経費サービス一体型法人プリペイドカード「Staple」カードとは?

クラウドキャストは10月4日、Visa加盟店で利用できる経費精算サービスが付帯した法人向けプリペイドカード「Staple」(ステイプル)カードを発表した。11月15日より申し込みを受け付ける。

Stapleカードは、企業の経理担当者によるリアルタイムチャージが可能な法人向けプリペイドカード。ほとんどのVisa加盟店で、交通費や会議費、接待費、出張旅費、そしてネットの支払いに使える。支払い履歴を基にした経費レポートの作成、利用ロック、チャージリクエストなどの機能も備える。

詳細は随時追記する。

経費精算アプリ「Staple」のクラウドキャスト、「ルナルナ」などを提供するMTIから1億円調達

経費精算サービス「Staple(ステイプル)」を提供するクラウドキャストは12月21日、「music.jp」や「ルナルナ」などを手がけるエムティーアイ(以下、MTI)を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額1億円を調達したと発表した。

クラウドキャストが提供するStapleはクラウド型の経費精算サービスだ。アプリへの手入力で簡単に経費精算できるほか、交通系ICカードをアプリで読み込むことで交通費の精算を自動化することが可能だ(NFC対応のAndroid端末のみ)。また、領収書を撮影した画像データを経費レポートに添付することもできる。

クラウドキャストは2014年9月にSMB向けの「Staple」をリリースし(現在は「Staple 2」として提供)、同サービスのユーザー企業数は現在1万社を超える。この数字は月に300社ほどのペースで増えているという。その後クラウドキャストは2017年6月にSMB向けのStapleをエンタープライズ版に拡大した「Staple 3」をリリース。提供開始から約半年が経過した現在、トライアルに登録した企業数は100社ほどだという。有料版に移行したのはその内の10社ほどだ。

MTIとの資本業務提携

今回の資金調達により、クラウドキャストは今後、Stapleの販売促進と機能開発においてMTIとの協業を進めていく。

まず1つ目に考えられるのが、MTIがもつ営業リソースの活用だ。MTIというと、「music.jp」や「ルナルナ」などのBtoCサービスを提供する企業という印象が強いけれど、実はBtoBサービスも数多く提供しており、全国に法人向けの営業拠点や人的リソースを持っている。

同社が提供するBtoBサービスには、従業員が受けた健康診断の結果をデータ化することで企業が従業員の健康状態を把握するための「CARADA」や、企業が既にもつPC向けやガラケー向けのWEBサイトをスマートフォン向けに自動変換する「モバイルコンバート」などがある。そのため、今後はMTIのBtoBサービスとStapleをセットで提案するなどの営業面での協業が考えられる。

Automagiが開発した「FEEDER」

両社の協業はStapleの機能強化にもつながる。今のところ、Stapleには領収書の画像を経費レポートに添付する機能はあるが、画像から文字を読み取り、それを自動的に経費データに変換する機能はない。

一方、MTIの子会社であるAutomagiは2017年6月、AI利用した領収書読み取りアプリ「FEEDER」を発表している。クラウドキャストは自前で読み取り機能を開発するよりも、Automagiがもつ技術を利用する方法を選んだようだ。

また、その他にも技術的な協業の余地はあると代表取締役CEOの星川高志氏は語る:

MTIは常陽銀行と口座直結型スマートフォン決済の実証実験を開始するなど、Fintech分野への投資を進めている。経費の分野には経費を建て替えた従業員への送金手数料が高いという課題があるが、この送金手数料を下げるような仕組みをMTIと共同で開発していきたい」(星川氏)

クラウドキャストは2011年1月の創業。同社は2015年12月にクレディセゾン、IMJ Investment Partnersから数億円規模の資金調達を実施している。

経費精算サービス「Staple」にミドルエンタープライズ版――社内ポリシーと多段階承認フローの設定が可能に

クラウド経費精算サービスの「Staple」は、領収書ののり付け、交通費や交際費の計算から僕たちを解放してくれるアプリだ。その提供元であるクラウドキャストは6月27日、Stapleのミドルエンタープライズ版となる「Staple3」を発表した。8月1日より提供開始する。

交通費をタッチで読み取り

2014年9月にリリースしたStapleは、アプリへの手入力で簡単に経費を精算できるだけでなく、タッチによる交通系ICカードの読み取り(NFC対応のAndroid端末のみ)にも対応している。ICカードから読み取るデータには経費以外の交通費も含まれるが、アプリやWebサイトでその中から経費として申請するものを選択する仕組みだ。定期区間も自動控除される。

領収書を撮影した画像を経費レポートに添付すれば、財布の中にたまったのり付け前の領収書ともおさらばだ。

Stapleは弥生会計MFクラウド会計freee、A-SaaSなど合計10社の会計ソフトと連携しており、経理担当者は同アプリから主要な会計ソフトへのデータ出力が可能だ。

Staple上でFBデータ(参考)を作成し、振り込み処理の負担を軽減することもできる。先日、マネーフォワードが銀行の更新系APIを利用した振り込み自動化サービス(アプリから1クリックで振り込み依頼できる)をリリースしているが、Stapleの機能は更新系APIを利用したものではない。Stapleで可能なのはFBデータの作成のみで、そのFBデータをインターネットバンキングにアップロードするのは経理担当者が行なわなければならない。

新しいStapleのターゲットは200〜300人規模の企業

ここまでに説明した機能は、本日発表されたStaple3にも踏襲されている。従業員が20人以下のSMBをターゲットにしていた従来のStapleと、ミドルエンタープライズ版のStaple3との主な違いは、200〜300人規模の企業で便利な「社内ポリシー」と「多段階承認フロー」の設定機能が実装されているかどうか。

社内ポリシーの設定機能では、例えば”3万円以上の経費申請では領収書の写真添付が必須”などのルールを経理担当者が自由に設定することができる。部署やプロジェクト単位でポリシーを設定することも可能だ。

従業員が多くなるにつれて承認フローが多段階になりがちだが、Staple3ではそのような承認フローも自由に設定できるようになった。

また、Staple3はMicrosoftの「Azure Active Directory」および「Office 365」と連携しているため、社内の人事データをStapleにとり込むこともできる。こうすることで、(社内の)接待の相手を入力する際に名前がポップアップするなどの機能が追加された。このあたりは、今後例えばSansanWantedly Peopleのような名刺管理サービスとのAPI連携が実現すれば、社外の人間のデータも取り込めて、より便利になりそうだ。

ところで、Stapleと同種の経費精算アプリは、会計ソフトを提供するマネーフォワードやfreeeもリリースしている。仮にユーザー企業がマネーフォワードの「MFクラウド会計」をデフォルトの会計ソフトとして導入している場合、経費精算アプリもマネーフォワードのものを使うという流れはごく自然なもののようにも思える。そのような状況下でStapleはどのように戦っていくのだろうか。

クラウドキャスト代表の星川高志氏は、「Stapleの強みは、どのような会計ソフトとも連携できる『中立性』だ。クラウド会計ソフトが普及し始めたとは言え、中小企業への普及率はまだまだ低い」と語る。Stapleを使っている企業が今後どのような会計ソフトの導入を決めたとしても、”Stapleは継続して使える”というのが訴求点になりうるということだろう。

従来のStapleは初期費用0円、従業員1人につき月額600円という料金設定だった。新しいStaple3の月額料金も同じ600円だが、10万円〜の初期費用が発生する。