GooglePlayストアがインドのPaytmアプリを一時削除、度重なるポリシー違反で

【更新】インド標準時9月18日19時(日本時間9月18日22時30分)にPaytmアプリが、インドのGoogle Playストアに復帰した。元の記事は以下のとおりだ。

Google(グーグル)はインドの金融サービスアプリであるPaytmを、ギャンブルに関するポリシーに違反したとしてPlayストアから削除した。Paytmはインドで評価額が最高のスタートアップで、月間アクティブユーザー(MAU)は5000万以上と主張している。インドでGoogle Payと競合するPaytmはユーザー間で送金できる機能も備えており、米国時間9月18日の朝Playストアから姿を消した。

グーグルによると、Playストアではインドでのスポーツベッティングを促進するオンラインカジノや、その他の規制のないギャンブルアプリを禁止しているという。「アプリ内でファンタジースポーツサービス推進してきたPaytmは、Playストアのポリシーに違反する行為を繰り返していた」とこの件に詳しい情報筋2人がTechCrunchに語った。Paytmのファンタジースポーツサービスは「Paytm First Games」と呼ばれ、スタンドアロンアプリとしても提供されていたが、これもPlayストアから消されてしまった。

【Japan編集部注】ファンタジースポーツサービスとは、実在する選手を使って仮想もしくは架空のスポーツチームをユーザーが作り、実際の試合での各選手のパフォーマンスによって自分のチームのポイントが加減され、最もポイントを得たユーザーが勝利するというルールのゲームで、一部はギャンブルと結びついているケースもある。

ほかのほとんどの市場でギャンブルの周りに同様のガイドラインを維持しているAndroidメーカーやアプリは、消費者がリアルマネーや賞金を獲得するために有料トーナメントに参加することができる。外部のウェブサイトにつながる場合、そPlayストアのポリシーに違反しているとみなされる。

グーグルがインドの多くの企業に送ったメールに対して、TechCrunchが各企業に調査したところによると、グーグルは開発者に対して、スポーツベッティングアプリのインストールファイルを提供するウェブサイトにユーザーを誘導するために、アプリ内のすべての広告キャンペーンを一時停止するよう求めているという。

ちなみにグーグルのGoogle Payアプリは現在、インドの決済市場を支配しており、Androidは同国のスマートフォン市場シェアの約99%を占めている。

Paytm:Paytmユーザーの皆さん

PaytmのAndroidアプリは、新しいダウンロードやアップデートのために、GoogleのPlayストアで一時的に利用できなくなっています。しかし、すぐに利用再開になります。

みなさんの資金はすべて完全に安全で、通常どおろりPaytmアプリを楽しむことができます。

本日のグーグルからの発表は、9月19日から始まる人気クリケットトーナメント「Indian Premier League」に先立って、ほかのデベロッパーにPlayストアのギャンブルについての方針を思い出させるための同社の先制的な試みでもある。

IPLのこれまでのシーズンは約2カ月間続き、何億人ものインド人の注目を集めた一方で、スポーツ賭博の宣伝や参加を目的としたアプリが急増している。インドではスポーツ賭博は禁止されているが、ファンタジースポーツで、好きな選手を選んで好きなチームや選手が活躍して優勝して賞金を得るというのは、インドのほとんどの州で違法ではない。

情報筋の話では、グーグルはインドで最も人気のあるオンデマンドのビデオストリーミングサービス「Disney+ Hotstar」に、ファンタジースポーツアプリの広告を見せる前には警告を表示するよう求めた。

Androidのセキュリティとプライバシーを担当している副社長Suzanne Frey(スザンヌ・フレイ)氏は「私たちは、万一の被害からユーザーを護るためにこれらのポリシーがあります。ポリシーに違反しているアプリは、開発者に違反を通告するとともに、そのアプリをコンプライアンスに準ずるまでGoogle Playから削除します」とブログと書いている。

加えて「ポリシー違反が繰り返される場合は、 Googleプレイ開発者アカウントの停止を含む、より重大なアクションを取る可能性があります。当社のポリシーは、すべての開発者に一貫して適用され、実施されます」と付け加えた。

CNBC TV 18とのテレビインタビューで、Paytmの共同創業者兼CEOのVijay Shekhar Sharma(ビジェイ・シェカール・シャルマ)氏は「グーグルはPaytmに新規ユーザの獲得を許可していない」と非難した。

同氏はグーグルが以前にもPaytmに接触したことを認め、Paytm First Gamesについて懸念を表明したものの、Paytmのメインアプリの問題は「顧客へのキャッシュバックにすぎない」とのことだった。

「キャッシュバックは、クリケットをテーマにしたスクラッチカードの形で発行された」とシャルマ氏は説明し、「もしPaytmが顧客にキャッシュバックを発行することが許されないのであれば、すべてのプレーヤーに同じルールが適用されるべきだ」と付け加えた。Google PayとWalmart(ウォルマート)のPhonePe(フォーンペ)は、インドで同様のインセンティブを顧客に提供している。

「これはインドのアプリエコシステムの問題です。非常に多くの創業者が私たちに連絡してきました。もし、私たちがこの国がデジタルビジネスを構築することができると信じるならば、この国の規則や規制ではなく、そのビジネスを祝福するのは誰か他の人の手にあることを知っておく必要がありますx」とシャルマ氏はコメントした。

Paytmの社長を務めるMadhur Deora(マデュール・デオラ)氏はTechCrunchとのインタビューで、「本日、グーグルはPaytm First Gamesアプリについて何の問題も提起しなかった」と語った。同氏によると、Paytmは9月18日の早い時期に、キャッシュバック用のクリケットをテーマにしたステッカーを公開したという。その数時間後、グーグルは異議を唱えてアプリを一時停止し、同社は新機能を取り下げ、アプリの改訂版をPlayストアに再提出したと述べた。

一方、インドファンタジースポーツ連盟(FIFS)は、いくつかのファンタジースポーツ企業を代表する「業界団体」であり、Playストアを通じてファンタジースポーツを配布したり、促進したりする企業への措置を取るためにグーグルに苦情を申し立てたと主張している。

マニッシュ:シン:一部のファンタジースポーツ企業を代表するDream 11の親会社が影響力を持つ「業界団体」は、グーグルに対してPlayストアを介してファンタジースポーツを販売・宣伝する企業に対して何らかの措置を講じるよう要求したと主張している。

インドで最も人気のあるファンタジースポーツアプリの「Dream11」の親会社であるDream Sportsは、FIFSの設立メンバーだ。現在Dream11アプリはPlayストアでは利用できない。TechCrunchが入手した会員へのメッセージの中で、FIFSは次のように述べている。

「私たちは、事業規模にかかわらずすべての会員を保護し、すべての会員と非会員を同じように扱うために日々努力しています。これは初めてのことではなくFIFSの中で定期的に実施されていることで、今回もメンバーに代わって報告・懸念を表明するものです」とFIFSの広報担当者は現地時間9月18日の夜にTechCrunchに声明を出した。

「過去には、Dream 11とMyTeam 11の姉妹ブランドである、FanCodeとSportsTigerがFantasy Sports Appsのプロモーションを行った際、Google Playストアのポリシーに違反したとして削除されたことがあります。PaytmのPlayストアアプリはPaytm First Gamesを宣伝し、Times Internet AppsはMPLを宣伝することが許されていたため、FIFSはすべてのファンタジースポーツアプリをPlay Storeアプリで宣伝できるようにすることで、公平な競争条件を確保することをグーグルに明確に要求しただけでした。FIFSは、MPLやPaytmのようないかなる企業に対しても、いかなる悪影響も及ぼすことを求めたり望んだりしていないことを記録したいと考えています」と付け加えた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

カーネギーメロン大学のAIは不完全情報ゲームに挑戦、ポーカーの最強のプロたちに勝つ

今日(米国時間12/18)発行されたScience誌上の研究論文によると、カーネギーメロン大学コンピューターサイエンス部の研究者たちが開発したAI Libratusが、もっとも難しいポーカーとされる無制限テキサスホールデム(No-limit Texas Hold’em)で、最強のプロたちに勝った。この形のポーカーはとくに2000年代の初期から中期にかけてのバブル期に、全国的に流行った。

このニュース(?)が重要なのは、無制限テキサスホールデムが“不完全情報ゲーム”と呼ばれているからだ。それは、ゲームプレイのすべての要素に関するすべての情報が、終始すべてのプレーヤーにわかっていない(==未知の情報が必ずある)、という意味だ。それは囲碁やチェスなどのゲームとは対照的で、これらのゲームでは盤上のピースとそれらの位置がゲーム情報のすべてなので、両方の対戦者に完全にわかっている。

CMUのチームは今年の1月にLibratusとその初期の成功について詳しいペーパーを発表しているが、今日の完全な科学論文では、その後の進歩を説明し、このきわめて人間的なゲームでどうやって人間に勝てたかを詳しく述べている。

Libratusがとくにおもしろいのは、ポーカーではブラフ(はったり)が勝負の鍵を握っているからだ。いつどんなブラフをかませるかで、プロとアマの違いがわかる。そしてブラフは、それぞれのブラフに明確な意味がないから、不完全情報の典型だ。ブラフの意味は、客観的な情報ではなく、予想や推測という人間の主観に依存している。

しかもポーカーは、多くの手(hands, 持ち札)を経過することによって成立し、最終的に勝つためには途中でわざと負けることもある。これもやはり、コンピューターには苦手(にがて)な複雑性だ。

プロの賭博師たちvs.Libratusの勝負には20日間を要し、手数の総数は12万手、賭け金総額は20万ドルに達した。Libratusが最強のプロたちを打ち負かしたテクニックは、研究者たちの言葉によると、必ずしもポーカーでしか役に立たないテクニックではなく、一般的にそのほかの不完全情報ゲームにも応用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa