核融合炉を開発するボストンのスタートアップが約54億円を調達

25年間におよぶ研究の末、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは、核融合商用化への扉の鍵を手に入れたようだ。

Commonwealth Fusion Systemsは、その研究の成果だ。消費者にクリーンで安定した電力を届けるために太陽のパワーを制御するという、数十年間にわたる研究開発の上にこのスタートアップは成り立っている。彼らはこのほど、米国で最も資金力のある民間投資家たちから、商用化を推し進めるための5000万ドル(約54億円)の追加投資を受けた。

同社はその技術を発表し、イタリアのエネルギー企業Eni、世界でもっとも裕福な男女によって設立された投資コンソーシアムであるBreakthrough Energy Ventures、そしてMIT自身の未開拓分野の技術を対象とした投資手段The Engineから、最初に6400万ドルの資金を集めている。

今回は、Steve Jurvetsonが創設した投資企業Future Ventures、Khosla Ventures、Chris SaccaのLowercase Capital、Moore Strategic Ventures、Safar Partners、Schooner Capital、 Starlight Venturesが参加している。

Commonwealth Fusion Systemsは2014年、核融合の経費削減を目指す学生の課題として始まった。このクラスは、当時MITのPlasma Science and Fusion Center(プラズマ科学および融合センター)主任だったDennis Whyteが教鞭を執っていたのだが、そこでARC(Affordable、Robust、Compact:手頃な価格で頑丈でコンパクトの略)と彼らが呼ぶ新しい融合炉技術が考案された。それでも数十億ドルという値札が付く、投資家も尻込みしたくなる規模の技術だった。

そこで彼らは製図台に戻り、エネルギー利得を生む(投入したエネルギーより出力されるエネルギーが上回る)必要最低限の核融合炉の検討を始めた。

エネルギー利得は、ほとんどの核融合炉技術において、もっとも難しい課題となっている。核融合を成功させた研究所やプロジェクトはいくつかあるが、それを維持しつつ、投入エネルギーよりも多くのエネルギーを引き出すことは、難題のまま残されている。

欧州のITER核融合炉は、200億ドル(約2兆1500億円)をかけた多国籍プロジェクトだが、2045年に達成予定の発電量の、いまだ60パーセントのあたりに留まっている。北米に目を戻すと、TAE TechnologiesとGeneral Fusionの2社が核融合パワーを安価に生み出す研究を行っている。イギリスでは、First Light FusionとTokamak Energyがそれぞれ独自の方法で核融合発電に取り組んでいる。

Commonwealth Fusion Systems(CFS)の最高責任者であるBob Mumgaard(ボブ・マムガード)氏の目からはかは、すべてが計画通りに進んでいるように見えている。順調だ。「CFSは民間核融合を実現させ、本質的に安全で、世界的にスケーラブルで、カーボンフリーで、無限のエネルギー源を供給するための軌道に乗っています」と彼は声明の中で述べている。

CFSの専門家たちは、可能なかぎり小型の核融合炉を2025年までに完成させることにしてるが、それは核融合反応を閉じ込めておくためのMITが独自に行ってきた磁石技術の研究によるところが大きい。実際、資金の大半は、CFSが核融合反応を閉じ込める完全な磁石技術の構築に向けられている。最終目標は、熱として、または蒸気でタービンを回して発電して、50メガワットを生み出させることだ。

環境に多大なリスクのある原子炉と違い、核融合発電所は、通常の工業施設とほぼ同じ区分になるだろうとMumgaardは言う。「核融合度のハザードプロファイルは、これからも工業施設(のカテゴリー)に留まります。法律はありますが、核融合炉を実際に作った人がまだいないので、前例がないのです」

マムガード氏は、200メガワット級の融合炉も思い描いている。それなら、風力発電ファームや太陽光発電所に置き換えることができる。

「前進と、何を目指すのかの両方を対比させて、常に監視しておく必要があります」と彼はいう。「電力網において二酸化炭素排出量を劇的に減らせる手段をまだ手にしていないというのが、一般の人々のほぼ一致した意見です。再生可能エネルギーも含め、最大の利得を生むものとは、実用規模で最も利得の高いものとは、1カ所につき数百メガワットの電力を生み出せる方式を意味します」。

マムガード氏によれば、再生可能エネルギーだけでは現代の大都市圏の需要を満たすことはできないという。「現代のライフスタイルを支えるための電力として、凝縮されたエネルギー源を求める声が強いのです」。

この問題に対する人々の意見は、次第に分かれつつある。とりわけ、エネルギー政策を考える団体の中で噂されていたグリーン・ニューディール政策を支持するサンライズ・ムーブメントの賛同者で、核エネルギーに反対する人たちの間にも分裂が起きている。しかし、エネルギーの専門家の大半は、混合型のアプローチを提唱し、ゼロエミッションを実現するためには(それが科学コミュニティの最終ゴールでもあるが)、核エネルギーをそこに加える必要があると指摘している。

「私たちは、この20年間、核融合に適切なクリーンエネルギーへの投資機会を探ってきました」と、Future Venturesの最高責任者であるSteve Jurvetson(スティーブ・ジャーベンソン)氏は声明の中で述べている。「核融合をビジネスに転換できる企業を求めいましたが、ついにCommonwealth Fusion Systemsと出会いました。彼らのアプローチを支えるハードサイエンスは、彼ら自身と加えてこの分野の世界中のリーダーたちによって実証されています。高度なエンジニアリングによって、CFSは太陽周期のパワーを制御する力を得ようとしています。それは世界を変え、あらゆる問題が改善されるクリーンなベースロード電力の時代を招くものです」

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

再現可能エネルギー普及の鍵は貯蔵コスト。Energy Vaultが答を知っている

ソーラーエネルギーや風力エネルギーが化石燃料エネルギーより安く作れるようになった今、再生可能エネルギーの普及にとって唯一残る問題は、作られたエネルギーの貯蔵に必要なコストだ。

現在再生可能エネルギー100メガワット(約60万世帯を賄うのに十分)を貯蔵するためには、Teslaが作っているようなバッテリーを約6560万ドル分大量に揃えるか、ダムを作り落下する水でタービンを回す巨大揚水発電所(通常100メガワット以上の能力を持つ)に頼るしかない。

Bill GrossのIdealabというカリフォルニア州パサディナのインキュベーター出身のEnergy Vaultは、揚水発電の原理に基づく新しいテクノロジーを開発した。同社によると、そのテクノロジーはエネルギー貯蔵コストを今の1桁以下に抑えることが可能で、再生可能エネルギーのコスト効果を一日中毎日高くすることができる。

気候変動の懸念が増すにつれ、再生可能エネルギーの魅力とコスト効果を高める方法を見つけることは、優れたビジネスチャンスであるだけではない——全地球の優先課題だ。

Engergy Vaultのテクノロジーは、33階建ての高さで6本のアームを持つクレーンからなり、ブームを延ばすとフットボール場の長さに近くになる(約87ヤード)。そのクレーンは5000個の巨大なコンクリートブロックが囲まれていて、重量は全体で約35トンになる。

「通常これを風力あるいはソーラー発電所の近くに作る」とEnergy VaultのCEO Robert Piconiは言う。「これは都市の真ん中に置くものではない」。

クレーンは、ソーラーや風力で発電されたエネルギーを蓄積、あるいは電力網に放つためにセメントブロックを動かすソフトウェア・システムによって制御される。

Piconiによると、同社のシステムはエネルギー容量公称35メガワット、ピーク容量4メガワットの能力を持つ。立ち上がり時間は最短1ミリ秒で、2.9秒で100%のパワーを得ることができる。

システムの充放電効率は約90%で、この技術は耐用年限約30年の極めて耐久性の高い材質による力学的エネルギーに依存しているためエネルギー損失はない。

このすべてを実現するシステムの価格は7~800万ドル程度だとPiconiは言う。システムの永続性をさらに高めるのが、埋め立てに使うしかないリサイクルコンクリートを使っていることだ
——新たなセメント工事は不要だ。

すでにEnergy Vaultは、デモシステムをスイスのルガーノ本社近くのビアシカに建設済みだ。このデモンストレーション施設は、同社初の顧客であるインド最大の総合電力会社The Tata Power Company Limitedが、2019年までに35 MWh のEnergy Vaultシステムを構築する契約に一役買ったはずだ。

「エネルギー貯蔵法のイノベーションは、再生可能エネルギーを加速し、世界の増え続けるエネルギー需要を満たす化石燃料に代わる主要供給源とする最大最速の方法だ」とEnergy Vaultの共同ファインダーでIdealabのファウンダーBill Grossが言った。「Energy Vaultがこの画期的テクノロジーを市場に送り出すために役立てることを大いに喜んでいる」

事実、Piconiによると、今後2年間に同社顧客がこのシステムを使って作る設備の総貯蔵容量は500メガワットから1ギガワットに上るとEvergy Vaultは予想している。

「われわれにはこうした設備を作る顧客が各大陸にいる」と彼は言った。

Danaherの幹部だったPiconiは、12年前にIdealabのファウンダーだったGrossが再生可能エネルギー技術を手がけ始めた頃に出会った。ふたりは連絡を取り合い、10年近く協力しあった後、Energy Vaultの設立を真剣に考えるようになった。

そして2017年、PiconiとGross、そして共同ファウンダー、最高技術責任者のAndrea Pedrettの三人はEnergy Vault斬新なエネルギー貯蔵の方法を思いついた。i

「数年前、エネルギー貯蔵が重要になることを彼ははっきりと知っていた」とPiconiは言った。
三人は揚水発電の効率に注目し、力学的エネルギーを使ってそのプロセスを真似る方法についてブレインストーミングを始めた。「まず鉄塔を考えたが高価すぎた。塔の上に水を汲み上げることを考えたが、効率に問題があった」とPiconiは言った。「そして、コンクリートブロックとクレーンを思いついた」

コンクリートは材料コストの点で重要であり、セメント製造に関わるエネルギー消費と公害を考え、チームはリサイクルセメントを使い、彼らのエネルギー貯蔵システムに使うブロックを作ることにした。

そして、世界最大手のセメント製造会社Cemexが、Energy Vaultにパートナーとして加わった。

Energy Vaultはすでにいくつかの「シード」ラウンドで資金を調達し、テクノロジー開発やスイスのプロトタイプの建設・運用に充てている。

「Energy Vaultのチームは画期的なプラットフォームを開発した。われわはこのチームを支援し、環境効率とコスト効率の高い実用性の高いエネルギー貯蔵ソリューションを提供することを大いに楽しみにしている」とCemexのグローバル R&D・知財権の責任者r. David Zampiniが言った。「われわれは資源が責任をもって使われる未来を可能にするという共通認識を持っている。それはCemexの維持可能開発戦略の核心でもある」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

空気から水を採取する技術のコンテストWater Abundance XPRIZEの優勝チームが決定

XPRIZEのWater Abundanceコンペ、空中から水を採取する持続可能でスケーラブルな技術の懸賞は、5月に5社のファイナリストが決まった。その後一社が脱けて、奇しくも代わりに入った一社が優勝をさらった。

コンペの課題は、“1日に2000リットル以上の水を1リットルあたり2セント以下の費用で、再生可能エネルギーだけで大気から収集する”ことだった。それは、不可能と思えるほどの難題だ。

でも多くのチームがさまざまなやり方でこの難題に挑戦した。そして二位入賞のハワイのJMCC Wingは、効率のきわめて高い風力発電機と市販のコンデンサーを併用した。

優勝したSkysource/Skywater Allianceは、すでに海外で多くの実績がある(女優Miranda Kerrの家にも設置)。彼らは商用電力や代替電源を使わず、きわめて効率の良い断熱蒸留法を用いる。

それは海水の脱塩化よりも効率がよく、雨などの水源を必要としない。Skywaterのボックスはさまざまなサイズがあり、冷蔵庫より大きなものもあるが、最大で一日300ガロン(1135リットル)の水を生産できる。これでコストが低くて再生エネルギーだけを使用するなら、2基でコンテストの要件を満たす。

これらの要件への適合ががすべてXPRIZEの検査チームに対して示された結果、最初に予選落ちになった同社が150万ドルの優勝賞金を授与された。

“接戦だったけど、うちのシステムから実際に水が出てくるところを見て感動した。世界中の人びとの命に関わっていることだから”、と同社のJay Hastyが授賞式ビデオで語っている。

しかし、これで水不足の問題が解決したわけではない。でもこのようなコンペは今後の開発を刺激し、人びとの関心も喚起するだろう。Skywaterのシステムが、それを必要とするところにどんどん設置されてほしいが、優勝しなかったチームも研究開発を今後も必ず継続するだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

この新しい素材オーセチックスはエネルギーを抱き込んで自分の中に保存する

オーセチックス(auxetics)は、エネルギーを与えられると膨らんだり角が飛び出たりせずに、そのエネルギーを内部に保存する素材だ。押したり叩いたりするたびにそのエネルギーを蓄え、それを一定のペースで発散する。しかし歴史的にはこれらの素材には鋭利な角があって、押しすぎると簡単に破損した。そこでロンドンのクイーンメアリー大学とケンブリッジ大学の研究者たちは、オーセチックスもっと丈夫に効率的に利用する方法を発見した。この方法では、エネルギーを保存してそれを機械的に、何千回も放出するシステムを作れる。

クイーンメアリー大学のDr. Stoyan Smoukovはこう語る: “新しい素材設計の輝かしい未来は、それらがデバイスやロボットを置換していくことにある。すべてのスマートな機能を素材に埋め込める。たとえば鷲が獲物をくちばしでつつくときのように、オブジェクトを何度でもつつくことができるし、新たな力を加えることなく万力のように物を保持できる”。

たとえばロボットがこのシステムを使ったら、物を手で握って、それを離すときが来るまで手をずっと閉じていられる。開いて物を下に落とすときまで、手や鉤爪などに力を送り続ける必要がない。

このプロジェクトに参加した学部学生Eesha Khareはこう言う: “高熱など厳しい条件にさらされる素材の大きな問題は、その膨張だ。これからは、熱源との距離によって変わる温度勾配に合わせて、連続的に膨張特性が変わる素材を設計できる。それによって素材は自動的に、何度も繰り返される厳しい変化に対し、自分を自然に調節できる”。

このプロジェクトは3Dプリントを使って、歯のついたアクチュエータをつかむ小さなクリップを作った。エネルギーを放出するためには、物の反対側を引っ張って歯を外す。システムの全体はきわめて単純だが、エネルギーによってその素材が伸びたり膨らんだりせず、むしろそのエネルギーを蓄えるという事実は重要だ。これと同じ技術を使って、弾(たま)が装甲や防具に当たったら、その弾をつかんでしまうことが可能だろう。人も兵器も、より長寿になるね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

乾燥した砂漠の空気から水を集めるボックス…エネルギーや消耗品不要、キーワードは‘MOF’

私たちにとっては、きれいな飲用水は水道の蛇口から出てくる。でも世界にはそうでない人たちが何十億もいて、研究者たちがその対策を探している。たとえばカリフォルニア大学バークリー校ではあるチームが、電力不要で砂漠の乾燥した空気からでも水を採取できる器具を開発している。サボテンにそれができるのなら、人間にだってできるだろう。

空気から水を集める方法は、従来からいろいろあるが、電気や交換部品(〜消耗品)を必要とするものが多い。でもOmar Yaghi教授が開発した方法は、どちらも要らない。

その秘密は巧妙なソーラー集光集熱器でも、摩擦係数の低いファンによる風力利用でもない。素材がすべてだ。化学者のYaghiは、金属有機構造体(metal-organic framework, MOF)と呼ばれるものを作った。その多孔質の物質は、水を熱心に集めて、それらを放出する。

彼のMOFは小さな結晶の粉末で、気温が下がると水の分子を捕らまえる。そして気温が上がると、その水を空中に放出する。

Yaghiは昨年小規模なデモを行ったが、今回彼とチームは実用量の水が得られる現場テストの結果を発表した

彼らは一辺が約2フィートの箱の中にMOFを敷き詰め、外気にさらした。毎晩、気温が下がると湿度が上がり、水がMOFの中へ捕捉された。朝になると太陽の熱が水を粉末から追い出し、それが箱の側面にたまり、一種のカバーのようなものによって冷水が保存された。その結果、1ポンドのMOFで一晩に3オンス(85グラム)の水が得られた。

それはまだとても少ない量だが、改良は進んでいる。現在のMOFはジルコニウムを使っているが、今テスト中のアルミニウムのMOFはその1/100の費用で倍の水が得られる。

新しい粉末といくつかの箱を使えば、電力も消耗材も使わずに一人の人間の飲用水をまかなえる。水を集めて保存する仕組みが完成したら、上水道システムに依存しないポータブルな給水装置ができるだろう。

バークリー校のニュースリリースでYaghiは説明している: “これまで、このようなものはなかった。それは常温で晴天の環境でも使用でき、エネルギー不要で砂漠で水を集められる。アルミニウムのMOFは安いので、十分に実用性がある”。

彼によると、すでに商用製品を開発中だ。今後さらにテストを行い、機構を改良し、新しいMOFを試して、暑い夏に間に合う製品が完成するだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、撤廃案に先立ちクリーンパワー計画の支持を表明

GoogleはAppleに続き、IT企業大手としてクリーンパワー計画支持を表明した。同社はオバマ時代の法案を支持する声明を環境保護庁に提出し、その後TechCrunchにも提出文書を提供した。

2030年までに発電所の二酸化炭素放出量を30%以上削減することを目標とする同法案は、トランプ政権によって撤廃されようとしている。Appleの先日の提案と同じく、Googleは法案が撤廃された場合の環境面、経済面、両方の悪影響を指摘している。

「風力および太陽光発電の普及 —— ならびに関連サプライチェーンの整備 —— はここ数年の米国経済の中で最も急成長している分野である」と同社が4月25日付けの書簡で言った。「雇用の成長は、労働力全体の成長を大きく上回っている」

さらにGoogleは、同法案を支持する個別の事情として、同社の再生可能エネルギーへの転換の取組み、およびクリーンパワー計画によって起きる雇用の促進を強調した。「クリーンパワー計画は今後もイノベーションと雇用を拡大し続ける。同時にアメリカの電力システムを近代化し、二酸化炭素放出を減らし、地球温暖化による脅威の緩和に貢献する」とGoogleは言った。

窮地に追い込まれたスコット・プルート長官率いる環境保護庁(EPA)は、この法案は同庁の認可を不当に拡大していると指摘した。先月末トランプ大統領は大統領命令を発動し法案の見直しを命じた。この動きを多くの評論家は法案撤廃への第一歩であると見ている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、クリーンパワー計画撤廃案に反対表明

クリーンパワー計画は、オバマ前大統領政権時の政策をトランプ政権が潰そうとする最新事例だ。実際、環境保護庁(EPA)のスコット・プルート長官は、温室効果ガスの削減計画を廃止する意向を公言してはばからない。

Appleは、この件に反対の声を上げた最初の —— そしておそらく最後ではない —— 企業だ。今週同社はEPAに対して、計画撤廃が引き起こす結果への懸念を指摘する声明を提出した。声明は、環境面だけでなく、おそらく政権にとってもっと重要であろう経済面への影響にも言及している

Appleが指摘するように、すでに同社はクリーンエネルギーに多大な投資をしており、米国内での100%再生可能エネルギーを推進し、海外でも同様の約束をしている。環境に対する明確な悪影響に加え、気候変動に関する政策の変更がAppleの収支にもたらす影響は容易に想像できる。

「電気の大規模消費者であり、クリーンエネルギー戦略の推進に成功している企業として、Appleはクリーンパワー計画が電力市場を体系化し長期的傾向にプラスの影響を与えると信じている」とAppleグローバルエネルギー責任者のRobert Redlingerが声明で述べた。「クリーンパワー計画は、再生可能発電資源と伝統的発電技術を総合的に使うことによって、信頼性と回復力の高い電力網の設置を可能にするためのフレームワークを提供する」

プルート長官は、クリーンパワー計画は前任者らが無理をした計画であり、トランプ政権は石炭、石油および天然ガスを優先していくと、独自の弁舌を振るった。Appleの声明は承認プロセスでEPAによってレビューされる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

大きさが1ミリ弱でエネルギーを光から得る撮像素子はカメラをどこにでも隠せるやばい発明

今の世界に、これだけ大量のカメラがあっても、まだ足りないと主張する研究者たちが、今度は顕微鏡的サイズで電力を自給できるカメラを作った。それは、どこにでも埋め込むことができて、しかも寿命は永久的だ。確かにクールな技術だが、これによりアルミ箔の売上が急増するかもしれない(後述)。

技術者たちはこれまで、カメラセンサーが自分に当たる光を動力源にする方法を研究してきた。必要なのは、光電池が持つ二つの機能、自分に光として降り注ぐエネルギーを保存する機能と、どれだけのエネルギーが得られたか記録する機能だ。

問題は、電池が一つのことをしているときは、他のことができないことだ。だから、一定サイズのセンサーが必要なら、面積の一部を電力収集用にするか、または高速に役割を交替するかだ。

ミシガン大学のEuisik YoonとポスドクのSung-Yun Parkは、そのどちらもしなくてすむ方法を思いついた。よく見ると、感光性ダイオードは完全に不透明ではない。むしろ、かなりの量の光が透過している。だから画像センサーの下にソーラーセルを置いても、光は十分得られる。

この天啓によって彼らの、“撮像とエネルギー収穫を同時に行う”センサーが生まれた。それは、アルミ箔の上で動作するのだ。

彼らが作ったプロトタイプのセンサーは、大きさが1平方ミリメートルより小さくて、太陽光の中では完全に自己発電できた。そして、15fpsで十分良質な画像を撮れた:

左のベンジャミン・フランクリンは7fps、右は15。

彼らが書いたペーパーには、センサーを改良すればもっと良い画質が得られる、とある。そしてParkがIEEE Spectrumに書いているところによると、消費電力もまだ最適化されていないから、今後はもっと暗いところで高いフレームレートで撮影できる、という。

究極的にはこのセンサーは、誰にも見つからないカメラとして利用でき、電池もワイヤレス送電も要らずに、永久に動き続ける。すごいね!。

もちろん隠しカメラを作るなら、ストレージや通信機能も要る。しかし、それらの顕微鏡的バージョンも今どこかで開発中だから、それら周辺装置を組み込むのも時間と努力の問題だ。

チームは彼らの成果を、今週のIEEE Electron Device Lettersに発表している。

画像クレジット: ミシガン大学

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SoftBank Groupとサウジアラビアが世界最大の太陽光発電所に2000億ドルを投資する

金額規模数十億ドルという派手な投資の数々で知名度を上げたSoftBank Group Corp.については、本誌TechCrunchもそのVision Fundや、UberDidiへの投資などを取り上げてきたが、今回は総工費2000億ドルの太陽光発電所を建設するための、サウジアラビアとの基本合意書に署名した。2030年には200ギガワットの最大発電能力に達すると予想されているその太陽光発電所は、この種類の発電所としてはこれまでで世界最大規模となる。

Bloomberg New Energy Financeがまとめたデータによると、このサウジアラビアのプロジェクトは、二番目に大きいとされる開発計画の約100倍の規模だ。その二番目とは、オーストラリアで2023年に完成予定のSolar Choice Bulli Creek PV、その最大発電能力は2ギガワットだ。

火曜日にサウジのMohammed Bin Salman王子も出席したニューヨークのイベントで孫は、このプロジェクトが10万の雇用を作り出し、サウジの発電能力を現在の三倍にし、電力コストを400億ドル節約する、と述べた。サウジアラビアは世界最大の原油輸出国だが、しかしこの王国は現在、石油依存を脱して経済を多様化しようとしている。政府は先月、サウジアラビアで最初の公共事業規模の再生可能エネルギープラントACWA Powerに、3億200万ドルを助成した

