オンデマンド空港シャトルなどを手掛けるNearMeがジョルダンの「乗換案内」と連携、検索結果から予約可能に

タクシー相乗りサービスやオンデマンド空港シャトルなどを手掛けるNearMe(ニアミー)は9月28日、経路検索サービスを提供するジョルダンとの提携を発表した。NearMeのオンデマンド型空港送迎サービス「スマートシャトル」を、ジョルダンの「乗換案内」アプリから予約できるようになる。

具体的には、「乗換案内」アプリで羽田空港、成田空港、那覇空港と、各定額サービスエリア内を経路検索した際に、スマートシャトル予約ページへの案内リンクが乗換案内の検索結果内に表示され、該当リンクのクリックで予約配車が可能になるという流れだ。スマートシャトルの予約は乗車日の前日15時までで、予約後は24時間以内に確定連絡が入る。

スマートシャトルは、事前登録した複数人の乗客を、各空港からそれぞれの目的地まで運ぶサービス。同社が開発したAIによって移動ルートを最適化、降車場所が複数ある場合でも効率的なルートを算出してくれる。乗車対象地域は、東京都内15区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、豊島区、江戸川区)、成田空港〜羽田空港間、那覇空港と那覇市内の対象エリア間となる。移動には、最大9人乗りのハイエースなどのバン、もしくはセダンタイプのクルマが配車される。

なおNearMeは、日本航空(JAL)との共同特設サイト経由での予約でJALのマイルが貯まるキャンペーンも実施中だ。

そのほか、JTB上海と連携して9月30日に就航する成田空港〜上海浦東国際空港のチャーター便についても、駐在員の家族の渡航を支援するための「スマートシャトル」を運行する。さらには、羽田空港~東京15区のエリア限定だが、スマートシャトルの料金が2980円/人が1490円/人になるキャンペーンも10月23日まで合わせて実施中。1人1回のみの利用で、複数人で予約した場合は1名ぶんの料金のみが半額となる。

オンデマンドウェルネスプラットフォームのUrbanがメニューに理学療法を追加

Urban(アーバン)は、マッサージ、オステオパシー、そしてさまざまな美容トリートメントなどへの広がりをみせる「ウェルネス」サービスへの予約を、オンデマンドで行えるロンドン拠点の企業だ。そのUrbanが身体的健康の「ワンストップショップ」になるために、理学療法をサービスメニューに取り入れようとしている。

この新しい従量課金制理学療法サービスでは、UrbanアプリまたはウェブサイトからHCPC登録済みの理学療法士を予約して、自宅で施術を受けることができる。NHS(英国健康保険)を使うサービスでは、理学療法を受けるのに数カ月とは言わないまでも、数週間の待ちが発生するのが普通だ。継続治療や新たに受けた負傷の迅速な評価が必要な(そしてそのためには「自費での」支払いを厭わない)人のためのニーズが、市場にあることを発見したのだ。

Urbanの創業者であるJack Tang(ジャック・タン)氏ならびに、同社の身体健康ジェネラルマネージャーのJoe Jarman(ジョー・ジャーマン)氏との電話によれば、新しいサービスは週7日利用することができ、最短2時間でプライベートな理学療法士へのアクセスを可能にすることが目的だと言う。当初は、特に需要(そしておそらくは支払い能力)が最も高いロンドン中心部に焦点を当てて、ロンドンでの利用が始まり、その後マンチェスターとバーミンガムが続く。

とはいえ、価格設定は一般に私立医院で提供される理学療法に比べて競争力があるもので、私立医院からの訪問を手配するものに比べると、かなり安価である。ジャーマン氏によれば、そうできる理由は、Urbanは1日に可能なセッション数を最大化するために、そのアプリを使って近隣の予約をグルーピングし、移動時間を節約することができるからだと言う。これはUrbanや他の健康サービスがすでに行っているやり方と同様である。もちろん、同様に実店舗を維持するコストも不要だ。

ジャーマン氏によれば、Urbanの理学療法士の多くは、日中はNHSで働いているが、夕刻以降や週末に追加の収入を得たいと考えていたり、個人診療に移行したいと考えていたりする。

Urbanのようなサービスが事業を伸ばすことで、NHSにさらなる圧力をかけることになるのかと質問されると、彼はこの産業全体が成長していると答えた。2015年以降、理学療法士の数は22%増加している。さらに、ジャーマン氏は、総合診療医(GP、英国でのホームドクター制度の中核を構成する開業医)が診る症例の3件に1件がMSK(Musculoskeletal、筋骨格系)に関わるものであることから、Urbanの理学療法士に早い段階でアクセスすることでこれを減らすことができると語る。

いずれにせよ、現在の資金状況と組織構造の中では、NHSがMSKに関わる迅速な助言と治療を提供できるような、適切な位置にはないことは確かだ。理学療法はまた、Urbanによる既存のオステオパシーとスポーツマッサージ治療の自然な延長線上にある。

「私たちは、良好な身体的健康を達成するための完全なパッケージを提供するためには、理学療法が最終的に重要な要素だと考えています」とジャーマン氏は声明の中で付け加えている。「もしご自分の体に問題が生じた方がいたら、私たちはその方が正しい治療プランに出会えるようにします。 そして時間と場所を選ぶことができるようにも」。

一方、タン氏は、今回身体健康のためのセットメニューを完成させたUrbanは、次はより新しいやり方の美容とシェイプアップカテゴリーを展開するために「倍掛け」する予定だと語った。

[原文へ]

(翻訳:sako)

オンデマンド写真プラットフォームのMeeroが250億円を調達

おそらくアプリで、お気に入りのフードデリバリー注文したり、ホテルの部屋を予約したりする前には、常に写真をみるだろう。フランスのスタートアップMeero(ミーロ)は、企業がウェブおよびモバイルアプリを美しく見せることができるように、良い写真を入手することを助けたいと考えている。同社は2億3000万ドル(約250億円)の資金調達ラウンドを終えたばかりだ。

Eurazeo、Prime Ventures、そしてAvenir Growthが今回の資金調達ラウンドをリードしている。既存の投資家には、Global Founders Capital、Aglaé Ventures、Alven、White Star Capital、そしてIdinvestなどが並ぶ。同社によれば、これはフランスで最大のシリーズCラウンドであると言う。

まず第一に、Meeroは世界中の写真家のための包括的な総合市場である。このため、企業は24時間以内にフリーランサーを見つけ、写真を手に入れることができる。要するに、オンデマンドでプロの手による写真を手に入れることができるようになるのだ。

同社は現在、不動産、食品、イベント、小売、そして電子商取引などの、少数の主要産業に焦点を当てている。おそらく、あなたの好きなInstagramネイティブのブランドは、その製品ショットをMeeroに頼っていることだろう。

しかしMeeroは、多くの写真家が決まりきった仕事に縛られたくないことを知っている。だからこそ、スタートアップは写真家たちが活動しやすくなるために多くのサービスを提供しているのだ。

そしてそれは、基本をきちんと押さえるところから始めている。例えばMeeroは事務処理を代行する。写真家は自分の手で契約書を送る必要はないし、自分で顧客から集金する必要はない。もちろんMeeroは、こうした手続代行から手数料を徴収する。

同社は自動写真編集アルゴリズムにも取り組んでいる。写真家が、より多くの写真撮影を引き受けたいと考えている場合には、彼らは写真を編集するために使う時間を、より削減する必要がある。そこで、Meeroは元の写真を自動的に改善するために、AIを使った技術にも取り組んでいる。

技術チームには現在80人のメンバーがいるが、会社はこの技術をさらに進化させるために、技術チームを300人に増やすことを計画している。

将来的には、Meeroは写真家たちのために、マスタークラスとドキュメンタリーサービスを立ち上げる予定である。また写真家同士が、一緒に話すことができるように、写真家たちが集まることのできる機会を、より多く提供することを計画している。また同社は、写真業界をサポートするための、雑誌と財団を立ち上げる予定もある。

しかしもっと大きなニュースは、Meeroが個人の顧客にも市場を開放することを計画しているということだ。ご想像の通り、そのことによってあなたの次の結婚式はMeeroによって撮影してもらえるかもしれない…これは儲かる産業なのだ。

Meeroは100ヵ国で3万1000の顧客を集めることに成功した。現在プラットフォームには5万8000人の写真家が登録されていて、5つの異なるオフィスで600人が直接Meeroのために働いている。

[原文へ]

(翻訳:sako)

Test IOのQAサービスに、開発ツールJiraからの直接アクセスが可能に

現代の「急げや急げ」アジャイル開発環境の中では、ソフトウェアの品質保証テストは控え目な場所に追いやられることもある。この不協和な状況に対してTest IOのようなオンデマンドテストスタートアップが参入してきている。開発者たちが有能なQAテスターたちに​​簡単にアクセスできるようにするサービスだ。

このたび同社は、Test IOサービスを、Atlassian Jira開発ワークフローツールに直接組み込む、新しいプラグインを発表した。このツールはAtlassian Marketplaceで入手できる。

インストールしたなら、開発者たちは単にJiraインターフェイスにあるTest IOボタンをクリックして、テストパラメータを選択し、ワークフローを開始するだけだ。するとサービスは、開発者が要求する必要な専門知識と機器を持つテスターを選定する。と、Test IOのCEOであるPhilip Sofferは説明した。

Sofferによれば、3万人の審査済みソフトウェアテスターからなるチームを擁していて、テスターたちは人間のスーパーバイザーによってある安定したテストレベルに達するまでクロスチェックを受けた者たちということだ。それぞれのテスターは、その品質、可用度、その他の要素によってランク付けされる。プログラマーが特定のスキルと機器を持っている人を問い合わせると、それらは要件に合致する、現在オンラインで対応可能な最も有能な人物にルーティングされる。2つ以上のスキルが必要な場合には、テストリクエストは同時に複数のテスタにルーティングされる可能性がある。ここでのアイデアは、実世界のテスト条件下で、可能な限り迅速かつ正確にQAを完了させることだ。

レビューが完了すると、問題を示すスクリーンショットとスクリーンカムムービーを添えたレポートが、問題のリストとともにプログラマーに直ちに送り返される。開発者は、レビューに関する質問があれば、インターフェースの中でテスターと直接コミュニケーションを取ることができる。

スクリーンショット2017-09-11 14.53.51.png

写真:Test IO

Test IOの顧客の70%がJiraを使用していることを考えれば、同社がサービスにアクセスするためにできるだけシンプルにすることは理にかなっている。Jiraプラグインがない状況では、開発者はブラウザを開いてTest IO Webサイトにアクセスし、サインインし、テストパラメータを選択し、テストする材料をアップロードする必要がある。プラグインを使えば、そうしたものの多くは組み込みツールによって処理され、プログラマたちはテストのリクエストや結果のレビューを行うために、Jiraから離れる必要はない。

Test IOは2011年にベルリンで創業し、現在もそこにオフィスを構えているが、現在の本社はサンノゼに置かれている。Sofferによると、スタートアップは毎年収益をほぼ2倍に伸ばしており、2015年には500万ドルの資金を調達している

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: HERO IMAGES/GETTY IMAGES

オンデマンド獣医サービスのVettedが330万ドル調達――ペットの健康も家庭で管理

ペットを診察に連れて行くことほど面倒なことはない。

犬や猫を動物病院まで移動させるのも骨が折れるが、それに加えて治療時間の割にかなりの治療費がかかる。

Vettedがこの状況を変えようとしている。同社はオンデマンドの獣医サービスを提供しており、ユーザーは99ドルの一律料金を支払えば獣医に家まで来てもらえるのだ。Vettedはこの度、Foundation CapitalやAmplify LA、Sterling.VC、Reimaginedが参加したシードラウンドで合計330万ドルを調達した。

彼らのビジネスの鍵は、ユーザーの家で本当に十分な獣医サービスを提供できるかどうかだ。しかしVettedの共同ファウンダーでCOOのAli Shahidは、皮膚や耳、目、消化系のトラブルを含め、通常動物病院で行われる治療の89%は家でも施すことができると言う。さらに、万が一無菌室や専門的な医療機器が必要になった場合は、Vettedが選別した近くの動物病院を紹介してくれる。

つまり、Vettedは全ての問題を解決できるわけではないものの、ユーザーは大方の疾患については、わざわざ動物病院を訪れる必要がないということだ。さらに同社によれば、毎回アポイントメントが設定されると、担当者が電話で飼い主と症状について話し合うようになっているため、家で対処可能な問題かどうかが事前にわかるのだという。

99ドルの料金には、検査、問診、爪切り、耳掃除(通常の動物病院では追加料金がかかる)、さらには診察後のビデオ電話または電話でのフォローアップが含まれている。予防注射や処方箋の発行といった追加サービスには別途料金がかかるが、これも従来の動物病院に比べれば25〜40%安い。オンデマンドサービスの中には料金やマネタイズ方法が不明瞭なものもあるが、Vettedは違う。彼らは病院を構えておらず、賃貸料やメンテナンスコストといった固定費がかからないため、この料金を実現できるのだ。

もちろんVetted以外にもペット医療の市場で事業を展開するスタートアップが存在する。サンフランシスコのTreatも99ドルの一律料金でサービスを提供しており、ユーザーは往診前に獣医とチャットで症状について話すこともできる。イギリスのPawSquadも同様だ。しかし、アメリカ市民は年間600億ドルものお金をペットに使っているという統計もあり、市場規模や現在これらの企業が地域的に散らばっていることを考慮すると、複数の企業が生き残っていくだけのスペースは残されている。

今のところVettedはウェストロサンゼルスでのみ営業している。そのおかげもあり、所属獣医の手が空いてさえいれば、連絡を受けてから獣医がユーザーの家を訪れるまでには最大90分しかかからない。今回の調達資金は主に西海岸地域への事業展開に使われる予定で、彼らはロサンゼルス全域、さらにはオレンジカウンティーへと徐々に進出先を広げようとしている。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

UberEatsがインドでローンチ――まずはムンバイに住む2000万人がターゲット

Uberは現地時間5月2日より、ムンバイを皮切りにインドでUberEatsをスタートさせた。

今年中にはムンバイを含むインドの計6都市にUberEatsを展開させる予定だと同社は語っているが、今後進出を予定している都市名については明かされなかった。インドの三大ビジネスハブのひとつで2000万人の人口を誇るムンバイは、スタート地点としてはうってつけだ。

「国内外を問わず多彩な食文化が溢れるムンバイでは、食のビジネスが盛り上がっています。そんなムンバイを最初の都市としてUberEatsがインド市場に進出するというのは、世界中へのビジネス展開を目指す私たちにとって大きなステップであると同時に、インドへの私たちのコミットメントを見せる良い機会でもあります」とUberEats Indiaでトップを務めるBhavik Rathodは声明の中で語った。

1月には既にテストが行われていたインドへの進出により、UberEatsが利用できる地域は世界中で26ヶ国78都市に拡大した。2014年にパイロットプロジェクトとしてロサンゼルスで産声をあげた同サービスは、当初Uberアプリの機能のひとつでしかなかったが、その後スタンドアローンのアプリがリリースされた。昨年3月のシンガポールでのサービス開始でアジア市場への初進出を果たし、その後東京とバンコクでもUberEatsは営業している。

もちろんインドは世界的にも注目が集まっている国だが、特にUberは中国市場からの撤退後、それまでにないくらいの熱量で同国でのビジネスに力を入れている。the Internet and Mobile Association of Indiaが共著したレポートによれば、インドのオンライン人口は2017年6月までに4億5000〜4億6500万人に到達するとされており、タクシーや車、食べ物などさまざまなモノがネットを通じて消費者と繋がるようになっていくだろう。例えばEC業界だけを見てみても、2020年までには売上額が480億ドルを突破すると、調査会社のForresterは予測している。

一方で、ムンバイにはUberEatsのライバルも数多く存在し、これまで何年間もFoodPandaやSwiggy、Zomatoなどがしのぎを削ってきた。先月には、Googleでさえもがインドでフードデリバリーサービスや家事代行サービスを利用できるアプリを発表した。しかしインドにおけるUberのライバルOlaは、フード事業に手を出したものの昨年12か月も経たないうちに同サービスを終了した

Uberは競合サービスへの対策については、あまり情報を発信していない。他の街では、利用できる飲食店のキュレーションに力を入れている(逆にFoodPandaをはじめとする他社は利用できる飲食店の数に力を入れている)が、もちろん彼らはOlaと熾烈なバトルを繰り広げている配車サービスをインドビジネスの柱としていくのだろう。

どの企業が先頭を走っているのかについては明確な指標がないが、Olaは継続的に資金調達を行っているイメージがあり、評価額の低下が懸念される。最近でも30億ドルの評価額で2億5000万ドルを調達したとThe Economic Timesが報じていたが、2015年の同社の評価額は50億ドルだった。このダウンラウンドは、インドの農村部にテックビジネスを展開することの難しさのあらわれなのかもしれない。また、常にOlaにつきまとうUberの影も関係しているのだろう。

営業地域の拡大以外にも、Uberは最近UberEatsに力を入れており、最近のアップデートではユーザーごとのレコメンデーション機能や配達場所の指定機能、新しいフィルター機能などが導入された。さらに同社は飲食店向けのマネジメントサービスをスタートさせ、経営に役立つデータの配信を行っている。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

『トムとジェリー』など懐かしのアニメが復活―、アニメ専門SVODのBoomerangがローンチ

タイム・ワーナー傘下のターナーとワーナー・ブラザーズは、共同でBoomerangと呼ばれるサービスをローンチし、競争激化が続く定額制動画配信サービス(SVOD)業界に進出した。Boomerangでは、月額5ドルで懐かしの作品から最近のものまで、さまざまなアニメシリーズを楽しむことができ、将来的にはワーナー・ブラザーズ傘下のHanna-Barberaや、Looney Tunes、MGMの作品を含む、計5000タイトル以上が視聴できるようになる。『スクービー・ドゥー』『トムとジェリー』『バッグス・バニー』『宇宙家族ジェットソン』『原始家族フリントストーン』といったクラシック作品のほか、オリジナルシリーズの配信も決まっている。

しかし、3月のBoomerang発表時に謳われていたよりも、ローンチ時点でのタイトル数は少なくなっている。

同サービスのウェブサイトに掲載されているFAQを見てみると、現在のところ配信されているアニメの数は1000エピソードに留まり、毎週新たなコンテンツが追加されると書かれている。『宇宙家族ジェットソン』や『原始家族フリントストーン』など、以前から配信が決まっている作品もまだウェブサイト上には見当たらないが、恐らく今後追加されるのだろう。

Boomerangのようにニッチなコンテンツを配信するサービスへの需要があるかどうかについては、これから市場の反応を見て判断するしかない。

Netflix、Amazon、Huluなど、現在業界のトップを走っているサービスでは、既に子ども向けのプログラムが配信されており、子どもたちはヒット映画やライセンスされたテレビ番組、各サービスのオリジナル番組を楽しんでいる。HBOも『セサミストリート』の配信をスタートし、NickelodeonはNogginと呼ばれる独自のサービスをローンチした。

Boomerangが配信している番組のほとんどはクラシック作品だが、『Warner Bros. Animation’s Dorothy and the Wizard of Oz(ワーナー・ブラザーズ版オズの魔法使い)』やHanna-Barberaの『チキチキマシン猛レース』のリメイクなど、オリジナル作品の制作も進められている。なお、『オズの魔法使い』はローンチ時点ではまだ配信されていない。

さらに、ユーザー別のレコメンド機能や家族ひとりひとりのアカウント設定、オフライン時にも番組が見られるダウンロード機能、スペイン語音声など、他のサービスでは概ね準備されているさまざまな機能も、今後Boomerangに追加される予定だ。しかし現時点のウェブサイトは、十数本の映画を含む各番組のカタログが表示され、プレイリストがいくつか準備されている程度。

Boomerangの開発には、Warner Bros. Digital Networks傘下のDaramaFeverが携わっている。

アニメ好きの人は、Boomerangというサービス名に既に馴染みがあるかもしれない。というのも、この名前はBoomerang TVというケーブルテレビのチャンネルからとったもので、同チャンネルでは似たような(全く一緒というわけではない)番組が放映されている。他局で類似サービスを利用する場合、視聴者はプロバイダーでの認証プロセスを経なければいけないが、Boomerangは別サービスとしてローンチされ、コードカッター(ケーブルテレビの契約を解除=接続をカットしたユーザー)をメインの顧客層としている。

利用料については、4.99ドルの月額プランに加え、39.99ドルの年額プランも準備されている。年額プランであれば、月々の利用料は実質約3ドルまで下がるので、番組のバラエティーに限りがあるBoomerangであっても納得がいく。もちろん価格以前に、そもそも新たな動画配信サービスが必要かどうかということは検討しなければいけない。

今のところBoomerangはアメリカ国内でのみ利用可能で、ウェブ、iOS、Androidに対応しており、今後Amazon、Roku、Chromecast、Apple TVにも対応する予定だ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

iPhoneのオンデマンド修理からカラーリングまで提供、Life Support Labが5500万円を調達


時折、iPhoneの画面が割れたまま使っている人をみかけるが、修理に出すのが面倒という気持ちもよく分かる。アップルストアで修理する場合は、来店予約をする必要があるし、修理にも時間がかかる。Life Support Labはカスタマーの都合の良い時間と場所にオンデマンドで修理スタッフを派遣する「iRepairs Lab(あいりぺ)」を提供している。Life Support Labは本日、第三者割当増資と転換社債で総額5500万円を調達したことを発表した。引受先は、SNS media&consulting(ファウンダーは堀江貴文氏、代表は高崎博之氏が務めている) 、デジタルカーペット、ニーズ・コーポレーションと他個人2名だ。

あいりぺに修理を依頼するにはサイトからデバイス、機種の色、修理箇所、希望の修理予定日時と場所を選択する。そうすると対応可能な修理スタッフの見積もりと、対応可能な時間帯がいくつか表示される。あとは、修理を依頼したいスタッフの空いている日時を選択して、具体的な場所を指定し、正式な依頼を出す仕組みだ。

あいりぺの修理スタッフはiKeeperと呼ばれ、Life Support Labで雇用しているのではなく、Life Support Labで提供している研修を受け、認定した修理スタッフだという。内容にもよるが、修理の所要時間は20分程度で、修理の価格の目安は画面割れや液晶不良は8000円から、バッテーやスピーカーなどの交換は5000円からとなっている。現在あいりぺの修理スタッフは29都道府県に43名いるそうだ。ただ、修理内容によってはメーカー保証の対象から外れることもあるので利用するには注意が必要だろう。

Life Support Labは、iPhoneの出張サービス以外にも郵送での修理サービスやiPhoneのレンタルサービス「あいりぺレンタル」などを展開している。2017年3月22日からは、新たにiPhoneを好きな色に塗装できるカラーリングサービス「あいりぺColor」の先行予約を開始した。3月22日と言えば、Appleが慈善団体(RED)との共同事業で真っ赤なiPhoneを発表して話題になった日だが、Life Support Labは新機種を買わなくてもiPhoneの装いを変えられるサービスを提供したい考えだ。あいりぺColorはiPhone 6以降の機種が対象で、20色のカラーリングから選べるという。すでに200台強の予約をがあったとあいりぺの共同ファウンダーでCOOを務める荒木賢二郎氏は説明する。

今回調達した資金は、認定研修をオンライン化することやカラーリング事業や新規事業の開発に充てるという。また、サービス提供エリアの拡大の一環として、本日からiPhoneの修理、関連アクセサリーの販売、レンタル受付、カラーリング受付を行う代理店を全国から募集する。すでに月内にも2、3店舗オープンする準備を整えているという。

Life Support Labは2014年11月設立し、共同ファウンダーの河合晴輝氏がCEOを務めている。Life Support Labの今後の展開について荒木氏は「修理だけでなく、端末の売買、レンタル、カラーリング、ケース製作、グッズ販売、など、iPhone版のガリバーやオートバックスのような、iPhoneに関する様々なサービスを提供することを目標にしています」と説明している。

食料品配達のInstacartが4億ドル調達 ― バリュエーションは34億ドル

食料品配達を手がけるInstacartが約4億ドルの資金調達を完了したことが明らかとなった。今回のディールの内情に詳しい情報提供者によれば、バリュエーションは34億ドルとのこと。巨大な規模となった今回の資金調達の噂を最初に報じたのはAxiosだった。Instacartの幹部から今回の件についてコメントを得ることはできなかった。

過去数年間、サービス料金の引き上げと給料の引き下げを行ったInstacartは論争の的になっていた。同社のこれまでの累計調達金額は2億6000万ドルで、バリュエーションは20億ドルと報じられていた。

Instacartが前回の資金調達を終えたあと、同社の競合は行き詰まりを見せていた。例えば、Good Eggsは経営陣の刷新とレイオフをせざるを得ない状況に追い込まれてる。そして、インドでライドシェアリングサービスを提供するOlaは、同社の食料品配達サービスを完全にシャットダウンしている。

今のところ、Instacartのサービスを利用できるのはアメリカ国内のみに限られる。U.S Department of Agricultureの最新の調査によれば、アメリカの一般家庭では合計で年間7270億ドルの食料品が消費されているという。

InstacartのAporva Mehta氏

これまでにもTechCrunchでお伝えしたように、Instacartは単純にデリバリーサービスだけから収益を得ているわけではない。同社のサービスでは、食料品の値段に加えて、最寄りのストアでのピックアップと自宅までの配送(1時間以内で到着)のそれぞれの方法で配送料がかかる仕組みになっている。

しかし、Instacartはそれに加えて、消費者向けブランドを同社のプラットフォーム上で宣伝し、その代わりに彼らから広告料を受け取っている。従来の食料品店では、目のつきやすい棚に商品を並べる際にはブランドに料金を課しているが、それと同様の仕組みだといえる。

Bloombergによれば、本調達ラウンドをリードしたのはSequoia Capitalだ。InstacartはY Combinatorの「startup factory」から2012年に誕生したスタートアップ。Sequoiaの他にも、Andreessen Horowitz、KPCB、Whole Foodsなども同社に資本参加している。Whole Foods MarketsとCostCoのスーパーマーケットの中にはInstacart会員専用の特設エリアが設けられており、支払いをスピーディに終えることができる専用レジ「express lanes」も設置されている。

Instacartの競合となるのは、ShiptPostmatesStorePowerなどの企業だ。今回Instacartが巨額の資金調達を完了したことにより、これらの競合はプレッシャーを感じているのかもしれない。一方、Instacartは今回の資金調達によって競合を出し抜くチャンスが生まれたといえるだろう。

 

― 本稿では、Ryan Lawler氏がこの件の追加報道に協力をしてくれた。

スタンフォード大生考案の新サービス―、オンデマンドで”緊急”日用品を配達するJetpack

旅行中に急に風邪をひいてしまったして、そのときは何も持っていなくても、家に帰れば何でもあることを考えると、Kleenexのティッシュを丸々1箱買ったり、Sudafed(もしくはその他の鼻づまり用の薬)を1パッケージ分買ったりしたいとは思わないだろう。もしも誰かがティッシュを何枚かと、2、3錠のSudafedsと、のど飴くらい持ってきてくれたら気分も楽になる。スタンフォード大学の学生が設立したJetpackは、まさにそんなサービスを提供しようとしている。

「Jetpackのユーザーは、日用品や薬を全く持っていないというわけではなくて、ただ少しだけ必要な状態にあるんです」とスタンフォード大学の修士課程に在籍している、JetpackのフォウンダーでCEOのFatima Dickoは話す。

Jetpackは”緊急用の”品物をオンデマンドで学生に届けるサービスだ。今のところ15種類の商品が準備されており、それぞれの価格は1〜5ドル程度。配達を担当する学生はキャンパス内に現在100人いて、それぞれがJetpackのバッグを背負い、その中に入ったエナジードリンクや風邪薬、二日酔いの薬などをすぐにユーザーのもとへ届けられるような仕組みになっている。

Jetpackは予め在庫を仕入れているので、リクエストを受け取った後は、配達にだけ気を配ればいい。さらに配達担当者は、販売した商品の割合に応じて決められている手数料を毎週受け取ることができる。将来的にJetpackは、他の街にも同様のサービスを展開し、テーマ別のセットを5~10ドル程度で販売しようとしている。

「まずは何が売れるのかを確認して、それから商品を絞っていこうと思っています」とDickoはTechCrunchの取材に対し語った。

この記事を呼んでいる人の中には、Jetpackが扱う商品は、Postmatesのようなサービスでも購入できるのではないかと考えている人もいるかもしれないが、その通りだ。しかしPostmatesは「配達スピードに関して、規模の経済性」が成立していないとDickoは言う。一方Jetpackは、配達担当者に在庫を配布し、彼らを人が集中するエリアに留めているので、規模の経済性が成り立つ。

Dickoは、健康用品のサブスクリプションサービスを提供するMyBestBoxというスタートアップを最初に設立し、そこからピボットしてJetpackを立ち上げた。彼女はMyBestBoxを通じて、複数の消費財メーカーとパートナーシップを結んでおり、その中から25社をJetpackのオペレーションにも活用することにした。これまでにJetpackは13万ドルの資金を調達しており、近々シードラウンドを開催しようとしている。

Jetpackの来年の目標は、コーネル大学とハーバード大学にサービスを展開することだ。さらにDickoは自身のゴールについて、「人同士の交流についてや、互いを助け合うことで人が抱えるさまざまな心理的問題を解決することができるかなどについての理解を」深めることだと話す。「もしも誰かがデオドラント剤を欲しがっている場合、臭いをどうにかしたいという思いのほかにも、そこには心地よさに関する心理的なギャップが隠れているんです」。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

オンデマンドクリーニングのMulberrys―、退場者も出ている業界に新風を巻き起こせるか

img_5475-e1487185218326

オンデマンドのクリーニングサービスが厳しいビジネスだということは、既に一部では知られている。Washioは昨年事業をたたみ、資産を競合のRinseに売却中だ。当時RinseのファウンダーのAjay Prakashは、クリーニングサービスに関して言えば、オンデマンドがもっとも効率的で経済的なモデルだとは言えないとTechCrunchに語っていた

しかし、ベイエリアでクリーニングサービスをスタートさせたMulberrysという新しいスタートアップは、オンデマンドのプラットフォームと従来のクリーニング店をかけ合わせたサービスを武器に、Prakashの意見が間違っていることを証明しようとしている。

今週ベータテストを終えたMulberrysは、10軒の拠点とドライバー隊を利用してサンフランシスコの顧客にサービスを提供しようとしているが、ミネアポリスでは既に数年前から営業している。

img_5473

ファウンダーのDan Millerは、マッキンゼーにコンサルタントとして勤めていた頃にこのビジネスをはじめたが、その後すぐにマッキンゼーを去ってSchool of Drycleaning Technologyに入学し、以前は自分が着ていたような高級スーツのプレスの仕方を学びはじめた。

「ドライクリーニング・洗濯業界の現状が、現代のベストプラクティスと考えられているものからかけ離れていることに、いつも驚かされていました。ほとんどのドライクリーニング店はウェブサイトさえ持ってませんからね」とMillerは話す。

それからすぐに彼は、もっと現代的なオペレーションに少し捻りを加えたサービスを開始する。Mulberrysは通常のクリーニングに加えてドライクリーニングサービスを提供しており、ピックアップから洗濯、配達まで全てを自社で管理している。さらに全ての作業は、委託業者ではなくMulberryの社員が行っている。

ここが、Washioの判断が誤っていたポイントかもしれない。というのもオンデマンドの分野では、外部に業務を委託した場合、人材の入れ替わりが激しく人材管理のコストが高くついてしまうのだ。Rinseでも、受託業者や外部の人材ではなく、社内のスタッフが実作業を担当している。

シリコンバレーでの営業開始と共に、Millerは2000万ドル前後の資金調達も視野に入れている。もしかしたら、彼は上手く投資家を説得できるかもしれない。シリコンバレーに拠点を置く大多数のスタートアップと違い、MulberrysはこれまでVCからの投資を受けていないとMillerは言う。さらに同社は何年間も黒字を出しているのだ。また、ビジネスの全ての側面を社内で管理することで、Mulberrysは利益を拡大しつつも顧客にシームレスなサービスを提供できている。

実際のサービスの流れは競合他社とほとんど変わらない。ユーザーがピックアップの日にちと時間を指定すると、Mulberryのスタッフが洗濯物の回収に向かい、クリーニング、配達までを通常同日中に完了させる。しかし、Rinseは夜間の2時間しかピックアップを行っていないところ、Mulberrysユーザーはピックアップの時間を朝と夜から選ぶことができる。

img_5476

実際のサービスはどんな感じなのだろうか?ベータテストの期間中に、彼らのサービスを私が実際に試してみたところ、ドライバーが同じ日に2度洗濯物を取りにきたり、私が指定したい日がアプリに表示されなかったりと、予想通りいくつかの不備があった。しかし今週の正式ローンチ後、このような問題は起きていないようで、今は好きな日時に自分の家まで洗濯物の回収に来てもらえる。

さらに紫色のブラウスをドライクリーニングに出したところ、油汚れが一部残っていた。Mulberrysのデリバリースタッフは、もう一日あれば全ての汚れがとれそうだったが、翌日配達指定だったので一部汚れが残ってしまったと説明すると同時に、私が希望すれば無料でもう一度クリーニングを行い、全ての汚れを落とすこともできると提案してくれた。

その他にも、Mulberrysは環境にやさしい洗剤を使っており、変なものが混ざった状態で配達されないように、全ての洗濯物は配達までに10回もチェックされているとMillerは話す。

彼らは厳しいクリーニング業界を生き抜いていけるだろうか?Mulberrysはベイエリアでは少なくとも一社と競合していかなければならないが、サンフランシスコにはお金を払ってでも料理、洗濯、掃除といった家事を誰かにお願いしたいと考えているテック企業の社員がたくさんいるだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

プリンターのように印刷ーーAPI型印刷クラウド「コーデンベルク」がリリース

codenberg

パソコンのボタン1つで、オフィスや自宅にあるプリンターから資料が印刷できる。それと同じくらい簡単に、本格的なデジタル印刷機で自社のチラシや販促物の印刷ができたら楽だろう。本日正式リリースしたAPI型印刷クラウドサービス「Codenberg(コーデンベルク)」が目指すのはまさにそのような世界だ。

フライデーナイトが手がける「コーデンベルク」は印刷工場と連携する印刷サービスだ。例えばチラシを印刷したい場合、コーデンベルクにデータを入稿し、用紙の種類や加工を指定して発注する。ダッシュボードからは、オフィスのプリンターさながら、現在印刷待ちや印刷中といった状況もリアルタイムで把握でき、これまでの印刷履歴も確認できる。dashboard

料金は印刷料と送料がかかる。月に100部まではサービス利用料はかからないが、それ以上利用する場合は月額プラン1万9800円に加入する必要がある。また、開発者向けにはAPIを提供している。企業やブランドは自社システムにAPIを組み込んで印刷の発注と管理を自動化することも可能だ。

チラシでも効果測定

コーデンベルク最大の特徴は、1部からでも印刷できる点だ。これにより例えば、チラシに1枚1枚個別のQRコードやクーポンコードを載せたり、各カスタマーにパーソナライズした販促物を作成したりすることができる。今まで印刷物では難しかったパッケージのA/Bテストや効果測定を行うことも可能になる。デジタルでは当たり前にできたことが、オフラインの印刷物でも簡単にできるようになるのだ。

通常印刷会社ではオフセット印刷を用いるため、このように柔軟な印刷のニーズに応えるのが難しかったとフライデーナイトで取締役CTOを務める木村俊範氏はTechCrunch Japanに話す。オフセット印刷では印刷の版を作成する必要があるため、手間と人件費がかかる。

フライデーナイトは佐賀県にある老舗の印刷会社サガシキと資本業務提携を行っていて、コーデンベルクの印刷はサガシキのデジタル印刷機で行っているという。デジタル印刷機では版を作成することなく印刷ができ、小ロットでの印刷が可能だ。ただ、印刷物は単に印刷して終わりではなく、製品として出荷するには、断裁したり、加工したりする必要がある。コーデンベルクでは、小ロットの印刷サービスを実現するために、印刷工場のラインを充実させることに力を入れているという。

フライデーナイトは、デザイン会社を経営していたCEOの長沼耕平氏とコンサルティング会社を経営していたCOOの中村直彦氏は2005年1月に立ち上げた会社。その後2016年7月よりコーデンベルクのベータ版を公開し、本日正式リリースに至った。

コーデンベルクでは今後チラシに加え、箱や冊子などの印刷物に対応していくとのこと。また小ロットごとの個別配送にも対応予定だという。

印刷工場には断裁、加工、組み立てなどの工程があるが、コーデンベルクは将来的に、そのような工場のリソースもネットワークでつなぎ、開放できるようにしたいと考えている。コーデンベルクはアマゾンAWSのようにリソースを割り振り、さまざまな人と印刷工場とがつながる世界の実現を目指している。

ユーザーがいる場所まで給油車をお届け ― Yoshi.Incが210万ドルを調達

yoshi_car

Yoshi.Incは、どこにクルマを停めていてもそこまで給油車を運んでくれるサービスを提供するスタートアップだ。同社は現地時間12日、合計で210万ドルの資金調達を完了したと発表した。同社はこの資金を利用して、給油デリバリービジネスを新しい地域へと拡大するとともに、自動車関連の新しいビジネスを展開していく。CEO兼共同装用者のNick Alexanderは、「ガソリンスタンドやオートショップで行うサービスを、ユーザーがその時にいるところで、かつ競争力のある価格で提供します」と説明する。

今回の調達ラウンドをリードしたのはZhen Fundで、その他にもJoe MontanaのLiquid 2 VenturesやY combinatorパートナーのAli Rowghaniを初めとする個人投資家も本ラウンドに参加している。Yoshiは2016年のY Combinatorバッチにも参加している。

現在Yoshiのサービスは月額20ドルで利用でき、それに別途で給油した分のガソリン代金がかかる。また、洗車サービスやオイル交換、ワイパー交換などには追加料金が発生する。これらのサービスはすべてYoshiのアプリで注文可能だ。YoshiはFirestone(北米ブリジストンのタイヤ製造・卸売事業子会社)と提携を結んでおり、無料でタイヤの空気圧をチェックするサービスを提供しているほか、ユーザーはYoshiのアプリを通して新しいタイヤを購入したり、タイヤ交換サービスを注文できるようになっている。

Palo Altoを拠点とするYoshiは、アトランタ、ナッシュビル、ベイエリア近郊でサービスを提供している。同社の競合となるのはMobile Fuel、Fild、WeFuel、Purpleなどのスタートアップや小規模ビジネスだ。しかしAlexanderは、他社が提供するサービスの種類はYoshiほどに充実していないと語る。

今回の調達ラウンドに参加したJoe MontanaはYoshiのチームを賞賛し、「Yoshiがこれからも順調に成長する姿を見たいものです;彼らはこれまでこの業界をリードしてきましたし、これからも現状のマーケットを攻略しつづけ、さらに将来のマーケットにも応用可能な戦略を見せてくれることでしょう」。

Alexanderによれば、同社は今回調達した資金を利用して、人材の強化、サービス提供地域の拡大、サービスの安全性の向上を図る。また彼は、Yoshiが成長できたのは同社の紹介制度によるところが大きいと話している。同僚や家族を紹介したユーザーにはポイントが配布され、そのポイントを使って無料で給油をしたり、クルマのパーツを購入できるようになっているのだ。
ただし、Yoshiの給油トラックとスタッフを出動させるためには、1人のユーザーからの注文だけでは不十分だ。サービスが提供されるのは、その地域で少なくとも3人のユーザーからの注文が集まったときに限られている。Yoshiのアプリはコンシューマー直結型のアプリではあるが、エンタープライズ向けサービスの拡大も目指している。従業員のクルマや営業車に給油をしたり、パーツの交換をするなどの利用法がある。
サービスの会員費や利用料金を一部援助する企業もあれば、単にYoshiの利用を推奨するにとどまる企業もある。企業向けサービスが生まれた背景として、給油のために仕事に遅刻する従業員がいるという事実があった。また、クルマの不調のせいで気が散ってしまうこともある。Yoshiの「一度注文すれば、あとはおまかせ」サービスを推奨することは、従業員のプロダクティビティを向上することにもつながるのだ。
(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

AmazonがAmazon Channelsに自主チャネルを創設(最初はアニメ専門チャネル)…テレビビジネスをディスラプトか

screen-shot-2017-01-12-at-9-12-13-am

Amazonが、HBOやShowtimeなどのパートナーのビデオコンテンツをオンデマンドで提供していたAmazon Channelsに、初めての自己ブランドによる会員制のチャネルを加える。これまで同社はAmazon Prime Videoのライブラリやビデオオンデマンドの提供物の充実に力を入れてきたが、今回初めてそのための自社チャネルを作るのだ。

Varietyの記事によると、Amazonは今後、このような独自チャネルを増やしていくそうだが、しかし今回のAnime Strikeは、Amazon ChannelsでアメリカのPrime会員に提供される唯一のAmazon自身によるビデオ選集だ。会費は月額4ドル99セントだが、最初の一週間は無料、広告はなく、その豊富なライブラリには現在放送中の連載アニメ“Scum’s Wish”や“Blue Exorcist: Kyoto Saga”などの同時公開ビデオも含まれている。

ライブラリは毎週アップデートされ、アニメを選んだのは、AmazonのVP Michael PaullがVarietyに語っているところによると、ファンが多いわりにはアメリカでは提供サイトが少ないからだ。Netflixにもアニメの大きなライブラリがあるが、しかし既存のテレビプロバイダーの多くが、あまり経済性(費用対利益)が良くないとして、無視しがちなジャンルだ。

Amazonは今後数か月で、このような自主チャネルを増やし、さまざまなジャンルをカバーしていく。その詳細はまだ発表されていないが、ケーブルテレビのような(見たくないものも多くある)抱き合わせ配信ではなく、単品を中心とする新しいテレビビジネスを作り、その会費売上を伸ばしていくつもりのようだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

”物流界のUber”Lalamoveがアジア100都市以上での営業展開を目指し3000万ドルを調達

lalamove_van

香港に拠点を置きオンデマンド物流サービスを提供しているLalamoveは、上場を視野にこの度シリーズBで3000万ドルを調達した。

3年前にEasyVanという名前で設立された同社は、現在中国の50都市と東南アジアの5都市で営業しており、今回調達した資金を使って2017年中にさらに中国・アジアの60都市以上へとビジネスを展開していく予定だ。

今回のラウンドをうけ、Lalamoeはこれまでに合計6000万ドル以上を調達したことになる。シリーズBでは、Baiduで以前M&A部門のトップを務めていたHesong Tangによって新たに設立された、北京に拠点を置くVCのXianghe Capitalがリードインベスターとなった。そのほかにも既存の投資家であるMindWorks VenturesやCrystal Streamに加え、新規にBlackhole Capitalが同ラウンドに参加していた。

Lalamoveにて国際部門担当マネージング・ディレクターを務めるBlake Larsonは、TechCrunchとのインタビューで同社は損益分岐点に到達する寸前だと話していた。

「特にオンデマンドサービス界隈では資金調達が難しい今、今回のラウンドによってLalamoveは間違いなくビジネスを成長させる上で有利なポジションに立つことができます。既に複数の都市では黒字化できているほか、キャッシュフローもポジティブなため、今年中には全社的に採算がとれるようになるでしょう」とLarsonは語る。

「現在資金は十分にあるため再度資金を調達する必要はありませんが、今後全く資金調達をしないというわけではありません。私たちは既にもうかるビジネスモデルを持っており、上場は可能性の問題ではなく、時間の問題です。ハッキリと言うことはできませんが、現在の財務状況を考えると、2年から2年半のうちに上場することができると考えています」と彼は付け加える。

上場先の市場など、IPOについてはこれ以上Larsonは明かさなかった。

Lalamoveは、Uberのようなオンデマンドの交通サービスからヒントを得た複数存在する物流会社のひとつだ。しかしUberと違い、彼らは単価が高く利用頻度も安定している法人ユーザーを主な顧客としている。一方Lalamoveのアプリは誰でも使うことができ、ユーザーは同社のバイクやバンを利用して、食品や雑貨、オフィス用品を中心にさまざまなモノの配送を依頼できる。

「物流市場の規模は大きく、中国の市場規模は1兆7000億に達するほか、東南アジアの一部の国ではGDPの最大27%を占めています。その上、この業界はモバイルインターネットの世界ではあまり注目されていません。私たちのユーザーは、それぞれの街でより早くてシンプルな配送手段を求めており、Lalamoveは何でも1時間以内に配送できるということを証明してきました」とLalamoveのファウンダー兼CEOのShing Chowは声明の中で述べている。

現状Lalamoveのビジネスの中心は中国にあるが、全ての地域を勘案するとプラットフォーム上には50万人のドライバーと500万人のユーザーが登録されており、これまでに1500万回もの配送を行ってきたと同社は話す。Uberも2年前に香港で似たようなビジネスを展開しようとしたが、昨年Uber Cargoはサービスを停止した。

Uberと同社の中国におけるライバルであり、Uberの中国事業を買収予定のDidi Chuxingが今後数年の間に上場するかについては、さまざまな憶測が飛び交っているが、専門家のほとんどは両社ともまだ事業を黒字化できていないと考えている。

しかし、資金調達の難しさからオンデマンド物流界に残る数少ないプレイヤーのひとつであるとLarsonが話すLalamoveは、今年中の黒字化を狙っている。その原動力はターゲットとしている顧客層と、価格よりもサービス品質を重視した同社の戦略だ。

「私たちのオペレーションは表層部では(Uberと)似通っているかもしれませんが、コンシューマー市場のスイッチング・コストはとても低い水準にあります。そのため顧客ロイヤルティを保つのが、エンタープライズ市場に比べ難しくなってしまいます。(Lavamoveのように)法人顧客が中心の場合、顧客は短期的な金銭的メリットがあっても、他社に乗り換える可能性が低いんです。これは法人顧客がプロモーションに疎いというわけではなく、彼らは価格だけでは動かないということです」とLarsonは説明する。

昨年LalamoveはLINEと契約を結び、同社のチャットアプリ上のオンデマンドサービスをサポートすることになった。なおこの契約は、まずLINEのメイン市場のひとつであるタイで締結された。LINEがタイで提供しているLINE MANは、4年早くサービスを開始していたRocket InternetのFoodPandaを既にデリバリーボリュームで上回っているとLarsonは話す。さらに彼によれば、Lalamoveは現在LINEと似たようなサービスを東南アジアで展開している企業との将来的なパートナーシップの可能性を模索している。

「次のパートナーはチャットアプリを運営する企業ではないかもしれませんが、ソーシャルコマースサービスのように、今後一緒に仕事ができる可能性のあるプラットフォームはまだまだ存在します。特にオペレーション面のリソースに欠ける規模の大きなプラットフォーム(をLalamoveはサポートすることができます)」と彼は話す。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

テレビの未来はアプリではない

vue-apple-tv

【編集部注】著者のTom Goodwin氏はZenith Mediaの技術革新担当上級副社長である。

新しい技術が到着するたびに、私たちはしばしばその使い方を間違ってしまう。何が可能かを考えたり、産業を変革しようとする代わりに、それまでにやって来たことの延長線上でゴテゴテと盛り付けを行なってしまうのだ。

新しいメディアの登場と共に、私たちはこうした事態を何度も見てきた。最初のラジオは新聞の見出しの読み上げであり、最初のテレビ番組は朗読者をカメラが撮影しているもので、今日のウェブサイトでさえ過去の形式をデジタルペーパーの形で再現しているだけなのだ。正に今、放送からストリーミングTVへの地殻変動が起きているが、肝心な点が見逃されているのではと思わされることがある。

誰もがコードカッティング(ケーブルテレビの契約をやめてネットなどに移行すること)について語っているが、それを本当に行った人は驚くほど少ない。その主な理由は、提供される番組に2流品が多いこと;価格設定がうまくいかないこと;そして内容が限られていることなどだ。Playstaion VueSlingboxからDirectTVNow(そしてまもなく登場するHuluの新しいTVサービス )の発表まで、私たちはテレビを見る方法を永遠に変えてしまう新しい提案の断片に日々晒されている。

これらの新しいサービスの流入は、知識のギャップと、これまでのところいかに多くの企業が人々の行動や期待がどのように変化したかを理解できていないかを、いち早く明らかにしている。これが意味していることは、巨大な機会損失だ。人びとにとって、放送からストリーミングへの移行自体は興味の対象ではない、人びとは物事がどのようにやって来るかは気にしない。どのスクリーンで観るかは気にせず、どのように経験するかだけを気にするのだ。

コンテンツに対して私たちから向かうことより、向こうからやって来ることの方が多い。友人たちやアルゴリズムによる提案、あるは自動連続プレイによって選ばれてやってくるのだ。この文脈では、こうしたテレビ番組の選択アーキテクチャの2つの基本的要素が、未来にはあまり関係がないものの、依然として10億ドルの意思決定のための組織的原則として使用されている。

Netflixのグリッド

チャンネルの検索を越えて

現代人たちは、ニュースをその提供者から直接得ようとはしていない、Buzzfeed.comを直接訪れるものは実質的に誰もいないし、新聞のホームページのトラフィックは急落している(この記事を読んでいる大部分のひとも、直接ではなくどこか他の場所から来ているだろう)。一体私たちの何人が、今週Teen Vogueのサイトを訪れてなにがしかの記事を読んだだろうか?私たちの関係はもはや出版社と結ばれているのではなく、記事やアグリゲーターと結ばれているのだ。同様に、私たちは好きな音楽をレーベルでは探さない、私たちはバンドや曲に関心があるのだ。私たちはすべての音楽を届けてくれるアプリを使い、ジャンルや、アーティスト、もしくはアルゴリズムによって推奨されるものを使ってナビゲートする。

あらゆる場面で、出版社のキュレーターという古い概念は死んでしまっている。私たちは、ニュースの混成物を集めてさまざまな内容の紙面を編成する役割を果たす物理的な新聞編集者は必要ないと考えている。私たちは自分が好きなものを決めたり、お金を払うアルバムやイベントにまとめたりするために、レコード会社を必要としていない。

同じことがテレビにも当てはまる。幾つかの例外を除いて、私たちはショーを観ているのであって、チャンネルを観ているのでないのだ。私たちは夜更かしをするためにAMCに頼っているわけではない、私たちが観たいのはブレイキング・バッドであって、それがどこで放映されようと関係ない。テレビチャンネルの役割は単に私たちが好きな番組のための資金調達を行うことだけで、キュレーションには全く無関係なのだ。時代錯誤なデバイスであるテレビチャンネルを取り出して、それらをアプリで置き換えることは、まったくもって馬鹿げたやり方だ。それはごく初期のソリューションだったに過ぎない。

まずApple TVを開き、50ものチャンネルに圧倒され、そしてCBSアプリを立ち上げて、やっと番組に辿り着くなんてことを一体誰が好んでやりたいだろう。それは画面上で50の音楽アプリの中からVirginを選んでからBastilleを聞くことと同じくらい愚かなことだ。

人々のFlickrの/勝利の写真提供:

写真提供Flickr:Victory of the People

ナビゲーションのために使う時間は時代錯誤な代物だ

テレビ放送の重要なポイントは、かつて全国民に同時に同じ番組を流したということだ。すべてのテレビ番組は放送と同時に消費されるものだった。国民文化が同期的な時間によって形作られたため、人びとは冷水機の側で同じ話題についての立ち話ができたのだ。全体の放映スケジュールは、日曜の夜には自然ドキュメンタリー、金曜の夜は騒々しいコメディといった具合にプログラムされていた。

私たちのテレビの「時間シフト」記憶の大部分を占めるのは、テープによる録画であり、DVDの視聴だが、それは例外的なケースであって、私たちの主な消費形態は放送をその時間に観るというものだった。 Netflixや「ビデオオンデマンド」は、時間制約からコンテンツが解放されたまったく新しい時代を告げた。私たちはこれがどれほど影響力の大きいものかを理解していなかった。今やネット接続された世帯ではこの「時間シフト」がテレビの支配的な形態だ。

にもかかわらず、テレビの中心を占めているのはいまだに「電子番組表」であり、それは変化していない。それは大多数の人に無関係なチャンネルを並べたものになり、いまや時間も無関係なものとなっている。

ニュースやスポーツ、あるいはアカデミー賞のような単発のイベント以外では、現代的で様々なものを知っている視聴者たちにとって、時間帯と彼らが見たいものの関には特に何の関係も存在しないように思える。テレビ会社の中で一度も会ったことがないような人たちが、わざわざコンテンツの助言をしてくれると期待するのは馬鹿馬鹿しい考えだ。

テレビの新しい世界は、時間から解き放たれ、経路や再生機器には無関係だ。私たちの視聴習慣はより極端になり、極端に短い壁から釘を抜く蜂の20秒のクリップや15秒のマネキンチャレンジの間で気持ちが揺れ動き、視聴に12時間もかかるNarcosやBlack Mirrorに対しては不満を抱くようになってきた。

テレビを見る新しい方法

私たちはデジタル時代中期にいるが、同時に私たちは新しい時代のテクノロジーで飾られたアナログなシステム、技術、思考の遺産と共に生きている。私はテレビを観るために5つのリモコンを持っているが、今は視聴の前に入力デバイスを検討する必要がある。私のChromescastはどうやら私の携帯でしかコントロールできないようだ。ほとんどのコンテンツには世界的な権利問題が存在し、Vizio TVでは観ることのできない4Kコーデックがあり、アプリストアから無くなってしまったアプリもある。それは苦痛を伴うほどに複雑だ。

テレビがインターネットをゆっくりと認識するにつれて、私たちも新しい考え方とアーキテクチャを採用すべきだ。私は主画面が検索バーになって欲しいと思っている。私が購読している(あるいは無料の)すべてのプロバイダからコンテンツを引き込むことのできる検索バーだ。検索では広告のないコンテンツを広告付きのものよりも優先できるようにしたいし、4KコンテンツをSDよりも優先させたい。

このサブメニューの中にライブテレビボタンが欲しい、友人たちのライブ映像を簡単に呼び出すのだ。トレンドのライブやFacebookの友人が現在観ているものが分かるようになりたい。

私はテレビ向けの「Spotify Radio」が欲しい、番組を選んで次に推奨されるもののリストが欲しい。すべてのコンテンツはリンクしていて欲しい、テレビスターを選んだら彼らの登場するすべての番組がわかるようにして欲しい。脚本家をクリックすると関連する情報にアクセスできるようになって欲しい。リモコンが携帯電話やすべてのコンテンツのコントロールセンターを兼ねていて欲しい。有意義なインタラクションを行えるテレビ番組を観たい。

テレビは、想像の及ぶ限りの最も根本的な変容を起こそうとしている。境界線はぼやけていく。何がローカルに保存され、何がクラウドにあるのか?テレビがビデオになるのはいつなのか?国家やデバイスのための利用権はどのようにあるべきか?この先もセットトップボックスが必要なのだろうか?

現在の混乱が終われば、素晴らしい新しい風景が出現するだろう。私たちが好きなものを見るもっと簡単な方法だ;より少なく、より良く、よりターゲットを絞った、より短いテレビ広告が個人向けに提供される。私たちが愛しているものへの、世界中からのより多数のアクセス。未来は素晴らしいものだが、私たちはそこに行くための障害物を粉砕し、これまでの怠惰な思考を止める必要がある。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

ドローンによる医療品配達サービスのZiplineが2500万ドルを調達

zipline8

ドローンによる医療品の配達サービスを展開するZipline International Inc.が、シリーズBで2500万ドルを調達した。今回調達した資金によって、ルワンダ、米国などで同社の人道的なビジネスを拡大していく予定だ。

Ziplineは、ドローンを利用してクルマなどが通れない僻地にある診療所や病院に重要な医療品を届けるサービスを展開する企業だ。

先日、TechCrunchはカリフォルニア州Half Moon BayにあるZiplineの本社を訪れ、同社の固定翼ドローン、射出機、そしてユニークな着陸方法について取材した。

共同創業者兼CEOのKeller Rinaudoによれば、今回のラウンドでリード投資家を務めたのはVisionnaire Venturesで、その他にもSequoia CapitalAndreessen HorowitzSubtraction Capital、そして個人投資家のJerry Yangも本ラウンドに参加している。今回のラウンドを含めたこれまでの資金調達金額の合計は4300万ドルとなる。

Rinaudoは、「Doordashなどが夕食の即時配達サービスを展開し、Instacartは食料品の配達をしています。それであれば医療品の配達サービスも可能なのではないかと考えたのです」と話す。

Ziplineは先日、ルワンダの国家プロジェクトとして、計600万人の患者を抱える複数の診療所にオンデマンドで輸血用の血液を配達するというプロジェクトを開始している。

zipline_kagame_rwanda

Zipline CEOのKeller Rinaudo(中央)。その隣にはルワンダ大統領のPaul Kagameがいる。

11万人いるルワンダの全国民に血液を届けることを目指し、政府はZiplineと連携したこのプロジェクトを今後も拡大していく方針だという。また、血液の他にも、抗毒素、各種ワクチン、狂犬病の治療薬(専門的には「ウイルス暴露後ワクチン」と呼ばれる)など、配達する医療品の種類も拡大する予定だ。

今回調達した資金によって同社は人員の強化、技術開発などを進め、インドネシア、ベトナム、米国などの新しいマーケットに参入していくことを目指すとRinaudoは話す。

しかしながら、米国で同様のサービスを展開するためには、規制機関から認可を受け取るか、規制除外のサービスとして認めてもらう必要があると彼は話す。

競合企業となるFlirteyやMatterportは、ドローンによる食料品、建築資材、薬品などの配達サービスを展開している。しかし、Ziplineは医療品のデリバリーのみに特化していく方針だ。

米国のマーケットでは地方の診療所への血液やワクチンの配達サービスが考えられるだろう。また、都市部ではアレルギー症状を一時的に緩和する「エピペン」の即時配達サービスを展開することも可能そうだ。そうすれば、急に子どもたちが深刻なアレルギー症状を起こしたとしても安心できる。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

シャトルバスのシェアリング・プラットフォーム「GoOpti」が約4900万ドルを調達

goopti

GoOptiが提供するサービスは「シャトルバス版のUber(またはUberPool)」とでも呼べるだろうか。このサービスでは、ヨーロッパの郊外に住む人とシャトルバスをつなぎ、空港に近い都市部への交通手段を提供している。その際、規模の経済を利用してユーザーが必要なときにシャトルバスを用意できるようにしている。

「私たちのプラットフォームを利用すれば、需要サイドと供給サイドが抱える問題をそれぞれ解決することができます」と語るのは、GoOptiの共同創業者兼CEOのMarko Gučekだ。「需要サイドが抱える問題とは、郊外に住む人々は空港にアクセスすることが難しく、たとえローカルの空港があったとしても、直行便の数が少ないせいで航空券の値段が高くなりがちだということです」。

この問題への解決策とはもちろん、大きな空港のある都市まで移動することだろう。だが、そこまで行くのにも1時間から3時間程の時間がかかってしまう。大半の人は車で移動しようとするだろうが、それでは「高いガソリン代や高速道路の通行料、空港での駐車料金を払わなければならず、それに長いフライトの後の運転は危険」だという。空港まで友達に送ってもらうこともできるが、そうすると合計2回往復することになるので、2倍のコストがかかってしまう。

その代わりに、GoOptiでは空港に向かうユーザーをまとめ、その時に利用可能なシャトルバスを利用するように促している。価格は利用時によってバラバラだ。同システムには需要を予測するアルゴリズムが組み込まれている。こうすることで、GoOptiはユーザーに安価で環境に優しい交通手段を提供しているのだ。また、このビジネスは環境が悪化するシャトルバスの運営会社側にもメリットがある。

「出張者やグループ旅行者向けに、ミニバスやバンで空港まで送迎するサービスがあります。しかし、業界の変化によって、そのようなビジネスが減ってしまったり、逆に競争が激しくなっているといった問題があります」とGučekは説明する。

それに加えて、多くのシャトルバス運営会社ではマネージャが同時にドライバーでもあるという問題がある。それでは長時間の労働は避けられないし、24時間体制で顧客の対応をするのは不可能だ。しかも、収入が得られる保障はない。

「彼らが私たちの革新的なビジネスモデルに参加することで、私たちの顧客にリーチすることができるだけでなく、快適なマネジメントツールや統合されたサポートセンターを活用することもできます。熱心なビジネスオーナーであれば収入も保障されます。簡単に言えば、両サイドの人々をつなぎ合わせることで彼らが持つストレスを解消し、両者を満足させることができるのです」。

このミッションを達成するため、同社は新しく4400万ユーロ(約4900万ドル)の資金調達を完了したと発表した。そのうちの1500万ユーロはEUからの助成金であり、残りの金額はシリーズAでEBRD、Point Nine、RTAから調達した資金だ。

現在、同社のサービスはスロベニア、クロアチア、イタリア、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、スロバキアで利用可能だ。同社は今回調達した資金によって利用可能地域の拡大を目指すと話している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

オンデマンドサービスが万能ではない理由

delivery

【編集部注】執筆者のAjay Prakashは、洗濯代行サービスRinseのCEO。同社はモバイルアプリ経由の注文をもとに、利用者の自宅やオフィスを訪れて洗濯物の集荷・返却を行うサービスを提供している。

私ともう一人の共同ファウンダーであるJamesが、2013年にモバイルベースの洗濯代行サービスをはじめた頃、”オンデマンド”企業が世に出始めた。

当時、VCは次のUberをみつけるのに躍起になり、さまざまな企業が考えうる全ての分野でオンデマンドサービスをリリースしようとしていた(これらの企業は「◯◯のUber」という呼び名で知られているかもしれない)。今日の状況を見てみると、中にはオンデマンドモデルで成功を収めた企業も存在する一方で、経営に苦しんでいる企業の数の方が多いようだ。ここ数ヶ月で言えば、潤沢な資金を調達し素晴らしいチームがいるにも関わらず、人員を削減したり、会社をたたんだりする企業の姿も見られる。そんな中、なぜこのようなことが起きているのかという疑問が当然浮かんでくる。

単刀直入に言えば、その答えは”オンデマンド”が顧客のニーズを解決するための万能な手段ではないということだ。

”スマートスケジューリング” VS ”オンデマンド”

Uberは急を要する重要な問題を解決している。タクシーが必要なときというのは、その瞬間にタクシーが必要だということだ。Uberはオンデマンドのサービスを提供することで、この問題を解決し、顧客の差し迫った需要を満たしているのだ。しかし、消費者向けサービスは、習慣的な問題への対策であることがほとんだ。

家の掃除や洗濯、洗車といったタスクは、一般的に予測可能なパターンで繰り返し発生する。そのため、このようなタスクに対するサービスにおいて、オンデマンドモデルは不適当かつ非効率的なのだ。

消費者向けサービスの事業を立ち上げるとき(もしくはこの場合に限ってはどの事業でも)、顧客のニーズにフォーカスし、自社のサービスにとらわれないというのが重要になってくる。最近の問題は、新たに設立されたスタートアップのほとんどが、消費者の問題に対する解決策は全てオンデマンドでなければならないと思い込んでしまっていることだ。しかしほとんどの場合、繰り返し起きる問題には、”スマートスケジューリング”のアプローチをとった方が良い。

最も基本的な意味として、スマートスケジューリングとは、一定の間隔で発生する顧客のニーズに合わせたサービスを構築することを指す。掃除や洗濯の代行サービスであれば、その間隔は1、2週間ほどだろう。

洗車や倉庫への荷物の移動といった他のサービスであれば、ニーズの発生する間隔がもっと開くかもしれないが、発生時期に関わらず、スピードよりも品質を重視することで、ほとんどの場合顧客満足度は向上する。

以下に、”オンデマンド”よりも”スマートスケジューリング”の方が有効だと思われるいくつかの分野について説明している。

ハウスクリーニング
2013年の”オンデマンド”ハウスクリーニング業界では、Handy、Homejoy、Execが幅を利かせていた。投資家やメディアがこの業界にはかなり興味を持っていたと同時に、”オンデマンド”経済における有名なサービス停止の事例もこの分野で発生した。

この業界の顧客についてしっかり観察すると、彼らのニーズが慢性的かつ繰り返し発生していることがわかる。つまりハウスクリーニング業界では、オンデマンドよりもスマートスケジューリングの方が有効なのだ。実際のところ、前述の例の中で唯一現存するHandyを見てみると、彼らのサービスはオンデマンドではないことがわかる。Handyのサービスに登録する際に、顧客は毎週か隔週のプランを選ぶようになっているほか、登録日から数日後にデフォルトのスタート日が設定されている。

貸し倉庫
貸し倉庫も、過去数年の間に投資家の興味をひいていた分野だ。Clutter、Makespace、Omniといった企業が外部から資金を調達し、さまざまな方法で家の中に溢れたものを貸し倉庫に預けるサービスを考案しようとしていた。Omniは、”オンデマンドの保管・デリバリー”サービスというブランディングで、定期的なアプローチをとっていたClutterとは違った角度からサービスを提供していた。

第三者の立場から言えば、家にある荷物をどこかに預けるというのは、問題としては大きいが急を要することは滅多にない。

洗車
オンデマンド洗車サービスは、数年前にCherryがローンチし、資金を調達し、その後すぐにサービスを停止した頃は人気の業界だった。その全てがRinseの設立前に起きたが、それから約4年が経った今でも、オンデマンドで洗車サービスを提供している企業は存在する(Washos、Squeegy、Wypeなど)。

私は彼らのターゲットではない(しばらくの間洗車しなければと思っているが何もしていない)が、洗車でオンデマンドのサービスが必要になるケースはかなり稀のように感じる。さらに、洗車が必要なタイミングは繰り返し発生するもの、購買頻度は限られている。

消費者が抱える大きな問題は他にもある

より広い意味での”オンデマンド”経済で、めんどくさがりな人や富裕層をターゲットとするスタートアップの話を聞くことがある。実際にそういった人をターゲットにする企業は存在するかもしれないが、現実にはもっと大きな問題を抱えている消費者が残っている

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

オンデマンドの避妊ピル配達サービス「Nurx」がUnion Square Venturesから530万ドルを調達

nurx-birth-control-app-iphone1

避妊ピルが切れたって?Nurxは避妊ピルをものの数時間で自宅まで届けてくれるWebプラットフォームだ。その同社は今回、Union Square VentureからシリーズAで530万ドルを調達したことを発表している。

2014年に創業のNurxを利用すれば、避妊ピルが無くなっても新しい処方箋を待つ必要がなくなる。今年初めにはHIV予防薬のPrEPの取り扱いも開始し、LabCorpとパートナシップを結ぶことで、検査結果の入手するプロセスを簡易化し、HIV予防薬を効率的に配達することができるようになった。

避妊ピルを入手する方法はとてもシンプルだ。まず、Webアプリにログインして、いくつかの質問に答えて情報を打ち込んでいく。すると、その情報が同社のネットワークに加入している医師の元に送られ、すぐにその医師が処方箋を用意する。そしてNurxが避妊薬をユーザーの元に届けるというわけだ。親しみやすい配達員が自宅のドアまで届けてくれる。薬局に行く必要もなければ、医師のオフィスで待ちぼうけを食らうこともない。

Nurxの競合にはPillPackZipdrugなどの医薬品の配達サービスがある。他にもL.Condomsなどがあり、この企業は名前の通りの製品を配達するサービスだ。しかし、避妊薬という分野ではNurxは群を抜く存在だ。

「ヘルスケアの分野には、どんな研究よりも人々が求めているものがあることに気づいたのです。避妊薬は確実にそのうちの1つです」と共同創業者のHans GangeskerはTechCrunchとのインタビューで語る。「どの人に話を聞いても、友達の友達が緊急で避妊ピルが必要になったというようなエピソードを聞かせてくれたのです」。

避妊薬だけにフォーカスすることで、Nurxはこれまで着実なペースで成長することができたと彼は話す。しかし、今後は苦しい戦いが待っているかもしれない。数百万人の女性を対象に行った調査によって、避妊薬がうつ病を引き起こす可能性があることが分かったのだ。しかし、Nurxでは避妊ピルの代わりに利用できるNuva Ringやパッチなども扱っており、どれを使うかはユーザーの好み次第だ。

そのどれを使うにしろ、Nurxのビジネスモデルは優れており、簡単に他の処方箋薬向けにもビジネスを拡大することができる。彼らがPrEPを取り扱い始めたのがその例だ。結局のところ、人々は毎月のように処方箋を必要としていて、どこかに取りに行くよりも家まで届けてくれた方が便利であることは間違いない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter