YouTubeがユニバーサルと提携、約1000本の歴史的ミュージックビデオをHD化へ

米国時間6月19日、YouTubeとユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG、Universal Music Group)は、両社の提携を通して、約1000本の歴史的ミュージックビデオをリマスターしたことを発表した。

その中に含まれるのは、ビリー・アイドル、ビースティ・ボーイズ、ボーイズ・II・メン、ジョージ・ストレイト、ジャネット・ジャクソン、レディ・アンテベラム、レディ・ガガ、ライオネル・リッチー、マルーン5、ミートローフ、ノー・ダウト/グウェン・ステファニー、スモーキー・ロビンソン、キラーズ、トム・ペティなどのラインナップだ。

YouTube上にある最も象徴的なミュージックビデオの多くは「もともとモノラルスピーカーのブラウン管テレビを対象とした時代遅れの標準」形式でしか利用できなかった、とYouTubeは発表の中で説明している。しかし今日では、人々はデスクトップ、モバイル、テレビなど、さまざまなプラットフォームでビデオを視聴するようになっている。そしてそれらの多くは高解像度(HD)を提供しているが、その状況に古いビデオは対応できていなかった。

今回の新しいパートナーシップでは、ビデオとオーディオ両方の品質が、最高水準にアップデートされ、その新しいビデオが既存のSDバージョンと置き換えられることになる。また、新しいコンテンツとして登場するのではなく、URLはそのままで視聴回数や評価数(いいね)の数も引き継がれる。

米国時間6月19日の時点で、両社はすでに100を超えるミュージックビデオを更新している。その一部は以下のようなものだ。

計画では来年中にほぼ1000本近くをアップグレードすることになっていて、2020年末までには1000本のタイトルすべてが利用可能になる予定である。YouTubeによれば、このプログラムが継続すれば、毎週新しいビデオが追加されることになるということだ。

これらのビデオは、YouTubeとYouTube Musicでのみ利用可能となる予定だ。後者に関してはGoogle Play Musicとの計画的合併に先立って行われた

あるYouTubeミュージックビデオはアップグレードされたものかどうかは、ビデオの説明に“#Remastered”(リマスター済)というタグが出るので、判別できるようになる。

「ユニバーサル・ミュージック・グループと提携して、世界中のファンが最も歴史的で象徴的なビデオを視聴する方法を変えられることは、本当に光栄です。得られた品質は、真に素晴らしいものです」と声明の中で語るのは、YouTubeのレーベルリレーションの、グローバル責任者であるスティーブン・ブライアン(Stephen Bryan)氏である。「本日ご紹介したミュージックビデオたち、つまり本物の芸術作品たちが、それぞれのアーティストの作品としてふさわしい、そして今日の音楽ファンが期待する、高品質の基準を確実に満たすことが、私たちの目標です」。

「私たちはこれらの象徴的なミュージックビデオを、YouTubeとの提携を通して、最高の音質と画質でご提供できることに、とても興奮しています」と語るのは、UMGのデジタルストラテジー担当エグゼクティブバイスプレジデントのマイケル・ナッシュ(Michael Nash)氏だ。「私たちのレコーディングアーティストとビデオディレクターは、これらのビデオに多大な創造性を吹き込みました。彼らのビジョンと音楽の完全なエクスペリエンスを引き出すことができたことは素晴らしいことです。これらのビデオは、どの画面でも素晴らしく視聴できるだけでなく、今後何十年もの間、音楽ファンたちに楽しまれることでしょう」。

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(翻訳:sako)

AIを使った映画制作を狙う中国のスタートアップ

HBOのSF大ヒット作であるWestworldは、人間のように見えるロボットたちが、実世界で私たちのためにできることを刺激的に見せてくれた。現在の技術は、Westworldを現実のものにできるほどには十分に進歩していないが、スタートアップたちは仮想空間における人間とロボットの相互作用を再現しようとしている。

Y Combinatorを卒業したばかりで、先日の発表イベントでTechCrunchの9つのお気に入りに選ばれたrct studioもそのうちの1つだ。テレビシリーズの中で描かれたWestworldは、非常にリアリティのあるアンドロイド(人間型ロボット)たちによって支えられている、はるか未来のテーマパークであり、訪問客たちは英雄的でサディスティックな夢想を、後腐れなく楽しむことができる場所だ。

(将来明かされる秘密の理由で小文字の名称を故意に貫いている)rct studioが、コンピューターによる世界の生成に向かうのにはいくつかの理由がある。技術的な挑戦であることの他に、架空の世界を演じることで、実質的に地理的な制約を逃れることができるからだ。それとは対照的に、Westworldのようなエクスペリエンスは、細心の注意を払って建築された狭い公園内で実現されなければならない。

「Westworldは物理的な世界の中に構築されています。それは、この時代とタイミングでは私たちが関わりたいと思うものではありません」とTechCrunchに語るのは、rctのマーケティングを統括するXinjie Ma氏である。「物理的な環境でそれを実行するのは非常に困難ですが、完全に制御可能な仮想世界を構築することなら可能です」。

RCTスタジオ

rct studioは、仮想世界でWestworldのエクスペリエンスを構築したいと考えている。/イメージ提供:rct studio

このスタートアップはそうした仕事を引き受けるのに適している会社のように思える。なぜなら8人からなるそのチームは、Jesseという通名で知られている29歳のCheng Lyu氏によって率いられているからだ。Lyu氏はBaiduが彼の音声スタートアップ会社Ravenを2017年に買収したあと、Baiduのためにスマートスピーカーをゼロから開発した人物だ。 Ravenのコアメンバーの何人かと一緒に、2018年にLyu氏はBaiduを去り、rctを起業した。

以前Ravenでマーケティングを担当していたMa氏は、次のように述べている。「私たちは、ダイナミックに成長していった期間に、Baiduによって与えられた支援と機会に対して大いに感謝しています」。

AIに脚本を書かせる

登場しつつある分野を、私たちがどのように分類するのかによるが、没入型映画やゲームは既に、選択可能な記述済の脚本と共に提供されている。rctは、シナリオ作成のために人工知能を採用することによって、既存のエクスペリエンスを次のレベルに引き上げたいと考えている。

プロジェクトの中心にあるのは、同社独自のエンジンであるMorpheusだ。rctは、人間が書いたストーリーに基づいた大量のデータをそのエンジンに提供するので、その力を与えられたキャラクターは、リアルタイムで状況に適応する方法を知っている。コードが十分に洗練された暁には、エンジンが自己学習を行い、それ自身のアイデアを定式化することができるようになることrctは望んでいる。

「人間が物語のロジックを考え出すためには、膨大な時間と労力が必要です。機械を使えば、無限の数の物語の選択肢を素早く生み出すことができるのです」はMa氏は言う。

rctの没入型の世界を探検するためには、ユーザーはバーチャルリアリティヘッドセットを着用し、音声を使ってシミュレートされた自分自身を制御する。チームが自然言語処理の経験を積んできたことを考えると、音声の選択は自然なステップだったが、スタートアップはより現実に近いエクスペリエンスのために、新しいデバイスを開発する機会もよろこんで受け入れるつもりだ。

「それは映画Ready Player Oneが、仮想世界のための独自のガジェットを構築したやり方に似ています。あるいはAppleは、優れたソフトウェアエクスペリエンスを実現するために、独自のデバイスを設計しています」とMa氏は説明した。

クリエイティブな面では、rctはMorpheusが映画製作者のための生産性向上ツールになり得ると信じている。なぜならそれは物語の一部を読み込んで、数秒以内に意思決定木として分析することが可能だからだ。エンジンはテキストを3D画像にレンダリングすることもできるので、もし映画制作者が「その男がソファの後ろにある机にカップを投つける」というテキストを入力すると、コンピュータは即座に対応するアニメーションを生成することができる。

収益化への道

投資家たちは、rctの成果に期待している。このスタートアップは、Y Combinatorと中国のベンチャーキャピタルSkysagaからのシードマネーを銀行に預けてから、数カ月後にはもうシリーズAの資金調達ラウンドをクローズしようとしているということを、TechCrunchに語った。

Westworldの夢を成し遂げるためには、同社はいくつかの差し迫った課題を抱えている。一つには、脚本データでMorpheusを訓練するために、多くの技術的な才能を必要としているということだ。映画制作の経験を持つものがチームの中にいなかったので、彼らはAIの映画への応用を高く評価してくれるクリエイティブのヘッドを探している。

RCTスタジオ

rct studioのソフトウェアは物語の一部を読み込んで、数秒以内に意思決定木として分析することが可能である イメージ提供:rct studio

「私たちがアプローチする映画制作者の皆が、私たちのアプローチを気に入ってくれるわけではありません。映画業界はとても成熟していますからそうした態度も理解できます。しかしその一方で技術の可能性に興奮してくれる人たちもいるのです」とMa氏は語る。

スタートアップの、映画によるフィクションの世界への参入は、実世界をAIで大いに揺さぶろうという当初の情熱に比べれば弱いものだった。スマートスピーカーは最初の試みだったが、人びとが既に慣れ親しんでいる実際の物体を変えることは、難しいということが証明された。音声によって制御されるスピーカーにはある程度の関心が寄せられているものの、彼らが世界のあらゆる場所に存在する日はまだ遠い。そんなときに映画がチームの心をよぎったのだ。

「AIを利用するには、主に2つの方法があります。 1つは自動車やスピーカーのような特定の製品をターゲットにすることですが、これらには物理的な制約があります。そうではないAlpha Goのようなアプリケーションは、主に研究室の中にあるだけです。私たちは、物理的な制約がなく、商業的な可能性を秘めたものを望んでいたのです」。

北京とロサンゼルスを拠点とするスタートアップは、ソフトウェアを作るだけでは満足できないのだ。最終的には、それは自分自身の映画を公開したいと考えている。同社は、Hugo賞を受賞したCixin Liu氏を始めとして、約200人の作家と関係を持つ中国のSF出版社、 Future Affairs Administrationとの長期パートナーシップ契約を結んだ。両社は、1年以内にインタラクティブ映画の共同制作を開始する予定である。

rctの進もうとする道は、先行するある巨人を彷彿とさせる。そうピクサー・アニメーション・スタジオだ。この中国の会社は、必ずしもカリフォルニア拠点のスタジオにインスピレーションを求めていたわけではなかったが、その類似性は投資家たちへ売り込むためには便利な方便を与えてくれた。

「自信に溢れる会社は、他社との類似性をわざわざ述べたりはしませんが、私たちには本当にピクサーとの共通点があるのです。ピクサーもテック企業としてスタートし、やがて自分自身の映画をリリースしました。そして独自のエンジンも開発しています」とMa氏は語った。「多くのスタジオが私たちのエンジンの価格を尋ねて来ますが、私たちはがターゲットにしているのは消費者市場 なのです。私たち自身の映画を作ることは、単にソフトウェアを販売することよりもはるかに多くの可能性をもたらしてくれるでしょう」。

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(翻訳:sako)

BioWareからの期待のゲームAnthemは、プレイヤーの集中でサーバーがダウン、困難なスタートを切った

Destinyや、その他のオンラインシューティングの大作たちに対するBioWareからの回答であるAnthemに、ゲームの世界は沸き返っている。だがこの飛行メカゲームのために用意された限定プレビューの週末には、大変な苦労が待っていた。もちろん、イベントを盛り上げる多少のドタバタなしには、今どきのゲーム発表とは言えないが、今回のものは実際に少々困りものだった。

40ギガバイトのデモは、プレスやその他の”VIP”はもちろん、ゲームを予約注文した人たちも遊ぶことができるようになっていた。昨年のE3で発表されたこのゲームは、仲間と共に戦闘と探索を行いながら、巨大なオープンワールドの中をメカで飛行し、戦利品を集めるシューティングゲームだ。

少なくとも、作り手たちはそう言っている。だがフォーラムやソーシャルメディアはすぐに、デモが提供されたOriginサービスが正常に機能しないだけでなく、ゲーム自体もサーバに接続することができず、仮にできたとしてもその後の場面をロードすることができないという声で溢れかえった。

私自身もこの現象に遭遇した。やっとの思いでロードが終わりログインした後で、私はなんとか出発地点の街にたどりついた。デモ版ではない完全版では、この街で装備やクエストを手に入れることになる。しかし、私が最初のミッションを立ち上げようとしたり、実際のゲームの世界に入ったりしようとすると、ロードバーは約95%の地点で停止し、永遠にそこにとどまっていた(私は5分ほど待って、単に私の古いマシンのせいではないことを確かめるために、何度がリロードを繰り返した)。そうしたことをずっと繰り返した人たちは、遅延と不具合を訴えた。

メジャーなタイトル、特に大規模なオンライン要素を持つものが、たとえ限定版であっても、ある程度の速度上の問題なしに立ち上がることを期待する者はいない。だが今回のような状況は、宣伝という意味では大きなマイナスだ。発売元のEAは、サポートTwitterアカウント上で、問題が多数に上ることを認めた。

上図の最後のツイートでは、「現在デモに、より多くのサーバー能力を投入している最中です」と書かれている。

おかしなことに、EA Help自身のサーバーも問題を抱えていたために、ユーザーはAnthemをプレイできないだけでなく、Anthemをプレイできないと報告することもできなかった。

いまどきの第一級ゲームの立ち上げには、忍耐力を持つことが試されるが、この週末にこのゲームで遊ぼうと思っていたのは、無作為に選ばれたひとたちではなく、お金を払っているユーザーたちなのだ。この週末のプレビューデモは予約注文に対する一種のボーナスだと捉えられていた。だが初日は結局散々なこととなった。BioWareとEAが、本日接続しようとしていたプレーヤーの数を正確に予想できたはずであることを考慮するならば ―― そしてその数は、この先オープンベータを試みたり、正式なローンチ日に接続してくるものよりも遥かに少ない筈だ ―― 彼らがまるで油断していたように見えることは奇妙なことだ。

Anthemは確かに有望なタイトルで、開発者たちが最近のオンラインゲームで嫌われる要素がプラットフォーム上に現れないように努力を重ねた。しかし立ち上げ時の問題は、購入を決めかねているユーザーの気持ちを常に萎えさせる。ゲームが実際に発売されて1、2ヶ月もすれば、より良くなることにも疑問の余地はないのだから。立ち上げ時のユーザー数は、ゲームがプレイ可能ではないと考える(よってお金を払おうとは思わない)ユーザーの数に影響を受ける可能性がある。

とはいえ、近いうちにこれらの課題はみな解決すると私は確信している。そのときはまた、別の投稿で私の感想を述べることにしたい。

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(翻訳:sako)

なんとLEGOで実物大シボレー・トラックを製作、新作ムービーも3月公開へ

なんとLEGOブロックでシボレー・シルバラードを作ってしまったチームがあった。出来上がったトラックは実物大で、シボレーと2月に公開される新しいLEGO Movie[日本では3.29公開] のCMのためだという。 素材には子供向け大型おもちゃ用のDuploブロックを使っているようだ。映画ではこのブロックは宇宙から来たことになっている。

ともあれ、LEGOのシルバラード2019は全高180センチ、自重1.5トンという大物だ。組立てられたのはコネティカットのLEGO Master Builders作業場で、使われたLEGOは33万4544ピース。組立には18人で延べ2000時間かかったという。シボレーでは「われわれの車がLEGOで実物大で組立られたのはこれが初めて」だと保証している。

ビデオは30秒程度の短いものだが、18人のモデラーがコンピューター・モデリングを使って一糸乱れず協力して作業しているところは見ものだ。


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滑川海彦@Facebook Google+

無料でプレイできるゲームがエンターテイメントの世界を支配する、今やその売上は880億ドル

たしかにそれらは無料で遊べるかもしれないが、儲かるものであることは確実だ。SuperDataの年末のレポートによれば、入口は無料でありながら、様々な手段で課金を行うゲームたちが2018年に生み出した売上高は、880億ドル(約9兆6600億円)という驚異的な金額だった。従来のゲーム(や映画やテレビ)の売上をはるかにぶっちぎる結果である。

Fortniteが大ブレイクした2018年末の時点では、F2P(free to play:「無料プレイ」の略)がビッグビジネスであること自体は驚きではないかもしれないが、それでもその巨額さには驚かざるを得ない。

このレポートが示すように、ゲーム市場全体は驚異的な1100億ドルに達しているが、そのうち半分以上(約610億ドル)がモバイルから来ている。もちろんモバイルはF2Pプラットフォームの主たる発信地だ。

クレジット:SuperData

すべてのプラットフォーム合計で880億ドルという売上は、驚くべきトップ10と、長いロングテールを生み出すのに十分な額である。その中でもFortniteは、マルチプラットフォームに広がる巨大なフォロワーたちのおかげで、ダントツのトップである24億ドルの売上を稼ぎ出している。このゲームでは、PCとモバイル、アジアと西洋のゲームスタイルが入り混じっている。トップ10の売上合計は、146億ドルに達している。これはそれ以外の数千におよぶタイトルの売上に匹敵するほどの巨額さだ。

F2Pの売上の大部分はアジアから来ている。Tencentのような大手企業は、ゲーム内少額課金ベースのゲームを多数推進してきた。

これまで(その意味と意義が急速に失われつつある)「伝統的」なゲームは、個人がおそらく60ドルほど投資すれば、あまり大きな追加投資を行わずに遊ぶことができていた。こうしたスタイルは世界中のPCとコンソール上で合計160億ドル程度の売上を生み出していた。

一方、始めるために料金がかかるにもかかわらず、大きな売上を挙げているものの例は、「バトルロイヤル」ブームを引き起こした、PlayerUnknownの大人気作Battlegroundsである。これは1タイトルで10億ドルを稼ぎ出した。だがゲーム本体の売上とゲーム内少額課金の構成比率ははっきりしない。また驚くべきことに、5年前に発売されたゲームのGrand Theft Auto Vは、昨年およそ6億2800万ドルを生み出した(だがその売上の大部分は間違いなく、そのオンライン部分から得られたものだ)。

そうしたトップタイトルたちは、みなシリーズもので、その売上は西洋で売られているコンソールベースのものに偏っていて、アジア市場から得られる売上は(比較的)わずかな金額に留まっている。ゲームとその流通に関しては、中国はまったく異なる世界なので、これはそれほど驚くべきことではない。

最後に、YouTubeとTwitchの視聴者数の急増について触れないのは怠慢だろう。この両者を合わせれば、ゲーミングビデオの総売上の半分を占めることになる。また両者を比べるとTwitchの方がかなり先行している。しかし、本当の勝者はプレイヤーであるNinjaだ。これまでに彼は、驚くべきことに、のべ2億1800万時間の視聴時間をファンから稼いでいる。彼と他の人びとが、この奇妙で素晴らしい新市場で、生計を立てていることを祝福したい。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:sako)

時速145キロの車の中でVRを使っても気持ち悪くならなかった!

Holorideのシステムは楽しくて、乗り物酔いも防いでくれる

VRヘッドセットを使うと私は気持ち悪くなる。そう感じるのは私だけではない。これは仮想現実コンテンツに対して良く聞かれる苦情だが、今回紹介するスタートアップは、この問題をとても意外なやり方で解決したかもしれない。Holorideは人びとに、乗用車の後部座席でVRを使わせようとしている。

私の胃袋にかけて、その狙いは成功だと報告したい。

昨日私は、Oculus Goを装着して、ラスベガス郊外のレーストラックで、90マイル(145キロ)に達するスピードに振り回されたが、気持ち悪くならなかったのだ。実際、その乗車体験が終了したあと、時速35マイル(56.3キロ)以上の速度が出ていたことに驚いた程だ。Holorideのシステムは、面白くて気を紛らわせてくれるものだった。それはわたしを車のシートから引き離し、アイアンマンやロケット(どちらもマーベルコミックのキャラクター)と共に戦う宇宙へと導いた。

このデモを体験したあと、将来の車内エンターテイメントは仮想現実になるのではないかという思いを抱いたのだ。

それはこのようなものだった。

Audiの新しい電動SUV、e-tronの後部座席に座った私に、会社の代表者が車に接続されたOculus Goヘッドセットを装着してくれた。そして私はリモコンを手渡され、指示に従うようにと言われた。

マーベルのロケットが説明のために登場した。彼は、自分とアイアンマンを助けて、悪のタノスたちを、宇宙を飛行しながら撃ち落として欲しいと言う。

そして私たちは出発した…ゲームの中に、そして路上に。まるでディズニーワールドの乗り物のような心持ちがした。

画面上のコンテンツは、車両の動きと同期していた。Audi のSUVがトラックを走り回るのに合わせて、コンテンツが変化した。

e-tronが走り始めると、ゲームの中の私のロケット船も飛行を開始したし、e-tronがストレート部分を駆け抜けたときには、私のロケットも直進飛行した。その間私は、後部座席で子供のように笑いながら、リモコンを振り回して、タノスの魔の手から宇宙を全力で救おうとしていた。

どういうわけか、私は気分が悪くならなかった。

Holorideの秘密の一部は、VRコンテンツを車両のわずかな動きと一致させることにある。コンテンツは、バンプ(道路の隆起)から急カーブ、そして急な停止に至るまで、全てを補完する。同社が見据えている未来は、乗客が長時間の乗車に耐え、車酔いも起こさないような世界だ。

この技術の可能性には説得力がある。乗客を楽しませることは脇に置いたとしても、今でも車酔いは多くの人びとに影響を与えており、この仕掛はそれを解決してくれるように見えるのだ。もし飛行機または電車または長距離バスに向けてプログラムされたならば、Holorideのシステムは、より快適な乗車を可能にするだろう。

Holoride(MicrosoftのHoloLensとは無関係)は、過去2年間Audi社内でこのテクノロジーを開発していた。Audiはその技術を子会社として分離し、そのシステムを他のメーカーの他の車両に自由に組み込めるようにした。

乗り物酔いを誘発する傾向があるVRの性質は、普及のための最大のハードルの1つである。そしてただそこに立っているだけでも、多くの人たちがそれを経験しているのだ。車両の動きを、宇宙旅行のVRにミックスすることで、内耳があらゆるミックスされた信号を受け取ることになる。Holorideは、その課題を特長へと転化することを目指している。

この初期段階のデモは、Holorideが正しい方向に進んでいることを示しているが、コンテンツとユーザーを獲得するのは簡単ではないと思う。Holorideは、Disney GamesおよびInteractive Experiencesと協力してコンテンツを開発した。

私が体験したデモは感動的なものだった。それは私が欲しいもの全てを備えていた:インタラクティブコンテンツ、人気キャラクター、そして楽しいストーリーライン。しかし、私は程なく退屈し、数回しか遊ぶことはできなかった。多分私の子どもたちならもう少し長く楽しむことはできたと思うが、それでもそれほど長くはないだろう。

Holorideの創業者たちは、TechCrunchに、開発者にプラットフォームを開放するSDKを、年末までにリリースするつもりであると語った。現在のVRコンテンツをそのSDKに簡単に移植できるかどうかは不明だ。

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Holorideは自身を独立系企業だと言っているが、このスタートアップのルーツは完全にAudiである。Audi自身は、この技術を開発した子会社のAudi Electronics Ventureを通して、強くない影響力を持っているだけだ。Audiはこの技術をHolorideにライセンスし、そしてスタートアップ自身はオープンプラットフォームを使って、コンテンツデベロッパーだけでなく、FordからTeslaその他の全ての自動車メーカーが、希望の「○○現実フォーマット」を作り出すことができるようにしたいと思っている。

Audiのデジタルビジネスの責任者であったNils Wollnyは、AudiのVRエクスペリエンスのプロジェクトリーダーであるMarcus Kuhneならびに、同社のソフトウェアエンジニアであるDaniel Profendinerと共同で、Holorideを設立した。WollnyはHolorideの新しいCEOである。

彼ら共同創業者たちは、2014年にVRに取り組み始めた。しかしプロジェクトが真の意味で開始したのは、Disney GamesならびにInteractive Experiencesと提携をした2年前からである。

システムは車種毎に異なる設定をする必要がある。それは開発プロセスの一部なのだ。現段階では、Holorideの開発サイクルの中で、HolorideエクスペリエンスはAudiのe-tronのためにプログラムされていて、例えばChevy Tahoeでは機能しない。ある車種から別の車種へと気軽にヘッドセットを移すことはできないのだ。

Holorideに関しては、多くの疑問が残っている。プロジェクトにAudiの名前は冠されているものの、Holorideは独立した会社である。創業者たちはTechCrunchに対して、次の投資ラウンドを探す必要が出てくるまでには、まだ十分な余裕があると語った。

個人的には、過去このシステムほど感動したテクノロジーデモはわずかである。しかし、魅力的なデモを開発することと、成功するコンテンツ会社を生み出すことは異なる仕事だ。個人的な期待としては、私は大陸間飛行の最中に、乗り物酔いや他者からの干渉を排除できるようなヘッドセットを、装着することができるようになれば良いなと思っている。

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(翻訳:sako)

NetflixからシリアスSF『バンダースナッチ』――『ブラックミラー』特別編で対話的ドラマらしい

Netflixが配信を開始する『ブラックミラー:バンダースナッチ』は平行世界をシリアスに描くSFドラマだ。

NetflixはSFアンソロジーの『ブラックミラー』シリーズで高い評価を得ているが、『バンダースナッチ』はその特別編という位置づけになる。Netflixはドラマの存在を発表したのさえ先週というほどの徹底した秘密主義をとってきた。ともあれ12月28日配信開始〔日本も同時〕なのですぐに実際に視聴できる。発表によればトータルで5時間12分の放映時間になるという。

『バンダースナッチ』はわれわれが10月に取り上げた対話的筋書きのドラマの最初の例になっているかもしれない。これは視聴者がドラマの展開に参加して筋を選べるという試みだ。作り方によっては視聴に非常に時間がかかる可能性があるが、複数のストーリーを5時間12分にまとめあげているということかもしれない。

今日(米国時間12/27)、Netflixが公開した予告編では「ブラックミラーの特別イベント」とされていた。舞台は1984年、主人公はファンタジー小説を原作とするゲームを開発するプログラマー。映画『ダンケルク』でデビューしたイギリス出身の若手、Fionn Whiteheadが演じる。

予告編は謎めいており、対話的ドラマだと明言はしていない。しかしファンタジー・ゲームというテーマといい、「心を変える―人生を、過去を、現在を、そして未来を変える」というキャッチフレーズといい、大いに暗示的だ。

ともあれ長く待つ必要はない。Netflixは「12月28日から公開(日本では今日)」と述べている。

画像:Netflix

〔日本版〕Wikipediaは、Fionn Whiteheadのファーストネームはケルト神話に由来するもので、「フィオン」ではなく「フィン」という表記が正しいとしている。ただし、YouTubeでイギリス人のホストが「フィオン」と発音している例もある。

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滑川海彦@Facebook Google+

Molotovが、友人と一緒にテレビを観るためのVRコーヒーショップを作った

フランスのスタートアップMolotovは、徐々にフランスにおけるストリームテレビの、リーディングプラットフォームになりつつある。1つのアカウントで、ユーザーは、携帯電話、タブレット、コンピュータ、そしてセットトップボックス上でテレビを見ることができる。同社は、バーチャルリアリティヘッドセットを使ってテレビを見ることができるVRアプリを、リリースしようとしているが、そこには新しい工夫がある。

新しいサービスはMolotov Togetherという名前で、そして多くの点で面白い体験を提供する。私は数週間前に、このサービスの初期バージョンを試してみた。

当初私は、テレビをVRヘッドセットで観るというアイデアに対して、とても抵抗を感じていた。私は特にVRのファンではないし、多くのVRヘッドセットは既に、仮想現実内で動画を見ることを可能にしている。

多くの場合、結局落ち着く先は、仮想ルームの仮想壁上に投影されたWebブラウザの中で動く、YouTubeプレーヤーなのだ。しかしMolotovもそれは認識していて、動画の鑑賞は実際のテレビ上で見たほうがまだ良いということも分かっている。

Molotovの共同創業者でCEOのJean-David Blancが、Molotov Togetherのアイデアを私に説明し始めたとき、彼はまずライブで観るテレビについて話し始めた。

Netflixショーや膨大なiTunesライブラリの時代には、かつてはテレビを観るということが、何かをライブで観ながら、その瞬間を誰かと共有することを意味していたことを思い出すのは難しいかもしれない。いまでもアメフトの試合や、選挙の夜、その他の重要なイベントなどを通してそうした同時体験を行うことはできる。

そしてそのような場合には、隣の人間との会話やジョークは、コンテンツ自体と同じくらい重要なものとなり得る。

遠距離親友同士のためのテレビ

Molotovは、Molotov Caféという名の仮想現実コーヒーショップを作った。Molotov Togetherを使えば、ユーザーは1人または2人の友人を招待して、そのカフェで一緒にテレビを観ることができるようになる。全員が快適な仮想現実アームチェアに座って、お互いを見ることができる。

そこではそれぞれの人間が、自分が観てアクセスしたい全てのMolotovコンテンツのためにチャンネルを制御することが可能だ。各人が自分用のテレビを持っているからだ。しかしMolotov Togetherが本領を発揮するのは、全員が同じチャンネルを観るときだ。

そうすることで、全員が同じコンテンツを鑑賞し、ボイスチャットを使って一緒に話すことができる。何かのボタンを押したりする必要はない。気軽に座って一緒にコンテンツを見ることができる。

私はJean-David Blancと一緒にMolotov Togetherを試してみたが、それがそんなに上手くいくとは期待していなかった。まず、仮想的コーヒーショップに入ることは、大幅なコンテキストの変化を伴うため、少々奇妙に感じる。しかし、一度他の人とチャットを始め、見たものにコメントしてみると、まるで隣に並んで座っているような気持ちになってくる。

遠距離の親友や恋人たちは、デバイス上のSkypeやFacetimeで、同じ映画を観ることがある。Molotovはこのコンセプトを完璧なものにしたいと考えていて、このような場にいるひとたちはそのサービスを愛するようになるだろう。同様に、人気のテレビ番組に対するリアクションビデオを、人びとが観る理由もある。お気に入りの番組に対するジョークやコメントを聞くことで、お気に入りのコンテンツがさらに充実したものとなるのだ。

マインドトリック

Molotov Togetherのような製品は、それを背後で支えるチームが細部に注意を払っていないとうまくいかない。私はOculus Goを使ってMolotov Togetherを試したが、アプリは最終的にはすべての主要なVRヘッドセットで動作するはずだ。

Molotov Togetherはマルチプレイヤー体験だ。ビデオゲームと同様に、皆が同じものを同時に見る必要がある。もし贔屓のチームがゴールを決めたのに、自分の見ているフィードが5秒遅れだったら、そいつは面白くないだろう。それこそが、ビデオフィードを完全に同期させるために、Molotovが2人の人間が同じCDN(コンテンツ配信ネットワーク)からストリーミングを受信するようにしている理由なのだ。

仮想テレビの音量をコントロールできる一方で、友人たちの声もまた空間の中に位置づけられている。たとえ友人たちの声が似通っていたとしても、見ることなしに誰が喋っているかを知ることができる。

コーヒーショップからリビングルームまで

Molotov Togetherは2019年2月にリリースされる予定だ。互換性のあるVRヘッドセットを持っているMolotovユーザーなら、そのサービスにアクセスできるようになる。

同社はその後、新しい機能をリリースしていきたいと考えている。特にMolotovは、ユーザーが自身の仮想リビングルームに人びとを招いて、ユーザーの流すテレビを観ることができるようにする予定だ。この場合はホストがテレビを操作し、プレミアムコンテンツをストリーミングすることができる。ゲストたちはサブスクリプションを行っていなくてもそのプレミアムコンテンツを観ることができる。フランスの規制当局の反応を見るのが楽しみだ。

Molotovは現在、フランスに約700万人のユーザーを抱えている。毎日120万人のユーザーがMolotovで何かを観ていて、放映されるコンテンツはのべ110万時間にも及ぶ。想像できるように、こうしたMolotovセッションはかなり長くなる可能性がある。

この新製品によって、Molotovは自身がコンテンツ会社と競合するテクノロジー企業であることを証明している。Molotov Togetherは会社の顔を変えることはない。しかし、スタートアップはテレビを見る新しい方法の模索を続けている。そしてそのことが、競合相手よりも優位な位置に立つには十分かもしれない。

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(翻訳:sako)

Amazonが映画館チェーンを買収か?

Amazonは、実際の映画館の世界で、より多くのことを進めるための準備をしているのかもしれない。ブルームバーグによれば、この電子商取引の巨人はLandmark Theatresの買収の準備をしているらしい。Landmark Theatresは米国最大の芸術映画(インディーズならびに外国映画)チェーンを標榜しており、27地域268スクリーンにまたがる52の映画館を結んでいる。

ブルームバーグの情報提供者によれば、AmazonはWagner/Cuban Cosからの事業買収の可能性と競い合うことになるという。だが最終的な決定はなされていない。

各社はこの報告書に対して公にはコメントしていないが、Amazonの広範な戦略に合致するようにみえる手段であることから、これは考慮に値するシナリオだ。

Amazonは、顧客が欲する実質的にあらゆるものを、デジタル世界で購入することを容易に(そして安く)するために、驚くべき仕事を成し遂げてきた。それが洗面化粧品、書籍、食料品、衣服や電子機器などの日用品であろうと、あるいは映画、音楽、あるいはアプリやゲームのためのクラウドストレージであろうと、わずか1クリックで購入することを可能にしたのだ。Amazonは、売り手と買い手の間の仲介業であると同時に様々な商品やサービスの売り手としても振る舞うという、自身の市場モデルを介して、人びとがお金を使いたいと思う場所をなんでも提供するのだ。

しかし、決してオンライン世界に転換できない小売形態がある。それは経験型小売だ ―― レストランで外食したり、バーやイベントに行ったり、支払う前にメロンを持ち上げて匂いを嗅いだり、そしてもちろん映画を観るためには、立ち上がってどこかへ実際に行かなければならない。

Amazonはこれをよく知っているため、より物理的な商取引に人びとを引き寄せるために、ゆっくりと静かに、厳選した強みを集め続けている。こうした動きに含まれるものの例が、書店や、自分自身で運営する未来的なキャッシャー不要の食品店などだ。そしてもちろん、自然食品会の巨人Whole Foodsの獲得に137億ドルを費やしたことも忘れてはならない 。

最後のものは、映画館チェーンがどのようにAmazonの世界に取り込まれて行くかを考える際に有益だ。AmazonのPrime Fresh食料品配送サービスは、忙しいユーザーに食料品店へ行かなくても良い利便性を提供するものだが、これに対してWh​​ole Foodsは食料品店に出かけることが好きな利用者を捉える手段をAmazonに提供する。

しかし、それだけではない。Amazonは、Prime加入者のためのさらなる別特典として、Whole Foodsの割引を追加した。その強靭な物流の力を、Whole Foodsへの注文と配達に対しても広げようとしているのだ(もちろん最初はPrime加入者に対して)。そしてもちろん、同社はその他の製品であるKindleやEchoを売るためのポップアップショップを、店内の最も良い場所に確保している。

映画館のチェーンを所有したAmazonは、映画や実験的な物理的商取引に対する関心の拡大、そして商業帝国の残りの部分の活用に対する多くの機会活用を、はっきり示している。

映画館の世界は長い不況が続いている。高価なチケットやスナックを避けて、快適な自宅の少しばかり小さなスクリーンで観ることを選ぶ消費者が増えているからだ。しかし、ディスラプティブな視点から見ると、この年老いたビジネスモデルも魅力的なものなのだ。だからMoviePass(定額制で映画館での映画が見放題になるサービス)などがやってきたことも驚くようなことではない。それは映画館の座席にもっと多くの人たちを呼び込むために、フラットレートのサブスクリプションを提供することで、映画体験の再興をおこなうチャンスを見たからだ。

もちろん、MoviePassは出血大サービスだし、様々な意味で混乱を引き起こすものだ。だがそれは大きなインパクトを示した。これによってAMCが注意を向け独自のサービスを始めることになった。

だが世界最大の劇場チェーンの場合には、MoviePassと同じ種類の痛みを経験することはほとんどないだろう。なぜなら、それは配信手段をコントロールし、大規模なサポートインフラストラクチャを持っているからだ。そしてもちろん自分自身の映画館を所有している。

しかし、もしAMCの防御力がセーフティネット程度だとしたら、世界で最も価値のある企業の1つであるAmazonの場合は、エアバッグ、衝突センサー、シートベルト、自動ブレーキを持つだけでなく、次に何をすれば良いかを教えてくれるAlexaさえも装備しているかも知れない。もしAmazonが赤字の映画館チェーンを経営するとしても、それはAmazonにとってバケツの中の小さな一滴に過ぎないのだ。

既にAmazonは、2018年4月現在、Primeメンバーが1億人を超える世界最大のデジタルサブスクリプション事業を展開している。この上に、映画館へのサブスクリプションを付け加えることは、それが無料でも割引でも、簡単なことだ。

だがちょっと待った!Landmark Theatresの価値はさらに高いものだ!われわれが知っているように、Amazonは、Primeユーザーに対してムービー、テレビ、音楽を提供する、始まったばかりのメディアビジネスを抱えている。これにはAmazon自身のオリジナルコンテンツマシンであるAmazon Studiosが含まれている。これはTransparentのようなTV番組や、Manchester by the Seaのような映画を担当している。

シアターチェーンを買収すれば、Amazon自身の制作する映画の流通経路がさらに広がり、Amazonはその流通コストをより厳密に管理することができるようになる。また、劇場、DVD、デジタル配信をカバーするポジションを持つことで、まだ制作されていない映画に対する興行権を交渉する際に、Amazonがより多くの力を発揮することは間違いない。

配給をコントロールすることは、各映画賞の季節に有利に働く。映画のリリースタイミングは受賞候補者を決定する際に大いに役に立つからだ(そしてもちろん、そうしたスクリーンはAmazonが伸びつつある広告を流すことのできる場所となる)。

そして結局の所、劇場というものは、不動産ビジネスでもあることを忘れないで欲しい。

映画館が売り場使用権で大きなお金を稼いでいることは、昔から知られた事実であり、それに応じて、人びとが、暗い映画館の中に座る前後に、ひしめき合いお金を使うための広いロビーを用意してきた。通常の商品販売(Amazonとマーケットプレイスパートナーによるもの)に加えて、Amazonはこの空間をWholeFoodsで行ったやりかたと同様に、映画を観に来たひとに何の関係のない商品の体験スペースを用意することができる。そうなると俄然、何か新しいものを試すための興味深い場所に思えてくる。

ブルームバーグの記事に対するAmazonやLandmarkからの反応がなかったとしても、このニュースで他の劇場チェーンの株価が下落しても驚きはない。

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(翻訳:sako)

ブランドワールド:中央集権化するエンターテイメント

私はハリウッドの興行収入を眺めることが好きだ。なぜならそれらは文化的トレンドに関する確度の高い統計的ビューを提供してくれるからだ。たとえば読者は、今月初めて、週末に米国で上映されたトップ10のうち8本が続編だったことを知っているだろうか?あるいは、2018年の前半にリリースされた映画は400本を数えるものの、総売上の40%近くがそのうちのたったの4本からもたらされていて、しかもそれらは皆スーパーヒーローものの続編だったことは知っているだろうか?

こんなことになるとは想定されていなかった。10年前には、ビジュアルストーリーテリングは大衆化されると考えられていた:新しいカメラ、新しい編集システム、安価なストリーミング、そしてBitTorrentが組み合わされて、高価な時代遅れのインフラストラクチャをもつハリウッドを凌駕すると考えられていたのだ。世界に広がる天才的な独立系映画制作者たちが、こうした新世代のツールを使い、徐々にハリウッドのスタジオやプロデューサーたちを、ビジュアルで物語性の高い文化の担い手として置き換えて行くと思われていた。

ああ、しかし。そんなことにはならなかったのだ。その代わりに、エンターテイメントの独裁帝国に、YouTube、Amazon、そしてNetflixといった、いくつかの新しい門番が加わっただけだ。新しい映画監督の時代を迎えることも、独自の動きやストーリーを取り入れることもなく、エンターテイメント業界は全く反対方向の振る舞いで巨大な成功を収めた。続編に倍賭けし、ブランドとフランチャイズを、法人ライセンス、製作委員会方式、プロデューサー主導のブランドエンターテイメントなどの巨大な世界へと広げてきた。それらはしばしば、映画、テレビ、書籍、ビデオゲーム、そしてテーマパークなどへ横断的に関わっている。マーベル・シネマティック・ユニバース(テレビ化されたものも含む)、DCエクステンデッド・ユニバース、スター・ウォーズ、スター・トレック、ハリー・ポッター、そしてジュラッシック・ワールド。

こうしたものは、それ自体は悪いことではない。私自身もそうしたもののファンだ。しかしこう問いかけることには意味はあるだろう:なぜ私たちはかつて予見されていたような、多くの優れた映画監督たちの、中央に縛られない広がりを目にするようにならなかったのだろう?そして、こうしたブランドワールド(ある世界観を中心に構成された世界)の圧勝が、長期的にポップカルチャーの草の根と次世代に与える影響はどのようなものだろうか?

最初の問いかけには2つの答えがある:コストと時間だ。映画やテレビの撮影や編集は以前よりもずっと容易になったが、セット、場所、俳優、そして脚本などは、どれも高価で簡単なものではない。優れたアマチュアの作品でも、プロフェッショナルの作品にはまだ遠く及ばない。そして確かに、TwitchやYouTubeのような興味深い新しいストーリーテリングの手段は存在しているものの、そのコンテンツが物語性のあるフィクションであることは滅多にない。そして暗黙的に(時には明示的に)何が人気があるものかを決めているゲートキーパーたちであるTwitchやYouTubeを通して、配信も収益化も行われている状態だ。

しかし、より重要なのは、生産手段を大衆化しても需要は増加しないということだ。テレビ番組の数を10倍に増やしても、(アクセスすることはもちろん可能だが)テレビを見る人が視聴に使える時間が、10倍に増える訳ではない。かつて、アクセス可能なマーケットが十分に大きく成長すれば、ニッチな聴衆から沢山のお金を稼ぐことができるという「ロングテール」理論が流行した。これは本質的には、聴衆の需要は「シンテール」ではなくて「ファットテール」(すなわち平均値からかけ離れた事象が、正規分布から予想される確率よりも頻繁に発生する)だという数学的な主張だった。

しかし、実際にはエンターテインメントに対する需要は、とてもシンテール(お馴染みのものに集中する)だったようだ。私たちの持つオプションが、増えれば増えるほど、すでに自分たちが知っている世界で、すでに知っているキャラクターがさらに求められているようにみえる。これは理にかなってはいる。新しい世界と新しいキャストに取り組むには多くの労力が必要だが、それが労力に値するものになるのかどうかには保証がないからだ。しかし結果として、ブランドワールドは徐々に広大なオープン世界のビデオゲームのように感じられるようになってきた。「メインストーリー」に付随した、サイドストーリー(ローグ・ワンやアントマン&ワスプなど)さえ生み出され、無限に新しいダウンロード可能コンテンツが生み出されているように見える。

私はまた、多くのチャプターに分かれ、多くのキャラクターで構成されている世界は、かつてよりもはるかに実現可能になっているのだろうと想像している。何故なら私たちはそうしたものたちに、より緊密にコネクトされているからだ。例えばインフィニティ・ウォー(アベンジャーズ)以前のマーベル映画を見逃しただろうか?まあ、その場合はいくつかの有名で重要なシーンを、映画全体をレンタルして観ることなしに、YouTube上で15分もあればチェックすることができる。あるテレビ番組の最新エピソードを見逃したりはしていないだろうか、またはただ単にその番組の結論を知りたくはないだろうか?十分な文化的反響があれば、VultureAVClub(どちらも米国のテレビや映画の話題が集まるサイト)が、おそらくCliff’s Notes(様々なテーマを簡単にパンフレット形式でまとめた情報サイト)として使えるような要点を投稿してくれることだろう。その気になればいつでも、映画館に飛び込んだり、真剣なビデオの一気見などの方法で、好きなブランドワールドに足を踏み入れることができる。

その他の興味深い疑問は:ブランドワールドの優位性が高まることが、次世代の作家、監督、プロデューサーたちにとって、どのような意味を持つのかということだ。明らかにプロデューサーたちは、これまでのように、作品を続編につなげて、続編をフランチャイズ化(世界観を基に様々な商業展開を行う)しようとしている。だが彼らはいまや新しいゴールを手に入れた。フランチャイズ化をブランドワールドの究極の目標にしようとしているのだ(ゲーム・オブ・スローンズ、ハンガー・ゲーム、ウェストワールドはその明らかな候補だが、それぞれは独自のハードルに直面している)。

明らかに作家と監督は、成功する可能性が最も高いものを創造したいと思うインセンティブを与えられる。だからといって、独立した1回限りの作品が排除されてしまうというわけではない。私たちはホラー分野(数々の名監督を輩出している)が、毎年「ゲット・アウト」や「クワイエット・プレイス」のような驚くべきヒットを生み出してきたことを知っている。しかし、それはクリエイターたちが物語と同時に世界設定にも焦点を当てることを意味し、ファン・フィクション(二次創作など)を多く生み出しやすくするだろう。結局、ブランドワールド内で書かれるものは、単にお金が払われるファン・フィクションなのだ(中国の急成長する市場でうまくいくかもしれないストーリーへの、インセンティブが与えられるクリエイターたちもいるだろう。だがその話はまた別の記事で)。

これもまた、何も本質的に悪いことはない。だが私が少し心配しているのは、ブランドワールドの数が増えるにつれて、需要が細り始めてしまう位に、エンターテイメントへの需要はシンテールなのではないかということだ。また1つのブランドワールドが大きくなり過ぎてしまうと、必ずしも成功し続けれられるとは限らないということは明らかだ(エイジ・オブ・ウルトロン(アベンジャーズ)、バットマンvsスーパーマン、失敗したスター・トレック映画、そしてソロ(スター・ウォーズ)などを思い浮かべてみよう)。ゲット・アウトのような、少々毛色の違うヒットは、受け入れ可能な程度に全体的な打率が高いので、資金を集めることができる。だが、もしブランドワールドが大衆のマインドシェアを取って、オリジナルな作品の打率がその制作費に届かないようになってしまったら、私たちはますますオリジナル作品を目にする機会を失ってしまうだろう。

そんなことが起きるだろうか?私にはわからない。しかしそうなっているかどうかを知るための良い方法は、数年後に週末興行収入を眺めて、トップ10のうち9つまでが続編かどうかをチェックすることだ。数字を見よう。それらは滅多に裏切ることはない。

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(翻訳:sako)

「cluster.」にVR上で有料イベントができるチケット機能、第1弾はVTuber輝夜月の音楽ライブ

2017年末あたりから、バーチャルタレント業界が急速に盛り上がってきている。

YouTube上で活動しているバーチャルYouTuber(VTuber)が一気に増え、多くのファンを獲得。ユーザーローカルが公開するVTuberのランキングを見ても、1位のキズナアイを筆頭にそのファン数や動画の総再生回数の多さに驚かされる。

今後バーチャル上で活動するタレントが増えれば、例えば握手会やライブといったイベント活動やグッズの販売など「リアルなタレントが行っているような商業活動」も本格化していくだろう。

VRイベントプラットフォーム「cluster.」が目指しているのも、まさに「バーチャル上の商業スペース」を作ること。その一歩として運営元のクラスターは7月12日より、cluster.上で有料イベントを開催できるチケット機能のβ版を公開した。

有料イベントの第1弾は、8月31日に開催が予定されている人気VTuber輝夜月(かぐや るな)の音楽ライブだ。

VR上で音楽ライブやコミケを

cluster.については過去に何度か紹介しているけれど、ユーザーがバーチャル空間上にルームを作り、イベントやライブを楽しむことができるプラットフォームだ。バーチャルなので広さや距離といった物理的な制約を受けないのが大きな特徴。数千名規模のイベントやカンファレンスにも対応する。

運営元のクラスターは2017年5月にエイベックス・ベンチャーズ、ユナイテッド、DeNA、Skyland Venturesおよび個人投資家らから2億円を調達。6月にcluster.の正式版をリリースした。

同社の創業者でCEOを務める加藤直人氏の話では、リリース以降ゲームやコミュニティのユーザー同士の会合、会社の会議など、幅広い用途で利用が進むも「どういうところでしっかりとビジネスを回していくのか」で悩んでいたという。

もともとcluster.を立ち上げた背景のひとつとして「VRヘッドセットを着けた時に、ここで音楽ライブができたらいいなと考えていた」こともあり、イグニスの子会社でVR領域の事業を手掛けるパルスと業務提携を締結。2017年の夏頃からバーチャルアイドルの活動サポートも始めていたそうだ。

「当初はバーチャルタレントがブームになるのは2〜3年後を想定していたので、長いスパンでの事業になると考えていた」(加藤氏)というが、冒頭でも触れたように一気にブームが到来した。

バーチャルタレントの場合、リアルなタレントとは違い握手会やオフ会などファンとの接点が少ないことが一つの課題。それを解決するために3Dアバターのアップロード機能などを拡充したところ、VTuberを中心とした利用が増えてきたという。

「VR上で音楽ライブやコミケができるようになる、そしてそれに自宅から参加できるようになるというのがひとつの目標だった。バーチャル上に商業スペースを作りたかったので、有料チケットやグッズの販売機能などは以前から準備に取り掛かっていた」(加藤氏)

輝夜月が「Zepp VR」でライブ開催へ

今回チケット機能のβ版がリリースされることによって、今後企業はcluster.を使ってバーチャル上で有料のイベントを開催できるようになる(現在は社数を限定し、問い合わせベースで提供)。

冒頭で触れた通り第1弾のイベントは、ソニー・ミュージックエンタテインメントが主催する「輝夜 月 LIVE@Zepp VR」。チケット価格は5400円となっていて、「高い」と思う人もいるかもしれない。

ただこの点について加藤氏は「そこでしか味わえない希少な体験を提供できれば成立しうると考えているし、むしろ安いとすら思われる文化になっていく可能性もある」という。

「(ネット上に)情報が増え、情報の価値自体は下がってきている。でもVRデバイスが届けるのは情報ではなく、体験。ユーザーが求めているのも体験であり、(デジタルコンテンツに対しても)希少な価値を感じることができればお金を払うと考えている」(加藤氏)

VR上でビジネスが成り立つ主要ジャンルは「ゲーム」「イベント」「成人向けコンテンツ」の3つというのが加藤氏の見解。クラスターが狙っていくのはこのイベントのニーズだ。

あくまでチケットはそのためのひとつの機能にすぎず、今後はバーチャルアイテムの購入機能を始め商業活動に必要な要素をアップデートしていく。

「バーチャル上の商業スペースのニーズは今後10年、20年のスパンで高まっていくはず。そこで必要となるインフラを作っていく。直近はバーチャルタレントがアーティスト活動をしやすい場所として機能を強化し、バーチャルイベントの箱となるサービスにしていきたい」(加藤氏)

Disney Imagineeringが自律型ロボットスタントマンを開発

アクロバットロボットは宙を舞い、ぴたりと着地する

50年以上にわたり、ディズニーランドとその姉妹パークたちは、徐々に洗練が続く「アニマトロニック」(生き物のように動く機械)キャラクターたちのショーケースとなっている。最初は空気圧で動き、やがて水圧になり、最近は完全に電子式となったこれらのフィギュアは、乗り物や、アトラクション、様々なショーなどに登場し、そしてパーク内の様々な場所でインタラクティブに、生命と感情を模したものを提供している。

彼らが作るマシンは、広がりつつあるディズニーの世界の中で、描き出すキャラクターたちの、激しい物理的性質をより良く表現するために、よりアクティブで移動するものになってきている。そして最近追加されたものは、キャラクターたちがパーク内を動き回る方法を変え、私たちが移動するロボットに対して抱く考え方を変えてしまう可能性がある。

私は最近、ディズニーによる新しい取り組みについて書いた。それはより柔軟で、インタラクティブで、そして「静的」というよりはもっと生き生きとしている、事前ブログラムされた独立型アニマトロニクスを扱っている。本質的には非常に限定されたロボットに、説得力のある性質を加えるために、多くのことが行われてきた。

従来ほとんどのアニマトロニクスは、設置された場所や立っている場所から動くことはできず、事前に決めたれた動作を厳密に行うだけだった。ヒーローキャラクターが十分に効率的で耐久性があり、一日何百回も、来る日も来る日も、何年の間も動作し続けられるように、ショーのデザインとプログラミングのフェーズは密接に関連している。

ウォルト・ディズニー・ワールドの”The World of Avatar”内に登場するナヴィ・シャーマンが、この手の造形の最先端を表している。

しかし年々より多くのダイナミックでヒロイックなフィギュアが登場してくる、ディズニーの拡大する世界で、彼らがディズニーの世界を表現するパーク内のロボットたちを、より本物らしくそして活動的にする方法を探究しようと考えることは理にかなっている。

それこそがStuntronicsプロジェクトが始まったきっかけである。これは、数ヶ月前に行われたStickmanという研究実験から生まれたものだ。Stuntronicsは自律的で、自己修正をおこなう空中パフォーマーで、高く飛ぶスタントを毎回上手くやるために、リアルタイムの調整を行うことができる。基本的にロボットのスタントマンだ、よって名前もそれに由来している。

私はImagineerの主席研究者であるTony Dohiと、ディズニーのアソシエイトリサーチサイエンティストであるMorgan Popeの2人に、このプロジェクトについて尋ねてみた。

「ということで、これはキャラクターがスクリーンの上に登場してから行われる実在化なのです」とDohi。「それがStar Warsのキャラクターだろうが、Pixarのキャラクターだろうが、あるいはMarvelのキャラクターであろうが、さもなければ独自のアニメーションキャラクターであっても、本当に活発に動作を行います。そのため、私たちのテーマパークのお客さんたちは、そうしたキャラクターたちがパーク内でもスクリーンと同じような振る舞いをすることを期待するようになります。しかしアトラクションのことを考えたとき、私たちのアニマトロニクスフィギュアは何をするのでしょうか?ここには一種の断絶があるのです」。

このため彼らは、「ヒーロー」アニマトロニクスフィギュアためのスタントというコンセプトを思いついた。これは価値が高く繊細な俳優を、危険なシーンではスタントが置き換えるのと同様に、ショーの中でより派手な振る舞いが必要な場面でスタントを務めるのだ。

Stuntronicsロボットは、レーザー距離計によってサポートされた、オンボード加速度計とジャイロスコープアレイを備えている。現在の形状は、ヒューマノイドであり、あるパフォーマーのサイズや形状を、例えばThe IncrediblesやMarvelの登場人物のコスチュームに合わせて簡単に変えることができる。ボットはワイヤーの端から空中に放り出されることが可能で、そのポーズ、回転そして重心を制御して、正しく着地するだけでなく、空中でヒーローっぽいポーズを決めながら目標に飛び降りることもできる。

この利用は、アトラクションの途中で行われるものになるだろう。比較的静的なシーンでは、シャーマンのような主人公のアニマトロニクスや、Imagineeringが常に開発している新しいフィギュアが、顔と形を使ったニュアンスたっぷりのパフォーマンスを提供することができる。そして、ダイナミックで拘束を受けない、アクションや盛り上がるシーンでは、Stuntronicsによるスタントが自身で空中を飛び、軌跡を計算しながらオンボードハードウェアでポーズをキメて、毎回正確にターゲットに着地するのだ。そして次の観客のために、元の場所に戻る。

こうしたアニマトロニクスがより「リアル」でダイナミックなものに感じられるシナリオを作ることへ焦点を当てることはImagineeringの他の部門でも行われている。自律的な回転移動ロボットや、あるいはいつか、すばらしい二足歩行ロボットも登場するだろう。とはいえStuntronics自身は、標準的なアニマトロニクスフィギュアが実行できるものとのギャップを埋めるためのものだ。すなわちそのアクションとダイナミズムが本物であると、見るものに信じさせる能力を持つのだ。

「しばしば、私たちのロボットは不気味の谷に落ち込みます。沢山の機能は実現できるのですが、それでもあまり本物っぽくは見えないのです。ですが、私はStuntronicsでは事情は反対だと思っています」とPope。「空中を飛行しているときに、非常にすっきりとした物理学を活かすことによって、少しばかりの機能で、とても格好良く見える様々なものを生み出すことができるのです。空中で横回転や縦回転をただ行うことで、見る人からは予測しにくいのに美しく映える、放物線や正弦波を描くことができるのです」。

初期のBRICK

Imagineeringが問題に取り組む際の多くのソリューションと同様に、Stuntronicsは特定の目的はなく、研究プロジェクトとしてスタートした。この場合、それは当初BRICK(Binary Robotic Inertially Controlled bricK)と呼ばれていた。基本的に、センサーを備えた金属製のレンガ状の構造を使い、その重心を変化させてスピンを制御して、正確な高さで正確な方向を向かせる ―― そのことで毎回「ぴたりと着地する」のだ。

最初のBRICKの段階から、次にDisneyはStickmanに移行した。これはデバイスが関節で繋がれたもので、より積極的にデバイスの回転や向きを調整することができた。いくつかのレーザー距離計と組み合わせることで、目を細めながらという条件付きながら、人間のアクロバットをエミュレートすることのできる骨格のようなものを得た。

「Morganと私は口を揃えて、何だかはわからないけれど、おそらくここには何かありそうだと話し合いました。なので、さまざまな方向を突き回して、そこから何が出てくるかを見てみようと話したのです」とDohi。

しかし、Stickmanにはそれほど長期間は固執しなかった。

「BRICKをやっていたときは、私はそれがとてもクールだと思っていました」とPope。「そして私がBRICKを会議で発表したときには、既にTony(Dohi)がStickmanを作るのを手伝ってくれていましたが、そのときの私の気持ちは、ああこいつ(BRICK)はもうクールじゃないなというものでした。なにしろ今や本当にクールなのはStickmanなのですから。そしてその後、私はオーストラリアに行き今度はStickmanを発表したのですが、私たちは既に研究所ではStuntronicを開発していたのです。なのでそのときの気持は、ああこいつ(Stickman)はもうクールじゃないなというものでした」と彼は冗談を飛ばした。

「しかし、それはずっと楽しいことでした。その道のりの一歩一歩を考えるたびに、恍惚とした気分になりました。しかし、課題はどんどん押し寄せてきます…そうした挑戦を受けることは楽しみでした」。

こうしたプロセスが、Imagineeringが全体として進む方法として、私を魅了して止まないものの1つなのだ。問題の糸を解きほぐすために、マネジメントと内部構造によって権限を与えられた人びとが居て、たとえ何が結果として得られるかがはっきりわからないときにでも仕事を進めることができるのだ。地球上で最も大きな企業たちは、皆似たようなR&D部門を持っているが、それを例えばAppleのように、貸借対照表から切り離して考えている会社は、私の知る範囲ではほとんど存在していない。通常、R&Dの多くは、損益計算書のスプレッドシートに強く結びついているため、何が出て来るのかを見届けるまで待ち続けることは、本当に本当に困難なのだ。

数学、物理学、芸術、デザインのようなとても異なる分野の専門家たちを抱えることができることで、アイデアをテーブルに乗せて吟味して、片方の手ではストーリーテリングの問題を解きながら、もう片方では研究プロジェクトを行うことを可能になる。例えばもしこれをもう少し掘り下げたなら、目的のために役立つだろうか?ストーリーテリングが常に北極星として輝く限り、山を越えて導くガイドの光を得たことになり、反対側の端にたどり着いたときには、問題を解決することに結びつく様々なものを手にしていることができる。

「私たちは成功するかどうかがわからない、リスクの高いことを行える体制を保っています。なにしろ自分がやっていることの直接的な応用があるかどうかは、わからないのですから」とDohi。「しかし、ただそこに何かがあるかもしれないという直感は感じています、そのことが私たちに大きな範囲での自由を与え、可能性と単なるアイデアの周りを探究させるのです。それは本当に特権的なことですね。それこそが、私がこの場所を気に入っている理由の1つなのです」。

この遊びのプロセスと、反復、そしてストーリーテリングのゴールの追求は、Imagineeringの中に何度も何度も浮かび上がって来ているものだ。それは実際に、幅広い分野に対応した非常に賢い人々の集まりが、リーダーたちの中枢神経システムによって束ねられたものである。そうしたリーダーの1人が、ウォルト・ディズニーImagineering R&Dの所長であるJon Snoddyだ。彼は研究サイドとImagineeringの他の部門(パークの管理や、インタラクティブプロジェクトや、デジタル部門など)の天の間を結びつける手助けをしている。

そこには、無駄のない探究と、ストーリーに奉仕しないものの追求を有機的に抑制することを可能にする、経済学と組織に対するエゴを主張しない文化がある。Imagineeringの仕事を調査していた私は、しばしばそのプロセスがどれほど素晴らしいかということと、そのソリューションの巧みさを組織がどれほど伝えられているかの間には、大きな隔たりがあることに気が付いた。

ディズニーリサーチのホワイトペーパーは、新興テクノロジーに興味を持つ人々にとっては果てしなく魅力的だが、研究とパーク内での実用的な応用との統合ポイントは、多くの場合探究されないままだ。それでも、飛び抜けた成果だと感じるものを本当に見出したときには、彼らもそのことをきちんと理解し始めており、それを世界に伝えて行くためのよりよい方法も考え始めている。

実際、私たちの会話が終わる頃、Dohiはよいキャッチフレーズを思いついたと話したので、私は彼にその最高のピッチを促した。

「Stuntronicsの目標の1つは、私たちが不気味の谷を飛び越えることができるかどうかを知ることです」。

悪くない。

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(翻訳:sako)

Roadie 2チューナーがギターチューニングに苦しむ私たちを救う

最初のRoadieチューナーは驚異的な製品だった。それは自動ギターチューニングシステムだ。あなたの携帯電話に接続して、ギターの弦の音を聞かせると、内蔵モーターを駆動して正しいチューニングを行ってくれるのだ。そして新しいモデル、129ドルのRoadie 2は、さらにクールになった。

私はRoadie 2を数ヶ月使っているが、今ではすっかりその虜(とりこ)だ。私は決して良い演奏者でもなければチューニングが得意でもなかった。私の耳はきちんと聞き取ることができず、そのへんのツールを使ってさえギターを正確にチューニングすることができなかったのだ。しかし、いまやRoadie 2を使えば、巻取り機をペグに嵌めて、ボタンを押すだけなのだ。弦を素早く爪弾けば、わずか数秒でチューニングは終了だ。

Roadie 2は完全に自己完結型で、USB-C経由で充電される。それ自身に振動センサーが内蔵されていて、現在の弦を検出し、それに応じてチューニングを行うことができる。このシステムでは、複数の弦楽器を追加することもできる。エレキギターやアコースティックギターだけでなく、バンジョー用のプロファイルを設定することさえ可能だ 。また、標準的なチューニングを行うだけでなく、自由なチューニングを行うことも可能である。高トルクモーターは、ペグをすばやく簡単に回転させて、弦の巻き上げや巻き戻しを行うことができる。

Roadie Tuner 2を使った巻き上げと巻戻し!

チームは昨年3月にRoadie 2をキックスタートし、今年になって出荷を開始した。入手して以来、私はそれをギターのチューニングに使い続けているが、それは非常に上手く働いてくれている。失敗したのは、1度だけ子供用ギターを不運にも巻き上げすぎてしまったこと位だ。パッケージに含まれているアプリを使えば、対象楽器やチューニングを調整することができる。

世の中のギタリストの中には、頭上の蛍光灯の音に合わせることができる人もいるし、デジタルチューナーをすばやく聞いてチューニングできる人がいることも知っている。だが私はそのどちらでもない。ということでRoadie 2は、ギターの才能がないことで終わりのない苦しみの呪いにかけられた私たちにとっての、神からの贈り物なのだ。少なくとも、いまやチューニングは私の得意とするところになった。

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(翻訳:sako)

アカツキが「エンタメ×テック」ファンドの投資先公開、人工流れ星やMRお化け屋敷など国内外8社

モバイルゲームなど複数のエンターテイメント事業を展開するアカツキは2月1日、2017年10月に設立した「Akatsuki Entertainment Technology Fund」の出資先を公開した。

同ファンドは国内外のARやVR、MRを中心とした「テクノロジー×エンタメ」領域のスタートアップに対し、シード〜シリーズAのラウンドで1社あたり1000万円〜1億円の出資をするというもの。映画やゲームだけでなく、広い範囲でエンタメの要素がある事業は出資の対象となる。

これまで日本企業2社を含めた計8社へ出資。今回そのうち6社については企業名も公表している。

  • ALE (日本) : 人工流れ星事業ほか宇宙関連エンターテイメント事業、衛星事業
  • Fable Studio(米国): AR・VR上でのAIキャラクターエンジンの開発
  • HypeVR(米国): 奥行きのある360度画像の撮影・VR化、データ圧縮技術開発
  • Super Media Future(米国): リアルタイムモーションキャプチャ技術を使用し、AR上でアバターを表示されるアプリを開発
  • RosieReality(スイス): 子ども向けロボティクス学習ARアプリ開発
  • ティフォン(日本) : ロケーションベースのMRアトラクションの開発・運営

日本の2社についてはすでに知っているという人も多いかもしれない。ALEはゴールドマン・サックス出身の岡島礼奈氏が創業した、「宇宙×エンタメ」領域のスタートアップ。プロダクトはもちろん、2016年にエンジェルラウンドで7億円を調達したことでも話題となった。

ティフォンは以前TechCrunchでも紹介している。詳細についてはそちらを参照してもらえればと思うが、都内で体験できる「MRお化け屋敷」を運営。同社はディズニーからも出資を受けている。

アカツキではモバイルゲームの開発を手がける一方で、ライブエクスペリエンス事業としてリアルなコンテンツ作りにも取り組んできた(「Wowful」「そとあそび」などのプラットフォームに加えて、アカツキライブエンターテインメントを通じてコンテンツも提供)。

アカツキ取締役CFOでファンドのメインディレクターを務める小川智也氏の話では「事業として一緒に何かやれそうか」が出資の基準のひとつとなっているそう。具体的な動きはこれからだというが、今後各社とは協業を進めていきたいという。

「ティフォンとはたとえばリアルなコンテンツの共同開発、またはその体験を広げていくプラットフォームの提供などが考えられる。ALEについてはこれから『コト消費』が伸びると考えて出資した。(アカツキでは)自社でイベントのプロデュースなどもやっていて、その面で協業できる可能性もある」(小川氏)

VR向けヘッドマウントディスプレイで知られるOculusで昨年閉鎖された、オリジナルVRコンテンツ制作部門「Oculus Story Studio」の元メンバーが創業したFable Studio、チューリッヒ工科大学のプロジェクトがスピンアウトする形で設立されたRosieRealityにも出資。米国にも拠点を開設することで、海外のユニークな企業ともつながりができているという。

「エンタメ領域では事業会社ならではのバリューも出せる。日米に拠点を持つエンタメ×テクノロジーに特化したファンドとしてユニークなポジションを狙えると思っているので、今後も積極的に動いていきたい」(小川氏)

Soundchartsは音楽アーティストとレーベルのための分析ツール

フランスのスタートアップSoundchartsは、音楽アーティストのためのApp Annieのようなものを構築している。このサービスは、世界中のラジオで何が再生されているか、Spotifyプレイリストなどで何が人気があるのかなどのデータを、大量に提供してくれる。同社はAlven CapitalKima Ventures、そしてGlobal Founders Capitalから、310万ドル(265万ユーロ)を調達したばかりだ。

多くの大手ミュージックレーベルは既に、多くの企業と協力してラジオ放送に関する洞察は得ている。彼らは、例えば、こうしたデータにアクセスするために、ニールセンに大金を支払っている。

Soundchartsが狙うのは、この世界を平等にしてより多くのデータを追加することだ。多くの人は新しい音楽を見つけるためにラジオを聴くことはしない。彼らはSpotifyで人気のあるプレイリストを購読し、Facebookやその他のでアーティストをフォローする。もしゲームに先行したいなら、放送だけでは十分ではない、少なくとも最早十分ではないのだ。

「私たちは音楽の世界のブルームバーグになりたいのです」と、創業者でCEOのDavid Weiszfeldは語った。「あるいはApp Annieがアプリケーションのためにやっていることをしたいと思います」。

Soundchartsは世界中にサーバーを設置し、同時に何百ものラジオを聴いている。これらのサーバーは、Shazamのような音楽認識技術を使用して、オーディオ信号を構造化データに変換している。

この方法で、国別、放送局別、アーティスト別、または曲別にブラウジングし、誰が何を再生しているのかを見ることができる。自分のところのアーティストを競合相手と比較することができ、何が人気があるのかを始めとする多くのものを知ることができる。音楽フェスティバルのプログラム担当者にとっても良いツールである。

SoundchartsはSpotifyのAPIを使用して、すべての公開プレイリストのインデックスを作成し、その変更を追跡している。という訳で、チャーチズの曲がSpotifyの公式プレイリストに追加されると、Soundchartsの中でそれを見ることができる。また、一般的なトレンドを探している場合には、このサービスはプレイリストの伸びも追跡している。ダブステップが復活しているかどうかを、すぐ知ることができるようになる。

そして、SoundchartsはFacebookの「いいね!」を追跡し、国ごとに集計し、その成長について教える。世の中にはソーシャルメディア分析サービスは数多く存在するが、これはSoundchartをワンストップショップにする良い方法だ。誰もがすべてのデータにアクセスできるため、これは自分のところのアーティストに限定されない。

これまでのところ、250社が既に提携していて、その中には独立系レーベル、出版社、マネジメント会社はもちろん、ユニバーサルミュージック、ソニーミュージック、ワーナーミュージックに勤務する従業員なども含まれている。これらの企業は、継続的にサブスクリプションを支払ってSoundchartsにアクセスしている。

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(翻訳:Sako)

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ディズニー、2019年に独自ストリーミングサービスを開始――Netflixからは引き揚げ

ディズニーの本日(現地時間8/8)の発表は避けられない結果だった。同社は2019年に独自のストリーミングサービスを開始し、同年中にNetflixで配信されている映画を引き揚げると発表したのだ。しかし、ディズニーがストリーミングサービスをローンチするのはこれが初めてではないと気づいた人もいるかもしれない(つまり新サービスはアメリカの消費者にとっては初ということになる)。実は同社はDisneyLifeと名付けられたストリーミングサービスを2015年からイギリスで運営しており一時的ではあったが中国でも過去に同サービスが利用できた。

もともとDisneyLifeは、後の大々的なローンチを見据えたディスニーの実験的なサービスとして考えられていた。

インフラ面だけでなく、どんなコンテンツや機能をユーザーが求めているのか、さらにはペアレンタルコントロールがどのように機能するかといったことをテストするためのプラットフォーム、という位置づけだ。DisneyLifeでは、1世帯(最大6人)あたりの少額の月額利用料を支払うだけで、ディズニー映画やテレビ番組のほか、音楽、オーディオブック、電子書籍などをデスクトップ、モバイル端末、テレビ(AirPlay、Chromecast経由)で楽しむことができる。

つまり同サービスはディズニー版Netflixのようなもので、ディズニーが将来世界中でローンチするであろうストリーミングサービスの姿を暗示するような存在だった。

Financial TimesはDisneyLifeのローンチ当時、同サービスのプラットフォームは将来的に他の目的(マーベルやスター・ウォーズ用など)にも利用できるだろうと考えていた。

しかし、DisneyLifeはこの度ディズニーが実質的に買収したBAMTech(ストリーミングサービスプロバイダー)とは関係していない。本日の発表によれば、ディズニーは同社への15億8000万ドルの出資を決めた(現在承認待ち)とされており、これでディズニーの持株比率は75%に増える。

昨年の10億ドルにのぼる出資の結果、ディズニーは既にBAMTechの少数株主になっていた。さらに当時のディズニーの発表では、翌年(=今年)にはBAMTechの支配権を取得できるようになるとされていたのだ。

2019年にローンチ予定の新サービスは、BAMTechが運営を担当することになっている。さらに同社は、ディズニー傘下のESPNが来年ローンチする、スポーツに特化したストリーミングサービスも手がけるようだ。

その一方で、マーベルやLucasFilm(スターウォーズ)のコンテンツが新サービス上で配信されるかどうかというのはまだハッキリしていない。本日発表された配信予定作品の中には、マーベルやスター・ウォーズの作品は含まれておらず、新サービス発表後に行われた業績発表の中では、これらの作品の扱い(サードパーティーへのライセンス or 新サービスへの統合)について未だ検討中との発言があった。

配信作品について、ディズニーは「ディズニーとピクサーの最新ライブアクション・アニメ映画」と発言するに留まり、具体的な名前が挙がった作品は『トイ・ストーリー4』、『アナと雪の女王』シリーズ、ライブアクション版『ライオンキング』と想定の範囲内だった。

さらに同社は、今後オリジナルコンテンツ(映画、テレビ番組、短編動画)の制作に注力し、新たなコンテンツが続々と追加されることになると語った。また、「限定コンテンツ」(詳しい説明はなかった)も配信予定とのこと。

もう一点気になるのは、ディズニーが本当にDisneyLifeで学んだことを新サービスに反映させるとすれば、テレビ番組のライブ配信も行われるかもしれないということだ。DisneyLifeでは、Disney Channel、Disney XD、Disney Junior Liveの番組をライブ視聴できる。ディズニーはライブ配信については触れなかったが、これらのチャンネルの番組は新サービス上で配信予定だと語った。

新サービスの利用料やローンチ日についてはまだわかっていないが、ディズニーによれば同サービスは世界中に展開される予定で、個々の市場における現状の契約を勘案して順次ローンチするとのことだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

YouTube TV、サービス提供地域が3倍に――アメリカ国内10都市が追加

YouTubeは本日(現地時間7/20)、テレビ放送ストリーミングサービス「YouTube TV」の提供地域に、新たにアメリカの10都市を追加したと発表した。そのうち9都市では、4大ネットワーク(ABC、CBS、FOX、NBC)全てのローカル放送がライブ配信される。主要ネットワークの番組をライブ視聴できるというのは、YouTube TV誕生時からの強みのひとつだ。YouTubeは各都市でそれを実現するため、あえてまだ全国展開していない。

当初YouTube TVは、アメリカの主要都市(ロサンゼルス、ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、サンフランシスコ・ベイエリア等)でしか利用できなかった。

2月に同サービスがお披露目されたとき、YouTubeのチーフ・ビジネス・オフィサーRobert Kynclは、「ABC、NBC、CBS、FOX全社の放送を全国でストリーミングすること」を目指しているので、ユーザーは「見逃せない」瞬間をしっかり見届けることができると語っていた。

そして6月に開催されたオンライン動画カンファレンスのVidConでは、サービス提供地域を10都市増やし、進出先の数を3倍にするとも同社は話していた。このとき彼らが言っていたのが、本日発表された10都市だ。

具体的な都市(一部は複数都市にまたがる地域)名は次の通り。ワシントンDC、ヒューストン、アトランタ、フェニックス、デトロイト、ミネアポリス・セントポール、マイアミ・フォートローダーデール、オーランド・デイトナビーチ・メルボルン、シャーロット、ダラス・フォートワース。

ダラス・フォートワースを除く全ての都市・地域で、ABC、CBS、FOX、NBCのテレビ放送が視聴できる。CBS、FOX、NBCの番組はダラス・フォートワースでもライブ配信されるが、ABCについてはゴールデンタイムの番組のオンデマンド配信だけとのこと(YouTubeとABCの契約内容によって、今後この状況が変わる可能性はある)。

主要ネットワークの番組を視聴できるというのはYouTube TVの大きな強みである一方で、4月のローンチ以降、YouTubeと契約を結んだケーブルテレビの数も徐々に増えてきている。CW、USA、FX、FXX、Syfy、FreeForm、MSNBC、CNBC、Fox News、Fox Business、Disney、Disney Jr.、NatGeo、Sprout、E!といった人気ネットワークのほか、最近ではAMC、BBC World News、IFC、WE tv、Sundance Channel、Olympic Channel、Telemundo、Universoが同プラットフォームに加わった。

その他にもスポーツ系のESPNやNBC Sports、Fox Sportsを含む、合計約50チャンネルが取り揃えられている。

YouTube TVのほかにも、テレビ放送ストリーミングを行っているサービスには、Sling TVやPlayStation Vue、DirecTV Now、HuluのLive TVなどがある。各サービスは機能面で似ている点が多く、どれもクロスプラットフォーム視聴やクラウド録画(一部サービスではこれから始まる予定)、複数ユーザーの同時視聴などができるようになっている。

ニュースチャンネルへのアクセス以外のYouTube TVの強みとしては、利用料の安さ(月額35ドル)、容量無制限のクラウド録画、1世帯あたりの最大アカウント数6個、3ストリームまでの同時利用、YouTube Redオリジナル番組へのアクセス、幅広いデバイスのサポート(デスクトップ、Android、iOS、Airplay経由のApple TV、Chromecast)が挙げられる。

YouTube TVに限らず、ストリーミングできるチャンネル数は日に日に増え続けているため、Suppose.tvBundlerのように、テレビ放送ストリーミングサービスを選ぶ手助けをするようなツールも誕生した。しかしYouTube TVがメインのターゲットにしているのは、従来のテレビではなくYouTubeで動画を見るのに慣れている若い視聴者だ。

これまでのところその戦略はうまくいっているようで、Nielsenのデータでは、テレビの視聴者の約半数が49歳以上のところ、YouTube TVの視聴者の半分以上が13〜34歳の層だとされている。

YouTube TVはユーザー数を明かしていないため、トラクションはそこまで伸びていないと考えれるが、これにはまだアメリカ国内でサービス提供地域を拡大しているということも関係しているのだろう。今後はさらに同サービスを利用できる地域が増えていく予定だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ディズニーがその驚異的なアバターロボットの中身を公開した

5月の終わりにディズニーはフロリダ州ディズニーワールドのアニマルキングダム内にアバターをテーマにしたエリア(パンドラ:ワールドオブアバター)をオープンした。まだオープンからほんの数週間しか経っていないために、まだ訪れた人は多くはないが、もし訪れたならナヴィ・リバー・ジャーニーに行く時間を是非とって欲しい。アトラクションの終点には、アニマトロニクス(生き物のように見えるロボット)のナヴィ(アバターに登場する青いヒューマノイド種)が居るが、これまでに作られたアニマトロニクスの最も素晴らしい例の1つだ。

今日(米国時間7月17日)の午後に、ボストンで開催された、TechCrunch主催のロボットイベントで、私たちはその中で何が起きているのかを見ることができた。

そして外部がきちんと覆われたナヴィ・シャーマンは、次のようなものになる:

しかし、マスクを引き戻してみると、信じられないほど美しく複雑なロボット機構がその下に横たわっている:

ディズニーはこれまで何十年もの間アニマトロニクスに新しい地平を切り拓いてきた(それぞれ1963年と1964年にさかのぼる、ティキルームの鳥と”Great Moments with Mr. Lincoln”にちなんだロボットプレジデント)。しかし、このナヴィ・シャーマンは表現力、動きの滑らかさ、そして観るものの心を吹き飛ばす力で、全く新しいレベルに到達したと言える。

さて、すべてが完成形となって、アトラクションに乗ったときに、全体がどのように見えるのかに興味はあるだろうか?これがそれだ:

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(翻訳:Sako)

現代版ケータイ小説?人のチャットを覗き見るように物語を読むアプリTapがローンチ

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米国時間2月22日にローンチされたTapは、チャットのような見た目で携帯電話上に物語を表示させるアプリだ。Tapを開発したWattpadは、作家のためのソーシャルパブリッシングプラットフォームを運営している。同社は世界中に4500万人もの読者を抱え、Wattpadユーザーはウェブサイトやモバイルアプリ経由で、約2億5000万種類の物語を読むことができる。

そしてWattpadはこの度リリースしたTapで、従来のフォーマットを離れ、ユニークな物語の楽しみ方を試そうとしている。

Tapユーザーは「チャットスタイル」で物語を楽しむことができる。つまり、ユーザーが文章をタップするたびに、だんだんとその先の物語が紐解かれていくような仕組みになっているのだ。Tap上の物語は、読者が他人のチャットのやり取りを覗き見ているようなイメージで書かれているとWattpadは説明しており、物語を読んでいるときのアプリの見た目もチャットアプリのようだ。

ローンチ時点では、ホラー、ロマンス、ドラマといったさまざまなカテゴリーの物語が数百種類も準備されている。

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さらにTapユーザーは、自分でもチャットスタイルの物語を作れるようになるが、現在のところこの機能は同プラットフォーム上の一部の作家しか使えない。Wattpadによれば、数週間のうちに他のユーザーも執筆・出版機能を使えるようになる。

また、チャットスタイルで物語を読めることに加え、ユーザーはお気に入りの物語をソーシャルメディアで共有することもできる

Tapはフリーミアムモデルを採用しているため、WattpadはTapのリリースで、従来のプラットフォームに加えて新たな収益源を獲得したことになる。アプリと一部の物語は無料だが、有料プランも準備されており、有料ユーザーは限定コンテンツを含む全ての物語を読むことができる。なお料金は週額2.99ドル、月額7.99ドル、年額39.99に設定されている。

最近Wattpadは、UniversalTurnerマンガ出版社らとの契約を通じて、ハリウッドやエンターテイメント業界とも関係を深めているが、Tapのサブスクリプションサービスで、すぐにもっと分かりやすい形で売上を拡大することができるかもしれない。

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実はTap以外にも、似たようなサービスが最近誕生しており、Tapの競合でフィクション作品を扱うHookedはチャットスタイルのインターフェースと、執筆環境をユーザーに提供している。Amazonも子どもをターゲットに、Amazon Rapidsというチャット風インターフェースのサブスクリプションサービスを開始した。さらに広く見れば、Serial BoxHardboundといったモバイル読書アプリや、さらには、短いコンテンツをやりとりできるという意味ではSnapchatのようなソーシャルアプリともTapは競合することになる。

しかしTapのサービスは、単に物語を切れ切れに表示させるのではなく、あくまで人のチャットを覗き見るようなスタイルをとっているため、読者は誰かの携帯で勝手にプライベートなメッセージのやりとりを盗み見ているような感覚を味わうことができる。この仕組みは、日常的にモバイルコンテンツを楽しみ、人とのやりとりにも主にモバイルデバイスを使っているティーンやヤングアダルト層にウケるかもしれない。

TapはApp StoreGoogle Playから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

テクノロジーに「感動」を加える ― 電通ベンチャーズがアミューズメントツール開発の米Two Bit Circusに出資

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家庭用ロボットのJibo、コオロギから抽出したタンパク質を使用した健康食品のExoなど、新しい事業領域にチャレンジするスタートアップを中心に投資する電通ベンチャーズ。今年9月にVRスポーツのLiveLikeへ、12月にはVRエンターテイメントのSurviousへ出資するなど、同社はここ最近「エンターテイメント」領域への出資を進めているようにも感じる。

本日電通ベンチャーズが出資することを発表したTwo Bit Circusも、エンターテイメント分野のスタートアップだ。

電通傘下のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドである電通ベンチャーズは2017年1月18日、アミューズメントツール開発の米Two Bit Circusに出資することを発表した。金額は非公開。今回の調達ラウンドには電通ベンチャーズのほか、JAZZ Ventures Partners、Foundry Group、Techstars Ventures、Intel Capital、Georgian Pineが参加している。

Two Bit Circusが表舞台に現れたのは、2013年5月にKickstarterでエンターテイメント・イベント「STEAM Carnival」の運営資金を募ったときだった。STEAM Carnivalはその後、10万ドルの目標数字を達成している。

Science、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字をとった「STEM」という言葉がある。彼らのイベント名にある「STEAM」は、それにArtの頭文字を加えた言葉だ。その後STEAM Carnivalは2014年10月にロサンゼルスで開催され、1万3000人を動員している。

心を揺さぶるプロダクト

Two Bit Circusが得意としているのは、最新技術にアートやエンターテイメントの要素を加えたプロダクトの開発だ。これまで同社は、イベントなどで展示されるプロダクトの受託開発を主に手がけていた。下の動画は、Verizonと共同で開発したアメリカンフットボールの世界を体感できるVRギアだ。

電通ベンチャーズのPedro Ao氏は、心を揺さぶるプロダクトの開発力こそ同社がTwo Bit Circusへの投資に踏み切った理由だと語る。「技術が普及するためには、それがただ生まれるだけでは不十分。そのためには消費者の感情に訴えかけることが必要になる。Two Bit Circusはそこが上手い。彼らには、新しい技術を消費者ウケするものに変える力がある」。

Two Bit Circusの事業領域は電通ベンチャーズがフォーカスする投資分野でもある。電通ベンチャーズは2016年9月、VRでスポーツ観戦ができるLiveLikeに出資。その3ヶ月後の2016年12月にはVRゲーム開発のSurviosに出資している。

Two Bit Circusは必ずしもVRだけにフォーカスした企業ではないが、VRをはじめ新技術を利用したエンターテイメントという共通点はある。「電通ベンチャーズがフォーカスする領域の1つがニューメディアだ。特に、VRは電通がもつ力が活かしやすい領域だと思っている」とPedro氏は話す。

Two Bit Circusのビジネスは新しいフェーズに突入

今回の資金調達を経て、Two Bit Circusのビジネスは新しいフェーズに突入する。

これまで、彼らのメインビジネスは企業からの受託開発だった。しかし、STEAM Carnivalなどでプロダクト開発の経験を積んだ彼らは、今後自社のプロダクト開発に力を入れていくという。Arduinoを搭載した紙でつくられたロボット「Oomiyu」のほか、「大人も子供も楽しめるテクノロジー・アトラクション」を楽しめる自社のテーマパークを建設する予定だという。そのテーマパークは新しいプロダクトをテストする場にもなっていくようだ。

電通ベンチャーズがTwo Bit Circusへの出資に加わったことで、将来的にアジア地域へのビジネス拡大も可能性がありそうだ。実際、電通ベンチャーズやKDDIがJiboに資本参加したあと、Jiboは東アジア地域への拡大を本格化している。それについてPedro氏は、「当面はアメリカ市場にフォーカスしていく予定だが、電通のリソースを利用することで将来的にはアジア地域への拡大もありうるだろう」と話す。Two Bit Circus側も、以前からアジア地域には興味を示していたようだ。

どれだけ業界から注目される新技術でも、ビジネスとして成り立つには、その技術を消費者の心に届くプロダクトへと落としこむことが不可欠だ。業界で注目されるVRにしても、今後どれだけ消費者を振り向かせるコンテンツを生み出せるかどうかが普及への鍵なのかもしれない。電通ベンチャーズがTwo Bit Circusに期待するのはその役割だ。