2011年の福島の原発炉心融解以降、クリーンエネルギーのプロジェクトは孫の情熱のひとつとなり、SoftBankはモンゴルの風力+太陽光エネルギープロジェクトや、きわめて意欲的な、アジアの複数国をカバーする再生可能エネルギー送電網Asia Super Gridにも投資している。

SoftBankはサウジアラビアでこのほか、2017年5月に発表された930億ドルのテクノロジー産業育成ファンドにも出資している。こちらは、Vision FundとサウジアラビアのPublic Investment Fundが創ったファンドだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

無から水を得る懸賞Water Abundance XPRIZEのファイナリスト5作品が決定

水は生命にとって欠かせないものであるにもかかわらず、戦争でインフラが破壊されたり、気候変動で川や帯水層が干上がってしまったところなどでは、飲用に適したきれいな水を得ることがとても難しい。技術革新推進のための懸賞NPO Xprizeの新しい応募課題Water Abundance XPRIZEがこのほど締め切りを迎え、大気から水を採取する技術5点が、決勝に残った。

課題の要件は、まるでSFなみに厳しい。それは、“再生可能エネルギーだけを使って大気から一日に2000リットル以上の水を取り出すこと、そのコストはリッターあたり2セント以下”だ。そんなこと、可能だろうか?

目の前に100万ドルの優勝賞金が人参のようにぶら下がっていると、誰もがその課題に挑戦したくなる。しかし決勝に残ったのは5社で、彼らは25万ドルの予選突破賞(milestone prize)を仲良く分け合う。それは決勝戦に向けての資金でもある。まだ詳しい技術情報は得られていないが、5つの作品をアルファベット順にご紹介しよう:

Hydro Harvest: オーストラリアのニューカッスル大学のチームは、“基本に帰れ”を実践した。コストを抑えるためには賢明な判断だろう。このチームは以前、ごみを燃料とする無公害の発電機を作ったことがある。

JMCC Wing: ハワイのチームのチームリーダーは長年、太陽光発電や風力発電に取り組んでいる。そこで今回の応募作品も、超高効率でスケーラブルな風力発電装置と商用の復水器(water condenser)を組み合わせている。発電機が大きいほど、エネルギーコストは安い。

Skydra: シカゴのチームの作品だが、“自然と工学系のシステムを併用したハイブリッドなソリューション”、という超短い情報しか、今のところ得られていない。

The Veragon & Thinair: これはアルファベットではUの下と上の両方に来るが、とりあえずここに置いた。このイギリスの共同チームは、復水(water condensation, (主に冷却により)空気中の水を回収)効率の高い素材を発明し、真水だけでなくミネラルウォーターへの応用も計画している。

Uravu: インドのハイデラバードのチームもやはり“基本に帰って”ソーラーを利用しているが、太陽電池は使わずに、装置の設計により、太陽光を直接利用する。得られる水は、たぶんかなり温かいのだろう。

最初の試験は1月に行われ、第二ラウンドは7月だ。そのときは、ビジネスプランも評価の対象になる。8月に賞金100万ドルを得る勝者が決まる。誰が勝ってもいいけど、全員の今後の健闘と地球上各地での活躍を期待したいね。

画像提供: https://www.rwlwater.comのライセンスによる。

関連記事

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

NvidiaとGE傘下のBaker Hughesが石油と天然ガス産業を総合的にAI化へ

NvidiaとGEの子会社Baker Hughesが、石油と天然ガスの業界にAIを持ち込もうとしている。しかもその対象はこの産業のあらゆる局面にわたり、石油資源の探査から採掘、精製、そして最終消費者へのデリバリにまでAIを導入する気だ。

Baker Hughesはもちろん、Nvidiaの、AIに強いGPU技術を利用するつもりだ。たとえばそれは、大型データセンターで使われているNvidia DGX-1スーパーコンピュータや、デスクトップにスーパーコンピュータ級の能力を持ち込むDGX Stationsなどだ。エッジコンピューティングでローカルなディープラーニングを可能にするNvidia Jetson AIも利用されるだろう…エッジでやればワークロードがわざわざクラウドに行く必要がない。

このカバー範囲の広い構想が実現するためには、Nvidiaの広範な技術のすべてが必要だ。石油とガスといえば、大規模なシミュレーションやデータ処理によって正確な探査を行い、いざそこを掘るとなったら地殻の活動を予測しなければならない。また地球上各地の僻地のようなオフショアのプラットホーム(採掘現場)も多いから、粗悪で貧弱な通信条件にも対応しなければならない。

この共同プロジェクトの目的は天然資源の取得量の最大化だが、もうひとつ重要なのが使用する機器装置類の寿命管理だ。たとえば遠い海の上のプラットホームでは、機器類の不具合を、余裕をもって事前に予測できなければならない。起きてしまってからでは遅い。このことは操業効率の最大化という側面のほかに、サイトの労働者たちの安全確保のためにも重要だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

電気自動車に自動充電するソーラーハイウェイ、中国でパネルの小片が盗まれた

ソーラーパネルを道路に敷くことは、必ずしも迷案ではないが、しかし問題もあるようだ。たとえば、それを盗む人がいるかもしれない。中国ではまさにそれが起きて、世界で初めてのソーラーパネルで舗装したハイウェイ、と称する道路が、開通からわずか5日後にやられた。

Qilu Evening Newsが報じTechNodeが孫引きしている記事によると、山東省にあるその長さ1キロメートルの実験用道路は、1万枚あまりのソーラーパネルでおおわれ、それらは丈夫な保護層でサンドイッチされている。表側はもちろん透明だ。全体の厚さは3センチになる。パネルには電磁誘導コイルがあり、その上を電気自動車が通ると充電される。表面の雪や氷は熱で溶かす。その実用試験は12月28日に始まった。

しかし1月2日の点検で、小片が切り取られていることが見つかった。幅15センチ長さ2メートル足らずで、勝手に外れたものではない。誰かに盗まれたのだ。でも、誰が何のために?

ソーラーパネルは安いし、大量に盗まれたわけでもない。修理には数千ドルかかると言われるが、でもなぜ、そんな小片を? なぜわざわざ道路開通後に盗んだのか? 妨害行為が目的なら、小片をきれいに切り取るのではなく、大面積を破損したり塗りつぶしたりしただろう。

地元のニュースチャネルが引用している業界筋の話では、それは“プロの集団の”仕業だ、という(Googleの中→英翻訳による)。それなら、説明がつくかもしれない。彼らは技術に関心があったのだ、という説もある。

このソーラーパネルのサンドイッチの模造品を生産して安く売ることに関心のある集団なら、小片を切り取って持ち去ったことも理解できる。模造品は中国ではありふれているが、でもそれは多くの場合、もっと単純な消費者製品に限られているのだが。

道路は修理後再び開通し、その後盗難事件は起きていない。最大の被害は、修理工事の間に通勤者が迷惑したことだろう。警察は、まだ捜査を続けている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ホタルの体内にある酵素を使って植物を光らせることに成功…夜の町の省エネに貢献か

MITの研究チームが、ホタルのおしりを光らせる発光酵素ルシフェラーゼを使って、暗いところで光る植物を作った。そもそも、なぜそんなものが必要なのか、という質問への答はもちろん、“科学そのものがクールだから”だ。

もっと退屈な答は、省エネだ。今のところ、結果に再現性があったのはルッコラやケール、ホウレンソウ、クレソンなどだが、彼らは、夜の町を街灯不要で明るくする街路樹など、もっと大きなものを目指している。

この研究のペーパーを書いたMichael Strano教授は曰く、“われわれのビジョンは、植物がデスクランプになることだ。電源の要らないランプだ。光は植物自身の代謝エネルギーから生成される”。

Stranoが引用する研究によれば、照明は世界のエネルギー消費の約20%を占める。暗闇で光る植物は、夜になると自分のエネルギーで光るから、省エネに貢献するだろう。もちろん実用化は、遠い先の話だ。今のところチームは、植物を約3時間半光らせることに成功しているが、しかしその光量は人間が本を読める光量の1/1000ぐらいにすぎない。

だから、科学者たちが改良に成功するまでは、Kindleで我慢しよう。改良には、酵素の密度を高めることも含まれるだろう。酵素を拡散する方法も、たぶん改良が必要だ。

MITによると、これらの酵素を使って植物を光らせる試みはこれが初めてではない。でも今回のチームのやり方は、発光効率がやや良い。それには、ルシフェラーゼとルシフェリンと補酵素Aの溶液に植物を浸す工程がある(ホタルが光る組み合わせだ)。そしてその圧力を上げることによって、溶液を植物の気孔に強制的に注入する。

研究者たちは、ルシフェラーゼ抑制剤を使って光を消すことにも成功した。その化学的スイッチを使えば、夜が明けたら植物の光をoffにできるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

地理空間画像分析サービスのEnviewが$6Mを調達、老朽化したパイプラインネットワークを救う

過去20年間でアメリカでは、国内を縦横に走る石油やガスのパイプラインで11459件の事故が起きている。

その被害額はおよそ60億ドルと言われ、死傷者数は1660名にのぼる。

しかし新進スタートアップのEnview.に言わせると、オペレーターたちがパイプの亀裂や歪みなど事故の兆候に早期に気づくことができれば、その被害は防げたはずだ、という。

今、石油やガス、電力会社などは、同社が開発した地理空間的分析ツールを使って、そのパイプラインネットワークをモニタし管理し始めている。

Enviewはこのほど、Crosslink CapitalがリードしLemnos, Promus Ventures, Skypeの協同ファウンダーToivo Annusらが参加した投資家グループより、600万ドルの資金を調達した。

この投資に伴い、Crosslink CapitalのパートナーMatt BiggeとLemonsのパートナーHelen Boniskeが、同社の取締役会に加わった。

Enviewの協同ファウンダーでCEOのSan Gunawardanaが、声明文で述べている: “私たちの社会は、送電線やパイプ、ケーブルなどの大きなネットワークに依存している。このインフラストラクチャが損傷すれば、爆発や火災、停電、生態系の汚損などの被害が生ずる。今回の新たな資金により、弊社の技術をより大規模に展開して、北米地区で最大のパイプラインや送電線を運用する企業の需要に応じ、社会の安全性と信頼性を強化できる”。

  1. story4_3-veg-undergrowth.jpg

  2. story4_2-classified-3d-data-with-veg-health1.jpg

  3. story4_1-visual-3d-data.jpg

  4. story2_1-aerial-imagery-before.jpg

  5. story2_2-aerial-imagery-after.jpg

  6. story2_3-3d-topographic-change.jpg

エネルギー省の2017年の白書によると、今アメリカには720万マイル(1160万キロメートル)の送電線と260万マイル(418万キロメートル)の石油や天然ガスのパイプラインがある。

American Society of Civil Engineers(アメリカ土木工学会)の報告書は、アメリカの石油とガスのネットワークの大半が、50年という想定寿命のもとに1950年代に構築されている、と述べている。つまりこれらは、緊急のアップグレードが必要であり、電力企業らはそのパイプや送電線の劣化を自覚する必要がある。

Enviewのソフトウェアを使えば、そのような実態を目視できると言われる。同社のソフトウェアは国のデータセットを処理して、大手石油、ガス、電力企業のインフラストラクチャに関するレポートを作成できる。

これらの企業はこれまで、2Dの地図は見ていたが、それらは今日の、LIDARと呼ばれる、高周波レーザースキャン技術によって作られる三次元画像に比べると、あまり有用ではない。これらのスキャンが作り出す大量のデータはしかし、これまでの方法では処理が困難だった。

“地理空間分析の市場は、2016年の310億ドル規模から2021年には740億ドルに成長する、と予測されている”、とCrosslink CapitalのBiggeは声明で述べている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoft、GEが新設したアイルランド風力発電所の全電力を15年間分購入

Microsoftは本日(米国時間10/9)、General Electric(以下、GE)がアイルランドのケリー州に新設したTullahennel風力発電所の37メガワットの全電力を、15年間購入する契約を締結した。

これは、いくつかの点において重要だ。まず第一に、これはMicrosoftがアイルランドにある自社クラウドデータセンターの、少なくとも一部の電力供給にクリーンエネルギーを使用することを意味する。これにより、Microsoftは電力コストを削減し、クラウドサービスの運営に伴う環境汚染を軽減できるかもしれない。

だが、これはデータセンターに電力を供給する以上の影響をもたらす可能性がある。なぜかと言うと、MicrosoftとGEは、風車から余剰電力を蓄電する技術開発に取り組んでいるからだ。この技術で余剰電力を蓄電できた場合、MicrosoftとGEはアイルランドの電力網に電力を還元することができる。

MicrosoftのDatacenter Strategy(データセンター戦略部)のゼネラルマネジャーであるChristian Beladyは、これはMicrosoftがアイルランドで築いた関係性の延長にあり、この契約は各方面において有益なものになるだろうと話す。「我々の契約は、アイルランドの電力網に新しいクリーンエネルギーを供給することに貢献し、また電力網の容量、信頼性、性能の向上をもたらすことができる革新的な要素を持っている。これによって風力エネルギーのような新しいクリーンエネルギー源を導入することが容易になり、それは環境、アイルランド、そしてMicrosoftにとっていいことだ」とBeladyは声明の中で述べた。

クラウドコンピューティングには、他のコンピューティング形態よりも環境に優しいというイメージが常にあった。しかし実際は、そのエネルギー源によって大きく左右する。近年、Apple、Facebook、Google、Microsoftなどの大企業は新しいデータセンターを建設したが、これらの企業が念頭に置いたのはエネルギー効率だ。

例を挙げると、Appleは2015年、130メガワットのソーラー電力を25年間購入する契約を締結した。その契約額は8億5000万ドルに上った。Facebookがオレゴン州のプラインビルに建設するデータセンターの設計をしていたのは2011年だったが、同社は当時からエネルギー効率について考慮していた。

世界的大企業が企業市民としての良い取り組みを行っているというのは理想的だし、彼らもそれを意図している部分はあるだろう。しかし、運営コストの低いデータセンターを建設することが、企業にとって経済的に得策というのが現実だ。その過程でこれらの企業の炭素排出量が減るのであれば、それは嬉しい結果といえよう。

今日Microsoftが発表した電力の他に、同社は全世界で600メガワットのクリーンエネルギーを調達している。

 

[ 原文へ ]
(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook