Dockerが早くもシリーズDで$95Mを調達…エンタプライズ需要への対応に備える

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2年前にコンテナ人気に火をつけた張本人であるDockerが今日、シリーズDで9500万ドルを調達したことを発表した。このラウンドをリードしたのはInsight Venture Partners、新たな投資家としてはCoatue、Goldman Sachs、Northern Trust、既存の投資家ではBenchmark、Greylock Partners、Sequoia Capital、Trinity Ventures、それにAME Cloud Venturesが参加した。

Dockerのエンタプライズマーケティング担当VP David Messinaによると、このラウンドには数社の金融企業が参加しているのが、おもしろい。スタートアップへの投資にはあまりない現象だが、今ではあらゆる種類の企業や団体のデベロッパチームがDockerをサポートするようになり、彼らがDockerを重要なプラットホームと見なしていることの表れだ、とMessinaは言う。

たとえばGoldman Sachsのグローバルなテクノロジ部門を率いるDon Duetは、今日の声明文の中でこう言っている: “弊社の技術者たちがDockerのオープンソースプラットホームを発見して使い始めたとき、彼らはたちまち、それがアプリケーションに提供するポータビリティに感銘した。それに開明されて弊社は、Dockerの技術をベースとするアプリケーションの、パッケージングとシッピングと実行のための標準化されたインフラストラクチャへと向かっていった”。

Messinaは、それほど緊急に資金が必要だったわけではない、と強調した。むしろ彼によると、同社はシリーズBの資金の多くがまだ手つかずだ。しかしDockerのチームは、必要に応じていつでもスケールアップできるために、今の勢いに乗って資金を確保しておこう、という決定をした。

現在Dockerは、市場開拓に大きな投資をしているが、それと同時に、プラットホームの能力をネットワーキングやセキュリティ、ストレージツールなどの方面にも拡充するための、技術面への投資も怠ってはいない。その一つの例としてMessinaは、ソフトウェア定義ネットワーキング(SDN)のSocketPlaneの買収を挙げた。Dockerはまた、社員も急速に増やしている。今現在の約120名は、1年前の4倍近い。

Messinaがもうひとつ強調するのは、このラウンドが今後のエンタプライズ対応のためであることだ。彼が挙げた最近のEnterprise Technology Reportの調査は、685社のCIOを対象とし、彼らのDockerへの投資意思は、6年間続けてきたこの調査の全対象アイテム中でも、記録的に高かった。Messinaはまた、今Docker Hubのベータに参加している企業の約50%がFortune 100企業だ、と述べた。

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CoreOS、Google Ventures等から1200万ドルを調達―Docker管理ツールKubernetesをエンタープライズへ

CoreOSはDockerに特化したLinuxディストリビューションで、主なターゲットは大規模なサーバー群だ。同社は今日(米国時間4/6)、 Google Venturesがリードし、Kleiner Perkins Caufield & Byers、Fuel Capital、Accel Partnersが参加したラウンドで1200万ドルの資金を調達したことを発表した。これでCoreOSの調達資金総額は2000万ドルになる。

これと同時にCoreOSはTectonicをローンチした。これはCoreOSにGoogleのオープンソースのコンテナ管理と統合運用のツールKubernetesを加えた商用ディストリビューションだ。

〔KubernetesはMicrosoft、IBMなどもサポートし、昨年Azureにも組み込んでいる。〕これによりCoreOSはエンタープライズ版Kubernetesをフルサポートした初のOSとなる。この新しいディストリビューションは現在、限定ベータテスト中だが、大企業がコンテナ・ベースの分散インフラに移行するのを容易にすることを目的としている。

CoreOSのCEO、Alex Polviはプレスリリースで「われわれがCoreOSをスタートさせたのはGoogleのインフラを万人に提供したかったからだ。今日発表したTectonicによってそれが実現した。世界中のエンタープライズはGoogleのインフラと本質的に同等の安全、確実な分散コンテナ・インフラを構築し、運用することができるようになる」と述べた。

GoogleのKubernetesのプロダクト責任者、Craig McLuckieは「Googleの顧客はCoreOSを利用すればインフラの構築にあたって、特定のプロバイダにロックインされることなく、相対的なメリットの比較によって自由にクラウド・プロバイダを選択することができるようになる」と述べた。

GoogleはCompute Engineサービスで、CoreOSを1年前からサポートしている。Googleは最近、クラウド・プラットフォームにおけるコンテナの利用に力を入れており、CoreOSとの提携(および同社への投資)は、AmazonやMicrosoftと競争して進取的な大企業をGoogleクラウドに惹きつけるために大いに理にかなった戦略というべきだろう。

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DeployGateが法人向け事業を本格化——ミクシィを飛び出してでもサービスを続ける理由

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スマホゲーム「モンスターストライク」が絶好調のミクシィ。同社は1月、スマホアプリ向けのテスト配信サービス「DeployGate」の事業譲渡について発表した。事業譲渡といっても、これまでDeployGateの事業担当者らがミクシィを飛び出して新会社デプロイゲートを設立、その新会社に事業を譲渡するというものだった。

ミクシィからスピンアウトして約3カ月、AppBroadCastとの共同サービスなども発表していた同社がいよいよ本格的に法人向けビジネスを展開する。サービスの詳細、そして起業に至る経緯や想いについて、共同創業者でCEOの藤崎友樹氏と共同創業者でCOOの安田一斗氏に話を聞いた。

法人向けサービスを正式にローンチ

まずはDeployGateそのものと、3月30日に正式リリースした法人向けの「DeployGate Enterprise」について紹介したい。

DeployGateはiOSおよびAndroidアプリ向けのテスト配信サービスだ。スマートフォンアプリは通常、App StoreやGoogle Playといったアプリストアを経由しないとダウンロードできない(しかもiOSの場合、アップルの審査が入るため数週間かかる)。だがアプリをぶっつけ本番でリリースしても、問題があったり、操作感に不満があればすぐにストアで低評価をつけられてしまうし、そこからアップデートしようにも時間がかかってしまう。これでは開発者も利用者も幸せにはならない。

だがDeployGateを利用すれば、アプリのファイルをアップロードし、生成されるリンクにアクセスするだけでアプリを配布できるようになる。インストール数や利用状況のモニタリングやログの取得も可能。これによって複数人で開発中のアプリを確認したり、クローズドベータ版を配布するといった施策が非常に便利になるのだ。

今回のDeployGate Enterpriseでは、これまでにも提供していた組織・チーム向けプランの機能を大幅に強化。開発グループや開発アプリ数の制限を取り払ったほか、詳細な権限設定も用意。開発会社と外部での共同開発などでも利用できるようにしている。価格は20アカウントで月額5万円から。すでにクックパッドやはてな、リクルート、ミクシィ(もちろんモンストでもバリバリに利用されているそうだ)などがクローズドベータの段階からサービスを利用している。

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事業は黒字化するも、成長は予想を達成せず

新卒でミクシィに入社した藤﨑氏だが、2009年頃からAndroidに触れるようになり、当初は電話帳アプリなどをテスト的に開発していたそうだ。それが最終的に2010年に同社が発表した「ソーシャルフォン」として世に発表され、その後藤崎氏はAndroidの開発担当となる。そしてAndroidの開発環境の不便さを痛感し、社内向けにDeployGateの前身となるツールを開発した。

当時ミクシィでは、新規事業創出プロジェクトの「イノベーションセンター」を発足するタイミング。藤崎氏のツールが第1号案件として採択され、DeployGateのプロジェクトが始まることになった。

藤﨑友樹氏

デプロイゲートCEOの藤崎友樹氏

サービスインから約2年。個人開発者からプリインストールアプリの検証をしたい端末メーカーまで、国内外2万アカウントが利用(海外も2014年時点で90カ国以上で利用されている。先方の許可を取っていないので公開できないとのことだが、本当に著名な米国のアプリなどでも利用されているとのことだった)。実はすでに黒字化し、「ごはんは食べられるくらいには」(藤崎氏)成長していたDeployGate。しかし1月のミクシィの発表のとおり、ビジネスとしての成長スピードでは当初の予定から下振れしていたのだそうだ。

周囲を見てみると、競合サービスの「TestFlight」はアップルに買収され、2014年3月にAndroidのサポートを終了。だがDeployGateはもともとAndroidのみに対応していたものの、iOSのサポートを開始したばかり。「ミクシィという会社を考えれば(サービスを終了するという)ロジックは理解できる話。だが、開発者向けツールは浸透に時間がかかるし、(周辺環境も変わり)スタートラインに立ったところだった」(藤崎氏)「開発ツールなので『使っている』という話があまり外に出ないが、名だたるスタートアップが使ってくれていた。だから僕らとしては可能性が見えていたし、プランが徐々に見えてきていた」(安田氏)という思いから、スピンアウトを決意したのだという。

事業譲渡で「サラリーマンとして覚悟を決めた」

ミクシィは買収こそすれど、手がけてきた事業を社外に譲渡するようなことは少なくともここ数年ではなかったと記憶している。イケてないサービスは閉じて、人材を再分配していたはずだ。だからDeployGateのスピンアウトには正直驚いていた。藤崎氏には「サクッと話がまとまったのか?」と尋ねたのだけれども、同氏は「全然サクッといかなかった」と即答した。

デプロイゲートCOOの安田一斗氏

デプロイゲートCOOの安田一斗氏

ミクシィからは、DeployGateのチームに対して、サービスをピボットする、サービスを終了して別の事業にチャレンジするなど、さまざまな提案があったそうだ。そんな中で2人はスピンアウトすることを選択したという。だけどもミクシィからすれば、「社外に自社のサービスを出すのであれば、すぐに潰れてしまっても困る」と思うわけだし、簡単には譲れないだろう。

だが社内でも彼らを応援する役員・スタッフも多く、「譲歩できるモノは譲歩して、自ら持ち出しもしたが、それだけやる気を認めてもらった」(藤崎氏)のだそうだ。事業譲渡の金額についても聞いたのだけれども、具体的な額は非公開。2人は「サラリーマンとして考えるならば、覚悟を決めないといけない額だった」と語った。

DeployGateで社会問題を解決したい

そんな“覚悟”を持ってスタートしたデプロイゲート。彼らのイグジット戦略はどういうモノなのだろうか。藤崎氏に「TestFlightや(Microsoftに買収された競合サービス)HockeyAppのように、買収がゴールか」と尋ねたのだけれども、同氏はそれを否定する。

「本当にいいモノが開発者に広がっていくのが重要。そして、そのモノがどこかのプラットフォームに属していないことも重要だと思っている。グーグルやアップル、いずれかのプラットフォームでないと動かないというのでは意味がない。そんな縛りがないところで、作る人と使う人を繋ぎたい。今は売り抜けるという目標はない。僕たちの顧客が抱えるのは社会問題であり、それをどんどん解決していきたい」(藤崎氏)

安田氏もこう続ける。

「スマートウォッチやスマートテレビが出てきているが、iOSとAndroidだけを考えても、デバイスはスマートフォンにとどまらない。そうするとさまざまなデバイスで(不具合など)不幸なことは起こってくる。そんなことが起こらないように、DeployGateのようなツールが当たり前に使われて好循環が生まれればいい」(安田氏)

IBMとAppleの提携がいよいよ動き出した―ヘルスケア、航空などエンタープライズ・アプリ8種類リリース

エンタープライズ向けモバイル・アプリの開発でのAppleとIBMの提携がいよいよ成果物を出し始めた。今日(米国時間4/1)新たに、iOSデバイス向けエンタープライズ・アプリが8種類発表され、MobileFirstプロジェクトのアプリは合計22種類となった。

今回のリリースで特に注目されるのはヘルスケア関連アプリだが、 以前のはプレス発表のとおり、AppleとIBMの提携はバンキング、ホテル、航空機、運輸、財務、エネルギー、法執行、小売、保険などの分野に広がっていくだろう。

IBMは今回の新アプリのリリースにあたって公式発表は行わないことを確認した。これはヘルスケア関連アプリに関しては、今月開催予定のHiMSS〔アメリカ・ヘルスケア情報管理システム協会〕のカンファレンスで詳しい説明を行う予定だからだという。

今回発表された8分野のアプリのうちではヘルスケア関連アプリがもっとも重要なものだろう。Hospital RNというiPhoneアプリでは病院の既存の情報システムとiPhoneを接続し、医師や看護師など職員は入院から退院までiPhoneアプリから必要な患者情報へのアクセスと管理ができる。これによって患者情報管理を効率化し、職員の負担を軽減するのが狙いだ。これにはさらにAppleのiBeaconテクノロジーが用いられ、患者の病室位置情報が利用される。職員が病室に近づくとその患者の情報が自動的に表示される。

iPad向けHospital Lead、iPhone向けHospital Techなど業務の優先順位を判定、管理することに特化したアプリもある。iPhoneアプリのHome RNは、看護師が患者の自宅など病院外でヘルスケア業務を行うのをサポートする。

ヘルスケア関連以外のアプリでは、iPad向けRapid Handoverは工場などの交代制職場の職長が設備のメンテナンスや製造目標などの情報を従業員と迅速かつ効率的に情報を共有し、生産性を向上させるのが目的だ。iPad向けOrder Commitアプリは小売業向け、Risk Inspectは損保業界向けのアプリで、iPadのカメラを利用して効率的に損害報告書が作成できる。

もうひとつ、航空会社向けアプリも発表された。IBMは 今年に入って、遅延やキャンセルとなったフライトの乗客を別のフライトに移す手続きを簡単にできるようにするエアライン向けアプリを開発していると発表した。このアプリが今回、iPhone向けにAncillary Saleという名前でリリースされた。またこのアプリでは客室乗務員が機内で席のアップグレードや機内販売を行うことができる。

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昨年発表されたAppleとIBMの提携の主な目標は、コンシューマ向けのソフトウェアの使いやすさをエンタープライズ向けサービスに導入することだ。エンタープライズ・ソフトウェアでは往々にしてユーザー体験が置き去りにされ、遅く、使いにくいものになっている。ここ数年「ITのコンシューマ化」が大きなトレンドになっているので、IBMがAppleとの提携によりこうした動きに先駆けようとするのは不思議ではない。一方、AppleとしてもIBMと提携して大企業のITシステムにiOSアプリが採用されることはiPhoneとiPadの企業向け売上を伸ばす効果が期待できるわけだ。

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企業のストレージを変えた四大特許

[筆者: Satyam Vaghani]

編集者注記: Satyam VaghaniはPernixDataの協同ファウンダでCTO、同社はシリコンバレーに拠を置くエンタプライズ(企業向け)ストレージのスタートアップだ。

スポーツファンはFinal Four(準決勝に残った4チーム/4人)に興奮する。それは大学フットボールの4チームによるプレイオフのこともあれば、ウィンブルドンのセミファイナルの選手たちなど、そしていちばん有名なのはNCAAバスケットボールのMarch Madnessで勝ち上がったチームだ。今年のトーナメントはもう始まっているから、ここでは、世界でいちばんインパクトが大きかったストレージ関連の特許4つを、Final FourあるいはFab Fourとして取り上げてみよう。

その競争は実に激しい。大学バスケットボールのMarch Madnessは68校で始まるが、コンピュータ技術の分野は、合衆国特許庁がこの50年間に認めた特許の数だけでも1100万件あまりある。ITストレージ関連がいくつあるか、よく知らないけど、少なく見積もっても数千は下るまい。

その中から4つを選ぶ基準は、きわめてシンプルだ。その特許が本当に偉大で革新的なイノベーションであること、発明した企業に大成功をもたらしたこと、そして、セクシーであること。ストレージの世界での“セクシー”のことだけど、もちろん。

では始めよう。今あなたの前にはトーナメント表があり、そして私は、ストレージゲームの実況を担当するスポーツキャスターだ。では、エンタプライズストレージの世界を変えた4つの特許を、順不同で取り上げよう。

1. 重複排除…2005年にData Domainが取得した特許6,928,526

Data Domainは21世紀の初めに、ある明確な使命を抱(いだ)いて創業された企業だ。それは、バックアップストレージの市場を、コスト効率の良いディスク方式でディスラプトし、テープを置換することだった。

当時は、予備的ストレージやバックアップストレージといえば、もっぱらテープだった。テープは容量が多くて、しかも安上がりだった。毎日アクセスする必要のないバックアップデータを高価なディスクストレージに保存するのは、意味のないことだった。

ここから、クラウドベースのバックアップなど新しい技術が生まれ育った。

そして2005年の8月22日に、Data Domainが、“Efficient Data StorageSystem”(効率的なデータストレージシステム)と題する特許を取得した、と発表した。Ben ZhuとHugo Pattersonと同社のチーフサイエンティストKai Liが発明したこの技術は、平凡なタイトルであるにも関わらず、重複除外(deduplication)と呼ばれる革命的なイノベーションだった。

重複除外はデータの冗長部分を素早く見つけて削除するので、複数の小さなファイルのバックアップコピーを作るとき、無駄が生じない。たとえば一つのファイルを5つのディレクトリに計5回コピーしようとしているとき、Data Domainが発明した方法は重複を見つけて1回だけそのファイルを保存する。

この技術で、ディスクストレージのコストがテープと肩を並べるまでになった。ここから、クラウドベースのバックアップなど新しい技術が生まれ育った。クラウドでテープを使うことはなく、どうしてもネットワークからディスクを読み書きする形になるからだ。Data Domainの特許は、データバックアップのあり方を変えた。

2009年に、EMCがData Domainを20億ドルあまりで買収した。

2. WAFLでリード/ライトを効率化…2001年にNetAppが取得した特許6,289,356

NetAppは、ディスクの問題を解決した。ディスクでは、シーケンシャルなリード/ライトはきわめて速いが、ランダムなリード/ライトがとても遅い。しかし、シーケンシャルなリード/ライトをもっぱら使うアプリケーションは、世の中にほとんどない。

NetAppのDavid HitzとMichael MalcolmとJames LauとByron Rakitzisは、データやメタデータをディスク上の決まった位置に保存しなくてもよい方法を見つけた。彼らはその方法を、Write Anywhere File Layout(WAFL)(どこにライトしてもよいファイルレイアウト)と呼んだ。こうして、シーケンシャルvs.ランダムの問題は解決した。〔参考記事(1)(2)

シーケンシャルなリード/ライトをもっぱら使うアプリケーションは、世の中にほとんどない。

WAFLの重要な特長は、ファイルシステムのリードオンリーのコピーであるスナップショットを素早く作る能力だ。これによってユーザはうっかり削除されたファイルを回復できるし、データを喪失した場合でも仕事を続行できる。WAFLは、エンタプライズ級のストレージシステムの重要な機能として、スナップショット作成をプロダクト化した。今ではフラッシュメモリの配列がWAFLを恐竜の仲間へと貶(おとし)めようとしているが、それはストレージの進化において非常に重要な技術であり、NetAppはこれで有名になった。またWAFLが起こしたディスラプトは、過去の方式にしがみつくことの危険性を示している好例だ。

3. 仮想ホットスペアつき分散FS…2006年にIsilon Systemsが獲得した特許7,146,524

特許にはまるで文章のような長い名前が多いが、これもまさにそうだ: “Systems and methods for providing a distributed file system incorporating a virtual hot spare“(仮想ホットスペアを持つ分散ファイルシステムを提供するためのシステムと方法)。この名前が指しているのは、単一の論理的ファイルシステムのようにアクセスできる複数のスマートストレージユニットにファイルデータを保存する、革新的な技術だ。

当時の同社のプレスリリースはこう言っている: “この中核的なデータ保護機能…Isilon IQstorageクラスタの空きスペースにデータを動的に再生産する技術は、無用で余分なストレージユニットやサーバやスペアのディスクドライブの必要性を排除し、顧客のストレージ環境のコストと複雑性を大幅に削減する”

良いプロダクトは時間と使用経験に基づくデータによって、偉大なプロダクトになりえる。

この特許はSujal PatelとPaul Mikesell、Darren Schack、およびAaron Passeyの発明で、これに基づいてIsilonは、実用性のある分散ストレージシステムを作って発売した。それは当時のこの種の商用製品の中でおそらく、もっとも成功した製品だった。

分散システムのソフトウェアは、部位の数が多くて、独特の性格があるため、とても作りにくい。Isilonの連中は特定のハードウェアを前提としてファイルシステムを書いたので、 面倒な部分を省き、工程を単純化できた。それは、エンジニアリングの良きレッスンでもあった。良いエンジニアリングは、とりあえず今の需要を満たすもっとも実用的なプロダクトを作ることであり、必ずしも今から10年後のもっともパーフェクトなプロダクトを作ることではない。良いエンジニアリングは、反復的な工程でもある。良いプロダクトは時間と使用経験に基づくデータによって、偉大なプロダクトになりえるのだ。

EMCは2010年にIsilonを22億5000万ドルで買収し、今でもHadoopやそのほかの需要に応じて中核的技術のアップデートを継続している。

4. 仮想マシンのストレージ…VMwareが2014年に獲得した特許8,650,359

言うまでもなくVMwareは、物理的なコンピュータを複数の仮想コンピュータに仕立てる技術のパイオニアで、x86のアーキテクチャを仮想化した初の企業だ。ちなみにVMwareのScott DevineとEdouard BugnionとMendel Rosenblumが特許第6,397,242号 – “Virtualization system including a virtual machine monitor for a Computer with segmented Architecture”(セグメント方式のアーキテクチャによるコンピュータのための仮想マシンモニタを含む仮想化システム)を出願したのは1998年の10月26日で、公示されたのが2002年の5月28日だ。〔Computer with segmented Architecture, x86のこと。〕

しかしVMwareは、ストレージの能力を高度化するための技術でも、特許をいくつか取っている。(情報開示: 私は当時VMwareのストレージグループのCTOとしてこれらの特許のいくつかに関わった。)

新しいやり方の登場により、ストレージのインテリジェンスをサーバに置いてVMの分析項目を増し、リソースの管理を効率化するニーズが興ってくる。

たとえば特許第8,266,099号は、VAAIを記述している。これにより仮想化プラットホームが、仮想マシンのストレージ操作をストレージシステムへメタレベルで送れるようになり、ストレージシステムがVMの操作を、サーバ不要で内部的にかつ効率的に行える。特許第7,849,098号は、これによりVMFSが世界で唯一の、サーバ間ネットワーク通信を要しないクラスタ化ファイルシステムとなるための発明だ。共有ストレージをプラグインするだけで、即使えるのである。

しかし本節のタイトルになっている特許第8,650,359号は、“Computer system accessing object storage system”(オブジェクトストレージシステムにアクセスするコンピュータシステム)と題され、ストレージの未来にとってもっとも重要な意味を持つ、と私は考えている。私とVMwareの数名の同僚(Ilia Sokolinski、Tejasvi Aswathanarayana、Sujay Godbole)が作ったこの特許は、VMの上で保存したり操作したりするストレージシステムを、ファーストクラスの(通常の、本物の)オブジェクトにする。

これによりたとえばSCSIやNFSのストレージシステムがVMを認知するストレージシステムになり、そのためこの特許は、今では市場に導入されている仮想ボリューム(Virtual Volumes, VVOLs)の基盤となる。個々の仮想マシンに物理マシンと同じように独自のストレージ(仮想ストレージ)がある、という形とそのための要件をVVOLはほぼ完全に満たし、ストレージを仮想化の時代へと持ち込んだのだ。

今日のストレージの世界には、たくさんのことが起きており、これらの特許の‘地位’はもしかして揺らぐかもしれない。非結合ストレージのような新しいやり方の登場により、ストレージのインテリジェンスをサーバに置いてVMの分析項目を増し、リソースの管理を効率化するニーズが興ってくる。そういうニーズに未来がどう対応していくのか、もう今から興味津々だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


Windows 10ではあなたの顔がパスワードになる


今日(米国時間3/17)午前、Microsoftは次期オペレーティングシステム、Windows 10でユーザーがハードウェアやデジタルサービスにログインしやすくするツールを2つ発表した。

Windows Helloは、対応ハードウェアを備えたパソコンに顔、目、および指紋を使ってログインするしくみだ。どのマシンでもWindows Helloを使えるわけではない。Microsoftはブログ記事で、既に指紋スキャナーを装備しているパソコンはサポートする予定で、Intelの現行テクノロジー、RealSenseカメラを内蔵するパートナー製のパソコンでは、瞳孔および顔を認識するサインイン機能がサポートされることを「大いに楽しみにしている」と語った。

Microsoftが、Helloは「エンタープライズ水準のセキュリティー」を持っていると言っているのは興味深い。つまり、Windows 10パソコンに自撮り1でログインできるようになるだけでなく、Micrsoftはそうする方が安全だと考えている。私はまだこの技術を試していないが、うまく働くようなら普及するだろう。

もう一つはPassportで、これはWindows 10が様々なデジタルサービスのために、例えばユーザーが本人であることをアプリのために「認証」するプログラミングツールだ。そしてWindows 10はあなたが本人であることを保証しているので、パスワードをやり取りする必要がなく、ユーザーのパスワードはより安全に保たれる。Passportはデバイス固有の暗証番号(PIN)またはWindows Helloを使ってユーザーを個人識別する。

Windows 10ではパソコンを見つめるだけでログインできて、しかも色々なオンラインサービスやアプリのロックも解除できるようになる。パスワードが減る? これはいい。

1. おい何自撮りしてるんだ! えっ、ログインしてるんですけど。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


AtlassianのStash Data Centerがベータを終え一般公開へ、エンタプライズ向けGitを志向

GitリポジトリツールStashを提供しているAtlassianが、エンタプライズ向けのGitラッパーとして作ったコード管理サービスStash Data Centerが、数か月の公開ベータを終えて今日(米国時間3/2)、正式にローンチした。このサービスを使うと企業はサーバのクラスタの上でGitを動かし、多数のデベロッパを支援できる。ベータ時には、最大で12000名のデベロッパをサポートしたそうだ。

Atlassianのデベロッパツール担当VP Eric Wittmanによると、Gitは4月に10歳を迎えるが、その企業利用は最近やっと始まったばかりだ。その理由は、彼によると、Gitが企業にとって難しいことだ。彼曰く、“分散バージョン管理はすばらしいが、Git自体はかなり荒削りだ。内部の細かい仕組みまで分かっていない人には、ちょっと近づきがたい”。

大企業にとって、Gitをもっと使いやすく管理しやすくするのが、StashとStash Data Centerだ。

たとえばGitをそのまま使っていると、容量の限界にぶつかり、大きなチームでは使えなくなる。デベロッパの数が多すぎると、アクセス制限やパーミッションの問題にぶつかることもある。Gitはハードウェアに対して厳しいから、チームが大きくなっても簡単にはスケールできない。Stashには当然ながら粒度の細かいパーミッションがあるし、Atlassian独自のクラスタリング技術はオーバヘッドの少ないスケーリングが可能だ。だから、Gitにこれらの特性を持たせるラッパーが必要になる。

Wittmanによると、Stashのチームの約1/3が約1年、このプロジェクトに携わった。ベータでStash Data Centerのユーザだった顧客には、AmadeusやCisco、Splunk、Blackboard、Cienaなどがいる。

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MirantisとGoogleがパートナーしてKubernetesをOpenStackでサポート

OpenStackのエコシステムでメジャーになったMirantisが今日(米国時間2/24)、GoogleとパートナーしてKubernetesをOpenStackのプロジェクトでサポートする、と発表した。Kubernetesは、コンテナ化したアプリケーションを管理するためのオープンソースのツールだ。このサポートでは、OpenStackのアプリケーションカタログMuranoを使って、KubernetesベースのクラスタとそれらのDockerコンテナの展開と構成が容易にできるようにしている。

OpenStackのアドミンがMuranoを使うと、ほんの数クリックでKubernetesを展開できる。Mirantisによると、この新しい機能によりOpenStackで開発をするデベロッパは、自分のワークロードをOpenStackとそのほかのクラウドコンピューティングサービス(GoogleのCloud Platformなど)とのあいだで移動できる。Googleはこの点について、顧客には自分のアプリケーションをオンプレミスと公開クラウドのハイブリッドにするための、多様なオプションが可能になる、と言っている。

OpenStackとMuranoと、OpenStackのオーケストレーションサービスHeatにより、Kubernetesのクラスタに必要なすべてのリソースの配備が自動的に行われる。クラスタのスケールアップ/ダウンも容易になる。そのため、クラスタをOpenStack内蔵のファイヤーウォールやロードバランシング、モニタリングなどのツールと良好に統合できる。

今日の発表は、GoogleのKubernetesの普及と浸透が非常に広範囲であることを示す一つの例だ。しかしそれはまた同時に、OpenStackのエコシステムの成長が急速であることも物語っている。そのオープンソースのモデルによりデベロッパは、プロジェクトを変化するニーズに柔軟に適応させられる。ソースがオープンでなければ、それは難しい。

OpenStackのMark Collierが、ぼく宛のメールで次のように言っている: “OpenStackが急速にエンタプライズクラウドのスタンダードになった理由の一つは、それがオープンでプラッガブル(いろんなモジュールを自由に差し込み差し替え…着脱…可能)な設計だからだ。だからDockerやKubernetesのような新しい技術が登場しても、それらの統合を素早くできる。今回のKubernetesの統合によって、Googleのすでに実証済みのコンテナスケーリングエンジンが持つ利点を、OpenStackのコンピューティングとストレージとネットワーキングのオーケストレーションに持ち込むことができる。OpenStackはすでに、Walmartなどの企業が、Cyber Mondayのような大きなイベントで頼りにしている”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


IBM、InterConnectカンファレンスで野心的なハイブリッド・クラウド戦略を発表

IBMは、ラスベガスで今日(米国時間2/23)開幕したInterConnectカンファレンスで、ハイブリッド・クラウド推進のための新たなイニシアチブを発表した。これによりユーザーは多様なリソースをあたかも単一のクラウドであるかのように扱えるようになるという。

ハイブリッド・クラウドとは、サードパーティーの公開クラウドサービス、プライベートクラウド、オンプレミスのデータセンターを組み合わせたコンピューティング資源のことだ。

クラウド・アーキテクチャーとテクノロジー担当副社長、Angel Diazは「このイニシアチブの目的は、あらゆるプラットフォームとタイプのクラウド資源をユーザーができるかぎり容易に管理できるようにすることだ。これにより、パブリック・クラウド、プライベート・クラウド、自社データセンター、さらにはクラウドのクラウドさえもその設置場所を問わず、単一のインフラであるかのように運営できるようになる」と語った。

IBMは企業がIT部門のクラウド化を試みる際に直面する典型的な問題の解決を図っている。現在クラウドにシフト中の多くの企業は、さまざまなタイプのコンピューティング資源を抱え込み、結果としてハイブリッド・クラウドの状態になっている。これらの多様なインフラからデータを引き出し、処理、共有することには多くの困難が伴う。

DiazによればIBMはこの問題を3つの課題に分けて解決を図るという。第一の分野は、企業固有のシステムにデータを統合すること。次にさまざまなシステム、プラットフォームのデータへのアクセスを容易にし、必要なときに必要なデータが容易に得られるようにすること。最後に、クラウドとオン・プレミスの資源にまたがって存在するアプリケーションとデータをそれらが世界中どこにあろうと、必要なときに結合すること。

いずれも非常に複雑な課題だが、IBMはいくつかの新しいアプローチを提案した。

まずIBMはコンテナー・テクノロジーを重視する。IBMはDockerと提携し、IBM向けにカスタマイズされたDockerコンテナをエンタープライズに提供する。これらのコンテナーはアプリケーションがオン・プレミスに存在しようとクラウドに存在しようと関係なく、セキュリティー、運営プロセス、データ・フォーマットなど企業固有の既存のプロセスを適用できるようにする。

次のアプローチはIBM DataWorksと呼ばれる。これはデベロッパーが多様なデータのソースをマッピング・テクノロジーを用いて、どこに所在しようと安全かつ自動的に処理うることを可能にする。

IBMはこうして統合されたデータをWatson人口知能へAPIによって処理し、きわめて高度な分析を実現しようとしている。この点に関しては、先週、MicrosoftもAzure機械学習プラットフォームを正式に公開している。DiazはMicrosoftのプロダクトに対するWatsonの優位性を強調したが、アプローチの方向としては類似点が多い。Diazは「Watsonは単にデータを解析し、意味づけを行うだけでなく、複雑な現象から相関関係を見出し、さまざまな仮説のどれがどれほど正しそうであるかをユーザーに知らせることができる」と述べた。

これらに加えて重要な要素はBlueMixの設定を容易にするBlueMix Localだ。Bleumixは IBM独自のPaaSで、アプリケーションを構築、管理、実行するためのオープン・スタンダードとクラウドをベースとしたプラットフォームだ。通常のパブリック・クラウドとは異なり、ユーザーはアプリケーションをオン・プレミスの資源と各種のクラウドに分散して配置し、必要に応じて作動させることができる。

Diazによれば、BlueMix Localは「アプリケーションの可視性と制御をシームレスに提供する」という。

最近のIBMのツールの例に漏れず、これらは広汎かつ多様なパートナーによって強化される。以前IBMはすべてを自前で用意していたが、この態度は様変わりした。現在では普通ならIBMのライバルと考えられる企業やプロダクトとも積極的な連携が図られている。

Diazは「現在顧客が直面している困難かつ複雑な課題は多くのパートナーとの連携なしには解決できないと語った。「こうした複雑きわまる問題を単独で解決できるようなベンダーは存在しない。そんなベンダーが存在する考えるのは幻想だ」とDiazは言う。

IBMはできるかぎり多様なパートナーと連携し、重層的なツール群を提供していくという。このアプローチがどのような成果を収めるか注目だ。

画像: Erik Drost/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


IBMが来年1万2000人のレイオフを計画中との報道


噂は飛び交っている ― そしてIBMの株価が上がっている。同社が全社員の26%、11万8000人という大規模なレイオフを計画していることが報じられている。TechCrunchが調べたところ2種類の筋から人員削減があるとの情報を得たが、そのような規模にはほど遠いという。

複数の情報源がTechCrunchに伝えたところによると、11万8000人という数字は1桁違っており、人数は1万1000から1万2000に近いという ― そして削減は一括には行われない。

IBMに詳しいシリコンバレーインサイダーの一人は、「IBMがそれほどの人数をそれほど早くレイオフすることは考えられない」と語った。

ここ数年、IBMは不調の四半期決算が11期続いている。先週発表されたばかりの最新四半期報告でも、売上は対前年比5.6%減、純利益は27%以上の減少だった。

2014年、IBMは15億ドルを支払って半導体部門を売却した。同年10月に同社はさらに人員再調整に関連してQ4に6億ドルを支出すると発表した。

IBMは自らを再定義するための措置を講じているところでありり、x86サーバーをLenovoに売るなどハードウェアを手離し、クラウド、アナリティクス、およびEコマースの会社へと変遷しようとしている。

IBMは2013年から2014年にかけてSoftlayerを買収して世界13箇所のデータセンターを手に入れ、非常に早く27箇所を追加して現在計40箇所からなる世界規模の総合データセンターとして存在感を高めている。さらにこの数年の間に100社以上のSaaS会社を買収して、サービスとしてのプラットフォーム、BlueMixを立ち上げ、顧客が独自のクラウドサービスを構築する手段を提供している。そして同社は、クラウドサービス・マーケットプレイスを開設し、デベロッパーたちはオンラインで取引きが可能になった。IBMはこのすべてを驚くべき早さで実施した。

その一方でIBMは、数年前にクイズ番組 Jeopardy!のチャンピオンを3人負かしたことで有名になったスーパーコンピューター、Watsonを商品化する等、他の領域にも力を入れている。Jeopardy! で見せた妙技によって世界にWatsonの潜在能力を見せつけると共に、IBMはこれをデベロッパーがWatson上にアプリケーションを作れるクラウドプラットフォームとして商品化し、さらにビッグデータの一般企業向けツールとしてWatson Analyticsを提供している。

以上のすべてから、自らを必死に変え、より重要な優先事項へと焦点をシフトしようとする会社の姿が見える。

ちなみに、過去10年間にHPが実施した大型レイオフは、転職支援や早期退職等のインセンティブから始まった。それが終ってから、会社はレイオフに転じた。IBMがこの膨大な措置を一度に敢行し、短期の早期退職プランを進めることなくいきなりレイオフに進むことは極めて考えにくい。

IBMが重要な組織改革の最中にあり、その変遷が大きな挑戦であることは間違いない。古くて不必要なスキルを持つ労働力を捨て、変わりつつある優先順位を反映する分野の専門知識を持つ人々を雇用することは道理にかなっている。しかしそれは必ずしも大切なものを一緒に捨てることを意味しない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


速報:Microsoft、Windows 7、8からWindows 10へのアップグレードは無料と発表

今朝(米国時間1/21)、シアトルの本社キャンパスで開催されたプレスイベントでMicrosoftは「Windows 7、Windows 8.1、Windows Phone 8.1のユーザーは、Windows 10のリリース後1年間に限り、無料でアップグレードできる」と発表した。

MicrosoftのTerry Myersonは「Windows 10はユーザーがインストールすれば終わりとなる単なるOSではなくサービスだ」と強調した。一言でいえば、MicrosoftはWindows 10を同社が提供するさまざまなサービスのハブとなるサービスと位置づけている。

無料アップグレードを提供することにより、Microsoftは次世代Windowsのユーザーベースを一挙に拡大することを狙っている。それによりデベロッパーがWindows 10ベースの開発を行うインセンティブが高まるわけだ。Microsoftは次世代プラットフォームの発展のためにデベロッパー・コミュニティーの成長を必要としている。AndroidとiOSの全盛時代にあって、Microsoftはこれらのライバルに対し、デベロッパーの関心を引くことに関して遅れを取っている。

Windows 10はモバイル・デバイスからノート、デスクトップまであらゆるフォーム・ファクターを通じて作動する。そのためMicrosoftがパソコンだけでなく、Windows Phoneやタブレットのユーザーにも無料アップグレードの対象を拡大したのは理にかなっている。しかし、Windows 7のユーザーにまで無料アップグレードを提供するという決断は驚きだ。Microsoftはアップグレードが有料であれば得られたはずの(少なくとも理屈の上では)売上を放棄したことになる。

無料アップグレードにより、Microsoftは現在のWindows環境のフラグメント化を相当に軽減できるだろう。Windows 10がリリースされればWindows 7は2世代も古いOSになるが、それでもWindowsの中で依然としてシェアが最大だ。MicrosoftはWindows 7のユーザーをなんとしてもWindows 10に移行させたいわけだ。

アップデート: MicrosoftはWindows 10の新しいビルドを来週公開すると発表した。またスマートフォン向けWindows Phone 10の最初のビルドが2月に公開されるというこれまで流れていた情報を確認した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


薬の治験のセットアップと管理を支援するSaaS goBaltoが$12Mを調達

薬の治験をより容易に、そしてより迅速にするサービスgoBaltoが今日(米国時間1/20)、Mitsui Global InvestmentとDolby Family Venturesから新たに1200万ドルを調達した、と発表した。

これで2008年にサンフランシスコで創業されたgoBaltoの資金調達総額は3100万ドルになる。同社の企業向けSaaSは、治験の初めの部分を管理する。そこでは製薬会社が、治験を行う場所を編成し、患者を見つけ、当局に許可を申請しなければならない。

多くの企業やその研究部門がExcelのスプレッドシートやメール、電話などを駆使してそのタスクを行いがちだが、goBaltoはその全過程がより円滑に効率的に流れるよう、図っていく。治験は複数の国にまたがって行われることが多いので、これまでは最大で18か月も要していた。

同社はこの新たに得た資金を、55か国にわたるグローバルなカスタマサービスと技術的サポート、マーケティング、および製品開発とその工程の改善に充てていく。goBaltoは今そのソフトウェアの、治験のための適切な場所と患者の確保を支援する部分の改良に注力している。

同社によると、今行われている大手製薬会社による治験のおよそ半数が、少なくとも部分的には、goBaltoを利用している。

goBaltoのCEO Sujay Jadhavは同社のソフトウェアのことを、“治験のためのTurboTaxであり、インテリジェントなワークフローがソリューションに導く。その過程全体を自動化できる”、と説明している。

これまでの治験のやり方に比べて、goBaltoを使った場合には治験に要する時間が最大で30%節減されるので、製薬会社や研究機関は新薬をより早く市場に投入できる、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


モバイルの膨大なトランザクションを扱うz13でメインフレームの存続に賭けるIBM

IBMはx86のサーバビジネスを投げ捨て、メインフレームが過去の遺物となったと思われる今日このごろ、実は5年間で10億ドルを投じて、現代のモバイル時代にふさわしい、新しいメインフレームの猛獣を開発していた。

今の企業は、ハイエンドなコンピューティングシステムを求めている。IBMの、z13と名付けられたホットな新システムはまさに、モバイルの大量のトランザクションを処理できるように設計されている。IBMの発表によると、その一日の処理能力は25億トランザクション、それはCyber Monday100日ぶんに相当する。

IBMは昨年の4月に、同社のメインフレームビジネスの50周年記念を祝った。その間エンタプライズコンピューティングは数多くの変化を経験したが、まだメインフレームが生き残っている部分もある(後述)。

IBMでエンタプライズモバイルを担当しているディレクターMike Gilfixによると、メインフレームの最新機z13の開発でとくに意識したのは、モバイルトランザクションに特有の複雑性と、その増加だ。そのため同機は、複数のシステム間の複雑な相互作用に十分対応できると同時に、同社が“リアルタイムモバイルエンクリプション(encryption, 暗号化)”と呼ぶ技術によるセキュリティの確保と、ハイエンドなリアルタイムの分析(タスク分析、アクセス分析)ができるように設計されている。

彼が例として挙げるのは、モバイルデバイス上のeコマースのトランザクションだ。ユーザが画面の[購入する]ボタンを押すと、非常に多数のさまざまなシステムが、クレジットカードの処理や在庫管理、発送、などなどをめぐって大量のコミュニケーションを開始する。しかもそれらの処理は逐次ではなくて同時並行的だ。すなわち、顧客一人につき大量の複雑な処理が行われるが、そのときアクセスしている顧客全員なら合わせて数十億というトランザクションが並列で行われることになる。そんなとき、z13なら顧客に遅れを感じさせることがない、という。

彼は曰く、“今のコンピュータとネットワークの利用を先頭に立って引っ張っているのがモバイルだ。eコマースでもヘルスケアでも金融サービスでも、モバイルが最大の利用インタフェイスになっていく。すべての人が、毎日の生活の中で、モバイルから必要な情報を得ようとするのだ”。

そんな全地球規模の、しかもリアルタイムのトランザクション集合に遅延なく対応することは、どんなコンピュータにとっても難題だ。しかしこのマシンが前宣伝に恥じない性能を本当に持っているなら、まさにそれは、今日の企業のためのメインフレームになるだろう。ただし今の企業は、メインフレーム機など求めているのか? この製品の価格情報はまだ提供されていないが、安くはないはず。しかも今の企業には、クラウドコンピューティングなどそのほかの選択肢もある。Gilfixが、多くの選択肢の中で企業はこのマシンの方を選ぶ、と主張する主な根拠は、その処理能力とセキュリティだ。

InformationWeek誌の昨年4月号は、2003年に100万ドルだったIBMのメインフレームが今なら75000ドルで買える、と報じた。このz13がなんぼするのか、それをIBMはまだなかなか言わないのだが、ハードウェアの構成を見るかぎり、100万ドルと75000ドルのあいだのどこか、とは言えるだろう。100万を超えることは、ありえない。

これは、超高性能なx86機ではない。IBMによると、z13には世界最高速のプロセッサが搭載されていて、そのスピードは今の一般的なサーバ用プロセッサの2倍、メモリ容量は4倍、ネットワーク帯域は2倍、そして高度な分析機能を伴うベクトル演算によりモバイルのトランザクションを高速化する。

Gilfixが示唆する主な売れ先は、金融や大型小売、ヘルスケアなどにおける既存の顧客だ。また今現在メインフレーム上の大量のデータに投資を蓄積しているユーザも、対象になる。しかし、モバイルトランザクションの高効率化という点で、これまでメインフレームなど検討したことのないユーザも、魅力をおぼえるはずだ、と。

具体的な例としてGilfixが挙げるのは、OpenStackによるプライベートクラウドだ。うむ、それならありかもしれない。

2012年のReuters(ロイター通信)の記事が、IBMにはまだメインフレームの顧客がおり、その数は数千のオーダー、と報じた。しかし、その後の市場の整理統合、そして企業ITの姿の変貌により、数はさらに減っているはずだ。IBMは、新しいメインフレームを現代的なパッケージで包めば、その市場は存続する、と賭けているのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


エンタープライズ・インターネット、2015年のトレンド、トップ10

編集部:この記事の執筆者、Alison Wagonfeld はEmergence Capitalのオペレーティング・パートナー

われわれのEmergence Capitalは、ファウンダー、マーク・ベニオフ、デビッド・サックスといったビジョナリーを通じて、Salesforce.comやYammerのような画期的なエンタープライズ・クラウド・サービスに投資するチャンスを得てきた。こうしたサービスは世界中で次世代のビジネスのインフラを作っている。2015年が近づいてきたのを機会に、われわれが投資を考えているエンタープライズ・ソフトウェアの最新のトレンドのトップ10をご紹介しよう。

未来を予測するにあたって、Emergenceでは5人のパートナー、Gordon RitterJason GreenBrian JacobsKevin SpainSanti Subotovskyが長時間のディスカッションを行った。

1. 垂直に特化した特定業種向けクラウド・アプリケーション(インダストリー・クラウド)が普及する

この10年間、ソフトウェアが汎用化(水平化)を進めてきた。Salesforce,、Yammer、Boxなど、すべて業種を問わずに利用できる。これに対してわれわれは次の10年は特定の業種の特定の課題を解決することに特化する「垂直化」、あるいはインダストリー・クラウドが進むと考えている。

2. 企業は有料のエンタープライズ・モバイル・アプリを利用し始める

Appleが口火を切ったスマートフォン革命によって、モバイル・コンピューティングがビジネス分野にも広く利用されるようになった。しかし現在のモバイル・アプリにはまだビジネス・ユースのためには欠けている部分が多い。

われわれのゼネラル・パートナー、Kevin Spainは最近開催されたエンタープライズ・モバイル・フォーラムで次のように述べた。「世界に非デスクワークの労働者が25億人も存在する。これらの人々にモバイル・ビジネス・ネットワークを提供するのは巨大なチャンスだ。ユーザー1人あたり年40ドルの売上があれば新たな1000億ドル市場が誕生する。2015年にはモバイル・ビジネス・アプリケーション市場の売上が急速に伸びると予想する」。

3. コンシューマー向けテクノロジーが引き続きエンタープライズに越境してくる

われわれはコンシューマ向けサービスとエンタープライズ・サービスの融合を図るのを得意としている(たとえばFacebook -> Yammer)。ゼネラル・パートナーのJason Greenはこの傾向が2015には一層加速すると考えている。「エンタープライズ・テクノロジーはコンシューマ向け分野で起きているイノベーションに遅れを取らないよう努力しなければならない。Facebookも新しいビジネス向けプロダクト、Facebook@Workをテスト中だ。ウェアラブルデバイスの一部もビジネス利用が始まるだろう。私はiPadがタブレットのビジネス化に果たしたのと同じような役割をApple Watchがスマートウォッチの世界で果たすのではないかと考えている」。

4. IoT〔モノのインターネット〕は標準化が進み、コンシューマ、ビジネス両分野で実用化が本格化する

エンタープライズIoTの潜在市場は巨大だ。 ゼネラル・パートナーのBrian Jacobsはこの分野でも2015年に大きな進展があると見ている。「1年後には、納得性の高いユースケースが実現しているだろう。キラー・アプリの登場と共に普及は急速化する」。別のゼネラル・パートナー、Kevin Spainは「ドローンや各種の無人機(UAV)とセンサー・テクノロジーがエンタープライズ市場にも導入されるだろう。これによって農業、電力などの社会インフラ、不動産など、従来データ収集をきわめて高価で時間のかか航空機に頼っていた業界にイノベーションが起きる」。

Google Glassはまだコンシューマ製品としてはブレークしていないが、2015年には産業用途で数多くの有力な応用が生まれるだろう。特に医療分野が注目だ。患者を診察、処置中の医師はひんぱんに両手がふさがった状態でさまざまなデータにアクセスする必要がある。ゼネラル・パートナーのKevin Spainは「Google Glassでカルテを見られるAugmedixを利用した医師は口をそろえてこれなしではやっていけないと語っている。医師たちはカルテ処理の効率化で日に2時間も節約でき、その時間を患者の診察に向けられるようになった」

6. Bitcoinにも効果的なユースケースが現れ、アメリカ国外にも普及し始める

パートナーのSanti Subotovskyは「2015年はBitcoinにとって大きな転機となる。すでに基本的インフラは整備されている。2015年にはBitcoinをプラットフォームとして多くのアプリが開発されるだろう。アメリカ以外の国でも何百人もの起業家がBitcoinアプリの開発に取り組んでいる。2015年にはその中からキラー・アプリが登場するだろう」考えている。

7. 「UIなし」の生産性ツールへの第一歩

ゼネラル・パートナーのGordon Ritterは「伝統的な意味でのユーザー・インタフェースは次第に背景に消えていくだろう」と考えている。「われわれがデータを入力するためにキーを叩いたりタップしたりしている時間は無駄に使われている時間だ。生産性ツールが本当に生産性を高めるためには入力方法のイノベーションが必要だ。最小限の時間と労力で最大限のデータを正確に入力できるテクノロジーが必要だ。2015年にはそうした「UIなし」の生産性ツールへの第一歩が踏み出されるだろう」という。

8. 2015年にはベンチャーキャピタルの利益率が最高となるだろう

現在シリコンバレーはバブルであるのかという議論に決着はついていないが、われわれは2015年はベンチャーキャピタルにとって過去最高の年となるだろうと予測している。ゼネラル・パートナーのJason Greenは「マーケットの反応は良い。テクノロジー業界には基本的にまだ大きな発展の余地がある。リスクを取る余裕もここしばらく見られなかったほど拡大している」と言う。ゼネラル・パートナー、Brian Jacobsも「株式上場は好調だ。 来年は新分野のソフトウェア企業の成熟にともなって集中化が起き、M&A市場も活性化するだろう」と同意する。

9. 100億ドルが新たなスタンダード

スタートアップの会社評価額の水準が適正かどうかについては議論があるが、今や10億ドルの評価額は当たり前になっている。ゼネラル・パートナー、Jason Green: は「ちょっとクレージーだが、2015年にはユニコーン〔大成功したスタートアップ〕と呼ばれるためには10億ドルではなく、100億ドルの評価を受ける必要があるようになるのではないか」と述べた。

10. 描写的URL (.photography、 .wineなど)が普及する

2015年にはインターネットのドメイン名が拡大され、伝統的な.com、.net、.org、国名略号に加えて、さまざまな描写的ドメイン名が一般化するだろう。2014年に数百の新しいドメイン名がリリースされた。2015年にはGoogleやDonutsのサービスを通じて、こうした業種に特化した多様なURLを多くの企業が採用するだろう。

〔日本版:現在利用可能なTLDリスト。ちなみに地名TLDには.tokyo、.osaka .kyoto、.nagoyaが含まれる〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Skytapを利用する企業は開発試験環境をクラウドに移してすっきり効率化、同社は$35Mを調達

Skytapのサービスは、企業の開発チームや試験チームの仕事を効率化し、彼らのコードをもっと頻繁に試験できるようにする。同社は今日、Insight Venture Partnersが率いる投資ラウンドにより3500万ドルを調達した、と発表した。同社のこれまでの投資家OpenView Venture Partners、Ignition Partners、Madrona Venture Group、Washington Research Foundationらもこのラウンドに参加した。Insight Venture Partnersは、今月上場したNew Relicや、Dockerにも投資している。

企業はSkytapを利用して自分たちの製作環境をクラウドに移し、より効果的にアプリケーションの試験を行う。同社は今回の資金を、“エンタプライズの開発試験環境により高度なイノベーションをもたらす”ために用いる、と言っている。また市場開拓力を強化し、より多くのパートナーシップを築いていく、という。

Insight Venture Partnersの専務取締役Deven Parekhは今日の声明文の中で、“Skytapは、高成長なSaaSとクラウド企業に重点投資をするというInsightの視点にマッチしている。Skytapは、企業が革新的なソフトウェアをより迅速に展開できるようにすることによって、業界に革命を起こしつつある。今回の資金でSkytapが現在の成長軌道を維持し、エンタプライズ向けの、レディメイドの、開発試験環境のリーダーの地位をより堅固にすることを期待している”、と言っている。

同社は、昨年に比べて売上と社員数が倍増した(売上の実額は非公開)。企業顧客の数は、1月の250社から10%増えて現在は275社、同社のパートナーはビジネスパートナーが12社、技術協力パートナーが25社で、その中にはMicrosoft、HP、IBM、Oracle、Cloudera、CentOS、RedHat、Ubuntuなどの名も見える。また同社は最近、AmazonのAWSプラットホームの上で利用できる同社のサービスのサポートの、容量を拡大した。

Skytapは最初Illumitaと命名されていた。同社はこれまでの、2007年のシリーズAなどのラウンドを通じて2950万ドルの資金を獲得している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


40社あまりが創立に参加しCloud Foundry Foundationを立ち上げ…Linuxからも積極賛助へ

昨年は、最大のオープンソースエンタプライズプロジェクトの一つであるOpenStackが大きな話題になった。そして、IaaSであるOpenStackの相方になりそうなPaaS Cloud Foundryは、2015年は今度は自分の年だ、と期待しているようだ。そうなりそうな大きな気配として、このプロジェクトを支える40社あまりの有力企業が今日(米国時間12/8)、Cloud Foundry Foundation(CFF)の立ち上げを発表した。

CFFの創立メンバーは、EMC、HP、IBM、Intel、Pivotal、SAP、VMwareなどなどだ。CFFに投資する企業の数は最近の数か月でそれまでの40%増え、コントリビューターの数は前年に比べて150%増、コミットされたコードは1700%増えた。ただし立ち上げ早々の団体だから、これらの絶対数はまだとても小さい。

Cloud Foundryは強力な支援団体を得ただけでなく、Linux Foundationからも支援を得られることになった。今日はLinux Foundationが、Cloud FoundryをLinux Foundation Collaborative Projectにする、と発表したのだ。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinによると、LFはCFを組織運営の専門家として支援し、ハッカソンやミートアップを開催していく。また、知財をめぐる法務でも助けていく。またCFのような大型のオープンソースプロジェクトに必要なインフラストラクチャの多くを提供して行く。

Cloud Foundryは元々はPivotal Softwareの製品で、同社はその商用バージョンを顧客に提供している。またPivotalは、このプロジェクトにCloud Foundry Dojoという概念(教育学習方式)を持ち込んだ。

Zemlinが適切に指摘する: “大型のオープンソースプロジェクトには、デベロッパを迅速に確保しづらいという問題がある”(Linuxも然り!)。人が揃って開発が軌道に乗るまで数か月〜数年かかることもある。Dojoは、ペアプログラミングによってベテランのデベロッパと初心者をペアにする。そのため初心者は数週間で仕事ができるようになり、Cloud Foundryへのパッチのコミットもやれるようになる。そういう教育者的なベテランデベロッパは、IBMやSAPなども提供している。

IBMのオープンスタンダード担当VP Angel Diazはこう言う: “オープンソースのプロジェクトのためにファウンデーションを作ろうとするときは必ず、企業人としても業界人としても、優れたオープンソースソフトウェアを作り、コミュニティに参加して協力していく方法について学ばざるをえなくなる。その点でDojoは、人間が優れたオープンソースコントリビューターになるためのMaslow’s Hierarchyの進化形の一つだ”。IBMは同社のBluemixプラットホームのベースとしてCloud Foundryを使っている。

Pivotalの企業戦略担当SVP Leo Spiegelは、このプロジェクトによって企業は、こういうやり方を業界全体に広め、それによりCloud Foundryの開発が加速されるようになる、と言っている。

今日のCFFの立ち上げにより、この団体から、Cloud Foundryブランドの統一化〜標準化を目指す検定証明事業がローンチし、このブランドの今後の分裂を防いでいく。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Dropbox For Businessから強力なエンタープライズ向けAPIリリースへ―Boxとの競争激化

Dropboxにはコンシューマー向けサービスのイメージが強く、またh本格的なエンタープライズ向けセキュリティー機能を欠くために企業向けのDropbox For Businessの普及が遅れていた。しかしTechCrunchが入手した情報によれば、Dropboxはエンタープライズ向けの強力なツールとなるDropbox For Business APIをリリースするという。これによってこの市場の状況は一変する可能性がある。

明日(米国時間12/3)、正式発表予定(ただしこのリークの影響で時間が前後する可能性あり)のDropbox For Business APIを用いると、エンタープライズ・ユーザーはDropboxにサードパーティーのセキュリティーやコンプライアンス・ツールを接続することができる。また独自のDropbox For Business (DfB)向けアプリを開発することも可能となる。Dropboxは Microsoft、Dell、IBMを始め多くのエンタープライズ向けツールのベンダーと提携し、ローンチの時点でDfB APIはそれらのベンダーの主要なプロダクトをサポートするという。

われわれの問い合わせに対してDropboxからの回答はまだない。

Dropboxはエンタープライズ向けに必要とされる機能をすべて自製するのは時間がかかりすぎると判断したようだ。特に、Boxは何年も前から広汎なエンプライズ向け機能を備えたプラットフォームを構築している。Dropboxは1年前にエンプライズ向けサービスとしてDropbox For Businessをリリースしたが、これまえはサードパーティーとの連携がなかった。今回のAPIでDropbox For Businessのユーザーはセキュリティーを始め、これまで欠けていた機能をすばやく補えることになった。フル機能のエンタープライズ向けクラウドサービスに乗り換えずにすむわけだ。大企業ユーザーのDropbox利用形態を一変させる賢明な動きといえるだろう。

なぜDropbox For BusinessにAPIが必要だったのか?

コンシューマー向けDropboxには、写真の同期から高度なファイル検索まで連携アプリがすでに10万種類もある。これらTDropboxの3億人のユーザーを大いに助けている。

しかしエンタープライズ向けサービスで必要とされる機能はコンシューマー向けとは大きく異る。そこでDropboxは企業向けに別個のサービスとしてDropbox For Business(DfB)を4月に一般公開した。 これにはIT部門が監査ログを共有し、誰が何を閲覧したかを正確にチェックし、一部のファイルにアクセス制限をかけたり、社員が辞めたりデバイスが盗難に遭ったりした場合、リモートでファイルを削除するなどの機能が含まれている。

DfBはSalesforce、Slack、Asana、Trello、Yahooそして最近ではMicrosoft Officeとも提携して、これらのエンタープライズ・サービスからDropboxのファイルに容易にアクセスできるようにしている。

しかし本格的なエンタープライズ・ツールとなるためには、こうした提携はまだまだ序の口に過ぎない。必要な機能は数多く、Dropboxがすべてを内製しようとすれば何年もかかる。そこでAPIを公開し、サードパーティーの力を借りることで大幅な時間短縮を図ったわけだ。

DfB APIの機能

Dropbox For Business APIはDfBと多数のサードパーティーのエンタープライズ・ツールを接続する。

  • データ漏えい防止 – 個人が特定可能な情報、給与情報のエクスポートを禁じる
  • データ・マイグレーション – ビッグデータのバックアップ、統合を助ける
  • 知的所有権管理 – 業界標準や当局の規則に基づいてデータを暗号化して管理する
  • 個人認証 – DfBへの社員のアクセスについてログインと認証管理を行う
  • 法務管理 – 後日の法的紛争の際に必要となるデータを証拠能力のある形で安全に保存する
  • セキュリティー情報及びイベント管理(Security Information And Event Management =SIEM)– 社員のアクティビティ監査ログ

DfBユーザーはまたAPIを利用してスクラッチで独自のアプリを開発することもできる。

われわれが入手した情報によると、Dropbox For Business APIはローンチ時点でMicrosoft Azure AD、Dell Data Protection、IBM WebSphere Cast Iron、Okta, Domo、Splunk、Meldium、nCrypted Cloud、Mover.io、SkySync、Ping Identity、CloudLock、Centrify、Sookasa、CirroSecureの各サービスをサポートするという。Dropboxは今後APIを拡充し、パートナーも拡大していくことになるだろう。

Dropbox For Businessの料金は、現行の一人あたり月15ドルから変更はない見込みだ。これはBoxのビジネス・ユーザー向け料金同額だ。

孤立した SAASは存在し得ない

今回のAPIのローンチで、DropboxはBoxの手強いライバルとなりそうだ。しかしBoxのCEO、Aaron Levieは私の取材に対して、「われわれがプラットフォームと言うときは単にエンタープライズ向けセキュリティーだけでなく、きわめて広汎な機能を意味している」と語り、エンタープライズの業務フローのサポートも重要な要素だと例を挙げた。Dropboxはこの面でもBoxに追いつく努力をしなければならないだろう。

しかしエンタープライズ向けクラウド・プラットフォームはまだスタートしたばかりの市場だ。ITのコンシューマー化、私用デバイスの業務利用、ボトムアップの分散モデルなどはエンタープライズITの形態を根本的に変えつつある。Levieは「社内でセキュリティーを完結させるというモデルは過去のものだ」と述べた。どんな大企業でもゼロからすべての機能を自製することは不可能だ。成功したければ企業はサードパーティーのツールの適切な利用法を学ばねばならない。

Levieは「この数年のうちにエンタープライズ・プラットフォームのエコシステムが劇的に発達するだろう。大企業もサービスのベンダーも、このテクノロジーの進歩に対応してマインドセット自体を変えていかねばならない」と語った。

Dropboxが1年ほど前からやっきになってビジネス・ユーザーへの対応を図ってきたのも当然といえる。エンタープライズITの環境の激変はその波にうまく乗れたものに対して巨額の売上を約束するものだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ペアプロの有無まで紹介するITエンジニア特化の人材サービス「Forkwell Jobs」運営のgroovesが2.2億円調達

TechCrunchで2年半前に紹介したエンジニア向けのソーシャルサービス「Forkwell」を手がけるgrooves(当時はforkwell事業のために新会社garbsを設立していたが、合併)が総額2億2000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。既存株主の日本ベンチャーキャピタルと三井住友海上キャピタルからの第三者割当増資に加え、一部は日本政策金融公庫の資本性ローンでの調達となっている。

最近では10億円前後をエクイティで調達するスタートアップも多いが、grooves代表取締役の池見幸浩氏は、「株式を希薄化しても問題ないという起業家もいるが、僕はデット(融資などの他人資本)で資金を獲得できるならそれがいいと思っている」と語っている。実際今回の調達は日本政策金融公庫の本店(3000万円超、3億円以内の案件を担当)が担当しているとのことで、億単位でデットファイナンスを実施していると見て間違いなさそうだ。

さて前述のforkwellは登録ユーザー1万人で、109万人いると言われている日本のエンジニアの1%も取れていないのでまだまだこれからというところだが、これと連携するエンジニア採用支援サービスの「Forkwell Jobs」、中小規模の人材エージェントをクラウド化(同社は「クラウド化」と呼んでいるが、「ネットワーク化」のほうが分かりやすいかもしれない)して、最適な人材の採用を効率化する中途採用支援サービスの「クラウドエージェント」が好調だそうだ。今回の調達では、各種サービス開発に向けた人材確保などを進める。

前者のForkwell Jobsは、例えばペアプログラミングをするしないといった「コード品質への取り組み」や「使用するバージョン管理ツール」「使用するプロジェクト管理ツール」などなど、その会社の開発環境をこと細かに紹介するエンジニア特化の採用支援サービス。採用する側にもエンジニアとしての高いレベルが求められることもあって、「人材募集案件の4割はお断りしている状況」(池見氏)なのだそうだ。後者は特にエンジニアに特化しているわけではないが、複数のエージェントから最適な人材を一括で探すことができるため、ユーザーのニーズは高い。金額に関しては非公開ということだったのだけれども、すでにかなりの売上を達成して事業の黒字化を達成しているそうだ。


企業のクラウド共有・同期サービスの人気調査は意外な結果―1位はBoxではなかった

今週、451 Research はエンタープライズが利用する同期・共有クラウド・サービスに関する市場調査の結果を発表した。その結果はかなり意外だった―すくなくとも私は驚いた。というのも、エンタープライズ市場において最も人気のある同期・共有サービスがBoxでもMicrosoft OneDriveでもなかったからだ。一番人気は企業のIT部門が嫌っているはずのDropboxだった。

451 Researchは10月に1000人以上のIT部門のプロに「会社でどんな同期・共有ツールを利用しているか」という聞き取り調査を行った。その結果、回答者の40%がDropboxを利用していると答えた。これは他を引き離して断然トップだった。2位はOneDriveでわずか25%、次いでGoogleが20%だった。エンタープライズ市場に特化しているはずのBoxは15%に届かず4位だった。他のサービスはいずれも10%以下だった。

また調査した企業のうち、有料版を利用していたのは18%に留まった。この意味するところはまだ明らかでないが、この市場が極めて早期の段階にあると推測する根拠にはなりそうだ。つまりどのプレイヤーにも今後大幅なビジネス成長の余地があるということだ。

レポートの執筆者の一人、Alan Pelz-Sharpeは、私の取材に対して「クライアントの話の中には必ずDropboxが出てきた。率直に言わせてもらえば、企業は社員が現にいちばん利用しているサービスを選ぶ傾向にあると思う。これは現実的な態度だ。5000人の社員がDropboxを使っているときに会社として別のサービスを導入して社員に乗り換えさせるのはたいへんな手間だ」と語った。.

451 Researchによれば、企業の規模が大きくなるにつれて、利用されるツールは次第に高価で複雑なものになっていく傾向が見られたという。このような大企業で人気があったのはクラウドではなく、EMC、OpenText、Citrixなど、要するに既存のエンタープライズ・サービスだった。

もうひとつ重要な発見は、IT部門が管理しておらず、社員が個人的に利用しているITサービス(シャドーITと呼ばれている)についてはどの会社も皆目知識をもっていないという点だった。このレポートはIT部門の把握している範囲での利用状況を示すものなので、実態はこれとかなり異なる可能性はある。IT部門は、社員が実際に使っているサービスに対するコントロールを完全に失っているという印象だったという。【中略】

エンタープライズ向け同期・共有サービス市場についてはこれまでデータがほとんど存在しなかった。サービス・ベンダーの宣伝文句が大いに幅を効かせてきた分野だけに、451 Researchのレポートは確実な統計を得る出発点として貴重だ。しかし正確なな市場像を得るにはまだ遠い。今後に期待したい。

グラフは451 Researchの好意により許可を得て再掲

画像: CanStockPhoto (c)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Samsung、Galaxy S5の販売が目標を40%下回ったことでトップ人事を含む改革を検討か

Wall Street Journalの記事によれば、SamsungはGalaxy S5の販売成績が予測を40%も下回る不振となったことを受け、トップ人事の刷新も視野に入れた対策を検討しているという。今年のSamsungのフラグシップ・モデルの販売台数は1200万台に留まっている。これに対してGalaxy S4は1600万台だった。

この成績にSamsungはモバイル事業部の責任者で共同CEOのシン・ジョンギュン(申宗均)をCEOの職務から外、モバイル事業部の経営に専念させることを考えているという。 不振のモバイル事業の立て直しの采配は現在家電担当の共同CEO、ユン・ブクン( 尹富根)が担うことになるようだ。Samsungのテレビ事業は依然好調だ。

意思決定の集中化を進めることは大きく広がったSamsungの事業間の連携を効率化し、たとえば最近買収したSmartThingsをGalaxyシリーズのデバイスに統合していくことも加速させるだろう。しかし共同CEOを一人減らしたことで本当の意味で組織が活性化するかどうかは分からない。また半導体とディスプレイ事業の責任者であるクォン・オヒョン(権五鉉)も共同CEOであり、その地位に留まる見込みだという。

Samsungはアメリカ市場では好調を続けているが、中国を含む他の主要市場では売上がマイナス成長に陥っている Samsungのモバイル事業にはテコ入れが必要だ。依然として最大シェアを保持しているものの、短期の結果は下向きだし、中長期のトレンドについても、よくて頭打ちという状況だ。

Samsungが取るべき対策の一つはGalaxyの製品ラインの整理だと言われている。ユーザーを細分してそれぞれに合わせた製品を次々に発表することでこれまでSamsungはビジネスを成長させてきた。しかしここに来て、その戦略も限界に達し、Galaxyのブランドイメージをぼやけさせ、どれを買ったらいいかユーザーを迷わせるなど、メリットよりデメリットが多くなっていると言われる。

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