オンライン決済の巨人「Stripe」が暗号資産市場に再参入

決済大手のStripe(ストライプ)は「Web3決済の未来」をつくるために新たな暗号資産チームを結成すると発表した。米国時間10月12日にTwitter(ツイッター)に投稿された公開声明による。Stripeは、Bitcoin(ビットコイン)決済を最初にサポートした会社の1つだが、数年前に市場を撤退した後、復帰のタイミングを見計らっていた。しかし今回の計画がどう展開するのかはほとんどわかっていない。

コメントを求められたStripeは、その戦略の見解や詳細について語ることはなく、新たな公開声明と以前のブログ記事を示しただけだった。

2018年1月、StripeはBitcoin決済のサポートを4月に終了することを発表し、さまざまな理由により暗号資産が支払いが以前ほど有用ではなくなったと語った。

当時同社は、取引確認にかかる時間が長くなり失敗率が高くなっていることや手数料が大幅に増大したことを指摘した。しかし、Stripeは暗号資産全体についてはまだ「非常に楽観的」であり、Lightningなどの高速決済が可能なプロジェクトには特に期待しているとも語っていた。他にも同社はOmiseGOなどの出現にも言及し、Ethereumベースの高い可能性をもつプロジェクトがいくつか進行中であることも語った。

そして、待つこと数年、Stripeは暗号化分野に再入場する。

Stripeのユーザー対応チームのEdwin Wee(エドウィン・ウィー)氏の投稿によると、StripeはWeb3の技術者とデザイナーを雇って新しい暗号資産チームを強化しようとしている。Stripeは自社のビジョンについて説明しようとしなかったが、ウィー氏の投稿は会社が現在の市場をどう見ているかの見解を少しだけ明らかにした。

「暗号資産は決済を高速かつ安価にする可能性をもっています、特に未開拓市場では」と彼は書いた。

「2018年に当社は、Stripeは『将来暗号資産をサポートして顧客の役に立つ機会を伺っている』と言いました。今がその時です」とウィー氏は語った。

新しいチームはStripeのエンジニアリング責任者Guillaume Poncin(ギヨーム・ポンシン)氏が率い、同氏も求人に関する投稿をしている。現在提示されている暗号化エンジニア職はニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル、およびリモートの計4名だが、全部で何人雇用するつもりかは発表されていない。

950億ドル(約10兆7850億円)企業が再び暗号化に手を出すことに問題はないが、Stripeの幅広い企業戦略にとってこの発表がどれほどの位置を占めるのかは現時点でわかっていない。

関連記事:決済サービスStripeが評価額10兆円超で約655億円調達、欧州事業の拡大に注力

しかし、暗号決済の市場はStripeが2018年に撤退して以来激化している。数々の暗号決済スタートアップがこの分野に進出し、大型ブランドや小売業で広く受け入れられているだけでなく、最近では決済の巨人であるPayPal(ペイパル)も暗号資産活用に本格的に乗り出している。

2020年11月、PayPalは米国の全ユーザーが同プラットフォーム上で暗号資産の購入、保有および売却が可能になったことを発表した。最近同社は海外市場へも拡大し、決済アプリのVenmo(ベンモ)でも利用できるようにした。さらに重要なのは、米国消費者がどこのPayPal対応店舗でも暗号資産を使ってチェックアウトできる機能を公開したことで、オンライン決済で暗号資産を使う可能性を著しく拡大した。

関連記事
PayPalは英国にまで暗号資産の購入、所有、売却のサポートを拡大
PayPalが暗号資産でオンライン精算できる新機能を導入、まずは米国で

他にも、暗号資産交換所のBinance(バイナンス)が、Eコマースの巨人Shopify(ショッピファイ)と暗号決済で提携し、Coinbase(コインベース)は、消費者の利用の伸びを受け、PayPal(ペイパル)やApple PayおよびGoogle Payの統合を通じて、暗号資産の購入や消費を使いやすくした。

ちなみに「恵まれない」市場における暗号資産の可能性を考えているのはStripeだけではない。2021年夏、Square(スクエア)は、投資する1億ドル(約113億6000万円)のうち2500万ドル(約28億4000万円)を少数コミュニティや恵まれないコミュニティに割当て、500万ドル(約5億7000万円)をSquare、Inc Bitcoin Endowmentに寄付することを発表した。

「信用履歴がないために銀行口座を開けない人々や銀行の利用が難しい地域に住む人々、歴史的に差別を受けてきた人々のために、Bitcoinは公平な場を作り、より包括的な未来を生み出す力になります」とSquareは語っていた。おそらくStripeも同じ意見だろう。

画像クレジット:Dan Kitwood / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Salesforceがインドの決済ユニコーンRazorpayに投資、世界2位のネット市場インドへの戦略的投資続く

2021年4月の資金調達ラウンドでの評価額が30億ドル(約3285億円)だったベンガルールを拠点とする創業6年のフィンテックRazorpay(レーザーペイ)は、またも著名投資家を獲得した。Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)だ。

Razorpayは米国時間9月20日、米大企業Salesforceのベンチャー部門から「戦略的出資」を受けたと明らかにした。資金は「ビジネス取引向けの銀行業務分野でプレゼンスをさらに高める」のに役立つ、とRazorpayは述べた。

Razorpay、Salesforce Venturesいずれも出資の規模は明らかにしなかったが、Sequoia Capital Indiaの支援を受けているRazorpayは、今回の取引が「業界に効果的に貢献し、今後12カ月で十分なサービスが提供されていない零細事業者にサービスの浸透と経済成長をもたらす」と話した。

Razorpayは零細事業者や企業やのためにオンラインでお金を受け取ったり処理したり、支払ったりしている。つまり、Stripe(ストライプ)が米国やその他いくつかの先進国マーケットで行っているすべてのことを引き受けている。しかしRazorpayはそれ以上のものを提供している。同社は近年、法人クレジットカードを発行するためにネオバンキングプラットフォームを立ち上げた。また、事業運転資金も提供している。

世界の大企業Stripeがまだインドに進出していない中で、Razorpayは業界リーダーになるまでに成長し、東南アジアマーケットへ事業を拡大し始めた。

「Razorpayは、インドのデジタルの未来に投資し、新世界のために賢い決済・バンキングインフラを構築するというアイデアをさらに前進させたいと考えています。Salesforce Ventures、Salesforceとインドでさらに広範に提携することをうれしく思います」とRazorpaymp共同創業者でCEOのHarshil Mathur(ハーシル・メイサー)氏は述べた。

「この資金は、既存投資家からのサポートとともに、手間要らずで統合が簡単な決済・バンキングエクスペリエンスのためのエコシステムを構築するのに役立ちます。当社はまた、事業を拡大して新プロダクトを構築し、このエクスペリエンスを東南アジアの事業者にも届けることを願っています」。

今回の取引はSalesforce Venturesにとってインドのスタートアップへの2回目の投資となる。同社は2021年初め、ハイデラバードを拠点とするDarwinboxの1500万ドル(約16億円)の資金調達ラウンドをリードした

関連記事:Salesforce主導でインドのHRプラットフォームDarwinboxが15.6億円調達、アフリカ進出も検討

「『現金決済の機会がより少ない』経済に向けた動きはパンデミックで加速しました。デジタル決済における2020年の急速な成長はテクノロジーイノベーションの扉を開け、Razorpayは多くのeコマース事業者に選ばれる企業として頭角を現しました」とSalesforce Indiaの会長兼CEOのArundhati Bhattacharya(アルンダティ・バッタチャリヤ)氏は述べた。

「インドだけでなくグローバルでデジタル金融を変革させようとしているRazorpayをサポートすることを楽しみにしています」と2020年Salesforce Indiaに加わったばかりのバッタチャリヤ氏は付け加えた。

1年前にユニコーンになったRazorpayはこのところ毎月40〜45%成長しているという。情報筋によると、同社は現在、新たな資金調達ラウンドを計画しており、現在を大幅に上回る評価額を交渉している。

Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)などを含む多くの大企業が、世界第2位のインターネット市場であるインドへの戦略的投資を追求し始めた。Microsoftはインドの格安ホテルチェーンOyo(オヨ)と戦略的取引を結んだと2021年9月、明らかにしている。

