スポーツ特化型ギフティングサービスの「エンゲート」が資金調達を実施

スポーツ特化型ギフティングサービスの「エンゲート」が資金調達を実施

スポーツ特化型ギフティングサービス「エンゲート」を提供するエンゲートは11月2日、第三者割当増資として、資金調達を実施したと発表した。引受先は、SBIインベストメントが運営するファンド、セゾン・ベンチャーズ、セガサミーホールディングス、MPandCの4社。

エンゲートはスポーツファンがチームや選⼿を「応援する気持ち」を「ギフティング」(投げ銭)を通じて応援するサービスを提供。

応援したいチームを選び、チームや選手にギフティングすること(デジタルギフトを贈ること)で、ファンから直接支援を届けることが可能。数十種類以上のギフトから、選手の活躍やプレーに応じギフトを贈ることができ、チームや選手とファンの絆をつなげられる。

また多くのギフティングを行ったファンは、各チームが開催するイベントを通じ選手と会えたり、サイン入りのユニフォームがもらえたりするとしている。

現在、NPBプロ野球(1チーム)、サッカーJリーグ(9チーム)、バスケットボールBリーグ(15チーム)など、様々な種目から64チーム以上がエンゲートに参画

 

スポーツチームや選手向けギフティング(投げ銭)サービスの市場形成の加速に向け、さらなる顧客体験の進化やグローバル対応、事業領域拡大の実現にあたり、人財強化×プロダクト強化を更に加速させることを目的に、第三者割当増資を実施した。スポーツ特化型ギフティングサービスの「エンゲート」が資金調達を実施

2018年2月設立のエンゲートは、スポーツの世界をテクノロジーが変える」をミッションに、スポーツチームとチームや選手を応援したい個人をつなぐサービスを展開。最新技術を取り入れたサービス開発と、チームサポートなどビジネスの両面を追求し、アスリートの夢と、アスリートを応援したい人のコミュニケーションの最大化を目指している。

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スポーツ選手やチームをブロックチェーン応用の投げ銭で応援するEngateが正式ローンチ、競技場でキャンペーンを展開

カテゴリー: ネットサービス
タグ: エンゲートスポーツ(用語)資金調達(用語)日本

スポーツ選手やチームをブロックチェーン応用の投げ銭で応援するEngateが正式ローンチ、競技場でキャンペーンを展開

エンゲートは、スポーツ選手やチームを、ブロックチェーン上で発行したデジタルの「投げ銭」で応援するサービス「Engate(エンゲート)」(関連記事)をこの10月20日より開始する。まずWebアプリケーションの形態から開始する。スマートフォンアプリ版も追って投入する方向だ。スポーツ選手、スポーツチームにとって「ファンの応援と資金」はとても重要だ。Engateが目指すビジネスは、選手やチームを応援するファンの応援の可視化、コミュニティ形成、そして投げ銭という形での収入を選手とチームにもたらすことだ。

サービス開始にあたり、複数のプロスポーツの試合の場でキャンペーンを展開する。キャンペーン対象となる試合当日、競技場への来場者にURLを配布、そのURL経由で新規ユーザーアカウントを作ると100ポイントを付与する。100ポイントの範囲でギフトの投げ銭(「ギフティング」と呼んでいる)の体験を無料でしてもらう。もっと応援したければ、クレジットカードでポイントを購入してもらう仕組みだ。

キャンペーン対象の最初のゲームは、10月20、21日開催の横浜ビー・コルセアーズ(バスケットボール)の滋賀レイクスターズ戦である。会場は横浜国際プール。続いて、野球の徳島インディゴソックス、女子サッカーのINAC神戸レオネッサ、サッカーの湘南ベルマーレ、ハンドボールの琉球コラソン、フットサルのフウガドールすみだ、以上の各チームの試合でのキャンペーンを予定する。さらに「サッカーの横浜マリノスでのサービス活用ももほぼ本決まり」(同社)とのことだ。

サッカーJ1リーグ所属の湘南ベルマーレの運営会社で代表取締役を務める水谷尚人氏は、「1990年代には、我々のチーム名はベルマーレ平塚だった。親会社が撤退し、地域の人々に支えられた。そのような経験から収入源には常に気を配っている」と話し、「我々とサポーター(ファン)の距離をもっと近くしていきたい」とサービス参加への狙いを話す。

記者会見の会場には、前出の湘南ベルマーレ水谷氏をはじめ、計5チームの経営者が出席した。横浜ビー・コルセアーズ(バスケットボール)代表取締役CEOの岡本尚博氏、徳島インディゴソックス(野球)運営のパブリック・ベースボールクラブ徳島 代表取締役社長の南啓介氏、フウガドールすみだ(フットサル)運営の風雅プロモーション代表取締役社長 安藤弘之氏、琉球コラソン(ハンドボール)代表取締役/CEOの水野裕矢氏である。

各チームとも、ファンとチームを結ぶ新サービスへの期待を口々に語った。目を引いたのは「異なる競技のチームと知見を共有したい」というコメントが目立ったことだ。エンゲートの城戸幸一郎CEOは、「日本のスポーツファンは一つのスポーツのファン、野球ファンやサッカーファンのような人たちが多い。仕事で目にした欧州では、2種類以上の競技のファンであることは普通だった。今後は、サッカーのファンがハンドボールの面白さに気がついたり、野球ファンがバスケットボールも見始めたり、ファンが環流するよう仕掛けていきたい」と抱負を語る。

サービス設計では、「投げ銭」としてデジタルなギフトを送るだけでなく、スポーツチームからファンへのお返し(リワード)も重要な役割を果たす。例えば選手との食事会、始球式へのファンの起用、記念グッズなどの検討を進めている。

収益モデルはレベニューシェアだ。利用者が購入するデジタルなギフトの売上げを、エンゲートと各スポーツチームで分配する。「スポーツ以外のギフティングサービスに比べても大きな割合をチームに分配する予定だ」(城戸CEO)としている。

3種のブロックチェーン技術を比較検討しNEMを選択

記者会見の場では、サービスが利用するブロックチェーン技術についても説明があった。エンゲートは、ブロックチェーン技術に関するセミナー事業も展開していることもあり、ビットコイン、Ethereum、NEMと複数のブロックチェーン技術のリサーチを行ったと語る。

今回のサービスでは、ポイントを表現するトークン発行の基盤技術として仮想通貨NEMのパブリックブロックチェーンを採用した。その理由として、エンゲートBlockchain PRの藤田綾子氏は「ビットコイン、Ethereumのトークンはアプリケーションにより発行する。NEMのトークン(モザイク)はブロックチェーンの核となるプロトコルそのものが発行するので安全性が高く、またAPIから利用でき簡単だ。またEthereumに比べ手数料が約1/40で安いという特徴もある」と説明。「安全、簡単、安いという理由でNEMを選択した」(藤田氏)。

Engateのポイントはパブリックブロックチェーン上のトークン(NEMのモザイク)を使ってはいるが、サービスの外部では価値を持たない設計とした。「仮想通貨と異なり、サービス外で価値がなければ盗難などの恐れも少ない」(藤田氏)。

ここまでの話を聞けば、ブロックチェーンを使わなくても似たサービスは実現できそうに思える。だが、パブリックブロックチェーンならではの特徴がいくつかある。一つは、ある種の公共財といえるパブリックブロックチェーンを上手に活用することでシステム構築コストを抑えられる可能性があること。もう一つは、ブロックチェーン上の記録は誰でも読み出せる記録として永続的に残ることだ。Engateのサービスが使われる度に、改ざんがほぼ不可能なパブリックブロックチェーン上にファンと選手、チームの応援の記録が刻まれる。「ファンの思い、『熱量』が恒久的にデータとして残る。このデータの上の多様なサービス展開も考えている」(藤田氏)と同社は思いを語っている。

スポーツチームに投げ銭できるサービスEngateを9月開始、NEMブロックチェーンでトークンを発行

エンゲートが開発を進めている新サービスEngateは、スポーツチームや選手に「投げ銭」して応援する「投げ銭コミュニティ」サービスだ。概要は次のようになる。運営元のエンゲートが「トークン」(企業ポイントのような概念)を発行し、同時に仮想通貨NEMのブロックチェーンに記録する。ファンはサービス上で日本円による支払でトークンを購入、スポーツチームの試合、練習風景のライブ配信やメッセージ動画などのコンテンツを見ながら、トークンを使って購入したデジタルギフトによる「投げ銭」で応援する。この2018年9月からサービスを開始する予定だ。

このサービスの大きな狙いは、スポーツチームとファンを結ぶコミュニティ上でトークンの流れを作りだし、スポーツチームの収入源となることである。別の言い方をすると、スポーツ×トークンエコノミーによるコミュニティ形成を狙う。「多くのスポーツチームと話をしてきた。話をすると、ほぼ『一緒にやりましょう』になる」とエンゲートCEOの城戸幸一郎氏は話す。トップリーグのスポーツチームはテレビ放映権や広告収入などの収入源があるが、地域リーグのチームは経営に苦しんでいる場合が多い。個人ファンが手軽に「投げ銭」できるサービスは、スポーツチームにとっては新たな収入源となる可能性があるのだ。

投げ銭を受け取ったスポーツチームに対しては、トークンの金額から運営会社エンゲートの手数料、スマートフォンプラットフォーム(App Storeなど)の手数料を差し引いて、PR協力費として支払う形とする。

既存の類似サービスとして、個人が配信する動画を見ながら投げ銭を送れる17 Live(イチナナ)Showroomがある。動画を見ながら「投げ銭」を送る点では似ている。ただし既存サービスとEngateが大きく違う点は、内部的な仕組みとサービス設計だ。ブロックチェーン技術を用いてトークン発行量を担保する仕組みを採用してトークン交換市場などに発展できる可能性を持たせ、またスポーツチームの応援、支援を目的としたトークンエコノミー形成を狙うサービス設計となっている。

現時点で、8競技20チームの協力を得ている。競技の種類はハンドボール、サッカー、フットサル、野球、格闘技、バスケットボール、バレーボール、ラグビーの各種。また、プレスリリースでは以下のチーム代表が賛同を表明している。

  • 徳島インディゴソックス(プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplus所属) 球団オーナー 荒井健司氏
  • レイナ川内レディースサッカークラブ 代表 山口 純氏
  • フウガドールすみだ(フットサルクラブ) 代表 安藤弘之氏
  • 日本ハンドボール協会 会長 湧永寛仁氏
  • 日本ハンドボール協会 事務局長 清水茂樹氏

NEMブロックチェーンでトークンを発行

Engateでは、仮想通貨NEMのパブリック型ブロックチェーンにトークン発行を記録する。ただし、後述するようにEngateのトークンは仮想通貨とは異なる概念である。またICO(イニシャルコインオファリング、新規仮想通貨発行による資金調達)は計画していない。

パブリック型ブロックチェーンには、記録内容の改ざんが非常に困難という特徴がある。そこにトークン発行を記録すると、運営会社がトークン発行量を勝手に水増しすることはできなくなる。つまりトークンの発行数を証明し、希少性を担保できる強力な手段となる。NEMのパブリック型ブロックチェーンを活用する日本発のサービスは、政治×トークンエコノミーのPoliPoli(NEMを活用予定)、日本円連動の決済手段として使えるLCNEMステーブルコインが登場するなど、最近になって事例が増えつつある。NEMブロックチェーンをサービス基盤として利用する場合の主なメリットは、標準機能の範囲内で新トークン(モザイクと呼ぶ)を作りマルチシグの設定ができる点、機能がWeb APIの形で提供されていてWeb開発者にとってアプリケーション開発が容易な点である。

Engateでは、トークンの保管や移動はEngateのサービス内で完結する形とする。この点は他の仮想通貨ベースのトークンとは異なる設計である。「仮想通貨ベースのトークンを引き出して移動するには個人が秘密鍵を管理する必要があるが、ほとんどの人にはおそらく無理。それよりも、サービス内でトークンを扱える方がスポーツファンには親しみやすい」(エンゲート Blockchain PRの藤田綾子氏)。パブリック型ブロックチェーンでトークンの希少性を担保しつつ、サービス内で完結している点は、2017年にサービスを開始して話題になったVALU(Bitcoinのパブリック型ブロックチェーンとOpenAssetプロトコルを利用する)と仕組みが似ている部分があるといえるだろう。

発行するトークンの法的フレーワークは資金決済法が定める「仮想通貨」ではなく、同じ資金決済法で定める「前払式支払手段」とする。これはプリペイドカードや商品券と共通の枠組みである。前払式支払手段を用いるサービスとしては、他にSuicaなどの電子マネー、スマートフォン送金サービスのKyashなどがある。

エンゲート代表取締役の城戸幸一郎氏

エンゲートは、将来的には「スポーツ選手と会える権利」などの特典をトークン化し、ユーザー間での交換も可能とすることを考えている。また、若手選手を応援・育成するファンドや、トークン交換市場などのアイデアも温めている。トークンエコノミーという新ジャンルならではのアイデアだ。

エンゲートは2018年、楽天の執行役員を務めた城戸幸一郎氏らが創業した。現在のメンバーはフルタイムが3名、兼業を含めると10人弱とのこと。テックビューロでマーケティングと広報業務、それにプライベートブロックチェーン技術mijinのセミナー講師などを務めてきた藤田綾子氏がBlockchain PRとして参加、また元Orb共同創業者でP2P電力取引プラットフォームTRENDE創設者である妹尾賢俊氏がアドバイザーを務めている。3名のエンジェル投資家が出資しており、近いうちにシリーズA資金調達を予定しているとのことだ。