ESGgoは企業のESG(環境、社会、ガバナンス)測定・分析を容易にするツールを提供

最近では、いくら倫理的に調達され、地元で生産され、持続的に育てられた魚の肉でも、ESG(環境・社会・ガバナンス)目標を達成せずに、企業の取締役会や年次報告書で振る舞うことはできない。しかし、目標を掲げて宣伝することは簡単だが、その目標に対して企業がどのような成果を上げているかを、実際に測定し、追跡することはずっと難しい。熱い空気と空約束に疲れた企業が、設定された目標を実際に実行することを容易にするために、ESGgoは登場した。同社はこのような状況を変えるためのソフトウェア群を開発し、700万ドル(約8億1000万円)を調達してランニングシューズを履き、本格的な活動を始めたところだ。

「ターゲットとしている顧客は企業です。基本的にはすでに株式を公開している会社や、あるいはこれから公開しようと考えている会社です」と、ESGgoのCEOで共同設立者のOrly Glick(オーリー・グリック)氏は説明する。

製品自体は、データ収集に焦点を当てたものだ。ESGgoは最初に話を聞いた50社から、そのために利用できるツールがないことを学んだからだ。現在、ほとんどのESGトラッキングは、スプレッドシートや共同のデータベースなど、非常に内密なシステムで行われていることがわかった。もちろん、外部の格付け機関は独自のツールを持っているかもしれないが、社内での使用には役に立たない。

「今のところ、ESGは口だけで行動がともわないという見方もある。ESGの重要性を説く経営者は何百人もいるが、いまだにESGのパフォーマンスを明確に理解するための普遍的なものさしがない」と、Bruce Dahlgren(ブルース・ダールグレン)氏は、2022年初めにTechCrunch+の記事の中で書いている。「それがなければ、何が正しくて何が間違っているのか、何が近視眼的な投資で何が有望な投資なのかを判断することは難しい」。

事業全体のESGに与える影響を完全に把握するために、GRIスタンダードやSASBスタンダードでは、組織全体で数百のデータポイントを追跡することを推奨している。データ収集は、だから特に重要であり、さまざまなデータソースから情報を収集し、照合、分析、報告することが必要だ。このデータを収集し、それを企業の目標に照らし合わせて測定することが、ESGgoの活動する領域となる。

「データ収集の人的側面、つまり、部門を越えて人の家をノックするところから情報を求めることを始めなければならないのは、楽しいことではありません。そこで、私たちのツールには、データそのものに加え、ワークフローを管理する機能も搭載しました。最終的に、私たちはすべてのデータの分析を行い、企業のESGの現状と過去のパフォーマンスを比較します。ギャップ分析や業界とのベンチマーキングを行うことで、同業他社や競合他社に対し、どのようにすればより良くなるかを確認できます。特に後者に関しては、AIによる最適化を行います」。

ESGgoは、イスラエルのベンチャー投資会社であるGlilot Capital(グリオット・キャピタル)の主導で、700万ドルの資金を非公開の評価額で調達した。

ESGgoアプリのダッシュボードのスクリーンショット

「Glilotはイスラエルでトップクラスのファンドであるだけでなく、優秀でグローバルなファンドです。運用経験、しかも厳格な運用経験を持つ、本当に剛毅な人々です。女性を登用し、驚異的な価値創造チームを擁しています」と、グリック氏は語る。「また、シリコンバレーから本当に非常に興味深いエンジェル投資家や、気候変動を本当に案じているトップテック企業も参加してくれました」。

現在、イスラエルとカリフォルニアにまたがる10人ほどのチームを率いているグリック氏は、Ido Green(イド・グリーン)氏と共同でこの会社を設立した。グリーン氏は、Google(グーグル)、 Netflix(ネットフリックス)、そして直近ではFacebook(フェイスブック)で、シニアレベルのエンジニアとして経験を積んできた人物だ。

「私たちは、ESGgoの初期のサポーターになれたことに興奮しています。オーリーはESG報告を改善するテクノロジーの使用についてすばらしい実績とビジョンを持っています。持続可能性と社会的責任への関心が、企業や投資家がリスクと機会を評価する方法を変えつつある今は、この破壊的ソリューションにとって絶好の時期です」と、Glilot Capitalの共同設立者兼マネージングパートナーであるKobi Samboursky(コビ・サンボアスキー)氏は述べている。「企業がESG姿勢を改善できるように支援することは、これまで以上に重要であり、オーリーは必要な変化を起こすのに絶好の人材です」。

今回調達したシード資金で、ESGgoはまず、イスラエルを拠点とするエンジニアリングチームから、雇用を加速させ、提供する製品の開発をさらに推進していくという。

画像クレジット:ESGgo

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏、テスラのカリフォルニア工場で組合投票を実施するよう全米自動車労働組合に挑む

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)がカリフォルニア州フリーモントの工場で全米自動車労働組合(UAW)が組合投票を行うことを阻止するために何もしないと述べた。マスク氏はツイートの中で、ベイエリアにおけるTeslaの真の課題は、求職者数より求人数が多いマイナスの失業率であり、そのため「(すばらしい)人々」をよく扱い、報酬を与えている、さもなければ彼らは去ってしまうだろう、と述べている。

マスク氏は、Biden(バイデン)大統領が一般教書演説でTeslaについて言及しなかったことを非難した際に、マスク氏の味方をしたKissのリード・シンガー、Gene Simmons(ジーン・シモンズ)氏に反応してこのツイートを投稿した。大統領は、Ford(フォード)とGeneral Mortors(ゼネラルモーターズ)が数十億ドル(数千億円)を投じて電気自動車を発売し、それによって何千人もの雇用を生み出していることを称賛しただけだった。Bloombergが指摘するように、大統領は労働組合の支持者であり、非組合員を抱えるTeslaを演説やインタビューの中でしばしば無視することがある。

マスク氏は、その後のツイートで、Teslaの工場労働者の報酬は自動車業界で最も高いと主張し、ソースとしてGMのMary Barra(メアリー・バーラ)CEOのインタビューを掲載した。そのインタビューでは、ニュースキャスターでジャーナリストのAndrew Sorkin(アンドリュー・ソーキン)氏が、Teslaの非組合員労働者は組合員労働者より多くの報酬を得ていると述べている。バーラ氏は、賃金だけでなく福利厚生も考慮しなければならないので、もっと情報を見なければならないが、ソーキン氏が言ったことは前回調べたときにはそうではなかったと答えている。

UAWは何年も前からTeslaの組合化に取り組んでおり、マスク氏は当初からそうした取り組みを批判してきた。2017年にフリーモントの労働者が劣悪な労働条件と低賃金を訴えたとき、マスク氏はUAWを攻撃すると同時に、要点を絞った手紙を従業員に送ったと伝えられている。彼は、組合の真の忠誠は「巨大な自動車会社にあり、従業員から会費で取る金はTeslaから稼ぐよりも莫大な額だ」と、述べている。

同年、全米労働関係委員会(NLRB)は、不当労働行為に関する苦情を調査した結果、同社を提訴した。NLRBによると、労働者はTeslaが組合結成について話し合えないような秘密保持契約を結んで「強制し、脅迫している」と述べた。2018年、NLRBは同社が組合活動家のRichard Ortiz(リチャード・オルティス)氏を解雇した際に労働法に違反したと認定し、逸失利益と福利厚生の補償を命じた。

また、労働委員会はマスク氏に対し、従業員への脅迫と思われるようなツイートの削除を命じた。このツイートでマスクは、同様に組合結成への取り組みを呼びかけていた。「我々の自動車工場のTeslaチームが組合に投票することを止めるものは何もない。彼らが望めば、(明日にでも)そうすることもできる」と彼は書いた。しかし、彼はこうも言っている。「だが、なぜ無駄に組合費を払い、ストックオプションをあきらめるのか?」NLRB議長のWilma Liebman(ウィルマ・リーブマン)氏は当時、従業員にとって、組合結成に投票したらストックオプションがなくなるように聞こえるかもしれないと説明した。Electrekが指摘するように、Teslaは、株式報酬制度をほとんどの従業員に提供しており、同社の株価上昇によって、この制度は非常に価値のある福利厚生となっている。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Monn(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetのアソシエイト・エディター。

画像クレジット:Sam Hall / Bloomberg / Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Yuta Kaminishi)

Waymoがサンフランシスコでロボットタクシー乗車料金の徴収を開始

Alphabet(アルファベット)の自動運転部門であるWaymo(ウェイモ)は、カリフォルニア州公益事業委員会から、サンフランシスコで自律走行車によるライドヘイリングに乗車した人に料金を課すことを認める許可を得た。ただし、許可の規定に従い、人間のセーフティオペレーターが立ち会う必要がある。

このカリフォルニア州公益事業委員会(CPC)からの許可取得は、同社がサンフランシスコで自律走行車を商用化するための最終ステップの1つだ。2021年9月、カリフォルニア州自動車局はWaymoに同市での運転者同席許可証を与え、それにより同社は自社の自律走行車が提供するサービスの対価を受け取ることができるようになった。

この許可は、Waymoが特別にロボットタクシーサービスに料金を課すことを許可するものではなかったが、同社は自律配送から収益を得ることができた。11月、同社はスーパーマーケットチェーンのAlbertsons(アルバートソン)と提携し、サンフランシスコで一部の顧客に食料品を配達している。

Waymoは2021年8月から、サンフランシスコで十分に精査された個人のグループである「Trusted Tester」プログラムのメンバーに無賃乗車を提供している。これは、乗車体験に関する詳細なフィードバックを提供してもらい、同社のサービスに関する学びを手助けするものだ。同社によると、テスターは秘密保持契約書にサインしてプログラムに参加し、ウェイティングリストは数万人に上るという。

今後数週間のうちに、WaymoのSFサービスエリア内であれば24時間365日どこでも有償で乗車できるよう、同社はこのプログラムを発展させる予定だ。

Waymoの広報担当者であるNick Smith(ニック・スミス)氏はTechCrunchに「我々は完全自律走行体験を一般に展開するための道筋を、段階的なアプローチで進めています」と語っている。「それは、私たちがアリゾナで取ったアプローチで、これは 私たちの安全への焦点に深く基づいています。そしてそれは、私たちが今後運営するどの都市でも取るであろうアプローチです。まず、自律走行モードで自律走行スペシャリストがハンドル操作を管理する状態で開始し、選ばれたテスターに、料金を徴収開始する前に無料で乗車を公開します。最終的には、ライダーのみのモード(他に誰も乗っていない状態)での運行に移行します。アリゾナでは、何千人ものライダーがライダーのみのモードで何万回もの移動をこなした実績があり、この方法はサービス運営に関する学びを得るのに役立っています」と語る。

同社は、同社の自律走行型Jaguar I-PACEを何台保有しているのかは共有していないが、最新のCPUC四半期報告書では、Waymoは報告期間中のある時点でライダーによる移動に利用できる車両を約100台保有していたことが判明した。

同社のライドヘイリングサービスであるWaymo Oneは、アリゾナ州フェニックスですでにドライバーレスサービスとして提供されており、このサービスがどの程度のコストになるかの指標となるはずだ。最近のCNBCのレポートによると、5mil(約8km)を14分かけて走った場合、結局1分あたり約1ドル(約115円)のコストがかかったという。Uberの平均的な乗車時間は1分あたり約0.40ドル(約46円)である。

「価格設定は合理的で、サンフランシスコの他のサービスと競争力のあるものになる予定ですが、現時点で共有できる具体的な内容はありません」とスミス氏は語る。

Waymoが有料乗車に完全移行したら、サンフランシスコのTrusted Testerの無料乗車を停止すると、スミス氏は述べた。

同市におけるWaymoの最大の競合であるCruise(クルーズ)は、Waymoがドライブレスの許可を得たのと同じ日にカリフォルニア州陸運局からドライブレスの展開許可を得ており、2月初旬から一般市民に対して人間のセーフティ・オペレーターを介さない無料乗車を提供している。Cruiseは、それらの乗り物を有料化するためのCPUCの許可をまだ待っているところだ。Waymoは、DMVにドライバーレス許可証を申請したかどうかについてコメントするのを避けた。

関連記事:Cruise、サンフランシスコの公道で自動運転タクシーの一般乗車開始へ

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Waymo、ロボタクシーの安全性の詳細を秘密にすることを裁判所に認められる

カリフォルニア州の裁判所は米国時間2月22日、Alphabet(アルファベット)の自律走行部門のWaymo(​​ウェイモ)はAV技術に関する特定の詳細を秘密にしておくことができると判決し、同社は勝訴した。

同社は1月下旬、自律走行車の展開許可に関する一部の情報、およびカリフォルニア州車両管理局と同社との間の電子メールの一部を、身元非公開の第三者によって提出された公文書請求から削除するために、同局を提訴していた。

カリフォルニア州上級裁判所サクラメント支部による今回の判決は、少なくとも自律走行車業界においては、公共の安全に関わるが企業が企業秘密を含むと主張する情報への一般公開に関して、より広範な企業秘密保護の前例となる可能性がある。

Waymoは訴訟の中で、企業秘密の開示を迫られれば、自動運転技術への投資が損なわれ、車両管理局はもはや企業が自社の技術に関する情報を透明性を持って共有する安全な相手ではなくなるという「業界全体での冷え込み効果」があると主張した。

「Waymoがカリフォルニア州車両管理局に提出した許可申請書に含まれていた競争上重要な企業秘密の開示を除外する仮処分申請を裁判所が認めるという、正しい判断が下されたことをうれしく思います」と、Waymoの広報担当者はTechCrunchに語った。「当局と共有する詳細な技術情報は、必ずしも一般と共有することが適切ではないと認識している一方で、当社の自律走行技術と運用に関する安全性およびその他のデータをオープンに共有し続けます」と述べた。

カリフォルニア州でテストや展開を考えている他の自律走行技術企業と同様、Waymoもその安全対策や技術に関する情報を車両管理局に提出しなければならず、その後、車両管理局はより具体的な質問でフォローアップしていた。車両管理局はWaymoの許可申請情報の公文書請求を受けた際、企業秘密が漏れる可能性があると判断したカ所を検閲する機会をWaymoに与えた。Waymoはそれを実行し、車両管理局は主要部分を黒塗りにした状態で第三者にパッケージを送付した。Waymoによると、依頼者はこの黒塗りに異議を唱え、巻き込まれたくない車両管理局はWaymoに車両管理局に対して一時的な差止命令を求めるよう助言したという。その後、裁判官は2月2日に差止命令を出し、これによりWaymoは編集されていない形での資料の開示を永遠に禁止する差止命令を求めるための時間を稼いだ。

Waymoが訴訟を起こしたのは、同社のAVが特定の条件を識別して走行する方法、AVが人間のドライバーに制御を戻す状況を判断する方法、AV車両へのサポートを提供するタイミング、離脱事故や衝突事故への対処方法などの詳細を保護したいためだ。

「これらの研究開発には何年もかかり、莫大な資金を伴います」と、裁判所に共有されたWaymoの宣言文にはある。「WaymoのAV開発は、Waymoが2016年に独立する前、2009年にGoogleの一部として始まり、したがってWaymoのAV開発は12年以上にわたります。Waymoは、AV製品の研究開発に実に多大な投資を行ってきました」。

しかし、実際に企業秘密が含まれているかどうかは、その情報を一切見ることができないため、判断が難しい。

「問題は、その情報を他者と共有しないことによって純粋に経済的価値を得られるかどうかです」と、nuTonomy(Aptivが買収)の元顧問で、ニューヨークのイェシバ大学カルドゾ法科大学院の法学教授Matthew Wansley(マシュー・ワンズレー)氏はTechCrunchに語った。

例えば、物体を知覚する問題や、他の要因がどのように極端なものになるかを予測する問題を詳細に説明するソフトウェアの不具合は、技術の仕組みに関する情報が明らかになり、競合他社がそれを真似るか、特定のビジネスに対する自社の相対的な位置を評価する可能性があるため、非常に機密性が高いとワンズレー氏は指摘する。したがって、企業がそのような情報を公にしたくないのは理に適っている。しかし同氏は、当局がこの技術が完璧ではないことを知っていて、リスクをゼロにすることより、むしろリスクを減らすことに関心があると確信している。もし規制当局が守秘義務のもとにさらなる情報を求めたら、自身は情報共有に傾くだろうとも述べた。

「Waymoが提出した訴状に目を通しましたが、同社が話している情報のカテゴリはかなり広いです」とワンズレー氏は話した。「同社が送った情報の中に企業秘密があるのでしょうか ?おそらく、いくつかあるはずです。送った情報のすべてが含まれているのでしょうか? おそらく、ほとんどではないでしょう。ただ1つ驚くのは、同社が企業秘密だと言っているものが、実際にすべて企業秘密であった場合です。しかし、同社が当局と共有する具体的な情報を知らない限り、知ることは困難です」。

そして今、市民は知る由もない。ビジネス界はこの結果を成功だと思うかもしれないが、カリフォルニア州や一般市民は自律走行車に関して正当な公共安全の懸念を抱いているかもしれないし、当局が自分たちの代わりに判断してくれるとは思っていないかもしれない。

AV技術は非常に複雑で高度なものであり、また当局の多くの職員は必ずしも技術者ではない。市民は、公聴会や学術研究などを通じて、重要で社会に直結する決定が適切に行われているかどうかを検証する権利があると主張する人もいる。

「ある面では、これが単なるブラックボックスである場合、公共の乗り物に対する社会の信頼をどのように醸成するかという核心に触れるものだと思います」とAlston & Birdのパートナーで知的財産権訴訟を専門とする弁護士のRyan Koppelman(ライアン・コッペルマン)氏はTechCrunchに語った。「そして、これは自律走行車の根本的な問題で、データを入力し、データを出力し、その結果が安全であることを示しているだけなのです。ですので企業は、ブラックボックスで何が起こっているか、あなたは知る必要はない、ただ安全だと認識し、我々を信頼してくれ、というでしょう。そして、ブラックボックスを覗き見して署名した車両管理局を信用しなさい、それで社会にとっては十分でしょう、ともいうでしょう」。

Waymo側は、自社の技術に対する不安を解消するために、一般市民と共有している情報の幅を指摘した。例えば、AV安全報告書を発行し、米運輸省に安全自己評価を提出し、法執行機関との対話ガイドと安全手法の詳細な説明を公表している。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードとボルボがカリフォルニア州でEV用バッテリーの無償リサイクルプログラムに参加

Tesla(テスラ)の元CTOであるJB Straubel(J・B・ストラウベル)氏が創業したスタートアップRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)は、カリフォルニア州で電気自動車のバッテリーリサイクルプログラムを開始する。Ford(フォード)とVolvo(ボルボ)が設立パートナーとなる。EVの材料調達に圧力が高まっていることが背景にある。

基本的な計画は、Redwood Materialsがカリフォルニアのディーラーや解体業者と協力し、ハイブリッド車や電気自動車の使用済みバッテリーパックを回収するというものだ。ストラウベル氏によると、このプログラムはバッテリーを持ち込む側にとっては無料だ。バッテリーを回収し、適切に梱包して、ネバダ州北部にあるRedwood Materialsのリサイクル施設に輸送する費用は、パートナー企業であるVolvoとFordとともに、Redwood Materialsが負担する。同社は、車種に関係なく、カリフォルニア州内のすべてのリチウムイオン電池とニッケル水素電池を受け入れる予定だ。

「今は混乱していて、人々にとってすばらしい、つまり明白で明確な解決策がないのです」とストラウベル氏はいう。「これは、私たちが変えたいことの本当に重要な部分です。最初はアメリカの誰もが、そしてゆくゆくは世界の誰もが、非常に簡単にバッテリーをリサイクルし、材料がかなり高い割合で回収されるようにしたいのです」。

同社は、スクラップ回収業者やディーラーがバッテリーの回収を組織化するために利用できるポータルを立ち上げた

このパイロットプログラムはまだ初期段階にあり、いくつかの部分は明確に定義されていない。

「強調したいのは、私たちはこのすべてにおいて学習中であり、これはちょっとした西部劇だということです」とストラウベル氏は話す。「少し複雑であることが、これまで実現しなかった理由の一部かもしれないと考えています」。

Redwood Materialsは、循環型サプライチェーンの構築を目指し、2017年に創業した。同社は、携帯電話のバッテリーやノートパソコン、電動工具、パワーバンク、スクーター、電動自転車などの家電製品だけでなく、バッテリーセル製造時に出るスクラップもリサイクルしている。そして、これらの廃棄物を加工し、通常は採掘されるコバルト、ニッケル、リチウムなどの材料を抽出し、それらを再びパナソニックやAmazon(アマゾン)、Ford、テネシー州のAESC Envisionなどの顧客に供給している。

目的は、クローズドループシステムを構築することで、最終的に電池のコストを削減し、採掘の必要性を相殺することにある。

現在市販されている電気自動車には、リチウムイオン電池が搭載されている。電池には2つの電極がある。一方がアノード(負極)で、もう一方がカソード(正極)だ。真ん中に電解液があり、充放電の際に電極間でイオンを移動させる運び屋として働く。アノードは通常、黒鉛でコーティングされた銅箔でできている。

自動車メーカーが電気自動車の生産を拡大し、やがて内燃機関を搭載した自動車やトラックに取って代わるようになると、電池とその材料の需要が急増すると見込まれる。自動車の電動化に取り組む主要自動車メーカーのほぼすべてが、バッテリーセルメーカーやその他のサプライヤーと提携を結び、サプライチェーンの強化に努めている。

2022年初め、既存のパートナーであるパナソニックは、Redwood Materialsとの関係拡大の一環として、Teslaとともに運営するギガファクトリーで製造するバッテリーセルに、2022年末までにリサイクル材をもっと使うと発表した。

Redwood Materialsは、バッテリーセルのアノード側の重要な構成要素であるリサイクル材から製造された銅箔のパナソニックへの供給を始める。Redwood Materialsは2022年前半に銅箔の生産を開始する。銅箔はパナソニックに送られ、年末までにセルの生産に使用される予定だ。

画像クレジット:Screenshot/Redwood Materials

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

カリフォルニア州当局がテスラを人種差別とハラスメントの疑いで提訴

カリフォルニア州公正雇用住宅局(DFEH)は米国時間2月9日、人種差別とハラスメントの疑いでTesla(テスラ)を提訴した。州裁判所に提出された訴状では、カリフォルニア州フリーモントにあるTeslaの製造工場での問題が指摘されている。

同当局は「労働者からの数百件の苦情」を受け、フリーモント工場が「黒人労働者が人種差別的な中傷にさらされ、仕事の割り当て、懲罰、給与、昇進で差別され、敵対的な職場環境を作り出している分離された職場」である証拠を確認したと、同当局の長官Kevin Kish(ケビン・キッシュ)氏が声明で述べた、とウォールストリートジャーナルは報じている

Teslaがハラスメントや差別の訴訟に直面するのは、今回が初めてではない。2017年には元工場労働者のMarcus Vaughn(マーカス・ヴォーン)氏が、フリーモント工場でヴォーン氏がマネージャーや同僚から繰り返し「Nワード」を浴びせられたという苦情をTeslaが調査しなかったとして、同社を相手取って集団訴訟を起こした

数カ月前にはTeslaは、同じ工場での差別と人種的虐待を見て見ぬふりをしたと訴えた黒人の元契約社員に、1億3700万ドル(約125億円)の損害賠償を支払うよう命じられたばかりだ。この訴訟で労働者のOwen Diaz(オーウェン・ディアス)氏は、人種差別的な中傷を受け、Teslaの従業員が人種差別的な落書きやかぎ十字、不快な漫画などの絵を同氏に残し、監督者はそれを止めるのを怠ったと主張した。

2021年末には複数の女性が、まさに同じ工場でTeslaがセクハラ文化を醸成していると告発した。女性たちは仕事中に差別、冷やかし、好ましくない言い寄り、身体的接触を受けたという。

関連記事:さらに6人の女性がテスラを職場のセクハラで訴える

Teslaは訴訟が起こされる前に公開したブログ投稿で、差別やハラスメントに強く反対していることを強調し、同社が苦情に対応し、多様性や公平性、包括性に取り組むために取ったとする対策を誇示して自社を擁護した。

「Teslaはこれまで、人種差別やハラスメントを行う従業員を含め、不正行為を行った従業員を懲戒解雇してきました」と投稿には書かれている。

「Teslaはまた、カリフォルニア州に残る最後の自動車メーカーです」と、同社が以前から指摘している点に言及した。「しかし、製造業の雇用がカリフォルニアから失われつつある今、公正雇用住宅局は建設的に協力するのではなく、当社を訴えることにしました。これは不公平であり、特に数年前の出来事に焦点を当てた申し立てであるため、逆効果です」。

Teslaは2021年に、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が「今後のTeslaの扱い」次第ではカリフォルニアでの製造活動を一切停止する可能性があると脅した後、本社をカリフォルニアからテキサス州オースティンに移した。同社は2020年5月、新型コロナウイルス感染症の拡散を阻止するためにフリーモントにある同社の製造施設を閉鎖した件でアラメダ郡を提訴していたが、この訴訟は後に取り下げられた。

DFEHはWSJに対し、黒人労働者はTeslaの監督者やマネージャーが人種差別的な言葉を使うのをしばしば聞いたり、工場内で人種差別的な落書きを見たりした他、肉体的により過酷な職務を割り当てられ、より厳しい処分を受け、職業上の機会も除外されたと述べている。

Teslaは2020年12月に初の多様性報告書を発表し、米国内の労働力の10%が黒人・アフリカ系米国人であることを明らかにした。取締役レベルでは黒人の割合は4%にすぎない。ヒスパニック・ラテン系の従業員は全従業員の22%で、ディレクタークラス以上では4%にとどまる。アジア系従業員は全従業員の21%で、このグループはディレクターレベルの従業員の4分の1を占めている。

WSJによると、DFEHは2月10日朝に訴状をオンラインで閲覧できるようにするという。

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Waymo、一部の自動運転車技術データをさらに22日間秘匿可能に

米国時間1月31日、Waymoは自動運転車の運用に関する一部の詳細データを一般に公表しないでもよい件に関して、小さな勝訴を勝ち取った。

Alphabet傘下の同社は先に、カリフォルニア州自動車局に対して、その自動運転車の展開許可証からの情報の一部を非公開とし、また、自動車局と同社との間のメールも、名称など非公開のサードパーティーから公開リクエストがあった部分を非公開にできるよう、訴訟を起こしていた。1月31日に判事はWaymoに対して、同社は一時的制限命令を発行して、非公開とされた情報をさらにあと22日間、非公表にしてもよいことになった。

これを恒久的な差し止めとしてWaymo側を安心させるか否かに関しては、2月22日に別のヒアリングが行われる。そのヒアリングでは、一部の情報が公開記録から永久かつ継続的に取り除かれていても良いか否かを検討する。

Waymoなどの自動運転車の開発者は、カリフォルニアでテストし展開するかぎり、州自動車局から一連の許可証を獲得しなければならない。カリフォルニア州の許可証を申請するために企業は、その安全対策と技術と、自動車局が通常求めるその他の情報を提出する必要がある。

Waymoの許可証に向けて記録公開リクエストがあると、自動車局は同社を招いて、企業秘密の部分を尋ねる。Waymoが、自動車局が尋ねた質問までも含めて企業秘密部分を指定すると、自動車局はそれら重要部分がブロックされたパッケージをサードパーティに送る。情報要求者がその黒塗りに抗議すると、自動車局はWaymoに、Waymoが消去部分のない公表を禁じる差し止め命令を要求しない限り、情報をリリースしなければならないと告げる。Waymoによると、自動車局は同社にアドバイスして、一時的な禁止令(一時的制限命令)を申請するよう勧めた。

今回のヒアリングで自動車局は、一時的な禁止令の申請に反対しなかったという。この件における自動車局のやや受け身の役割は、同局がどちらか一方の側にはつかない、というサインであり、最終決定を法廷に委ねている。

Waymoが守りたい(一般公開したくない)詳細は、自動運転車が何らかの状況を見つけても走行を続ける場合のやり方であり、人間ドライバーに任せるべきと判断するのはどんなときか、いつAV車隊のサポートを提供するのか、制御不能や衝突のインシデントにどう対応するのか、といった情報だ。同社は、サクラメントの州最高裁にこれらの件の訴訟を提出している。

同社の主張では、情報の公開はWaymoやAV技術への投資者にとって有害であるだけでなく「業界全体に水をさす」という。

訴状によると「AVのカリフォルニア州における展開に利害を有する市場参加者は、企業秘密の開示履歴が明らかとなれば、この技術を開発する貴重な時間とリソースへの投資に向かう積極性を失うだろう」という。

また他社も、どれだけの情報を自動車局と共有すべきかに関して引っ込み思案になってしまい、民間部門と行政との間の透明な対話よりも、業界は規制の精神の理解ではなく、規制を表面的に遵守するだけの態度を選ぶだろう。これによって、もしも自動車局がAVの規制を作って実施するために必要な全面的な展望を持っていなければ、技術の安全性が脅かされるだろう。これが、訴状でのWaymoの主張だ。

さらに他方では、Aptivが買収したnuTonomyの前法務部長で、ニューヨークにあるイェシーバー大学のカードーゾ・ロースクールの法学教授Matthew Wansley(マシュー・ワンズリー)氏は以前TechCrunchに、Waymoが隠したい情報のすべてが企業秘密といえるか、それは疑問だが、その隠された部分を実際に見ないかぎりは真相は分からないという。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

農作物の防虫をセンサーと機械学習で実現するFarmSense

かじる、潜る、感染させる。米国農務省農業研究局によると、マメコガネ(上記写真)などの害虫が農業に与える被害は毎年1000億ドル(約11兆6730億円)を超えるという。また、節足動物は植物の病気も媒介するため、世界の農業生産の年間40%が節足動物によって失われているといわれている。

カリフォルニア州リバーサイドに拠点を置くAgTechのスタートアップ企業、FarmSenseは、害虫問題の解決に挑んでいる。同社は、光学センサーと機械学習アルゴリズムに基づく新しい分類システムを構築し、リアルタイムで昆虫を識別・追跡する。ここでポイントとなるのは「リアルタイムの情報」だ。

彼らによると、センサーが提供するリアルタイムの情報は早期発見に役立ち、殺虫剤やバイオコントロールなどの害虫管理ツールをタイムリーに配備することができる。現在、モニタリングに使われている機械式トラップは、虫がやってきてから10〜14日後にしか重要な情報を得られない場合もある。

「このような虫の中には、成虫として5日間しか生きないものもあります。そのため、問題を発見したときには、すでに問題が根付いてしまっており、より大きな問題になっているのです」と、FarmSenseの共同設立者であるEamonn Keogh(イーモン・キーオ)氏はいう。「リアルタイムで知っていれば、介入する場所を1カ所に絞り、農薬の節約、労働力の節約、作物の損傷を防ぐなど、より良い結果を得ることができたはずです」。

より良い結果を得るための重要な情報の提供方法は、少し複雑だ。

ファームセンスの新型光学センサー「FlightSensor」の圃場での様子。このセンサーは、農家にとっての害虫の被害を軽減するために、リアルタイムのデータと管理戦略を提供することを約束する(画像クレジット:FarmSense)

現在、中小企業技術革新研究プログラムの助成を受け、南カリフォルニアのアーモンド園で試験・研究が行われているFlightSensorと呼ばれる同社の最新センサーは、キーオ氏がこのセンサーのアイデアを得た場所について考えると、最もわかりやすい。つまり、ジェームズ・ボンドと冷戦時代のスパイ活動だ。

キーオ氏は、ロシアのスパイがガラス窓にレーザーを当てて、人の声の振動を拾っていたことを説明した。そしてセンサーがその情報を翻訳し、部屋の中で何が起こっているのか、おおまかな情報を提供してくれる。

「同じような仕掛けを考えて、レーザーの前を虫が飛んだらどうなるかを想像してみました。虫の音だけが聞こえて、他の音は聞こえないでしょう」。

しかし、FlightSensorは振動を読み取るのではなく、小さなトンネル内のライトカーテンと影を利用し、誘引物質によって昆虫を引き込む。センサーの片側には光源、もう片側には光学センサーが設置されている。昆虫が飛んできたときに、どれだけ光が遮られたか、あるいはどれだけ光が通り抜けたかをセンサーが測定する。そのデータを音声にし、クラウド上の機械学習アルゴリズムで解析する。

このセンサーは生産者が使いやすいように昔のアナログ機器のようなデザインになっているが、FarmSenseによると、風や雨などの周囲の音は拾わない。

キーオ氏によれば「シグナルの質はとてもクリアで、通常畑で聞こえる周囲の音は聞き取りません。本質的には昆虫の音を聞く異なったモダリティですが、ヘッドフォンをつけてセンサーからの音声クリップを聞くと、まるで蚊や蜂が飛び回っているように聞こえます」。

カリフォルニア大学リバーサイド校のコンピューターサイエンスとエンジニアリングの教授であるキーオは、データマイニングを専門としており、FarmSenseが識別目的で採用した新しい機械学習アルゴリズムに取り組んでいる。共同設立者のLeslie Hickle(レスリー・ヒックル)氏をはじめ、昆虫学者や分野のスペシャリストが開発・配備を支援している。

ハードウェア面では、当社CEOであり、無線・携帯電話ネットワークやセキュリティのシステム開発を手がけるShailendra Singh(シャイレンドラ・シン)氏が担当している。シーズンごとに課金される各センサーの価格は300ドル(約3万4000円)とのことだ。

この技術がもたらすインパクトは明らかだ。大小の畑を管理する農家にとって、昆虫に関するリアルタイムの情報は経済的な安全性にとって重要なだけでなく、土壌の健康状態など重要な資源の保全・保護につながる可能性もある。

しかしFarmSenseは、昆虫による被害で不当に影響を受けているという地方の農家を支援したい考えだ。

だが、センサー1つにつき1シーズン300ドルというのは高額であり、この技術の採用にあたるリスク、ひいては虫害という問題をそもそも解決できるかどうかというリスクもある。

小規模農家にとって最も難しいことの1つはリスク管理だと語るのは、米国農務省が資金提供する「市場、リスク、レジリエンスのための未来のイノベーションラボ(Feed the Future Innovation Lab for Markets, Risk, and Resilience)」の所長で、カリフォルニア大学デービス校農業・資源経済学の著名教授であるMichael Carter(マイケル・カーター)氏だ。

「リスクは人々を貧しいままにしてしまうことがあります。リスクは将来を不透明にするため、平均所得を向上させる技術への投資を抑制します。富の少ない人々は、当然貯蓄が多くありません。しかし彼らは、彼らの収入を向上させるかもしれないし、彼らの家族を餓死させることになるかもしれないものに投資するために貯蓄を危険にさらすことはできません」とカーター氏はいう。

しかし彼は、FlightSensorのような技術が、特に小規模農家をさらに保護する保険のようなものとなる場合、小規模農家の投資の恐怖を軽減することができると考えており、この点に関しては楽観的であった。

シャイレンドラ・シン氏(左)とイーモン・キーオ氏は、カリフォルニア州リバーサイドで昆虫の監視に革命を起こそうとしているアグテックスタートアップ企業、FarmSenseの共同設立者だ(画像クレジット:FarmSense)

この技術について、こんな疑問も浮かぶ。リアルタイムでの識別は、害虫管理にとって本当に最良の選択なのだろうか?米国農務省森林局の昆虫学者Andrew Lieb(アンドリュー・リーブ)氏によれば、そうではないかもしれないとのことだ。リーブ氏は、農業や森林にとって最も破壊的な害虫である侵入昆虫の主な原因は、移動や貿易であると説明した。

彼は、昆虫の定着制御のためのテクノロジーに関しては賛成しているが、究極的には、この問題をより早期に解決することが最適な戦略であると考えている。現在の輸出入に関する法律や、害虫駆除製品の処理方法、さらには渡航の制限の制定などに取り組むべきだろう。

こうした懸念はあるものの、FarmSenseの技術がインパクトを与える態勢にあることは間違いない。農家の経済的な不安やグローバルなフードチェーンへの脅威だけでなく、蚊のような病気を媒介する昆虫の追跡や重要な情報の拡散に役立つかもしれない。

新型コロナウイルス感染症による混乱が続く中、バイオセキュリティの成功や失敗が、私たちの無数のシステムにどのように波及していくのか、それを強く意識しないわけにはいかない。

2050年までに外来種の昆虫の侵入が36%増加すると予測されていることや、人口増加により食糧生産がより一層圧迫されることを考えると、私たちが脅威を理解し思慮深く対応する能力を高めてくれるFlightSensorのような革新的技術は、むしろ歓迎すべきことだ。

カーター氏がアグテックが農業に恩恵をもたらす可能性のあるあらゆる方法について語る通り「私たちはその可能性においてクリエイティブになる必要がある」。

画像クレジット:Chris Sorge / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Matt Marcure、翻訳:Dragonfly)

EVの販売拡大を目指すGM、カリフォルニア州独自の排出ガス規制に同意

General Motors(ゼネラル・モーターズ)が政治的にも経済的にも有利と思われる立場を表明した。この自動車会社は米国時間1月9日、カリフォルニア州の規制当局が大気浄化法に基づき独自の自動車排出ガス基準を設定する権限を認めると発表したのだ。GMはこれまで、カリフォルニア州が同州で販売される新車に独自の規制を課すことを妨げるTrump(トランプ)政権の取り組みを支持していたが、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領の当選直後にその立場を撤回していた。

GMがカリフォルニア州の厳しい炭素排出基準を認めたということは、他の州も同様の規制を採用できるということであり、また、カリフォルニア州はフリート車両の購入に同社を検討することができるようになるということを意味する。このリストにはGMの他にも、BMW、Ford(フォード)、Honda(ホンダ)、Tesla(テスラ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Volvo(ボルボ)の社名が挙がっている。

カリフォルニア州は全米で最も人口の多い州であり、国内総生産の14.8%を占めている。排出ガス量の多い自動車の生産を続けたいという厄介な理由で、この州からブラックリストに載せられるのは、経済的な自殺行為になるだろう。TechCrunchは、GMがなぜ今このような手紙を送ることにしたのか、そしてそれがGMの幅広い戦略とどのように関連付けられるのかを知るためにGMに問い合わせたが、同社はすぐには回答しなかった。

GMのVP兼グローバルパブリックポリシー責任者であるOmar Vargas(オマー・ヴァーガス)氏は、カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事に宛てた手紙の中で、カリフォルニア州の排出ガス統治に忠誠を誓っていると、The Detroit News(デトロイト・ニュース)は9日に報じたが、これは同社の商用電気自動車部門であるBrightDrop(ブライトドロップ)が、今後数年間にわたる大規模な成長計画を発表した数日後のことだった。

BrightDropは米国時間1月5日、Walmart(ウォルマート)を新たな顧客として迎え、5000台の電気自動車の予約を受注したと、CESで発表した。また、既存の顧客であるFedEx(フェデックス)は、2021年発注した電動商用バンの台数を、当初の500台から2000台に増やすと発表。その多くがまずはロサンゼルスの路上に現れるという。

GMはまた、1月9日にカリフォルニア州大気資源委員会のLiane Randolph(リアン・ランドルフ)委員長に宛てた書簡の中で、ゼロエミッション車の展開を加速させることを約束した。GMは先週、Chevrole(シボレー)ブランドで2023年までに生産を開始する2車種の電動SUVを発表し、同時に2024年モデルとして発売される電動ピックアップトラック「Silverado(シルバラード)EV」(2種類の仕様が設定される)も公開した。さらに同社は、2021年末に「GMC Hummer EV(GMCハマーEV)」のピックアップトラックの納車を開始しており、2023年にはHummer EVのSUVも販売が始まる。電動ピックアップトラック「GMC Sierra EV(GMCシエラEV)」は、同じく2023年に市場に投入されるようだ。

また、GMのグローバルレギュラトリーアフェアーズ&トランスポーテーションテクノロジーポリシー担当VPのDavid Strickland(デビッド・ストリックランド)氏が署名したランドルフ氏への書簡では、低所得者層が同社のEVを購入できるように専心することも約束している。この取り組みには、プリペイド式充電カードの提供による充電インフラへのアクセス改善や、特に恵まれない地域でインフラを整備するためのパートナーシップ構築などが含まれる。

「GMは、カリフォルニア州が追求するゼロエミッションの未来に向けた取り組みの一環として、クリーンな空気と排出ガス削減のための戦いに参加することになりました」と、ニューサム知事室は1月9日にツイートした。「この合意は、カリフォルニア州が率先する気候変動問題への取り組みを加速させることになるでしょう。我々のクリーンカー革命にGMを喜んでお迎えしましょう!」。

GMは、2040年までに全世界に向けた製品および事業においてカーボンニュートラルを実現し、2035年までに新車の排出ガスをゼロにすることを約束している。

画像クレジット:Shabdro Photo / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カリフォルニア州、衝突事故を起こしたPony.aiの自動運転テスト認可を一時停止

米国にオフィスを構える中国の自動運転スタートアップPony.ai(ポニー・エーアイ)が、人間の安全ドライバーなしでの自動運転車テストを停止した。地元の規制当局によってテストが承認されたのはわずか6カ月前である。

関連記事:トヨタ出資の自動運転Pony.aiがカリフォルニア州から無人運転テスト許可を取得

カリフォルニア州車両管理局(DMV)がTechCrunch伝えてきた声明文によれば、米国時間10月28日にフリーモントでの衝突事故が報告されたことを受けて、米国時間11月19日にはDMVがPony.aiに対して、無人運転認可を一時停止することを通知した。

Pony.aiは、この自動運転テスト認可に対して、10台のHyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)電気自動車を登録している。DMVによると、この一時停止は、Pony.aiの安全ドライバー同乗テストの認可には影響しない。

Pony.aiの衝突報告によれば、この事故は、ある晴れた朝に、無人運転車両が自動運転モードを使用して車線を変更しようとしてときに発生したという。

Pony.aiの広報担当者はTechCrunchに対して「最近、私たちの車両の1台が、カリフォルニア州フリーモントで、車線区切りと道路標識への衝突事故を起こしました。他の車両は巻き込まれていませんし、負傷者も出ませんでした」と語った。

広報担当者はさらに「私たちはすぐに調査を開始し、事故についてカリフォルニア州DMVと連絡を取り合っています」という。

これまで、他の自動運転車も衝突事故を報告しているが、そのほとんどは、安全ドライバーが車両を手動運転しているとき、または別の車両が後ろからAVに衝突したときに発生している。この事故は、車両が自動運転モードであり、かつ他の車両が関与していなかったという点が特徴的だ。

この事件は、Pony.aiの自動運転機能に疑問符を付けた。なお広報担当者によれば同スタートアップの自動運転車は「2017年以来、カリフォルニアで実際の路上を75万マイル(約120万7000キロ)以上走行することに成功した」という。

2016年にBaidu(バイドゥ、百度)からの退職者によって設立されたPony.aiは、中国とカリフォルニアの両方にR&Dチームとテスト車両群を持つAV(自動運転車両)スタートアップグループの1つだ。これまでトヨタやセコイアキャピタルのようなヘビー級の投資家を魅了し、2021年2月の時点では総額10億ドル(約1137億円)以上の資金調達を調達し、53億ドル(約6026億円)の評価額をつけている。つい最近、Baiduと並んで、北京のデモエリア内で自動運転車を商用運転することが承認された

同社はまた、ここ数カ月困難に直面している。ロイター通信によると、米国政府の標的とならないことを、中国政府に納得させることができなかったため、同社はニューヨークでのSPAC上場計画を中止した。先月、TechCrunchは、同社の自動運転トラック事業が数人の主要幹部を失い、この新しい部門が中途半端な状況に追い込まれていると報告した。競争が激化する中、Pony.aiは投資家に対して競争力のある技術と実現可能な商業的未来を持っていることをしっかり証明しなければならない。

画像クレジット:Pony.ai

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)

NYの都市型屋内水耕農業ゴッサムグリーンズがカリフォルニアに4万平米の研究農場開設

この数カ月間、かなりの時間を割いて垂直農法(vertical farming)について調査、執筆する中、あるキーワードが何度も浮かんできた。「近接」だ。近年の農業で使われている手法の多くが、農作物を遠距離に輸送することに注力し、結果的に炭素排出量を増やしている。Gotham Greens(ゴッサムグリーンズ)は厳密には垂直農法ではないが、地元生産農業の象徴になってたのは、ニューヨーク州ブルックリン、ゴーワヌス地区のWhole Foods(ホールフーズ)店舗の真上に立てられた都市型グリーンハウスのおかげだ。

創立10年の同社は、現在ニューヨーク市内の3カ所(ブルックリンに2つ、クイーンズに1つ)の他、東海岸(メリーランド州ボルチモアとロードアイランド州プロビデンス)に2カ所、中西部(ミシガン州シカゴ)に2カ所、山岳部(コロラド州デンバー)に1カ所所農場を所有している。米国時間12月8日、同社は西方向への拡大を進め、カリフォルニア州で初めてのグリーンハウスを、UC Davis(カリフォルニ大学デービス校)近くに設置したことを発表した。

画像クレジット:Gotham Greens

Gothamで9番目の農場は、広さが10エーカー(約4万平米、4ヘクタール)で、栽培に必要な資源を劇的に減らすように設計されている。同社は水耕技術を用いて、レタス1玉の栽培に通常必要な水、10ガロン(約37.9リットル)を1ガロン以下まで減らすことができるという。農場全体では年間2億7000万ガロン(約102万キロリットル)の水を節約でき、占有面積は従来型農業よりも300エーカー(121ヘクタール)少ない。

国の農作物のかなりの部分を生産しているカリフォルニアへの進出は興味深い動きであり、ニューヨークやシカゴに施設を開設するのとは明確に異なる戦術だ。もちろん、カリフォルニアの農作物栽培への誇り高き伝統にも関わらず、この州も気候変動の極めて深刻な影響を受けている。

画像クレジット:Gotham Greens

「カリフォルニアは北米の葉物野菜生産の中心であり、気候変動による水不足や山火事をはじめとするさまざまな影響が、農業に不可欠な資源を圧迫しています。私たちはカリフォルニアに拠点を置くことで、ますます深刻化する気候変動の影響に対する農産業界の解決策の1つになることを熱望しています」と共同ファウンダー・CEOのViraj Puri(ビラージ・プーリー)氏はリリースで語る。「カリフォルニア北部の当社最新のグリーンハウス施設は、地域全体の小売店やフードサービス提供者に商品を提供しながら、土地や水をはじめとする貴重な資源を保護するために、戦略的に選ばれた場所にあります」。

UCデービス校近郊という場所に間違いはない。同社は同大学の研究者と協力していきながら、将来の従業員との堅牢なつながりをつくるに違いない。さらに同社はこの機会を利用して、2024年までに同社がパッケージに使うプラスチックを40%(対2020年比)、使用電力を5%削減する計画も発表した。

画像クレジット:Gotham Greens

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

セブン-イレブンとNuroがカリフォルニアで自律走行による配送サービスを試験的に開始

コンビニエンスストア大手の7-Eleven(セブン-イレブン)は、Nuro(ニューロ)と提携し、シリコンバレーの中心地であるカリフォルニア州マウンテンビューにおいて、自律走行車による商業配送サービスを試験的に開始する。

このサービスは、米国時間12月1日からセブン-イレブンの配送アプリ「7NOW」で利用できるようになり、最初はNuroの自動運転のプリウスを使用する。最終的には、人ではなく荷物だけを運ぶために特別に作られたNuroのR2配送車を使用する予定だ。

セブン-イレブンは、これまでにも自律走行による配送の実験を行ってきた。2016年には、ネバダ州リノで、ドローン企業のFlirtey(フリルティ)と共同で自律配送の実験を行った。今月、韓国でセブン-イレブンの店舗を運営する同社は、地元のスタートアップ企業であるNeubility(ノイビリティ)が開発した歩道用配達ロボットを使用したテストをソウル南部地区で開始した。

Nuroとの提携は、研究開発ではなく商用サービスとして行われる。しかし、同社の広報担当者は、やはりこれを試験的なものと表現している。これは商業事業になるが、少なくとも最初は限定的なものになるだろう。

Nuroは、他の多くの企業と同様に、商業事業を開始するための規制や技術的なロードマップを何年にもわたって通過してきた。Nuroは2020年12月に、カリフォルニア州の公道で商用のドライバーレスサービスを運営するために必要な最終的な必要許可を得た後、2021年初めに商用配送業務を開始する予定であることを示唆していた。それが遅れ、今になってキックオフされたようだ。Nuroは、カリフォルニア州の自動車局から許可を得て、この規制のハードルをクリアした最初の企業だった。

その際、Nuroは予定されている商業パートナーや都市の名前を挙げていなかった。同社が地元のマウンテンビューを最初のスタート地点として選んだのは、理に適っている。

Nuroはこれまでに、Kroger(クローガー)やFedEx(フェデックス)など、カリフォルニア以外の地域でも数多くのパイロットを行ってきた。

関連記事:自動配送NuroがFedExと提携、配送ロボをライスマイルデリバリーに大規模導入

また、マウンテンビュー以外の地域に進出する時期や、最初に進出するセブン-イレブンの店舗についても、具体的なスケジュールは決まっていない。この町にはいくつかの店舗があるが、今のところ、客がスラーピーやスナックを配達してもらえるのは、マウンテンビューの1905 Latham St.にあるセブン-イレブンだけとなる。将来的には、より多くの郵便番号に対応するよう拡大する意図があると、Nuroの広報担当者はTechCrunchへのメールで述べている。

Nuroは、R2ボットに切り替える時期についても明らかにしていなかったが、それが最終的な目標だ。広報担当者によると、Nuroとセブン-イレブンは、R2を宅配便に導入する共同決定をできるだけ早く行うという。

今のところ、顧客は7NOWアプリでドリンクやスナックを注文すると、マウンテンビューで午前8時から午後9時までの間、追加料金なしでNuroの自律走行車が配達してくれる。注文が処理されると、他の配送アプリと同様、アプリからアップデートが送られてくる。両社によると、注文は約30分で届くとのことだ。なお、アルコール、たばこ、宝くじなどの年齢制限のある商品は、自律走行車による配送では利用できない。

今回の提携は、Nuroが新たな投資家であるTiger Global Management(タイガー・クローバル・マネジメント)を中心とした資金調達ラウンドで6億ドル(約678億円)を調達したと発表してからわずか数週間後のことだった。同社は、この資金を商業活動の強化に充てるとしている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

植物性アイスクリームのEclipse FoodsがWhole Foodsと提携、まずはカリフォルニアで提供

植物性の肉代替品に対する需要がかつてなく高まっている中、Impossible(インポッシブル)やBeyond(ビヨンド)といった企業がハンバーガーで成し遂げたことをアイスクリームでも実現したいとEclipse Foods(エクリプス・フーズ)が考えているのは間違いない。パンデミック前に同社はニューヨークと、地元であるサンフランシスコの一部の小売店での販売を発表していたが、今回、有名な小売店との提携により販売場所を増やす。

2019年初めに創業されたEclipse Foodsは、YCからの資金調達を含め、これまでに約1600万ドル(約18億円)を調達している。CEOのAylon Steinhart(エイロン・ステインハート)氏はTechCrunchとの以前のインタビューで、代替となる食料源をまかなうのにシンプルなアプローチを取ることで他の植物性食品との差別化を図ろうとしている、と述べた。

関連記事:Eclipse Foodsの純植物性アイスクリームがニューヨークとサンフランシスコの高級店に登場

「我々は、目的を達成するために高価なバイオテクノロジーを使用していません」と同氏は述べた。「植物の機能性タンパク質とその働きに関する世界レベルの専門知識を用いて、極めてシンプルな方法で植物をブレンドさせています」。

Eclipseは、乳製品ベースのアイスクリームをより直接的に模倣することを目指している。「プレミアム食材を使用した高品質なプロダクトを提供する小売店の代名詞であるWhole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)との提携は、当社が全米で販売を拡大していく上で画期的なものです」とステインハート氏はニュースリリースで述べた。

アイスクリームは、まず北カリフォルニアの一部の店舗で販売される。

画像クレジット:Eclipse Foods

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、Apple Store従業員の所持品チェックをめぐる集団訴訟で約34億円の和解金を提示

2020年、カリフォルニア州最高裁判所は、Apple(アップル)が従業員に対して、強制的なバッグやiPhoneの検査を並んで待つ間、報酬を支払わなかったことは法律違反であると判決を下した。現在、Appleは訴訟を解決するために3000万ドル(約34億2000万円)の支払いを申し出ており、従業員側の弁護士はこれを受け入れるよう原告団に促しているとApple Insiderが報じた。Courthouse Newsが閲覧した和解案の中で、原告側の弁護士であるLee Shalov(リー・シャロフ)氏は「8年近くに及ぶ長い戦いとなった訴訟の末に成立した今回の和解は、逆転を許さない重要なものです」と書いている。

従業員が訴訟を起こしたのは2013年のことで、Apple製品や企業秘密を盗んでいないか持ち物を点検される間、賃金が支払われなかったと訴えていた。従業員たちは、5分から20分のプロセスの間もAppleの「管理下」にあったと考えており、それゆえに補償されるべきだとしていた。これに対してAppleは、従業員はバッグやiPhoneを職場に持ち込まないことも選択できたため、検査のプロセスを避けることができたと主張した。

地裁ではAppleが勝訴したが、控訴審はカリフォルニア州最高裁に持ち込まれた。そこでは裁判官は、Appleの従業員は「退勤の際に検査を待っている間も、検査中も、明らかにAppleの管理下にあった」と判決を下した。裁判所は、職場にバッグを持ち込むことは従業員の利便性であり、特に、従業員は必ずしも私物のiPhoneを職場に持ち込む必要はないと考えていたというAppleの主張を退けた。

裁判官はこう述べた。「iPhoneを自社の従業員にとって不要なものとする同社の姿勢は、iPhoneが他の人々にとっては『日々の生活に統合された、不可欠な一部』であるとする同社の姿勢と真っ向から対立するものです」。記述の中で裁判所は、2017年のTim Cook(ティム・クック)CEOのインタビューに言及し、同氏がiPhoneは「これなしで家を出ようとは思わないほど、私たちの生活に溶け込んで限りなく一体化しているものです」と述べていたことを指摘した。

この和解案は、原告団の承認を得る必要がある。この訴訟に関与したカリフォルニア州の約1万2000人の現在および過去のApple Store従業員は、最大で約1200ドル(約13万7000円)の和解金を受け取ることになる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Iain Masterton / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

MetaがVRヘッドセットなどが並ぶ実店舗をカリフォルニアで計画との報道

ニューヨークタイムズ紙によると、かつてFacebookとして知られていた会社は、Metaへとブランド名を変更する前から小売店を開設する可能性について議論していた。どうやら、実店舗の開設についての議論は2020年から始まっていたらしいが、最終的には何も決まっておらず、このプロジェクトはまだ破棄される可能性がある。しかし、もしMetaが実店舗を開くとしたら、それは完全な小売店ではなく、Reality Labs部門が開発したデバイスを紹介する体験型店舗のようなものになるとされている。

それらのデバイスには、仮想現実ヘッドセットOculus Quest(近日中に「Meta Quest」になる予定)や、主にビデオ通話用に設計されたガジェットPortalなどがある。また、FacebookがRay-Ban(レイバン)と共同開発したStoriesと呼ばれる拡張現実のスマートグラスも展示される可能性がある。タイムズ紙が入手した文書によると、Metaの目標は、店舗で「好奇心」と「親近感」を喚起し、顧客がヘッドセットを試しながら「判断に迷わない旅」ができるような居心地の良い雰囲気を提供することだという。

同じ資料によると、Metaはモダンでミニマリスト的な美しさを持ち、ブランドをさりげなく配置した店舗を想定している。同社は、Facebook Hub、Facebook Commons、Facebook Innovations、Facebook Reality Store、From Facebookなど、さまざまな名称を検討した。最終的にはFacebook Storeに落ち着いたが、会社名が変更された今、それも変わる可能性が高い。

Metaがこの計画を進めた場合、最初の小売 / 体験型店舗はReality Labsのオフィスがあるカリフォルニア州バーリンゲームに設置される予定だ。ただ、タイムズ紙によると、このプロジェクトは最終的には世界中に広がり、さまざまな国や地域に拠点を置くことになるかもしれないとのことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Facebook

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】山火事が日常になりつつある今、植生管理にもっとITを活用すべきだ

山火事はギリシャ、トルコからオーストラリアそしてカリフォルニアと、世界中で日常の出来事になりつつある。

火災の原因は、タバコの吸い殻、キャンプファイヤーの消し忘れから落雷までさまざまあり、カリフォルニア州で特に多いのが送電線の破損によるものだ。

Dixie Fire(ディキシー・ファイア)は現地時間7月13日、Pacific Gas and Electric Company(PG&E、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック)の送電線に木が倒れたことで発火し、カリフォルニア州史上最大の単一火災となった。

PG&Eは、2015年、2017年の山火事、および2018年にバラダイスの町全体を破壊した山火事、通称Camp Fire(キャンプファイヤー)を巡る数々の訴訟によって増え続ける負債に直面し、チャプター・イレブン(連邦破産法第11章)を申請し、数百億ドル(数兆円)にのぼる追加の火災補償を免れようとした。

PG&Eは、山火事のすべての主要被害者グループと255億ドル(約2兆8327億円)の示談、および取締役の入れ替えを約束して倒産を免れた。

現在、PG&Eの植生管理プロトコルは、年間を通じた従来手法による樹木伐採を行っている。土地・住宅の所有者が検査の予告を受けた後、検査員が枝切りあるいは撤去が必要な樹木に手作業で印をつける。印をつけられた木々が適切な処置を受けるまでには4~6週間かかる。

破産にともなう組織再編計画の一環として、California Public Utilities Commission(カリフォルニア州公共事業委員会)はPG&Eの統治と運営を強化するための対策を複数制定した。その1つが、山火事のリスクを減らすためのEnhanced Vegetation Management(EVM / 拡張植生管理)プログラムだ。

これは、PG&Eが植生管理計画を継続するだけではなく、枯れたり枯れそうな樹木、張り出した枝、あるいは高く伸びすぎた樹木による潜在リスクの責任を負うことを意味している。同社の主要目標は、2021年末までに2400マイル(約3860km)分のEVMのうち1800マイル(約2900km)を完了することだ。

委員会は山火事リスクの高い上位20%の地域に焦点を絞り、Circuit Protection Zones(サーキット・プロテクション・ゾーン)を設定した。この上位20%をリスクが1~3%、4~10%、および11~20%の区域に分け、トップの1~3%が1800 EVMマイルの中心に位置づけられる。この1~3%だけで推定2422マイル(約3900km)を占めている。

ディキシー・ファイアーの出火元をSan Francisco Chronicle(サンフランシスコ・クロニクル)紙やGoogleマップ、PG&E提供の地図などの情報源を元に比較してみると、ディキシー・ファイアーの近くにはCPZのリスク11~20%の地域しかなかったことがわかる。2021年PG&Eがディキシー・ファイアー地域でEVMプログラムを実施する可能性は非常に低い。

カリフォルニア州の干ばつは以前にも増して厳しく長期に渡っている。どれが最大のリスク要因であるかに賭けている余裕はない。この場合、情報へのアクセスと一連の作業のスピードが規模と一致している必要がある。

我々が所属するSpacept(スペースプト)では、ディキシー・ファイアーの原因となった植生危険要因を突き止めるために当社のツールを使用できるかどうかを検討している。植生の異常増殖を発見できれば将来の山火事防止に役立つとともに公共事業の信頼性を高めることができる。

これを確かめるために、我々はSPOT(スポット)衛星の6月15日のデータを元に、San Francisco Chronicleが特定した地域を可能性の高い出火元として集中的に調べた。この山火事はDixie Road(ディキシー・ロード)のFeather River Canyon(フェザー川渓谷)付近から始まったことが報告されている。

画像クレジット:Spacept

次に当社のTree Detector(ツリー・ディテクター)を衛星写真に適用し、PG&Eが送電線周辺で伐採した道筋に木や植生の侵入がないかを調べた。

画像クレジット:Spacept

Tree Detectorはその送電線経路における一定レベルの異常増殖を検出した。その一部を拡大し、送電線の経路と植生を示すマスクを設定することで、危険増殖地帯の画像を生成した。

画像クレジット:Spacept

画像の青で示された部分は送電線経路の伐採された区域を表し、赤は高い木と植生の密度を、オレンジ色は中程度の植生密度を表わしている。

高さ40フィート(12メートル)以下の樹木境界線は送電線から15フィート(4.5メートル)以内にあってはならないというPG&Eの推奨を踏まえると、この地域にはその規則が守られていない高懸念地帯がいくつかあることがわかる。将来、PG&Eや他の電力会社は、このような異常増殖を事前に察知し、該当する地域に植生管理リソースを割り当てるためにSpaceptのような衛星に基づくソリューションを使うことができるだろう。

カリフォルニア州のように特に山火事の頻度が高く破壊的な場所では、山火事の数が少しでも減ることが、重要エコシステムとインフラストラクチャーの破壊防止につながる。そして関連する企業を数十億ドルの訴訟から救う。

点検を実施するためのスケーラビリティーと運用の障壁を越えるためには、経営における洞察力の改善が必要だ。衛星分析は実行可能な先見的取り組みであり、植生管理のための結果を取得するまでの時間を短縮する。

編集部注:本稿の執筆者Elijah Priwer(エリジャー・プライワー)氏はカリフォルニア大学バークレー校の機械工学科学生で、航空工学、人工知能、および宇宙物理学に興味を持っている。

Rita Rosiek(リタ・ロジーク)氏はニューヨーク拠点のコピーライター / マーケターで、業務範囲はスタートアップや新興技術にわたる。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Elijah Priwer、Rita Rosiek、翻訳:Nob Takahashi / facebook

カリフォルニア州は2030年までに自動運転車のゼロエミッション化達成を義務化

2030年から、カリフォルニア州で運用される小型車の自動運転車はゼロエミッションでなければならない。SB500はGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)カリフォルニア州知事は、米国時間9月23日に署名した法律で、温室効果ガスの排出削減を目的に、内燃機関の新車販売を制限するための最新の取り組みとなる。ニューサム知事は2020年に、2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する大統領令に署名した。同年、同州の大気資源局は、2045年までにカリフォルニア州で販売されるすべての新型トラックの排出量をゼロにすることを義務づけている。

Cruise(クルーズ)のグローバル・ガバメント・アフェアーズ部門の責任者であるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、Engadgetに寄せた声明の中で、「これが業界標準となることを確実にするためのカリフォルニア州のリーダーシップに感謝します。AV業界は、都市における温室効果ガスの排出量削減をリードする素地があり、そのために私たちは当初から電気自動車やゼロエミッションの車両を運行してきました」という。Cruiseは、自律走行型配送サービスのスタートアップであるNuroを含むEmission Zero Coalitionへの参加を通じて、SB500を支援した。

環境保護庁によると、2019年以降、米国の温室効果ガスの唯一最大の排出源は運輸部門であり、その半分以上を小型車が占めている。しかし、現在、カリフォルニア州の道路を走る約1500万台の自動車のうち、自律走行車はごく一部に過ぎない。さらに、カリフォルニア州で完全自律走行型タクシーサービスをテストしている代表的な企業であるCruiseWaymoは、電気自動車ハイブリッド車だけで車両を運用している。今回のカリフォルニア州の動きは、自律走行車が将来的に大きな汚染源となることを防ぐためのものであり、特に完全自動運転のタクシーサービスが通勤者の間で人気になれば、その危惧は現実のものとなる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Screenshot/GM

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラのバッテリー生産拠点「Megafactory」がカリフォルニアで着工

Tesla(テスラ)の大型バッテリーシステムMegapack(メガパック)を生産することからその名が付けられた新しい生産施設「Megafactory(メガファクトリー)」がカリフォルニア州で着工した。

これまで未発表だったこのニュースは、ラスロップ市のSonny Dhaliwal(ソニー・ダリワル)市長が、一度削除された後に再度投稿されたFacebookへの投稿で確認された。ダリワル市長は「Teslaの最新の拡張であるMegafactoryの本拠地になったことを誇りに思います」と述べている。「未来のグリーンエネルギーは、私たちのコミュニティで生産されることになります」。

カリフォルニア州北部の小都市ラスロップにあるこの工場は、フレモントにあるTeslaの自動車工場の近くにある。ラスロップには、Teslaの87万平方フィート(約8万平方メートル)の配送センターもある。

Megapackは、Teslaの他のエネルギーストレージ製品と同様に、ネバダ州スパークスにあるGigafactory(ギガファクトリー)で製造されていた。MegafactoryはMegapackに特化した最初の工場となるが、同社のPowerwall(パワーウォール)やPowerpack(パワーパック)など他のストレージ製品の生産が新工場に移行するかどうかは不明だ。

この新工場は、Teslaのエネルギー部門の成長を後押しするものだ。Megapackは、家庭用バッテリーであるPowerwallとは対照的に、ユーティリティースケールのエネルギーストレージを目的としている。太陽光発電所や風力発電所を建設する公益事業者は、余剰エネルギーを蓄えて後で送電するために、発電設備を大型バッテリーと組み合わせるケースが増えている。先週、アリゾナ州の電力会社Salt River Project(ソルト・リヴァー・プロジェクト)は、100メガワット時のMegapackプロジェクトを稼働させたばかりだ。

Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、2021年6月に行われた第2四半期の決算説明会で、これらのストレージ製品に対する「大きな需要」があることを確認し、Megapackは「来年まで基本的に完売した」と述べた。また、Powerwallの需要は年間100万台を超えると推定している。

マスクCEOは投資家に対して、ボトルネックの多くは単に生産能力の問題ではなく、セルの供給と世界的な半導体不足が生産量の上限を生み出していると語った。

「Powerwallには、自動車と同じチップがたくさん使われているので、どちらを作りたいのかという状態になります。クルマを作らなければならないため、Powerwallの生産量は減っているのです」という。

しかし、チップ不足は一向に解消される気配がなく、実際、ホワイトハウスは米国時間9月23日に、テクノロジーおよび自動車産業への継続的な影響に対処するため、半導体メーカーおよび購買担当者との2回目のサミットを開催する予定だ。

画像クレジット:Sonny Dhaliwal

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Yuta Kaminishi)

高級感とテクノロジーが両立したデザインを追求する自動車メーカーたち、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」開催

2021年の夏はモントレー、デトロイト、そして夏の終わりには英国オックスフォードで恒例のカーイベントが開催され、自動車コレクターが集結して高級車やビンテージカーを鑑賞し、オークションを楽しんだ。

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で多くのカーイベントが中止。2021年は屋外に高級車を集めたイベントが復活し、7月の「Goodwood Festival of Speed(グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード)」、8月の「Monterey Car Week(モントレー・カーウィーク)」「Woodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)」、そして9月上旬に開催された「Salon Privé(サロン・プリヴェ)」などのイベントでは、魅力的なクーペや派手なハイパーカーだけではなく、さまざまなクルマが展示された。

COVID-19の変異株「デルタ」の流行にもかかわらず集まった観客と、豪華な会場に並んだ自動車に対する彼らの反応は、ビンテージカー、そして未来の超高級車に対する抑えきれない興奮を反映したものだった。

Gooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークション・スペシャリスト、Angus Dykman(アンガス・ダイクマン)氏は「現地で参加できるオークションの需要が高まっていました」「私たちは現地でのセールスに強い関心があり、ビジネスは活発です。皆がさまざまな自動車を応援してくれました」と話す。

カリフォルニア州ペブルビーチの「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス2021」に出品されたPorsche 917(2021年8月15日)(画像クレジット: Getty Images、撮影:David Paul Morris / Bloomberg)

この屋外の展示には、新興自動車メーカーも歴史あるブランドも、未来を反映させた最新の自動車を顧客に提示する必要がある、という緊迫感があった。高級車メーカーにとって、8月のモントレーは、次世代モデルのデザインをアピールできる重要なイベントだ。Bentley(ベントレー)、Bugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)などの老舗の自動車メーカーに加え、新規参入のRimac Automobili(リマックアウトモビリ)やLucid Group(ルシードグループ)もモントレーでの存在感のアピールに資金を投じた。

ビンテージカーでもコンテンポラリーカーでも、その一貫したテーマは新しい顧客を惹きつける見事なデザインである。

マイクロチップが不足し、車両数も限られている中、カーコレクターは生産開始前から新型車の予約を行っていた。各ブランドのトップもコレクターたちと交流を図り、ペブルビーチでは、Ford Motor(フォード・モーター)のJim Farley(ジム・ファーレイ)CEO、メルセデス・ベンツ米国プレジデントのDimitris Psillakis(ディミトリス・プシラキス)氏、Aston Martin(アストンマーティン)のTobias Moers(トビアス・モアーズ)CEO、Lamborghini(ランボルギーニ)のMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)CTOなど、少なくとも十数名の経営幹部が目撃された。

現地時間2021年8月13日(金)、米国カリフォルニア州カーメルで開催された「The Quail, A Motorsports Gathering(ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング)」で、ブガッティ・オートモービルズのSAS Bolideを鑑賞する参加者たち(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg via Getty Images)

モアーズ氏は、アストンが建設した大きなスタンドからビンテージカーショーを見下ろし「私たちのラグジュアリーカービジネスに関していえば、この場所が最適です」と話す。「ここでは、これまで会ったことのない新しい顧客に出会うことができます。私たちのブランドは、F1(フォーミュラワン)でかつてないほどの注目を集めています」。

同社は未来のレース仕様のアストンを展示。F1マシンを中心に、ValkyrieやValhallaなど、アストンの今後の方向性を示す指標となっている。

「これは私たちのメッセージです」とモアーズ氏。「2020年は、誰もがアストンは終わったと思っていたでしょう。そこにLawrence Stroll(ローレンス・ストロール)氏が乗り込んできて、多額の投資をしてくれました。私たちは復活し、お客様との関係はかつてなく強化されています」。英国で多くの地域がロックダウンされている中、同社はベントレー、フォード、Porsche(ポルシェ)から新しい部門長を採用した。

モアーズ氏自身もパンデミックの最中に新しいCEOとして就任しているが、同氏は北米の従業員、ディーラー、顧客と初めて顔合わせをした。

Mercedes-AMG(メルセデスAMG)出身のモアーズ氏は自信に満ちた経営者で、電動化の経験が自分の強みになると考えている。同氏は「アストンは超高級車を開発しており、その美しさは昔から有名でした。新しい技術を使えば、もうどこにも妥協する必要はありません」と語る。

ペブルビーチの観客を魅了することも重要だが、同氏はアストンの中国でのビジネス、そしてメルセデスのエンジニアリングをアストンの事業拡大にどのように利用するかという点にも注目している。

「中国では北米とは異なり、18歳~30代の若い顧客層に対応する必要があります。それから60代以上。その間の購買層は今のところ存在しません。中国のペースは信じられません。世界の富豪層の増加という点では、中国とアジアがトップだと思います」。

アストンにとっての未来とは、電動化と車内のユーザーエクスペリエンスの再考であり、これはメルセデス・ベンツの前世代の技術を採用するという過去の計画を破棄することを意味する。

「私たちは、メルセデスのインフォテイメント(情報とエンターテインメントを組み合わせた造語)やHMI(ヒューマンマシンインターフェース)を使用しないと決めました。未来を見据えてHMIを構築するなら、もう少し魅力的なものが必要です」とモアーズ氏。同社はメルセデスのMBUXインフォテイメントを取り入れずに、ランボルギーニやApple(アップル)と仕事をしているイタリアのサプライヤー、ART(アート)と一緒に新しいインフォテイメントシステムを構築しているという。

アストンマーティンは、電動化という業界の要求に応えるため、メルセデスのV8エンジン技術を利用して効率化を図る計画だ。

パワー、情熱、テクノロジー

Audi skysphere concept(画像クレジット:Tamara Warren)

ペブルビーチでは、自動車メーカーの経営者たちの間で、コンプライアンス基準を満たすために新しい動力源を開発する一方で、顧客の自動車に対する情熱を維持し、最新の車内エクスペリエンスで新しい顧客を惹きつけるというテーマが浮上した。

1社でできることではない。オーダーメイドの小さな超高級車ブランドは、エンジンや電子プラットフォームの供給を大手自動車メーカーや親会社の投資に頼っている。また、開発には競争力のある人材が必要だ。その上で、これらの小さなブランドは、大企業とは異なる独自性を強く打ち出す必要がある。

ランボルギーニのレッジャーニCTOは次のように話す。「将来に向けて一年前から開発が続けられている最も重要で高価なものの1つが、電子プラットフォームと呼ばれるものです」「ユーザーが電子プラットフォームに触ることはできません。電子プラットフォームはまさしく自動車の神経系(nervous system)です。私たちはグループ内でこれを使おうとしています。そうすれば、従来の車両に使用されていたパーツの多くや、識別できなかったシステムやコンポーネントを使用することが可能になります」。

ランボルギーニはVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)の傘下にあり、ブガッティ、ベントレー、Audi(アウディ)、ポルシェなどの主要な競合車もフォルクスワーゲングループの企業である。

「グループで共有できるものは利用していますが、私たちは他とは違うことをしようとしています」とレッジャーニ氏。ランボルギーニはAmazon Alexaとのパートナーシップに着手した最初の自動車ブランドであり、顧客にAlexaが受け入れられたことで将来的な思考への扉が開かれたと話す。「『音』は、音声認識のフィルターを構成する手段です。未来を想像してみてください。トラブルが発生してランプが点灯しているときに、Alexaに『どうすればいいか教えて』と尋ねたとします。Alexaは、車を停め、サービスアシスタントを呼ぶようにと教えてくれます。そして人工知能が訓練されます」。同氏は、サウンドデザインと音声の新しい使い方を構築するためのデータ収集に取り組んでいるという。

しかし、目の肥えたランボルギーニの顧客には、高価なテクノロジーも時代遅れにならないような魅力的なデザインで魅せる必要がある。「デザインはランボルギーニを購入する1つ目の理由です」とレッジャーニ氏は話す。「しかし、従来のようにデザインが良ければそれでいい、というわけではありません。今や多くが、美学の中にエンジニアリングを統合したデザインになっています。車を構成する部品の1つ1つに機能性が求められます。そして空気力学と冷却の融合。PHEV(プラグインハイブリッドEV)の登場で、冷却系はますます複雑になりました。バッテリーマネジメントも今後ますます複雑になるでしょう。それらすべての要件を満足するクールなデザインが必要です」。

今という時代のテクノロジーとデザイン

モントレー・カーウィークに展示されたビンテージカーと比較すると、特にモータースポーツカーでは、空気力学と重量配分が常に車の設計原理を支配し、進歩を促してきたことがわかる。しかし、現代におけるテクノロジーとデザインとは、スピード、電動化、ADAS(先進運転支援システム)、コネクティビティなどが、時代を超越する洗練されたシステムに収められていることを意味する。レッジャーニ氏は「最も重要なポイントの1つは、必ず感動を呼び起こすデザインであることで、これは譲れない条件です」と話す。

未来をデザインするということは、その方向性を伝えることだ。急速に変化する世界で、高級車メーカーはそのペースに必死で追いつこうとしているが、これは非常に難しい課題である。モントレー・カーウィークに参加しなかったTesla(テスラ)は、同社のAIの発表をこの週に合わせて行った。テスラでさえも電動化を進化させようとしている。

モントレーで、完璧に手入れされ、限られた数しか生産されず、それゆえに数億円もの価値があるビンテージカーを運転することは魅惑的な体験だ。筆者は1957年式Mercedes-Benz 300 SLというエレガントなマニュアルトランスミッション(MT)オープンカーを太平洋沿いの道路で試乗し、(パンデミックにより入場料が高額な)この神聖な世界を少しだけ垣間見ることができた。

グッドウッド、ウッドワード、そして今週末に終了したサロン・プリヴェも同様に魅力的だったが、豪華な屋外イベントが終了した今、自動車業界は、輸送機関の未来に焦点を当てたショーに視線を移したようだ。

現地時間9月7日にミュンヘンで開幕したIAAモビリティ(旧フランクフルト・モーターショー)では、旧態依然の自動車ショーのイメージを一新しようとする自動車メーカーの姿勢が感じられ、より臨場感のある体験を楽しむことができる。展示されているEVのモデルやコンセプトの数々は、進化のスピードは金銭では予測できないものの1つであることを思い出させてくれる。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

アップルがApp Store外での決済方法への誘導ブロック禁止に、Epic Gamesとの裁判で

カリフォルニア州で行われているEpic Games対Appleの訴訟において、米国時間9月10日朝、判事がサードパーティによる支払いに関して「Fortnite」のメーカーに味方する判決を下した。事実上、判事はAppleが開発者に対して、AppleはApp Storeベースの収益化以外の代替決済のリンクを追加することを禁止することはできないという判決を下している。

Epic Gamesは、ゲーム購入が現金収入源であるiOSの料金をAppleが管理していることに長年悩まされてきた。

今回の判決では、以下のように述べられています。

Apple Inc.およびその役員、代理人、使用人、従業員ならびにこれらの者と積極的に協力または参加している者(以下「Apple」)は、開発者が(i)アプリ内での購入に加えて、購入メカニズムに顧客を誘導するボタン、外部リンク、その他の行動喚起をアプリとそのメタデータに含めること、および(ii)アプリ内でのアカウント登録を通じて顧客から自発的に取得した連絡先を通じて顧客と連絡を取ることを禁止するよう、永久的に拘束および差し止められるものとする。

この判決は、Appleと大規模開発者、特にApp Storeにおいてその収益の70%を占めるゲームカテゴリーの開発者との間で何年にもわたって繰り広げられてきた争いの結果だ。

2020年8月、Epic Gamesの「Fortnite」アプリが、Appleのアプリ内課金の枠組みを回避できる新しい決済方法を導入したことを理由にAppleから禁止された。その後、Epic GamesはAppleは決済システムの使用を企業に強制することで市場で力を乱用していると主張してAppleを提訴している。また、Epic GamesはGoogleも提訴し、他のアプリ開発者と共同でCoalification for App Fairnessを結成し、米国の州レベルでの法案作成のための個別の取り組みに関与するなど、アプリストア改革のための積極的な働きかけを行ってきている。

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その中には、日本の規制当局との和解により「リーダーアプリ」(購入したコンテンツへのアクセスを提供するアプリ)のポリシーを変更し、ユーザーがサインアップしたりアカウントを管理したりできる自社のウェブサイトを紹介できるようにしたことも含まれている。また、別の和解案には、アプリ内で収集した顧客の連絡先情報を使い、他の支払い方法を顧客に伝えることを許可するというものもある。韓国では、新しい法律によりAppleとGoogleは開発者が独自のサードパーティ製決済システムを使用することを認めざるを得なくなった。法律成立後、Epic Gamesは同市場のApp Storeに「Fortnite」を復活させることを求めたが、Appleはその要求を拒んでいる。

Appleは、App Storeのルールを環境の変化に適応させることを拒否し続けているのは、消費者保護のためだと歴史的に主張してきた。以前の声明では、アプリ内課金の代替手段を認めることは、ユーザーを詐欺のリスクにさらし、プライバシーを損なう可能性があるとしていた。

今回の判決により、Appleは開発者に対して、支払いができる他の場所へのボタンやリンクを含めるという選択肢を認めることで対応せざるを得なくなった。しかし「独占」とみなされなかったという意味では、Appleの勝利だ。Yvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンザレス・ロジャース)連邦地裁判事は、AppleとEpic Gamesの両社が関連市場をどのように定義しているかについて同意しておらず、モバイルゲームのデジタル取引において、Appleは独占していないと述べている。

「法廷は、Appleが55%以上というかなりの市場シェアと非常に高い利益率を享受していることを認めているが、これらの要素だけでは反トラスト行為であると示すことはできない。成功は違法ではない」とロジャース氏は述べている。

Appleの広報担当者は「本日、裁判所はApp Storeが独占禁止法に違反していないという、我々がずっと知っていたことを確認した」と述べている。「裁判所が認めたように『成功は違法ではない』のです。Appleは、事業を展開するすべての分野で厳しい競争に直面していますが、お客様や開発者がAppleを選ぶのは、Appleの製品とサービスが世界で最も優れているからだと信じています。私たちは引き続き、App Storeが安全で信頼できる市場であり、繁栄する開発者コミュニティと210万人以上の米国内の雇用を支え、ルールが誰にでも平等に適用されるよう尽力していきます」という。

この度の判決は、開発者コミュニティには長期的な影響を与える可能性がある。というのも、Appleは他の支払い方法を示すアプリに対応するために、規則を調整しなければならないためだ。例えば、アプリにApple独自のアプリ内決済オプションを選択肢として含めることを要求するようになるかもしれない。また「リーダーアプリ」を別のカテゴリーとして認定することは、今回の新しい要件を考慮すると、もはや意味がないと判断することもできる。これらに関する動きや決定は、今後数日のうちに展開されるだろう。

Epic Gamesが勝利できなかったのは、Appleを「独占企業」と呼んでしまったからだ。これは最終的には米国政府の規制につながる可能性のある、はるかに大きな問題だ。また、Appleはサードパーティのアプリストアやサイドロードを許可する必要はないが、App Storeビジネス全体の長期的な見通しに大きな影響を与える可能性がある。消費者にとっては、購入や価格設定のためにアプリを終了しなければならないためApp Storeがより複雑になる可能性がある。消費者が外部の決済システムを利用する場合、すべての購読契約を一括して管理することができなくなり、解約がより困難になる可能性もある。

訴訟の結果、ロジャース氏は、Epic Gamesが「Fortnite」に代替決済システムを導入した際に得た1200万ドル(約13億2000万円)のうち30%をAppleに支払わなければならないという判決を下したが、これは当時、Appleとの法的契約に違反していたためだ。

判決を受けて、Epic GamesのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は「Fortnite」は「Appleのアプリ内課金との公正な競争」のもと、アプリ内課金を提供できる時と場所でApp Storeに復帰し、その節約分を消費者に還元するとツイートしている。

「また、非常に複雑な訴訟を迅速に対応してくれた裁判所にも感謝しています。私たちは、これからも戦い続けます」。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Brian Heater、Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)