関連記事:マイクロソフトがインドのOyoへの出資を正式発表、旅行・ホスピタリティ製品の共同開発へ

Tiger Global、Falcon Edge Capital、Temasek、SoftBank Vision Fund 2、Coatue Managementといった数多くの著名なグローバル投資家がインドでの投資のペースを加速させているのにともない、インドは2021年これまでに過去最多となるユニコーン27社を生み出し、2020年の11社を上回っている。そしてユニコーンのリストは増え続けている。また、先にTechCrunchが報じているように、a16zのインド暗号資産スタートアップCoinSwitch Kuberへの投資の交渉はかなり進んでいるという

画像クレジット:Razorpay

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

石油・ガス大手BPの投資部門BP Venturesが車内決済プロバイダーRydに13億円出資

石油・ガス大手BPの投資部門であるBP Venturesは、ドイツの車内デジタル決済プロバイダーであるRyd(ライド)に1000万ユーロ(約13億円)を出資すると発表した。声明によると、この新たな資金は、Rydが国外の市場に参入し、提供するサービスを充実するために使用する。

Rydのサービスでは、同社のアプリやスマートカーシステムと統合すると、ユーザーは燃料の購入、EV充電、洗車などのサービスの対価をオンラインで一括して支払うことができる。BPはすでに英国とオランダで、BPmeアプリを通じてデジタル決済の選択肢を提供している。BPは、Rydへの出資と同社との提携により、Rydの安全で柔軟なデジタル決済サービスに学びつつ、自社のデジタルサービスを拡大していきたいと考えている。Rydは、同社の技術を欧州全体のBPの顧客に提供することで、利益を得ることができる。

「車内デジタル決済は、顧客が当社の小売店に期待するシームレスで便利な体験に不可欠な要素です」とBPの欧州・南アフリカ地域のモビリティ&コンビニエンス担当上級副社長であるAlex Jensen(アレックス・ジェンセン)氏は話す。「Rydの技術は、まさにそれを実現するのに役立ち、しかも増えつつあるサービスの幅にも対応しています」。

これは、BPがスマートビークル分野で行う最初の投資ではない。そして、おそらく最後の投資になる可能性も低い。6月には、IoTechaに700万ドル(約7億7000万円)を投資した。IoTechaは、IoTを利用して充電器を電力網に接続し、充電料金の支払いを自動化するスマートEV充電会社だ。こうした戦略的な投資は、最終的にBP Venturesのエコシステムを強化することになる。このエコシステムは、BPが総合エネルギー企業として生まれ変わる力になるとともに、二酸化炭素排出量の削減にも貢献する狙いがある。

Rydは現在、7カ国3000カ所の提携サービスステーションで利用可能だ。また、140万人の直接の顧客に加え、Mastercard(マスターカード)や複数の自動車メーカーとの提携により、最大1億人の顧客にアクセスできる。コネクテッドカーのデータ市場は、2030年までに世界全体で190億ドル(約2兆900億円)に達し、また、燃料以外の小売市場は同年までに世界全体で2850億ドル(約31兆3500億円)に達すると予想されていることから、同社は現在、より多くの車に同社の技術を組み込む戦略に力を入れている。

「Rydは、手間がかからず安全な自動車とのインタラクションを実現したいと考えています」とRydの創業者で会長のOliver Goetz(オリバー・ゴエス)氏は声明で述べた。「BPは、私たちにとってパズルの最後のピースであり、金融、自動車、エネルギーのすべての事業分野における強力な戦略的パートナーとともに、私たちのエコシステムを完成させてくれます。BPは、数千万人のドライバーが、自動車のデータとガソリンスタンドなどの決済システムの両方に接続されたダイレクトデジタル決済システムに移行すると予想しています。この新しい決済方法は、より速く、より簡単で、より快適です。Rydは、欧州におけるこの動きをリードしていきます」。

RydのCEOであるSandra Dax(サンドラ・ダックス)氏によると、同社は2021年第4四半期にBPのガソリンスタンドで初の稼働を見込んでいる。

画像クレジット:REUTERS/Arnd Wiegmann

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

デジタル障害者手帳「ミライロID」で障害者割引チケットのオンライ購入が可能に、第1号としてガンバ大阪が導入

デジタル障害者手帳「ミライロID」で障害者割引チケットのオンライ購入が可能に、第1号としてガンバ大阪が導入開始

ミライロは6月28日、2033事業者(2021年5月31日時点)が対応するデジタル障害者手帳アプリ「ミライロID」(Android版iOS版)で障害者割引チケットをオンライン購入できる「ミライロチケット」サービスの提供開始を発表した。

これまで、障害者割引を受けようとすると、チケット販売窓口で手帳を提示する必要があった。それには時間がかかり、新型コロナなどの感染リスクも高まる。なにより、オンライン購入ができないという不便さがあった。日本政府は、2021年6月18日「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定し、「障害者の負担軽減や均等な機会の提供のため、オンラインによる施設等の障害者割引入場券の予約・購入等への対応について、民間事業者等に対して要請を行う」とした。これを受けてミライロは、「ミライロチケット」の提供に至ったという。

ミライロIDに障害者手帳を登録している人なら、クレジットカードで障害者割引チケットが購入できる。イベント会場入場時は、スマートフォンの画面にチケットを係員に表示して、「入場確認」アイコンをタップするだけでよい。第1号として、7月11日からガンバ大阪が「ミライロチケット」の対応を開始し、「ミライロID」で観戦チケットが買えるようになる。

ジタル障害者手帳「ミライロID」で障害者割引チケットのオンライ購入が可能に、第1号としてガンバ大阪が導入開始

なおミライロでは、「障害者」を「障がい者」とは表記しない方針をとっている。コンピューターの画面読み上げでは「さわりがいしゃ」と読まれてしまうことがあるためだ。「障害は人ではなく環境にある」との考えから、「漢字の表記のみにとらわれず、社会における『障害』と向き合っていくことを目指します」とのことだ。

関連記事
質と量で世界初、工学院大学が約6360手話単語と10テーマ10件の対話を収録した高精度3D日本手話データベースを提供開始
ホンダ新事業創出プログラムIGINITION第1号のAshiraseが5000万円調達、視覚障がい者向け単独歩行ナビを2022年度製品化
障害者手帳アプリ「ミライロID」やユニバーサルデザインのソリューションを提供するミライロが資金調達
ユニバーサルデザインのソリューション提供や障害者手帳アプリ「ミライロID」のミライロが2.8億円調達
オリィ研究所が分身ロボット利用の新しい働き方を開拓するプロジェクト公開、パイロットを募集

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:アクセシビリティ(用語)インクルージョン(用語)オンライン決済(用語)ダイバーシティ / 多様性(用語)ミライロ(企業)日本(国・地域)

スマホ利用の非接触チェックインが可能な宿泊施設向けaiPassでオンライン決済可能に、VeriTrans 4Gとの連携で実現

スマホ利用の非接触チェックインが可能な宿泊施設向けシステム「aiPass」がオンライン決済可能に、「VeriTrans 4G」との連携で実現

スマートチェックインなどで宿泊施設のDX化を支援するスマートオペレーションサービス「aiPass」(アイパス)を提供するCUICIN(クイッキン)は5月25日、デジタルガレージ・ファイナンシャルテクノロジー(DGFT)の総合決済サービス「VeriTrans 4G」と連携し、aiPassでのオンライン決済を可能にするサービスの提供開始を発表した。

DGFTは、インターネット関連の決済・マーケティング・投資などを行うデジタルガレージの子会社。CUICINは2020年、デジタルガレージが主催するインキュベータープログラム「Open Network Lab」の第20期」に参加したことから、同社より様々なサポートを受けており、VeriTrans 4Gを導入すればaiPassでのスムーズな支払いに加え、非対面・非接触の対応を可能にする宿泊施設のDX化を促進できるとの期待から、今回の提携に至った。

aiPassでは、顧客分析・混雑予測・スマートキーなど、宿泊業の「マーケティング」「ホスピタリティー」「業務効率化」に関する作業のデジタル化をプラグインの形で提供し、導入業者が自由に組み合わせて使えるようにしている。新たな決済機能は、業務効率化プラグインのひとつとして追加された。

宿泊施設は、システムの改修や新たな設備の導入などを行うことなく、この決済システムを利用できるようになる。一方、宿泊客は、aiPassのユーザーアカウントにクレジット番号を登録するだけで、予約から決済までをフロントを介することなく行えるようになる。

ここで使われているVeriTrans4Gの「PayNowID」機能では、ひとつのユーザーIDを、複数のサービスに共通して使える共有IDとして設定されるため、ユーザーはひとたびクレジット番号を登録すれば、他のサービスでも簡単に決済できるようになる。

例えばホテル周辺の提携店舗を利用した際には、ホテルのチェックアウト時に宿泊代とまとめて支払いを行える。また、複数の宿泊施設を運営する業者や、オンラインと実店舗でのオムニチャンネルを展開する小売業者なども、ひとつのユーザーIDで決済が可能になるため、オンライン決済やキャッシュレス決済の導入と運用の負荷が大幅に軽減される。

現在CUICINでは、自治体などと連携し、地域の宿泊施設、飲食店、店舗で横断的に利用できるキャッシュレスサービスの展開を進めている。地域活性化を支援し、宿泊観光業のDXを加速して「価値ある旅行体験を提供」すると同社は話している。

関連記事
スマホ見せればチェックイン、宿泊業界のDXに新たな風をもたらすクイッキン
スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達

カテゴリー:フィンテック
タグ:オンライン決済(用語)クイッキン(企業)ホテル・宿泊(用語)日本(国・地域)

スマホ利用の非接触チェックインが可能な宿泊施設向けaiPassでオンライン決済可能に、VeriTrans 4Gとの連携で実現

スマホ利用の非接触チェックインが可能な宿泊施設向けシステム「aiPass」がオンライン決済可能に、「VeriTrans 4G」との連携で実現

スマートチェックインなどで宿泊施設のDX化を支援するスマートオペレーションサービス「aiPass」(アイパス)を提供するCUICIN(クイッキン)は5月25日、デジタルガレージ・ファイナンシャルテクノロジー(DGFT)の総合決済サービス「VeriTrans 4G」と連携し、aiPassでのオンライン決済を可能にするサービスの提供開始を発表した。

DGFTは、インターネット関連の決済・マーケティング・投資などを行うデジタルガレージの子会社。CUICINは2020年、デジタルガレージが主催するインキュベータープログラム「Open Network Lab」の第20期」に参加したことから、同社より様々なサポートを受けており、VeriTrans 4Gを導入すればaiPassでのスムーズな支払いに加え、非対面・非接触の対応を可能にする宿泊施設のDX化を促進できるとの期待から、今回の提携に至った。

aiPassでは、顧客分析・混雑予測・スマートキーなど、宿泊業の「マーケティング」「ホスピタリティー」「業務効率化」に関する作業のデジタル化をプラグインの形で提供し、導入業者が自由に組み合わせて使えるようにしている。新たな決済機能は、業務効率化プラグインのひとつとして追加された。

宿泊施設は、システムの改修や新たな設備の導入などを行うことなく、この決済システムを利用できるようになる。一方、宿泊客は、aiPassのユーザーアカウントにクレジット番号を登録するだけで、予約から決済までをフロントを介することなく行えるようになる。

ここで使われているVeriTrans4Gの「PayNowID」機能では、ひとつのユーザーIDを、複数のサービスに共通して使える共有IDとして設定されるため、ユーザーはひとたびクレジット番号を登録すれば、他のサービスでも簡単に決済できるようになる。

例えばホテル周辺の提携店舗を利用した際には、ホテルのチェックアウト時に宿泊代とまとめて支払いを行える。また、複数の宿泊施設を運営する業者や、オンラインと実店舗でのオムニチャンネルを展開する小売業者なども、ひとつのユーザーIDで決済が可能になるため、オンライン決済やキャッシュレス決済の導入と運用の負荷が大幅に軽減される。

現在CUICINでは、自治体などと連携し、地域の宿泊施設、飲食店、店舗で横断的に利用できるキャッシュレスサービスの展開を進めている。地域活性化を支援し、宿泊観光業のDXを加速して「価値ある旅行体験を提供」すると同社は話している。

関連記事
スマホ見せればチェックイン、宿泊業界のDXに新たな風をもたらすクイッキン
スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達

カテゴリー:フィンテック
タグ:オンライン決済(用語)クイッキン(企業)ホテル・宿泊(用語)日本(国・地域)

オンライン決済各社への巨額投資が続くなかFastが105.8億円調達

米国時間1月26日、オンラインチェックアウトと個人認証サービスを提供するスタートアップのFast(ファスト)がシリースBラウンドで1億200万ドル(約105億8000万円)調達したことを発表した。ラウンドをリードしたのはFastの既存の出資者であるStripe(ストライプ)だ。

オンライン決済の巨人であるStripeは2020年のシリーズAもリードしており2000万ドル(約20億7000万円)を出資した。Fastはこれまでに1億2400万ドル(約128億6000万円)調達したとリリースでは述べられている。

TechCrunchはFastに同社の成長ペースについてコメントを求めた。同社のチェックアウトサービスが処理した流通取引総額(GMV)は「毎月3倍以上増えている」と話し、「この傾向は今後も続き伸びていく」と予測していることをつけ加えた。この成長ペースを評価することは、基準がわからないので難しいが、Fastから得た将来のGMVの予測から評価することはできる。

Fastの並外れたシリーズBは、ライバルである数多くのオンラインチェックアウト企業の大型ラウンドに続くものだ。

2020年12月にオンラインチェックアウト、認証、決済サービスを提供するBolt(ボルト)がシリーズCラウンドで7500万ドル(約77億8000万円)を追加調達した。同社は他にも成長指標の数値を共有しており、TechCrunchは現在の規模や将来業績の予測する手がかりを得ている。

そして2021年1月半ばにはCheckout.comが4億5000万ドル(約466億8000万円)を調達、評価額は150億ドル(約1兆5660億1000万円)だった。当時TechCrunchは、「Checkout.comは取引の受けつけから処理、詐欺の検出まで決済に関するすべてを扱うワンストップサービスになりたがっている」と書いた。つまりBoltと同様、Fastの提供するサービスの一部と競合している。

そして、その翌日Rapyd(ラピッド)が評価額25億ドル(約2593億5000万円)で3億ドル(約311億2000万円)調達したことを発表した。RapydはフィンテックサービスをAPI経由で提供しているとTechCrunchでは書いているが、国際的なeコマース決済を行い不正防止技術の販売も行っていることからこのグループに入ると思われる。

Fastは最新のシリーズBラウンドに加えて、202012月以降、(少なくとも)9億2700万ドル(約961億6000蔓延)がeコマースインフラ市場にひしめくスタートアップに流入している。これはBoltのラウンド以降、1日あたり2600万ドル(約27億円)弱にあたり、短期間で巨大な金額の資金が集まったこととなる。

なぜ企業はそれほど矢継ぎ早に資金を調達しているのか?最もわかりやすい答えは、eコマースはあまりにも巨大であり世界経済にとってあまりにも重要なので、オンラインの商品販売体験を売り手にとっても買い手にとっても改善することは、多くのプレイヤーが参入する余地のある問題のある空間だということだ。オンラインコマースを解決するレースにいる多くのスタートアップが資金を調達していることは、いずれの企業も、現在のところ強力な成長率を享受していることを示唆しており、それはまた彼ら全員が成長を望んでいる巨大な市場であることの可能性を示唆している。

そして新型コロナウイルス(COVID-19)がeコマースを活性化させ、世界経済のデジタル化を加速させていることを考えると、こうしたテクノロジーが近いうちに市場規模の制約を受けることは否定できない。

関連記事:オンラインチェックアウトの支配をめぐる戦いが続く中、BoltがシリーズCで78億円を追加調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Fastオンライン決済資金調達

画像クレジット:picture alliance / Getty Images

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook