物流業務プラットフォームの「オープンロジ」が約17.5億円のシリーズC調達、人材採用強化

物流業務プラットフォームの「オープンロジ」が約17.5億円のシリーズC調達、人材採用強化

物流業務プラットフォーム「オープンロジ」を展開するオープンロジは10月22日、シリーズC資金調達の第1回クローズを完了し、第三者割当増資およびデットファイナンスにより、総額約17.5億円資金調達を発表した。

引受先は、シニフィアンKID、新生ベンチャーパートナーズ1号投資事業有限責任組合、住友商事、Logistics Innovation Fund投資事業有限責任組合(セイノーホールディングスがアンカーLP)、ペガサス・テック・ベンチャーズ(双日CVC)、千葉道場2号 投資事業有限責任組合。主な借入先は、あおぞら企業投資、商工組合中央金庫、日本政策金融公庫、みずほ銀行、りそな銀行。

今回ラウンドを受けた累計調達金額は約27.5億円。引き続きその他投資家からも資金調達を進め、2020年12月末に同ラウンドを完了する予定。

調達した資金は、主としてサーバーサイド、機械学習に関わるソフトウェアエンジニアを中心とした人材採用、プロダクト開発に充当する予定で、物流業界内外からも広く人材を募り組織基盤の強化に取り組む。

またオープンロジは、今回の出資を通じて広範なステークホルダーを獲得し、国内外の商流において広域かつ豊富なネットワークを有する総合商社(住友商事、双日、ファンドを通じて出資済みの伊藤忠商事を含む)、国内有数の大手物流企業であるセイノーホールディングス/西濃運輸といった国内有力事業会社とのアライアンスを強化。インターネットからリアル空間を横断するテクノロジーを活用し倉庫や配送をネットワーク化し、データとアルゴリズムによってモノの動きをよりスムーズに最適化する「フィジカルインターネット」の実現に向け、さらなる事業拡大を進めていく予定。

このフィジカルインターネットとは、ジョージア工科大学フィジカルインターネットセンターのブノア・モントルイユ教授が提唱した概念。「相互に結び付いた物流ネットワークを基盤とするグローバルなロジスティクスシステム」と定義されている。従来のハブ・アンド・スポークの物流システムに代わるシステムとして、情報の流通において革新をもたらしたインターネットの概念を応用し、物流の課題を解決するアプローチを指すという。

2013年12月設立のオープンロジは、「テクノロジーを使い、サイロ化された物流をネットワーク化し、データを起点にモノの流れを革新する」をビジョンに掲げ、物流フルフィルメントプラットフォーム「オープンロジ」を提供。

このオープンロジは、独自の倉庫管理システムを通じた提携倉庫のネットワーク化、標準化した仕様とオペレーションによる物流業務の効率化と一元化を実現しており、固定費ゼロ・従量課金で利用可能なサービスとして展開。2020年9月末時点で利用企業数は約8000社、提携物流会社は40社以上にのぼるという。

主に倉庫事業者向けに提供している「OPENLOGIプラットフォームコネクト」では、荷主企業と倉庫事業者の間の面倒な業務のやり取りをウェブアプリ上で、効率化・一元化、自動化する機能を搭載している。

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カテゴリー: ネットサービス
タグ: オープンロジ資金調達日本

メルカリがオープンロジと「あとよろメルカリ便」を開始、ヤマトと無人配送拠点「メルカリポスト」を設置

メルカリは2月20日、事業戦略などを説明する同社初の事業戦略発表会「Mercari Conference 2020」を開催した。メルカリ初のリアル店舗「メルカリステーション」をマルイとの協業で新宿マルイ本館にオープンすることを発表したが、それに続いて2つの大きな発表もあった。

その1つが、オープンロジと連携した「あとよろメルカリ便」。メルカリに出品した売れる前の商品の保管、売れた後の梱包・発送をすべて任せられるというサービスだ。

さらにヤマト運輸との連携で無人配送拠点「メルカリポスト」を設置することも発表した。これはメルカリで売れた商品を投函するだけで発送できる無人投函ボックスで、今夏よりコンビニなどに設置される予定だ。なお初の実機が設置されるのは、メルカリ初のリアル店舗「メルカリステーション」をマルイとの協業で新宿マルイ本館となる。

ヤマト運輸ではそのほか、「大型らくらくメルカリ便」を近日中にリニューアルし、発送できるサイズを拡充、非対面発送などの発送・受け取り方法の最適化、伝票レスなどを進めていくという。

「AND MORE」としてパナソニックとの連携も発表された。共同開発を進めるのは、ヤマトと連携して展開するメルカリポストの進化版「メルカリポストプラス」だ。メルカリポストプラスは、自動採寸や顔分析(デモモードとして提供予定)、無人レジ、無人発送投函などの機能を備えるワンストップの端末となる。

ファンクラブ誰でも運営アプリ「fanicon」にチケット・グッズ販売機能が加わる

THECOOは、同社が運営するファンコミュニティアプリ「fanicon」に、チケット(ファニチケット)とグッズ(ファニマーケット)の販売機能を追加した。faniconは、会員制のファンコミュニティアプリ。ヴィジュアル系ロックバンドの「シド」でヴォーカルを務めるマオ、AKB48やSKE48で活躍した元メンバーの木﨑ゆりあなどをはじめ、1000グループ以上のファンコミュニティが運営されている。

特徴は、すべてのコミュニティが有料会員しか利用できない点。月額料金は、各コミュニティが100円から1万円までの11段階の価格から決められるほか、無料期間を7日間もしくは1カ月に設定可能だ。アプリには、限定のライブ配信、グループチャット、1on1トーク、タイムライン投稿などの機能があるが、有料会員限定なのでノイズやネガティブな発言に悩まされることが少なく、気軽にファァンクラブを運営できる。

同社代表取締役CEOの平良真人氏によると「一般的なファンクラブは3000〜5000人ほどが集まらないと運営が厳しいが、ネットを活用するfaniconを使えば100人程度でも十分にコミュニティを運営できる」とのこと。実際に、ライブや舞台を中心に活動しているミュージシャンや俳優など、テレビでは普段見られないが熱狂的なファンがいる人物のコミュニティが多数ある。

今回追加されたファニチケットは、手数料3.0%からチケットを販売できる機能。オフ会やライブのチケットをコアファンに優先的に提供することが可能だ。もちろん、どういったファンがチケットを購入したかをファンクラブの主催者本人が把握できる。チケット販売は、「ローソンチケット」「チケットぴあ」「イープラス」と連携しているので、その後にチケットを一般販売する際の移行もスムーズだ。

もう1つの新機能であるファニマーケットは、手数料1.5%でオンラインストアを開設できる機能。ファンクラブがマネタイズするために不可欠な、Tシャツやマグカップ、クリアファイルなどの限定グッズの販売などが可能になる。在庫管理や発注・発送はもちろん、グッズの作成までをfaniconに委託することもできる。こちらも購入したファンの情報を主催者本人が把握できるのがポイントだ。商品の発送には、固定費なしの従量課金で利用できる物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を利用可能だ。

既存機能としては、ポイント制のスクラッチ機能がある。3等は限定画像、2等はオリジナルボイス、1等はランチ会といった景品を指定して、コアファンの満足度高める施策を打てる。そのほか、東京都・神宮前になる同社の本社オフィスの半分程度占めるイベントスペースを無料で借りられるので、オンラインとオフラインを融合したファンクラブ運営が可能になる。

faniconは、有料会員の月額料金から手数料をとるマネタイズ手法で、通常は10%を超えると言われるチケットやグッズの販売手数料を低く抑えているのが特徴だ。主催者であるアイドルや俳優、声優などがファンの行動や購買の履歴までを把握できるので、一緒にファンクラブを盛り上げているのが強みだ。平良氏は「faniconを使えば、地元の料理人などコミュニティも簡単に作れます」とのこと。テクノロジーの進化によって、スマートフォン1台でファンクラブを運営できる時代になったのだ。

課題多き物流業務をITで効率化、5000社が使うオープンロジがシニフィアンとタッグで体制強化へ

左からシニフィアン共同代表の小林賢治氏、同じく朝倉祐介氏、オープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏、シニフィアン共同代表の村上誠典氏(Photo credit : 疋田千里)

近年Eコマースが急速に発展する一方で、それを支える基盤とも言える物流業界では人手不足や非効率なオペレーションなど多くの課題が浮き彫りになっている。今まではマンパワーを投下することでなんとか対処できていたことも、人手が確保できなくなれば維持できなくなるかもしれない。

だからこそ、テクノロジーを活用した解決策への期待も大きい。自動運転技術やロボティクスを活用した配送や倉庫業務の自動化、ビッグデータを用いたラストワンマイル配送の最適化など様々なアプローチでこの業界に挑むスタートアップが国内外で登場してきている。

オンライン上で物流業務をアウトソーシングできるプラットフォームを展開するオープンロジも、課題多き物流業界をITで変えようとしている1社だ。2014年にスタートした「オープンロジ」は年々着実に導入社数を増やし、今では5000社を超える企業が活用する物流基盤になっている。

そのオープンロジは2月7日、さらなる事業成長を見据えてシニフィアンと資本業務提携を締結したことを明かした。

シニフィアンは元ミクシィ社長の朝倉祐介氏、元ディー・エヌ・エー取締役の小林賢治氏、元ゴールドマン・サックスのバンカーである村上誠典氏が共同で立ち上げた企業。3人の知見や経験を活かして未上場スタートアップや新興上場企業の経営支援を行っており、直近ではFOLIOVISITS Technologiesとも資本業務提携を結んでいる。

今回シニフィアンではオープンロジへ資本参加し、これからの事業拡大や先々の海外展開の支援も見据えて、組織体制や管理体制の強化、資本政策のサポートなどを実施していく計画だ。

面倒な物流業務をオンライン上で手軽にアウトソーシング

オープンロジは商品の入庫から在庫の管理・保管、出庫までを含めた一連の物流業務をオンライン上で手軽にアウトソーシングできるプラットフォームだ。

一般的に倉庫会社と契約する場合、そもそも導入までに発生する手間と時間がネックになる。問い合わせや個別の見積もり後にシステム調整などの作業が発生し、1ヶ月以上かかることも珍しくない。加えて日々の出荷作業や在庫確認などの物流業務は、特に中小のEC事業者にとって“メインの業務ではないにも関わらず”大きな負担となっていた。

オープンロジではこのような「物流のめんどくささ」を、倉庫事業者とのネットワークと独自開発したシステムを軸に解消する。

時間のかかる打ち合わせや見積もりは一切なく、会員登録さえすればすぐに1点から物流業務のアウトソーシングを依頼できる仕組みを構築。商品情報の入力、入庫依頼の作成を済ませて倉庫に商品を送れば、手元のスマホやPCからいつでも在庫管理や出庫依頼が可能だ。

低価格でわかりやすい料金体系も特徴のひとつ。オープンロジはスペース単位ではなく、預けた商品1点ごとに料金を支払う従量課金制を採用している。倉庫の利用料金は一律18円の入庫料に、商品サイズごとの保管料を加えたもの。配送時には別途サイズごとの配送料を払えばOKだ。

オプションとして海外配送などにも対応。初期費用やシステム利用料は必要ない。

シンプルでわかりやすい料金体系はオープンロジの特徴のひとつだ

直近の1年ほどではECサイトとのAPI連携を含めたユーザー体験の向上に繋がる施策や、海外展開に向けた取り組みにも力を入れてきた。

「Yahoo!ショッピング」や「Shopify 」、ECサイト一元管理システムの「GoQSystem」などとのAPI連携を通じてEC事業者がより便利に使える環境を整備。「STORES.jp」とは業務提携を結び、利用者向けに商品保管・配送代行を行う「倉庫サービス」も提供している。

API連携以外でも、オフィスや店舗にも在庫を抱えているユーザー向けにスマホ向け在庫管理サービスをリリース。日本のEC事業者の海外向け販売(越境EC)をサポートする目的で国際転送サービスのイーバイグローバルとはパートナーシップも締結した。

将来的な海外展開に向けた取り組みとしてはインドネシアで物流プラットフォームの実証実験を実施しているほか、ジェトロの支援プログラムを通じて中国・深センでの展開も見据える。

オープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏いわく「事業者が抱える物流業務の課題はグローバルで共通するもの」であり、例えばインドネシアなどは日本以上にアナログな面や、倉庫会社・配送会社の効率化が進んでいないような部分も多く、確かなニーズを感じたという。

荷主だけでなく倉庫会社もエンパワーする仕組み

冒頭でも触れた通り、現在オープンロジの導入社数は5000社を超える。当初からのメインターゲットである中小事業者を中心に、近年は大規模な企業も増加。C2Cの小口取引や購入型クラウドファンディングの商品発送時での利用が進んでいるほか、越境ECや海外ユーザーなど国を超えた取引も活発だ。

「従量課金制で、なおかつスケーラブルな仕組みである点に対して特に反応が良い。売り上げが上がって規模が大きくなるほど物流業務の負担も大きくなり、事業を成長させる上での足枷にもなる。自前でやるのに限界を感じて頼っていただけるケースも多い」(伊藤氏)

伊藤氏によるとアメリカなどでは物流業務をアウトソースすることも珍しくないそうだが、日本ではまだその文化がスタンダードにはなっていない。2014年からサービスを続ける中で徐々に口コミが広がり、近年ようやく風向きが変わり始めてきたという。

サービスの成長とともに変化が起こっているのは荷主側だけではない。オープンロジのビジネスにおいては倉庫会社とのネットワークが不可欠になるが、この倉庫会社においても利用の仕方が変わってきている。

「最初はシェアリングのような文脈で、(オープンロジを通じて)倉庫の空いているスペースを有効活用できるというような形でスタートしていたが、収益性が良いのでだんだんとオープンロジ用にスペースを借りたり、拡大したりといった例が増えてきた」(伊藤氏)

オープンロジには倉庫のシェアリングの要素もあるが、単なるマッチングビジネスとは異なる。システムを活用した効率化や、これまでのナレッジを活かした最適なオペレーション設計など裏側の仕組みが強み。荷主だけでなく倉庫会社、配送会社それぞれの負担を軽減できることが付加価値であり、それがサービス拡大にも大きく貢献してきた。

「物のEC化率が今6〜7%と言われているが、これが2倍に成長する可能性は多いにある。同じようにドライバーやスタッフの数を2倍にできるかというと、そんなに簡単にはいかない。倉庫のロボット化なども注目を集めているが、まだ費用対効果が合わず人力で対処せざるを得ないのが現状だ。各プレイヤーが自助努力するだけでは限界があるからこそ、自分たちが荷主と配送の間に立っていろいろなオペレーションを一元化して『物の流れ』を変えていく必要がある。ラストワンマイルの配送の手前、上流工程のオペレーションを効率化するだけでも、配送側の負担を大きく減らせる」(伊藤氏)

シニフィアンの小林氏も「どこかのプレイヤーをディスラプトするというのではなく、荷主も倉庫会社、配送会社もエンパワーメントする仕組みがユニーク」だと話す。

今後も国内でEC化が進んでいくこを踏まえると、少なくとも物流ニーズが今より減ることは考えにくい。一方で業界にどんどん人が増えるイメージもなく「純粋なマンパワーで何とかすることもできないからこそ、各プレイヤーを巻き込んで上流から改善していくことが求められる」という。

「日本はEコマースの成長ポテンシャルがあるのに、物流が今の状態のままだと『物流がネックでEコマースが伸びませんでした』ということが起きてしまう。データ、テクノロジーを活用してきちんと最適化することが必要で、かつ柔軟性の高いサービスとして荷主に提供することが不可欠。すでに多くの企業が導入していることからも確実にニーズを掴んでいると考えている。(オープンロジとして)事業の急成長に伴い会社も一気に拡大するフェーズであり、今の打ち手が今後に大きく影響するからこそ、そこを支えていきたい」(小林氏)

まずは国内で絶対的な存在目指す

小林氏によると今回シニフィアンではSPV(Special Purpose Vehicle)と呼ばれるスキームを用いてオープンロジの株式を取得。すでにSPVを通して一定数の株式を保有しているほか、同ビークルを通じて追加の取得も計画しているという。

SPVは特定のプロジェクトやスタートアップに投資する目的で専用のファンドを組成し、そのファンドを通じて資金を提供する仕組み。国内では500 Startups JapanがSmartHRに15億円を出資した例などがあるが、この際は500 Startups Japanが組成したファンドに、東京海上日動火災や日宣らが参加した。

出資を受けるスタートアップとしては複数の投資家とのコミュニケーションに膨大な時間をかけずにすみ、外部の投資家も専用のファンドを介して急成長中の事業に出資できるのがSPVの特徴だ。

小林氏によるとSPVを用いた出資はすでにファーストラウンドをクローズ済みとのこと。今後はセカンドラウンドを予定していて、トータルの出資額は数億円前半を計画しているという。

オープンロジではシニフィアンのサポートも受けながら組織体制を強化し、今後国内外で物流プラットフォームをさらに拡大していく計画。「国内のマーケットだけでもかなりの規模になる。課題も多くやれることもたくさん残っていて、自分たちの地名度もまだまだ低い」と伊藤氏が話すように、まずは国内において絶対的な存在を目指す。

「誰もが安心して使える効率的な物流ネットワークを提供することでデータを軸に物の流れを整えて、物流から商流を変えるようなプラットフォームを目指したい」(伊藤氏)

オープンロジは2013年の創業。これまで2015年3月2016年5月2017年7月に資金調達を実施していて、累計の調達額は10億円に上る。サービスローンチ直後の2014年11月にはTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに参加し、審査員特別賞なども獲得した。