AIによる医療画像診断のエルピクセル元取締役が逮捕、およそ29億円を着服した容疑

医療や製薬、農業といった「ライフサイエンス」領域の画像解析ソリューションを開発する東大発ベンチャーのエルピクセル。FNNが報じたところによると、6月10日、同社元取締役で経理担当だった志村宏明容疑者が会社の口座からおよそ29億円を着服した疑いで警視庁に逮捕されたことがわかった。着服金額は総額で約33億円と見られている。

事件当時、志村氏はエルピクセルの資金を1人で管理しており、着服した金の大半は個人のFX取引に費やされていたと報道されている。

エルピクセルは2014年3月の設立。同社が2017年11月に発表した「EIRL(エイル)」は、AIを利用して医療画像診断を効率し、MRIなどの医療技術の進歩により、膨大な量の医療画像を向き合うことになった放射線診断医の業務をサポートしようするサービス。

TechCrunch Japanでもこれまでお伝えしてきたように、同社は2016年10月にジャフコ、Mistletoe、東レエンジニアリングらから総額7億円を調達し、2018年10月にはオリンパス、CYBERDYNE、富士フイルムなどを引受とする第三者割当増資により、総額で約30億円を調達している。報道によれば志村氏の着服は2018年4月から2019年1月で複数回に分けて行われたとされており、この資金調達の時期と重なることになる。

TechCrunch Japanはエルピクセルの広報担当者に情報を問い合わせており、返答があり次第記事を更新する予定だ。

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Google for Startups Acceleratorが国内でスタート、空やRevcommが選出

Googleは2月17日、Google for Startups Acceleratorの参加企業9社を発表した。このアクセラレータープログラムは、AI技術を活用した有望なスタートアップ企業に、Googleによる技術・組織運営などの幅広い分野にまたがる専門サポート提供するというもの。具体的には、同社社員15名以上からなるチームによる支援、企業や製品に関する大枠な戦略策定のサポート、Google for Startups Campusの利用、資本投資なしのサポート、Googleのメンター(育成・指導)など。Google for Startups Campusは、同社が昨年に日本法人の拠点を六本木から渋谷に移した際に開設された。

関連記事:Googleがスタートアップ支援の「Google for Startups Campus」を東京・渋谷ストリームに年内オープン

アクセラレータープログラムに参加するスタートアップは以下の9社。ホテルなどに向けてシーズンや曜日に応じた適切な価格設定を自動化する、いわゆるダイナミックプライジングサービスなどを開発・提供する空、AIとIP電話を活用して電話営業の効率化を図る「MiiTel」を開発・提供するRevCommなどが選ばれている。空はTechCrunch Tokyo 2017、RevCommはTechCrunch Tokyo 2019のスタートアップバトルで最優秀賞を獲得した企業だ。

  • エルピクセル : AI医療画像診断の支援技術を提供
  • カラクリ:顧客対応・カスタマーサポートのオートメーションサービスを提供
  • Singular Perturbations(シンギュラー パータベーションズ):最適なパトロール経路/安全な経路の策定・警備人員計画・犯罪要因分析などの犯罪リスクヘッジソリューションを提供
  • Selan(セラン):子どものお迎えと英語教育を同時に解決するサービスを提供
  • :ホテルの予約や市場データを元に料金設定業務を最適化し、収益創出の仕組み化を促進するサービスを提供
  • チャネルトーク:CX用のチャットツールと実店舗のアナリティクスサービスを提供
  • バオバブ:学習データ(アノテーション)作成サービスを提供
  • LeapMind(リープマインド):組み込みDeep Learning導入に向けたサービスを提供
  • RevComm(レブコム):電話営業・顧客対応を人工知能で可視化して、生産性向上を実現するクラウドIP電話を提供

AI画像診断で医療現場を変えるエルピクセルが30億円を調達、オリンパスや富士フイルムとタッグで事業加速へ

医療や製薬、農業といったライフサイエンス領域の画像解析ソリューションを開発する東大発ベンチャーのエルピクセル。同社は10月29日、オリンパス、CYBERDYNE、富士フイルムなどを引受とする第三者割当増資により、総額で約30億円を調達したことを明らかにした。

今回調達した資金を基に、AI活用の医療画像診断支援技術「EIRL(エイル)」を中心としたプロダクト開発を加速する計画。合わせて国内外での市場開拓ならびに販路構築、それらに伴う組織体制の強化などにも取り組むという。

同社は2014年3月の設立。過去には2016年10月にジャフコ、Mistletoe、東レエンジニアリング、個人投資家らから7億円の資金調達を実施している。

なお今回エルピクセルに出資したのは以下の企業だ。

  • オリンパス
  • CYBERDYNE
  • テクマトリックス
  • 富士フイルム
  • SBIインベストメント
  • CEJキャピタル(CYBERDYNE子会社)
  • ジャフコ

これまでも何度か紹介している通り、エルピクセルは東京大学の研究室のメンバー3名によって創業されたスタートアップ。研究室時代から培ってきたという画像解析技術を活用してライフサイエンス領域で画像解析システムの研究開発を行ってきた。

特に力を入れているのが医療分野における研究だ。東京大学や国立がん研究センターをはじめ複数の医療機関とタッグを組み、人工知能を活用した画像診断支援技術・ソフトウェアの開発に取り組んでいる。

それをプロダクト化したものが2017年11月に発表したEIRLだ。近年CTやMRI、内視鏡などの医療機器の高度化が進み、医療現場では取扱う医療画像のデータ量が急増している。EIRLは現場で膨大な画像に向き合う医師をサポートするためのプロダクト。画像診断支援技術を通じて見落としや誤診を防ぎ、効率的な医療の実現を目指している。

今回の調達はこれらの動きを一層加速させるためのものだ。法令ほか必要な手続きを経て、同社の技術が医療機器として使用できることを目指すほか、国内外の市場開拓と販路拡大に取り組む。また医療現場へのスムーズな導入とアフターケアの充実を見据え、いくつかの調達先とは業務提携も進める計画だ。

たとえばオリンパスとはこれまでも内視鏡・顕微鏡画像診断支援のAI技術開発に関する共同研究に取り組んできた。両社では今後の業務提携も視野に入れ、新たな協力体制についても協議していくとしている。

富士フイルムに関しても4月に提携し、同社の医用画像情報システム上でエルピクセルの診断支援AI技術を利用できるサービスの開発に着手済み。まずはエルピクセルのAIエンジンを富士フイルムの内視鏡システムで活用するためのシステムを開発し、AI技術の共同開発も検討する。

またCYBERDYNEとは本日付で業務提携を発表。双方の技術を複合融合し、疾患の早期発見・診断・治療に向けた医療ビッグデータ解析の開発強化を目指す。

“膨大な医療画像”に向き合う医師をITで支援、東大発エルピクセルがAI活用の診断支援システム発表

医療や製薬、農業といった「ライフサイエンス」領域の画像解析ソリューションを開発する東大発ベンチャー、エルピクセル。同社は11月24日、研究開発を進めている医療画像の診断支援技術「EIRL(エイル)」を発表した。

EIRLを通じてエルピクセルが取り組むのは、医療画像診断を効率化することによる「放射線診断医の業務サポート」だ。近年CTやMRIなど医療技術が進歩することにともなって、現場で働く診断医は日々膨大な量の医療画像と向き合うようになっている。

横断的な知識や経験を持ち、医療画像から病巣を見抜ける専門医の数は全国で5500人ほど。これは割合にすると医師全体の2%にも満たない人数だという。この限られた人数で増加し続けるデータ量に対応する必要があり、業務負担の増加が問題視されている状況だ。

これまでエルピクセルは国立がん研究センターなど複数の医療機関と連携し、AIを活用した医療画像診断を支援するシステムの研究開発を進めてきた。現在EIRLを活用して脳MRIや胸部X線、乳腺MRI、体調内視鏡、病理といった画像診断支援技術に取り組んでいて、本日10のテーマを公開している。

EIRLの主な特徴は以下の通り。

  • 医師のダブルチェック、トリプルチェックによって品質が担保された学習データを使用
  • 学習データが少なくても効率的、高精度に学習する独自技術を活用
  • 主要な画像診断装置および撮影プロトコルで撮影した医療画像に対応
  • PACSシステムと連携可能

これらの特徴を活かしながらエルピクセルでは医師の診断を支援していくという。

同社は2014年3月の設立。2016年10月にはジャフコ、Mistletoe、東レエンジニアリングらから総額7億円を調達している。