キャデラックが贅沢さと最新技術を満載した電気SUVのフラッグシップLyriq発表

GM(ゼネラルモーターズ)は米国時間8月6日、キャデラックLyriq(リリック)を発表した。完全に電化され、贅沢さと最新の技術が同時に詰め込まれた車だ。300マイル(約483km)以上の航続距離は、ブランドを新しい電化時代に押し進めることを目指している。

とはいえキャデラックの新時代は、もう少し待つことになりそうだ。同社は、Lyriqは2022年後半に米国で生産が始まると語った。今回の発表から2年以上先のことになる。キャデラックLyriqはグローバルな製品となり、中国への進出も考えられている。キャデラックによれば、中国での生産は米国より先に始まるとのことだ。

Lyriqは、GMが2023年までに市場に投入する予定の20種類の電気自動車(EV)の1つに過ぎない。だがこの車は、キャデラックブランドにとって重要なものになるだろう。GMのグローバルデザイン担当バイスプレジデントのMichael Simcoe(マイケル・シムコー)氏は「Lyriqは将来のキャデラックの基準を定める車です」と発表の際に語った。

Lyriqは「ブラッククリスタル」のグリルやジュエリーボックススタイルの引き出しにはじまり、33インチの縦型LEDタッチスクリーンディスプレイ、AKGサウンドシステムに至るまで、キャデラックの顧客が期待するような贅沢なタッチを体現した車だ。

キャデラックは、Lyriqに低くて流れるようなルーフラインと幅広の姿勢を与えることによって、モダンでアグレッシブなデザインを目指した。この「ブラッククリスタル」グリルは、「振り付け済」のLED照明を備えたダイナミックな機能を持ち、オーナーが車両に近づくと光で挨拶を行う。このLED照明は、後方のスプリットテールランプへと続いていく。

車両の内部には、バックライト付きスピーカーグリル、隠しストレージを備えた曲面スクリーン、および動的な外部照明と似た協調式照明機能が備わっている。

Lyriqは後輪駆動構成と、高出力の全輪駆動構成で提供される。同社の内部テストによれば、その100kWhのバッテリーパックは、300マイル(約483km)以上の航続距離を実現する。150kWhを超えるDC高速充電レートと最大19kWのレベル2充電レートが備わっている。

キャデラックLyriqは次世代バッテリー技術を大胆なデザインと組み合わせて、同ブランドの新世代EVに新しい顔、プロポーション、そして存在感を与える。写真はショー用のものであり、実際に売られるものではない。ここに提示されたもののいくつかは実際の製造モデルには登場しない可能性がある。画像クレジット:Cadillac

Lyriqに組み込まれた技術には、数年前にキャデラックCT6でデビューした、Super Cruise(スーパークルーズ)と呼ばれるハンズフリードライバー支援システムの最新バージョンも含まれている。Super Cruiseはライダーマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー、および運転者モニターシステムを組み合わせて使用するシステムだ。運転者モニターシステムは、ハンドルを握っている人間をモニターし、注意を払っていることを確認する。 Tesla(テスラ)のオートパイロットドライバー支援システムとは異なり、Super Cruise のユーザーは手をハンドルに添えている必要はない。しかし、ドライバーはまっすぐ前方を見ていなければならない。

Lyriqには、デュアルプレーンAR拡張ヘッドアップディスプレイも付属する。ドライバーの視線のフロントガラスに投影されるヘッドアップディスプレイには、速度と方向を示す手前の面とナビゲーション信号やその他の重要な警告を表示する奥の面がある。階層的に表示される。

買い手を引き付けるためには、車は視覚的に魅力的でなければならない。しかし、Lyriqの基礎を支える基盤部分は、GMが最大の賭けを行った場所だ。2020年初めにGMはビュイック、キャデラック、シボレー、GMCを含むすべてのブランドの幅広い製品をサポートするUltiumという新しいスケーラブルな電気アーキテクチャに依拠したEVを製造および販売する包括的な計画を発表した。そのEVポートフォリオには、コンパクトカーや作業用トラックから、大型のプレミアムSUVや高性能車両まで、あらゆるものが含まれている。

「Ultium」と呼ばれるこのモジュラーアーキテクチャは、19種類のバッテリーおよびドライブユニット構成、50kWhから200kWhの範囲のストレージを持つ400Vもしくは800Vパック、そして前輪、後輪、および全輪駆動構成を提供することができる。この新しいモジュラーアーキテクチャの中心となるのは、新しい工場で製造される大判パウチバッテリーセルだ。

GMによれば、Ultiumのバッテリーは、陰極にアルミニウムを使用することでコバルトのような希土類材料の必要性を減らす、ニッケル=コバルト=マンガン=アルミニウムの化学反応を使っている。同社は、現在のGMバッテリーと比較してコバルト含有量を70%以上削減することができたと表明している。

最近GMは、Ultiumバッテリーセルとパックを大量生産する、300万平方フィート(約27万9000平方フィート)の 工場の建設を開始した。オハイオ州ローズタウンに建設されるこのUltium Cells LLCバッテリーセル製造工場は、2019年12月に発表されたGMとLG Chemの合弁事業の一部だ。発表時、両社は新合弁事業に最大23億ドル(約2436億円)を投資し、オハイオ州北東部のロードスタウン地区にあるグリーンフィールド製造地区にバッテリーセル組立工場を設立し、1100人以上の新規雇用を創出することを約束した。工場は年間30GWhの生産能力を備えることになる。

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画像クレジット:Cadillac

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(翻訳:sako)

新しいビーストはキャデラックCT6――2018年版大統領専用車がニューヨークに現れた

大統領専用車の最新モデルがニューヨークの公道上で目撃された。その重装備から「ビースト」と呼ばれる大統領リムジンは、今回もキャデラックがベースだった。同型リムジン2台が作成されて車列に入り、大統領のセキュリティをさらに高める。

GMが製作した新しい装甲リムジンはキャデラックCT6がベースだ(よく観察するとキャデラックEscaladeの影響も感じられる)。 オバマ政権時代に製作された現行モデルはキャデラックDTSベースだった。

大統領の身辺警護を担当するシークレットサービスは大統領専用車の製造にあたって詳しい仕様を指定する。大統領の執務に必要な各種の室内装備はもちろん、強固な防弾能力やその大重量に耐えられる強化シャーシーなどだ。このためシャーシーはGMのトラックのプラットフォームが用いられる。セキュリティー上の理由により技術的詳細は明かしていないものの、GMの広報はTechCrunchに次のような声明を送ってきた。

アメリカの偉大な伝統の一部である大統領専用車の設計、製造を任されたことはGMの大きな名誉だ。数多くの大統領に仕えてきたキャデラック・リムジンの豊かな遺産を受け継ぎ、新しいキャデラックもGMのスタイルとクラフツマンシップを十分に活かしたものとなっている。デトロイトでデザインと製造が行われたこのリムジンはキャデラックCT6に外観が類似している。残念ながらセキュリティー上の理由によりそれ以上の詳細を明かすことはできない。

GMは連邦政府が「次世代パレード・リムジン・プログラム」と呼ぶ1580万ドルの契約を勝ち取っていた。GMはこれ以外にも自動車や関連する補給に関し数千万ドルに上る契約をシークレットサービスと結んでいる。

さる日曜にニューヨークの公道で装甲CT6が目撃された背景は、今週マンハッタンの国連本部で開催される総会に大統領が出席するためだろう。シークレットサービスは新リムジンについてTwitterに写真付きで投稿していた。

新しいプレジデンシャル・リムジンがこれまでのモデルと同様の機能を備えているなら分厚い防弾ガラスから大統領の血液型に対応した血液製剤、化学兵器に対抗する空気ボンベまでほとんどあらゆる攻撃に耐える生存性があるはずだ。

キャデラックDTSベースの現行ビーストは2009年にオバマ大統領の就任式でお目見えした。タイヤは19.5インチ、乗客定員5人、インテリアには大統領用の折りたたみデスクなどを備える。

〔日本版〕大統領専用車のヘッドライトはEscaledeに似ている。

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滑川海彦@Facebook Google+