新型コロナによる学校閉鎖を受けVarsity Tutorsがオンライン学習サイトを無料公開

生徒と先生をライブ、オンデマンドでつなごうとするEdTech(教育技術)企業のVarsity Tutorsが、新型コロナウィルスのパンデミックで世界中の学校が閉鎖される中、生徒と親のためにVirtual School Day(バーチャル登校日)という無料アプリを米国時間3月16日に公開する。

アプリは、幼稚園年長から高校3年まで(K-12)の主要教科のオンラインクラスを、20時間以上ライブで提供するもので、各クラスではVarsity Tutorsが擁するエキスパート教師が教鞭をとっている。教師たちは教科内容を教えるだけでなく、バーチャルで教育も行っている。

主要クラスにはK-12の数学(四則演算から微積分まで)、読解、文学、作文、科学(生物、化学、物理)をはじめ、その他の講座もある。たとえば特定のテーマを集中して学びたい生徒のために、数学、科学、英語の専門家教師が教えるクラスもある。

Virtual School Dayには、年齢グループごとの特別授業もあり、小学生向けの「The Story of Your Favorite Fairy Tales(有名な童話の物語)」や「Secretes of Staying Healthy(健康を保つ秘訣)」「中学生向けのThe Science of Pandemics(パンデミックの科学)」や「Video Game Sound Design(ビデオゲームのサウンドデザイン)」「高校生向けにはHistory of National Parks(国立公園の歴史)」「Careers in Science(科学に関する職業)」といった授業も用意されている。

この数年間、Varsity Tutors はオンライン教育に大きく力を入れていて、2019年1月には Veritas Prepを買収して個人授業によるオンラインクラスをさらに強化した。Varsity Tutorsは設立以来1対1の家庭教師に重点を置いており、当初は対面で、後にはオンデマンドのビデオチャットを利用したオンライン方式になった。

同社はアプリを開発し、教師側にはホワイトボード機能、文書編集などのツールを備えている。

これまでに1億ドル(約106億円)以上の資金を得ているVarsity Tutorsは、個人指導だけでなく、ライブ講座、オンラインコース、SAT、ACT向けの無料テストなどにも事業を拡大している。

Varsity TutorsのChief Academic Officer(最高学術責任者)Brian Galvin(ブライアン・ガルビン)氏は、Virtual School Dayについて声明文で次のように語った。

大規模な休校によって、生徒、親ともに大きな困難に直面している。一部はオンライン教材を提供しているが、ほとんどの学校は最低限の自習用の宿題か、何も与えていない状態だ。親たちが子どもの学力低下やビデオゲームといった消費カロリーゼロの遊びに時間を費やしていることを懸念するのも当然だ。高品質の教材を無料で提供し、この困難な時期に生徒たちの学習意欲を維持することで、全世界の家族の主要なストレス要因を取り除けることを願っている」

Virtual School Dayクラスはすべて英語で、全世界で利用できる。興味のある人はこのwebinar(ウェビナー)で日本時間3月18日9時から詳しい説明を確認することができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

無料のオンラインプログラミングスクールCodecademyが3000万ドルを新たに資金調達

Codecademy  the free online coding school  raises another  30M led by Naspers   TechCrunch

Codecademyは1600万人の登録ユーザーを持つオンラインのコーディングスクールだ。これまでサービスを利用するのに生徒に一銭も課金しないという経緯を辿ってきた。今、Codecademyがいつ、どのようにサービスをマネタイズするかと疑念が湧く中、3000万ドルの新たな資金調達をCodecademyが発表した。これは同社が次にどうするかを示す出来事かもしれない。

南アフリカに拠点を置く(営利目的の)巨大メディア企業、NaspersがシリーズCラウンドを率いる。CodecademyはシリーズCラウンドで調達した資金を、引き続きCodecademyのサービスを世界に普及させ、モバイルなどなプラットフォームでも使えるよう開発に充てると語っている。

ラウンドに参加する投資家には以前のラウンドにも参加したUnion Square Ventures、Flybridge Capital Partners、Index Ventures、Sir Richard Bransonを含む。Codecademyは評価額を開示していないが、私たちは探り出そうとしている。Codecademyが調達した資金は合計で4250万ドルだ。

Codecademyの共同創業者でCEOのZach Sims氏はインタビューにおいてCodecademyは有料の「プロフェッショナル」サービス(月額約20ドル)からすでにいくらかの収益を生んでいると語った。プロフェッショナルサービスではコーディングの独習コンテンツにプラスしてメンターへの相談、成績の評価が可能だ。

しかし、Sims氏は今年度初頭のインタビューでTechCrunchに対し、Codecademyには1600万人の登録ユーザーベースをマネタイズできる他の手段があると示唆した。

「プロシューマー(製品の開発にも携わる消費者)層、追加コンテンツ、メンターへの相談、さらにはユーザーがゼロから仕事を得るまでの支援とそれに対する課金」が今年度初頭にフィリピン・ダバオで開かれたWorld Economic Forumでのインタビューの中でSims氏が言及したすべての手段だ。

コーディングトレーニングプログラムにとって問題となってきた仕事斡旋の領域にCodecademyの長期的なビジョンがある。他の高額な競合サービスは多くのことを約束するが、学習が終わった後、最終的に仕事まで提供できるところはほとんどない。

オンラインのトレーニングプログラムを通してCodecademyはユーザーに関するすべてのデータを収集する。そして、そのデータの活用で、長期的にはCodecademyは他のスクールよりも卒業生を有望な仕事とつなげることが可能だとSims氏は考えている。そしてSims氏はそれでマネタイズができればと期待している。

実際に、Codecademyはカリキュラムの卒業生をアドバイザーとして雇い、Codecademyの主張通りのことをすでに実践している。現在、アドバイザーはプロフェッショナルサービスの料金を払っている人のためのメンターとして従事している。

「私たちは自社のことを経済的な機会への入り口として捉えています」とSims氏は語った。採用候補者の能力に関して十分に理解していない担当者が門番を務める業界において、Codecademyのようなサービスは、必要とする企業が選りすぐりの人材を見つけるための助けとなるとSims氏は言う。

26歳の共同創業者Sims氏はCodecademyの成長につれて、そのオンライントレーニング・プラットフォームを別のデジタル分野に拡げていくことを望んでいる。

コーディングの時代の波に乗る

ニューヨークに本社を置き、2011年のY Combinatorに参加したCodeacademyが本腰を入れて着手している市場は巨大だ。

クラスで教えている内容、仕事の現場で理解している内容、そしてどの職に人材を充てるべきか(あるいはどのようなビジネスを構築するか)においてそれぞれテクノロジーギャップが存在する。現在、テクノロジーはいたるところに存在している。それが意味するのは私たちはすべての産業、すべての段階の仕事がテクノロジースキルを必要としているいうことだ。

これに加え、今では30億人以上の人がオンライン上にいる。対象となる大きな市場が存在するのだ(Codecademyには現在1600万人の登録ユーザーしかいないことを思い出してほしい)。

現在、CodecademyはHTML/CSS、Javascript/jQuery、Python、Ruby、PHP、APIなどのプログラミング言語やコンポーネントに重点を置いている。Codecademyの前提は単にレッスンを習うだけではなく、書いたコード、成果物へのフィードバックをプラットフォーム上で他のユーザーから受けることができる教室のような環境を再現していることだ。

人々がコードを習うのを支援しているオンライン・プラットフォームはCodecademyだけではない。同じ分野で展開するサービスは他にもLinkedInが所有するLynda.com、Thinkfuk、Code.org、Coursera、Udacity、Pluralsight、Khan Academy、Treehouseなどがある。

さらに教育が専業の企業からAmazonのような企業まで、オンライン学習ツールを開発している企業は数多く存在する。これらの企業もCodecademyが解決することを目指すスキルギャップの解消を目的にしたコンテンツを開発準備中だ。

競争の渦中にいるCodecademyのユニークな売りの1つは無料で使用できることだ。ある人たちは、Codecademyの教育では十分には学べず、よりプログラミング学習に真剣な生徒は最終的には別のオンラインプラットフォームを見つけなければならないと指摘している。しかし、Codecademyは何か試してみたいという好奇心のために入門の敷居を低くしているのだ(深い専門性やレベルの高いスキルを学ぶ教育コンテンツにおいては、マネタイズが確実にできるだろうとSims氏も述べている)。

端的に言えば、多くの競合が出てきたということは、コンピューター・プログラミングの機能を学ぶことへの関心の高まりにCodecademyが乗ってきたことを示している。

「2011年にCodecademyを設立して以来、21世紀の教育の鍵となる科目としてコード学習への関心が爆発的に高まっている様を見てきました」とCodecademyのZach Sims氏は声明において語った。「数百万の月間ユーザー、米国外に50%以上のユーザーがいるので、Naspersとパートナーを結ぶことは最高の機会です。幅広い学習コースを多くの言語で、新たな地域に提供していくことでビジネスを拡大させ、誰もが経済的な機会にアクセスできる教育を創造していきます」。

ラウンドの一環として、Naspers VenturesのCEOのLarry Illg氏がCodecademyの取締役に就任した。

「従来の大学は、テクノロジーを学ぶ生徒や雇用者の要求の変化に対応するには不十分な備えしかありません。Codecademyは市場において重要で埋める価値のあるギャップを解消させることができるでしょう」とLarry Illg氏は語った。「Codecademyの製品の質とチームの実行力で海外展開を進め、今後の拡大に向け、確固たる地位を築くことができています」。

Naspersは米国の教育界に長いこと関わってきた。NaspersのCodecademyへの投資は米国のEdTech(教育テクノロジー)において3回目の投資となる。Naspersの投資先にはBrainlyやUdemyが含まれる。

今年度初頭のSims氏へのインタビューはこちら

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

Microsoftがプロ養成講座を提供、データ・サイエンティストのスキルギャップを埋める

microsoft

Microsoftは求人市場にもっとデータ・サイエンティストが欲しいと考えている。若い人は真新しい知識を獲得するところから始める必要があるだろうし、キャリアを進めているプロはこれまでの経験を軸に技術を身につけられるようにする必要がある。

どちらの場合でもスキルギャップを埋めるため、Microsoftはデータサイエンスの一連の講座を edX.orgを介してローンチした。ハーバード大学とMITが立ち上げたedX.orgは、非営利で運営するオンライン学習の場だ。

データサイエンスのカリキュラムは、Microsoft Professional Degreeのプログラムが初めて提供する講座だ。Microsoftが主導するこのプログラムは、社会人が重要な分野でのスキル獲得を促すことが目的だ。本日ローンチしたプログラムについてMicrosoftは「雇用主が認められる大学レベルのカリキュラムです。キャリアのどの段階にいる人も受講できます」とプレスリリースで伝えた。

データ・サイエンティストは、求人数が候補者数を上回る、現在最も求められている職種の一つだ。

Microsoftのコースは9つのクラスと最終プロジェクトで構成される。全てのクラスは無料で聴講することができる。しかし、Microsoft Professional Degreeの認定を得るには、生徒はカリキュラムの10ステップ毎に証明書を購入しなければならない。

オリエンテーションのクラスは25ドルだ。「データサイエンスとアナリティクスのための統計的思考」の認定は99ドルで、他のクラスの認定はそれぞれ49ドルだ(データサイエンスコースを全て完了するには516ドルかかる)。

生徒は特定コースのセッションに登録する必要がある。各クラスのスケジュールはこのカレンダーを参照してほしい。受講を検討する生徒は詳細なシラバスを読み、各授業の選択科目を検討し、クラスのedXページから入学できる。各ステップは最低4時間から最大8時間で完了する。

ITオンライン教育の分野に進出する大手テクノロジー企業はMicrosoftが初めてではない。GoogleはUdacityと提携して、Androidのナノ学位や他のクラスを提供している。Amazonは、ビッグデータのクラスを始め、高度な技術スキルが取得できるAWSトレーニングの提供と認定を行っている。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website