クックパッド、JR東日本と連携し駅改札で食材を受け取れるサービスをトライアル実施、利用料無料

クックパッドがJR東日本と連携し駅改札で食材を受け取れるサービスをトライアル実施、利用料無料クックパッドは2月2日、生鮮食品ECプラットフォーム「クックパッドマート」(Android版iOS版)で購入した食材を、JR東日本の駅改札で受け取れるサービスのトライアルを開始したと発表した。JR東日本とJR中央線コミュニティデザインとの連携により実現したもので、受け取りサービス利用料は無料。

対象となる駅は、根岸線磯子駅、横浜戦小机駅、南部線稲城長沼駅、南部線・武蔵野線の府中本町駅。今後、横浜駅と川崎駅についても準備が整い順次開始する(決定次第、別途発表)。それぞれの駅ごとに受取可能時間や対象期間が異なるため、以下画像を参照のこと。

受け取りサービスを利用する場合は、クックパッドマート専用アプリを利用し、注文時に受取場所と日付を選択する。いくつか注意事項があり、受け取り可能期間はアプリに表示される日時のみで、受け取り日時を過ぎた場合の再配達はない。また、受け取る駅まで移動が必要な場合、有効な乗車券類が必要となる。列車の運行不能・遅延などにより改札の混雑が発生した場合は、待ち時間が発生してしまう可能性がある。緊急対応や極度の混雑や係員不在といったやむを得ない理由により受け取りができなかった際は、駅ではなくアプリで運営に連絡を入れる必要がある。

レシピサービス「クックパッド」がアプリ内に送料無料の買い物機能を追加

レシピサービス「クックパッド」がアプリ内に送料無料の買い物機能を追加

クックパッドは10月15日、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」において、買い物機能の提供開始を発表した。同機能は現在、iOS版「クックパッド」アプリでメールアドレスまたは電話番号を登録済みの者のみ利用可能。提供エリアは東京都・神奈川県の一部地域。

買い物機能は、「クックパッド」アプリ画面下部の「かいもの設定」アイコンから、利用したい受け取り場所の選択すると、初期設定が完了。以降は「かいもの」タブ、もしくはレシピページから商品を購入できる。

レシピサービス「クックパッド」がアプリ内に送料無料の買い物機能を追加

料理に必要な買い物とレシピ検索が「クックパッド」アプリ内で完結し、レシピから数タップで料理に必要な食材を注文可能。近隣地域の生産者や市場直送の新鮮な食材を、1品から送料無料で購入できるようになる。

同機能には、農作物の生産者、地域の農畜産物が集まる直売所、精肉店・豆腐店・チーズ店などの専門店、卸売市場の鮮魚・畜産・青果などの仲卸、飲食店・惣菜店などの多様な生産者が400店以上出店済み。

レシピサービス「クックパッド」がアプリ内に送料無料の買い物機能を追加

購入した商品は、出荷当日に新鮮な状態のまま、地域に設置された生鮮宅配ボックス「マートステーション」に送付される。自分の選んだマートステーションに帰宅途中に立ち寄って商品を受け取れるため、仕事帰りにスーパーに寄る時間のない方や、買い物をする時間がない方でも利用できるとしている。

マートステーションは、東京都・神奈川県を中心に約200ヵ所に設置済み。各地域に設置された共同集荷所へ近隣の生産者が商品を出荷、その日の夕方には各地のマートステーションまで配送されるため、地域の食材を高い鮮度を保ったまま届けられるとしている。

レシピサービス「クックパッド」がアプリ内に送料無料の買い物機能を追加

「マートステーション」対象地域(一部が対象となる地域も含む)

  • 東京都: 港区、目黒区、世田谷区、渋谷区、中央区、千代田区、新宿区、文京区、墨田区、台東区、荒川区、豊島区、中野区、杉並区、三鷹市、狛江市、練馬区、板橋区、北区、江東区、品川区、大田区、武蔵野市、調布市 、江戸川区、葛飾区、足立区、西東京市、小金井市、府中市、町田市
  • 神奈川県: 高津区、宮前区、中原区、幸区、港南区、西区、多摩区、青葉区、鶴見区、神奈川区、南区、磯子区、中区、麻生区、緑区、旭区、瀬谷区、中央区、港南区、川崎区、都筑区、大和市、座間市
  • 埼玉県: 和光市、朝霞市、新座市

また、総戸数100戸以上のマンションの居住者からマートステーション設置のリクエストを受け付けているという。管理組合・管理会社向けにも、オンラインでの設置申し込み・問い合わせ・資料請求を随時受け付けている。

マートステーション設置に伴う初期費用・毎月の運用費用・電気代は一切かからない。設置工事も不要で、電源のある屋内であれば、どこでも設置できる。居住者のみ利用可能にするセキュリティコードや、購入者のみがQRコードでの解錠できるシステムにより、セキュリティについても安心して利用できるとしている。またマートステーションは、申し込みから3週間〜1ヵ月程度で導入可能という。

小売事業者との連携も展開中で、導入費用は一切なく、日々の運用に伴うコストに関しては維持協力金制度を利用し補填できる。

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カテゴリー: ネットサービス
タグ: クックパッドクックパッドマート日本

クックパッドが不動産領域の新事業、理想のキッチンを軸に部屋を探せる「たのしいキッチン不動産」公開

料理レシピサービス「クックパッド」などを展開するクックパッドは2月27日、理想のキッチンから部屋を探せる不動産情報サイト「たのしいキッチン不動産」をリリースした。

たのしいキッチン不動産は、住宅のキッチン環境をより良くすることを目的とした「たのしいキッチン」事業の第一弾サービスという位置付けだ。同サービスはグッドルームと提携して提供。まずは東京都内の一部地域(渋谷区、新宿区、目黒区、品川区、世田谷区、その他)からスタートし、対象エリアを順次広げていく計画だという。

部長としてたのしいキッチン事業部を牽引するのは、2018年8月にクックパッドが買収したウミーベの創業者でもある渡部一紀氏(界隈ではカズワタベという名前の方が知られているかもしれない)。渡部氏は「クックパッドやクックパッドマートは自宅に料理をするための環境が整っていることを前提としたサービス。料理を楽しむ人を増やすためには、その人たちが快適なキッチンのある住宅を見つけられるような仕組みが必要だと考えた」と不動産領域で新サービスを始めた背景を語る。

細かいキッチンスペックごとに物件検索、独自のキッチンスコアも

一言で紹介すると、たのしいキッチン不動産は「キッチン設備を軸に物件が探せる不動産情報サイト」だ。基本的な構造は引越しの際などに多くの人が使った経験があるであろう物件検索サイトと同じで、条件を入力すると該当する物件をリストアップできる。要は非常にシンプルなサービスだ。

ただありそうでなかったのが料理好きな人をターゲットとして、キッチン設備に焦点を当てていること。「3口コンロ以上」「魚焼きグリル付き」「大型冷蔵庫対応」「広々調理スペース」「広々シンク」など、かなり細かいキッチンスペックごとに物件を絞り込める。

物件ページではキッチン全体だけでなく設備や収納の中身の様子がわかる詳細写真を複数枚掲載し、調理スペースの広さやシンクの大きさなどの情報も記載。さらにユニークな取り組みとして、各物件ごとに「KiT(キット)」という独自の“キッチンスコア”が算出されている。

このスコアは調理スペースの広さや収納力などを基にキッチンの充実度を数値化したもの。ユーザーにとってはキッチンの総合力をひと目で把握したい場合に便利な指標となっていて、スコアの高い順に物件を並び替えることも可能だ。

「キッチンの重要度が高い人にとって、キッチンで物件を選ぶための基準となる指標が存在しなかった。指標があればそれを使って気になる物件を比較したり、スコアが高い順から物件を探したりといった使い方もできる」(渡部氏)

現時点では掲載物件数もかなり限られているし、「SUUMO」を始め他社サービスの方が自分にとっては使い勝手がいいという人も少なからずいるだろう。

一方で「SUUMOのようになんでも載っているサイトではないけれど、料理を楽しみたい人にとっては1番満足できるサイトを目指している」と渡部氏が話すように、物件を探す際にキッチン環境を重要視している人にはかなり響くサービスと言えそうだ。

料理を楽しみたい人が自分に適した住宅を見つけられる場所へ

近年、未婚率の増加や核家族化の影響などから単身世帯が増加していて、2040年には単身世帯の割合が約40%に達するとの予測もある。

単身世帯用の賃貸住宅でネックになるのが狭い調理スペースだ。特に都内の単身世帯向け賃貸住宅では約4割が延べ面積29m²以下。キッチンはまな板も置けないほど調理スペースが狭かったり、コンロが一口しかなくて同時調理が難しかったり、 調理器具や食器を収納するスペースが少なかったりといったように、料理しづらい環境であることも多い。

東京圏への人口集中や単身世帯の増加が進めば、不便なキッチン環境の住宅に住む人がさらに増えることも予想される。そうなれば料理を楽しむ人も減り、クックパッドにとっても望ましい状況ではない。

渡部氏は新規事業を考えるにあたり様々なアイデアを検討したそうだが、最終的に「物理的なキッチン環境」に注目したのはそんな社会背景も影響しているそうだ。

「自分自身、1Kの部屋に住んでいた時はキッチンスペースが狭くてほとんど料理をしなかったが、キッチンにゆとりがある部屋に引っ越してからは料理が楽しくて自炊の機会も増えた。料理を楽しめるかどうかは物理的なキッチン環境によって大きく左右され、その環境が整っていないことが根本的な課題なのではないかと気づいた」(渡部氏)

実際にクックパッドが都内に住む25〜54歳の男女500人に対して実施したアンケートでは、引越し先の物件を選ぶ際に重要視される「家賃」「駅までの距離」「リビングの広さ」といった条件を妥協しても「充実したキッチン環境がある物件を選ぶ」と答えた人が過半数を超える結果となり、物件探しにおけるキッチン環境を重視するニーズが見えてきたとのこと。

別途実施したインタビュー調査でも「キッチン設備や広さが、料理のしやすさに大きく関わってくる」ことや「キッチン利用頻度が高い人は、キッチン環境の良し悪しが日々のストレスに影響するため、物件選びにおいてキッチン環境を重視する」などの傾向が掴めたという。

そこで「キッチンが充実した環境づくり」をテーマに具体的なプロダクトの方向性を模索。すでにキッチンの充実した物件自体はいくつも存在するものの、それらになかなかスポットライトが当たっていない状況に目をつけ、キッチンにフォーカスした物件検索サイトを立ち上げた。

「料理は好きだけど、充実したキッチン環境がないことで諦めてしまう人も中にはいる。まずは料理を楽しみたい人が自分に適した住宅を見つけられる仕組みを確立する。この仕組みが広がれば、キッチンが充実した住宅が目立ちやすくなり、注目されやすくもなる」

「キッチンスコアを作った理由の1つは、部屋探しの際の参考指標として使ってもらえるようになればスコアが高い物件ほど入居者が決まりやすくなり、最終的にキッチンを良くすることが不動産価値の向上にも繋がる可能性があると考えたから。そうなれば不動産住宅会社もキッチンを重視した住宅を供給しやすい。ゆくゆくはスコアを広く流通させたいと考えていて、そうすることで世の中の住宅のキッチン環境をより快適にし、誰もが毎日の料理を楽しめるような社会を目指したい」(渡部氏)

クックパッドがスマートキッチン業界カオスマップ2019上半期版を公開

クックパッドは7月18日、スマートキッチン(フードテック)業界のカオスマップを公開した。デリバリー、オンラインストア、レシピサービス、ツール、ロボット、次世代食品などまさにカオスといえるマップとなっている。

TechCrunchでもたびたび取り上げているデリバリー領域(Food Delivery)には、AmazonやInsta Cartなどが入っている。このほか世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートが年間98ドルのDelivery Unlimitedというグローサリー配達購読サービスを開始するなど、米国では熾烈な競争となっている。

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次世代食品(Next- Gen Food)では、Impossible FoodsやBeyond Meatなどが入っている。いずれも牛肉の代替として植物由来の素材を使っているが、最近では豚肉の代替品を開発したPhuture Foodsなどもある。

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クックパッドは、レシピサービス(Recipe Service)に入っている。国内の競合としてはそのほか、delyのkurashiruやエブリーのDELISH KITCHENなども入ってくるだろう。

調理ロボット(Cooking Robotics)には、たこ焼きロボや朝食調理ロボなどを開発するコネクテッドロボティクスが入っている。同社のたこ焼きロボは、関東エリアのイトーヨーカドー内への順次導入が決まるなど、身近な存在になりつつある。

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国内外のフードテックのプレイヤーをまとめた力作なので、公開元の記事もぜひチェックしてみてほしい。

1品注文OKで送料無料の生鮮食品EC「クックパッドマート」にAndroid版登場

クックパッドが手がける生鮮食品のECサービス「クックパッドマート」にAndroid版アプリが登場した。

クックパッドマートはアプリで必要な食材を選択するだけで生鮮食品が手に入るECサービスだ。同サービスは、スーパーなどの大型店ではなく、街のパン屋さんや精肉店などの小規模店舗や農家の人々とパートナーシップを結んでいる。それらの店舗が扱う「こだわりの食材」をアプリで購入することが可能だ。

だが、クックパッドマート最大の特徴は、それらの食材を1品から注文でき、しかも送料もかからないということ。購入した商品は地域にある「受け取り場所」と呼ばれるピックアップ地点(ドラッグストアやカラオケなどの店舗)まで届けられ、ユーザーがそこに商品を取りに行くという仕組みだ。

クックパッドマートは2018年9月にサービス開始。当初は2箇所だった受け取り場所は現在、東京都渋谷区や目黒区を中心に14箇所まで拡大。また、これまでは商品を翌日に届けるためには配送前日の午後6時までに注文しなければならなかったが、Androidアプリ公開と同時に発表したアップデートで、その時間を「配送当日の午前2時」までへと延長するなど、サービスの利便性は徐々に高まっているようだ。

ただ、ユーザーが受け取り地点まで取りに行くというサービスの仕組み上、この数字をできるだけ早く増やすことが直接サービスの利便性につながることを踏まえると、まだまだ受け取り箇所は少ない印象を受ける。しかし、1品から注文できて、かつ送料無料という同サービスは、特に共働き世帯などには非常に便利なサービスと言えるだろう。

まだ東京都内に住むユーザー限定のサービスではあるが、気になる読者は今回発表されたAndroid版、または以前からリリースされているiOS版をチェックしてみてほしい。

クックパッドとパナソニックが食の領域でタッグ、“新しい料理体験”の創出目指す

クックパッドが展開するスマートキッチンサービス「OiCy」と、パナソニックが手がけるくらしの統合プラットフォーム「HomeX」。この両者が“新しい料理体験”の創出を目指してタッグを組むようだ。

クックパッドとパナソニックは12月6日、OiCyとHomeXが食・料理領域における戦略的パートナーとして共同開発を開始することを明らかにした。

以前詳しく紹介しているOiCyは「人と機器とレシピをつなぐ」スマートキッチンサービスだ。クックパッドに投稿されたレシピを機器が読み取れる形式(MRR: Machine Readable Recipe)に変換してキッチン家電に提供することで、レシピに合わせて機器を自動で制御できる仕組みを提供。

人と機器が協調することで“楽”と“美味しい”を両立し、かつ流れを止めないスムーズな料理体験の実現に取り組んでいる。

一方のHomeXは10月から本格始動した、くらしの統合プラットフォーム。家全体と生活シーンを総合的にとらえ、そこにインターネットやソフトウェア技術を融合することで「くらしのアップデート」を目指したプロジェクトだ。

今回のパートナーシップは料理に関するノウハウやデータを持つクックパッド(OiCy)と、家電から住宅設備まで「くらし」に関するさまざまな事業を手がけてきたパナソニック(HomeX)が、それぞれのアセットを活用して共同開発を進めるというもの。

具体的には『くらしの中で人と家が寄り添う「新しい料理体験」』の創出に向けて、HomeX対応住宅向けのサービスや新機能の開発に取り組む計画だという。

そういえば前回取材した際にクックパッドのスマートキッチングループでグループ長を務める金子晃久氏は「スマートキッチンの構想はクックパッド単体では実現できない」という話をしていた。

8月にはすでに10社とのパートナーシップを発表していたけれど、HomeXとのタッグでは今後どのようなサービスが生まれるのか、気になるところだ。

1品注文OKで送料無料の生鮮食品EC「クックパッドマート」が本日スタート、まずは学芸大学駅周辺から

過去にTechCrunch Japanでも紹介した、レシピサービスのクックパッドが手がける生鮮食品のECサービス「クックパッドマート」がいよいよ本日9月20日よりスタートする。

クックパッドマートはアプリで必要な食材を選択するだけで生鮮食品が手に入るECサービス。街のパン屋さんや精肉店などの小規模店舗(パートナー)で扱う“こだわりの食材”をアプリで購入することが可能だ。最大の特徴は、クックパッドマートでは1品から食材を注文することができ、送料も無料であるということ。貧乏性の僕は、「〇〇円以上で送料無料」となるとついつい無駄なものを買ってしまったり、買いだめしてしまったりする。でも、食材は鮮度が命。クックパッドマートを使えば無理に買いだめする必要がないのがうれしいところだ。

また、レシピサービスのクックパッドならではの仕組みとして、食材のレシピに必要な食材をまとめて購入できる仕組みもある。

クックパッドマートの仕組みは以下の通りだ。クックパッドはまず、ユーザーから指定された食材をパートナーである精肉店や精魚店で集荷する。そして、食材を集荷した当日中に“受け取り場所”と呼ばれるピックアップ地点まで配送し、ユーザーがその受け取り場所まで自分で食材を取りにいくというシステムだ。

クックパッドマートの受け取り場所

本日のリリース時点でクックパッドマートの受け取り場所として準備されているのは、東京・学芸大学駅周辺にある「なんでも酒やカクヤス 学芸大学前店」「カラオケの鉄人 学芸大学店」の2店舗。一方、食材を提供するパートナーは5店舗でスタートする。

クックパッドはこれまでに、すでに受け取り場所を提供するカクヤス(なんでも酒やカクヤス運営)と鉄人化計画(カラオケの鉄人運営)のほかにも、ツルハドラッグを運営するツルハやY2T STANDを運営するフェシリダージなど計5社との連携を発表しており、今後も受け取り場所とパートナーを順次拡大していく方針としている。

クックパッドマートのiOSアプリは、本日よりこちらでダウンロードできる。

クックパッドの考えるスマートキッチンの未来――人と機器の協調で豊かな料理体験を

「これまでクックパッドではレシピを提供することで献立の意思決定の支援をしてきたが、レシピを見つけた先にある“物理的な料理”の部分は十分に支援できていなかった。その物理的な料理が抱える課題を、ハードウェアとレシピを組み合わせて解決していく」――クックパッドの金子晃久氏は、同社が実現しようとしているスマートキッチンの構想についてそう話す。

以前TechCrunchでも紹介したように、クックパッドでは5月に“人と機器とレシピ”をつなぐサービス「OiCy」を発表した。これはクックパッドに投稿されたレシピを機器が読み取れる形式(MRR: Machine Readable Recipe)に変換してキッチン家電に提供することで、レシピに合わせて機器を自動で制御できるというもの。将来的には「人と機器が協調する」ことで、手料理をもっと楽しくしようという試みだ。

この取り組みを担っているのが、2018年の初めにクックパッドで発足したスマートキッチングループ。今回は同グループでグループ長を務める金子氏に、クックパッドのスマートキッチン構想の背景から、今後の展望について聞いた。

スマートキッチンでは人と機器が協調する

クックパッドのスマートキッチン構想の世界観を掴むには、同社が公開しているレシピ連動調味料サーバー「OiCy Taste」の動画を見るのが手っ取り早いかもしれない。

OiCy Tasteはレシピとつながった調理機の一例(コンセプトモデル)として開発されたもの。クックパッドのレシピを選ぶだけで必要な分量の調味料を自動で計量でき、人数の変更や味つけのアレンジにも対応する。

スマートキッチングループでは、チーム内で試すのはもちろん、ユーザーテストも実施。そこで見えてきたのが、レシピと機器がつながることで「“楽”と“美味しい”を両立できること」と「流れを止めない料理体験を実現できること」だったという。

「一般的に料理は楽をしようとすると上手くいかなくて失敗したり、美味しく作ろうとすると楽じゃなかったりする。そこに(OiCy Tasteのような)機械があることで、“ラクにおいしく”を両立することができた。またデータの世界に持ってくることによって、人数変換や味付けのアレンジも自在にできる」(金子氏)

楽と美味しいの両立は、もともと開発前から実現したい目標だったという金子氏。一方の「流れを止めない料理体験」については、実際に試した際に初めて発見したものなのだそうだ。

「人間と機械が分担して作業することで、野菜を切ったり炒めたりしている間に調味料が出てきて、混ぜるだけで完成するという新しい料理体験が実現できた」(金子氏)

このキッチン体験がさらに進むとどうなるのか。まずは時間や場所を超えて料理を再現できるようになる、というのが金子氏の考えだ。

たとえばお母さんやおばあちゃんの味をレシピとして残しておくと、いつでも再現できるようになる。もしくはレストランで美味しいものを食べた際、仮にそのレシピをダウンロードすることができれば、自宅で簡単に再現できるようになる。

この“再現”という考え方は、クックパッドが目指すスマートキッチンにおける重要な鍵だ。

「再現が土台になると、人間の好奇心やクリエイティビティが復帰して創意工夫ができるようになる。創意工夫のように人間が得意とする部分と、レシピの忠実な再現や正確な温度管理など機械が得意とする部分を持ち寄り協調することで、豊かな料理体験を創る。これがクックパッドの目指しているスマートキッチンだ」(金子氏)

家事をするようになって気づいた料理の面倒くさい部分

そもそもこのスマートキッチンの構想やOiCy Tasteのアイデアは、どういう背景で生まれたものなのだろうか。金子氏に聞いてみたところ、どうやら前職のソニー時代に「個人的な理由」で立ち上げようとしていたプロジェクトが発端のようだ。

「家事分担で週に4日間料理をすることになり、そこでいろいろな課題に気づいた。もともと料理が好きでも得意でもなかったのでレシピを忠実に再現しようとすると、すごい面倒なことが多くて。その典型が調味料を取り出して計る作業。機械がやっても同じような結果になるのであれば、自分ではなく機械に任せてもいいのではないかなと思った」(金子氏)

ここ数年の間に“レシピを見つける”ことはクックパッドなどレシピサイトによって簡単になったけれど、その先の“料理をする”部分は未だにアナログな要素が多い。「せっかく簡単にレシピが見つかるのだから、そのままシームレスに機械を動かせればもっと簡単に料理ができるはず」(金子氏)だと考え、まずはプロトタイプ作りにとりかかった。

プロトタイプに使ったのは洗面所で見かけた時にひらめいたというハンドソープディスペンサー。新しく購入してきたものを分解し、Arduino(ハードウェアのプロトタイプ作りなどによく活用されるマイコンボード)とつなぎハックすることで、OiCy Tasteの原型を作ったという。

クックパッドとの出会いは「周りにも話をしてみて『行けるんじゃないか』と思い、本格的に事業としての立ち上げを検討していた」時のこと。事業を立ち上げるにはレシピが必要になるため、クックパッドの担当者と会ったのが最初だ。

その時の担当者が、現在は事業開発部Cookpad Venturesグループ長の住朋享氏。1年〜1年半ほど情報交換をする中で、最終的には同社のレシピやユーザー基盤といった資産を活用して「その立場で周りのメーカーの協力を仰ぎながら進めるのが1番の近道」(金子氏)だと判断し、2018年1月にクックパッドに加わった。

楽しいところしかない料理体験の実現目指す

クックパッド 研究開発部 スマートキッチングループ グループ長の金子晃久氏 (写真提供:SKS Japan)

金子氏によると、プロトタイプを作っていた当初から人と機器の協調というイメージが合ったわけではないそう。最初は「目の前の自分の料理を楽にしたい、とにかく面倒な作業を機械にやってもらって、料理が楽しくなれば」と思っていたという。

それならば完全に機械によって自動化された方が楽な気もするのだけれど、どうやらそういうわけでもないらしい。

「自分の場合は家族のために料理を作る。その際に自分で作った場合とそうではない場合で明確な違いがあった。自分で作った時は料理を通じて子どもとつながっている感覚があって、仮に多少味付けを失敗したとしても、それがコミュニケーションの要素になる」(金子氏)

特にその“つながり”を強く感じるようになったのが、家事代行を頼んだ時だったそう。金子氏は「結果として自分で作るよりも美味しい料理を食べられたが、その一方で家族とのコミュニケーションやつながりをなくしてしまった感覚になった」と当時の心境を振り返る。

「完全に自動化するのではなく、何かしら自分がやっている部分が絶対に必要なのだと思った。システム的にはOicyのテーマは人と機械の協調。でもユーザー体験としては、たとえば日々忙しくて料理の時間があまりないけれど家族のために手料理を作りたい人が、機械の力を借りながら自分で料理をした感覚を味わえるようなものにしたい」(金子氏)

クックパッドでは料理の楽しさを“新発見”と“再発見”に分解して考えているそう。「料理にはもともと楽しい要素があるが、忙しい中で義務としてやっていると、それが薄れてしまう。機械のサポートで、その楽しさを再発見できるようにする」(金子氏)

最終的には「楽しいところしかない料理体験」を提供したいと話す金子氏。自身の場合は「親子丼で最後に卵をふわっと固めるところだけをやりたい」らしく、野菜を切ったり味付けをする部分は機械に任せたいそうだ。

もちろん人によってこだわりのポイントは違えど、本当に自分がやりたいことやアレンジしたい工程だけを人力でやって、あとは機械にお任せする。金子氏はグランピング(グラマラスとキャンピングを掛け合わせた言葉。重い荷物を持参したりテントを設営したりといった負担のない、贅沢なキャンプ)を例に、同じような世界観を料理においても実現したいという。

メーカーや機器を超えて繋がるレシピ

クックパッドは8月に開催されたスマートキッチン・サミット・ジャパン 2018内で、スマートキッチンの方向性と目標を示す「スマートキッチンレベル」を発表している。

クックパッドが発表した「スマートキッチンレベル」。今後はメーカーと協力しながら、自動運転における「自動運転レベル」のように業界全体で共通の目標となるような指標を作っていきたいという

このレベルに沿って考えると、現在はいくつかのメーカーの製品がレベル2に差し掛かっている段階だろうか。たとえばシャープの場合、ヘルシオなど一部の製品はレシピアプリ「COCORO KITCHEN」と繋がることで、アプリで気になったレシピを家電に送ったりすることが可能だ。

ただし現在は各メーカーがそれぞれ規格を持って各々で開発を進めている状況。これが加速するとユーザーは調理機器を同一メーカーの同一シリーズで揃えていない限り、機器が変わるごとに別々のレシピを立ち上げる必要が出てきてしまう。

OiCyが直近で目指しているのは、この「メーカーや機器の壁」を取っ払い、複数の機器が“同じレシピ”を参照して調理を実行できる「レベル3」のプラットフォームだ。海外も合わせると約400万レシピを保有するクックパッドの基盤を生かし、それらのレシピを機器が読み取れる形式に変換して提供する。

豊富なレシピという資産があるからこそできる取り組みではあるものの、もちろん簡単なことではない。これはクックパッドがCGM(ユーザー投稿型のメディア)であるがゆえの課題でもあるが、各ユーザーごとにレシピの書き方や表現も異なるため、それをきちんと機械が読み取れるように変換するのには時間を要する。

「まずは関係ない情報を除き、レシピだけの情報を抽出する。その上で漢字やカタカナ、ひらがなの表記の揺れや文法の違いなども含めてどのように対応していくかが1番のハードルだ。今は(人間が作った)ルールベースと機械学習ベースの2つのアプローチを考えているが、どちらにせよ最初は人力でやっていく必要がある。まずは数百レベルから、そこにルールを入れることでレシピが一桁増えるイメージ」(金子氏)

クックパッドでは2019年のスマートキッチン・サミット・ジャパンまでを目処に「国内向けにMRR提供サービスの開始」「海外展開」「さらなるコンセプトモデルの公開」を目標としている。

まずはレシピ数を絞ってもいいので着実に繋いでいくことを目指し、徐々に対応機器の拡大や海外展開も進めていく方針だ。8月にはパートナー企業10社を発表していて、対応製品の開発の話も始まっているという。

「スマートキッチンの構想はクックパッド単体ではできない。OiCyが『Open integration, Cooking with you』の略であるように、パートナーと一緒になって新しい料理体験を作っていければと考えている。クックパッドはハードウェアメーカーではないので、機械が読み取れるレシピをしっかりと提供することで、パートナーのモノづくりやコトづくりをサポートしていきたい」(金子氏)

8月に発表されたパートナー企業10社

クックパッドが食品ECビジネスに参入、街のお店の“こだわり食材”をアプリで買える「クックパッドマート」発表

料理レシピサービス「クックパッド」などを提供するクックパッドは7月10日、生鮮食品のECサービス「クックパッドマート」を発表した。同社はまず、2018年夏より東京の渋谷区、世田谷区、目黒区限定で同サービスをスタートする予定だ。

クックパッドマートを開発した”買物事業部”を率いるのは、2018年1月にクックパッドへ吸収合併されたコーチ・ユナイテッドでCEOを務めていた福崎康平氏だ。「ひとくちに食事と言っても、買い物、調理、後片付けなど、そこにはさまざまな過程がある。しかし、調理するときに見るレシピを手がけるクックパッドは“料理を作る瞬間”しか消費者の心を掴めていない。それを変えたかった」と、福崎氏はレシピサービスのクックパッドが食品EC事業に参入する意図を語った。

1品から食材を購入でき、送料は無料

クックパッドが本日発表したクックパッドマートは、アプリで必要な食材を選択するだけで生鮮食品が手に入るECサービスだ。街のパン屋さんや精肉店などの小規模店舗(パートナー)が提供するこだわりの食材をアプリで購入することができる。ユーザーにとって最大の特徴は、クックパッドマートでは1品から食材を注文することができ、送料も無料であるということだろう。また、レシピサービスのクックパッドならではの仕組みとして、食材のレシピに必要な食材をまとめて購入できる仕組みもある。

日本の食品ECサービスには、昔ながらの生活共同組合(生協)の食材配達サービスや、2017年4月より国内でサービス開始したAmazon Freshなどがあるが、クックパッドマートはそれらとはちょっと違う仕組みで運営される。

クックパッドはまず、ユーザーから指定された食材をパートナーである街の精肉店や精魚店で集荷する。そして、食材を集荷した当日中に“受け取り場所”と呼ばれるピックアップ地点まで配送し、ユーザーがその受け取り場所まで食材を取りにいくというモデルだ。福崎氏によれば、このモデルを選択することで、配送料を節約するための“ルート配送”を実現でき、ECサービスでよくある「〇〇円以上で配送料無料」という煩わしさを避けることができたのだとか。

その受け取り場所として想定されているのは、食材を提供する食品店、コンビニ、クリーニング店などの地域の店舗や、マンションの共有スペースなど。クックパッドは受け取り場所を提供してくれるパートナーを広く募集し、サービスの拡大を目指すという。

福崎氏によれば、クックパッドは今後、半径2kmのエリアごとに30〜50箇所の受け取り場所を用意し、「最寄り駅から自宅までの帰り道に受け取り場所が必ずあるだけでなく、職場の付近でのピックアップなど選択肢が複数あるような状態」していく予定だという。

こだわりの食材を、便利に

「各地域には長年お肉やお魚だけを扱ってきた名店がたくさんある。そういったお店が扱う、本当においしい食材をアプリで手軽に注文できるというのがクックパッドマートの特徴だ。そういった小規模店舗が参加でき、配送もこちらが一手に行うプラットフォームを作りたかった」と話す福崎氏。

その言葉の通り、クックパッドマートは他のECアプリとは少し変わった作りをしている。ユーザーは「鶏肉」など食品の種類ごとに食材を選択するのではなく、まずはパートナーのお店を選択し、その後にそのお店が扱う鶏肉を選択するというフローだ。このあたりからも、「街のお店のこだわり食材を手軽に購入できる」というクックパッドマートの特徴を大事にする様子が伺えるだろう。

上述したように、クックパッドマートのモデルではユーザーが受け取り地点までわざわざ食材を取りに行く必要がある。それだけ聞くと、「だったらスーパーまで買い物に行くのとあまり変わらないのでは」という意見もありそうだ。

でも、福崎氏の言葉の通り、クックパッドマートは地域に散らばる名店のこだわりの食材を一箇所で受け取れるサービスであると考えれば、このサービスを利用するメリットを理解しやすいのかもしれない。それに、クックパッドマートのような食品ECサービスを頻繁に利用するユーザーとして考えられるのは、共働きをする若い世代だ。そうしたユーザーは昼間に自宅にいないことも多く、好きな時間に職場からの帰り道にある受け取り場所でピックアップできるというモデルの方が逆に便利なのかもしれない。

クックパッドマートの当面の目標として、福崎氏は「年内に、利用可能エリアを複数のエリアに拡大し、受け取り場所も数十箇所設置する。そして、“クックパッドマートで生活する人”を作りたい。来年以降は、受け取り専門の店舗やクルマを設置することも考えている。来年度中にはこのビジネスモデルを確立したい」と語った。

クックパッドマートを手がける買物事業部のメンバー。写真中央が事業部長の福崎康平氏。

クックパッド、料理道具やうつわを作り手から直接買えるマルシェアプリ「Komerco」公開

最近はあまりやっていないのだけど、以前はスーパーやコンビニで買った惣菜や冷凍食品をわざわざお気に入りのうつわに移してから食べたりしていた。おそらく味自体が変わることはないのだけど、なんとなくその方がテンションがあがるし、美味しくなるような気がするからだ。

僕のどうでもいい個人的な話はさておき、クックパッドが6月26日に公開した「Komerco(コメルコ)」は、料理をするなら道具道具やうつわにもこだわりたい、という人にとってピッタリなサービスと言えそうだ。

Komercoは簡単にいうと、クリエイターが出品した料理系のクラフト作品を買えるマルシェアプリ。クラフト作品のマーケットプレイスでは「minne」や「Creema」などがあるが、その料理系アイテムに特化したサービスだと考えるとわかりやすいかもしれない。

Komercoに並ぶのは、クリエイターが自ら手がけたこだわりの作品のみ(製作者かプロデューサーでなければ出品できない)。提供開始に合わせて100名を超えるクリエイターが参加し、約1500品が出品されている。

僕もアプリをざっと見てみたが、食器やプレートだけでなく包丁やまな板、鍋といった調理器具、エプロンなど作品の種類も豊富だった。

ユーザーはこれらの作品をKomerco上で購入できるほか、作品のストーリーを紹介する記事コンテンツ「コメルコバナシ」を楽しめる。一方のクリエイターにとっては料理を楽しみたい人に自分の作品をアピールする新たなチャネルとなりうる。

ショップの開設や出品の登録はクリエイター専用のアプリから各自が行う。月額利用料や出品料は無料で、作品が売れた際に15%の販売手数料が発生する仕組みだ。

なおクックパッドでは同サービスのリリースに際して「『料理道具やうつわなどモノとの出会いをきっかけに、料理がもっと楽しくなる』という体験を、Komercoの提供を通じて広げていき、毎日の料理を楽しみにする人を増やすことを目指します」とコメントしている。

今後はクックパッドのレシピを参考にしながら、Komercoで買った調理器具を使って料理を作り、同じくKomercoで買ったうつわに盛り付けて楽しむ、といったユーザーも増えていくのかもしれない。

クックパッド、調理機器とレシピをつなぐスマートキッチンサービス「OiCy」公開

「人と機器とレシピをつなぐことで、手料理が、人生が、もっと豊かになることを目指すスマートキッチンサービス」ーークックパッドが本日公開した新サービス「OiCy」のサイトには、そんな説明文がある。

これまでクックパッドが提供してきたレシピ関連サービスは人とレシピをつないできたが、今回リリースしたOiCyはレシピと調理機器(そしてそれらを使って調理する人)をつなぐものだ。

OiCyではクックパッドに投稿されたレシピを、機器が読み取れる形式(MRR: Machine Readable Recipe)に変換して提供。機器をOiCyに対応させておけば、クックパッドのレシピ内容に合わせた調理やアレンジが自動でできるようになる。

主にキッチン家電を取り扱う企業に提供する予定で、同社ではサービス公開に合わせてOiCyに対応する製品開発に取り組むパートナー企業の募集も始めた。

コンセプトモデルとしてレシピ連動調味料サーバー「OiCy Taste」も開発(現時点で発売の予定はないとのこと)。OiCy Tasteではレシピを選ぶだけで必要な分量の調味料を自動で計量できるため、料理の途中で調味料を計る手間から解放されるほか、好みに合わせてアレンジすることも可能だ。

僕自身は大雑把な性格だから調味料を目分量で計ることがほとんど。その結果ついつい味が濃くなってしまうこともよくあるから、調理機器が勝手に最適な量を計ってくれるなら使ってみたいと思った。

クックパッドでは「レシピとキッチン家電が連携することで料理をする人の悩みや負担が軽減され、毎日の料理が楽しくなる、そんなスマートキッチンを目指します」としている。

クックパッドが料理動画事業を本格化、第1弾「cookpad storeTV」はスーパーの売場で料理動画を配信

料理レシピサービスを提供するクックパッドは11月9日、2017年12月より料理動画事業に本格参入することを明らかにした。新サービス第1弾として、各流通チェーンの販売計画と連動した料理動画の配信を行う「cookpad storeTV(クックパッド ストアティービー)」を12月1日より展開する。

cookpad storeTVは、スーパーマーケットなど流通企業と連携した動画サービス。実店舗の生鮮売場に独自開発したサイネージ端末を設置し、そこで店舗の販売計画と連動した料理動画を配信するという仕組みだ。ユーザーは買い物中に食材や商品の調理法を動画で知ることができ、商品の販売促進にもつながる。

8月から全国100店舗においてトライアルを実施していて、すでに効果検証が完了。12月より本格的に始動し、まずは年内に全国のスーパーマーケット約1000店舗にて約3000台の端末を設置することを目指すという。現時点でイズミや光洋、マルエツなどが店舗でサービスを導入する予定だ。

これまでもレシピ動画サービス「クックパッド料理動画」を提供してはいたが、この領域は「kurashiru」や「DELISH KITCHEN」を筆頭に複数のサービスが立ち上がり、かつてのようにクックパッド一強とはなっていない。それどころか8月には国内のプレミアム会員数が減少したこともあり、クックパッドの今後の打ち手については多くの人が気になっていたことだろう。

今後もクックパッドではcookpad storeTVに続き、様々な料理動画サービスを展開していく方針だ。

クックパッドの有料会員が減少――17年2Q決算で明らかに

2016年のお家騒動で何かと話題になったクックパッド。同社は8月9日、2017年2Qの決算を発表した。内部の混乱が続いたクックパッドだが、今回の決算内容は投資家にとっても残念な内容だったみたいだ。

決算発表から読み取れるのサマリーは以下の通り:

  • 売上は前年同期比13.3%減の約71.1億円、営業利益は9.7%減の約30億円だった。
  • 一方、税引き前の四半期利益は増加していて、前年同期比8%増の約40.7億円だった。ただし、これは株式売却益により金融収益が増加したことによる。
  • 会員事業の売上は増加。前年同期比7.9%増の約34.7億円だった。うち、レベニューシェア売上は約10.8億円(同9.8%増)。
  • 広告事業の売上も減少している。前年同期比12.7%減の約21.9億円だった。

国内のプレミアム会員数が減少

決算説明資料を見てみると、クックパッドの有料会員数は2015年から一貫して上昇を続けている。しかし、この会員数がここ数年で初めて減少していたことが今回の決算発表で分かった(参考として、2013年からの会員数推移を示した図も下に掲載する)。

クックパッドが2016年に発表したIR資料

2017年2Q時点の会員数は193万人で、1Q時点の195万人よりも2万人減っていることになる。クックパッドの会員事業について、同社は「大手検索エンジンのアルゴリズム変更による新規流入の減少が影響」したと説明している。

では、海外はどうだろうか?クックパッドは2016年12月からイギリスに第2本社を設置するなど、海外事業により一層取り組んできた。

2017年2Qの決算によれば、海外のレシピサービスの月別平均利用者数は3086万人。前四半期の2938万人より増加してはいるが、最も会員数が多かった2016年4Qの水準(3260万人)にはまだ回復していない。

今回の決算発表を受け、8月10日の株式市場でクックパッドの株価は大幅に下落した。同社の株価は9.74%下落し、年初来安値を記録している(記事執筆現在)。

クックパッドを主軸とした「レシピサービス事業」は、同社の売上の90%以上を占める“命綱”であることは確かだ。

同社の説明の通り、この不調が検索エンジンのアルゴリズム変更による一時的なものなのか、それとも、なにか別の問題があるのかを知るためにも、来期以降の決算には注目だ。

プラットフォーム事業者の責任はどこまで―、クックパッドがはちみつレシピへの対応を発表

NHKは4月7日、生後6か月の男児が「乳児ボツリヌス症」で亡くなるというニュースを報じた。NHKによると乳児ボツリヌス症の死亡例は昭和61年以降、全国初だという。乳児ボツリヌス症は、消化気管が十分に発達していなく、腸内環境の整っていない生後間もない乳児がボツリヌス菌を摂取すると、腸内で繁殖し、毒素を出すことで発症する。ボツリヌス菌は自然界に広く生息していて、植物の花粉を汚染している場合、はちみつに混入する場合がある。ボツリヌス菌は家庭での加熱調理では死滅させるのが難しい。そのため東京福祉保健局は、1歳未満の乳児にはボツリヌス菌の芽胞に汚染される可能性のある食品(はちみつ等)を食べさせるのは避けるよう、注意を促している

このニュースを受け、はちみつを含む離乳食レシピを掲載していることに対してレシピサイト大手のクックパッドに批判が相次いだ。

クックパッドが掲示している乳児向けレシピの注意点

これまでもクックバッドは乳児向けのレシピについて注意喚起を行ってきたが、クックパッドは4月10日付けの投稿で料理レシピを再度確認し、注意喚起をさらに実施していくと伝えた。

今回の出来事は、市販のジュースにはちみつを混ぜたものを飲んでいたと報じられております。 クックパッドはこのような大変悲しい出来事に接し、サイト内に投稿された料理レシピについて再度確認の上、必要に応じた注意喚起を更に実施して参るとともに、皆様の「毎日の料理を楽しみにする」ために、食の安全に関する発信をさらに強化し、皆様の知見の向上を一層サポートさせていただく所存です。

他のレシピサイトも対応を進めている。楽天レシピも4月9日付けのブログ投稿で、はちみつの入った離乳食レシピの差し戻しを行っていると発表した。

楽天レシピでは、生後12ヶ月未満のはちみつが入った離乳食レシピは安全性を考慮して承認しないようにしております。また、該当するレシピは差し戻し処理を行っております。

情報の信憑性という問題では、昨年12月に起きた医療情報のキュレーションサイトWELQに端を発した問題が記憶に新しい。DeNAは、運営するWELQで医療関係者の監修を付けず、信頼性の乏しいコンテンツを制作、配信したことへの責任を問われたが、今回の件は、個人が自由にレシピを投稿して共有できるプラットフォームの運営元の責任を問う声がネットにあふれた形だ。

現在、世界ではフェイクニュースが問題となっているが、これもプラットフォームの運営元に配信するコンテンツの品質の責任を問うという意味では共通していると言えるかもしれない。

例えば、Facebookは捏造記事やフェイクニュースを拡散し、昨年11月の大統領選挙の結果に影響を与えたとして世間から批判を浴びた(Facebookの場合は、ユーザーが見たい意見しか表示されないようになるエコーチャンバーの問題とも絡んでいる)。これを受け、Facebookは外部の協力者の力を借り、フェイクニュースに警告をつけるなどの対応を進めている。

Googleも先日、検索結果に事実チェックを表示する機能を世界展開した。Google日本法人においては、WELQ問題を受け2017年2月にオリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示されるようになるよう、日本語検索のアルゴリズムを変更する対応を行っている。

従来の新聞やテレビなどのメディアの場合、情報の安全性や正確さにおける責任の所在は情報を発信元にあることが、より明確だった。しかし、消費者が検索サービスやSNSといったプラットフォームであらゆる発信者が提供する情報にアクセスできるようになるほど、多大な影響力を持つFacebook、Googleをはじめ、レシピサイトといったプラットフォーム事業者にもその情報が安全で、正しいものかどうかチェックすることも期待するようになっているようだ。プラットフォーム事業者は豊富なコンテンツを集めるだけでなく、扱うコンテンツの品質まで気を配ることが求められていると言える。