Linuxが主流のカオスエンジニアリングをWindowsで実現するGremlin

カオスエンジニアリングとは、システムのワーストケースのシナリオを作ってテストし、オペレーティングシステムが落ちる原因を事前に調べる作業だ。従来は、もっぱらLinuxのサーバーが対象だった。カオスエンジニアリングをSaaSとして提供しているGremlin(グレムリン)はWindowsのシステムで仕事をしているエンジニアが同様の実験ができる新たなツールをリリースした。

Gremlinの共同創業者でCEOのKolton Andrus(コルトン・アンドラス)氏によると「今年で創業4年目になる同社は、Linuxのサポートでスタートし、その後DockerのコンテナとKubernetesへ移行した。しかし、当時からWindowsのサポートを求める声が多かった。そこで同社は、Windowsのサポートも加えるべきと決断した」とのこと。

アンドラス氏は「『実は同じタイプのエラーであっても、オペレーティングシステムによって違う現象のように見える。違う対応をしなければならないのではないか』と思う。そして、それが盲点になる。そこでGremlinは、いろんな実験の1つひとつにプライオリティを付け、Windowsを使っている人たちが最も必要とするタイプの実験を上位に置く」と説明する。

「Windowsの場合上位に置くのは、顧客がコンピューターの前に座ったらすぐに使えることを期待する、一連の重要な能力だ」とのこと。そこで、GremlinのWindowsエージェントを使ってエンジニアは、シャットダウンやCPU、ディスク、I/O、メモリ、そしてレイテンシ攻撃を実験できる。実は、世界中のサーバーの3分の1はWindows上で動いている。しかしそれらのシステムをこのようにテストできる能力があるのは、自社のサーバーシステムを内製する能力のある企業に限られている。

GremlinがWindowsのためにやることは、同社がサポートしているほかのシステムと変わらない。どんな企業でもカオスエンジニアリングを利用して、システムのエラーを防げるようにする。新型コロナウイルスのパンデミックの間は、一部のシステムにトラフィックが集中して過負荷になることもあるので、ワーストケースシナリオにはその実験も入れて、システムが落ちたときでも原因を把握していることが重要だ。

GremlinのWindowsエージェントは、同社にとってサポートするオペレーティングシステムのレパートリーが増えるだけでなく、同社の収益源を広げる。経済の先行きが見えない今は、そのこともますます重要だ。

同社は、サンフランシスコで2016年に創業したスタートアップ。Crunchbaseのデータによると、これまでに2600万ドル(約28億円)あまりを調達している。その大きな部分である1800万ドル(未訳記事)は(約19億円)は2018年に調達した。

関連記事:カオスエンジニアリングの対象をKubernetesクラスターに拡張したGremlin

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa